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児童生徒の友人関係の検討 ―心理社会的発達の視点から―

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(1)

【問題と目的】

平成

24

年度のいじめの発生件数は小学校で

117,383

件,中学校で

63,634

件(文部科学省,

2013)であり,前年度より 147,893

件増加して いた。これは,いじめ防止対策を積極的に行う 学校が増加し,喧嘩や遊びから発展するいじめ など今まで軽視されてきた事柄にも厳しく対応 しようとする視点が反映されていると考えられ る。いじめ問題が多発した

80

年代にすでに文 部科学省(1985)は“児童生徒は友人関係や集 団生活の中で成長発達するものであり,友人間 の問題の克服も,本来「子どもの世界」に託す べき部分が多い。しかしながら,今日の児童生 徒間におけるいじめが極めて深刻な状況にある ことをかんがみ,「子どもの世界」にあえて手 をさしのべ,現実問題への的確な対処と,未然 防止への努力を開始する必要があると考える”

と指摘しており,「いじめの未然防止」の意図 も含めて,より積極的に児童生徒の友人関係を 把握し,関係調整のために介入することが求め られている。

児童生徒の友人関係に関して,「児童生徒を 対象とした学校教育に関する意識調査」(文部 科学省,2004)によると,中学生が学校教育で 身に付けたいことは「人々などと仲良くつき あったりするなど社会の一員として必要な幅広

い能力」が第

1

位で,小学生では「友だちをつ くったり,自分のまわりの人々などと仲良くつ きあったりする力」が第

2

位であった。同様に 上記内容は保護者や教員が児童生徒に身に付け させたい能力の第

1

位でもあった。よって,児 童生徒,教師,保護者がともに友人関係の重要 性を認識し,学校教育を通して健全な友人関係 を形成し維持する能力が向上することを望んで いると考えられる。児童生徒は友人関係を通し て協調性や思いやり,共感,責任感,集団内 の役割,自己抑制と自己主張など様々な事柄 を学ぶことが従来から指摘されている(一前,

2011;岡野,1995)。つまり,友人関係の形成

や維持の仕方を学び,良好な友人関係を築ける ことは「いじめの未然防止」のような否定的出 来事の予防のみならず,児童生徒の心理社会的 発達の促進にもつながると考えられる。

児童生徒の友人関係形成の発達的変化は従来 から指摘されている(Stephanie,1983)。例え ば

Sullivan(1953)は 8

歳半から

12

歳頃の時 期には,満足欲求や安全欲求を満たす重要な他 者として,仲間が親と同等かそれ以上に大きな 存在となり,真の意味での対人関係の親密さが 現れる。そして児童期には自分と同じような仲 間を求め,遊び友達から受け入れられることを 望む「仲間による受容欲求」が,前青年期は同 性の特定の友人と親密な関係を持つことを望む

児童生徒の友人関係の検討

心理社会的発達の視点から

武 蔵 由 佳

(2)

「親密欲求」が重要になることなどを指摘して いる。日本においても,児童期から青年期前期 にかけての仲間関係の重要性と,各時期に仲間 に求めるものの差異が指摘されている(田中,

1975;保坂・岡村,1986)。最近の実証的研究

としては武蔵(2013)が,児童生徒の仲間関係 に対する欲求には,他者を入れない閉鎖的な関 係を求める「固定した関係欲求」,他者との内 面的な深まりを求める「内面共有欲求」,様々 な他者と関わろうとする「開かれた交流欲求」

3

つの側面があり,小学生男子は「固定した 関係欲求」,中学生女子が「内面共有欲求」,男 女ともに中学

3

年生では「開かれた交流欲求」

を強く求めていることなど,Sullivan(1953)

の指摘同様,児童期から青年期では友人関係に 求める欲求が異なることを明らかにしている。

さらに個人的要因も考えられる。つまり,個 人の友人関係への欲求の持ち方により友人関係 の取り方も異なっていることが推測される。例 えば「固定した関係欲求」を強く持つタイプは 閉鎖集団を好み,いじめやからかいのような問 題を含む友人関係でもその関係を継続しようと する可能性があり,その結果として自尊心が傷 つき,積極性や信頼感が薄れてしまう可能性も 考えられる。また,「内面共有欲求」を強く求 めるタイプは自他の内面の類似性を確認したい ために,過度に友人に依存し,友人が自分の欲 求に応えてくれないと不安を強めることもある と考えられる。したがって,友人関係への欲求 の持ち方により,友人関係の取り方にも特有の 傾向が生まれ,その結果として児童生徒にもた らされる心理社会的側面も異なっている可能性 が考えられるのである。しかし,この点につい て実証的に検討している研究はない。

