ISSN 1345−3505
青山学院大学図書館報
November 1, 2015 No. 99 理工学部の私がすすめる一冊
特 集 理工学部の私がすすめる一冊
難問を解くとは何か ……… 中山 裕道 4 心に残る本 〜思いつくままに〜 …… 鈴木 正 5 広い科学分野に対する好奇心を
わかりやすく理解させてくれる雑誌 …… 松谷 康之 6 勉強への動機づけ……… 長 秀雄 7 荘子の魅力 ……… 熊谷 敏 8 解析概論の思い出 ……… 小宮山 摂 9 次
目
巻頭エッセイ
理工学部 50 周年特集号にあたり ……… 橋本 修 2〜3 特集「理工学部の私がすすめる一冊」 4〜9 理工学部を支える図書館 ………… 10〜11 図書館広報板……… 12
理工学部研究棟(相模原キャンパス)
理工学部50周年記念特集
0.0 0.000000000101
理工学部長 橋 本 修
HASHIMOTO Osamu
この度は、理工学部 50 周年記念として、大 学図書館報 AGULI 特集号を企画して頂き、
誠に有難うございました。巻頭言を橋本が書 かせて頂き、その他 6 学科の先生方がおすす めの本について執筆させて頂きます。
さて、青山学院大学理工学部は 1965 年に創 設され、本年 50 周年を迎えることができまし た。これも旧教職員、現教職員、卒業生並び に企業等の皆様の御尽力のおかげであります。
現在、理工学部には約 3000 名の学部生と大学 院生が在籍し、約 140 名もの教員のもと、充 実した教育・研究体制を築いています。
また、「世界をリードする研究」・「外部に 開かれた研究」を基本理念として多彩な研究 開発を行い、「21 世紀 COE プログラム」への 選定など、数々の成果を上げてきました。こ うしたカリキュラム・研究環境の中で学んだ 学部生・大学院生は、多彩な分野に飛び立ち、
大いに活躍しています。
さて、私の思い出に残る本について、ここ で紹介させて頂きます。
昔から興味を持ったことにのめり込む性格 で、小さな頃は昆虫に夢中でした。故郷の秋 田県角館は自然が豊かで、まだ薄暗い朝 5 時 から出かけ、セミやオニヤンマがさなぎから 成虫になり日が昇って飛んで行く姿を飽きず
にずっと見ていました。そんな小学 3 年生の 時に読んだのが、ジャン=アンリ・ファーブ ルの『ファーブル昆虫記』です。色々な生物 の生態や営みが書かれ「なんてよく昆虫を観 察している人だろう」と感動と共感を覚えま した。生物学者になりたいと思っていたのは この頃でした。思えば、対象物からデータを 集め、体系化して真理をみつけるのは生物も 工学も同じようです。
しかし、小学校も高学年になると、興味の 対象はラジオ作りに移りました。その頃は、
毎月出版される『初歩のラジオ』を読むのが 楽しみでした。そこでは色々な初歩の回路技 術が紹介されていました。部品もなかなか手 に入らない時代でしたから、近所の回収業者 から使い古しのラジオの真空管などをもらい、
見よう見まねでラジオ作りもしました。自作 の 5 球スーパーで秋田放送を聞くことができ 感動しました。そしてその方面にさらにのめ り込み、アマチュア無線も始めました。中 学 2 年の時に最も初級の資格を取得すること ができ、勉強部屋に送受信装置やアンテナ装 置を取り付けて開局したのも良い思い出です。
新幹線もなかった当時、電波で全国の人と話 が出来た経験は世界観を変えました。電波工 学専攻に進むことは、この頃決まったように
❖ 理工学部 50 周年特集号にあたり
巻頭エッセイ
CO CO
COMMM. ENENENTTT.
EX EXE.E.
EX EX EXE.
0 0
0. . 0 0 00 0 0 0 00 0 0 0 0 0 00 0 0 0 0 00 0 0 01 1 1 1
思います。
こうして大学へ進学し、授業をきっかけに 電波工学の権威である山下栄吉先生の研究室 に入ることを決めました。研究室で徹底的に 読み続けさせられたのが、Collin, Robert E.
