地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15(2016)
《 原著論文 》
緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査
田中里佳1,村上雅裕3,中村豪志2,田中邦佳2,室 親明2, 川船庸子1,天野 学3 ,木村 健2
A questionnaire survey on hospital-pharmacy cooperation in palliative drug therapy
Rika Tanaka1, Masahiro Murakami3, Takeshi Nakamura2, Kuniyoshi Tanaka2, Chikaaki Muro2, Yoko Kawafune1, Manabu Amano3, Takeshi Kimura2
It is essential to enhance cooperation between medical institutions and health insurance pharmacies, in order to provide high-quality palliative drug therapy. We conducted a questionnaire survey involving community pharmacists to investigate cooperation between hospitals and pharmacies in providing palliative drug therapy. As the results, patient information, which is supposed to be fed back to physicians, remained within pharmacies due to a manpower shortage, showing that hospital-pharmacy cooperation has not been used effectively. Therefore, we held a seminar on palliative drug therapy led by hospital pharmacists. We also developed a hospital-pharmacy cooperation tool for palliative drug therapy, and distributed it to community pharmacists. We are planning to implement this tool on a trial basis, and build a system promoting closer cooperation.
Key words; palliative drug therapy, hospital-pharmacy cooperation, medical narcotics Received February 24, 2016; Revised April 19 , 2016; Accepted April 23, 2016
Rika Tanaka, Yoko Kawafune 株式会社 阪神調剤薬 局1 Takeshi Nakamura, Kuniyoshi Tanaka, Chikaaki Muro, Takeshi Kimura 兵庫医科大学病院 薬剤部2 Masahiro Murakami, Manabu Amano 兵庫医療大学薬 学部 臨床薬剤学分野3
連絡先:株式会社 阪神調剤薬局 田中里佳
〒659-0066 兵庫県芦屋市大桝町1-18 TEL: 0797-35-6220 FAX: 0797-32-6102 E-mail: [email protected]
1.緒 言
現在,我が国は超高齢社会を迎えており,
これに伴う医療費の増加が深刻な問題となっ ている.今後もさらに高齢化が進行すると予 想されることから,国は団塊の世代が75歳 以上となる2025年を目途に,地域包括ケアシ ステムの構築を推進している.地域包括ケア システムが機能すれば,薬局薬剤師が緩和薬 物療法に関与する機会が増加すると考えられ る.緩和薬物療法の質を向上させるためには,
入院・外来,在宅などを問わず一貫したサポー
ト体制が必要となる.そのためには病薬連携 が必須であり,その中でも地域医療を支える 薬局薬剤師が重要な役割を担うことになる.
しかし,保険薬局によって麻薬処方せんの 応需に格差がある1,2)などさまざまな要因に より,薬局薬剤師の地域における緩和薬物療 法への参画は十分でないとの報告3-5)がある.
兵庫医科大学病院(以下,当院)では,院 外処方せんの発行率が 98 %を超えており,
近隣の保険薬局がその多くを応需していると 推測される.これらの保険薬局と当院薬剤部 とは,より良い連携システムを構築する必要 がある.そのため,病薬連携セミナーを定期 的に開催し,薬局薬剤師との交流の場を設け ている.しかし,このセミナーは緩和薬物療 法に特化したものではなく,さまざまな疾患 についての情報提供や近況報告を行っている.
そこで本研究では,病薬連携の中でも特に 緩和薬物療法についてその現状の把握と問題 点の抽出を目的に,薬局薬剤師を対象とした アンケート調査を実施した.
2.方 法
調査対象は,当院の院外処方せんを応需し ている近隣6件の保険薬局に勤務する薬局薬 剤師48名とした.調査期間は,2014年10月
〜11月の1ヶ月間とし,アンケート用紙の 配布および回収は直接薬局を訪問し行った.
回答は無記名とし,アンケートは選択または 自由記述形式とした.アンケート内容は図1 に示すように,緩和薬物療法を実践するうえ での不安や疑問,必要とする情報,病薬連携 への関心など17項目とした.
