九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
大型船体平行部の高精度な建造のためのレーザ・
アークハイブリッド溶接の適用に向けた基礎研究
内野, 一成
http://hdl.handle.net/2324/4475075
出版情報:九州大学, 2020, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
大型船体平行部の高精度な建造のための レーザ・アークハイブリッド溶接の
適用に向けた基礎研究
2020 年 12 月
内野 一成
目次
第1章 緒論 1
1.1 レーザ・アークハイブリッド溶接とは・・・・・・・ 1 1.2 レーザ・アークハイブリッド溶接の厚板適用事例・・・ 2 1.3 造船分野における
レーザ・アークハイブリッド溶接の現状・・・ 2
1.3.1 造船所での適用事例・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1.3.2 国内造船所向けの研究事例・・・・・・・・・・・・ 3
1.4 レーザ・アークハイブリッド溶接に
関するガイドライン・・・ 4 1.5 本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1.6 本論文の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 第1章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 第2章 造船所の現状と
レーザ・アークハイブリッド溶接導入の課題 12 2.1 造船の歴史と
レーザ・アークハイブリッド溶接への期待・・・ 12 2.2 本研究のターゲット・・・・・・・・・・・・・・・ 19
2.2.1 切断方法と開先精度・・・・・・・・・・・・・・・ 19
2.2.2 溶接能率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
2.2.3 施工板厚・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
2.2.4 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
第2章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
第3章 厚板溶接に対する
裕度の大きな溶接施工条件の基礎検討 28 3.1 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 3.2 供試材および実験装置・・・・・・・・・・・・・・ 28 3.3 ビードオンプレート溶接でのパラメータ影響調査・・ 33
3.3.1 レーザ出力の影響・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
3.3.2 アーク電圧の影響・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
3.3.3 溶接速度の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
3.3.4 レーザ入射位置とアーク狙い位置の距離の影響・・・ 39
3.3.5 デフォーカス距離の影響・・・・・・・・・・・・・・ 41
3.3.6 レーザ出力の影響
(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)・・・ 43
3.3.7 アーク電圧の影響
(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)・・・ 45
3.3.8 溶接速度の影響
(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)・・・ 47
3.3.9 レーザ入射位置とアーク狙い位置の距離の影響
(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)・・・ 49 3.4 結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 第3章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・ 52 第4章 開先充填材と裏当て材を用いた施工法の検討 53 4.1 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 4.2 極厚材を用いた溶接施工条件の導出・・・・・・・・ 55
4.2.1 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
4.2.2 1.5 mmギャップに対するパラメータ調整・・・・・・ 57
4.2.3 1.5 mmおよび2.0 mmギャップの溶込み深さ比較・・・ 63
4.3 16 mm供試材を用いた検証・・・・・・・・・・・・ 65
4.4 最適な裏当て方法の検討・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 4.5 プラズマ切断供試材実験・・・・・・・・・・・・・ 74 4.6 結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80 第4章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 第5章 形開先を用いた施工法の検討 82 5.1 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82 5.2 供試材および実験装置・・・・・・・・・・・・・・ 83 5.3 開先形状の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84
5.4 溶接長300 mm供試材での溶接条件導出・・・・・・・ 89
5.5 溶接長1,000 mm試験体の製作・・・・・・・・・・・ 98
5.5.1 溶接条件およびビード外観・・・・・・・・・・・・ 98
5.5.2 非破壊検査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
5.6 溶接長1,000 mm試験体の継手性能評価・・・・・・・ 108
5.6.1 引張試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
5.6.2 側曲げ試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110
5.6.3 マクロ断面観察およびビッカース硬さ試験・・・・・ 112
5.6.4 衝撃試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116
5.7 板厚25 mm供試材の検討・・・・・・・・・・・・・ 118
5.8 結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 123
第5章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・ 125
第6章 結論 127
謝辞 129
1
第 1 章 緒論
1.1 レーザ・アークハイブリッド溶接とは
レーザ・アークハイブリッド溶接(以下では単にハイブリッド溶接と称する)
とは,その名の通りレーザとアークを熱源として組み合わせる溶接方法であり,
それぞれの欠点を補う方法として期待されている.アーク溶接は1880年頃に開 発され,その長い歴史の中で蓄積された膨大な研究結果と技術的経験より,様々 な工業発展に寄与した技術である.その特徴としては比較的安価な装置で接合 することができ,接合する開先,溶接姿勢,設定する溶接条件の裕度も広く,自 由度の高い施工をすることが可能である1).
一方,レーザ溶接は1970 年頃から研究が始まった比較的新しい溶接技術であ り,集光した熱源を用いることで局所的に高エネルギーを付与することができ る.熱伝導型のアーク溶接に比べれば,相対的に入熱が低減され,熱変形を抑制 できるほか,溶接による溶込みは狭く深い形状となり高速溶接性にも優れてい る.しかし,厚板を溶接するためには大出力のレーザを要し,装置コスト面で不 利になるだけでなく,ポロシティやアンダーフィルといったレーザ溶接特有の 欠陥が生じやすいとされている2).このレーザ溶接の欠点を補うために,アーク 熱源を加えた技術がハイブリッド溶接である.ハイブリッド溶接の始まりは
1980 年頃のCO2レーザとTIG溶接を組み合わせたSteen(英)らの研究が最初
とされているが,世界的に注目されたのは1994 年Bayer(独)らの研究発表以 降であり,その後欧州を中心として盛んに研究が行われている3).
最近ではレーザ発振器の大出力化・低価格化が進んでいることで,国内の研究 事例や実適用事例の報告が増えてきており,幅広い工業分野で注目されている 新技術である.
2
1.2 レーザ・アークハイブリッド溶接の厚板適用事例
比較的板厚の厚いハイブリッド適用事例として焦点をあてると,橋梁分野で は橋梁パネル縦横に配置されるリブの溶接への適用事例が挙げられる4).本報告 によると板厚10 mmのT継手に対する両側溶接および板厚8 mmに対する片側 溶接での完全溶込み溶接を実現しており,溶接変形の低減,溶接パス数の減少,
溶接速度の向上によるメリットを享受できたとされている.また橋梁分野では 鋼構造物の軽量化・薄板化を狙いHT780クラスの高強度鋼に対する研究事例も ある5).またインフラ分野におけるパイプラインの溶接として,25 kWのレーザ 出力を用い,板厚16 mm のステンレスパイプを施工した報告 6)や,圧力容器に 対する溶接として,板厚16 mmのT継手に対する完全溶込み溶接の検討事例7) があるが,自動車業界などの薄板に比べると適用事例や研究事例が少ないとい う現状がある.