児童期青年期の心理社会面における発達課題 は「友達を作り維持する」,「友達関係を広げ,

同年齢の集団の一員として行動できる」,「親し い友人を作り,親密かつ率直な話ができる」と 指摘されている(石隈,1999)。児童生徒の対 人関係能力の低下が叫ばれて久しい現在,この 発達課題の達成に対する支援が求められてい る。その際,陰湿ないじめ問題に発展すること なく,親密かつ率直な話ができる良好な友人関 係をどのように維持していくのかなど,児童生 徒に「友人を作る」ことを推奨する取組や「友 人とうまく付き合う」スキルの教育をする前 に,児童生徒がどのような友人関係を形成・維 持できれば望ましい心理社会的側面が促進され るのか,という視点を支援者は持ち,児童生徒 の友人関係の改善を行うことも重要になってく ると考えられる。

したがって,本研究では児童生徒の友人関係 に対する欲求の持ち方と心理社会的側面との関 連を探索的に検討することを目的とする。

研 究 1

【目的】

研究

1

ではまず児童生徒の友人関係に対する 欲求の持ち方をタイプ分類し,臨床像を検討す ることを目的とした。

【方法】

調査対象 小学校

3

校の児童

724

名(男子

354

名,女子

370

名),中学校

2

校の生徒

791

名(男 子

394

名,女子397名)を対象とした(Table 1)。

調査時期 2006年

9

月から

11

月に実施された。

測定用具 調査対象の児童に友人関係形成欲求 尺度(武蔵,2013)を実施した。グループの仲

(3)

間同士で固まっていたいなどの「固定した関係 欲求」,考え方が違う人が刺激になるなどの「開 かれた交流欲求」,秘密や悩みを友だちに打ち 明けるなどの「内面共有欲求」の

3

側面を測定 するものである。評定は「4:とてもそう思う」

から「1:ぜんぜんそう思わない」までの

4

件 法である。

調査手続き 各学校長に調査依頼をし,各校依 頼

1

ヶ月以内の実施を期限とし回収した。調査 用紙は本調査が学校の成績に関係がないこと,

担任の教師および友達に回答の内容が公開され ることがないことを明示した。さらに担任教師 には,実施の手順・注意事項のプリントの通り に実施することを依頼し,児童生徒の回答用紙 は渡した封筒に入れ,その場で密封してもら い,児童生徒に余計な不安がかからないように 配慮した。

【結果と考察】

1.友人関係に対する欲求のタイプ分類 友人関係形成欲求尺度をもとに児童生徒の友 人関係におけるタイプ分類を行うために,友人 関係形成欲求尺度の

3

因子の得点を標準得点に 換算し,平均値の高低により

8

つのタイプを抽 出した。具体的には次のタイプに分類された。

①親和欲求高群:「固定した関係」「内面共有 欲求」「開かれた交流欲求」の

3

因子が全て平

均得点以上であり,友人関係に対して多面的な 欲求を強く持っている群である。②内面・交流 高群:「固定した関係」が平均値より低く「内 面共有欲求」「開かれた交流欲求」の

2

因子が 平均得点以上であり,様々な他者と関わりなが ら内面共有することを望む群である。③交流高 群:「固定した関係」「内面共有欲求」が平均値 より低く「開かれた交流欲求」が平均得点以上 であり,様々な他者との交流を強く望む群であ る。④固定・交流高群:「固定した関係」「開か れた交流欲求」が平均値より高く「内面共有欲 求」が平均得点以下であり,固定した関係を望 む一方で,様々な他者との交流も望む群であ る。⑤固定・内面高群:「固定した関係」「内面 共有欲求」が平均値より高く「開かれた交流欲 求」が平均得点以下であり,固定的な関係の中 で内面共有を望む群である。⑥内面高群:「内 面共有欲求」が平均値より高く「固定した関係」

「開かれた交流欲求」が平均得点以下であり,

他者との内面共有を強く望む群である。⑦親和 欲求低群:「固定した関係」「内面共有欲求」「開 かれた交流欲求」の

3

因子が全て平均得点以下 であり,親和欲求があまり喚起されていない群 である。⑧固定高群:「固定した関係」が平均 値より高く「内面共有欲求」「開かれた交流欲 求」が平均得点以下であり,固定化した関係を 強く望む群である。各タイプの得点を

