九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
対応分析とFrameNetを用いた共起語の意味分析:状 態変化を表す連結動詞を例に
内田, 諭
九州大学
http://hdl.handle.net/2324/1932609
出版情報:統計数理研究所共同研究リポート. 381, pp.39-50, 2017-03-27. 統計数理研究所 バージョン:
権利関係:
対応分析と FrameNet を用いた共起語の意味分析:
状態変化を表す連結動詞を例に
Semantic Analysis of Collocations Using Correspondence Analysis and FrameNet:
A Case Study on Linking Verbs
内田 諭
九州大学
Satoru UCHIDA
Kyushu University
1. はじめに
共起語(コロケーシ ョン)の分析は、 コー パスの進化とともに多 くの研究が 行われてきた。
Sinclair (1991), Stubbs (1995)などの言語研究を皮切 りに,言語教
育(Lewis (ed.) 2000など)、文学研究(田畑2009など)、言語処理 (松尾・石
塚2002など)など、 様 々な分野に渡って研究 が進められている。 そ の重要性は ますます高まっていく と考えられるが、共起 語の意味の側面につい ては十分に 研究が進められている とは言えない。本研究は、 特定の単 語 の共起語を 意味的に 分 析し、その 特徴を明 ら かにする こ と を 目 的 と し て い る 。 具 体 的 に は 状 態 変 化 を 表 す と さ れ る
become, fall, get,
grow, turnの5つの 連結 動詞を例 に取り 、こ れ らと共起 する形 容詞 が 意味内容の
点でどのよ うに異な る か (あるい は類似す る か) を明ら かにする 。 統計的手法 として多変 量解析の 一 つである対 応分析を 用 いて共起語 の分布と 特 徴を考察す る。本研究の特徴は 、FrameNet(https://framenet.icsi.berkeley.edu/fndrupal/)
を用い て共起語が 喚起する フ レームを特 定し、そ れ らをフレー ムによっ て グルーピン グすること で共起語 の 意味特徴( フレーム の 特徴)を明 らかにす る という点で ある。以降 、2節でフ レーム意味 論とFrameNetについて概観 し、 3節でフレーム
を用いた対応分析の手 法と結果を提示する。4節はまとめである。
2. FrameNet 概 要
フ レ ー ム 意味 論 は
Fillmore (1982, 1985
な ど)に よ っ て 提 唱さ れ た 言 語 理 論 で 、 意 味 理 解 は フレ ー ム と 呼 ば れ る 背 景知 識 を 下 敷 き に し て 行わ れ る と 仮 定 す る 。例え ば 、「 買 う 」 と い う 単 語 の 理 解 を 達 成 す る に は 、 「 売 り 手 」 が 「 買 い 手 」 に 「 代 金 」 と 引 き 換 え に「 商 品 」を 移 譲 す る とい う 一 連 の 商 取 引 に 関す る 知 識 が 必 要 で あ る( フ レ ー ム に 登場 す る「 売 り 手 」や「 買 い 手 」な ど の 要 素 は フレ ー ム 要 素 と 呼 ば れ る )。
同 様 の こ とは「 売 る 」と い う 単 語に も 当 て は ま り 、「 買う 」と「 売 る 」は 同 一の フ レ ー ム を 下敷 き に し た 視 点 の 異 なる 表 現 で あ る 。
フ レ ー ム 意 味 論 で は 語 句 が フ レ ー ム を 喚 起 (
evoke) す る と 考 え る 。 そ れ ぞ れ の
語 句 が 「 どの フ レ ー ム を 喚 起 す るか 」 と い う こ と を 記 して い る の がFrameNet
で あ る 。FrameNet
は オ ン ラ イ ン で 構 築が 進 め ら れ て い る い わば「 フ レ ー ム の 辞 書 」で 、2017
年2
月 現 在約1200
の フ レ ー ム と そ れら を 喚 起 す る約13000
のLexical Unit
( お お よ そ 語 義に 相 当 す る )が 収 録 さ れ て い る 。詳 細 な 説 明 はRuppenhofer et al. (2010)、
内 田
(2015)に 譲 る が 、最 大 の 特 徴は 単 語 が フ レ ー ム の 観点 か ら 記 述 さ れ て い ると い
う こ と で ある 。 例 え ば 、ready (adj)は Activity_ready_state
フ レ ーム を 喚 起 す る と規 定 さ れ、こ の フ レ ー ム は 他 にprepared (adj), set (adj)な ど に よっ て も 喚 起 さ れ る。つ
ま り こ れ らの 単 語 は フ レ ー ム を 介し て グ ル ー ピ ン グ で き、さ ら に「 活 動 の 準 備が 整 っ た 状 態 を表 す 形 容 詞 」 と い う 意味 的 な 分 類 名 を 付 与 する こ と が で き る 。フ レ ー ム によ る グ ル ー ピ ン グ の 特徴 は 、反 意 語 が 同 じ グル ー プ に 属 す る と い うこ と で あ る 。こ れ は フ レ ー ム が そ れに 含 ま れ る フ レ ー ム 要素 に よ っ て 規 定 さ れ てい る か ら で あ り、例 え ば
