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Tradable quotaの市場均衡価格について : 売買可 能な漁獲割当証の場合

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(1)

Tradable quotaの市場均衡価格について : 売買可 能な漁獲割当証の場合

その他(別言語等)

のタイトル

On the equilibrium price of tradable quota : An example from fisheries

著者 楠田 尚史

雑誌名 帯広畜産大学学術研究報告. 自然科学

巻 21

号 2

ページ 49‑56

発行年 1999‑06‑30

URL http://id.nii.ac.jp/1588/00001876/

(2)

帯大樹雑2111999):49、一弘  

Tradablequotaの市場均衡価格について   一売買可能な漁獲割当証の場合一  

楠田尚更1  

(受稚:1998年11月30∩〕  

011tllビぐ(l11iⅢ〕血1111)】一ICPりrtl■a(1al)1e〔1し10ta  

山1ビX【11叩1prl ̄川111isllPlうes−  

His∂h】111】IくtニSlニ】)八1  

痛   要   

漁業における「売買吋衛な割当証」制度が有する甥果を,簡単なモデルによって理論的   に検討する。モデルには.,資源ストノ夕貴が毎年ランダムに大きく変動するという挽菓の   特徴が取り入れられている。ストヅク変動に応じて政府が割当証供給量を変動させるとき,  

各穐業者の合理的行動選択のもとで,割当詐市場で形成きれる均衡価格がどのように変動  

するかを表す式が導出きれる。またその式に経済的な解釈が与えられる。このモデルと価   格式を利用・拡張すると,異なる制度の優劣をさまぎまな而かち比寂検討できる。   

キーワード:売買可能な割当詐,市場均衡価格,漁苓常軌確率ダイナミック・プログラ  

ミング  

このような状態を是正して最適水準まで活動を抑え  

るに軋 なんらかの政策的な介入が必要である、,経   済的に最も効率的な介入方法は,外部不経済を発生   する経済主体が個別に寄席にいれる活動費用を,活   鍬二ともなう真の社会的費川の額にまでL昇きせる  

ものでなければならない。   

そのような目標を達成す量ものとして考えられる  

代表的な経済政策手鱒には,次の二種類のものがあ   る:  

:1:〉 外部イ確消の発生主体に対して,発生量に応じ    た課税をして費用を負糾させる。  

:2)外部不経済せともなう経済晴劾について,許可   1.序  論   

大気汚染・水質汚鴻などの公害問題,あるいはよ   り広く.酸性雨や地球温暖化に代表される地球環境  

問題にいた為までトキ月わわわれが抱えている大部   分の囁境問題について,標準的な経済学ではつぎびプ  

ように考える。環境問題の原因となる軽部舌動を桁   なう主体が,対価を支払わずに他の主体の損匁を引  

き起こすことを「外部不繹濁」と呼ぷ。そして外   瓢不祥濁」が発生しているところでは,煉囚主体が  

損袈に見合う軒会的習用を負担せずにすむことによ   って,その活動水準が大きくな勾すぎるのである、つ  

…帯広畜産大学共通講座(〒080−8555帯広市稲田町〉  

−りbil血)thiver学殖()rAglうじしtltし1reall(1Vekl i11a【1rユ4e(lici11ヒ、川)血1●0、H・)k】くd(1Q、鴫U−8555._l叩こm  

−49一   

(3)

楠田尚史   

量を明記した「活動許可証」あるいは「排出前可    託」㊨政府が発行Lて市場で自由に売買させ,   

個々に保有する許吋祉妾を超えて滴刻することを    禁じる∬   

この「づは次の意味で同等の政策効果をもってい  

る¢ もLこ1)の単位課税額が(2)の市場で決まる∨許可証  

価格ビ等しいならば,:1)の課税によって集規する活   動承準は,(2)の許可証総量に対応する活動水準と一   致する。[このことは,一定の条件のもとで厳密に   証明できる。Clal▲1ト(1990)pl).255−26、0。]つまり最   適を活劾永牒艮効率的に遷成するにほ,適当な税率   で課税してもよいし,あるいは最適水準だけの許可  