図1(1) アンケート用紙 1ページ目
田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査 田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査
10 が必須であり、その中でも地域医療を支える 薬局薬剤師が重要な役割を担うことになる。
しかし、保険薬局によって麻薬処方せんの 応需に格差がある1,2)などさまざまな要因に より、薬局薬剤師の地域における緩和薬物療 法への参画は十分でないとの報告3-5)がある。
兵庫医科大学病院(以下、当院)では、院 外処方せんの発行率が 98%を超えており、近 隣の保険薬局がその多くを応需していると推 測される。これらの保険薬局と当院薬剤部と は、より良い連携システムを構築する必要が ある。そのため、病薬連携セミナーを定期的 に開催し、薬局薬剤師との交流の場を設けて いる。しかし、このセミナーは緩和薬物療法 に特化したものではなく、さまざまな疾患に ついての情報提供や近況報告を行っている。
そこで本研究では、病薬連携の中でも特に
緩和薬物療法についてその現状の把握と問題 点の抽出を目的に、薬局薬剤師を対象とした アンケート調査を実施した。
2. 方 法
調査対象は、当院の院外処方せんを応需し ている近隣 6 件の保険薬局に勤務する薬局薬 剤師 48 名とした。調査期間は、2014 年 10 月
~11 月の 1 ヶ月間とし、アンケート用紙の配 布および回収は直接薬局を訪問し行った。回 答は無記名とし、アンケートは選択または自 由記述形式とした。アンケート内容は図 1 に 示すように、緩和薬物療法を実践するうえで の不安や疑問、必要とする情報、病薬連携へ の関心など 17 項目とした。
図 1(1) アンケート用紙 1 ページ目
緩和薬物療法に関する病薬連携 アンケート
1.臨床で薬剤師として勤務されている年数を教えてください。
( ) 年
2.麻薬処方箋の服薬指導を担当する事はありますか?
( はい ・ いいえ ) 3.2で「はい」と答えた方に質問です。
服薬指導時、どのような内容について指導をしていますか?(複数選択可)
□医療用麻薬について □WHOの除痛ラダー □痛みについて □薬効 □用法・用量 □副作用の症状
□副作用対策・対応 □レスキューの使い方・上限 □医療用麻薬の生活上・保管上の注意事項
□その他( )
4.麻薬処方箋を調剤・服薬指導を行うにあたり、不安や疑問に思う事、困る事はありますか?
( はい ・ いいえ )
5.4で「はい」と答えた方に質問です。 実際にどのような不安や疑問に思う事、困る事がありますか?
6.医療用麻薬を調剤・服薬指導をするにあたり、患者情報の不足を感じたことがありますか?
( はい ・ いいえ )
7.必要な患者情報が提供されれば、より充実した服薬指導ができますか?
8.7で「はい」と答えた方に質問です。
具体的にどのような情報が必要ですか? またその必要度を教えてください。スケールに○を書き入れてください。
( はい ・ いいえ )
ⅰ)薬剤について 病院での薬剤指導内容 処方意図 抗癌剤のレジメン 副作用
必要度低い 必要度高い
1 2 3 4 5
ⅱ)患者について 診断名 治療方針 がん告知状況 現在の病状
患者の治療に関する知識・理解度
3.結 果
アンケートの回収率は,89.6%(43/48名)
であった.薬剤師の経験年数は,10 年以上 が 44.2 % と 最 も 多 く, 次 い で 6〜 10 年 34.9 %であった(図 2-1).麻薬処方に対す る服薬指導は回答者全員が担当しており,指 導内容は副作用の症状が最も多かった(図 2-2).また,麻薬処方の調剤・服薬指導を行 うにあたり,67.4%が不安や疑問があると回 答した(図 2-3).この理由として,病院側 の説明内容との乖離を危惧する意見が多く挙 げられていた.また,95.3%が患者情報の不 足を感じており(図 2-4),回答者全員が必 要な情報の提供があれば,より充実した服薬
指導が行えると答えた.必要度の高い情報と しては,処方意図や病院での薬剤指導内容,
がんの告知状況が挙げられていた(図3).