の『Field theory of guided waves』です。電磁 気学理論と導波管の分析手法についてまとめ た最初の本でした。1960 年代の発刊ですが、
今でもその分野の書籍の基本になっていると 思っています。1960 年代後半からコンピュー ターが登場し、そのメモリー容量の増加や計 算スピードの急速な改善などで研究の手法は 大きく変わりましたが、その基礎は変わらな いと思います。さまざまな方法で出た答えが 正しいのか誤りなのかを考察するには、基礎 や原理を知っていることが不可欠です。そし てこの本は今も研究室のゼミで使われていま す。
卒業後は企業や国の研究機関へ就職しまし たが、研究を突き詰めつつ後進を育てたいと の思いもあり、米イリノイ大学へ留学しまし た。世界の電波研究の権威であるミトラー教 授のもとで、研究が始まったばかりの時間領 域差分法(FDTD method: Finite Diff erence Time Domain method)を学んだのはこの時 です。電波の伝搬する様子を可視化できる手
法でした。日本に戻って書いた『FDTD 時間 領域差分法入門』
(1996 年出版)で は、日本で初めて こ の 手 法 を 紹 介 し た と い う 達 成 感があります。い ま だ に 読 ま れ て いると聞くと、基 礎 や 原 理 の 重 要 性 を あ ら た め て 実感します。
以上、私の心に残るいくつかの本の思い出 を書いてみました。また、改めて、理工学部 の特集号の企画に対して感謝いたします。
さて、本学理工学部は、卒業生や企業の皆 様のバックアップのもと、現教職員を中心に グローバルに活躍できる科学者・技術者を世 界に送り出そうという熱い想いにあふれてい ます。今後も理工学部 50 周年のキャッチコ ピー「50 年、さらにその先へ〜未来の科学・
技術のために〜」にありますように、さらな る 50 年後の大飛躍のために総力を挙げて努力 をしてゆく所存です。今後とも変わらぬご指 導、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
(理工学部教授 生体・環境電磁工学)
橋本修、阿部琢美共著 森北出版
(相 413.8/H31F)
特集 理工学部の
難問を解くとは何か
中 山 裕 道
NAKAYAMA Hiromichi
私 が す す め る 本 は 『四 色 問 題―そ の 誕 生 か ら 解 決 ま で 』一 松 信 著 で す 。手 に は い り に く い 場 合 は『四 色 問 題』 ロ ビ ン ・ ウ ィ ル ソ ン 著 ( 茂 木 健 一 郎 訳 ) と い う 本 も あ り ま す 。
多 く の 方 が 四 色 問 題 と い う 言 葉 を 聞 い た こ と が あ る と 思 い ま す 。「 ど ん な 地 図 も 4 色 で 塗 り 分 け る こ と が で き る か 」 と い う 問 題 で す 。 と な り の 国 と は 違 う 色 で 塗 ら な け れ ば な り ま せ ん 。日 本 地 図 を 塗 っ て み て 下 さ い 。 す ぐ に 4 色 必 要 に な り ま す 。 ア ッ ペ ル と ハ ー ケ ン は ど ん な 地 図 も 4 色 で 塗 れ る こ と を 証 明 し ま し た 。
テ レ ビ に 出 て く る 数 学 者 と い う と 一 風 変 わ っ た 人 ば
か り な の で 誤 解 さ れ が ち で す が 、 数 学 者 と い う の は み ん な 同 じ で 数 学 の 問 題 を 作 り 解 く 人 で す 。 そ の 意 味 で は 、 中 学 や 高 校 で 出 さ れ た 数 学 の 問 題 を 作 る 先 生 も 解 く 学 生 も 数 学 者 で す 。 試 験 で す と 1 時 間 に 6 題 ぐ ら い 解 く の に 対 し て 、 研 究 者 の 場 合 1 題 に 何 年 も か か っ た り し ま す 。 四 色 問 題 の 場 合 、 1 8 5 2 年 に ド ・ モ ル ガ ン に よ り 提 起 さ れ 、 1 9 7 6 年 に ア ッ ペ ル と ハ ー ケ ン が 解 く ま で に 、 1 2 0 年 以 上 か か り ま し た 。 試 験 だ と す る と 、 と て つ も な く 長 い 試 験 時 間 で す 。
