1
変数関数の連続性・
ε − δ論法
(略解
)作成日: May 18, 2020 Updated : May 25, 2020
問題
1. (先週の復習から:ε−N論法) 省略
問題
2. (ε−δ論法
1)まず自明な不等式を用いて以下のように変形しておこう
(0< x < 2に注意
):
1
1 +x2 − 1 2
=
1−x2 2(1 +x2)
= 1
2(1 +x2)|(x+ 1)(x−1)| < 1
2(x+ 1)|x−1| <
1
2·3|x−1|.
(1)
たとえば
δ = (2/3)εととればよい
.実際このとき,
|x−1| < δ ⇒ 11 +x2 − 1 2
= 1−x2
2(1 +x2)
= 1
2(1 +x2)|(x+ 1)(x−1)|< 1
2(x+ 1)|x−1|< 1
2·3|x−1|< 3 2δ=ε.
(2)
正の数
εが任意に与えられたとする
.このとき
,δ = (2/3)εとして正の数
δを定める と
, 0< x <2における任意の
xに対して
,|x−1|< δ ⇒ |f(x)−f(1)|= 1
1 +x2 − 1 2
=
1−x2 2(1 +x2)
= 1
2(1 +x2)|(x+ 1)(x−1)|
< 1
2(x+ 1)|x−1|< 1
2·3|x−1|< 3 2δ =ε
したがって, 関数
f(x)は
x= 1において連続である.
問題
3. (ε−δ論法
2)正の数
εが任意に与えられたとする. 関数
f, gは点
aにおいて連続 であるから
,正の数
ε/2に対して
,それぞれある正の数
δ1, δ2が存在して
,|x−a|< δ1 ⇒ |f(x)−f(a)|< ε 2,
|x−a|< δ2 ⇒ |g(x)−g(a)|< ε 2,
が成り立つ
.このとき
,正の数として
δ= min{δ1, δ2}ととると
,|x−a|< δ ⇒ |(f(x) +g(x))−(f(a) +g(a))|=|(f(x)−f(a)) + (g(x)−g(a))|
≤ |f(x)−f(a)|+|g(x)−g(a)|< ε 2 +ε
2 =ε.
したがって
,関数
f +gは
x=aにおいて連続である
.問題
4. (1変数関数の微分
)(1) 1
cos2x (2) 1
1 +x2 (3) −1
1−x (4) 1
xlogx (5) axloga (6) xx(logx+ 1)
[
コメント
](2)まず欲しいのは
dydx. y = arctanx⇔tany =x
の両辺を
xで微分する
.す なわち両辺に
ddx
を作用させる
.左辺は
yの式だから
ddx = dy dx
d
dy
と変形して作用させる
.(5)&(6)
べきが複雑なものは対数をとるのが常道
.なお
(5)については
,恒等式
a = elogaを用いると
(eαx)′ =αeαxに帰着
.問題
5. (1変数関数の極限)
(1) 0 (2) logab (たとえばロピタルの定理より) (3) 1 (対数をとってロピタル)
[
コメント
]ロピタルの定理は
,分母の式・分子の式をそれぞれ
x=aのまわりでテーラー 展開して理解すべきものである
. (各自確認してみてください
.)問題
6. (テーラー展開の一意性)(1) x3 = ((x−1) + 1)3 = (x−1)3+ 3(x−1)2+ 3(x−1) + 1.
(2) 1
1−x = 1 +x+x2+x3 +x4+x5+o(x5).
(3) ( 1
1−x )2
= (1+x+x2+x3+x4+x5+o(x5))2 = 1+2x+3x2+4x3+5x4+6x5+o(x5).
または
(2)を
6次まで計算したものを両辺微分してもよい.