証を発行して市場で流通させてもよい。このとき市   場で自発的に形成される許可証価格は.最適な単位  

課税猟と等しくなるのである。   

しかし,最適とみなされる外部不経済の童を人き   な誤菱なく達成するためには.「売買できる許可書別   のほうが「課税」よりも優れているて)「許叶証」の   場合には,適当な経済活動水準の線量を明示軋に遵   守きせることができるのに対して,「課税」では税   率が適切でないとその兼漑の程度に応じて,外部不  

繚済の発生量が過大になったり過小になったりする   からである。そして現実には,最適晴動水準をもた  

らす「適当な税率」を発見するのは,きわめて困難   である.。   

外部不縁滴として考えることができるのは,公害  

なとの環境聞返にかぎられるわけではない。′ほかに   も}水資源や水産資漁などの共有資源が過剰採取に  

よって漸尋するのも,外部不経済の例である。過剰   採取は,各採取暑がみずからの活動が他の採取者の  

採取可能性を減ちしてしまうという負の効果への対   価支払を要求されないために,活動が過大になる結  

果生じるのである。そのような過剰採取に対しても,  

とに述べたこ1)課税とこ2j売買可能な採取割当証りいず   れかによって,各主体の採取活動を効率的に最適水   準にまで抑えることができるい   

本稀では漁業における採取割当,すなわち売買可   蔑な癖推考割当の制度をとりあげ,KLISu(1a(1993)  

で凍案きれたモデルにもとづいて,その効果を横対  

するら〔漁業においで税よりも割当制度が重視され   る理由軋資汲ストメタの経年変動が非常に人きく,  

最適な漁業活動水準をもたらす適切な磯率を設定し  

頻繁に変吏することが,実際上不可能であるからで   ある。)   

ここでの議論の中心は,漁獲高割当証が市格で売   買されるとき.割当証の均衡価怖がどのような水準   に決まるかにづいての,理論的な検討である。割当  

証価格の理論的な導出法を検討することに札漁業  

という例を超えた実際助かつ今日的な意義がある。  

環境開題において今ロもっとも重要な話毯の一つ  

は,地球温暖化問題をめぐって国際交渉の対象とな  

っている「売買可能な炭酸ガス排甜権」の構想であ  

る。その構想が実現きれると,排出割当証の売買高  

は位界市場で年間数十兆円の規準にのぼると予想き  

れている=市場で割当証がいかなる価格水準で取り   引きされるかは,炭酸ガス排山にかかわるすべての  

経済主体に影響を及ほす大開嶺である。そして∴制  

限されるのが「漁獲高」か「岸渦ガス排軌量」かと  

いう遠いはあるものの,それぞれの割当証の市場均   衡価格は,共通の理論的フレームワークを用いて番  

出しうる。したがって以下で紹介ずる漁業管理勿簡   題ほ,排出権取引きをつうじる温暖化ガス管魂の問  

題についても,一つのヒントを与えるものであるし,  

2.モ デル  

以卜で軋資源ストノクが一定の確率分布にLた   がって毎年変動する漁業に,売買可能で永久に通用  

する漁獲割当証が政府によって導入されるケースを  

考察する。ぞの際,毎年の資源ストッタにおうじて,  

政符は市場での売買操作をつうじて,漁獲割当証の   飴屋を詞怒するrJただし資源ストノクの正確な情報   1ま,漁期の半ばになってはじめて判明するものとす   る。すなわち,  

(1二■ 資源ストノク星X![totl]ほ,Ⅹ[モロll]を平均   

値とする毎年同一で腹知の確率分布にしたがっ   

て,毎年朔立に出現す、る(阿1)。  

(2:〉 毎年の漁期は,自首期(A期)と後期〈B期)と    に2労−され,その年の資源ストック豊熟は,風潮   

の漁獲結果を待ってはじめて正確にわかる。  

:二3)漁獲割当証市場は,毎年A痢の初め七B期の初    めの2回開か乳,政瀾と漁業者とが参加、して売買   

が行なわれる(= 

:4)政府は割当証ポ塔での売買をつうじで,毎年A    期の初めに漁獲割当証の線埜[tりn表示コ を暫定  

一郎ト   

(4)

T】・Zl(1ablぐく1tl(摘のけ1場均衡価格   

潤所得汀のみによって決まる。  

qq 漁業者は将来の割当証価格に関して,「合理的    期待」を形成する。(合理的期待については後逆。)  

