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教育実習の充実に向けた取 り組み

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Academic year: 2021

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教育実習の充実に向けた取 り組み

亀 田隼人、山本由佳、奥住秀之

Ⅰ はじめに

教育系単科大学の附属学校 として、附属特別支援学校 ( 以下、本校)における教育実習の意義は大 きい。

本校では、本学の特別支援教育専攻の学生に対する 「 応用 ( 必修)実習 」 と教育系全課程の学生に 対する 「 選択実習 」 を実施 している。いずれの教育実習も、本学における 「 事前事後指導」の講義単 位 を取得することが前提 となっている

事前指導 としては、学生が本校の授業の様子を観察する 「 観察実習」 と、授業に参加する 「 プ レ実 習」が設定 されている。また、各学部主事および本校の教育実習担当教員が、大学で学部の様子等を 講義す る機会が設定 されている。事後指導 としては、 「 ポス ト実習」が設定 されている。それぞれ、

これまでの積み重ねによって一定の成果を得てきたが、特別支援教育に高い志をもつ人材を一人でも 多 く現場に送 り出せ るよう、更なる充実が望まれるところである。

以下に、今年度の教育実習についての取 り組みを報告する

また、教育実習終了後に各学生に対 し て行ったアンケー ト調査の結果か ら、指導の充実に向けた課題を整 理する。

Ⅱ 教育実習の一年のながれ

図 1 に 「 教育実習の一年のながれ」を示 した。

実習期間は応用 ( 必修)実習が 3週間、選択実習が 2週間の設定であった。学生が本校の様子を知 り、幼児、児童、生徒の実態を把握 し、授業やそれに伴 う教材を十分に研究す るには、設定 された実 習期間内では難 しい と考え、今年度 も、本学の 「 事前事後指導 」 担当教員と連携を図 り、「 観察実習」

「 プ レ実習 」 「 ポス ト実習 」 を実施 した。

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Ⅲ 観察実習

観察実習は、学生 自身が授業をとお して、本校の雰囲気や活動の様子はもちろん、幼児、児童、生 徒のライフステージにおける指導やその系統性について観察することを目的 として設定された実習で

ある。

今年度は、 4 月下旬から 5 月中旬にかけて、幼稚部、小学部、中学部、高等部の各学部授業観察 ( 計 4 日) と、学校行事である 「 春のレクリエーション大会」の予行および大会当日の観察 ( 計 2 日)を 設定 した。設定 目的を考えると、学生には設定 した観察 日すべてに参加 してもらいたいとい うおもい があるものの、大学での授業や教員採用試験を目前に控えての参加 とい う学生の実状をふまえ、「 春の

レクリエーション大会」を含めた 3 日以上の参加を原則 とした0

「 春のレクリエーション大会」は、「 出会い ・交流 ・親睦 」 をテーマ として、毎年 5 月に行われる学 校行事である。全校の幼児、児童、生徒のほかに、保護者や卒業生、地域の支援者、近隣の住民など が一堂に介 して行 う活動であ り、年齢に応 じた指導の違いや学部を越えた子 ども同士のかかわ りだけ でなく、本人を取 り巻 く人々とのかかわ りを目の当た りにできる機会 として大切にしている。

観察実習 と並行 して、本校の各学部主事 と教育実習担当教員が大学の 「 事前事後指導」の授業で学 生に講義をする機会を設定 した。学生 自身に授業や行事を観察 させ るだけでなく、観察 した活動それ ぞれの意義や本校が大切にしていることについての理解を図った。

観察終了後、学生はその 日の 「 記録 レポー ト 」 を作成 し、大学の 「 事前事後指導 」 担当教員に提出 した。

学生は、観察実習をとお して自分 自身の興味関心や適正などについて考え、 5 月下旬に 「 希望配属 学部調書 」 を提出 した。

Ⅳ プレ実習

配属学部決定後、実習期間までのおよそ 2 ケ月間をプ レ実習期間 として設定 した。本校では、 8 月 は夏季休業期間となっているため授業は行われないが、 「 夕涼み会」などの行事が開催 される。学生 には、観察実習で参加を求めた 「 春のレクリエーション大会 」 と共に、本校における行事にもできる だけ参加 してほしいとい うおもいから、 8 月もプレ実習期間として位置づけた。

プレ実習では、学生は配属学部の授業を見学するだけでなく、実際に参加することで子 どもたちと の関係づ くりを行っていく

指導教員から直接指導を受けなが ら、より具体的に子 どもたちの実態を 把握 し、実習期間に自分 自身が行 う授業についてのイメージを膨 らませる期間である。

プレ実習は、観察実習 と異な り、学生各人が指導教員と連絡を取 り合いなが ら日程を調整 した。観 察実習 と同様に教員採用試験 を目前に控えている実状か ら、例年の参加回数は学生によらて差がある が、今年度は約半数が 5 回以上参加するなど、意欲的であった。

実習後に、その 日の 「 記録 レポー ト」を作成 し、大学の 「 事前事後指導」担当教員に提出 した。

Ⅴ ポス ト実習

ポス ト実習は、実習期間に全員が行 う研究授業や陵業研究会をとお して学び とったことを次につな げる実践の場 として、実習期間後に設定された。プレ実習 と同様に、学生が自分の意思で指導教員に 連絡をし、 日程を組んア ミ

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しか し、選択実習については 2 月下旬以降の設定となっているため、実質の参加は難 しい現状であ る。今年度は年間を通 じて 8 名の参加があった