1.3 造船分野におけるレーザ・アークハイブリッド溶接の現状
1.3.1 造船所での適用事例
造船分野におけるハイブリッド溶接は艦艇や客船を主力とする海外造船所が いち早く導入しており,1990 年代から実船への適用が進められている8)9)10).特 にドイツのMeyer Werftでは1994 年にレーザ溶接によるサンドイッチパネル製 作を開始して以降,積極的な設備投資を進め,造船所におけるレーザ溶接および ハイブリッド溶接技術を牽引している 11).同社では船体建造工程の最上流に位 置するパネルライン(船体ブロックの親板板継ぎおよびロンジと呼ばれる縦通 補強材を取り付ける工程)に12 kwのCO2レーザ発振器を有するハイブリッド 溶接ラインを備えており,20 m四方のパネル製作を行っている.またハイブリ ッド溶接による突合せ継手の開先はミーリング装置を用いて開先の機械加工を
3
施しており,大型のクランプ装置で密着固定した状態で溶接を行っている.この ように莫大な資金を投じてでもハイブリッド溶接を導入した理由は,客船を主 力とし,薄板における熱変形の抑制を課題とする欧州造船所特有の背景があっ たと考えられる.
一方,国内造船所のハイブリッド溶接適用事例を見ると2010 年の三菱重工業 による一般商船への適用,2016 年の三井造船による大型巡視船への適用が公知 となっている12)13).先に述べたMeyer Werft の適用事例と比較すると以下のよう な違いが見受けられる.
開先の加工には機械切削を用いずにレーザ切断を使用
工作中の防錆を目的とした一次防錆塗料を塗布したままの鋼板を溶接
溶接前の継手固定にはクランプ装置等は用いずにタック溶接を行う
大型のガーダ機構を有する装置は用いずに可搬が容易な自走式台車に倣い センサを取り付けて溶接する
このように莫大な設備投資を行って溶接環境を整える海外造船所とは違い,
既存の設備,施工要領を活かしながらコスト競争力を極限まで高める思想が国 内造船所のハイブリッド溶接適用方針の特徴とも言える.
1.3.2 国内造船所向けの研究事例
熱変形の抑制,高速溶接性などの優位性を持ち,アーク溶接に変わる次世代の 溶接法として期待されながら,造船所への普及が進まない状況を鑑み,2012 年 に一般財団法人 日本船舶技術研究協会が主導するハイブリッド溶接に関する 研究委員会が発足した.本委員には大学関係者,船級協会,鉄構メーカ,機器メ
4
ーカを含め国内造船所も複数社参画し,まさに産学一体のプロジェクトとして 各種研究が行われている.2012 年~2013 年には「船舶建造高品質化・効率化技 術の調査研究」として板厚14 mmのT継手および板厚21 mmの突合せ継手を製 作できる条件を導出し,より実施工に近い開先状態に対する施工性を確認する ため,5,000 mmの継手製作も実施された10)14).2014 年~2016 年にはハイブリ ッド溶接の深溶込み性を利用した新技術として,片側からの T 継手完全溶込み 溶接の研究,主板の裏面側から立板に貫通させることで溶接するステイク溶接 の研究,また溶接線を追従するためのセンサ開発やハイブリッド継手の評価方 法の検討などが行われている15)16).
このほかにも国内造船所での研究事例として自動車運搬船や中・小型作業船 の居住区画等の薄板への適用を見据えた研究事例 17)や船体上部構造にホットコ イル材を適用し,ハイブリッド溶接で接合する研究事例 18)なども報告されてお り,近年のハイブリッド溶接への関心の高さと新しい技術への期待が高まって いることが覗える.
1.4 レーザ・アークハイブリッド溶接に関するガイドライン
造船所において,ハイブリッド溶接を実船に適用する場合,船級協会が定める ガイドラインに則り溶接施工法承認試験を実施し,継手性能を満足する必要が ある.船級協会がレーザ溶接に関するガイドラインを発効したのは1996 年,イ ギリスのロイドレジスターが始めてであり19),その後同協会から2005年にハイ ブリッド溶接を含むガイドラインとして再発刊されている 20).国内の船級ガイ ドラインとしては日本海事協会が2009 年に初版を発行し,2015 年に第 2 版,
2016 年に第3版と更新されている21).第2版及び第3版共は前述の日本船舶技
術協会が主導した研究委員会の成果として発行されており,突合せ継手,両側か
5
らの完全溶込みT継手,片側からの完全溶込み T継手における溶接施工法承認 試験の要件が纏められている.溶接施工法承認試験で求められる継手の形状を Fig. 1-1~Fig. 1-3に示す.
Fig. 1-1 Test assembly for butt joints
6
Fig. 1-2 Test assembly for T-joint with both sides full penetration welding
Fig. 1-3 Test assembly for T-joint with one side full penetration welding
7 1.5 本研究の目的
ハイブリッド溶接に関して国内外で各種研究が行われているが,国内造船所 の適用実績はごく僅かという現状がある.これは国内造船所の多くは原油や石 炭,鉄鉱石などを運ぶタンカー,バルクキャリアに代表される一般商船を主力と しており,溶接する板厚が厚いことが背景にある.一部の研究 14)や著者が所属 する九州大学の先行研究 22)23)24)では 20mm 前後の板厚の研究事例が報告されて いるが,実船への適用事例 12)13)としては 10mm 程度に留まっている.この理由 として,大出力のレーザを要する厚板のハイブリッド溶接の研究が十分ではな く,また時には 20mを超える長尺な溶接継手を施工するため,その溶接線に生 じるルートギャップ変動に対する条件裕度が狭いことが理由として考えられる.
そしてハイブリッド溶接の導入を進めてきた海外造船所では,開先の機械加工 や大型クランプ装置による位置決めなど,大掛かりな付帯装置を導入している ものの,一般商船を主力とする国内造船所は中国や韓国との激化するコスト競 争の最中におり,巨額の投資をする体力はない.つまり積極的にハイブリッド溶 接を適用し,低変形性・高速溶接性といったハイブリッド溶接のメリットを享受 するためには,切断から部材の配材,位置決めまで大掛かりな装置を要さなくて も安定したハイブリッド溶接が実現できる施工方法の確立が必要不可欠である.
そこで本研究ではファイバレーザと炭酸ガスアーク溶接を組み合わせたハイ ブリッド溶接にて,現状の船体建造工程で許容されている開先裕度に対応でき てかつ,一般商船の船体平行部に用いられる厚板を施工するための方法につい て検討を行った.
8 1.6 本論文の構成
本論文は6つの章により構成される.
第 1 章では,ハイブリッド溶接法の特徴と研究動向について説明し,海外造 船所と国内造船所の適用事例を例に挙げながら,造船所に広く普及しない問題 点を定義し,本研究の目的を述べた.
第 2 章では,国内造船所の設備と施工法を鑑み,ハイブリッド溶接を適用す るための課題と,適用によって得られるメリットについて説明し,本研究のター ゲットについて明示した.
第 3 章では,溶接条件に関する先行実験の結果を纏めた.ハイブリッド溶接 はレーザパラメータとアークパラメータの組み合わせが無数に存在するため,
ビードオンプレートの先行実験を行い,各種パラメータが溶接性状にどのよう な影響を与えるのか検討を行った.