すると各漁業者がt年にえる利潤汀lは,漁獲活   動からの利潤と.割当許可証の東男利潤(負であり  

うる)とのA・B期合計として,つぎのようにあら   わされる。  

椚=∑[l)ⅩTP圭一ビ(e喜)+Ⅵ・い(裾「招]  

」人B  

ここで,  

wま=t年j期の割当証価格[¥ハonコ,  

出=t年j賄の取引き開始前における割当証保有    量[t(111],  

a≡=t年j罵の取引き堆了後における割当証保有    量〔抽1]。   

各漁業者がその年の所得からえる効用は,u(汀l)  

である。各漁常着め割当証保有量につVlては,当然   に次の関係が成立する:  

aで.=h†.a†=h㌔   

つまり,前年B期の取引き後保有量a㌣パま,今年の   A期初の市塊根引き開始前まで持ち逸される。また   今年A期の取引き終了後の割当証保有量a†は,そ   れに緑くB期初の市場取引き開始前まで持ち越され   る。  

的にk・Ⅹ〔kは0<kく1の定数)に調整し,B   

期の初めに止確な資源ストッタ童ちこもとづいて    k・兇てに再調整する′(国2)。   

漁業者については仁以下ぬような仮定をおく。  

:5)当該漁業には,全く同一の準獲費用関数・効用    関数をもつN人の漁業者が存在する。  

:6.、)漁獲量は,資源ストック水準Xヒと.各漁業者    の毎斯の漁獲努力量eと(j=A,B)とに比例す    る。すなわち,t年i期の各漁浄量=Ⅹt・eを。  

(7)毎期の漁獲費用cは,漁業努力ei(j=丸別    によっで決まる。.すなわち漁獲費用ごC(e至)。  

保収獲された魚は,毎年一定の価格pで販売でき    る。  

(9.:漁業者の各年の効用uは,その年に稼侍した利  

漁期   漁期  

男1生   第 

国1基本モデル  

2年  

3.均衡割当旺価格の導出    上に述べた仮定のもとで,割当証市場め需給均衡   をもたらすために割当証価格が有すべき性質を,資  

産価格モデルを応用して理論的に導出しよう。さき   に述べた一合理約期待」の仮定は,、その導出を容易  

にするためにもうけられたものである。   

割当証価格付けの基礎となるのは,各漁業者の効  

用最大化行動である。各漁業者が合理的に行動する   ならば,彼らは将来にわたる効用の割引現在価値の  

期待植  

t=萱∂−・tl(爪)【   

を.毎年の漁獲高が年末保有の漁獲割当証を上回ら   ないという制約条件   

割当証  

総i[tonユ  

k・Xl   k・Ⅹ  

J「  

第1年   窮乏牢  

固2 割当証の調整  

(5)

構用尚更   

Ⅹ▲e・ナ十ⅩLP苧≦a予(t=1,2.且。..)  

のもとで最大にするように 

e李ふぞ亨と働当証の取引き健保有島盗′ナ,a冒ンとを決   め量ぼずであぁ。⊥式中の援(0<∂くユヨ は効用   の割引園子であり,時間を通じて膚であ蚤とする。   

この液恵に当たって各線凝着は,昭栄所得卓二影響   する将来わ割当証価格について,なんらかの予惣を  

たててし、、るはずであるウニの点に閉しわれみれのモ   ヂ庵に点心ては,漁業者が将来の割当証価格につい  

ての「傑環桐親符」を形成す董ものと偵途す為n ニ   こでての「合理的期待」とは,実際の割当証価格wf  

[宰紬【l]を贅礪ス†、ツタ量Ⅹ湖東姦、主L,そ正確東  

予憑するということである。資凍系卜者今泉霊⊥は   藤平変数であるから,割当証の合理的期待価称もま  

喪確率変数となる。そして客漠発着怯∴剋彗証暗礁  

Ⅵ・†について嘩骨梨簡斯箱にもとづいで,将来にわ   たる毎年の利潤打tからえられ冬効用u(だt)の割引   現在価値爵期待値を最大にするよう′に,毎期の瑚当  

証煤有量ごと樵業電力量とを級落するものとする亡  

(合理蘭期待は,、自己窯規約な開村とよぶことがで  

多義。掛率評の実現価格は卜将来にわたる翻当評価   椿予想に基く漁業者細効用最大化行動に墓石きれぞ   縁まるきこのせ貞一般的に極東の価格予憩が,、後に  

恕尊て尭現する価格によぅて裏切られる可能性があ   鳥(,合理的期待め倣患は,漁貴君の予想が裏切られ  

る可能性を坪際して,モデルを単純化するためにお  

かれふるくl)   