薬局で得た患者情報について,処方せんを 発行した医療機関に伝えたいと思うことが あったとの回答は20.9 %で,その中で実際 にその内容を伝えた薬剤師は22.2 %であっ た(図4-1,2).情報提供すべきと考えた内容 は,患者のレスキューに対する誤った認識が 最も多く,その他にはノンコンプライアンス などがあった.緩和薬物療法における病薬連 携に関しては,74.4%がその必要性を感じて いると回答しており(図 4-3),その理由と しては,情報不足での投薬には限界があるな どがあった.希望する病薬連携のツールとし ては,お薬手帳が最も多かった(図4-4).
図1(2) アンケート用紙 2ページ目
地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15(2016)
日本地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15 (2016)
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図 1(2) アンケート用紙 2 ページ目
3. 結 果
アンケートの回収率は、89.6%(43/48 名)
であった。薬剤師の経験年数は、10 年以上が 44.2%と最も多く、次いで 6~10 年 34.9%で あった(図 2-1)。麻薬処方に対する服薬指 導は回答者全員が担当しており、指導内容は 副作用の症状が最も多かった(図 2-2)。ま た、麻薬処方の調剤・服薬指導を行うにあた り、67.4%が不安や疑問があると回答した(図 2-3)。この理由として、病院側の説明内容と の乖離を危惧する意見が多く挙げられていた。
また、95.3%が患者情報の不足を感じており
(図 2-4)、回答者全員が必要な情報の提供 があれば、より充実した服薬指導が行えると 答えた。必要度の高い情報としては、処方意
図や病院での薬剤指導内容、がんの告知状況 が挙げられていた(図 3)。
薬局で得た患者情報について、処方せんを 発行した医療機関に伝えたいと思うことがあ ったとの回答は 20.9%で、その中で実際にそ の内容を伝えた薬剤師は 22.2%であった(図 4-1,2)。情報提供すべきと考えた内容は、患 者のレスキューに対する誤った認識が最も多 く、その他にはノンコンプライアンスなどが あった。緩和薬物療法における病薬連携に関 しては、74.4%がその必要性を感じていると 回答しており(図 4-3)、その理由としては、
情報不足での投薬には限界があるなどがあっ た。希望する病薬連携のツールとしては、お 薬手帳が最も多かった(図 4-4)。
9.緩和薬物療法に関して、これまでに処方箋受付時や服薬指導時に知りえた患者情報を処方箋発行医療機関に伝えたい と思う事はありましたか?
10.9で「はい」と答えた方に質問です。
ⅰ)それはどのような事でしたか?
ⅱ)その内容を処方箋発行医療機関に伝えましたか?
( はい ・ いいえ )
( はい ・ いいえ )
11.緩和薬物療法に関して、処方箋発行元医療機関-保険調剤薬局間の病薬連携の必要性についてどのように思いますか?
( 必要 ・ わからない ・ 不要 ) 12.11でそのように答えた理由を教えてください。
13.緩和薬物療法に関して、医療機関との病薬連携を実現するにあたり、問題・支障となる事はありますか?
( はい ・ いいえ )
14.13で「はい」と答えた方に質問です。
それは具体的にどのような事ですか?(複数選択可)
□マンパワーの不足 □時間の不足 □知識の不足 □医療機関側の連携窓口がわからない
□どのような手段を利用して連絡すればよいかわからない □その他( )
15.どのようにすれば病薬連携を実現することができると思いますか?
16.医療機関との病薬連携で情報を共有するツールは、どのようなものが良いですか?