increase (v)と decrease (v)
はChange_position_on_a_scale
フ レ ー ム を 喚 起 する と 規 定 さ れ て い る が、 こ の フ レ ー ム はItem, Initial_value, Final_value, Difference
な ど の フ レ ー ム 要 素 を含 む 。数 量 が 増 え る 場合 も 減 る 場 合 も こ れ らの 要 素 は 共 通 であ る た め 、増 減 を 表 す表 現 は こ の フ レ ー ム を喚 起 す る と い う こ と がで き る ( 他 にdrop (v), fall (v), grow (v), jump (v)な ど ) 。
フ レ ー ム はフ レ ー ム 間 関 係 に よ って 互 い に 結 び 付 け ら れて お り 、こ の 関 係 を たど る こ と で さら に 一 般 化 し た 単 語 のグ ル ー ピ ン グ が 可 能 とな る 。フ レ ー ム 間 関 係で 最 も 結 び つ きが 強 い 関 係 は
Inheritance
で 、 こ の 関 係 を 利用 す る こ と で フ レ ー ムの 意 味 タ イ プ を特 定 す る こ と が 可 能 とな る( そ の 他 の 関 係 につ い て はRuppenhofer et al.
2010
を 参 照 )。 例 え ば 、Activity_ready_state
フ レ ー ム は 図1
が 示 す よ う に 上 位にProcess_initial_state
フ レ ー ム を 持っ て お り 、さ ら に こ のフ レ ー ム は そ の 上 位 にState
フ レ ー ム を 有 す る 。 し た が っ て 、Activity_ready_state フ レ ー ム を 喚 起 す る 単 語 は 、 よ り 一 般 的に は
State
を 表 す と 言 うこ と が 可 能 に な る 。図
1 Activity_ready_state
フ レ ー ム の フ レ ーム 間 関 係 (FrameGrapher
よ り )3. 共起語の分析
3.1
分 析 対 象本 研 究 の 対象 は 状 態 変 化 を 表 す
become, fall, get, grow, turn
の5
つ の 連 結 動 詞 で あ る。こ れ ら の 動 詞 は 学 校 文 法 で は第2
文型 を 表 す 動 詞 に類 さ れ て い る。井 上(2016)
は コ ー パ スで の 検 索 結 果 を 基 にfall
とbecome
の 補 語 に な る 名 詞 と 形 容 詞 に つい て 考 察 し 、fallは「 出 来 事 の 成 立 が主 語 の 意 思 に 関 わ ら ない こ と を 暗 示 す る 文 脈で 用 い ら れ る」と 指 摘 し て お り、『 ウ ィ ズ ダム 英 和 辞 典 』( 第3
版, 2012 三省 堂 )に はfall
の 項 で こ の 内 容 の 注 記 が 記 載さ れ て い る 。ま た 、大谷(2015)は 同 様 に コ ーパ ス
で の 観 察 か らfall, grow, turn
の 共 起 形 容 詞の 違 い を 指 摘 して お り 、fall
は 「 静 か で 力 が な い 状 態 を 表 す 形 容 詞 」 、grow は 「 体 に 起 こ る 変 化 」 や 「 目 に 見 え る 体 積の 増 加 を 表 す形 容 詞 」、turnは「 色 の変 化 を 表 す 形 容 詞 」とそ れ ぞ れ 共 起 す る 傾 向が あ る こ と を指 摘 し て い る 。本 研 究 で は 、
become, fall, get, grow, turn
の5
つ の 動 詞 と 共起 す る 形 容 詞 を フ レ ー ム の 観 点 から 分 析 し 、先 行 研 究 の指 摘 の 正 当 性 を 意 味 の観 点 か ら 立 証 す る こ とを 試 み る 。フ レー ム を 用 い る こ と の メリ ッ ト は 、意 味 内 容 を具 体 化 で き る と い う こと で あ る 。 ま た 、FrameNet
を 用 い る こ と で 一 定 の 基 準 に 基 づ い た 体 系 的 な 分 析 が 可 能 と な る 。3.2
データと手法本研究で用いるデータ は
2016
年版のCorpus of Contemporary American English
(以降
COCA)である。 COCA
は1990
年から2015
年の各年の出版 物やオンラインの記事などをそれぞ れ約
2000
万語ずつ含む汎用コーパスで、総 語数は5
億2000
万語以上に及ぶ。本論文ではbecome, fall, get, grow, turn
をレマ 形で検索し、その直後にくる共起形 容詞(
[j*])を集計した。それぞれの動詞の 頻度を基に相
対化し、1
万語あたり50
以上の頻度のある ものを分析の対象とし た(111 件)。分析対象は
111(共起 語)×5(分析対象の 連結動詞)の分割表で あるが、変