第 4 章では,造船所で一般的に用いられている溶接補助材料である開先充填 材およびセラミック製裏当て材を利用し,ハイブリッド溶接による突合せ継手 製作の検討を行った.
第5章では,NCプラズマ切断において微小な切断角度を設定し,溶接裏面に 向かって広がる逆V形の開先(以下では形開先と称する)に加工した突合せ継 手製作の検討を行った.
第6章はまとめであり,本研究の総括を記す.
9 第1章 参考文献
1) 手塚敬三:溶接のおはなし,日本規格協会,1981
2) 川口勲:レーザ・アークハイブリッド溶接技術の現状と今後の課題,IIC REVIEW No.42,2009
3) 片山聖二:レーザ・アークハイブリッド溶接はどう進んでいるか,溶接技術 Vol.56,2008
4) 猪瀬幸太郎,神林順子,井戸伸和,大脇桂,宮地崇:レーザ・アークハイブ リッド溶接の橋梁部材への適用,IHI技報 Vol.49 No.1,2009
5) 管哲男,村井康生,小橋泰三,佐藤統宣,原則行:HT780鋼のレーザ・アー クハイブリッド溶接に関する検討,神戸製鋼技報 Vol.63 No.1,2013
6) Moriaki Ono, Tsuyoshi Shiozaki , Yukio Shinbo, Yukio Sekine, Kenichi Iwasaki, Masanobu Takahashi:Development of High Power Laser Pipe Welding Process, Quarterly Journal of Japan Welding Society, Vol.19, No.2, 2001
7) 清水翔太,田中悠介,八木義隆,水谷正海,川人洋介:厚板鋼のレーザ・ア ークハイブリッド溶接-その2,溶接学会全国大会講演概要 第100集,2017 8) Christoph H.J. Gerritsen, David J. Howarth:A review of the Development and Application of Laser and Laser-Arc Hybrid Welding in European Shipbuilding, The 11th CF/DRDC International Meeting on Naval Applications of Materials Technology, 2005
9) Frank Roland, Luciano Manzon, Pentti Kujala, Markus Brede, Jan Weitzebock:
Advanced Joining Techniques in European Shipbuilding, Journal of Ship Production, Vol.20 No.3, 2004
10) 一般社団法人 日本船舶技術研究協会:船舶建造高品質化・効率化技術の調
査研究(レーザ溶接技術の調査研究)2012年度 成果概要報告書
10
11) R. Moeller, S. Koczera:”Shipyard uses laser-GMAW hybrid welding to achieve one- sided welding - New system reforms prefabrication in shipbuilding” the fabricator, November 20, 2003,
https://www.thefabricator.com/thefabricator/article/arcwelding/shipyard-uses-laser- gmaw-hybrid-welding-to-achieve-one-sided-welding (accessed on 23 September 2020).
12) 古賀宏志,郷田穂積,寺田伸,廣田一博,中山伸,坪田秀峰:レーザ・アー
クハイブリッド溶接の初の一般商船への適用,三菱重工技報 Vol.47 No.3,
2010
13) 木村陵介,落合彦太郎,中島義晴,小野昇造,小野直洋:レーザ・アークハ
イブリッド溶接の海上保安庁向け大型巡視船への適用,三井造船技報 No.216,2016
14) 一般社団法人 日本船舶技術研究協会:船舶建造高品質化・効率化技術の調
査研究(レーザ溶接技術の船舶建造工程への適用に関する調査研究)2013年 度 成果概要報告書
15) 一般社団法人 日本船舶技術研究協会:レーザアークハイブリッド溶接によ
る新溶接法の研究開発 2015年度 共同研究成果報告書
16) 一般社団法人 日本船舶技術研究協会:レーザアークハイブリッド溶接にお
けるFPDに関する調査研究共同研究成果報告書,2016
17) 與倉隆人,草場卓也,菅野博義:造船現場での新しい取組み,溶接学会誌 第
86巻 第7号,2017
18) 成松久雄,桑田正和,後藤浩二,杉野雄輝:ホットコイル材の船体上部構造
への適用に関する諸検討,日本船舶海洋工学会講演会論文集(27),2018 19) Lloyd’s Register:Guidelines for the Approval of CO2 Laser Welding, 1997
11
20) Lloyd’s Register:Guidelines for the Approval of Laser Welding, 2004
21) 一般財団法人 日本海事協会,レーザ・アークハイブリッド溶接ガイドライ
ン(第3版),2016
22) 竹下竜平,杉野雄輝,森平尚樹:レーザ・アークハイブリッド溶接施工にお
けるギャップ裕度拡大に向けた一検討:溶接学会全国大会講演概要 第 101 章,2017
23) Koji Gotoh:Joint Industrial Project on the Introduction of Laser-Arc Hybrid Welding Technology to Hull Construction Process - (Part 2) Influence of Factors on Weldability , Conference proceedings, the Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers, 28, 2019
24) Koji Gotoh, Takamori Uemura, Issei Uchino, Hisao Narimatsu, Toshimitsu Maeda, Takumi Torigoe, Atsuo Moriyama:Overview of the joint industrial project for practical application of laser-arc hybrid welding in construction of general merchant ships in Japan, In Proceedings of 14th International Symposium on Practical Design of Ships and Other Floating Structures, 2019
12
第 2 章 造船所の現状と
レーザ・アークハイブリッド溶接導入の課題
2.1 造船の歴史とレーザ・アークハイブリッド溶接への期待
本章では造船所の歴史と現在の施工法を例に挙げながらハイブリッド溶接を 船舶建造工程に適用するために克服すべき課題を述べ,本研究のターゲットに ついて説明する.
そもそも造船の現場で溶接が適用され始めたのは1910年頃である.国内造船 所で初めて全溶接船として誕生したのは1920年に三菱長崎造船において建造さ れた「諏訪丸(421GT)」であり1),それ以前,1800年頃から1900年初頭にかけ て建造された鋼船はリベット接合によって建造されていた.水密性・気密性に劣 り,継手効率が悪い(材料の重ね合わせが必要)リベット接合は現在となっては 過去の技術となっているが,創業 100 年を超える国内造船所はリベット接合か らアーク溶接に移り変わった歴史を持つ.著者が所属する造船所の記念室に展 示されているリベット接合用の鋲打機をFig. 2-1に示す.
Fig. 2-1 Pneumatic rivet hammer.
13
船体建造における接合法がリベット接合からアーク溶接に変化したことで,
造船所の生産能力は飛躍的に向上した.例えば,作業員の技量のバラツキが接合 部性能に及ぼす影響を抑制するため,施工が容易な下向姿勢の溶接を極力行な えるように作業環境を工夫することや,船台期間を短縮することを目的とした
Fig. 2-2に示すようなブロック単位で製作するブロック建造法と呼ばれる生産方
式が戦後の商船建造では一般的となった2).溶接法もFig. 2-3に示すような多電 極サブマージアーク溶接法によるパネルライン板継ぎ溶接3),Fig. 2-4に示す自 動溶接の先駆けとなったグラビティ溶接の開発などによって,日本造船業は戦 後の高度経済成長期を迎えていた1956年以降,およそ半世紀に渡って世界で第 一位の生産量を誇っていた4)5).
