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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨 論文題名

Microarray analysis of macrophage response to infection with

Streptococcus oralis

reveals the immunesuppressive effect of hydrogen peroxide.

Streptococcus oralis

に感染したマクロファージのマイクロアレイ 解析は過酸化水素の免疫抑制効果を明らかにした)

掲載雑誌名

Biochemical and Biophysical Research Communications (掲載)

小児成育歯科学 松島 瞳

内容要旨

ミティスレンサ球菌群の1つである

Streptococcus oralis

は,口腔常 在細菌叢を構成する主要な菌株であり、乳歯萌出前から口腔粘膜に定着す る初期定着細菌として知られている。同時に

S.oralis

は感染性心内膜炎 の起炎菌としても知られ、遠隔臓器での病巣形成のメカニズムについては 多くの研究が行われてきている。

S. oralis

の病原因子としては、好気環 境におけるピルビン酸オキシダーゼ(SpxB)による代謝産物としての過酸 化水素産生能が重要なビルレンス因子の1つではないかと考えられてい たが、詳細な役割については不明であった。

我々は、

S.oralis

産生の過酸化水素が自然免疫細胞であるマクロファ

ージに対して影響を及ぼしているのではないかと考え、以下の実験を行っ た。はじめに細菌産生の過酸化水素がマクロファージによる炎症性サイト カイン産生に与える影響について検討した。マクロファージと

S.oralis

野生株(ATCC 35037)および過酸化水素産生能を欠損した SpxB 遺伝子欠失 株を共培養し、16 時間経過した環境における炎症性サイトカイン発現を マイクロアレイで網羅的に解析した。その結果、SpxB 変異株と比べて、

野生株と共培養した場合では、マクロファージにおける TNF-α等の炎症

関連遺伝子の発現低下が認められた。次に、過酸化水素によりマクロファ

ージを 1 時間前処理した後にグラム陰性菌の細胞壁外膜の成分である LPS

で刺激した場合、同様に TNF-αなどの炎症性サイトカイン産生の抑制が

抑制され、かつその発現誘導に必須の転写因子 NF-κB の活性化が抑制さ

れていた。また、過酸化水素処理後、LPS 刺激前に細胞培養液を交換する

と NF-κB の活性が元通りとなることから、過酸化水素による発現抑制は

可逆的であった。さらに、過酸化水素により、マクロファージにおけるデ

(2)

キストラン等に対する貪食能低下が認められた。

以上から、

S.oralis

の産生する過酸化水素は、TLR などの自然免疫細胞 におけるパターン認識受容体からの活性化シグナルおよび貪食能などの マクロファージにおける重要な機能を抑制することがわかった。すなわち、

S. oralis

などのミティスレンサ球菌は、口腔粘膜下に存在する自然免疫

細胞の機能低下を引き起こすことで、初期定着菌群として口腔粘膜に定着

することを可能にしているのではないか。また粘膜の傷口などから体内に

侵入した場合、自然免疫細胞の機能を抑制し、貪食から逃れることで体内

に長く留まり、心臓弁などへの定着が可能となり、結果として感染性心内

膜炎などの誘因となるのではないかと推測した。

参照

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