本 書 で は 、高 校 の 知 識 の 範 囲 で 、四 色 問 題 が 解 か れ る 道 の り を 説 明 し て い ま す 。 挑 戦 の 歴 史 で す 。 数 学 の 勉 強 と い う と 、 試 験 の 点 を あ げ る た め と 思 う 人 が い る か も し れ ま せ ん 。 こ の 本 を 読 ん で み て 、 自 分 が 未 解 決 試 験 問 題 を 解 く こ と に 挑 戦 し て い る ん だ と 思 え る よ う に な れ ば 、 勉 強 も 苦 に な ら な い か も し れ ま せ ん 。
四 色 問 題 を 有 名 に し た の は 、 コ ン ピ ュ ー タ を 使 わ な け れ ば 解 け な か っ た 点 で す 。 証 明 の 方 針 と し て は 、 ど ん な 地 図 に も 含 ま れ る パ タ ー ン で 、 外 部 の 塗 り 方 を 内 側 に 拡 張 で き る も の を 見 つ け ら れ れ ば 証 明 で き ま す 。 こ の パ タ ー ン を 見 つ け る の に 1 2 0 年 以 上 も か か り ま し た 。 パ タ ー ン の 数 は 約 2 0 0 0 個 で し た 。 コ ン ピ ュ ー タ が 必 要 だ っ た 理 由 が わ か る で し ょ う 。コ ン ピ ュ ー タ を 勉 強 す る の に も 、 い い 刺 激 に な る と 思 い ま す 。
(理工学部教授 物理・数理学科 数学・位相幾何学)
一松信著 講談社
(
相 400/B62/V.351 415.6/H5-7)
私がすすめる一冊
心に残る本 〜思いつくままに〜
鈴 木 正
SUZUKI Tadashi
2010年6月13日、小惑星探査機「はやぶさ」が7年60億 km の旅 を終えて地球に帰還し、そのニュースに日本中が沸き立ちました。
私が高校生の頃、カール・セーガン博士の『COSMOS』という本 が話題になりました。ちょうどボイジャー計画が進行中で、太陽 系の地球よりも外側の惑星を旅する衛星でした。地球上からでは 観ることのできなかった新たな事実やスイングバイ航法など、初 めて聞く言葉や事柄がたくさん出てきて、その頃もテレビや新聞 紙面を賑わせていました。もちろん、私自身もわくわく0 0 0 0していた ことを憶えています。サイエンスや科学技術が格段の進歩を遂げ、
これで宇宙の成り立ちや生命の神秘が解明できるだろうと考えた 人も多かったと思います。その第一線で研究・教育を行っていた カール・セーガン博士が、本文中で次のような言葉を語っています。
我々人類は生命や宇宙を理解したいという大海原のほんの波打ち際に、たった一歩足を踏 み出しただけなのです、と。博士自身からこのような言葉が発せられたことに驚きを感じ、
その正直さ、真摯さに大いに感銘を受けました。人類にとって、世界はまだまだ分からな いことだらけで、君たち若い世代にも力を貸してほしいといった、エールを強く感じました。
新天地を冒険するという意味では、『深夜特急』も面白くてす ぐに読破しました。著者である沢木耕太郎が日本での仕事をすべ て投げ出し、インドのデリーから英国のロンドンまで乗合バスで 旅するというドキュメンタリーです。デリーへ行くまでの途中、
香港で過ごした日々。そしてロンドンまでの旅の様子が臨場感あ ふれて伝わってきました。日本での生活とはかけ離れた非日常。
こうあらなくてはならないと縛られていた価値観からの解放。そ こから徐々に変わっていく世界観。いつの間にか、著者と一体と なり一心に読んでいました。
今まで関わりのなかった未知の世界にいきなり飛び込み、様々 な考え方、価値観に触れる。そこに新たな発見を見出すだけでな く、自分自身をも見つめ直す良い機会になるでしょう。これはサ イエンスの世界にも通じるところです。読者諸君には学生時代に多くの経験を積むととも に、いつまでも心に残る本や文章に出会えることを期待しています。もしかしたら、君自 身の人生を大きく変えてしまうような本があるかもしれません。
(理工学部教授 化学・生命科学科 物理化学)
沢木耕太郎著 新潮社
(青 915.6/S20-2/4 〜 6)
(相 915.6/S20-2/1 〜 6)
(短 915.6/SA2/1-1 〜 6)
カール・セーガン著、木村繁訳 朝日新聞社
(青・相 440.4/S1-2/1 〜 2)
(短 440/SA3/1-1 〜 2)
特集 理工学部の
広い科学分野に対する好奇心を わかりやすく理解させてくれる雑誌
松 谷 康 之
MATSUYA Yasuyuki
