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フィリピンへの被災支援

「従業員家族向け会社見学会」で船長(左)と記念撮影

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社員の災害復興ボランティア活動を支援

 当社グループでは社会貢献活動に参加する社員に対し 特別休暇と活動費用の一部を付与する制度があります。こ の制度は、20113月に発生した東日本大震災を契機に 作られたものですが、この制度を活用して、これまで多く の社員が被災地などでのボランティア活動に参加していま す。今回は実際にボランティア活動のため東北に赴いた社 員に話を聴きました。

訪問先を教えてください。

井上ー 震災から7か月経過した2011年10月に赴いた 宮城県南三陸町を初めとして気仙沼市、岩手県大槌町・陸 前高田市のボランティアに、合計7回参加しました。

熊田ー 陸前高田市に2回、南三陸町に2回、気仙沼市 に1回の合計5回、参加しています。すでに参加していた井 上からの誘いが、参加のきっかけです。

どのような活動をしたのでしょうか?

井上ー 時間の経過とともに内容は変わってきていま す。初めて参加した南三陸町では、住民の要請を受けて、

例えば被災者の住宅敷地内の瓦礫の片付けや、浸水した家

屋から生活用品を運び出すなどの作業を行いました。

震災から1年半ほど経過した頃には、震災直後のような膨 大な量の瓦礫の山はなくなりましたが、主に小さな瓦礫を 拾う作業と、側溝などに詰まった泥の除去作業、また、のび 放題となっている雑草の刈り取りや、さらに細かい瓦礫の取 り除き作業などを行いました。月日はたちましたが、周りの 風景は同じ状況で、元の姿に戻るのはいつになるのだろう と重い気持ちになりました。

熊田ー 2011年と2012年に参加した南三陸町でのボ ランティアでは、ワカメの芽付けと収穫のお手伝いをしまし た。2013年6月の陸前高田市では、当社グループからは私 を含めて9名が参加し、簡易トイレの設置や瓦礫拾い、ひま わりの種まき作業などの農作業を2日にわたり行いました。

同年12月に参加した気仙沼市でのボランティアでは、漁具 の準備作業の手伝いを行いました。

活動を通して感じたことをお話しください。

井上ー 震災からはすでに3年が経過していますが、被 災地の復興はいまだに進まない状況で、被災地の様子がメ ディアで報道されることも、以前に比べ少なくなりました。

 また、時間の経過とともにボランティア活動への参加者 数が減少しています。例えば陸前高田市でボランティア

社会貢献活動 〜東北復興ボランティアに参加して伝えたいこと~

(左)専用船・不定期船部 熊田陽子 (右)人事部 井上智広

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飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4 サポートセンターを運営するNPO法人によると、震災直後

の参加者は1日に約1,300人にのぼったものが、最近は多 くても約200人です。被災者の方たちは、このまま風化して、

震災があったことや不便な生活を強いられているというこ とを忘れられてしまうのではという不安な思いでいらっしゃ います。そのような中、ボランティアにうかがうと被災者の 方たちは「ボランティアが来てくれると、私たちが忘れられ ていないのが実感でき、復興への励みになる。」との言葉を いただいています。

熊田ー 被災地はもともと水産業が盛んな場所でした が、人手不足でさまざまな作業に支障をきたしています。

今後は人手不足を補い、産業復興にかかわる支援が、求め られてくると思います。

井上ー 当社グループでは、ボランティア活動に参加し た社員の活動報告書を、社内イントラネットに掲示し閲覧 できるようにしています。報道されない実際の被災地の様 子がわかり、あらたに被災地を訪れる社員へのきっかけに なっていると思っています。

熊田ー ボランティア活動では被災者の方々と接する機 会があります。そのなかで印象的なのは、「とにかく来てくれ てありがとう」という感謝の言葉です。この言葉から、被災地 を忘れないで欲しいとの切実な想いが伝わってきます。私は 今後も引き続き、ボランティア活動に参加するつもりです。