Table  2

および

Fig. 1

に示す。

2.友人関係に対する欲求のタイプの出現率 次に

8

タイプと性別と学校種別の間に連関 があるか検討するために,性別と学校種別に よる

8

タイプの度数分布を算出し,χ二乗検 定を行った。結果,タイプごとに有意な偏り

Table 1 全調査対象者の人数

小学校 中学校

  男子 女子   男子 女子

4

年生

112 110 1

年生

134 133

5

年生

121 137 2

年生

133 131

6

年生

121 123 3

年生

127 133

354 370

 

394 397

(4)

(χ(21)=2

147.81,p

.01)があったため,残

差分析を行い,どの分布が影響を与えているの かを求めた(Table 3)。結果,小学生男子では,

④固定・交流高群,⑧固定高群が多く,この時 期に特有と言われる固定化した強固な狭い関係

を求める傾向が強いことが明らかになった。ま た,⑦親和欲求低群の出現率が高かったことか ら,友人関係に対する

3

側面の欲求をあまり持 たない児童が存在することが明らかになり,積 極的に友人関係を持とうとする児童と持とうと

Table 2 各タイプの得点

固定した関係欲求 内面共有欲求 開かれた交流欲求

1

親和欲求高群

58.99

4.81) 58.33

(5.35)

56.92

4.45)

2

内面・交流高群

42.77

5.90) 57.26

(5.31)

57.08

(10.21)

3

交流高群

42.90

6.56) 42.01

(4.59)

55.32

8.08)

4

固定・交流高群

59.50

(10.76)

41.21

(5.19)

55.41

4.16)

5

固定・内面高群

57.20

4.41) 57.39

(9.34)

43.34

4.35)

6

内面高群

43.41

5.41) 55.21

(4.80)

43.49

4.48)

7

親和欲求低群

42.02

6.15) 40.44

(5.24)

40.66

6.01)

8

固定高群

58.00

4.92) 39.91

(5.63)

42.08

4.56)

( )内は標準偏差.

Table 3 各タイプの出現率のχ二乗検定の結果

1 2 3 4 5 6 7 8

親和欲求高群 内面・交流高群 交流高群 固定・交流高群 固定・内面高群 内面高群 親和欲求低群 固定高群 男子

小学校 56 30 42  40 19 37  97 33

-2.82** -3.66** 0.96n.s. 1.97 -2.80** -0.65n.s. 5.29** 2.29 中学校 108 41 39 35  30  29 78  34 

3.51** -2.66** -0.45n.s. 0.14n.s. -1.20n.s. -2.95** 1.11n.s. 1.82

女子  

小学校 88  59  37 42 37  36  46 25  1.41n.s. 0.94n.s. -0.36n.s. 2.07 0.69n.s. -1.18n.s. -3.18** 0.08n.s.

中学校 69 89 41 15 52 71 51 9

-2.16 5.25** -0.13n.s. -4.06** 3.22** 4.72** -3.09** -4.09**

**p.01,p.05.

Fig. 1 各群の得点グラフ

(5)

しない児童の二極化が見られるのではないかと 考えられた。次に中学生男子では①親和欲求高 群の出現率が高かった。よって男子の場合は小 学校から中学校への移行とともに,内面を共有 し,新たな友人関係を築きたいという欲求がで てくることが明らかになった。小学生女子は

④固定・交流群の出現率が高く,中学生女子で

②内面・交流高群,⑤固定・内面高群,⑥内面 高群の出現率が多かった。よって,女子は中学 校への移行とともに内面共有欲求により深い関 係を築きたいという欲求が高まることが明らか になった。これらのことから,児童期と青年期 の男女で友人関係に求めるものが異なっている ことが確認された。

研 究 2

【目的】

研究

2

では研究

1

で明らかにされた友人関係 に対する欲求のタイプと心理学的変数の関連を 明らかにすることを目的とした。

【方法】

調査対象 小学生

1027

名(男子

488

名,女子

539

名),中学生

1518

名(男子

806

名,712名)