(4) log(1−x) = −x− x2 2 − x3
3 −x4 4 − x5
5 +o(x5). ((2)
を 両辺積分
.)[コメント]
テーラー展開の剰余項を除いた部分の一般式はきれいな形をしている. この
部分は具体的表式を忘れても以下のように簡単に再現できる
.例えば、
x= 0まわりでの テーラー展開を
5次まで求めたいとしよう
.展開係数を以下のようにおく:
f(x) = a0+a1x+a2x2+a3x3+a4x4+a5x5+R6x6. a0
を求めたければ両辺
x= 0を代入すればよい:f
(0) =a0.a1
を求めたければ両辺
xで
1回微分してから
x= 0を代入すればよい:
f′(0) = 1·a1. a2を求めたければ両辺
xで
2回微分してから
x= 0を代入すればよい:
f(2)(0) = 2!·a2. a3を求めたければ両辺
xで
3回微分してから
x= 0を代入すればよい:f
(3)(0) = 3!·a3. anを求めたければ両辺
xで
n回微分してから
x= 0を代入すればよい:
f(n)(0) =n!·an.非自明なのは剰余項の形である
.なお無限テーラー展開の場合は収束性の問題がからむ
.問題
7. (1変数関数の極限
)(1)
x−1
2x2−log(1 +x)
x3 =
x− 1
2x2−(x− 1
2x2+ 1
3x3+o(x3))
x3 =−1
3 +o(x3) x3
x→0
−→ −1 3.
(2) ex2 −cosx xarctanx =
(
1 +x2+o(x2) )−(
1−x2
2! +o(x2) )
x2+o(x2) =
3
2+ o(x2) x2 1 + o(x2)
x2
−→x→0 3 2
[
コメント
]この手の問題は複雑な関数部分をテーラー展開するのが基本である
.なお
arctanxのテーラー展開は問題
4 (2)からすぐ求まる
.問題
8. (宿題:
10点
)(1) (5
点
)正の数
εが任意に与えられたとする
.このとき
, δ= 2εとして正の数
δを定め ると,
x >0における任意の
xに対して,
|x−4|< δ ⇒ |f(x)−f(4)|=|√
x−2|=|(√
x−2)(√ x+ 2)
√x+ 2 |= 1
√x+ 2|x−4|
< 1
2|x−4|< 1 2δ=ε
したがって, 関数
f(x)は
x= 4において連続である.
(2) (5
点) 正の数
εが任意に与えられたとする.
関数
fは点
aにおいて連続であるから
,正の数
ε/10に対して
,ある正の数
δ1が存在 して
,|x−a|< δ1 ⇒ |f(x)−f(a)|< ε 10,
が成り立つ. 同様に関数
gは点
aにおいて連続であるから, 正の数
ε/36に対して, あ る正の数
δ2が存在して
,|x−a|< δ2 ⇒ |g(x)−g(a)|< ε 36,
が成り立つ
.このとき正の数として
δ= min{δ1, δ2}ととると
,|x−a|< δ ⇒ |(5f(x) + 18g(x))−(5f(a) + 18g(a))|=|5(f(x)−f(a)) + 18(g(x)−g(a))|
≤5|f(x)−f(a)|+ 18|g(x)−g(a)|<5· ε
10+ 18· ε 36 =ε.
したがって
,関数
5f+ 18gは
x=aにおいて連続である
.問題
9. (宿題:
10点
)(1) (2
点
) Rn+1(x) = eθx(n+ 1)!xn+1, (0< θ <1).
