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Academic year: 2021

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(1)

各種セメントを用いた高強度コンクリートの 材齢の進行が静弾性係数に及ぼす影響

ものつくり大 ○澤本 武博 ものつくり大 中田 善久 日大理工(院) 大塚 秀三

1 はじめに

日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説

JASS5

鉄筋コンクリート工事」1)では静弾性係 数の算定に「鉄筋コンクリート構造計算基準・

同解説」2)

New RC

3)が示されており,ま た土木学会「コンクリート標準示方書[構造性 能照査編]」4)でも全国を調査した結果の圧縮強 度と静弾性係数の関係が示されている。しかし,

これらの静弾性係数の算定には,圧縮強度や単 位容積質量に加えて骨材および混和材の種類 は考慮されているものの,セメントの種類やコ ンクリートの材齢の影響について考慮するま でには至っていない。

本研究では,各種セメントを使用した高強度 コンクリートの材齢の進行が圧縮強度と静弾 性係数の関係に及ぼす影響を明らかにし,静弾 性係数推定の向上に役立つ可能性を示した。

2 実験概要 2.1 使用材料

使用したセメントは,普通ポルトランドセメ ント,中庸熱ポルトランドセメントおよび低熱 ポルトランドセメントの

3

種類であり,骨材に は栃木県栃木市尻内町産陸砂および最大寸法

20mm

の栃木県安蘇郡葛生町産石灰岩砕石を 用いた。また,混和剤には,ポリカルボン酸系 高性能

AE

減水剤を用いた。使用材料の物理的 性質は,表

1

に示す通りである。

2.2 コンクリートの調合

コンクリートの調合は,表

2

に示した通りで ある。いずれのセメントを用いた場合にも,水 セメント比を

3

段階に変化させ,それぞれ公称 容量

3m

3の実機ミキサで練混ぜを行った。

供試体の形状および寸法はφ100×200mm の円柱とし,各調合においてそれぞれ

9

本(標 準期,夏期,冬期の

3

シーズンで各

3

本)作 製した。そのため,試料採取時のコンクリート

の温度は

10~33℃の範囲にあったが,試料採

取後直ちに

20℃の試験室に静置し,材齢 1

日 で脱型して,所定の材齢まで

20℃の水中で標

準養生を行った。

2.3 静弾性係数試験

コンクリートの圧縮強度および静弾性係数

表1 使用材料

セメント

普通ポルトランドセメント

(比表面積 3290cm2/g、密度 3.16g/cm3) 中庸熱ポルトランドセメント

(比表面積 3230cm2/g、密度 3.21g/cm3) 低熱ポルトランドセメント

(比表面積 3430cm2/g、密度 3.22g/cm3

細骨材 栃木県栃木市尻内町産陸砂

(表乾密度 2.61g/cm3、粗粒率 2.75)

粗骨材 栃木県安蘇郡葛生町産石灰岩砕石

(表乾密度 2.70g/cm3、実積率 60.0%)

混和剤 ポリカルボン酸系高性能 AE 減水剤

Effect of Age of High-Strength Concrete on Elastic Modulus of Elasticity

Takehiro SAWAMOTO, Yoshihisa NAKATA and Syuzo OTUKA

(2)

の測定は,材齢

1

週,4週,8週および

13

週 において,それぞれ

JIS A 1108

および

JIS A 1149

に準じて行った。

3 実験結果および考察

1

は,コンクリートの圧縮強度と静弾性係 数の関係を示したものであり,材齢ごとに整理 し直すと図

2

のようになる。なお,今回の実験 で は , い ず れ の 供 試 体 の 単 位 容 積 質 量 も

2.4t/m

3付近であったため,比較として図中に 単位容積質量を

2.4t/m

3とした

New RC式を実

線で示した。コンクリートの材齢が早期である ほど静弾性係数は

New RC

式より小さくなる 傾向にあり,特に材齢

1

週の場合に顕著に見受 けられた。これは,短期材齢と長期材齢におい て同じ圧縮強度を期待すると,短期材齢で強度 発現を期待する場合には,単位セメント量を多 くし骨材量を少なくする必要があり,逆に長期 材齢で強度発現を期待する場合には,単位セメ ント量を少なくし骨材量を多くすることが一 つの要因として考えられる。例えば,普通ポル トランドセメントを使用して材齢