(複数選択可)
□電話 □FAX □メール □お薬手帳 □その他( )
17.その他ご意見等ございましたら、自由にご記入ください。
田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査 田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査
12
図 2 薬剤師の経験年数と服薬指導についての回答
図 3 服薬指導に必要な情報
1)薬剤師の経験年数 n=43 2)服薬指導の内容(複数回答可) n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1~2年 3~5年 6~10年 それ以上 無回答
15(34.9%) 19(44.2%)
5(11.6%)
3(7.0%)
1(2.3%)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
(人数)
副作用の症状 用法・用量 副作用対策・対応 薬効 レスキューの使い方・上限 医療用麻薬の生活上・保管上の注意事項 医療用麻薬について 痛みについて WHOの除痛ラダー
38(88.4%)
37(86.0%)
33(76.7%)
30(69.8%)
27(62.8%)
25(58.1%)
22(51.2%)
21(48.8%)
1(2.3%)
3)服薬指導に対する不安や疑問の有無 n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ある ない 無回答 29(67.4%)
6(14.0%)
8(18.6%)
4)服薬指導における患者情報の不足を感じるかどうか n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答 41(95.3%)
1(2.3%)
1(2.3%)
【薬剤に関する情報の必要度(複数回答可) n=43】
【患者に関する情報の必要度(複数回答可) n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
5 4 3 2 1 無回答 病院での薬剤指導内容
処方意図
抗癌剤のレジメン
副作用
23(53.5%)
2(4.7%)
24(55.8%)
2(4.7%)
16(37.2%)
11(25.6%)
8(18.6%) 9(20.9%)
2(4.7%)
13(30.2%) 19(44.2%) 10(23.3%)
1(2.3%)
8(18.6%) 11(25.6%)
1(2.3%)
12(27.9%)
(必要度高い 5 ⇔ 1 必要度低い)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
5 4 3 2 1 無回答 がん告知状況
治療方針 診断名 現在の病状 患者の病気に対する知識・理解度
32(74.4%)
8(18.6%)
4(9.3%) 3(7.0%) 3(7.0%) 1(2.3%)
24(55.8%) 13(30.2%)
4(9.3%) 1(2.3%)
1(2.3%)
21(48.8%) 10(23.3%) 10(23.3%)
1(2.3%) 1(2.3%)
19(44.2%) 19(44.2%)
4(9.3%) 1(2.3%)
12(27.9%) 17(39.5%)
5(11.6%) 1(2.3%)
(必要度高い 5 ⇔ 1 必要度低い)
図2 薬剤師の経験年数と服薬指導についての回答
田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査
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図 2 薬剤師の経験年数と服薬指導についての回答
図 3 服薬指導に必要な情報
1)薬剤師の経験年数 n=43 2)服薬指導の内容(複数回答可) n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1~2年 3~5年 6~10年 それ以上 無回答
15(34.9%) 19(44.2%)
5(11.6%)
3(7.0%)
1(2.3%)
0 5 10 15 20 25 30 35 40
(人数)
副作用の症状 用法・用量 副作用対策・対応 薬効 レスキューの使い方・上限 医療用麻薬の生活上・保管上の注意事項 医療用麻薬について 痛みについて WHOの除痛ラダー
38(88.4%)
37(86.0%)
33(76.7%)
30(69.8%)
27(62.8%)
25(58.1%)
22(51.2%)
21(48.8%)
1(2.3%)
3)服薬指導に対する不安や疑問の有無 n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ある ない 無回答 29(67.4%)
6(14.0%)
8(18.6%)
4)服薬指導における患者情報の不足を感じるかどうか n=43
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答 41(95.3%)
1(2.3%)
1(2.3%)
【薬剤に関する情報の必要度(複数回答可) n=43】
【患者に関する情報の必要度(複数回答可) n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
5 4 3 2 1 無回答 病院での薬剤指導内容
処方意図
抗癌剤のレジメン
副作用
23(53.5%)
2(4.7%)
24(55.8%)
2(4.7%)
16(37.2%)
11(25.6%)
8(18.6%) 9(20.9%)
2(4.7%)
13(30.2%) 19(44.2%) 10(23.3%)
1(2.3%)
8(18.6%) 11(25.6%)
1(2.3%)
12(27.9%)
(必要度高い 5 ⇔ 1 必要度低い)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
5 4 3 2 1 無回答 がん告知状況
治療方針 診断名 現在の病状 患者の病気に対する知識・理解度
32(74.4%)
8(18.6%)
4(9.3%) 3(7.0%) 3(7.0%) 1(2.3%)
24(55.8%) 13(30.2%)
4(9.3%) 1(2.3%)
1(2.3%)
21(48.8%) 10(23.3%) 10(23.3%)
1(2.3%) 1(2.3%)
19(44.2%) 19(44.2%)
4(9.3%) 1(2.3%)
12(27.9%) 17(39.5%)
5(11.6%) 1(2.3%)
(必要度高い 5 ⇔ 1 必要度低い)
図3 服薬指導に必要な情報
一方,病薬連携に取り組むにあたって問 題・ 支障があるとの回答は 76.7 %であり,
その理由として,医療機関側の連携窓口や手 段がわからないが最も多かった(図5).