数が多く目 視での特 徴 抽出は難し い。本研 究 では多変量 解析の手 法 の一つであ る対応分析 を用いて そ れぞれの動 詞と共起 語 の関係性を 見出すこ と を試みる。対応分析は 言語研究 で 広く用いら れている 手 法であり、 その有効 性 が示されて いる(後藤
2007、田畑 2009
など。主成分分析との違いについて は水本2009
に 詳しい)。視覚的な出 力が可能で、関連する 項目が2
次元の座標軸 上に 近接し て配置される。3.3
フレームの付与手 順共起語の意味内容を 分析するため、それぞれの形容詞に対して
FrameNet
の情 報を基にフレームを付 与した。例えば、angry
はFrameNet
ではEmotion_directed
フレームを喚起すると 規定されているため、フレーム名に置き換え て記録した。この他、bored, excited, upset なども
Emotion_directed
フレームを喚 起するため、これらの単 語をこの フ レーム名の もとに分 類 することが 可能とな る 。多義語に ついてはノ ードとな る 動詞との組 み合わせ で 意味を類推 し、フレ ー ムを決定し た 。 例 え ば 、
tough
は 難 易 度 を 表 すDifficulty
フ レ ー ム と 物 の 丈 夫 さ 表 すLevel_of_force_resistance
フレームを喚起す るが、get
とのコロケー ションであれ ば 前 者 の ほ う が 適 切 だ と 判 断 で き る 。 な お 、 フ レ ー ム の 決 定 に あ た っ て はFrameNet
のアノテーションレポートなども 参照し、慎重に判定し た(tough
の場合、
Difficulty
フレー ムのアノテーション にget tough
の用例が 含まれている)。なお、FrameNet に登録のない形 容詞につ い てはフレー ム分析 の 対 象外とした 。 例えば、
golden
はFrameNet
に登録がない。この単語はblack
などと 同様 にColor
フレームを 喚起する と 考えられる が、 一貫 性 を保つため 、分析対 象 からは除外 した。その他、available, obsessed, pregnant など15
単語が対象外となった。3.4
結果と考察分析対象となるデー タに対して、統計ソフ トの
R(ver. 3.3.1)を用いて対応
分析を行った。対応分 析の計算にはMASS
ライブラリのcorresp
関数を用い、描画には
wordcloud
パッケージのtextplot
関数を使用した。以下、(1)単語ベー
スでの分析、(2)フレームベースでの分析、(3)become, get, grow の
3
語に絞った フレーム分析の順に結 果を提示し、さらに3.5
節で上位フレームレベルでの分 析結果について考察す る。図
2 単語単位での対応分析の結果 (nf=5)
図
2
は単語の相対頻度 による対応分析の結果 で、中心語とコロケー ションの 関係性を描画したもの である(第1
次元の寄 与率は28.19%、第 2
次 元 は27.61%)。
この結果から読み取れ ることは、
fall
とturn
の特異性とbecome, get, grow
の類 似性である。特にfall
のみが第1
次元がプラ スになっており、もっ とも特異な 振る舞いをすることが 読み取れる。その共起 語はsilent, short, dead, asleep, flat, open
などである。fall flat は転倒することを 、fall open 唖然として口が開く こと-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
-2-101
C ontri buti on: 28.19%
Contribution: 27.61%
accustomed acti ve
angry apparent
asleep avai lable
aware
bad
better bi gger
black blue
bored
bri ght
brown clear
cold common
commonplace concerned
convi nced
dark
darker
dead
deadly di ffi cult
drunk
evi dent
exci ted exti nct fami li ar
famous
faster free flat
golden good
gray green
hi gh hot
hurt
i mpati ent
i mportant i nfected i nterested
i nvolved
ki lled
large larger
loose lost
louder lucky
mad marri ed
necessary
new
obsessed
obvi ous old
older
open
pale pi nk
popular possi ble
pregnant
professi onal
purple
qui et ready
real
red
ri ch seri ous
short
si ck
si lent smaller
sour
strong
stronger
stuck taller
ti red tough
ugly
upset used
vi olent
weary
whi te
wi de wi ld
worse
yellow B E C OME