旅後に,「華僑割当証価格」というゐは、,′市陽に  

出回る割当証の供給薫と常葉音とが・簸す苺ような   価格を意味している。Lたがって割当証市場での爵  

沿均衡が実説す各ためには,との合理的期待価格め   もとで,づぎの常縫物衡条件が毎期満たき乳ていな   け如ばなら如、′:  

N衰=1こ・Ⅹ′くÅ斯)★ Na予=k・振、ほ灘翫   爾式と′も,左辺が需要量,着辺が供給量で為る勺  

[「合理的期待均衡」の概愈については,敵将ビ貸t  

(上野)p.逮0写や1   

きてニr t年初の取引き蘭紛糾こぅある娘葉音が毒す   当託b千い拶n」安保宥す量としよう.。そして,勲当証  

市隠の零箪均衡をもたらすような合理的期待価格が   形成きてれ為せき¥ その漁業者が最大化Lた期待効用  

割引現在価橿を1r8hそ)とLよう。す,るとこの最大猶  

陳謝円hで〕は,つ㌔ぎのダイナミック・プログラミン   グの関数方梓式をみたさ貌ば客らを鬼iことが,証明  

蔓れる:  

Ⅵ㍍桂瀬承掛扉ぬ[Ll(汀t)+逮Ⅴ購.、川。  

吋両「 増.縛  

精取引因子はさで一克と仮蒐¢賦l†卜麟,蛍波長ト   ブタ量Ⅹlに関する期待備オペレーター。;〉 この定式   化の中℡,t年初療時点における割当証保有蔓h子  

亀その鳳煮で磯煮者がおか軋でいる状況をあらお   す変数であり,こめダイナ薫ツタ・プ、ログラミンダ  

間感における「状態変数」細tや肇咄納1e)と呼ば   れ毒Qそれにたいして−転憩ぬ諒恕努力水準君   ぐヲならびに割当証の啄引き後棒有高れa予は.効用   最大化をめぎして締強者が調整Lな 紬ば萄ら認㍍  

愛敬であり.「机漸変数」(′α頂1r()】varj始1さ)と呼ば   れ亀。また上式右辺に冷まれ竃爵誉め最表イヒは.瀬   策音がB期に直面す慈「漁業者の年剛貰廃藩は単発   押掛当紅顔材量を超えてはいけない」と、u−か掛胎   教件  

Ⅹ▼−eテ+Ⅹ.・e雪玄怠学   と,上述頻割当寵潜適し条件  

aモ=㍍T.  

のもとでの,最大化問題である。   

二克の最大化の意味はこうであゑ、。慈劾にお}ダミる   意思決定は,ぞ巧準の資源ストツタ、景Ⅹtが明ち、か   になっ、た獲でおこなわれるので.B劾釣燈大化問題  

は期待値オ瑞レ一夕ー払うト命中に太う宜Ⅴ庵ふこ   れに対Lて射抑二(き,Ⅹ,の倦が不明の状態で意思  

政変をおこ乙なねぎるをえないため,第1の最大イヒ開   港はⅩ、に関する期待値オペ′レ一夕ーEti卜を含んだ  

も捌二な考。すな縛ち漁業省は,B樹にを紙ぼ紫蘭   ストブタ量X.が判明して自分もそれに替わせで革   適にふるまうことを知りつつ,皆のふるま′い爵鶴来  

将来にわたっても葦′らきれる効用の期待値を象衰化   す(るように− A期の恩遇行動を選別す慈のである。   

通常潜ダイナミック・プロダラミか野間饗蓉解く   際に軋1)a(、k鵬−て1indtlCtiQnと呼ば丸盈海路手頃が  

用いら厳る。そ癖字咽では,計画翻間藤了時点磨薫  

き患ざま扇長態衰勢汐う備に対応する目時関数鱒健杏   所与とLてスタートする。そして1÷期舘ぬ痔点や痍  

態攻撃がとりうる俸のぞれぞれにつb勺て∧,攻耕恕の  

−52−   

(6)