井上ー 私も継続してボランティア活動に参加するつも りです。参加者ひとりひとりにできることは限られますが、

被災地に足を運び、被災者とともに汗をかくことで復興の 様子を知り、後世に伝えていくことができると思います。

 復興庁が発表した2014年3月時点での避難者数は約26 万4千人と、いまも多くの被災者が不自由な環境に身をお いています。

 一方、被災地へ足を運ぶボランティア活動参加者が減っ ている状況ですが、当社グループでは、被災地への関心を 風化させないためにも、社員のボランティア活動を通して、

被災者に寄り添い、復興支援を継続していきます。

2014 年 3 月に実施された福島県南相馬市でのボランティア活動 2013 年 6 月に訪れた陸前高田市

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ステークホルダーからのコメント

コミュニケーション

  飯 野 海 運 株 式 会 社(以下、飯 野 海 運)は、Saudi Basic Industries Corporation(以下、当社)にとって海上輸送にお ける重要なパートナーです。当社との間で30年近くにわたり 強力な信頼関係を築いてきたことを大変誇りに思います。

 当社に提供される海上輸送には飯野海運の熱心な取 り組みが反映されており、それは当社の顧客からのフィー ドバックにも表れています。

 飯野海運の優れた対応に感謝するとともに、熱意あふ れる社員の皆さまの成功をお祈りしています。

 今後も末永く、長年培ってきた関係を基盤として、双方 の利益に貢献していけることを確信しています。

当社と飯野海運の取引の歴史

1985年 - アジア向け輸出の約40%を担う、初の数量輸送 契約を締結

1991年 - 13,900載貨重量トンケミカルタンカーを数量輸 送契約に投入

1997 - 19,500載貨重量トンステンレス・スティールタン クのケミカルタンカーを数量輸送契約に初投入

1999 - 19,500載貨重量トンのエジプト向けメチル-ター シャリー-ブチルエーテルの数量輸送契約を初締結 2000 - 33,000載貨重量トンステンレス・スティールタン クのケミカルタンカーを数量輸送契約に初投入

2003年 - 19,500載貨重量トンケミカルタンカーの定期用 船契約を2隻締結

2004年 - 19,500載貨重量トンケミカルタンカーの地中海 向け数量輸送契約、および33,000載貨重量トンケミカルタ ンカーのヨーロッパ大陸向け数量輸送契約を締結

2005年 - 35,000m3アンモニアタンカーの定期用船契約を 締結

2008年 - 中東からアジア向けの数量輸送契約が年間100 万トンに到達

2010 - 14,000載貨重量トンケミカルタンカーを定期用 船契約に2隻締結

設 立 : 1976 年

生 産 開 始 : 1981年

本 社 : リヤド

主要事業所 : アルジュベイル、ヤンブー

株 主 : サウジアラビア政府 70%、個人投資家(湾岸 6か国) 30%

製 品 : 化学品、プラスチック、肥料、金属、機能化学品

売上高 : 1,890 億サウジリヤル(504 億 US$)

利 益 : 253億サウジリヤル(67.4 億 US$)

資本金 : 300 億サウジリヤル(80 億 US$)

総資産 : 3,391億サウジリヤル(904.2 億 US$)

従業員 : 約 4万名

 Saudi Basic Industries Corporationは世界有数の石油化学製品メーカーとして、ポリエチレンやポリプロピレンをはじめ、先端 サーモプラスティック、グリコール、メタノール、肥料などの生産で世界をリードしています。その事業内容は、化学品、ポリマー、機 能性化学品、肥料、金属、イノベーティブプラスティックの分野で構成されており、サウジアラビア、米国、オランダ、スペイン、日本、

インド、中国、韓国に、専門の研究開発施設を19 か所構えています。また、世界 40 か国以上に約 4万人の従業員を擁し、サウジア ラビア、北米/南米、欧州、アジア太平洋などの世界各国で生産を行っています。1976 年にサウジアラビア政府の政策により、石 油採掘時の副産物である炭化水素ガスを主要原料とする、化学品、ポリマー、肥料の生産会社として、本社を首都リヤドに置き、設 立されました。現在は、サウジアラビア政府がその70% を出資し、残る30% の株主は同国および湾岸協力会議加盟国の個人投資 家となっています。