理 工 学 部 創 立 5 0 周 年 記 念 特 集 で あ る の で 、 ち ょ っ と 古 い 話 か ら 始 め る 。 四 十 数 年 前 、 私 が ま だ 高 校 生 だ っ た 頃 、 故 郷 の 東 北 の 田 舎 町 で は 大 学 受 験 と 言 う の は ま だ ま だ 一 般 的 な こ と で は な か っ た 。 当 然 、 近 く に は 予 備 校 な ど と 言 う も の も な く 、 日 常 の 受 験 勉 強 は 独 学 だ っ た 。 そ ん な 受 験 生 に 必 聴 の ラ ジ オ 番 組 が あ っ た 。 当 時 流 行 り だ っ た ラ ジ オ の 深 夜 放 送 の 直 前 に 放 送 さ れ て い た の で 、 多 く の 受 験 生 が 聴 い て い た と 思 う 。 そ れ が 「 大 学 受 験 ラ ジ オ 講 座 」 で あ る 。 も ち ろ ん ラ ジ オ 放 送 な の で 聞 く だ け な ら 無 料 で あ る 。 ど の 講 師 も 個 性 的 で あ り 、 な か な か 味 の あ る 放 送 で あ っ た 。 こ の 中 で も 竹 内 均 先 生 は 独 特 の 口 調 で 現 役 の 東 大 の 先 生 が 物 理 を 教 え て く れ る こ と で 人 気 が あ っ た 。 私 が 薦 め る 一 冊 は ( 実 は 一 冊 で は な い の だ が )、 こ の 竹 内 先 生 が 創 刊 し 、 初 代 編 集 長 を 務 め て い た 科 学 雑 誌 『N e w t o n』 で あ る 。
竹 内 先 生 は 地 球 物 理 学 の 研 究 者 で あ っ た が 、「 科 学 を 普 及 さ せ る た め に は 若 い 人 に 科 学 へ の 興 味 を 広 め る 必 要 が あ る 」 と 強 く 思 い 至 り 、 自 ら 中 高 校 生 で も 判 り 、 か つ 大 人 で も 楽 し め る 先 端 の 科 学 を 解 説 す る 雑 誌 を 創 刊 し た 。『 N e w t o n 』 の 編 集 方 針 は こ の 意 志 を 今 で も 引 き 継 い で い る 。内 容 は 最 先 端 の 物 理 学 、生 物 学 、天 文 学 、 考 古 学 な ど 科 学 の あ ら ゆ る 分 野 を 網 羅 し て お り 、 時 に は 三 国 志 や 日 本 古 典 文 学 な ど の 理 系 の 人 間 に は 馴 染 み の 薄 い 記 事 も 登 場 す る 。 全 ペ ー ジ カ ラ ー で 写 真 や イ ラ ス ト が ふ ん だ ん に 使 わ れ て お り 、 見 た 目 に も 美 し く 、
解 説 も 平 易 で 判 り や す い 。 私 も 創 刊 以 来 の 長 い 間 の 読 者 で あ る が 、 こ の 歳 に な っ て も 全 く 飽 き な い 。 理 系 ・ 文 系 を 問 わ ず 学 生 の 皆 さ ん に は 是 非 お 勧 め し た い 雑 誌 で あ る 。 定 期 購 読 な ど と い う こ と は し な く て も 良 い 。 本 屋 さ ん で タ イ ト ル を 見 て 興 味 が あ っ た ら 大 学 の 図 書 館 か 市 の 図 書 館 で 読 ん で み た ら い か が だ ろ う か 。 難 し い 先 端 科 学 の 内 容 で あ っ て も 、平 易 で 判 り や す い 解 説 に「 あ あ 成 る 程 」 と 納 得 す る は ず で あ る 。
(理工学部教授 電気電子工学科 電子回路設計技術)
2015 年 9 月号 ニュートンプレス
(青・相 A.G.U/Library/Z-NEW)
私がすすめる一冊
勉強への動機づけ
長 秀 雄
CHO Hideo
最 近 本 を 読 む こ と が め っ き り 減 っ て き た が 、 数 年 前 に 『学 ぶ 意 欲 の 心 理 学』 と い う 本 を 手 に 取 っ て み た 。 き っ か け は 、 こ の 仕 事 に つ い て す で に 2 0 年 近 く が 経 過 し 、 私 自 身 何 の た め に 学 ん で い る の か な と 思 っ た の に 加 え て 学 生 た ち は 何 を モ チ ベ ー シ ョ ン に 授 業 を 受 け 、 実 験 や 研 究 を す る の か 、 ふ と 感 じ た た め で あ る 。 こ の 本 に は 、 学 習 に 対 す る モ チ ベ ー シ ョ ン の 種 類 や 思 考 パ タ ー ン な ど が 示 さ れ て い て 、 な る ほ ど と 思 わ せ る も の が あ っ た 。 た と え ば 、 お 金 は 仕 事 を す る た め の モ チ ベ ー シ ョ ン に な る が 、 な に か 仕 事 を 頼 ま れ 、 終 え た 時 に お 金 を も ら っ て し ま う と お 金 を も ら う こ と が 仕 事 の 動