rl「rH〔肋l=l川〕血の千丁鳩均衡価格   53   計=Ⅹ,・ぐ+Ⅹt・(・=2Ⅹ.・どは,割当証保有量岨1/N  

に等しくなるはずであ息」   

このように制御変数の貴通植は,対称性の仮定と   割当証市場均衡条件とから導かれくるて.それでイまこれ  

らの頼通僻を各漁業者が選択Lた場合,均衡割当証   価格はどのような水準に決まるであろうか ,   

均衡割当証価格が満たすべき粂酢ま.上のダイナ  

ミック■プログラミングの関数方程式から導かれる。  

、r(11ナ)は別働変数鱒最適植において最大化されて   いるはずである。ここで,先の関数方程式の前週に  

漁獲高削釣魚件を加味したラグランプアンを考え   る。すると,ラグランジアンを4つの制御変払拭  

乙lテ,㌔,a?のそれぞれについて偏微分してゼロに等   置した4式と,漁獲高制約条件式との合計5式が,  

放大化のための1階必要条作を与えることになる。  

上の制御変数の最適値は,当然これら5式を満たし   ていなければならない。そして最後に,Lの最適借   をこれら5式に代入してえられる5つの条件式か   ら,均衡割当証価格についての情報を引き出すこと   ができるのである。[このような方法は,山北1S  

(197別 によってAsっビlⅢぐi帽Ⅸ・Io[lぐ1として開発き  

れた。詳細につ′いてはStD転ypt軋(1989)川う.300−  

304∪]  

導出過程箪詳細と聞かな条件は省略Lて主たる結論   だけを述べれば,次のようになる。  

定理 先の倣忍1トぺ個のもとで∴割当証の合理的期   待均簡価格wモj5よぴwモ(卜=1,2,3,)は,次式  

をみたす:  

目的関数の期待値を最大にするように,1期前の制  

御凌数値を逐次的に求めていくというものである、。  

期間を遡.るごとに,状態変数の僅に応じて考慮すべ  

きケースの数が指数関数的に増大すろ。よって計算   を遂行するためにほコンピュータが必要となる。  

L二の手続きにもとづく計算を,行動生態学のモデ   ルで実行した例とLて∴隠田(1997)がある。]   

ところが漁業者に関守る上のダイナミック・プロ   ダラミンダ問題においては,このback、Wal・(Lilltltlト  

Ii仰の定跡手順を用いることは不可能である。その   理由は,最大値関数Ⅴの催を決定づける塘栄者の利   潤nが,未知l関数である均衡割当証価格w・〔Ⅹt)に   依存Lているた軋 目的関数のイ直を明示的に計算で  

きないオらである。Lフう、Lながらその計算を可能に   するべく均衡割当証Ⅷ溜抽(Xr)を求めようとすれば,  

制御変数である割当証保有量(=需要音)ポ,㍍が   wの関数とLて求まっていて,割当詐供給量と比較  

できるようになっていなけれぽならない。つまり上   の問題を解くには情・(Xt〉がわかっていをければなら  

ず.遭に執(X.)を求めるには上の問題がすでに解か   れていなければならない=明らかに議論は循環論法  

におちいっている。このままでは関越を解くことは   不可能である。   

この堂々巡りの事憩せ打開するた捌こ有効に働く   のが.先も述べた「(5二,当該漁業には,全く同一の漁  

獲費用関数・効碍関数をもつN人の漁業者が存在す   る。」という対称性の仮定と,割当証ホ膿の帯織均  

衡条件とである。ニれらによって上の問題を直抜に   鱒くことなく,刺繍変数である宅は証保有量」=需  

要量:a†,aヲがⅩの関数として求まる。例えば,政   灼:の市場操作の結果,各年後半の割当証供給量が   k−Ⅹ.であるからには(上の倣完(4)),割当証市場の   需給均衡において,各級業者の毎年磯半の割当証需   要量は,当鎗漁葉音1ノし当り割当証供給量kX,/N   に等しくかナればならない。言い換え、ると,割当証   価格Ⅳ㍑,)は.各簡潔省からちょうどkXl/Nに等  

しい割当詐需要を生み出すような率準でなければな   らないことになる。また各漁業者の漁獲努力水準は   J噂・Ⅰi期とも,e=k′2封であることもわかる。  

[理由:各漁業者の管m関数亡(p)が漁獲努力量eに   かんして凸であるかぎり,費用最」、化巧条件として   pナ=P誓(=P)が成立する。そLてA・B調練獲葺合  

一毀  

E.】tl′(汀=)しIJ   Elh′(汀L)ナ  

1 EL一三細山′(汀叶伽Ⅹ‥r′(ヶ用  

・   了   l三.】Ll′(方.)l  

1  

E−ln (汀い、)  

Ⅵ・で=】〕一昔e′((・)+∂   Wチ。,。  

Ⅹ.」\し′U   tlノ〔汀.)   

