放牧地におけるオーチャードグラス個体群の構造変 化
その他(別言語等)
のタイトル
Changes in population structure of an orchardgrass variety in pasture swards
著者 堀川 洋
雑誌名 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部
巻 13
号 2
ページ 101‑105
発行年 1983‑06‑25
URL http://id.nii.ac.jp/1588/00002165/
101
帯大研報.13(1983):101−1侃放牧地におけるオーチャードグラス 個体群の構造変化
堀 川 洋*
(受理:1982年11月4[=
ChangesinPopulationStructureof anOrchardgrass Varietyin Pasttlre Swards
YohlIolllKAW㌔
摘 要
オーチャードグラス個体群が放牧地で生育する過掛こおいて,どのような特惟をもつ個体が 残存していくかを検討するために,造成年次が晃なる草地から材料を採集し,僧体植え条件で 形態的形質を比較した。
混成後3年目まで個体密度は人幅 こ減少したにもかかわらず.この期間に残存した個体群の 特性に変化は認められなかった。しかし,本格的な放牧がなされた4年日華地の個榊料ま,ほ ふく型で梓径の細い方向に変化し,変異の大きさも有意に減少していた。これらの結果より,
造成初期の淘汰には植物の生育に不ぞろいを生じさせる機会的要因がかなり含まれており.
その後草地が経年化するに伴い,草地の利用法に適応した個体が次第に選択されていくものと 推察された。
年次が異なる放牧地のオーナヤードグラスの個体密度
を調査し,またそれらの草地から生存個体を採集して
個体植え条件で形腰的形質を比較した。
材料および方津
オーナヤードグラスの個体密度および現存皇の調査.
また生存個体の採集は帯広市八千代公共育成牧場で行
われた。当牧場の草地造成は,毎年同一の単軌品種 を使用し,オーチャードグラス(品種キタミドリ),
メドゥフェスク,ケンタッキーブルーグラス,シロク ローバーが混拝されてきた。草地の利用法として.播 種年には9月F旬に1回掃除刈りを行ない,2年目以
措 戸
オーナヤードグラスは多年生・他殖性牧草であり,
品種内には渚特性に関して入善な個体間変異が認めら
れる。このような品種が播種された後,多年にわたる 生育過程において,自然環境や草地の利用法によって.
弱勢個体は淘汰を受け,その結果珪存個体群の特性か
変化することが知られている5・6・7)。しかし,経年的 こ 個体群の特性変化の様相を調査した例は少ない2・8・リ〉
本試験堀,放牧地の経年化に伴い,どのような形態
的特性をもつオーチャーードグラス個体が生き残ってい
くかを明らかにするこ土を目的とした。そこで,造成
* 帯広畜産大学草地生農学教室
ホIJ且boratoryof Grassland ProductionScience,ObihiroUniv打SityofAgric111tureandVeterinary Medicine!Obihiro,Hokk£idc・,血p且n.
29
1【I2
胤If 洋
2・オーチャードグラス生存個体群の形質調査 1979年5月上旬に,2〜4年[博飽からオーチャーー ドグラスの生存個体を約100個体ずつ採取した。それ らの各棟の基部を5cmx5cmの大をさに切り取っ た敵将密圃場にmcmx70clrlの間隔ほ個体植え
したo N■PzO5・K、丘0を4・8・8kg/10a施用し,
Ⅰ番革を7月6日,Z香草を9月10日に刈り取ったb
施肥畳は翌春も前年と同量とした。
これらの材料につき,藤楢2年Hの1980年5月下 旬か細穂期を記錦し∴稔揃期の7月上旬に分げっ角 度(各棟の最外側の茎と地表のなす矧鄭を調査したひ 阻ま賓託育成牛督5月F句から9月まで放牧管理して
いた82年日華地では年間3回の軽放牧(滞牧日数14 日臥延利用頭数195頑ノha).3年目以降は年間6〜
7回の本格的利用(帝牧日数22日吼延利用頭数、465
頑ノhaラが行われたゎ
】.個体密嵐現存上の蘭査
柑80年5月劫口に過去4年間に題成された各草地 に1m立方のプロテクトケージ覆没置し.7月11日 ケージ内の食草種を地表から5cmの高さで刈り應り′,
現存量を測定した。また,オーチャードグラスについ てのみ個体密度を瀬姦した。
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Note:Og(0rclはrdgrasぶ),ⅥJc(WhitecloveIう,
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Age of populati(〕n
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26.7 26.9 p.s
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54.0 186
21.4 206
1.6
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21_2 21.1
191 195
1.6 1,5
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4.2
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− 30
1113
オーチャードグラスの構造変化
し,5年Hにはわずかに24個体/m2 となった。個体 重についてみると,2年目草地では茎数1〜3本の弱 小個体のみで個体垂は非常に小さく.3年日に個体垂 は最大に達し,以後草地が古くなるに伴い減少した
(Fig.1)。現存量により構成草種の割合を此捺すると,
オーチャードグラスは3年目早地で約8割を占めたが,
以後次第に減少した。これに対して他の3車種は経年
化に伴い相対的に優勢になっていく傾向を示した その後.地表から1山刀lの高さで地上部を刈り取り,
葛凱乾物竜を測定した。他の形態的形質は1棟内の 最長の3茎を調査し,その平均値で表示した。
結 果
1.草地の経年化とオーチャードグラスの生育状態 オーチャードグラスの密殴は,2年日華地で朗0個 体/m2と著しく高かったが,翌年にはその1割に減少
Table乱 Comparisono∫yariaれCe Oれ50me Chara(−terS between s11rVived populationsdorch8.rdgrassundersp且Cedplantl噂COndition・
Age(〕f匹puiation Dl凱汀enCe between
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Character
13.7 13.0 12.3
12a l17 92
g4 114 119
13 12
92601 2209 324g O.19 0.14 0.12
0.36 0.31 0.27
4624 3600 7225
Hビading dal㊥Ti11er angle Plant h由ght Le噂th of鮎gleaf No.0−tiller perplant
Ⅵ㌔ight or aもiller eulm diameter Drv weight pe∫plant
*二Sig・ni6c且nt at the5%ユeveユ.
n.凱∴tlOt Slgnific払nt.
