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平成 16 年度 ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に関する調査

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(1)

平成 16 年度

ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に関する調査

~カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにおける環境ビジネス創出に向けて~

報告書

平成 17 年 3 月

社団法人 日本産業機械工業会

(2)

本報告書は、日本自転車振興会の「自転車等機会工業振興資金」の交付を受けて、社 団法人日本産業機械工業会が実施した「ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に関 する調査」の成果をまとめたものである。

ASEAN 新加盟国(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)においては、どのよ うな環境問題等が発生しているのか明確化されておらず、十分な環境対策が講じられて いない。従って、対象国における環境問題の現状と改善策を明確にした上で、環境装置 の技術移転や技術指導を行うことにより、環境政策の推進及び環境ビジネス産業の育成 をする必要がある。そのため、本事業では対象4ヶ国の環境規制、汚染状況、処理施設 等の実態、さらに投資環境、社会環境等を調査し、対象各国に適した環境ビジネスを展 開するための政策提言を行った。

本事業を実施するにあたり、格別のご指導をいただいた東洋大学教授 北脇委員長を はじめ委員各位ならびにご協力いただいた関連団体、関連企業に対し、心から謝意を表 すとともに、本報告書が今後の ASEAN 新加盟国の環境ビジネス創出にわずかでも貢献で きれば幸いである。

平成 17 年 3 月 社団法人日本産業機械工業会 会 長 相 川 賢 太 郎

(3)

委 員 名 簿

委 員 長 北脇 秀敏 東洋大学 国際地域学部 教授

幹 事 長 小林 康男 株式会社 クボタ 環境事業開発部 担当部長

副 幹 事 長 掛田 健二 日立造船株式会社 環境・鉄構事業本部 環境総合開発センター長 委 員 中村 芳生 独立行政法人 日本貿易振興機構 貿易開発部 主査

委 員 藤崎 成昭 独立行政法人 日本貿易振興機構 アジア経済研究所新領域センター 次長 委 員 西崎 柱造 財団法人 地球環境センター 事業部 企画調整担当課長

委 員 田米 智加之 株式会社 荏原製作所 海外事業統括 参事

委 員 奥山 亀太郎 川崎重工業株式会社 プラント・環境・鉄構カンパニー環境ビジネスセンター 参与 委 員 鈴木 剛 株式会社 クボタ 上下水エンジニアリング技術部 課長

委 員 北岡 亮三 栗田工業株式会社 経営企画室企画部 専門部長

委 員 長野 晃弘 三機工業株式会社 環境システム事業部エンジニアリング部 部長補佐

委 員 武田 薫 JFE エンジニアリング株式会社 環境エンジニアリング事業部環境技術部計画室 室長 委 員 藤本 計夫 住友重機械工業株式会社 プラント・環境事業本部海外営業部 部長

委 員 小野塚 敏彦 月島機械株式会社 環境事業部事業推進グループ グループリーダー 委 員 月橋 伸夫 株式会社 西原環境テクノロジー 海外事業部 部長

委 員 岡本 裕三 日本ガイシ株式会社 エンジニアリング事業本部プロジェクト計画部 部長 委 員 恩田 良一 日立プラント建設株式会社 国際営業本部第一部 主任

委 員 永渕 優 三井造船株式会社 環境・プラント事業本部環境営業部 次長 委 員 荒木 一郎 三菱重工業株式会社 環境ソリューション部輸出グループ 部長代理

調 査 委 託 先 小西 時男 株式会社 三菱総合研究所 地球環境研究本部 資源・循環研究部 循環ビジネス研究チーム チームリーダー 調 査 委 託 先 髙島由布子 株式会社 三菱総合研究所 地球環境研究本部 資源・循環研究部 循環ビジネス研究チーム 調 査 委 託 先 奥村 重史 株式会社 三菱総合研究所 地球環境研究本部 資源・循環研究部 循環システム研究チーム

事 務 局 奥山 正二 社団法人 日本産業機械工業会 環境装置部 部長 事 務 局 竹田 弘子 社団法人 日本産業機械工業会 環境装置部 課長代理 事 務 局 酒井 信吾 社団法人 日本産業機械工業会 環境装置部

(4)

幹 事 長 小林 康男 株式会社 クボタ 環境事業開発部 担当部長

副 幹 事 長 掛田 健二 日立造船株式会社 環境・鉄構事業本部 環境総合開発センター長 幹 事 田米 智加之 株式会社 荏原製作所 海外事業統括 参事

幹 事 北岡 亮三 栗田工業株式会社 経営企画室企画部 専門部長

幹 事 武田 薫 JFE エンジニアリング株式会社 環境エンジニアリング事業部環境技術部計画室 室長 幹 事 藤本 計夫 住友重機械工業株式会社 プラント・環境事業本部海外営業部 部長

幹 事 荒木 一郎 三菱重工業株式会社 環境ソリューション部輸出グループ 部長代理

(5)

調査の背景と目的 ··· Ⅰ

1. ASEAN 新加盟国の状況 ··· 1

1.1 基礎情報 ··· 1

1.2 各国の経済と産業 ··· 7

1.3 各国における大型投資案件の状況 ··· 27

1.4 各国における日本の国際協力機関等の活動の現状 ··· 59

1.5 各国における環境問題の現状 ··· 67

2. ASEAN 新加盟国におけるビジネス環境 ··· 135

2.1 各国の投資環境 ··· 135

2.2 各国の社会環境 ··· 204

2.3 実績を有する企業から見た各国のビジネス環境 ··· 213

2.4 各国を取り巻く国際動向 ··· 223

3. ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に向けて ··· 270

3.1 各国における環境ビジネスニーズ ··· 270

3.2 ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に向けた各国の取組 ··· 278

3.3 ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に向けた環境装置・プラントメーカーの取組 ··· 284

3.4 ASEAN 新加盟国における環境ビジネス創出に向けた政策提言 ··· 288

参考資料 ··· 参- 1

1.ASEAN 新加盟国に関する企業へのアンケート・ヒアリング結果 ···参- 2 2.情報源リスト ···参-15

(6)

I

日本の環境技術及び装置は世界的に見ても高水準にあり、今後、発展途上国において経済成長 と環境保全の両立を図るために、環境分野における日本の技術を有効に活用することが、相手国 での環境保全、ひいては日本の国際貢献の視点からも望ましいと考えられる。

工業経済発展に伴い、環境問題が顕在化している ASEAN 諸国の中でも、タイやマレーシア等は、

政府の積極的な環境政策や国民の環境意識の高まりとともに、日本や欧米からの多くの環境技術 支援により徐々に改善が図られている。

一方、ASEAN 新加盟国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)においては、今後、経 済発展に伴い環境問題が深刻化することが予想されるが、環境政策、規制動向、経済力、環境技 術レベル等の情報が少なく、どのような環境技術支援が必要なのか不明確である。