ここで,I三.=は資源ストッタ量Ⅹ:に関する期待値  

オペレータ.11ノ(汀.)は限界効用」芦,は均衡にお  

ける漁業者利潤   

(7)

楠田尚忠   打−=拍Xt、e−〔(e)コ+wモ・橋二L一部   

+w乍■増一驚)   

を表す。またeは均衡に掛チ碁各漁券者の漁獲努力   量k〆2Nを奉読.一  

針貌動こwそとw雪が含まれてb−る.臥ヒ,上申2つ   の均衡価稽或はw†とwギに関する連立方程式懲轟患。  

また打†の式にⅩ.の項が潜まれていることから.  

w告は菟=、に依存す巌風致であり,W警は又て.とⅩ.と   に依存す量閣数であ冬こと暮雪,上式からあかる。し   たがつて,上の2式は実際には,2:ぅの素訝関数  

Ⅴで揉t十)とw、苧くXl.,X.)に常ずる連立関数方程  

式である月 ▲敗卿ここ野方程武を淋ミニと嫁不可能  

℡あ恕結をわめて単塵忠効用関数形を仮定する犠資   に寝み,解を明示飴に導出育き&[危険中立的滋  

漁業者を意味する線形劾相聞数の場合に′りいでは.,  

灘組側極性条件を外したま甘一般の増資㌍巧か   五十粟速誠心〔1粥3ン)で詳組に分析されでい姦。ま  

だ区腰線詔や凹であ息効用閤敬の例に崎守い㌃  

翫融敲=1993)は2づの未知関数w予ぐX.)と如モ弓 

(光卜.,貰‥)の明示解を求め竃ことに成適しでい   るやユ  

樋2式には,簡単な経済的な解秋を与えるこミと   ができる。そのため、に2武者次のように変形こ.蓋う。   

R−紬)w持=紬l 刷p一☆鞠」巨  

・  1   、   

uても汀、J〉癌予=  

1 1撤し−L抽【計瑚]十嵐軋+1く1u′(れ−】)粛・】圭〇  

いずれの式も,当該耕(AあるいはB)に割当許   婚入量を1単位増加したときの支出による直接的な   期待効用め減少分(左卦 と,それにともなう漁獲   量増加による期待効用増加分(右辺)とが,均衡で   は等Lくなっていなければなちない,ということを   表している。  

4.考  察   

塞買可能滋剖当証鶴市場均衡価格は,排出許可証  

であれ横猿蘇可証でぁれ 臥上に逮蒋たよ琴な方針   にそって求め′挙ことが.蝶理的には可能であ尋,。、そ  

のようにして求めら丸た均衡髄液を用いて.萎まぎ  

まな政策手段の効果や、影響を予測することが可能に   なる竹より良い制度を設計することにあ資すること   にな盈。一例えばKl伽ぬ(1993)でほ,潮当証の劾  

期分配方法や租我制度の違いが資源配分や新海分配   にもたらす影響が明らかにされ,社会馴こ望ましい  

制度についての考察がなされでい悉曳]   