機 付 け ( 外 的 な 動 機 付 け ) と な り 、 そ れ 以 降 は 同 じ 仕 事 を 頼 ま れ て も お 金 が も ら え な い も し く は 金 額 が 低 下 す る と 仕 事 に 手 を 抜 く 傾 向 に あ る と の こ と 。ま た 、 そ の 仕 事 を 通 じ て 自 分 の 成 長 を 求 め な く な る と の こ と 。 な る ほ ど と 思 っ た 。 何 か の 本 で 小 学 生 に 本 を 読 む こ と を 奨 励 す る た め に 本 を 1 冊 読 ん だ ら 2 0 0 円 渡 す こ と に す る と 、 小 学 生 は 読 む 本 の 数 は 増 え る 。 し か し 、 1 冊 の 本 が 薄 く な る と い う 結 果 に な る 。 本 を 読 む こ と が 目 的 で は な く 、 お 金 を も ら う こ と が 目 的 に な っ て い る と い う こ と だ そ う だ 。 そ れ と は 反 対 に 仕 事 そ の も の に 興 味 が あ る 。 ま た は そ の 仕 事 を 通 じ て 自 分 自 身 が 成 長 で き る と 感 じ ら れ る と き は 、 お の ず と モ チ ベ ー シ ョ ン が 高 く な り 、 楽 し く 仕 事 に 取 り 組 め る と の こ と だ 。 こ れ ら は 内 的 動 機 付 け と 言 う ら し い 。 こ の 内 的 動 機 付 け は 、 個 人 の 性 格 に よ っ て も 起 き や す か っ た り 、 そ う で な か っ た り す る ら し い 。 ま た 、 最 初 は 外 的 な 動 機 付 け ( お 金 や 先 生 ・ 親 か ら の 指 導 ) で あ っ て も そ の 中 か ら 内 的 な 動 機 付 け に 移 行 す る 場 合 が 多 い と の こ と 。人 間 の 本 質 に は 学 習 し 、成 長 し た い と い う 気 持 ち が あ る ら し い 。 そ う 考 え る と 私 自 身 が 1 つ 1 つ の 仕 事 を 通 じ て 成 長 を 望 み 、 ど の よ う な 自 分 に な り た い か を 自 問 自 答 す る こ と が 豊 か な 生 活 を 送 る 秘 訣 で は な の か と 感 じ た 。 み な さ ん も な ぜ 勉 強 や 仕 事 す る の か と 考 え た 時 に 自 分 の 成 長 を 期 待 し て 事 に 臨 め ば 、 こ れ か ら 先 の 5 0 年 も 青 山 学 院 大 学 理 工 学 部 と と も に 成 長 を 続 け る こ と が で き る の で は な い か と 思 わ せ る 本 で し た 。
(理工学部教授 機械創造工学科 非破壊評価)
市川伸一著 PHP 研究所
(相 141.33/I14M)
特集 理工学部の
荘子の魅力
熊 谷 敏
KUMAGAI Satoshi
中 国 古 代 思 想 は 元 来 日 本 人 の 教 養 の 土 台 で し た 。 現 代 に お い て も 経 営 者 の 座 右 の 銘 と し て 論 語 が あ が っ た り 、 ビ ジ ネ ス マ ン の 指 南 書 と し て 孫 子 の 兵 法 が 読 ま れ て い た り し ま す 。
が 、 今 回 ご 紹 介 し た い の は 『荘 子』 で す 。『 荘 子 』 は 漢 文 の 授 業 で 知 っ た 方 も 多 い で し ょ う 。 老 子 と と も に 老 荘 思 想 と し て 知 ら れ る 古 代 中 国 の 思 想 家 で す 。 道 教 の 始 祖 と も 言 わ れ 、 禅 に も 大 き な 思 想 的 影 響 を 与 え ま し た 。 お よ そ 紀 元 前 3 0 0 年 、 中 国 の 戦 国 時 代 を 生 き た 荘 子 の 思 想 は き わ め て 観 念 的 で あ り な が ら 、 現 世 を い か に 生 き る か と い う 知 恵 で も あ り ま す 。 日 本 で は 夏 目 漱 石 や 湯 川 秀 樹 も 影 響 を 受 け た と 言 わ れ ま す 。