従って、これら ASEAN 新加盟国における環境問題の現状を明確にし、各国の抱える問題に適用 し得る環境技術支援を実施することにより、対象国の環境保全を図るとともに、対象国の環境ビ ジネス産業を育成する必要がある。

このような状況を踏まえ、当該国における環境保全及び環境ビジネス市場の創出を実現するた めの第一歩として、ASEAN 新加盟国を対象に深刻化しつつある環境問題の実態を調査するととも に、わが国の環境装置メーカーによる ASEAN 新加盟国への支援の可能性、及び当該国に適合した 環境技術・装置の技術移転のあり方を提案する。

なお、本調査研究で「環境ビジネス創出」とは、環境技術・装置が、現地で普及し、環境保全 に対する取組がビジネスとして成立することを指す。

また、相手国に適合し、環境ビジネスとして成立する技術とは、以下の 4 点を満たすことが条 件となる。

○文化的に受け入れられること(Culturally accepted)

技術が、相手国の文化、宗教、習慣などの面からも受け入れられるものであること。例えば、

高度処理水の再利用や食品廃棄物の肥料化などが宗教的に受け入れられない場合があり得ること を認識したり、施設の立地に際して、宗教的に神聖な場所や忌避すべき場所などを考慮に入れた りして、技術移転を進めることが求められる。また、技術やサービスのレベルが、人々にとって 魅力的であることも求められる。

○経済的に受け入れられること(Economically feasible)

技術が、相手国で負担可能な費用の範囲のものであること。また、人々が支払えるコストで実 現できること。これは、施設整備の際の初期投資だけでなく、むしろ、その後の円滑な利用普及 のためには、運転・維持管理の費用について留意することが重要である。例えば、設備投資を ODA 等の資金で行うことが可能であるならば、重油を燃料とする技術よりも、初期投資額は割高であ っても風力や太陽光を利用する技術の方が、運転・維持管理費用が安価であるために適合する場

(7)

II

○技術的に受け入れられること(Technically viable)

技術が、相手国の運転・維持管理できる水準のもの、言い換えれば運転と維持管理をする人が 理解でき、物理的に取り扱える範囲のものであること。運転や維持管理に高度な技術を要し、相 手国でそのための人材確保が難しい場合、短期間で運転されなくなることが懸念される。また、

維持・補修部品などを現地で容易に入手可能であることが求められる。そのため、特注品などの 部品は極力使用せず、可能な限り汎用品を適用した技術であることが求められる。

○環境保全的であること(Environmentally sound)

技術が、相手国の環境保全に資するものであること。本調査研究では環境技術・装置を対象と しているため、一義的には相手国の環境保全に資するものである。ただし、その装置の運転のた めに燃料として森林を伐採する必要があったり、化石燃料の消費によって過度に二酸化炭素排出 量の増大を招いたりすることの無いことなど、総合的に相手国の環境保全に資する技術であるこ とが求められる。

(8)

1

1. ASEAN 新加盟国の状況

ASEAN 新加盟国において環境ビジネスを展開するにあたっては、対象 4 カ国の概況を把握する ことが必須となる。本章では、対象 4 カ国の基礎情報、経済と産業の状況、大型投資案件の状況、

日本からの経済協力の状況、環境問題の現状を整理し、対象国のおかれた現状を整理する。

1.1 基礎情報 (1)基本情報

対象 4 カ国の基本情報を表 1-1 に整理する。4 カ国のうち、ミャンマーのみ日本より面積が大 きく、他 3 カ国は面積が小さい。また、人口はベトナムが最も大きく、ミャンマー、カンボジア と続き、内陸部のラオスは人口が少ない。ラオス、ベトナムは共に社会主義共和制、カンボジア は立憲君主制、そしてミャンマーは国軍による軍政が続いている。

表 1-1 対象 4 カ国の基本情報

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム

政治体制

(政権)

立憲君主制

フンシンペック党と人民 党の連立政権

社会主義共和制 人民革命党

軍政

国家平和開発評議会

(SPDC)

(97 年に SLORC より改組)

社会主義共和制 共産党

面積 18 万平方キロ

(日本の半分に相当)

24 万平方キロ

(日本の本州に相当)

68 万平方キロ

(日本の約 1.8 倍に相当)

33 万平方キロ

(日本の総面積から九 州を除いたものに相当)

人口 1,310 万人(2000 年) 528 万人(2000 年) 4,775 万人(2000 年) 7,769 万人(2000 年)

首都 プノンペン ヴィエンチャン ヤンゴン ハノイ

(出所)『インドシナ 4 ヵ国の投資環境(改訂版)-ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア-』2002 年 3 月/国際協力銀行 中堅・中小企業支 援室

(2)地理・気候情報

対象 4 カ国はいずれもメコン川流域ではあるが、地理的環境の相違から、自然環境・気候も大 きく異なる。ミャンマーやベトナムは大きな河川による大規模デルタ地帯を有し、広大な耕作地 が確保できる。一方、ラオスには急勾配な山岳地帯が広がる。また、カンボジアには、未開発な 湿地や森林が多い。

(9)

2

表 1-2 対象 4 カ国の地理情報

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム

位置

東南アジア、タイ ランド湾に接し、

タイ、ベトナム、

ラオスの間に位置 する。

東南アジア、タイ 東北、ベトナムの 西方に位置する。

東南アジア、アンダ マン海とベンガル

東南アジア、タイ ランド湾・トンキン 湾、南シナ海に接す る。中華人民共和 国・ラオス・カンボ ジアの横に位置す る。

地形

ほぼ低地、平原地 帯;西南と北方に 山岳地帯あり

領土の大部分に岩 山が広がり、部分 的に平原と高原。

低地中央部は急勾 配で高地は岩山が 広がる。

南と北は低く、平地 は三角州である;中 央は高地;極北と西 南は険しい山々が 連なる。

最低 地点

タイランド湾、0m メコン川、70m アンダマン海、0m 南シナ海、0m

最高 地点

Phnom Aural、1,810

Phu Bia in Xiengkouang、2,820

Hkakabo Razi、

5,881m

Phan si Pang、3,143

天然 資源

木材、宝石、鉄鉱 石、マンガン、リ ン酸塩、水力発電 のポテンシャル

木材、水力発電、

石膏、スズ、金、

原石

石油、木材、スズ、

アンチモン、亜鉛、

銅、タングステン、

鉛、石炭、大理石少 量、石灰石、貴石、

天然ガス、水力発電

リン酸塩、石炭、マ ンガン、ボーキサイ ト、クロム酸塩、海 底採掘油・天然ガス 鉱床、森林、水力発

表 1-3 対象 4 カ国の気候情報

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム

気候

熱帯性;雨が多い。5 月から 11 月は雨季。 12 月から 4 月は乾季。

多少温度差あり

熱帯季節風気候;5 月 から 10 月は雨季。;11 月から 4 月は乾季。

熱帯季節風気候;曇り、

雨が多く暑い。夏は湿 気が多く(7 月から 9 月の西南地方は季節風 が吹く);曇りが少なく 小雨量、温暖気候、冬 の間は湿度が低い(12 月から 4 月の東北地方 は季節風が吹く)