しかLながら、應稲やとりあげた漁業管理のモデ  

ルには培乗資源の特殊性を反映して仁逓′蒔■の排山権   東男などには見られない特色が,い彗りかあ患。昂  

1に∴漁業においては楽浪又卜習夕貴の腰牟変動が  

きねめて太きい魚資源ストブタ暑が毎年衷き㌢愛勤   する中で習練滞海を防ぎ,漁港活動から侍ら紅る軽  

金的利溢濠磯億す′るために払漁獲高漸当証を発督   す冬管理当局は.ストノタ変動に応じで詔当証発行  

高を調節することが必要になる。この鹿は.,緒療活  

動水準に応じてぁる程度予想町寵な形ぜ鮭勢前に泉   トツタが変化す′る,二木気汚染物鷺や撮卿とガ斉密ど  

♂)検認とは,基蒸的に異なゥてい為。あべる意味で晩   漁業を割当証制度によって管理す轟こ、とには,女気  

汚染物贅や塩曖化、ガスを割当紅制度ト、こよっで管喝す   る場合よ′りも,ずっと大きな囲樺が洋すでいると言  

える。   

第2にィ上のだに、も関係するが,.漁黎でほ蜜蜂流   トッタ宗についての正確な情報料得ることが,義わ   めて難しいふそのため概数青も鰍阻も,不竃金な贅   藩ストック情報のもとで,漁獲努力や翻当豪家男に   りいての意思決定を行なわなけ如飯滝如−ゎこの   点においても,漁業管理は特殊かつ困難であ為。大  

気汚染物賓濃密や温畷化ガ見渡度あるいは排出量に   iま,測定に伴うそれほど汐)不確案性ほ見汚れなも′‡か  

らである‖汚染物賀猿摩や温暖化ガ′ス嬢獲昭増加カ富   もたらす影瞥評価には大きな不確霧性かあるもの  

礼 譲諒の刑鷲点となる濃度澄渡自体は.かなり′正  

確に測定することができるかそ郎こ加えで漁業⑬鱒   督には,毎年集際に収獲を進め引こつれて▲ ぞ曹年  

の華輝ストノダ、星が徐々に明らかにをってく′る,と  

ー54−   

(8)

¶・ヱl(1al)1川l】雨の巾場均衡価格   55  

ことになる。奮裸ストック長の同一・独立分布の仮   定をマルコフ連銀の仮定におきかえて,本稿でとり  

あげたモデルを拡張して分析することは,それほど   函雛ではない。   

認後に,本稿で穂介さ九たモデルは,陳数時間を  

基本とする確率ダイナミック・プログラミング問題   の形で定式化されでいる。これに対Lて,割当証あ  

るいはより一痕的な証券を,時間を通じて常に聞耳  

れている市場で連続的に売買できるモデルを考える   こともできる。この連続時間のモデルは,確率微分  

方程式を剛−た制御間態とLて延式化され均衡証  

券価格の連凝変化の確率的種蹄を求めることにな   る‖その、導出のために用いられ思のが,「伊藤の確  

率領分」あるいは「伊藤解析」と呼ばれる数学理論   である。奇観派生商品(デー上パティプ)の発展とと  

もに脚光を浴びている艶理フ7イナンスの分野は,  

これらのかなり高度な数学によっで理論武装されて   いる日払・azasa11dSbrビVP く1998、)]。じかしながら,  

本稿の単純化した離散時間モデルで考慮したような  

「不完全情搾や部分情報変化の構造」を遠視時間モ   デルに導入すること軋 モデル分析に飛躍的な困腰   をもたらす。現段階では,このような不覚全情報の  

網題まで考慮に入れて連続時間の確率制御開堪を解   くことは,不可能である∂今後の理論的な発展を得  

たねばならない。  

5.引用文献   

1.〔ニ憂a】一k,C.W.(1鋤恥挽励弛ぬ融劫加地励ぬ   

乃り掬廟扉牒物欄間聯れれ輝明面的昂飢卿顆    Spし・用l〔】E〔1it弓on.Newl′川寮:Ⅵ1IpvIlm執壷11ビP.  

2.Kar脱舶」、.と111〔】S。E.Sh】モ\√ピ(1998)肋如ゐげ    叔涌御崎触れ種蠣噸.NぐWY研・k:軸riIlgビ「.  

3、K11Sll侃H鹿血111i(199寧)In班肩山泊=1て111S毎nllコIp    南ll叫川冊鹿Ⅶ血l−し川eenai巾.Pll.1).tll蛮ね.  

4.楠田尚史(1997)Fl勅11akiptd. ●Brppflingbiol−  

()gy−)rtllt】Sto】lPぐ11ilti】1紬utllピ壬ISl円11H(−kkきl】(1(−.  

J申㌦に関する 一考察11育雛期間のモデルと統    合一.音大研報自整科学,20:2):39−47.  