13

週でおお よそ

60N/mm

2の圧縮強度を期待すると,今回 の実験の場合は水セメントが

47%の調合(細

骨材の絶対容積

335ℓ/m

3,粗骨材の絶対容積

327ℓ/m

3,全骨材の絶対容積

662ℓ/m

3)となり,

静弾性係数は図

2(ⅳ)の 42kN/mm

2付近にある。

一方,低熱ポルトランドセメントを使用して材 齢

1

週でおおよそ

60N/mm

2の圧縮強度を期待 すると,水セメントが

25%の調合(細骨材の

絶対容積

270ℓ/m

3,粗骨材の絶対容積

315ℓ/m

3, 全骨材の絶対容積

585ℓ/m

3)となり,静弾性係 数 は 図

2(

)

33kN/mm

2 付 近 に あ り ,

9kN/mm

2程度小さくなる。なお,今回の実験 では,いずれの調合においても単位粗骨材かさ 容積を

0.53~0.55m

3

/m

3としたため,セメン トペーストよりも静弾性係数の大きい全骨材 表2 コンクリートの調合

単位量(kg/m3) セメントの種類 W/C

(%)

スランプ (cm)

スランプフロー (cm)

空気量 (%)

s/a

(%) W C S G Ad*(C×%)

47 21±2 - 50.6 175 373 874 883 0.95~1.25 37 - 50±7.5 50.7 170 460 846 851 1.20~1.40 普通ポルトラン

ドセメント

27 - 60±10 46.2 170 630 707 851 1.20~1.50 47 21±2 - 50.8 175 373 880 883 0.95~1.15 37 - 50±7.5 50.9 170 460 853 851 1.15~1.40 中庸熱ポルトラ

ンドセメント

27 - 60±10 45.9 170 630 715 851 1.20~1.50 45 21±2 - 51.0 170 378 890 883 0.90~1.15 35 - 50±7.5 51.0 165 472 856 851 1.10~1.30 低熱ポルトラン

ドセメント

25 - 60±10

4.5±1.5

46.1 165 660 705 851 1.10~1.25

*高性能 AE 減水剤

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(kN/mm2 )

普通ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント NewRC式(γ=2.4t/m3)

図1 圧縮強度と静弾性係数の関係

(γ=2.4t/m3

(3)

量すなわち粗骨材量と細骨材量の総和が影響 していると考えられる5)

また,今回の実験の範囲では,全ての調合に おいて骨材量が異なっているために一概には 言えないが,同一水セメント比で単位粗骨材か さ容積を

0.35m

3

/m

3変化させても静弾性係数 は

5kN/mm

2程度しか変化しないという過去 の実験結果6)を考慮すると,各種セメントの水 和の進行が圧縮強度と静弾性係数の関係に何 らか影響を及ぼしている可能性もある。

ここで,それぞれの使用したセメントにおい

て,材齢別に静弾性係数の実測値と式(1)に示

した

New RC

式から求めた算定値とを比較検

討した。なお,

New RC

式によって静弾性係数 を算定する際には,実測の圧縮強度および単位 容積質量を代入し,また骨材による係数には石 灰岩砕石を用いたため

1.2

を,混和材による係 数には

1.0

を代入した。

そして,図

3

のように各種セメントおよび各 材齢の供試体について,最小二乗法により原点 を通る回帰直線を求め,その回帰係数(回帰直 線の傾き)を示すと表

3

のようになる。

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(kN/mm2 )

普通ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント NewRC式(γ=2.4t/m3) 0

20 40 60 80 100

0 50 100 150

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(kN/mm2 )

普通ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント NewRC式(γ=2.4t/m3)