南は熱帯性;北は季節 風気候で暑い。雨季は 5 月の中旬から 9 月の 中旬までで暖かく乾季 は 10 月中旬から 3 月中 旬まで。

自然 災害

7 月から 11 月は季節風 による雨;洪水;干ば

洪水、干ばつ、《植物》

胴枯れ病

大規模な地震とサイク ロン;雨季の間に多く 発生する洪水と地滑り

(6 月から 9 月);周期 的な干ばつ

時折発生する台風(5 月から 1 月)による大 規模な洪水

(a)カンボジア

メコン流域で面積が最も小さな国である。

陸地面積のほとんどはメコン川流域の浅瀬であり、中心にはトンルサップ湖が位置している。

(出所)「Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment」Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

(出所)「Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment」Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

(10)

3

また、南西部はカルダモンを中心とする山岳に覆われている。

生物多様性に富む地域で、世界的に見ても未開発な森林や湿地が多く、海岸線が侵食されてい ない。人口の多くが、生物資源で生計をたてている。

カンボジアの天然資源は隣国よりも少ないが、これらの採掘によってマングローブ林などの海 洋環境に悪影響が及ぼされている。

70 年来の紛争の結果、穀物耕地の多くは、地雷による危険が高く耕作が不可能なほか、2000 年に発生した洪水によるダメージを受けている。

(b)ラオス

東南アジアで唯一、内陸の国であり「Land Bridge」として機能している。

メコン川沿いのわずかな流域を除き、面積の大半は急勾配の岩場か、山岳地域であり、耕地と して活用できるのは面積のわずか 4%に過ぎない。

メコン川水量の 35%はラオスの水源に由来している。

村落の 25%、及び領土の半分以上は過去の紛争によって何らかの攻撃を受けており、特に南部、

西部のダメージは深刻である。15 州の大部分は安全に居住・耕作することが不可能といわれてい る。

高い山岳地域があることから、生物多様性に富むが、森林伐採による悪影響を受けている。

(c)ミャンマー

南アジアと東南アジアの境界に位置し、メコン流域で最も大きな領土を持つ。

北から南にかけて 3 つの山脈が延び、3つの河川の領域を分けている。山脈の谷間には肥沃な 耕地が広がっており、アエラルワディデルタ地帯を作り出している。

領土の半分を占める広大な耕地面積のほか、水資源、水産資源、石油やガスを含む鉱物資源にも 恵まれている。

多様な気候を持つことから、熱帯の作物と温帯の作物の両者が栽培できる。生物多様性に富ん でおり、“last frontier of biodiversity in Asia”と呼ばれている。

(d)ベトナム

北部以外は幅 50~500km の細長い領土を持ち、北部にはレッド川、南部にはメコン川に由来す る河川や水路が高密度に張り巡らされている。

領土の半分をレッド川とメコン川による広大で肥沃なデルタ地帯が占め、米作を中心とした農 業を支えている。

高地ではレアメタル等の鉱床が広がっているほか、北西部のレッド川デルタには貴重なエネル ギー資源を有している。

生物多様性はメコン流域で最も大きなダメージを受けている。

(3) 人口分布

対象 4 カ国を含む地域では、ベトナムのホーチミン、ハノイ、ミャンマーのヤンゴンでの人口 密度が高くなっており、山岳部が広がる内陸地域での人口密度は低い。また、対象 4 カ国を含む

(11)

4

全域で人口増加傾向が見られるが、内戦終結を契機にカンボジアの人口が著しく増加している。

(a)カンボジア

30 年続いた内戦のための飢饉や難民出国の結果、1981 年におけるカンボジアの人口は 670 万人 に過ぎなかったが、20 年後の 2001 年には人口は 2 倍の 1,330 万人に激増した。

人口の 4/5 は地方在住であるが、地方から都市への人口移動が著しく、都市のインフラに負担 をかけ、都市環境に高いストレスを与えている。

人口の 90%はクメール民族、その他は中国系、ベトナム系、その他少数民族である。

(b)ラオス

2002 年の人口は 530 万人であり、80%は地方に在住し、人口密度は 23 人/km2程度と低い。

ただし、人口傾向は増加傾向にあり、1985~2001 年にかけて人口密度は 2.5%増大している。

ラオスには 4 つの言語学的民族のもとに、49 の民族の存在が確認されている。宗教も複数存在 するが、大半は仏教である。

国全体の人口増加率に比べ、都市の人口増加率が高くなっているが、他の東南アジアの地域に 比較して、ラオスの都市問題は小さい。都市はいまだ小規模であり、人口もまばらで、工業も一 部地域で興り始めた程度である。

(c)ミャンマー

人口の 3/4(5 千万人)は地方に居住しており、135 の民族がいるとされている。

人口の約 90% は仏教徒だが、地域によってキリスト教、イスラム教、ヒンズー教も存在する。

(d)ベトナム

この半世紀で人口は 3 倍の 7,900 万人(2001)に達し、人口密度 239 人/km2はアジアの中で最 も高いレベルである。

(12)

5

(4) 貧困情報

対象 4 カ国はいずれもタイに比べて貧困層が多く、特にカンボジア、ラオスは世界的に見ても 貧困が大きな問題となっている。なお、ミャンマーについては、軍政発表によるデータをもとに した数値であり、信憑性に欠けるとの懸念が示されている。

表 1-4 対象 4 カ国の貧困の状況

※ 1 人間貧困指標

国連開発計画(UNEP)が定めた貧困度の指標であり、「平均寿命」「文盲率」「保健・安全な水」という3つの要素で貧困 度を測定する。例えば、人口の30%が上記3つの要素を充分に確保できず、文化的な生活を送るのが困難な状態(貧困)