Saudi Basic Industries Corporationの紹介

2013 年12 月末日現在 General Manager,

Supply Chain Management

Fahad Al-Sabhan

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飯 野 海 運 経 営 報 告 書 2 0 1 4

第三者意見

 株式会社日本政策投資銀行 竹ケ原環境・CSR 部長には 2012 年版の当社経営報告書より継続して ご意見を頂戴しており、厚く御礼申し上げます。

 さて、2014 年は当社の創業 115周年にあたり、あわせ、新中期経営計画「STEP FORWARD 2020」

がスタートする当社グループにとって節目の年となっています。かかるなか、本報告書では、115 年の歴 史を振り返ることを一つのテーマとして取り上げましたが、新中期経営計画のご紹介とあわせご理解をい ただき幸甚に存じます。

 また、今後の課題としてご指摘いただきましたとおり、非財務情報に属する安全、環境、社会活動など の発信はより難しい課題と考えております。活動や取り組みの紹介にとどまらず、取り組んだ結果をよ

りご理解いただける形、例えば何らかの定量化を用いることにより当社の非財務情報を示すことを引き続き検討してまいります。

 企業価値の向上、また、よりよい報告書発行のために、本ご意見をはじめ、ステークホルダーの皆さまのご見解などを真摯に受け 止め、今後に活かしていく所存ですので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

第三者意見を受けて

取締役常務執行役員 総務・企画部担当 當舍 裕己  経営報告書2014は、115周年と新中期経営計画「STEP

FORWARD2020」(新中計)策定という節目にふさわしい 内容・構成を備えています。冒頭の社長メッセージによ り、新中計のテーマ「攻めの展開へ」という新たな方向性 を強く打ち出すと共に、特集において、これまでの歩み を丹念に振り返り、海運と不動産を両翼とする貴社のユ ニークなビジネスモデル形成に到る過程を分かりやすく 提示する構成は、新中計が、過去と一線を画しつつも決し て独立したものではなく、長い伝統を踏まえて設定され ていること、すなわち、一貫性・継続性を、印象的に伝え てくれます。

 このように継続性とその延長にある新たな挑戦という 骨格を明確に打ち出したことで、今号では、これに連なる 各パーツのメッセージ性が従来以上に鮮明になっている 点が特徴です。例えば、各事業セグメントについて、事業 毎 に実 績と今 後 の 見 通しを分 かりや すく伝える部 分 は、

かねてより貴社報告書の優れた点ですが、新中計の解説 を踏まえて読み進むと、部門毎の理解が深まるだけでな く、リスクを取る部門とそのベースである安定収益を支え る部門とのバランスという貴社ビジネスモデルの特徴が 横断的に伝わってくることに気づかされます。

 これは、安全と環境を軸とする非財務的な情報にも当 てはまります。経営報告書という統合的な視点を備えた 建付ゆえ、貴社の場合、数多ある非財務的な価値の中で も、事業に直結した側面に自ずと焦点が絞られるという

利点がありますが、今回は、上記の骨格により、この特徴 が一層顕著になりました。例えば、プラザ合意後の円高 に対 応した 外 国 人 船員の 採 用 / 混 乗 船 化 運 行 のシフト は、CSRで いえばダイバ ーシティの 取り組 みとなります が、競争力維持のための選択という視点と同時に語られ ることで、その 意 味 は、より具 体 的 か つ 説 得 的 になりま す。環境対策はもとより、営業展開に合致する船型を見 極める高度な経営判断として語られるエコ船採用の積極 化も同様です。

 こうした個性を更に強化するためにも、今後は非財務 的な価値について、定量化・指標化を進めることを期待 したいと思います。例えば、最優先の課題である「安全」

にしても、地道な取り組みの成果だけに、毎号新味のあ る定性情報の追加には限界があると思います。何らかの KPIによりその価値を代表させ、財務情報と同様に経年推 移で成果を見せていく方法も一考に値すると考えます。

株式会社日本政策投資銀行 環境・CSR部長

竹ヶ原 啓介

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