5.l_tlビaS,R.E‥Jl一(197即A離婚t印■ice§、illan    pxcha噸Peし、【)11川叩_且c′職)ナ材ゼ南関46:14291445_  

6・艶1二gビ【】t.′1 ・I・(1鍼可朋加鋤血融劇症耶㈲準S虹  

(1†lflEtl油)11.ー)rlanれna∴Aca(1和正P】−PSS.  

いう特徴がある。つまり毎年の資源ストック僧報に   大きな不確実性が存在し,しかもその不確実性の程  

度が繹済活動とともに射ヒLていくのである。汚放   物質ヤ温暖化ガスでは.濃喪数値の不確実性の程度  

が時間の経過とともに大き、く射ヒするということは   ない。漁業に特徴的な情報構造のこのような複雑性   が,漁業管理の問題を実際的対応と理論的分析の雨  

而において,格別なものにしているゎ   

本稿では,このような灘業管理の線色を端的にと   らえ.しかもその内在的な複雑特にもかかわらず理   論的な分析を可能にするためにKし】SLl(la(19931に  

おいて開発されたモデルを紹介した。きわめて単純   化されたモデルの枠組みの中ではあるが,均衡割当  

証価格の性格が明らかになったヵニの枠組みを利用   してK11S肘】;1(1993)ではさらに,(1)トン表示の割  

当証と,総評町立に占めるパーセントシュアで表   示されたシェア割当証との比軌(2)漁業者利潤への   異なるタイプの税制が,賓濾配分と所得分配とに及   ぼす効果の比較,(∂)漁業者の危険回避度の相違が均   衡割当証価格の違いをつうじて,漁業者白身と政府  

とに及ぼす影響などが,理論的に検討きれている。   

本稿で紹介したモデルでは,毎年の資源ストγタ   量が既知で同一の確率分布にしたがって,毎年独立  

に変動することが仮定きれている。これは刃能な限   り問題を単純化してモデル分析を容易にするた捌二   おかれた仮定であるが,実際の経験には合致しで∨−  

ない。連騰する各年の常温ストメタ景観察値にはメ   相関関係あるいは趨勢的傾向が見られることが多い   からである。また資源ストック葦の相当部分を毎年   収礁するような漁業では,ある午の∵漁獲によって鴬  

嬢再鞋能力が損なわれ,撃年以降の資源ストック蔓  

が大きな影響をうける場合もありうる‖ これらの可   能性を同時にモデルに取り込んで分析する卯ま原理   的には可能である。Lかし,そのようにして得られ  

た複維なモデルを分析して何らかの結論を導くこと   は.容易ではない−、そこで仮に漁獲量と資頂再生能  

力との間の関係は無視できるとしよう‖この場合に   年々の資諌ストック豊岡紛相関をモデルに堪り入れ   る簡単な方法ほ,賓源ストック量が一定の遷移確率  

にしたがって次の年には別のストアク量へと変化す   る,と仮定することである、:て資源ストノダ量は既知  

の遷移確率行列をもつマルコフ過程とLて表される  

−55−   

(9)

楠田尚史  

7.St〔〉key,N,L.all(LIく.1;.LtlCaS..71−With E.e.   

P】reSC【)tt t1989)凡紆椚知加=啄細ねめ=加占領川南如    功漉如ぬ.Cal†11Tnt‡gp,Mas豆∴HaⅣar(1U上1iveI$卸    ユコ1でS5.  

Summary   

Asill叩】pITlOde】ispr叩【)SefltのanalyzeaBsh叩   un(kratl オdable〔1u【)taSyStt、m.Thel】10delirlCf)rPO−  

l 誠estllep口SSibili吋Oflalrge〉r矧■一拍一year刑11CtuatioIIS   ofl)i明IaSSthatc上1aI ̄a加ゎ坪山e肘l叩.汁最明津)㌢  

lⅥul且S()f㈹ぬblequ()taarPd軒ivedolltllee仇1血ion   tね1th七肌1thり1うし蛙SadjtlStL加quoはSupplyastll、e   瓜sl】StOCk皿uctuatesaIldthal上ishel・111en nlalくだrat補−  

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1〕retafi811is紗博IltOt】1e11rlビeぬmutas.勒Ⅷ塵柑   the卿革Sib】eextemSiⅢl()rt】1ebasic1110deト血・COlllpaト  

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ー58−  

参照

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