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(kN/mm2 )

普通ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント NewRC式(γ=2.4t/m3)

0 20 40 60 80 100

0 50 100 150

圧縮強度(N/mm2) 静弾性係数(kN/mm2 )

普通ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント 低熱ポルトランドセメント NewRC式(γ=2.4t/m3)

(ⅰ) 材齢 1 週 (ⅱ) 材齢 4 週

(ⅲ) 材齢 8 週 (ⅳ) 材齢 13 週

図2 材齢に伴う圧縮強度と静弾性係数の関係

(γ=2.4t/m3 (γ=2.4t/m3

(γ=2.4t/m3

(γ=2.4t/m3

(4)

E=33.5×k

1×k2×(γ/2.4)2×(Fc

/60)

1/3

(1)

ただし、

E:コンクリートの静弾性係数(kN/mm

2) γ:コンクリートの単位容積質量(t/m3

F

c:コンクリートの圧縮強度(N/mm2

k

1:骨材による係数

k

2:混和材による係数

今回の実験の範囲では,材齢が早期であるほ ど回帰係数は小さくなるすなわち

New RC

式 では大きく算定される傾向にあり,その傾向は 低熱ポルトランドセメント,中庸熱ポルトラン ドセメント,普通ポルトランドセメントの順で 大きくなった。このように,材齢が

13

週より 早期であると

New RC

式で静弾性係数を求め た場合に危険側に算出される恐れがあるため,

New RC

式に例えば表

3

のような各種セメン トにおけるコンクリートの材齢による補正係 数を設けることも静弾性係数推定の向上に繋 がる可能性がある。

4 まとめ

(1)

コンクリートの圧縮強度が同一であって も,材齢が早期であるほど静弾性係数は小 さくなる傾向にあり,低熱ポルトランドセ メントを使用した場合に顕著であった。

(2)

材齢が早期であるほど

New RC

式で算出 した静弾性係数よりも小さくなる傾向に あり,その傾向は低熱ポルトランドセメン ト,中庸熱ポルトランドセメント,普通ポ ルトランドセメントの順で大きくなった。

そのため,

New RC

式に各種セメントにお けるコンクリートの材齢による補正係数 を設けることも静弾性係数推定の向上に 繋がる可能性がある。

参考文献

1)

日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解 説 JASS5 鉄筋コンクリート工事,(2003),

p.170

2)

日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算 基 準 ・ 同 解 説 - 許 容 応 力 度 設 計 法 - ,

(1999),pp.38-39

3)

野口貴文,友澤史紀:高強度コンクリート の圧縮強度とヤング係数との関係,日本建 築学会構造系論文集,第

474

号,(1995),

pp.1-10

4)

土木学会:2002 年制定コンクリート標準 示方書[構造性能照査編],(2002),

pp28-29 5)

川上英男:コンクリートの弾性係数と圧縮

強度の関係についての一考察,コンクリー ト工学年次論文集,

Vol.28, No.1,

(2006),

pp.449-454

6)

中田善久,高野肇,毛見虎雄,笠井芳夫,

松井勇:粗骨材とモルタルの構成割合を変 えた高流動コンクリートの性状に関する 一考察,日本建築学会技術報告集,第

6

号,

(1998),pp.1-6

表3 New RC 式に対する回帰係数 コンクリートの材齢 セメントの種類

1 週 4 週 8 週 13 週 普通ポルトランドセメント 0.90 0.93 0.92 1.02 中庸熱ポルトランドセメント 0.87 0.92 0.93 0.99 低熱ポルトランドセメント 0.81 0.90 0.93 0.98

y = 0.9004x

R

2

= 0.788

0 20 40 60 80 100

0 20 40 60 80 100 推定値(kN/mm

2

実測値(kN/mm2 )

図3 静弾性係数の実測値と New RC 式 による算定値の関係

(普通ポルトランド,材齢 1 週)

R2=0.79 y=0.90x

New RC 式による算定値(kN/mm2

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