中には継続 して参加 し続ける学生もいたが、多 くは

1 、 2 回の参加にとどまった。

Ⅵ 成果と課題

実習終了後に学生に対 してアンケー ト調査を行なった。集計結果 ( 回収率 8 2%)か ら、今年度の 教育実習についての成果と課題を考え、整理する。

1 )観察実習

約半数の学生が 「 春のレクリエーション大会」を除いて 2 日間の参加をしていた。自分 自身にとっ て役立つものとなったかとい う質問には、ほとん どの学生が肯定的な回答であった

「 学校全体の雰 囲気やイメージをつかむのによい機会だった 」 「 配属学部を考えるよい機会になった 。 」 「 配属 されな い学部も見学でき勉強になった」などの自由意見からもあり、おおよそ、設定 目的を果た していると 考えた。

一方で、「 全学部を見学できなかったのが残念 」 「 もっとたくさんの日程があればよい」など、参加 したくてもできない学生の実状が伺 える意見もあった

上記のように、学生は、観察実習を受けて配 属学部の希望を提出する。ほとんどの学生は第二希望までに配属 されるが、本校の幼児、児童、生徒 ノ 数や授業数 との関係で、すべての学生の第一希望に応えられない事実がある。このことは、学生によ っては、観察実習で観察できなかった学部に配属 される可能性があるとい うことでもあ り、すべての 学生にとって観察実習が有効なものになるためには、 日程を増やすなどの改善が必要だと考える。

また、自由意見の中には、「 特に何をみていいのかわか らなかった 」 「 始まる前に各部の しお りをも らって自分な りに整 哩してお くとよい」とい う意見もあった。学生が明確な目的をもって観察実習を 行えるような事前の周知が必要だと考える。

2) プレ実習

9 0%を超える学生が役に立ったとい う回答をした。「 子 どもごとの性格や特徴を知ることができた 」

「 夏休み前に子 どもの様子が知れたので教材研究ができた」などと、プレ実習後に成果を実感 した り、

本実習に向けた具体的な計画を立てた りすることができていた。 「 繰 り返 し行 くとながれがつかめて よい」などの感想 もあり、学生が、プレ実習に繰 り返 し参加できるように、大学での 「 事前事後指 導」

の授業等の機会を使って、引き続きプ レ実習に対する学生の意識を高めていくことが必要だと考える。

3)ポス ト実習

上記のように、設定時期 との関係で選択実習を受けた学生にとっては参加が難 しい実習であるが、

参加 したほとん どの学生は、ポス ト実習に対 して肯定的な感想をもっていた。自由意見の中には、「 実 習中に比べて子 どもたちが成長 していた 」 「 時期によって学ぶことが違 うことがわかった」など、実 習期間とポス ト実習期間を比べたときの学校や子どもたち、自分 自身の変容‑の気づきが多 く挙げら れていた。また、ポス ト実習に参加できなかった学生の多 くは、機会があればぜひ参加 したいとい う 希望をもっていた。参加 したい活動 としては、学校行事を挙げる学生が多 くいたが、「 研究授業の反 省 をいか して実践の場をもう一度与えてほしい」とい う意見もあった。ポス ト実習は実習期間に学ん

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だことの補充が 目的 となっているため、指導教員の業務や学生の予定を考慮 した うえで、より具体的 に計画を立て、学生が授業に参加 した り授業を行った りしながら、実習期間で得た学びを深められる 機会に工夫できればよいと考える。

Ⅶ まとめ

今年度の教育実習は、終了後に学生に対 して行ったアンケー トの集計結果からも、本実習やその事 前事後に行った各種実習 ともに有効だった と考えられた。今後の教育実習をより充実 したものとして い くために、すべての実習生に各種実習の意義を明確に示す工夫や、できるだけ多 くの来校機会を用 意することが必要だ と考える。

Ⅶ 「 事前事後指導」 担当の大学教員より

教育実習は、大学で積み重ねてきた教職に関する知識 を実践の中で確終するきわめて重要な時間で あ り、卒業論文 とともに大学 4 年間の集大成 ともい うべき活動である。

知的障害のある児童 ・生徒に対する実践にあたっては、教師 と児童 ・生徒 との間で心許せる関係を 築 くことがまず大切 となる。しか し、これは決 して短時間でなし得るものではない。となると、場合 によっては、教育実習の 3 週間すべてがその取 り組みで終わって しま うこともあり得るわけア ミ そ う した関係性の築きはもちろん大切な実習での学びではあるが、しか しもう一歩深めるのであれば、関 係性の構築だけで実習が終わって しま うことは少 し残念でもある。また、指導する附属学校教員と実 習生 との関係性 もまた、実習開始直後に即座に構築 されるわけでもないだろ う。いくらかの時間が求 められる。

こうして、実習生 と児童 ・生徒、実習生 と指導教員 とい う関係性が一定構築 された状態になってか ら、教育実習を開始することはできないだろう

か 。

こうした願いから、観察実習、プレ実習を行なっ ているのである。学生が主に活動する小金井キャンパスと、 教育実習を行な う東久留米キャンパスは、

公共交通機関で 1 時間以上を要 し、授業、卒論研究、学校ボランティア等の合間を縫って観察実習、

プ レ実習に参加することは決 して容易ではないと思 う。それでも多 くの学生は熱心に参加 した。実際、

エ ビデンスがあるわけではないが、観察実習、プレ実習に意欲的に参加 した学生ほど、教育実習本番 もまた充実 していたような印象を受ける。

課題はポス ト実習であろ う。教育実習が終了する 1 0 月か ら、ほとん どの学生はラス トスパー トで 卒業論文に取 り組む。提出は 1 2 月下旬だ。ポス ト実習に参加 したくてもなかなか時間が取れないと い う葛藤に悩みなが ら、それでもいくらかのことを試行的に行ない得た。今後 これをどのように充実

させてい くか、検討す る必要がある。

来年度 も更なる充実に向けて取 り組みを進めたい。

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参照

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