(2) (4
点
)e= mn = 1 + 1 + 1 2!+ 1
3!+· · ·+ 1
n!+Rn+1(1) · · ·(∗)
の両辺に
n!をかけると
m(n−1)! =n! +n! +n(n−1)· · ·3 +n(n−1)· · ·4 +· · ·+ 1 +n!Rn+1(1)であるから,
n!Rn+1(1)は整数. 一方
n!Rn+1(1) = eθ n+ 1 >0
より
, n!Rn+1(1)は
1以上の整数であることが示された
. (3) (4点
) 0 < θ <1, 2< e <3を用いると
1≤n!Rn+1(1) = eθ
n+ 1 < e
n+ 1 < 3 n+ 1
すなわち
n+1<3,よって
n = 1.このとき
e =m(整数
)となるが
,これは
2< e < 3と矛盾
.問題
10. (ボーナス問題:
10点
) (1) (4点
) fn(x) = 1n!(anxn+an+1xn+1+· · ·+a2nx2n)
であるから
, l < nまたは
l >2nのとき
,fn(l)(0) = 0∈Zである
. n≤l ≤2nのとき
,fn(l)(0) = l!n!al
であるが
,alは整 数であり
, l≥nより
, l!n!
も整数
. (2) (3点) まず,
ddx{G′(x) sinπx−πG(x) cosπx}= (G′′(x) +π2G(x)) sinπx
となる. こ こで
,π2G(x) = pn{
π2n+2fn(x)−π2nfn(2)(x) +π2n−2fn(4)(x)− · · ·+ (−1)nπ2fn(2n)(x)} G′′(x) = pn{
π2nfn(2)(x)−π2n−2fn(4)(x) +π2n−4fn(6)(x)− · · ·+ (−1)nfn(2n+2)(x)} .
であるから,
fn(2n+2)(x) = 0に注意して,
π2n=qn/pnを代入すると
d
dx{G′(x) sinπx−πG(x) cosπx}=pnπ2n+2fn(x) sinπx=π2qnfn(x) sinπx.
(3) (3
点
) 0 < x < 1において
, 0 < sinπx ≤ 1であり
,また
0 < xn,(1−x)n < 1より
0< fn(x) = xn(1−x)nn! < 1
n!.
したがって
0< I =π∫ 1 0
qnfn(x) sinπx dx < π
∫ 1 0
qn· 1
n! ·1dx= πqn n! .
[
コメント
]この証明は以下の論文にもとづく:
• Ivan Niven, “A simple proof that π is irrational,” Bulletin of the American Mathe- matical Society53 (1947) 509.
学問の新しい成果は
,一般に学術雑誌に出版されて公に認められる
. (先述の論文は
,「
Bul- letin of the American Mathematical Society」という名前の学術雑誌に出版されたという ことである.) 学術雑誌に出版されるためには, まず結果を
(たいていは英文の)論文とし て書き下ろして
,学術雑誌に投稿し
,レフェリーと呼ばれる専門家の査読をクリアしなけ ればならない
.数学においても未解決問題はもちろん無数にあり, 重要な問題には懸賞金がかけられて いることもある
.例えば
,クレイ研究所が
2000年に出題した「ミレニアム
7大問題」に は
1問につき
100万ドルの懸賞金が掛けられている
. (Googleで検索すればいろいろと出 てきます.) 7 大問題の一つ, ポアンカレ予想は, 10 年ほど前にロシアの数学者ペレルマ
ン
(Pelelman)によって解かれた
.彼はこの業績で数学のノーベル賞と呼ばれる
2006年の
フィールズ賞受賞者に選ばれたが
,受賞を辞退し話題を呼んだ
.ポアンカレ予想にまつわ る数学者のドキュメンタリーが
DVD化されている:
• NHK
エンタープライズ「ポアンカレ予想・
100年の格闘 〜数学者はキノコ狩りの
夢を見る〜」
(2010年
)なお,数の無理数性の証明については,古くから有名問題が存在する.チャレンジ問題と して,以下の問題を出題しよう.
(成績に無関係.特に
(4)は未解決の有名問題!
)問題
11. (オイラーの定数)数列
an := 1 + 12 +· · ·+ 1
n −logn
が収束することを, 関数
y= 1x
のグラフを利用して証明しよう
.(1)
数列
{an}は下に有界であることを示せ
. (2)数列
{an}は単調減少数列であることを示せ
. (3)数列
{an}は収束することを示せ
.(4)
この極限値
γ := limn→∞an = 0.5772· · ·