地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15(2016)
日本地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15 (2016)
13 一方、病薬連携に取り組むにあたって問
題・支障があるとの回答は 76.7%であり、そ
の理由として、医療機関側の連携窓口や手段 がわからないが最も多かった(図 5)。
図 4 医療機関への情報提供と病薬連携の必要性
図 5 病薬連携の問題点
1)薬局で得た患者情報を医療機関へ提供したいと 感じたことがあるかどうか n=43】
2)提供したいと感じた患者情報を実際に医療機関に対して 提供したことがあるかどうか n=9】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答
9(20.9%)
33(76.7%)
1(2.3%)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ
7(77.8%)
2(22.2%)
3)処方せんを発行した医療機関と薬局間の連携は必要である と思うかどうか n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
必要 わからない 無回答
32(74.4%)
7(16.3%)
4(9.3%)
4)医療機関と保険薬局が情報を共有するツールとしてどのようなものが良いか
(複数回答可) n=32】
0 5 10 15 20 25
(人数)
お薬手帳
FAX
電話
メール
その他
25(58.1%)
23(53.5%)
17(39.5%)
16(37.2%)
3(7.0%)
【医療機関との連携を実現するにあたり問題・支障となることが あるかどうか n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答 33(76.7%)
6(14.0%)
4(9.3%)
【どのようなことが問題・支障となるか(複数回答可) n=33】
0 5 10 15 20
(人数)
17(51.5%)
16(48.5%)
14(42.4%)
14(42.4%)
7(21.2%)
2(6.1%)
1(3.0%)
医療機関側の連携窓口がわからない どのような手段を利用して連絡すればよいかわからない 時間の不足 知識の不足 マンパワーの不足 個人情報の取扱い 患者の承諾を得る方法
図5 病薬連携の問題点
図4 医療機関への情報提供と病薬連携の必要性
日本地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15 (2016)
13 一方、病薬連携に取り組むにあたって問
題・支障があるとの回答は 76.7%であり、そ
の理由として、医療機関側の連携窓口や手段 がわからないが最も多かった(図 5)。
図 4 医療機関への情報提供と病薬連携の必要性
図 5 病薬連携の問題点
1)薬局で得た患者情報を医療機関へ提供したいと 感じたことがあるかどうか n=43】
2)提供したいと感じた患者情報を実際に医療機関に対して 提供したことがあるかどうか n=9】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答
9(20.9%)
33(76.7%)
1(2.3%)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ
7(77.8%)
2(22.2%)
3)処方せんを発行した医療機関と薬局間の連携は必要である と思うかどうか n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
必要 わからない 無回答
32(74.4%)
7(16.3%)
4(9.3%)
4)医療機関と保険薬局が情報を共有するツールとしてどのようなものが良いか
(複数回答可) n=32】
0 5 10 15 20 25
(人数)
お薬手帳
FAX
電話
メール
その他
25(58.1%)
23(53.5%)
17(39.5%)
16(37.2%)
3(7.0%)
【医療機関との連携を実現するにあたり問題・支障となることが あるかどうか n=43】
0% 20% 40% 60% 80% 100%
はい いいえ 無回答 33(76.7%)
6(14.0%)
4(9.3%)
【どのようなことが問題・支障となるか(複数回答可) n=33】
0 5 10 15 20
(人数)
17(51.5%)
16(48.5%)
14(42.4%)
14(42.4%)
7(21.2%)
2(6.1%)
1(3.0%)
医療機関側の連携窓口がわからない どのような手段を利用して連絡すればよいかわからない 時間の不足 知識の不足 マンパワーの不足 個人情報の取扱い 患者の承諾を得る方法
どのようにすれば病薬連携が実現できるか という設問に対しては,病院・薬局合同での 緩和薬物療法における勉強会・研修会や情報 交換会の開催などが挙げられた.