Fig. 2-2 Block construction method.
14
Fig. 2-3 Butt welding by multi-electrodes submerge arc welding.
Fig. 2-4 Gravity welding.
15
2000 年頃から,韓国,中国の台頭が著しく,竣工量世界一位の座は奪われた ものの,溶接による船体建造が始まってから被覆アーク溶接から炭酸ガスアー ク溶接,半自動溶接から自動溶接といった溶接技術の進歩と共に生産能力を拡 大してきた歴史がある.現在の造船所において採用されている溶接法について,
著者が所属する造船所における溶接材料使用量ベースで算出した比率をFig. 2-5 に示すが,大部分は炭酸ガスアーク溶接とサブマージアーク溶接により施工さ れており,ごく僅かにエレクトロガスアーク溶接が適用されているという比率 である.なお,図中の「その他(Others)」としている凡例には,部材の位置決め や艤装品に用いられている被覆アーク溶接や管の溶接に用いられる TIG 溶接が 含まれる.
Fig. 2-5 Applicable welding method ratio in a recent shipyard.
CO2 Semi- automatic
welding 53%
CO2 Automatic
welding 19%
Submerge arc welding
25%
Erectrogas arc welding 2%
Others
1%
16
アーク溶接が当然のように適用される現代の船体建造であるが,溶接入熱に より生じる変形は製作ブロックの精度不良を招くだけでなく,Fig. 2-6に例示す る「歪取り」と呼ばれる修正作業による作業時間の増加や,Fig. 2-7に例示する ように,溶接変形の結果,開先の取り合いに不整が生じるため,直交する後工程 の溶接において中断を余儀なくされ,補修溶接を必要とする場合も多々あるこ とから,溶接変形に関連する工作精度不良問題は造船技術者にとって永遠の課 題として認識されている.
Fig. 2-6 Correction of weld distortion by the flame line heating.
Fig. 2-7 Welding interrupted by misalignment due to the weld distortion.
17
従って,従来のアーク溶接と比較して溶接変形が格段に少ない6)7)ハイブリッ ド溶接を船体建造工程に適用できるとなれば,ハイブリッド溶接の利点の一つ である高速溶接施工による溶接作業自体の能率向上だけでなく,溶接変形の低 減による修正作業,開先精度改善の結果としての後工程の作業性向上など大き なメリットを享受できることになる.すなわちハイブリッド溶接を適用する場 合,建造工程上流に位置するほど溶接変形低減という恩恵を受けることができ ることを背景に,本研究のターゲットとしてパネルラインの板継ぎ溶接を施工 している高速多電極サブマージアーク溶接装置に置き換えることを前提とした 突合せ継手を対象に実験を行うこととした.高速多電極サブマージアーク溶接 装置外観をFig. 2-8に示す.
Fig. 2-8 Multi electrodes submerge arc welding device (FCB system8)) for high speed welding.
18
上述の置き換えを検討する対象の施工法(高速多電極サブマージアーク溶接)
は,板厚 40mm まで 1 パスで施工が可能という高能率な側面を持つ一方で,溶 接入熱が高い故に,生じる熱変形も大きい.実際に生じている溶接終端部の変形
の一例をFig. 2-9に示す.上甲板や船側外板など船体平行部板継ぎの大部分を施
工する本工法をハイブリッド溶接に置き換えることができれば,熱変形低減に よるメリットは計り知れないものがあると期待される.
Fig. 2-9 Weld distortion near the weld line caused by applying multi electrodes submerge arc welding systems.
また,レーザ光を用いるハイブリッド溶接を生産現場に導入する場合,作業場 所を限定し,衝立等の保護策を設けなければならない安全に関する課題もある.
本研究の対象としたパネルラインは既にコンベアライン等が設置され,独立し たレイアウトとなっており,導入コストや安全対策の容易さを考慮しても,より 実現性の高い施工場所である.
19 2.2 本研究のターゲット
2.2.1 切断方法と開先精度
第 1 章において,国内外の造船所における適用事例を挙げたが,いずれの事 例も開先は機械加工やレーザ切断といった高精度な切断方法により加工されて いる.一方,造船所で一般的に適用されている切断方法はFig. 2-10 に示すガス
切断や Fig. 2-11 に示すプラズマ切断であるため,ハイブリッド溶接導入のため
に前工程の切断設備まで更新する必要性があればコスト面での導入障壁となっ てしまう.そこで本研究では,ガス切断あるいはプラズマ切断により加工した開 先に対する施工を目標として設定した.機械加工以外の熱的溶断を用いると切
断面にFig. 2-12 に例示するような酸化皮膜が付着し,その皮膜を開先面に残存
させたまま溶接施工するとポロシティ等の欠陥が生じてしまう9).一方,酸化皮 膜は溶接前のブラシ掛けにより現場で容易に除去できることから,本研究では,
これを除去した上で溶接することとした.
Fig. 2-10 Gas (flame) cutting.
20
Fig. 2-11 Plasma cutting.
Fig. 2-12 Oxide film on the cutting surface.
21
造船所で一般的に使用されているガス切断やプラズマ切断はレーザ切断と比 較すると母材への入熱量が大きく,切断誤差が大きいとされている.Fig. 2-13に 示す計測方法で実際に造船所のパネルラインに流れている部材のガス切断精度 を調査した.結果をFig. 2-14 に示す.グラフの縦軸は,造船所で稼働している 複数の NC ガス切断ラインの内,ひとつのラインを流れる一ヶ月分の部材数を 示しており,狙いの寸法に対する誤差を横軸に示している.
Fig. 2-13 Verification test method for cutting accuracy.
Fig. 2-14 Cutting accuracy measurement result.
Fore side Aft side
abt.1,000mm abt.1,000mm
Lengthmeasurement Fore side Lengthmeasurement Aft side
Check the difference from the regular dimensions.
-2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
Nunber of samples
Difference from the regular dimensions [mm]
Aft side Fore side
22
一ヶ月分のデータではあるが,1mm 程度の誤差は定常的に発生していること を確認した.Fig. 2-14に示した測定結果は鋼板一枚の計測結果であるが,実際の 切断部材は面内で凸(あるいは凹んだ)の円弧状を呈することもあり,この場合 切断した二枚の板を突合わせると溶接線状の中央だけルートギャップが開く
(あるいは狭くなる)などの予測できない変形が生じてしまう.従来のアーク溶 接であれば,狙い位置や溶接条件の裕度が大きいため,接合線に沿った開先間隔 が3mm程度変動しても施工可能であるが,ハイブリッド溶接の適用事例および 研究事例では開先を機械加工により仕上げるため,接合線に沿った開先間隔の
変動は0.5mm以下に保たれているものがほとんどである.したがって,船体建
造工程にハイブリッド溶接を普及させるためには,ガス切断あるいはプラズマ 切断ままの開先が適用可能であり,かつ溶接線方向に生じる開先間隔変動が 3mm 程度まで許容できることが望まれる.過去に開先裕度に関する研究の報告
10)もあるが,未だ実用のための検討は十分にされていない.そこで,本研究では 高裕度な溶接条件,あるいは工法の確立を目標にして実験を行った.
