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歴史から見る圏論の哲学

深山洋平(Yohei Fukayama)

北海道大学大学院文学研究科思想文化学専攻博士後期課程

本発表では Ralf Kroemer 2007 年の著書 "Tool and Object: A History and Philosophy of Category Theory" で表明している圏論の哲学を取り上げる。Kroemer の哲学研究は圏論の歴史研究に基づいており、実際彼は圏論の哲学を語る際にそのア プローチが不可欠であると考えている。彼がその本で行う指摘のうち、我々が注目す るものは「圏論の基礎付けにおいては集合論への還元主義がうまく機能しない」とい うものである。圏論では「集合すべてから成る集まり」のような大きな集まりが扱わ れる。このような集まりがパラドクスを生むことはよく知られていたので、集合論を 用いる圏論の基礎付けでは、量化の範囲を制限して「集合すべて」が文字通り集合す べてを指すのではなく、ある特権的な集合の元すべてを指すようにする、といった工 夫が為されてきた(マックレーン著『圏論の基礎』pp.27--31 参照)。彼はそのような 事実を踏まえつつも、彼の哲学的立場から、集合論を用いる圏論の基礎付け、つまり 圏論の集合論への還元そのものを否定しようとする。

彼は哲学的立場としてCharles Sanders Pierce流のプラグマティズムをとる。特に 記号を介した概念の使用に注意し、道具としての概念の使用と対象としての概念の使 用 を区別 したり 、その 使用の 際に我 々が従 う形 式的(formal) 規則と 非形式 的

(informal)ないしは内容にかかわる(inhaltlich)規則を設けて議論の中で用いてい く。

本発表の目的は、Kroemerの「圏論の基礎付けにおいては集合論への還元主義がう まく機能しない」という指摘がどの程度説得的か、ということを検討することである。

彼自身が認めるように、彼の論は集合論への還元主義を重視する人を完全に説得でき るほど強いものではない。したがってここでの検討は、彼の提案がどの程度魅力的か、

ということの検討であると言ってもよい。圏論の基礎と応用のかかわりについても、

この検討の中で触れられるだろう。

文献

Kroemer, R. Tool and Object: A History and Philosophy of Category Theory.

Birkhaeuser. 2007.

S. マックレーン著. 三好博之・高木理訳. 圏論の基礎. シュプリンガー・フェアラー ク東京. 2005.

参照

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