著 書 『 荘 子 』 は 内 篇 七 篇 、 外 篇 十 五 篇 、 雑 篇 十 一 篇 で 構 成 さ れ て お り 、 内 篇 は 最 も 古 く 荘 子 の 思 想 を 伝 え て い ま す 。 こ う い う と 堅 苦 し い イ メ ー ジ を も た れ る か も し れ ま せ ん が 、『 荘 子 』 は 寓 話 や 対 話 形 式 に よ り 多 く 語 ら れ て い ま す 。 し た が っ て 予 備 知 識 が な く と も 、 向 き 合 い 楽 し む こ と が で き る の が 魅 力 で す 。 シ ュ ー ル な シ ョ ー ト シ ョ ー ト と し て 読 む も よ し 、 人 生 訓 と し て 受 け 止 め る も よ し 。 詩 的 な 世 界 観 を 楽 し む も よ し 。 そ れ ぞ れ の 自 由 な 読 み が 許 さ れ る 書 で す 。
た と え ば 内 篇 の 締 め く く り は 渾 沌 王 の 物 語 。 本 書 で は 現 代 語 訳 は わ ず か 6 行 。 渾 沌 王 が そ も そ も ど の よ う な 存 在 で あ る か は 詳 し く 述 べ ら れ て は い ま せ ん 。 た だ 人 間 誰 も が も つ 7 つ の 穴 、 つ ま り は 視 覚 聴 覚 な ど の 感 覚 器
官 が な い の で す 。 そ こ で 親 し い 南 海 の 帝 王 、 北 海 の 帝 王 が 渾 沌 王 の 恩 に 報 い よ う と 毎 日 ひ と つ ず つ 穴 を う が つ と 、 7 日 目 に 渾 沌 王 は 死 ん で し ま い ま す 。
意 表 を つ く 展 開 に い さ さ か た じ ろ ぎ 、 解 釈 を 拒 む よ う な 印 象 す ら 受 け る の で す が 、 柔 ら か く 広 が り の あ る 世 界 で す 。 渾 沌 王 の 死 が 生 と は 何 か と 考 え さ せ る の で す 。
本 書 は 書 き 下 し 文 、 原 文 、 現 代 語 訳 、 注 の 順 に な っ て い ま す 。 ま ず は 気 楽 に 現 代 語 訳 の 部 分 だ け を 読 み 、 書 き 下 し 文 を 音 読 す る の も 味 わ い が あ り ま す 。
(理工学部教授 経営システム工学科 経営工学)
荘子著
福永光司、興膳宏訳 筑摩書房
(青 124.25/S1-6/1)
(相 124.25/SO63S/V.1)
私がすすめる一冊
解析概論の思い出
小 宮 山 摂
KOMIYAMA Setsu
私 が 大 学 を 卒 業 し て40年 に も な り ま す が、学 生 時 代 に 読 ん で 未 だ に 捨 て ら れ な い 本 が あ り ま す 。 そ れ が 『フ ァ イ ン マ ン 物 理 学』 と 、 こ こ で 紹 介 す る 『解 析 概 論』* で す 。 手 元 に あ る の は 1 9 7 0 年 発 行 の 改 訂 第 三 版 で す が 、 初 版 は な ん と 戦 前 で 今 も 売 ら れ て い る と い う 超 ロ ン グ セ ラ ー 本 で す 。
理 工 系 の 学 生 に と っ て も 、 高 校 時 代 と ギ ャ ッ プ が 大 き い の は 数 学 で し ょ う 。 高 校 数 学 は 問 題 を 解 く テ ク ニ ッ ク に 時 間 を 費 や し ま す が 、 大 学 数 学 は 厳 密 な 理 論 展 開 そ の も の に 主 眼 が 置 か れ て お り 、 な じ め な い 学 生 が 多 い と 思 い ま す 。 私 も 例 外 で は な く 、 勉 強 法 が 分 か ら ず 途 方 に 暮 れ た 時 期 が あ り ま し た 。 高 木 貞 治 著 『 解 析 概 論 』 は そ ん な 時 に 光 明 を 与 え て く れ た 本 で す 。 仮 名 遣 い も 古 く 、 一 字 一 句 追 わ な い と 理 解 で き な い の で 、 読 み こ な す に は 時 間 が か か り ま す 。 し か し 、 不 思 議 と 無 味 乾 燥 と い う 印 象 を 受 け な い の で す 。 授 業 の 数 学 は さ っ ぱ り 面 白 く な か っ た の で す が 、 こ の 本 は 夏 休 み に 実 家 に 帰 る と き も 一 緒 で し た 。 私 に と っ て は 問 題 集 を ク リ ア す る と い う 高 校 の 勉 強 法 か ら 脱 却 で き た の は こ の 本 の お か げ で す 。