F AL L GE T
GR OW
T U R N
-1.1 -0.6 -0.1 0.4 0.9 1.4 1.9
-2.3-1.8-1.3-0.8-0.30.20.71.2
を意味するが、それぞ れ慣用的な側面が強い 。
turn
はbrown, pink, white, yellow
などの色を表す形容詞 が目立つ。become, get, grow
についてはこの図からは判 別がつきにくいため、 後半でこれらを独立し た対応分析を行い議論 する。単語をその まま使う 場 合のメリッ トは、中 心 語と実際の 共起語を 対 応付ける ことができ るという こ とである。 一方で単 語 の意味内容 の検証に つ いては分析 者の主観に 委ねられ る 。また、項 目数が多 い ため、視覚 的に判別 し にくいとい うデメリットも挙げら れる。
図
3 フレーム単位での対応分析の結果 (nf=5)
図
3
は単語に付与した フレームをベースに対 応分析を行った結果で ある。寄与率は第
1
次元が30.08%、第 2
次元が28%となり、僅かではある が説明率の
向上が見られる。図
2
と上下左右が反転した 形であるが、中心語の配置関係に 変化はなく、フレーム ベースの対応分析にお いても中心語間の関係 性は保持さ れているといえる。単 語ベースの場合と同様 、fallの特異性が目を 引くが、そ のフレームはSleep, Volubility, Dead_or_alive
などであるとわかり、その意味内-2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
-2-1012
C ontri buti on: 30.08%
Contribution: 28%
A cti vi ty_ready_state A estheti cs
A ge
A wareness B ei ng_acti ve B ei ng_attached
B ei ng_detached
B ei ng_necessary B i ologi cal_urge
C ertai nty C hemi cal-sense_descri pti on
C olor C olor_quali ti es
D ead_or_ali ve
D esi rabi li ty
D esi ri ng D i ffi culty D i mensi on D urati on_descri pti on
E moti on_di rected E xi stence
E xpensi veness E xperti se
F ame
Importance
Infecti ng Intoxi cati on
K i lli ng Level_of_force_exerti on Level_of_li ght
Li keli hood Luck Obvi ousness P arti ci pati on
P eople_by_vocati on
P ercepti on_body
P ersonal_relati onshi p
P opulari ty
P osi ti on_on_a_scale
Rashness Rate_descri pti on
S i ze S leep
S ound_level
Temperature
Typi cali ty V olubi li ty
Wealthi ness
B E C OME F AL L
GE T GR OW
T U R N
-2.1 -1.7 -1.3 -0.9 -0.5 -0.1 0.3 0.7
-2.0-1.4-0.8-0.20.41.01.6
容がより具体的にわか る。turn に注目すると 、Color_qualities, Color が近接す ることから色を表す形 容詞が特徴的であるこ とが読み取れる。 他 に
Aesthetics (ugly), Chemical-sense_description (sour), Being_detached (turn loose
で解放する という意味の慣用表現)などが turn
と関連性 が強い 。図
4 become, get, grow
の共起フレームによる 対応分析の結果(nf=3)図
4
はbecome, get, grow
を取り出してフレー ムベースで分類したも のである(寄与率は第
1
次元61.91%、第 2
次元38.09%)。図 2、3
では近接していた3
つの語だが 、この分 析 によりそれ ぞれの 共 起 語が喚起す るフレー ム によって 峻 別 で き て い る こ と が 読 み 取 れ る 。become
は 特 にCertainty, Likelihood, Obviousness
フ レ ー ム と の 近 接 か ら 蓋 然 性 や 判 断 に 関 わ る 形 容 詞 が 多 い こ と が わかる。get
で特に注目すべき特徴的なフレー ムはEmotion_directed、 Desirability
な ど で 感 情 や 願 望 を 表 す 意 味 内 容 が 多 い こ と が 示 唆 さ れ る 。 そ の 他 、Perception_body, Expensiveness
フレームなどがget
ラベルの付近に観察される。-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
-1.5-1.0-0.50.00.51.0
C ontri buti on: 61.91%