の場合、当該国の人間貧困指標は「30」となる。

※ 2 人間開発指数

国連開発計画(UNEP)が定めた指標で、平均寿命、教育達成度(識字率と教育就学率を加えたもの)、生活水準(1人当た り実質国内総生産)という3つの指標で各国の基本的な人間の能力が平均どこまで伸びたかを測る。1に近いほど個人の選 択肢が広く、人間開発が進んでいることになる。

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム タイ(参考)

人間貧困指標※1 43 39 27 27 14

発展途上国中順位(88 カ国中) 75 64 44 43 21

人間開発指数※2 1 1 1 1 1

順位(173 カ国中) 130 143 127 109 70

貧困基準以下の人口割合(%) 36(1999) 39(1997) 14(2001) 37 13(1998)

平均寿命(歳) 56 54 61 68 70

出生数 1,000 人に対する 5 歳以下乳幼児の死亡率 120 90 72 34 33 出生数 1,000 人に対する乳児死亡率 95 47 30 25

出生数 10,0000 人に対する妊婦死亡率 437 530 230(1999) 100(1999) 44(1995)

欠食児童(%) 46 40(1995) 36 33 19

WHO への参加 ×

( 出 所 )「 Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment 」 Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

図 1-1 メコン流域地域における 5 歳以下乳幼児の死亡率

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

1990 1995 2000

調査年 1000人5歳以下乳幼児の死亡 率(人)

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム

( 出 所 )「 Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment 」 Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

(13)

6 (a)カンボジア

・ 2000 年における平均寿命は 56.4 歳であり、出生数 1000 人あたりの幼児死亡率は 95 人で ある。また、妊婦の死亡率は 10,000 人出生あたり 400 人に上る。

・ 発展による貧困抑制の結果、国民によりよい健康と教育を提供できるようになったが、現 在の健康や教育に関する法律は発展のペースを制約しているとの指摘もある。

(b)ラオス

・ 人口の 39%は貧困層に分類され、2000 年における平均寿命は 53.5 歳である。ラオスは人 類発展指標において 173 カ国中 143 位と非常に低いランクになっている。2000 年において 出生数 1000 人のうち幼児死亡率は 90 人、5 歳以下 幼児の死亡率は 107 人、妊婦死亡率 は出生数 10 万人あたり 530 人となっている。

・ 初等教育への入学率は 69%、成人識字率は 70.5%とこの地域で最も低くなっている。

(c)ミャンマー

・ 2001 年において人口の 14%(700 万人)は必要最低限の生活レベルに達していないとされ ている。2000 年において平均寿命は 61 歳とされ、出生数 1000 人について乳児死亡率は 47 名、5 歳以下乳幼児死亡率は 72%、出生数 10 万人あたりの妊婦死亡数は 230 人である。

(d)ベトナム

・ この 50~100 年、メコン流域においてベトナムはもっとも顕著な社会的発展を経験した。

2000 年における首都の GNP は 390 ドルであるが、生活レベルの発展は著しく、生活発展指 標は 173 カ国中 109 位となっている。

・ この 15 年で貧困層の割合は 70%から 37%と半減し、平均寿命(1995:62%→2000 年:68%)、

乳児死亡率(出生数 1000 人中 1990:36 人→2000:30 人)も向上している。ただし、5 歳 以下の乳幼児死亡率は出生数 1000 人中 34 人にとどまっている。

(14)

7

1.2 各国の経済と産業 (1)各国の経済と産業

①経済

対象 4 カ国のうち、ベトナムの GDP は他 3 カ国の 6~20 倍と突出して大きく、以降ミャンマー、

カンボジア、ラオスと続く。また、一人あたり GDP ではベトナムが最も大きいが、以下、カンボ ジア、ラオスが並び、ミャンマー(実勢レート)が最も低くなっている。

なお、対象 4 カ国ともに GDP 成長率 4.0~10.5%と成長が著しく、特にミャンマー※とベトナ ムの成長率が高い。長年の内紛(カンボジア、ラオス)や戦争(ベトナム)が終結した後、1990 年代に入ってから急激な経済成長を示している地域が多い。途中、1997 年のタイ通貨危機の影響 を大きく受けたが、1999 年には成長率がほぼ回復している。

表 1-5 対象 4 カ国における経済の概況

※ ミャンマーの経済指標は軍政発表によるもので、必ずしも実体を示していない懸念がある。

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム タイ(参考)

国内総生産(100 万$)

3,100(2001) 1,500(2001) 1.67 兆チャット(1999)

・公定レートで 2,670 億ドル

・実勢レートで 47.6 億ドル

30,400(2001) 135,000(2000)

1 人 当 た り 国 内 総 生 産

($)

260(2001) 260(2001) 34,636 チャット(1999)

・公定レートで 5,548 ドル

・実勢レートで 99 ドル

390(2001) 2,168(2000)

失業率(%) 2.6 4.05(1999)

輸出額(100 万$) 1,330(2000) 336(2000) 1,130(1999) 14,310(2000) 39,000(2000)

輸入額(100 万$) 1,540(2000) 437(2000) 2,588(1999) 15,200(2000) 34,100(2000)

インフレ率 5.0(1999) 94.1(1999) 18.4(1999-2000) 3.0(2000)

(出所)『インドシナ 4 ヵ国の投資環境(改訂版)-ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア-』2002 年 3 月/国際協力銀行 中堅・中小企業支援室 「Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment」Asian Development Bank, United Nation Environment Programme

2004.2

ASEAN 日本センター HP http://www.asean.or.jp

(15)

8

②産業

GDP 構成比を見ると、ASEAN 諸国の中でも、カンボジア、ラオス、ミャンマーは第一次産業への 依存が強い。ベトナムでは第一次産業の寄与が減少、第二次及び第三次産業が GDP に占める割合 が拡大しており、インドネシアやフィリピンとほぼ同様の産業構造に変化している。

図 1-2 国別産業別構成比(1999 年)

表 1-6 対象 4 カ国における産業の概況

※ 輸出入の詳細については、2.3 を参照

カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム

産業構成

(GDP 構成比)

(2000)

農林水産業:32.2%

鉱工業:24.1%

サービス業:43.8%

(2002)

農林水産業:50.3%

鉱工業:23.5%

サービス業:26.2%

(2000)

農林水産業:41.0%

鉱工業:19.4%

サービス業:18.7%

(2003)

