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発刊に際して

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Academic year: 2021

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70巻記念号(1~2)

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陶A・小児保健の現状と課題提言

発刊に際して

     特例社団法人日本小児保健協会会長

社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所          衛 藤   隆

 わが国では第二次世界大戦後65歳以上の老年人 口は少しずつ増え,次第にそのスピードを増してい る。一方,15歳未満の年少人口は減少を続けている。

これらの人口の動向は少子高齢化と呼ばれ,当分の 間続くだろうと予想されている。このことはとりも なおさず15~64歳の生産年齢人口の減少を意味し,

事実,1990年代の半ばを頂点として減少傾向にある。

私たち小児保健関係者は当分の問,少子高齢化した 社会の中で子どもが生まれ,育ち,成熟することを 考えて行かねばならない。例えば遊び仲間の確保,

通学路の安全など,具体的に考えると一昔前と同様 には進められないさまざまな課題が浮かび上がる。

人口学的要因以外でも国内では市町村合併が進み,

小中学校数は漸減する傾向にある。通学区域は広域 化する傾向にあり,それまで歩いて通っていた子ど もがスクールバスで通うようになるなどの生活の変 化が起こり,運動量にも影響を与えるかもしれない。

このようなことはほんの一例であり,社会の変化に 伴い,子どもの成育環境が大きく変わりつつあるこ

とに注目しなければならない。

 21世紀も最初の10年が過ぎ,次の10年に突入した。

過去10年を振り返ると健康日本21,健やか親子21,

スポーツ振興基本計画,教育振興基本計画など10年 単位を見通したさまざまな国家規模の計画が立てら れ,取り組みがなされてきた。その多くは現在も延 長,継続され,評価もなされてきた。これらの意義 についてはもう少し年月を経ないと鮮明にはならな いかもしれない。客観的に評価できる取り組みが,

小児保健にかかわる主題についてもなされているこ 社会福祉法人恩賜財団母子愛育二

日本子ども家庭総合研究所

〒106-8580東京都港区南麻布5-6-8

とには今後とも注目しておく必要があろう。

 小児人口の減少傾向にもかかわらず,個に応じた きめ細かなサービスを考慮するとき認識しておかな ければならないポイントは,慢性疾患に罹患した子

どもが過去に比べて増えている可能性についてであ る。これは,学校教育の現場,すなわち学校におい てはより現実的課題として考慮される必要がある。

人口動態統計によれば!5歳未満の悪性新生物による 人口10万人当たりの死亡数は減少し,1980年から 2002年までの22年間に半分以下になったことが明ら かになっている。他方で,小児慢性特定疾患治療研 究事業による悪性新生物に対する全国の医療給付人 数は増加傾向を示し,悪性新生物に対する治療を受 けて長期間生存できる子どもが増えて来ていること が明らかになっている。気管支喘息についても15歳 未満の死亡数が減少している一方で,同一医師が同 一プロトコールを用い,同一環:境背景にある対象を 選んで実施した調査でみても,時代とともに学童の 有症率は増加傾向を示したという報告がなされてい る。以上は悪性新生物と気管支喘息だけについてで あるが,心疾患や腎疾患肝胆道疾患など外科治療 や内科治療の進歩により,救命,延命できる疾患が 増えていることは事実であり,学童期以降の年齢集 団において慢性疾患と戦いあるいは共存しながら日 常生活を送っている子どもたちが以前に比べ,相対

的に増えている可能性は大である。

 以上に加え,いわゆる発達障害と呼ばれる特性を 持った子どもたちが増えていることも考慮する必要 がある。

 これからの時代は,多様な個性や特徴を有した個 人がその持てる特徴を存分に発揮できるよう,互い に認め合い,助け合いながら生存できるような環境

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2 小児保健研究

や社会を構築する方向を目指すことにならざるを得 ないであろう。小児保健においても一つひとつの課 題に科学的にアプローチし,現状を把握し,分析

し,評価していくことが求められ,それらの成果を

元に政策立案がなされ展開される必要があるように 思う。本協会の活動を通じ,小児保健にかかわる学 術的貢献が大いになされることを期待するものであ

る。

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