Contribution: 38.09%
A cti vi ty_ready_state A ge
A wareness B ei ng_acti ve
B ei ng_attached
B ei ng_necessary B i ologi cal_urge
C ertai nty
D esi rabi li ty
D esi ri ng
D i ffi culty D i mensi on
E moti on_di rected
E xi stence E xpensi veness
E xperti se F ame
Importance
Infecti ng
Intoxi cati on K i lli ng Level_of_force_exerti on
Level_of_li ght
Li keli hood
Luck
Obvi ousness
P arti ci pati on
P ercepti on_body P ersonal_relati onshi p
P opulari ty
P osi ti on_on_a_scale Rashness
Rate_descri pti on
S i ze
S ound_level Temperature
Typi cali ty V olubi li ty
Wealthi ness
B E C OME
GE T GR OW
-1.1 -0.5 0.1 0.7 1.3 1.9
-1.6-1.0-0.40.20.8
また、growでは
Size, Temperature, Age, Rate_description
などスケールを伴う 形 容詞と特徴的に共起す ることが読み取れる。3.5
上位フレームでの 分析これまでの 分析の結 果 、フレーム レベルの 分 析において も単語の 関 係性が十 分に維持さ れ、かつ 意 味内容をよ り具体的 に 検討できる ことがわ か る。本 節で は、さらに 共起語を 大 きな分類で 考察する た め 、上位フ レームの レ ベルで 分析 を行った。フレームの 一般化には
Inheritance
の関係のみを用い、可 能な限り上 位 の フ レ ー ム を た ど っ た 。 例 え ば 、Age
フ レ ー ム はMeasurable_attributes ->
Gradable_attributes -> Attributes
と上位にたどることができるの でAttribute
タイ プ と し て 分 類 し た 。 な お 、Inheritance
の 関 係 で 上 位 フ レ ー ム が な い フ レ ー ム(
Emotion_directed
フレームなど)に関しては 下位のフレーム名をそ のまま用いた。分析に用いたデー タを表
1、結果を図 5
に示す。表
1 上位レベルでのフレームの集計結果
Super frames BECOME FALL GET GROW TURN
Attributes 2710 3205 2945 5654 5848
Being_detached 0 0 0 0 228
Being_necessary 129 0 0 0 0
Dimension 0 0 0 246 0
Emotion_directed 100 0 706 137 0
Expensiveness 0 0 103 0 0
Experiencer_focused_emotion 198 0 0 0 0
Importance 145 0 128 0 257
Mental_activity 663 0 0 0 0
Objective_influence 119 0 130 0 152
Participation 423 0 484 0 0
People 0 0 0 0 157
Perception_body 0 0 256 0 0
Personal_relationship 0 0 102 0 0
State 0 5286 1192 0 0
図
5 上位フレーム単位での対応分析の結果 (nf=5)
単語のグルーピングが 大きくなったことで 図
5
は図2, 3
などと比 べて可読性が 高く、寄与率も非常に 高い(第1
次元:49.75%、第 2
次元25.47%)。表 1
をみ ると、どの動詞もAttributes
タイプのフレ ームが多く、 このラベ ルはそれぞれ の動詞の中間点に配置 されていることがわか る。このことはbecome, fall, get,
grow, turn
の全ての 動詞が属性を表す形容詞 と共起することを 示し 、これらの動詞に共通性があること が 示唆される。
次に、それぞれの 動詞 の特徴を見ていくと、fall に関しては
State
タイプのフ レームともっとも密接 な関係にある ことがわ かる 。get, becomeに関 しては前述 の観察とほぼ同様の結 果を読み取ることがで きる。grow, turn
については解釈に 注意が必要である。こ れらはBeing_detached, People, Dimension
に近接している が、表1
から前者2
つについてはturn
のみ、Dimension についてはgrow
のみに 出現するこ とがわか る 。この結果 は変数を 圧 縮したこと により大 き な値を持つ 項目が出現し、その影 響が大きく出たことに よる。ここではAttributes
の値が-1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5
-2-101