今 は 何 で も ネ ッ ト で 調 べ ら れ る の で 、 本 の 重 み は 随 分 と 軽 く な っ て し ま い ま し た が 、 数 学 だ け は ネ ッ ト が 役 に 立 た な い と 感 じ ま す 。 一 度 読 ん だ ぐ ら い で は 理 解 で き な い 内 容 を 腑 に 落 ち る ま で 繰 り 返 し 読 み 、 頭 の 中 に 新 し い 回 路 を 作 る こ と の 醍 醐 味 は 本 で し か 得 ら れ な い も の で し ょ う 。 久 し ぶ り に 本 書 を 開 け て み て 、 赤 鉛 筆 の ア ン ダ ー ラ イ ン と 書 き 込 み を 発 見 し 、 数 学 と 格 闘 し て い た 学 生 時 代 が 懐 か し く 思 い 起 こ さ れ ま し た 。 ス ポ ー ツ と 同 じ よ う に 頭 脳 を 鍛 え る の も 若 い 時 、 そ れ も 専 門 の 勉 強 に 進 む 前 の 白 紙 の 状 態 の 時 が 最 適 で す 。 理 系 の 学 生 だ け で な く 、 文 系 の 学 生 に も ( 数 学 が 嫌 い で な い な ら ) ぜ ひ 薦 め た い 一 冊 で す 。
*『解析概論』改訂第三版 高木貞治著 岩波書店 (青・相 413/T1-1)(短 413/TA1/2)
(理工学部教授 情報テクノロジー学科 ヒューマンインタフェース)
かつて、本学の理工系図書館は世田谷キャンパスにあり ました。昭和 40(1965)年の理工学部開設時から平 成 15(2003)年の相模原キャンパス移転までの 38 年間、理工学部分館は多くの理工学部教職員、学生の成 長を見守ってきました。
研究棟の 1 階 2 階に位置し、手狭で時に浸水の害にも襲 われることがありましたが、一方では充実した資料と研 究室からのアクセスの良さで利用者に愛されていました。
▲ 1970 年代の理工学部分館
▲ 1980 年代の理工学部分館
現在は、文理融合をうたう相模原キャ ンパスで、万代記念図書館が分館の役 割を引き継いでいます。インターネット で閲覧できる電子ジャーナルやデータ ベースも数多く用意されており、理工
学部の研究を支えています。 ▲ 現在の万代記念図書館
PAST PAST
Present Present
✑
理工学部を支える図書館 ①A T A T
A T TA
TA G C
G C C G C G
TA A T
理工学部と
図書館 今 昔
AC CE
%
÷
×
−
+
7 8 9 4 5 1 6
2 3 0 . =
数理資料室
数理資料室へ へ
ようこそ!
ようこそ!
数理資料室は、理工学部棟のひとつ L 棟の 5 階、物理・数理学科の教員研究室、輪講室などが並ぶ 一角にあります。世田谷キャンパス時代の「数学教室」を前身としており、数学関連の図書・雑誌を所 蔵しています。資料室はいくつかの部屋にわかれており、壁際の書架に古い図書が一面ぎっしり並べら れている様子は、本への想いが伝わってくるようです。
所蔵資料のうち、図書は、約 12,000 冊です。
シリーズで発行されている図書を中心に所蔵 しており、90%が洋書の専門書です。
「Annals of Mathematics Studies」
「Lecture Notes in Mathematics」「すうがく ぶっくす」など和洋あわせておよそ 70 シリー ズ、1965 年の理工学部開学当初から継続して 購入しているシリーズもあります。現在、雑誌 は、「Acta Mathematica」など洋雑誌 35 タイトルを購入し、1 年分が閲覧できるようになっていま す。それより前に発行された雑誌は、万代記念図書館で保存しています。
数 理 資 料 室 で 所 蔵 す る す べ て の 図 書 や 雑 誌 は、
AURORA-OPAC で検索することができ、物理・数理 学科の教員や学生・大学院生には図書を貸出して います。物理・数理学科にとってより身近な存在で、
研究や学習を 50 年間変わらず今日も支えています。
▲ 数理資料室
▲ 数理資料室
(L 棟 5 階 L505)
(L 棟 5 階 L505)
○ 開室日時(授業実施期間)
月 :9:00 〜 16:00 水〜金 :9:00 〜 17:00
※長期休業中も不定期で開室しています。
✑
理工学部を支える図書館 ②図 書 館 広 報 板