農林水産業:21.8%

鉱工業:39.9%

サービス業:38.2%

主要工業製品

加工食品/レンガ/繊維 木製品/コーヒー/農産物/

製造業品/衣料/オートバ

食用油/砂糖/紙巻タバコ/

麻袋/石鹸/紙/セメント/

チーク製材/ガソリン/灯 油/ディーゼル油/燃料油/

化学肥料/自動車/揚水ポ ンプ/トラクター/耕転機

石炭/原油/電力/セメント/塩/植物油 /砂糖/茶/ビール/タバコ/繊維/織物/

衣類/革靴類/化学肥料/洗濯石鹸/自 転車用タイヤ/レンガ/タイル/建設用 ガラス/農業用ポンプ/ディーゼルエ ンジン/電線/扇風機/自動車組立/バ イク組立/テレビ組立/自転車 主要な輸出品

衣料品/履物 コーヒー/電気/衣服 /森林製品/石膏/錫

原油/衣料品/ 米/海 産物/コーヒー/履き 物/電子製品

米/ コーヒー/チーク材/鉱物 /豆類/宝石/ゴム

主要な輸入品

ガ ソ リ ン / 産 業 用 機械/建設資材

産 業 機 械 / 電 気 機 械 お よ び 部 品 / 化 学 製 品 / 鉄 鋼 / 燃 料 / 建 築資材

自 動 車 / 石 油 製 品 / ディーゼル油/肥料/

鉄 お よ び 鉄 鋼 / 化 学 薬品

動力耕耘機/ダンパー/手動 トラクター/ ローダおよびス ペアパーツ/肥料/揚水ポンプ /ディーゼル油/油圧式掘削機 /セメント/棒鋼・軟鋼

(出所)ASEAN 日本センター HP http://www.asean.or.jp

ベトナム:『ARC レポート 2003 ベトナム』/(財)世界経済情報サービス(ワイス)、

ミャンマー:『ARC レポート 2003 ミャンマー』/(財)世界経済情報サービス(ワイス)、

ラオス:『ラオス国別援助検討会報告書』1998 年 3 月/国際協力事業団

(出所)World Development Report 2000/2001 14

13 17

20 26

53 51

53 2

36

44 40 31

45 33

22 15 9 37

64 43 49 52

35 42

25 34 38 61 シンガポール

マレーシア タイ フィリピン インドネシア ベトナム ラオス カンボジア ミャンマー 日本(参考)

第1産業 第2次産業 第3次産業

(16)

9

(2)カンボジアの経済と産業

① 経済政策

カンボジア経済に転換期が訪れたのは、1990 年代初めである。カンボジアは 1991 年のパリ和 平協定の締結によって内戦が終結し、1993 年のUNTAC監視下の占拠を経て、政治面では一応 の安定をみた。これと同時に、経済面では計画経済から市場経済への体制移行が進められ、93 年 9 月に施行された「カンボジア王国憲法」において市場経済化を進めていくことが示された。こ の政治経済面での一大転換以降、カンボジアの経済は急激な構造変化を遂げている。

市場経済化は、当初は国際援助機関等による援助依存型経済をもたらしたが、94 年 8 月に投資 法が施行されたことで外国資本による工業化が経済成長の原動力の中心に据えられた。

② 経済動向

20 年間の内紛の後の経済発展は現在も続いている。1991 年に国際社会に復帰して以降、生活レ ベル、及び経済の発展は著しい。特に 1993 年以降の発展は力強い。アジア通貨危機による影響は 受けたものの、1999 年には回復を見せ、2000 年以降は継続的に実質経済成長率 5%以上をキープ している。

環境やその他の分野に関する健全な政策と、適切な法的実行力、機能的な政府機関が同時に機 能すれば、経済発展は継続すると思われる。

③ 産業構造 概観

(A)セクタ-別

2000 年時点におけるカンボジアのセクター別産業構造(国内総生産比)は、第一次産業 32.2%、

第二次産業 24.1%、第三次産業 43.8%となっている。このうち、第一次産業では米作が 12%、

第二次産業では繊維縫製業が 10%、第三次産業では卸・小売業が 14%で各セクターを牽引する産 業となっている。

カンボジアの産業別実質成長率を、市場経済体制への移行後 6 年間の平均伸び率で見ると、第 一次産業で-0.9%であるのに対し、第二次産業で 13.3%、第三次産業では 6.6%の成長を遂げて いる。第二次産業については、特に繊維縫製業が過去 6 年間で継続して年率 20~50%の伸びを示 していることが、飛躍的な成長をもたらしている。

(B)主体別

カンボジアの国有企業の処理は着実に進展している。内戦を背景として、国有企業の多くがす でに工場休止状態であったことから、閉鎖による影響が軽微であり、89 年の民間企業へのリース 開始、91 年の売却開始以降、迅速に民営化や閉鎖が進んでいる。2000 年時点の国有企業は 44 社 だが、うち、12 社のみ国有企業として残る予定とされている。

④産業動向

(A)農林水産業

・ 1999年時点で労働人口の80% 程度が農業に従事している。1990年においてGDPの55%

を農業が占めていたが、2001年には40%に低下した。

・ カンボジアの農業は米作中心である。その他の作物では豆類、とうもろこし、砂糖やし等が

(17)

10

栽培されているほか、ゴムプランテーションやたばこの栽培が行われている。

・ 地方を中心に30万ha以上の国土には地雷による危険があり、農業に大きな障害となってい る。また、この70年で最も被害の大きかった2000年の洪水は米作に大きなダメージを与え ている。

・ タイとの国境付近で民間事業者における原木伐採が行われている。しかし、環境保護の観点 から国際機関やNGOより原木伐採に対する批判がなされており、伐採量は規制されている。

(B)鉱業・エネルギー

・ タイとの西部国境地域において、ルビーやサファイヤ等の宝石の採掘が行われている。

(C)製造業

・ 過去数年間の経済発展は工業の成長によるものである。特に繊維縫製業は急成長を遂げてお り、過去6年間継続して年率20~50%の伸びを示し、現在は国内総生産の9.5%を占めるリー ディング産業に成長している。なお、繊維縫製業の大半は外資企業によるものである。

・ 食品加工、木材加工、紙製品、プラスチック製品等の繊維縫製以外の製造業も、過去 6年間 平均で7%程度の成長を達成している。

表 1-7 産業別実質成長率 (単位:%)

産 業 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000

第1次産業 3.1 3.9 -3.6 5.9 -2.9 -3.5 -4.4

米作 -9.5 20.2 -7.3 8.1 -0.8 -5.3 -11.6

その他農作物 -9.5 -0.9 2.0 7.9 1.2 5.0 0.7

漁業 7.1 11.5 -6.1 1.2 -21.9 8.0 4.7

第2次産業 17.9 16.8 15.9 0.8 11.7 16.8 19.0

食品・たばこ 8.1 12.3 7.6 4.2 4.0 5.3

繊維縫製 21.6 28.3 44.2 37.1 49.0 36.5

電気・水道 20.2 12.0 4.6 11.1 10.8 13.8 14.7

建設 17.5 23.1 20.9 -20.5 7.2 4.4 13.3

第3次産業 14.5 10.4 6.1 2.8 1.5 12.2 6.8

卸・小売業 21.1 9.4 5.8 4.4 3.0 21.7 6.1

ホテル・観光 49.3 43.1 30.3 -6.9 -5.6 17.7 12.3

国内総生産 6.3 8.4 3.5 3.7 1.5 6.9 5.4

(製造業) 17.7 13.1 13.3 17.5 14.5 23.8 21.9

出所:Scocio-Economic Development Requirements and Proposals.