2.2.2 溶接能率
ハイブリッド溶接導入によるメリットとして熱変形が低減されることについ てはすでに述べたが,パネルラインの板継ぎは,船体平行部のブロック製作にお ける上流部に位置しており生産能力のボトルネックともいえ,現状よりも溶接 能率が低下してしまうことは好ましくない.現状の多電極サブマージアーク溶 接の溶接速度をFig. 2-15に示すが,3本あるいは4本の電極で溶接をするため,
造船所で突合せ継手に適用しているアーク溶接の中では最速のスピードを持っ ている施工法である.本研究のハイブリッド溶接における速度は,ある板厚にお ける既存の施工法よりも遅くならないことを条件に設定することとした.
23
Fig. 2-15 Welding speed of multi electrodes submerge arc welding.
2.2.3 施工板厚
第1章でも述べたように,国内外の造船所における実船適用事例は板厚13 mm 以下のものしか報告されていない.客船や自動車運搬船であれば,船体構造に薄 板が用いられるが,国内造船所の多くが建造するタンカーやバルクキャリアと いった一般商船において10 mm前後の板厚は補強材等を除けば上部構造(居住 区)程度にしか適用されていない.本研究を開始した2015年当時,著者が所属 する造船所において建造していた5種類の船型の適用鋼板板厚分布を調査した.
その結果をFig. 2-16~Fig. 2-20に示す.比較的大型のバルクキャリア上甲板にお いては板厚30 mmを超える鋼板が用いられているものの,船体構造で多用され ている板厚は20 mm前後であることから,板厚25 mm程度まで適用範囲に収め ておけば大部分の溶接が施工可能である.したがって,本研究の施工板厚ターゲ
ットは15 mm~25 mmとした.
0 200 400 600 800 1000 1200
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
Welding speed[mm/min]
Thickness[mm]
24
Fig. 2-16 Plate thickness distribution of Handy size BC (34,000DWT).
Fig. 2-17 Plate thickness distribution of Panamax size BC (99,000DWT).
Fig. 2-18 Plate thickness distribution of Cape size BC (174,000DWT).
0%
5%
10%
15%
used steel [wt%]
Thickness [ mm]
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
used steel [wt%]
Thickness [ mm]
0%
5%
10%
15%
used steel [wt%]
Thickness [ mm]
25
Fig. 2-19 Plate thickness distribution of Ore carrier (250,000DWT).
Fig. 2-20 Plate thickness distribution of Aframax tanker (115,000DWT).
0%
5%
10%
15%
used steel [wt%]
Thickness [ mm]
0%
5%
10%
15%
used steel [wt%]
Thickness [ mm]
26 2.2.4 まとめ
ハイブリッド溶接を造船所に普及させるにあたりクリアすべき課題を検討し,
以下を本研究のターゲットとすることを確認した.
(1) 熱変形の低減によるメリットを享受するため,船体建造の上流に位置するパ ネルラインの板継ぎ工程に用いられている多電極サブマージアーク溶接に 置き換えることを前提として,突合せ継手を対象とする.
(2) 機械加工やレーザ切断といった高精度な開先加工方法を用いず,造船所で一 般的に適用されるガス切断あるいはプラズマ切断によって切断した開先に おいても良好な継手が制作できる条件,施工法を検討する.
(3) 開先裕度として既存のサブマージアーク溶接でも許容できる 3mm程度のル ートギャップ変動に対応できる高裕度な条件を目指す.
(4) 一般商船の船体平行部に多く用いられる板厚 25mm までの施工条件を検討 する.
27 第2章 参考文献
1) 古賀信次:20世紀の溶接施工技術「もの造りの歴史」①船舶,溶接学会誌 Vol.69 No.8,2000
2) 川瀬晃:技術高度化志向と日本造船 2.2 我が国におけるブロック建造法 について,日本造船学会誌 第885号,2005
3) 長谷薫,幸村正晴:造船の建造方法を変えた片面サブマージアーク溶接法 の開発と発展,R&D神戸製鋼技報 Vol.50 No.3,2000
4) 宮崎建雄:造船の溶接 第4回 造船溶接の自動化と今後の展望,溶接技術 Vol.63 No.4,2015
5) 産報出版:造船における溶接の現状と課題,溶接技術 Vol.65 No.1,2017 6) 猪瀬幸太郎:実構造物製作における溶接変形低減のための検討と実施例,
溶接学会誌 Vol.80 No.2,2011
7) 盛岡空矢,廣畑幹人,松本直幸,猪瀬幸太郎:レーザ・アークハイブリッ ド溶接による突合せ継手の変形および残留応力生成挙動,溶接構造シンポ ジウム,2019
8) 神 戸 製 鋼 所 : 神 鋼 溶 接 綜 合 カ タ ロ グ- 溶 接 材 料 ・ シ ス テ ム -, (https://www.kobelco.co.jp/welding/catalog/)
9) ワハバモハメッド,水谷正海,片山聖二,村上睦尚,岩田和明:造船用鋼 材へのレーザ・アークハイブリッド溶接法の適用,溶接学会全国大会講演 概要 Vol.97,2015
10) 竹下竜平,後藤浩二:レーザ・アークハイブリッド溶接施工におけるギャ
ップ裕度拡大に向けた一検討,溶接学会全国大会講演概要 Vol.101,2017
28
第 3 章 厚板溶接に対する
裕度の大きな溶接施工条件の基礎検討
3.1 緒言
造船所で適用される厚板の高裕度条件を確立するにあたり,第 1 章において 厚板の適用事例を調査したが,同様の板厚でも設定される溶接条件には様々な 違いがある.これはハイブリッド溶接の設定条件として,レーザ出力やデフォー カス距離,レーザ照射角度などのレーザ側のパラメータ,アーク電流および電圧,
ガス種類,ワイヤ突出し長さなどのアーク側のパラメータ,更に溶接速度,レー ザ入射位置とアーク狙い位置の距離などのハイブリッド溶接特有のパラメータ があり,これらは無数の組み合わせを取り得るからである.本研究を実施するに あたり,まずは各種パラメータがどのように溶接性状に影響を与えるのか,ビー ドオンプレート溶接後に断面マクロ観察を行い,溶込み深さおよびビード幅を 計測し,これらに及ぼす溶接施工条件の影響を検討した.なお,溶込み深さは余 盛り高さを除いた測定値としており,ビード幅は被溶接体表面における幅を測 定している.