4.考 察
保険薬局における緩和薬物療法では,医療 機関との連携不足により患者情報が不足して いるとの報告6)があり,本調査においても同 様の結果が得られた.また,薬局薬剤師が収 集した患者情報に関して,処方せんの発行元 である当院へフィードバックされず,伝達す べき情報までもが蓄積されたままの状態に なっていることが明らかとなった.さらに,
病薬連携の不足には,保険薬局側のマンパ ワーや時間,知識の不足などの問題があるこ とがわかった.この設問ついては,同一薬局 に回答者が集中した場合,結果に偏りが生じ
る可能性が懸念された.本調査では,調査対 象とした保険薬局が6件と少なく,保険薬局 間で回答者の数にばらつきが見られたが,同 一薬局の薬剤師による質問への回答が偏るこ とはなかった.
以上のことから,特に医療用麻薬を取り扱 う症例など薬局薬剤師が苦手とする分野を中 心に,薬局薬剤師が参加しやすい時間帯や曜 日にセミナーを開催するなど,お互い顔の見 える環境での連携体制を模索していく必要が あると考えられた.
そこで我々は,緩和薬物療法に特化した病 薬連携の一環として,本アンケート実施後に 近隣の保険薬局を対象とした「緩和医療病薬 連携セミナー」を開催し,29名の参加があっ た.また,緩和薬物療法に使用する病薬連携 ツールとして図6に示す「同意書」および「施 設間情報連絡書」を作成し,保険薬局へ配布 した.
図6 病薬連携ツール
田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査田中ら;緩和薬物療法における病薬連携に関するアンケート調査
14 どのようにすれば病薬連携が実現できるか という設問に対しては、病院・薬局合同での 緩和薬物療法における勉強会・研修会や情報 交換会の開催などが挙げられた。
4. 考 察
保険薬局における緩和薬物療法では、医療 機関との連携不足により患者情報が不足して いるとの報告6)があり、本調査においても同 様の結果が得られた。また、薬局薬剤師が収 集した患者情報に関して、処方せんの発行元 である当院へフィードバックされず、伝達す べき情報までもが蓄積されたままの状態にな っていることが明らかとなった。さらに、病 薬連携の不足には、保険薬局側のマンパワー や時間、知識の不足などの問題があることが わかった。この設問ついては、同一薬局に回 答者が集中した場合、結果に偏りが生じる可
能性が懸念された。本調査では、調査対象と した保険薬局が 6 件と少なく、保険薬局間で 回答者の数にばらつきが見られたが、同一薬 局の薬剤師による質問への回答が偏ることは なかった。
以上のことから、特に医療用麻薬を取り扱 う症例など薬局薬剤師が苦手とする分野を中 心に、薬局薬剤師が参加しやすい時間帯や曜 日にセミナーを開催するなど、お互い顔の見 える環境での連携体制を模索していく必要が あると考えられた。
そこで我々は、緩和薬物療法に特化した病 薬連携の一環として、本アンケート実施後に 近隣の保険薬局を対象とした「緩和医療病薬 連携セミナー」を開催し、29 名の参加があっ た。また、緩和薬物療法に使用する病薬連携 ツールとして図 6 に示す「同意書」および「施 設間情報連絡書」を作成し、保険薬局へ配布 した。
図 6 病薬連携ツール
ツールの形式としては,薬局で困ったことや 疑問に感じたこと,些細なことなど何でも記 入できるよう自由記述形式とした.配布後す ぐに,「同意がとれなかった場合,氏名なし でも対応可能か」や「今,困っている案件が 2件あるため,何か情報がいただければ助か る」といった意見が寄せられている.
今後はこの病薬連携ツールを試験運用し,
運用方法やツール内容の改訂を行っていく予 定である.
参考文献
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地域薬局薬学会誌 Vol.4, No.1, 9-15(2016)