(出所)Socio-Economic Development Requirements and Proposals.

(18)

11

(出所)Socio-Economic Development Requirements and Proposals.

図 1-3 カンボジアにおける産業成長率推移

(D)サービス業

・ 国内総生産の14.4%(2000年)を占める卸・小売業は平均8.2%の伸びを示している。

・ 1990年代後半から近年の政治的安定により、アンコールワットを中心とした観光が盛んにな っている。1999年には観光客が63,000㌦をカンボジアで消費し、2000年には観光客が34%

増を記録し、観光はカンボジアにおける最も著しい成長産業となっている。

(E)その他

・ 国内総生産の6.5%(2000年)を占める建設業が、平均7.0%の伸びを示している。これは、

繊維縫製業を中心とした工場建設、ホテルなどの観光施設建設、援助関係のインフラ整備に 支えられている。

※参考文献

ASEAN日本センター 投資情報 http://www.asean.or.jp/invest/guide/index.html 『カンボジア経済入門』 廣畑伸雄 日本評論社発行 2004.1

『Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment』Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

『アジア動向年報 2003』アジア経済研究所 2003.6 -30

-20 -10 0 10 20 30 40 50 60

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000

第1次産業 第2次産業 第3次産業 繊維縫製 ホテル・観光 電気・水道 卸・小売業 建設 食品・たばこ その他農作物 漁業

米作 国内総生産 (製造業)

(19)

12

(3) ラオスの経済と産業

① 経済政策

1975 年 12 月、「ラオス人民民主共和国」が樹立され、人民革命党を指導党とするラオス政権は、

産業の国営化と集団化を通じて社会主義国家建設を推進してきた。

しかし、旧ソ連による援助の急減と国際機関や西側先進諸国による援助の急増を背景に、社会 主義経済下における自給自足的な自然経済から商品市場経済への総合的な転換を図る経済改革が 進められた。この改革は、「チンタナカン・マイ」(新思考)と呼ばれ、1986 年の党大会で公式に新 経済メカニズム(New Economic Mechanism---NEM)として確認されている。

新経済メカニズム(NEM)のもとで実施されてきた諸改革は、世界銀行や IMF およびアジア開発銀 行による度重なる診断を受け、以下のような骨子が定められている。

(A)完全な価格自由化(公共料金を除く)

(B)米流通の国家独占の終了および農業の自由化 (C)国有企業改革

(D) 2 大税制改革:支出優先事項の再整理(政府職員賃金・給与を除く)。中央予算および地方予 算の一般予算への統合

(E)貿易自由化:関税分類の簡素化。数量制限および輸出入特別許可制度の撤廃。

(F)複数為替レート制の一本化。公定レートとパラレル為替レートの乖離縮小化。

(G)中央銀行と商業銀行の分離 (H)法整備の拡充

(I)外国直接投資の誘致

1997 年 7 月の ASEAN 加盟と同時にアジア通貨危機が発生し、ラオスも多少の影響を受けたが、

自給自足的な農業が主体的な農村地域が未だ多いこともあり、他の ASEAN 諸国ほどの打撃はない。

② 経済動向

アジア通貨危機が発生する以前の 1992 年から 1997 年にかけては、GDP 成長率は平均 6.0~6.3%

で安定していた。また、アジア通貨危機からの回復は比較的早く、2000 年には GDP 成長率 5.9%

まで回復している。農業に加えて、手工業と電気製品製造が 1999 年の回復をもたらしたと考えら れる。

(20)

13

③ 産業構造

2002 年度において、GDPに占める産業別の寄与割合は、第一次産業 50.3%、第二次産業 23.5%、第三次産業 26.2%となっている。成長率では一次産業 4%、第二次産業 7%、第三次産 業 7.7%と、小売・卸や観光を中心とした第三次産業の成長が著しい。

④ 産業動向

(A)農林水産業

・ 領土の半分以上は急勾配で農業には適していない。さらに南部と西部を中心として25%の村 落と、領土の半分以上は近年の内紛により不発弾による危険が多い。

(B)工業

・ 1996年にGDPの15.4%を占めていた手工業は2000年には16.8%を占めるに至り、ラオス 経済での重要度を増している。

・ ラオスの主な工業は、衣料、服飾品、靴、ビール、清涼飲料、木材及びプラスチック加工製 品、タバコと葉巻である。衣料品の輸出量は1996年には6,400万㌦だったが、2000年には 7,700万㌦に増加している。

・ ラオスの主要産業の一つが木材関連。同国の輸出額3億2,200万ドル(02年度商業省まとめ)

のうち、木材と木材を使った家具の割合は23%で7,400万ドル。また、近年では森林保護の ための植林活動も活発化している。

表 1-8 産業別国内総生産(実質:1990 年価格)

(単位:100万キープ) 1997 1998 1999 2000 2001 作物 253,419 269,712 306,119 346,563 360,744 鉱業・採石 3,566 4,057 5,416 5,489 5,555 製造業 150,027 164,455 176,129 188,803 210,561 運輸・通信・郵便 52,935 56,390 59,662 65,015 70,606 卸・小売業 85,061 93,397 100,150 105,132 114,068 ホテル・レストラン 16,543 17,859 21,720 25,303 25,007 (注)2000年、2001年は2000年価格。2001年は推計値。

(出所)State Plannning Committee National Statistical Centre, Basic Statistics of the Lao P.D.R 1975 2000,

Basic Statistics of the Lao P.D.R 2000, Statistical Yearbook 2001

(出所)State Planning committee National Statistical Centre Basic Statistics of the Lao P.D.R 1975 2000

Basic Statistics of the Lao P.D.R 1 2000, Statistical Yearbook 2001

(21)