3.2 供試材および実験装置
本実験にはビードオンプレート溶接を実施しても溶け落ちることがないよう
に,板厚38 mmの船体用圧延鋼板を使用した.単に溶込み形状を調査するため
の供試材であるため化学成分等の情報は割愛するが,船体上甲板等に適用され る日本海事協会鋼船規則K編 材料1)に定められたKE36鋼である.アーク溶接 は造船所で一般的に使用される炭酸ガスをシールドガスとし,溶接ワイヤはJIS
規格YGW112)に相当する神戸製鋼所製のMG-50(直径1.6 mm)を採用した.こ
29
の理由は,炭酸ガスとYGW11相当のワイヤは比較的安価に入手することができ る上,厚板のハイブリッド溶接に関する先行研究でも適用実績が豊富にあるた め,得られる結果の比較が行いやすいと考えたためである.
次に本実験に用いた装置を概説する.ファイバーレーザ発振器(IPGフォトニ
クス,YLS-20000-S2)は最大出力20 kWのレーザを発振可能である.ファイバ
ーレーザは発振効率が高く,高品質なビーム品質を得られることに加えて,光フ ァイバーで伝送することができるため,出力装置の自由度が高く,レーザ加工技 術としても広く採用され始めている3)4).レーザ発振器およびレーザヘッドは発 熱するため,冷却装置(オリオン:KE18000A-VW)が併設されている.レーザ 発振器と冷却装置の外観をFig. 3-1,Fig. 3-2に示す.
Fig. 3-1 Fiber laser oscillator (IPG Photonics YLS-20000-S2).
30
Fig. 3-2 Cooling system (Chiller).
アーク溶接機は定格出力500 Aのデジタルインバータ制御電源(Fronius,TPS-
5000MV-R)であり,定格出力に対応した溶接トーチ(Fronius, ロバクター5000
ドライブ(500 A仕様))を使用した.アーク溶接機および炭酸ガスボンベはFig.
3-3に示すように門形走行台車に搭載されており,本装置において最長5 mの継 手を溶接施工可能な仕様である.
Fig. 3-3 Gate shaped runnable gantry.
31
溶接ヘッドは門形走行台車に設置されており,すみ肉継手・突合せ継手が施工 可能な角度調整機能,またレーザとアークそれぞれの狙い位置が調整できるサ ーボモータ駆動装置を有する.ヘッド周辺をFig. 3-4 , Fig. 3-5に示す.
Fig. 3-4 Laser head and ark torch.
Fig. 3-5 Welding head (Fillet joint setting)
32
操作系は,Fig. 3-6に示すそれぞれの出力設定用タッチスクリーンと,Fig. 3-7 に示すヘッドの機械駆動部分を操作するティーチングボックスにより構成され ている.
Fig. 3-6 Touch screen.
Fig. 3-7 Teaching box.
33
3.3 ビードオンプレート溶接でのパラメータ影響調査
ハイブリッド溶接で調整するパラメータの概要をFig. 3-8に示す.この中で特 定の板厚における適正条件に影響を及ぼすパラメータとして,“レーザ出力”,
“設定電流一定としたときの設定電圧変化”,“溶接速度”,“レーザ入射位置とア ーク狙い位置の距離”,“デフォーカス距離”の5つに絞り,これらを可変させた ときのマクロ断面における溶込み形状の変化を調査した.なお,条件を調整する 前の基準条件としては,板厚14 mm における I 型開先を実現した先行研究 5)の 条件を参考とした.基準条件をTable 3-1に示す.
Fig. 3-8 Welding parameters for laser-arc hybrid welding.
Laser power [kW]
Laser angle [degree]
Defocusing distance [mm]
Arc current [A]
Arc voltage [V]
Travel speed [mm/min]
distanse between laser and arc [mm]
Arc angle [degree]
Wire extension [V]
34
Table 3-1 Standard welding parameters.
Laser power [kW] 14
Defocusing distance from the plate surface [mm] 0
Laser push angle [degree] 20.0
Arc current [A] 450
Arc voltage [V] 30.5
Wire extension [mm] 25
Arc drag angle [degree] 20
Distance between laser radiation point and
arc torch aiming point [mm] 5.0
Travel speed [mm/min] 900
3.3.1 レーザ出力の影響
レーザ出力を可変条件とした結果をFig. 3-9 に示す.出力の増加に応じて溶 込み深さは比例的に増加する一方で,ビード幅にはあまり変化が見られない.ビ ードオンプレート溶接により得られる溶込み深さは,ある板厚を貫通させるた めの適正条件に直結していると考えられ,レーザ出力は板厚に応じて調整すべ きパラメータの主たる要素になると考えられる.またレーザ出力を10 kW およ
び12 kW に設定したビード断面を観察すると,余盛部にポロシティが確認され
た.本供試材には造船所の船体建造工程中の防食を目的とした一次防錆塗料(シ ョッププライマ)が塗布された鋼板を用いており,その塗料が蒸発したガスに起 因すると推察される.レーザ出力が増えて鋼板に付与される入熱が大きくなれ ば,より蒸発が促進されるためポロシティのないビードを得ているが,レーザ出
力が10 kWおよび12 kWの場合は入熱が相対的に小さい結果として防錆塗料を
完全に蒸発させられないことになり,ポロシティが発生したと推察される.
35
Laser Power [kW] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
10 15.8 11.4
12 17.8 11.6
14 19.0 12.0
16 21.5 11.7
18 21.8 11.7
20 23.3 12.7
Laser power: 10 kW Laser power: 12 kW Laser power: 14 kW
Laser power: 16 kW Laser power: 18 kW Laser power: 20 kW
Fig. 3-9 Effect of laser power on bead shape.
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 5 10 15 20
Penetration depthand Bead width [mm]
Laser power [kW]
Penetration depth Bead width
36
通常の突合せ溶接であれば貫通した裏面からもガスの発散が生じるため 6), このポロシティはビードオンプレート溶接特有の欠陥であると考えられる.し たがって,本実験ではポロシティの内在を継手品質の評価因子としないことと した.
3.3.2 アーク電圧の影響
アーク電圧設定値を可変条件とした結果をFig. 3-10に示す.通常のアーク溶 接では電圧を増加させればビード幅は広くなり,溶込みは浅くなる傾向を示す が7),本結果では電圧増加に伴い,溶込みが深くなっている.アーク単体の様相 と異なるハイブリッド溶接特有のアーク電圧影響があることが明らかとなった.
Arc voltage [V] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
24.4 14.2 9.5
30.5 19.0 12.0
35.6 20.2 12.0
Arc voltage: 24.4 V Arc voltage: 30.5 V Arc voltage: 35.6 V
Fig. 3-10 Effect of arc voltage on bead shape.
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 10 20 30 40
Penetration depthand Bead width [mm]
Arc voltage [V]
Penetration depth Bead width
37
3.3.3 溶接速度の影響
溶接速度を可変条件とした結果をFig. 3-11に示す.速度を上昇すれば入熱 が低減されるため,溶込み深さおよびビード幅ともに減少する傾向がある.な お,ここで設定している600 mm/minという速度は第2章で述べた多電極サブ マージアーク溶接装置の板厚30 mmの速度とほぼ同一であり,現行装置よりも 速度を遅くしないためには,最低でもこのラインを超えておく必要がある.
