論文内容要旨
論文題名
Safety and efficacy of adenosine 5’-triphosphate as a hyperemic agent for the assessment of peripheral fractional flow reserve 末梢血管に対する血流予備量比測定時の血管拡張薬剤としてのアデノシ ン 5'-三リン酸の安全性と有効性について
掲載雑誌名
THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL OF MEDICAL SCIENCES
専攻名:外科系 救急災害医学 (藤が丘病院) 氏名:前田 敦雄
内容要旨 目的:
閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療では、狭窄病変に対して拡張 術やステント留置術を施行する。狭窄病変を治療対象とするかどうかは、
造 影 上 の 狭 窄 度 や 超 音 波 検 査 で の 狭 窄 度 の 推 定 、 血 流 予 備 比 検 査 (fractional flow reserve: FFR)などで判断する。血流予備比検査は、血 管拡張剤を投与した状態で、狭窄病変の前後の平均血圧を測定することに よって、患肢が虚血状態であるか推定する検査方法である。すでに冠動脈 狭窄の評価としては確立されている。一方で閉塞性動脈硬化症に対しては、
血管拡張剤も投与量も確立はされておらず、学会報告レベルではあるが、
薬剤や投与量にばらつきがあることが判明している。単一の血管拡張剤や 投与量では、治療対象として判断してよいか判別できない。そのため当院 では、過去の文献報告・学会報告などを参考に、血管拡張剤は塩酸パパベ リン・硝酸イソソルビド・アデノシン三リン酸を使用して、虚血状態か判 断している。本研究は後方視的に血管拡張剤の種類や投与量を比較検討し、
閉塞性動脈硬化症患者に対する血流予備比検査で用いる至適血管拡張剤 を検討した。
方法:
対象は 24 症例、26 病変(腸骨動脈領域:14 病変、浅大腿動脈領域:12 病変)。プレッシャーワイヤーを用いて大動脈圧の平均血圧(mean aortic pressure: Pa)を測 定後、狭窄遠位部 の平均血圧(mean distal artery pressure: Pd)を測定。薬剤投与前の狭窄遠位部と大動脈の平均血圧比を
測定(ベースライン Pd/Pa)した。ベースライン Pd/Pa を測定後、アデノ シン三リン酸 100μg をガイディングカテーテルから投与し、同様に平均 血圧比を測定(Pd/Pa=FFR)した。その後、アデノシン三リン酸 200μg、
塩酸パパベリン 10mg、硝酸イソソルビド 1.5mg を 5~10 分間のウォッシ ュアウト間隔をあけて順次投与し、それぞれの FFR を測定した。
結果:
各血管拡張剤を使用し測定した FFR 値は、ベースライン Pd / Pa と比較 し有意に低下した(p <0.0001)。また、各血管拡張剤間の FFR 値に有意差 は認められなかった(p = 0.7569)。しかし、塩酸パパベリン 10mg 投与で 1 症例、硝酸イソソルビド 1.5mg 投与で1症例が、血管拡張薬投与による 体血圧低下の合併症のため検査を中止した。
結論:
アデノシン三リン酸 100μg 投与は、アデノシン三リン酸 200μg、塩酸 パパベリン 10mg、硝酸イソソルビド 1.5mg と同等の血管拡張効果であっ た。アデノシン三リン酸 100μg は、他の血管拡張薬と比較し副作用を認 めず、閉塞性動脈硬化症患者に対する血流予備比検査で用いる至適血管拡 張剤と考えられた。