14

図 1-4 ラオスにおける産業別国内総生産推移

(D)サービス業

・ 観光は外貨獲得の資源として期待されている。観光客数は増加しており、1999年には前年度 比 20%増の 60 万人以上が訪問している。なお観光客の半数以上は隣接するタイから来てい る。

世界遺産への指定とラオスの観光産業 日刊工業新聞 2003.12.23 16頁 より抜粋

ラオスには、旧王国時代の寺院や遺跡が多く現存しており、観光客誘致への期待も大きい。95年には北部の ルアンパバーンが、01年には南部のワット・プー遺跡がそれぞれ世界遺産に指定された。内戦で傷んだ遺跡の 修復も各地で進む。

同国を訪れる観光客は、90年から00年までの10年間で、年間約14,000人から約70万人にまで増加し た。01年の米国同時多発テロや03年のイラク戦争の影響で、ここ数年は観光客数が落ち込んでいるものの、

ホテルやレストランの経営は外国企業にも開放されており、観光産業の発展も急速。

ルアンパバーンについては、02年に訪れた観光客は約16万人で、95年と比較して3倍強に成長。日本人も

7,000人弱が訪れた。ラオス観光促進局ルアンパバーン事務所のカンポイ・フォマボング所長は、「市内のホテ

ルを増やすとともに、航空路の増便、新路線開設も進める」としている。また、周辺の村落に残る地酒造りや 手工芸品製造など、伝統技術の掘り起こしにも乗り出している。

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000

1997 1998 1999 2000 2001 (単位:100万キープ)

作物 製造業 卸・小売業 運輸・通信・郵便 ホテル・レストラン 鉱業・採石

(22)

15

(E)その他

近年、タイやベトナムへの輸出を見込んだ水力発電が盛んである。ラオス国内で技術的に開発 可能な水力発電ポテンシャルは 23,000MW とされており、メコン流域全体の 2/3 の発電ポテンシャ ルを有する。現状では、大及び中規模の水力発電所 6 施設と、30 箇所の小規模水力発電所で、600MW の発電能力を有しているが、未だ、ポテンシャルの 4%未満しか利用されていない。今後、タイ やベトナムへの輸出を目的とした大規模な水力発電等がメコン川及びその支流流域で多く計画さ れている。

表 1-9 メコン川流域地域における水力発電輸出計画

(出所)『Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment』Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

a 発電所、変電所、伝送路関連含む b 概算

発電輸出国 プ ロ ジ ェ ク ト 発 電 輸 入 建 設 完 成 予 定

(年)

設備容量

(MW) 確定容量(MW)

Lower Se San 2 ベトナム 2018 207 167 Sambor CPEC ベトナム 2019 465 347

Nam Mo ベトナム 2006 105 94

Nam Theun 2 タイ 2008 1,088 937

Nam Ngun 2 タイ 2008 615 415

Nam Ngun 3 タイ 2008 460 328

Hongsa Lignite タイ 2010 720 641

Se Pian-Xe Namnoy タイ 2010 390 362

Xe Kaman 1 タイ 2010 468 408

Nam Ngiep 1 タイ 2011 240 195

Nam Theun 1 ベトナム/タイ 2012 400 360

Nam Kong 1 ベトナム 2012 240 184

Xe Kaman 3 ベトナム 2012 308 273

Se Kong 4 ベトナム 2014 440 382

Se Kong 5 ベトナム 2014 253 185

Nam Theun 3 ベトナム 2016 236 149

ミャンマー Tasang タイ 2012 3,600 3,000

カンボジア ラオス

(23)

16 ラオスで重要度を増す水力発電

ビエンチャン・タイムス 2004.2.26 より抜粋

ラオスの工業手工芸省の幹部は、昨日(2004 年 2 月 26 日)、ラオスは 2020 年までに、メコン河の支流に 15 の水 力発電用ダムを建設する計画だと述べた。

水力発電所の建設計画は、工業手工芸省の 2020 年に向けた戦略の 1 つで、月曜日(2 月 23 日)に始まり本日(2 月 27 日)終了したビエンチャンでの工業手工芸に関する国レベルの会議を通過し採択された。

「2020 年までに発電する電力目標を 6,000 メガワットに定めました。これらの発電所は目標を達成するための助け となるでしょう」、電力局の HoumphoneBulyaphol 局長はそう述べた。

工業手工芸省は国全体の発電所の潜在的な可能性について調査を行ってきた。調査は、ラオスには 2 万 3,000 メ ガワットの発電能力があり、そのうち 1 万 3,000 メガワットはメコン河支流から産み出されると結論付けた。残り の 8,000 メガワットについてはメコン河本流から、2,000 メガワットは褐炭やメコン河以外の河川から産み出され る、Houmphone 局長はそう説明した。

ラオスにおける莫大な発電可能性を考えると、工業手工芸省としては、メコン河本流ではなく、支流における水 力発電所建設をより好むだろう。

メコン河は、数か国を流れる大河であり、水力発電所の建設が河川近隣の環境や生活にどのような影響を与える かについて更なる調査を行うべきだと Houmphone 局長は記者に語り、中国が雲南省でメコン河に水力発電所を建設 している話に触れた。

「メコン河本流での発電用ダムの建設は、最後の選択肢です」、Houmphone 局長はそう話し、ラオス政府としては国 内の発電所建設を優先すると確約した。

Houmphone 局長によれば、2020 年に向けた電力生産戦略には、メコン河本流の発電所は含まれていないということ だ。

Houmphone 局長は、発電のほとんどは輸出用で、ごくわずかだが、国内消費用にも確保すると話した。

しかし、2020 年までに人口の 90 パーセントが電力へのアクセスができるようになるとも語った。現在はその割合は わずか 37 パーセントである。

電力網の拡大は、多くの異なる要素から成り立っている。都市と農村の間の送電線の敷設は金のかかる仕事であ る。というのも、村や居住地は、国中に散らばっているからだ。こうした農村への送電線の敷設だけではなく、「太 陽光発電や小水力も地方の電力消費需要のために作られるでしょう」、局長はそう説明した。

2020 年の電力戦略が達成できるかどうかは、工業手工芸省だけでなく、関係する他の政府機関にもかかっている、

Houmphone 局長は、より透明性がある投資政策が必要だと付け加えながらそう話した。「ラオスは電力生産の潜在能 力だけの国ではないので、そのためのメカニズム、投資関連の法律、環境影響調査についても考慮しなければなり ません」

(24)

17

※参考文献

ASEAN日本センター 投資情報 http://www.asean.or.jp/invest/guide/index.html

『Greater Mekong Subregion ATLAS of the Environment』Asian Development Bank, United Nation Environment Programme 2004.2