38
Welding speed [mm/min] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
600 20.0 15.4
900 19.0 12.0
1200 17.2 10.4
1500 15.7 9.8
Welding speed: 600 mm/min Welding speed: 900 mm/min
Welding speed: 1200 mm/min Welding speed: 1500 mm/min
Fig. 3-11 Effect of welding speed on bead shape.
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 500 1000 1500
Penetration depthand Bead width [mm]
Welding speed [mm/min]
Penetration depth Bead width
39
3.3.4 レーザ入射位置とアーク狙い位置の距離の影響
レーザ入射位置とアーク狙い位置の距離を可変条件とした結果をFig. 3-12 に 示す.本実験の基準条件としては,先行研究8)において実績を有していた溶接方 向に対してアーク溶接が先行する配置としたが,Fig. 3-12においてレーザ-アー ク間距離が負符号となっている項目は溶接方向に対してレーザ溶接が先行する 配置とした.傾向としてはレーザ,アークどちらが先行していても,溶込み深さ はレーザ-アーク間距離5 mmで極大となり,0 mmおよび10 mmでは溶込みが 浅くなっている.これは適切なレーザ-アーク間距離を保てばレーザ溶接とアー ク溶接が組み合わさることによるハイブリッド溶接特有の作用が生じるが,レ ーザ-アーク間距離が 0 mm や 10 mm になるとその作用が生じないと推測され る.またビード幅についてはアークを先行させたレーザ-アーク間距離10 mmで 極大となり,レーザ先行よりもアーク先行としたほうが広がっている.このこと から先行研究の配置通り,アーク先行としたほうが,より溶融幅の広い,ルート ギャップに対する裕度が大きい条件になると考えられる.
40
Distance laser-arc [mm] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
10 18.5 14.7
5 19.0 12.0
0 17.8 11.7
-5 18.8 10.5
-10 18.2 10.3
Distance laser-arc: 10 mm Distance laser-arc: 5 mm Distance laser-arc: 0 mm
Distance laser-arc: -5 mm Distance laser-arc: -10 mm
Fig. 3-12 Effect of distance between laser and arc on bead shape.
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
-15 -10 -5 0 5 10 15
Penetration depthand Bead width [mm]
Distance between laser radiation point and arc torch aiming point [mm]
Penetration depth Bead width
41
3.3.5 デフォーカス距離の影響
デフォーカス距離を可変条件とした結果をFig. 3-13に示す.デフォーカス距 離とはレーザヘッドのレンズによって集光された焦点と母材表面との距離を意 味しており,正符号であれば母材表面より上方で焦点を迎え,負符号であれば母 材中で焦点を迎えることになる.ハイブリッド溶接はレーザによってキーホー ルを形成する思想が主であるため,レーザ出力をロスなく利用できるよう通常 はフォーカス位置を母材表面近傍に位置させることが多い.本実験においても デフォーカス距離が0 mm,すなわち焦点位置と母材表面が一致したレーザ配置 で溶込み深さが極大となった.
しかし,本結果で注目したのは,デフォーカス距離-10 mmから10 mmの範 囲において溶込み深さとビード幅の増減が似た傾向を示すのに対し,デフォー カス距離が15 mmを超えてくると溶込み深さが減少する一方で,ビード幅が増 加する傾向である.デフォーカス距離をずらすことでエネルギー密度が低下す るため,溶込み深さが減少する現象は当然のことであるが,キーホールを形成す るハイブリッド溶接とは異なる思想で,高裕度な条件を設定できるのではない かと考察し,Table 3-1の基準条件のデフォーカス距離を20 mmとした上で再度 ビードオンプレート溶接施工を行った.
42
Defocusing distance [mm] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
-10 16.5 10.3
-5 17.5 10.8
0 19.0 12.0
5 18.0 12.3
10 17.5 11.5
15 12.7 9.8
20 11.2 10.2
40 8.5 13.5
Defocusing distance: -10 mm Defocusing distance: -5 mm Defocusing distance: 0 mm
Defocusing distance: 5 mm Defocusing distance: 10 mm Defocusing distance: -15 mm
Defocusing distance: 20 mm Defocusing distance: 40 mm
Fig. 3-13 Effect of defocusing distance on bead shape.
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
-15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 Penetration depthand Bead width [mm]
Defocusing distance from the plate surface [mm]
Penetration depth Bead width
43
3.3.6 レーザ出力の影響(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)
デフォーカス距離を20 mmとし,レーザ出力を可変条件とした場合のビード
断面をFig. 3-14に,デフォーカス距離0 mmとの比較をFig. 3-15に示す.
デフォーカス距離を大きくすることで溶込み深さは 30~40 %程度減少してお り,グラフ中のビード幅としてはほとんど変化していない.しかし,ビード断面 を見ると最も広い表ビードの幅には変化がないものの,鋼板内部のビード断面 下方ではデフォーカス距離0 mmよりも広がりを有する.ルートギャップに対す る裕度を拡張するには板表面から裏面まで,幅広く溶融することが有効である と考えられ,デフォーカス距離を増大させることによって高裕度な条件となる 可能性がある.
Laser power: 10 kW Laser power: 12 kW Laser power: 14 kW
Laser power: 16 kW Laser power: 18 kW Laser power: 20 kW
Fig. 3-14 Bead cross section for variable laser power (d= 20 mm).
44
Laser Power [kW] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
d= 0 mm d= 20 mm d= 0 mm d= 20 mm
10 15.8 8.8 11.4 10.6
12 17.8 9.5 11.6 10.6
14 19.0 11.2 12.0 10.2
16 21.5 13.0 11.7 10.7
18 21.8 14.2 11.7 10.8
20 23.3 17.5 12.7 12.3
Fig. 3-15 Effect of laser power on bead shape (d= 0 mm and d= 20 mm).
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 5 10 15 20
Penetration depth [mm]
Laser power [kW]
Penetration depth(d=0mm) Penetration depth(d=20mm)
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 5 10 15 20
Bead width [mm]
Laser power [kW]
Bead width(d=0mm) Bead width(d=20mm)
45
3.3.7 アーク電圧の影響(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)
デフォーカス距離を20 mmとし,アーク電圧設定値を可変条件とした場合の ビード断面のマクロ写真をFig. 3-16に,デフォーカス距離0 mmとの比較をFig.
3-17に示す.
3.3.2 でも述べたように通常のアーク溶接の場合,一定の電流に対して電圧が
高くなるほど,溶込み深さが減少し,ビード幅が広くなる傾向を示すが,フォー カス位置を板表面と合わせたハイブリッド溶接ではその様相が異なっていた.
しかし,デフォーカス距離を20 mmとすることで通常のアーク溶接と同じよう に溶込み深さは減少し,ビード幅が増加する傾向が得られた.このことからデフ ォーカス距離が大きくなるほどキーホールの作用が小さくなり,ハイブリッド 溶接特有の現象が起きない,すなわちアーク単体と同様の様相を示すと推察さ れ,高裕度な施工やより簡単な条件設定(アーク溶接と同様の思想で調整)がで きるようになる可能性があると考えられる.