Contribution: 49.75%
Contribution: 25.47%
Attributes
Being_detached
Being_necessary Dimension
Emotion_directed Expensiveness
Experiencer_focused_emotion Importance
Mental_activity Objective_influence
Participation People
Perception_body Personal_relationship State
BECOME FALL
GET
GROWTURN
-1.7 -1.1 -0.5 0.1 0.7 1.3
-2.5-1.7-0.9-0.10.7
grow:5654
件、turn:5848
件と近い値になっており、Dimension
などのフレー ムにおける 頻度の 違 い よりこちら が重みを 持 つ結果にな っている 。 なお、図6
はAttributes
フレーム を排除した結果である 。fall, get, become
の 結果は同様の 解釈ができるが、growはDimension
タイプ のフレームとの親和性 が もっとも高 く、他の動詞とは異な る振る舞いを示すこと がわかる。図
6 Attributes
を排除 した場合の対応分析の 結果(nf=5)
4. まと め
本 論 文 では 状 態 変 化 を 表 す
5
つの 連 結 動 詞become, fall, get, grow, turn
を 例 に 、 そ の 共 起 語の 意 味 分 析 を フ レ ー ム意 味 論 の 観 点 か ら 行 った 。フ レ ー ム を 用 い るこ と で、体 系 的 な 分 析 が 可 能 と な り、意 味 内 容 の 具 体 化 が 可能 と な っ た 。ま た 、単語 の グ ル ー ピ ング にFrameNet
を 用 い る こ とで 対 応 分 析 等 の 統計 的 手 法 を 用 い る 際 に項 目 を 集 約 して 変 数 を 減 ら す こ と が可 能 に な る こ と を 示 した 。上 位 フ レ ー ム に よる 分-1 0 1 2
0246
C ontri buti on: 33.42%
Contribution: 28.82%
B ei ng_detached B ei ng_necessary
D i mensi on
E moti on_di rected
E xpensi veness E xperi encer_focused_emoti on Importance
Mental_acti vi ty
Objecti ve_i nfluence P arti ci pati on
P eople P ercepti on_body
P ersonal_relati onshi p
S tate B E C OME
F AL L
GE T
GR OW
T U R N
-1.0 -0.2 0.6 1.4 2.2
-1.50.11.73.34.96.5
析 は 、よ り一 般 的 な 意 味 タ イ プ で分 析 で き る こ と が 明 らか に な っ た が 、一 方 で過 剰 な 一 般 化 の危 険 性 が あ る こ と も 指摘 し た 。
今 後 の 課 題と し て 、本 研 究 の 手 法を 他 の 単 語 の 共 起 語 分析 に 応 用 可 能 か ど う かを 明 ら か に する こ と 、フ レ ー ム を 用い た 単 語 の グ ル ー ピ ング の 際 に ど の レ ベ ル が 最 適 か を 検 証 する こ と 、 意 味 タ イ プ の一 般 化 で
Inheritance
以 外 の フ レ ー ム 間 関 係 の有 効 性 を 調 査す る こ と な ど が 挙 げ られ る 。参考文献
Fillmore, C. J. (1982) Frame semantics. In Yang, I. (ed.), Linguistics in the morning calm: Selected papers from SICOL-1981. pp.111-137. Seoul: Hanshin.
Fillmore, C. J. (1985) Frames and the semantics of understanding. Quaderni di Semantica, 6 (2). pp.222-254.
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201. pp.1-23.
井 上 永 幸 (2016) 「 語 法 研 究 の 要―副 詞 : コ ー パ ス を 活 用 し た 辞 書 編 集 の 立 場 か ら 」 『 英 語語 法 文 法 研 究 』 第
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松 尾 豊 ・ 石 塚 満
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」 『 コ ー パ ス 言 語 研 究 に お け る 量 的 デ ー タ 処 理 の た め の 統計 手 法 の 外 観 』 統 計 数理 研 究 所 共 同 研 究 リ ポー ト232. pp.53-64.
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