『アジア動向年報 2003』アジア経済研究所 2003.6

『カンボジア経済入門』廣畑 伸雄 日本評論社 2004.1 国家戦略としてのタイに対する電力供給

The Nation 2003.12.01 より抜粋

ラオスは、タイに対して多くの安定した電力を供給するという目標を達成する努力として、1997年の財政危機で 破棄されたプロジェクトを進めていた発電開発業者と一連の会合を計画している。

ラオスのSomsavat Lengsavad副首相は、昨日(20031130日)、ラオス政府は、ホンサ褐炭火力発電所プ ロジェクトとナムグム2及びナムグム3水力発電プロジェクトの投資家を招いて、プロジェクトの完成について話 し合いを行うつもりだと述べた。設計上は、3つのプロジェクト合わせて、1,700メガワット分以上の電力をタイに 輸出することができる。

タイの投資家である、タイーラオ電力会社のNgan Thaveeグループ、Ch Kanchang、MDXグループは、1990 年代の初めに、それぞれのプロジェクトについて個々開発を提案したが、1997~98年の経済危機の間に計画を取り やめざるを得なかった。

「政府としては(覚書で)約束された通りに、タイにエネルギーを供給するためにプロジェクトを復活させて欲 しい。そして、これらのプロジェクトを主導した投資家に優先権を与えたいと考えている」、Somsavat副首相はイ ンタビューの中でそう述べた。

ラオスは、タイの投資家にプロジェクトを継続してもらい、前月のナムトゥン2プロジェクト同様に、タイとの 間に電力購買合意を結びたい、と副首相は述べた。

1990年代半ば、タイは2008年までにラオスから3,000メガワット分の電力を購入するという覚書に調印した。

2つの小規模な水力発電プロジェクト=トゥンヒンブンダムとホアイホダムから、約300メガワット分が産み出さ れ、それぞれ1998年、99年にタイへの電力供給を始めている。

タイ発電公社は、長い遅れのあと、2003118日に、論議を呼んでいるナムトゥン2プロジェクトからの995 メガワット分の電力購買合意に調印した。

このダムは、2009 年までにタイへの電力輸出を始めることが期待されている。ラオスの外務大臣も務める

Somsavat氏は、タイ南部のリゾート地のサムイ島で開かれた「タイーラオス合同委員会」の会合中に、この問題に

ついて、タイのSurakiart Sathirathai外務大臣と話し合った。Somsavat氏によると、会合ではまた、20043 月後半にラオス南部のチャムパサック県で開かれる2か国合同閣議より前の2月終わりまでに、国境線引きをめぐ る意見の相違を解決することに合意したとのことである。

「我々は、合同閣議までに、電力購買契約を含む古い問題を解決し、両国関係の物語りの新しい章を作る画期的 な出来事にしたいと思う」、Somsavat氏はそう述べた。

そして、合同閣僚会議は、両国に「真の相互利益をもたらす」タイーラオス関係の新しいビジョンを宣言すること になる、と述べた。

(25)

18

(4) ミャンマーの経済と産業

① 経済政策

前政権による「ビルマ式社会主義」経済制度は、89 年に軍政がこれを放棄、市場経済化と対外 開放に踏み切った。これにより、軍政は破滅的な状況にあった経済立て直しを図ったが、軍政を 非難する先進諸国からの ODA 供与が停止され、再建資金の確保が非常に困難になった。

そこで、軍政は新たな外貨獲得の手段として、民間外資の導入や軍政に好意的な中国からの無 利子借款などを実施し、91 年以降経済は回復基調に転じた。しかし、96 年以降は、天候不順によ る米作の不振、アジア通貨危機による投資国の景気悪化、長引く ODA 停止の影響を受け、経済は 低迷、外貨は急減した。ミャンマー政府はアジア通貨危機対応として外貨獲得のための緊急避難 的な各種の厳しい規制を設けたが、これが逆に外資の撤退に繋がり、外貨不足は一向に回復され ない状況にある。

②経済動向

輸出の不振、海外直接投資の低迷、ODA 停止の長期化は、ミャンマー経済の成長に大きく障害 となっている。2000 年度以降、軍政は経済に関る正式統計を公表しなくなったが、経済成長率に ついては 4 年(1999~2002 年度)連続で 10%を超える数値を示している。これは、実体経済とは かけ離れた極めて政治的な数字と指摘されている。

③産業構造

(A)セクター別

2002 年度のGDPに占める産業別の寄与割合は、第一次産業:41.0%、第二次産業:19.4%、

第三次産業:18.7%となっている。

(B)主体別

軍政は、1989 年に国営企業民営化の方針を示唆している。国営企業が所有するとされた分野は 12 分野に限定され、それ以外の分野については民営化の対象になっている。一部は外資企業との 合弁や民間への払い下げをすることで民営化が動きはじめているが、国庫歳入の 30%が国営企業 からの納入金で占められていることもあり、進展は鈍い。

一方で取引の自由化や金融・為替の規制緩和によって民間部門の活動が奨励され、2000 年まで に 4 万件弱の企業が登録されている。小規模事業者が多いものの、民間部門の生産は確実に伸び ている。しかし、ミャンマーの民間企業は、農業、軽工業、輸送に偏っており、エネルギー、重 工業、米売買などの分野では国家による統制が行き渡っている。

表 1-10 に、所有形態別の製造業工場数を示す。

図 1-3 カンボジアにおける産業成長率推移  (D)サービス業  ・  国内総生産の 14.4%(2000 年)を占める卸・小売業は平均 8.2%の伸びを示している。  ・  1990 年代後半から近年の政治的安定により、アンコールワットを中心とした観光が盛んにな っている。 1999 年には観光客が 63,000 ㌦をカンボジアで消費し、 2000 年には観光客が 34% 増を記録し、観光はカンボジアにおける最も著しい成長産業となっている。  (E)その他  ・  国内総生産の 6.5%(2000 年)
表 1-15  アジア開発銀行による案件(カンボジア)
表 1-17  アジア開発銀行における案件(ベトナム)
表 1-18  世界銀行による案件(カンボジア)
+7

参照

関連したドキュメント

■詳細については、『環境物品等 の調達に関する基本方針(平成 27年2月)』(P90~91)を参照する こと。

■詳細については、『環境物品等 の調達に関する基本方針(平成 30年2月)』(P93~94)を参照する こと。

その他 わからない 参考:食育に関心がある理由 ( 3つまで ) 〔全国成人〕. 出典:令和元年度食育に関する意識調査 (

図表の記載にあたっては、調査票の選択肢の文言を一部省略している場合がある。省略して いない選択肢は、241 ページからの「第 3

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