編 集 後 記
青山学院スクール・モットー 地の塩、世の光 The Salt of the Earth、The Light of the World 青山学院大学図書館報 “AGULI” 第 99 号 2015 年 11 月 1 日発行
編集 青山学院大学図書館報編集委員会・大学図書館広報担当 TEL.03-3499-1402 FAX.03-3407-4472 発行 青山学院大学図書館 〒150-8366 東京都渋谷区渋谷 4-4-25 http://www.agulin.aoyama.ac.jp/
今回は、理工学部 50 周年記念特集号。オススメ本を紹介していただきました。理工学部の先生た ちはどんな本を読んできたのか? 理工系本ばかりかと思いきや、『深夜特急』や『荘子』が登場。
橋本理工学部長が元昆虫少年だったことも意外でした。毎号そうですが、表紙の絵も素敵ですね。
(館報編集委員長 福岡伸一)
ガイダンスのお知らせ
本を選んでみませんか
本館 青山キャンパス
万代記念図書館 相模原キャンパス
◆特設:レポート対策ロード〜調べ方案内〜
「特設:レポート対策ロード」とは、本館 1 階に期間限定で特設する自習コーナーです。
レポート作成ポイントをまとめた資料を展示し『情報の達人』DVD を上映します。
◆就活生サポートガイダンス〜データベースで内定力アップ〜
就活にも詳しい外部講師(データベース提供元)をお招きし、データベースの有効活用をご説明いただきます。
より良い就活を目指したい方、業界研究・企業研究を深めたい方、一歩差をつけたい方にオススメの講習会です。
◆新 3・4 年生のための卒論準備ガイダンス
2016 年 4 月に 3・4 年生になる方を対象に、卒業論文(研究)執筆前に、先行研究の探し方や論文作成の基本を身につける ための講習会を実施します。授業で忙しくなる前に、一足先に役立つ情報を入手しましょう。
◆祝・卒業! 校友のための調べ方案内
卒業生の図書館利用と、卒業後も使える主要フリーサイトをご案内します。(卒業生は学内 PC 等の利用資格はありません)
◆15 分で「論文・学術雑誌の探し方」教えます
課題やレポート、ゼミや卒研の論文など、資料の探し方に困っていませんか。
15 分で論文と学術雑誌の関係、資料収集のコツを教えます。
青 山 キャンパス 選書&POP 作りツアー
相 模 原 キャンパス
【開催日時】12 月 4 日(金)〜 12 月 10 日(木)
平日/ 9:30 〜 21:00 土/ 9:30 〜 20:30 日/ 12:30 〜 18:30
【会 場】図書館 3 階グループ閲覧室 B
【開催日時】12 月 1 日(火)〜 12 月 3 日(木) 9:30 〜 19:30
【会 場】図書館 1 階点字用ブース
リサイクルブックフェアのお知らせ
直接、書店に行って、図書館の蔵書にしてほしい本を選んでみませんか。利用者みんなの代表として、
本を選び、ポップを作りましょう。参加希望者多数の場合は抽選になります。
【参加資格】本学所属の学部生 【募集人数】10 名
【日 時】11 月 25 日(水)午後 【場 所】紀伊國屋書店 新宿本店
【応募受付】11 月 11 日(水)まで本館貸出・返却カウンター、または万代 2階レファレンスカウンターにて 皆さんの興味がありそうな本を書店から図書館に持ってきて展示します。実際に手に取って図書館に 置く本を選んでみませんか。日々の授業や卒業論文の参考になる本がきっとあります。
【参加資格】本学所属の学部生、大学院生 【期 間】11 月 24 日(火)〜 28 日(土)
【場 所】万代記念図書館 1 階点字用ブース ※詳細は図書館ホームページをご覧ください。
学生選書 Week
12 月 15 日(火)〜 2016 年 2 月 2 日(火) 場所:図書館 1 階共同学習室付近
集合場所:図書館 1 階マルチメディア室 2016 年 3 月 5 日(土)、3 月 12 日(土) 15:00 〜 16:00 ※各日同内容
集合場所:図書館 1 階マルチメディア室 2016 年 3 月 5 日(土)、3 月 12 日(土) 16:30 〜 17:30 ※各日同内容
場所:図書館 2 階レファレンスカウンター 11 月 16 日(月)〜 27 日(金) 平日のみ 1 日 2 回 14:15 〜、18:30 〜
集合場所:図書館 1 階マルチメディア室 eol
日経 BP キジケン
朝日新聞「聞蔵Ⅱビジュアル」
12 月 8 日(火)
12 月 10 日(木)
12 月 15 日(火)
17:00〜18:30 17:00〜18:00 17:00〜18:30