Arc voltage: 24.4 V Arc voltage: 30.5 V Arc voltage: 35.6 V
Fig. 3-16 Bead cross section for variable arc voltage (d= 20 mm).
46
Arc voltage [V] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
d= 0 mm d= 20 mm d= 0 mm d= 20 mm
24.4 14.2 12.8 9.5 6.5
30.5 19.0 11.2 12.0 10.2
35.6 20.2 9.5 12.0 15.3
Fig. 3-17 Effect of arc voltage on bead shape (d= 0 mm and d= 20 mm).
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 10 20 30 40
Penetration depth [mm]
Arc voltage [V]
Penetration depth(d=0mm) Penetration depth(d=20mm)
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 10 20 30 40
Bead width [mm]
Arc voltage [V]
Bead width(d=0mm) Bead width(d=20mm)
47
3.3.8 溶接速度の影響(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)
デフォーカス距離を20 mmとし,溶接速度を可変条件とした場合のビード断
面をFig. 3-18に,デフォーカス距離0 mmとの比較をFig. 3-19に示す.
溶接速度を可変条件とすると,レーザ出力可変時と同様に溶込み深さのみ低 減する傾向が確認できる.従って,レーザ出力と溶接速度が溶込み深さに大きな 影響を及ぼしており,板厚毎の条件テーブルを作成する際は,主となる要素であ ると考えられる.
Welding speed: 600 mm/min Welding speed: 900 mm/min
Welding speed: 1200 mm/min Welding speed: 1500 mm/min
Fig. 3-18 Bead cross section for variable welding speed (d= 20 mm).
48
Welding speed [mm/min] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
d= 0 mm d= 20 mm d= 0 mm d= 20 mm
600 20.0 15.8 15.4 13.5
900 19.0 11.2 12.0 10.2
1200 17.2 9.5 10.4 9.0
1500 15.7 9.0 9.8 8.0
Fig. 3-19 Effect of welding speed on bead shape (d= 0 mm and d= 20 mm).
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 500 1000 1500
Penetration depth [mm]
Welding speed [mm/min]
Penetration depth(d=0mm) Penetration depth(d=20mm)
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
0 500 1000 1500
Bead width [mm]
Welding speed [mm/min]
Bead width(d=0mm) Bead width(d=20mm)
49
3.3.9 レーザ入射位置とアーク狙い位置の距離の影響
(デフォーカス距離0 mmと20 mmの比較)
デフォーカス距離を20 mmとし,レーザ照射位置とアーク狙い位置の距離を 可変条件とした場合のビード断面をFig. 3-20 に,デフォーカス距離0 mm との
比較をFig. 3-21に示す.デフォーカス距離0 mmにおいては,レーザ先行,アー
ク先行いずれの配置であってもレーザ-アーク間距離 5 mmで溶込み深さが極大 を示す傾向を示したが,デフォーカス距離を20 mmとするとレーザ-アーク間距
離10 mmの方が,溶込みが深い.これはフォーカスが板表面に近いとキーホー
ルが出現し,更にアーク電流によって湯流れが促進されることでキーホール深 さよりも深い溶込みが得られるというハイブリッド特有の現象 9)が生まれるが,
フォーカス位置が離れるとキーホールの作用が小さくなり,むしろアーク溶接 の溶融池での反射やヒュームがレーザエネルギを阻害していると推察される.
一方,ビード幅はいずれのデフォーカス距離でもアーク先行とした方が幅の広 いビードを得られるため,裕度の大きな施工条件の確立のためには,アーク先行 が有利になると考えられる.
Distance laser-arc: 10 mm Distance laser-arc: 5 mm Distance laser-arc: 0 mm
Distance laser-arc: -5 mm Distance laser-arc: -10 mm
Fig. 3-20 Bead cross section for variable distance between laser and arc (d= 20 mm).
50
Distance laser-arc [mm] Penetration depth [mm] Bead width [mm]
d= 0 mm d= 20 mm d= 0 mm d= 20 mm
10 18.5 12.8 14.7 13.0
5 19.0 11.2 12.0 10.2
0 17.8 12.5 11.7 11.2
-5 18.8 11.3 10.5 9.0
-10 18.2 13.5 10.3 9.5
Fig. 3-21 Effect of distance between laser and arc on bead shape (d= 0 mm and d= 20 mm).
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
-15 -10 -5 0 5 10 15
Penetration depth [mm]
Distance between laser radiation point and arc torch aiming point [mm]
Penetration depth(d=0mm) Penetration depth(d=20mm)
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
-15 -10 -5 0 5 10 15
Bead width [mm]
Distance between laser radiation point and arc torch aiming point [mm]
Bead width(d=0mm) Bead width(d=20mm)
51 3.4 結言
本章では,ハイブリッド溶接における種々の溶接施工条件が溶接性状に及ぼ す影響の調査を目的に,ビードオンプレート溶接後に断面マクロ観察を行い,
溶込み深さおよびビード幅に影響を与える溶接条件を検討した.その結果を以 下に示す.
(1) 溶込み深さに直接的に影響するパラメータはレーザ出力および溶接速度で あり,板厚毎の条件テーブルを用意するためには主要素となる.
(2) ハイブリッド溶接の配置はアークを先行とさせた方が幅広いビードが得ら れ,高裕度な条件となる可能性がある.
(3) レーザ焦点が板表面に近いデフォーカス距離とするとキーホールが出現 し,ハイブリッド溶接特有の溶接現象が起こるが,フォーカスを敢えて外 すことでアーク溶接の補助的な熱源としてレーザを用い,ルートギャップ 裕度の高い新しい工法を提案できる可能性がある.
52 第3章 参考文献
1) 日本海事協会:鋼船規則 K編 材料
2) 日本産業規格:JIS Z 3312:2009 軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接 及びミグ溶接ソリッドワイヤ
3) 宮本勇:ファイバーレーザの応用,溶接学会誌 Vol.72 No.8,2003
4) 辻正和:高出力・高ビーム品質ファイバーレーザの特徴と応用例,レーザ 研究 33 (Supplement),2005
5) 一般社団法人 日本船舶技術研究協会:船舶建造高品質化・効率化技術の調 査研究(レーザ溶接技術の調査研究)2012年度 成果概要報告書
6) 片山聖二:溶接接合教室-基礎を学ぶ- 1-4 レーザ溶接,溶接学会誌 Vol.78 No.2,2009
7) 産報出版:新版JIS半自動溶接 受験の手引き 日本溶接協会出版委員会 編 8) 後藤浩二,竹下竜平,上村崇杜,森山厚夫:レーザ・アークハイブリッド
溶接技術の一般商船建造工程への導入に向けた研究-(その2)溶接施工性 に及ぼす諸因子の影響-,日本船舶海洋工学会講演会論文集 第28号 9) 片山聖二:レーザ・アークハイブリッド溶接はどう進んでいるか,溶接技
術 No.2,2008