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4.昌 5,6 6.4 Culmdjalnヒter r川n】)
Fig・3.Di$tribution of pl邑nt numberin reference to tiller aTlgle and eulm diameter jn山仔erent survived populatinns of orchaTdgrass.
N(〕te:ル1(Me且n),Ⅴ(VariaTICe).
3、】「
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伴
では.4年目個体群がそれ以前の個体群綻比べて,ほ ふく型で悍径が細い特性を示し,またそれらめ変異も 減少していた。これは,イネ科牧草において放牧適応 性が高いとされている形態的特酔)への変化を意味し ており.放牧利用が淘汰任とLて強く作用したことを 示している。
本試験は,草地造成後扱か年のオーナヤードグラス 品種における淘汰の様相をみたものであり,個体群助 形態的形質の変化の程度は小さかったが.草地管理の
差異に対して適応性の高い個体が選択されていく過程
を示す乙とができた。
引 用 文 簡
1)CI‡ÅRばS,A.H.(19も1)二J.Brit.GねS温1.Soc.
1吼69−75▲
2)CHAR柑S,A.H.(1966):Prt)C.10tlll可−
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SlImmary
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(Fig.2)。
2・生存個体群の形態的特性
2年冒と3年目草地から得た僧体群の間には,いず
れの形質昭平均植についても明らかな差はみられなか
った。しかし4年目個臓掛ま,それ以前の個体群に比 べて,草丈が低く,梓径が細く,ほふく型であ.ること
が認められた(T且bl01)。
つぎに.,変異の大きさをT乱bl料針に示した。分散の均
一性を検定した結果,2年日と3年臼個体群の聞はは いず射の形質に附Lても変異の大きさに差は認められ なかった。しかL4年目個体群の分げつ角度止寮長,枠緩の変異は}それ以前の個体群に比べて,分散で約 25%有意に械少していた。また,Fig.3に平均値およ
び分散ともに有意な差が認められた分げつ角度および
梓径の頻度分布を示した。この囲から,4年目個体群 は全体附こほふく型で梓経の細い方向に変化し.変異
も明らかに減少していることが認められる。
考 察
本試験の結果より,オーチャードグラス個体群の密 度の減少過程ほおいて,淘汰の働き方はZつに区分で 卓る、】
まず,播種往から本格的な草地利用が開始されるま での期間における淘汰であるT〕。普通牧草は大計こ播 種されるので,発芽後の軌植物は高鮮度で年背してい
る。これらの幼植物は.遺伝的変異や環境条件の不均
一性により個体聞に囁育の良否が生じる。このうち、.
生育の劣る弱勢僻体は夏期の競争や冬聞の冬枯れなど
により淘汰きれる。この過程を経て,数年内に低密度
の比較的繁華Lた草地群落が形成される1・4・a)。本試験
において,播橙後3年IJまで大幅に密度が減少したに らかかわらず,この期問の個体群の特優に何ら変化は 認められなかった。したがって.造成初期の淘汰には環境条件の不均一に由来する機会的な要因4・9きが季ゝ綜
り関与していたものと推察される。
つぎFこ,草地群落が安定し,本格的な利用が開始さ れるよ,利用法の草晃が淘汰圧宣して作用する。その
紆私利用法に対応した適応性の高い個体が残存して
いく各∴曳)。前報も)で,オーチャードグラスではト8一
品硬が永年にわたって放牧あるいは採草に利用される
と,生存個体群の特粍が変化し,凝牧地ではほふく魂
で株の発達が良い個体カ㍉ また採草地では草丈が高く
直立塾の償体が多く生き残ることを報儀した。座談験
一、32′
オーチャードグラスの構造変化 川5
thep叩ulati〔)n decreased byabout25%ir】Vari−
ance com担red wi班 younger pDPU】邑tion$
(T且ble2、Flg.3).Itseemsthatthispopulation is mo托 adaptable8官ainst 許aZi11g血anag針
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StruCt11re〔)r SurVived plants行omirlLensively m釘Iaged BWard h邑d changedin comparisnn Withyl〕ungerpOpulaしinns.
and after the3rd yearitdecT組Sed gr札止ually
(Fig_1.2).
Tl18 SurVived poplユ1ati(〕nS Of orchardgrass sとLmPled from dilrerent sw8rds o】■ di仔erent 堀eS.Ⅳeregr耶VnatぷpaCedpユantirlg川nditions,
and observations wereIn且de oTl$Ome m()ー−
PhoroglCa】characters,Thecharactert}Ofsur viv匂d popt11如jons did not change during first threey組rSaftersowlng.howevercorlSiderable mort且1ity c〉比〃red 如riJ】g pa5tUr烏 露tablish−
ment.Incontrast,thecharactersofpop111atiけn りbtained froTn4th year sward shirted signi貞 canLly toward shorter plant height,Lhinner Culm an〔1prostrate plant type(T且blel),and the varユati亡)n O∫とわe$e three(:haracters wi上山n