を対象とした(Table 4)。

調査時期 2007年

9

月から

10

月に実施された。

測定用具 調査対象の児童に友人関係形成欲 求 尺 度( 武 蔵,2013) を 実 施 し た。 児 童 生 徒の心理特性を測定する尺度として,POEM

(Prediction Of Emotional Maladjustment:児童 生徒理解カード)(高野・海保・櫻井・岩立・

渡邊,1992)を実施した。POEMは受容感,

効力感,セルフコントロール,不安傾向,対人 積極性,向社会性,攻撃性の

7

つの側面を測定

している。小学生用の評定は「4:とてもそう 思う」から「1:まったくそう思わない」まで の

4

件法である。中学生用の評定は「5:とて もそう思う」から「1:ぜんぜんそう思わない」

までの

5

件法である。得点が高いほど各々の心 理特性が高いことになる。

調査手続き 研究

1

と同様である。

【結果と考察】

1.友人関係タイプと心理学諸変数との関連 友人関係形成欲求尺度をもとに児童生徒の 友人関係に対する欲求を

8

つのタイプに分類 した。学校種別に

POEM

7

因子と性別,欲 求のタイプとの関連を検討するために,各因子 について性別(2)×欲求のタイプ(8)の二要 因分散分析および

Tukey

法による多重比較を 行った。結果を

Table  5

6

Fig.  2

5

に示 した。特徴的な傾向を以下に示す。小学生にお いては,「受容感」は,欲求のタイプの主効果 が有意であった。①親和欲求高群が③交流高 群,⑤固定・内面高群,⑥内面高群,⑦親和欲 求低群,⑧固定高群よりも得点が高かった。「効 力感」は,欲求のタイプの主効果が有意であり,

①親和欲求高群,②内面・交流高群,③交流 高群,④固定・交流高群が⑤固定・内面高群,

⑥内面高群,⑦親和欲求低群,⑧固定高群より も得点が高かった。「セルフコントロール」は,

Table 4 全調査対象者の人数

小学校 中学校

  男子 女子   男子 女子

4

年生

124 139 1

年生

316 265

5

年生

180 191 2

年生

284 301

6

年生

170 193 3

年生

186 165

474 523

 

786 731

(6)

Table 5

 小学校における欲求のタイプごとの

POEM

得点の分散分析結果  男子女子 1234567812345678性別欲求のタイプ交互作用 和欲 高群面・ 流高流高定・ 流高定・ 内面内面和欲 低群固定和欲 高群面・ 流高流高定・ 流高定・ 内面内面和欲 低群固定 n94n24n31n78n39n14)(n104)(n90n169n55n31n42n75n45n53n53 受容感53.1654.0449.8951.2949.9545.5245.3849.0454.0351.1351.5852.4151.1247.9244.9046.410.04n.s.12.66***0.90n.s. 10.847.999.399.669.1113.339.108.759.4011.109.5510.279.1510.759.7910.09135678 ; 87 2345678 効力感53.3354.6254.2051.9848.5145.4943.5846.9853.3451.5052.6851.3346.6845.2844.5244.592.38n.s.21.30***0.59n.s. 9.357.489.419.9410.5211.2110.138.318.7011.107.018.799.158.738.968.3012345678 コン トロ49.1451.7950.4647.9845.5046.9747.4346.2051.7750.1654.4750.8348.3548.0648.1147.065.074.60***0.68n.s. 10.648.3511.749.999.9910.999.109.649.839.379.8610.239.218.239.209.34女子>男子123578 346 ; 48 不安感48.7545.3648.7048.7252.5845.9150.8750.7350.4148.6247.9850.5552.7952.9353.5151.006.76**3.12**0.81n.s. 10.867.3711.219.839.6313.889.779.8110.0011.4910.3410.809.1910.369.4811.40女子>男子57123 54 ; 82 対人 積極性51.7957.1751.7250.0052.4444.4445.9847.9152.7952.2048.7248.6047.6048.2246.8746.393.07n.s.9.90***1.87n.s. 10.1210.698.589.148.3913.709.508.919.398.419.349.239.369.5310.619.501235678 ; 124523 ;47 向社会性52.1355.9051.2248.3350.3444.6642.6544.7954.6855.8052.7953.5851.2850.8348.3046.5717.08***17.87***1.37n.s. 10.238.549.928.819.4711.4410.278.888.208.908.339.789.358.8411.2910.09女子>男子1234578 1245623 ; 36 攻撃性51.2446.6848.1050.6855.2251.9052.6552.3949.1845.3545.0948.7349.0950.4850.6851.3510.53**4.69***0.73n.s. 10.387.487.709.569.2010.989.838.659.199.708.3211.218.8111.159.4310.44男子>女子 14567823 ( )内は標準偏差.*** p<.001,** p<.01, p<.05.

(7)

Table 6

 中学校における欲求のタイプごとの

POEM

得点の分散分析結果  男子女子 1234567812345678性別欲求のタイプ交互作用 親和欲求 高群内面・ 交流高群交流高群固定・ 交流高群固定・ 内面高群内面高群親和欲求 低群固定高群親和欲求 高群内面・ 交流高群交流高群固定・ 交流高群固定・ 内面高群内面高群親和欲求 低群固定高群 n179)(n99)(n45)(n64)(n98)(n63)(n169)(n69n231)(n121)(n56)(n41)(n110)(n64)(n39)(n31 受容感55.1354.2549.6150.4149.2550.5944.0745.2353.6451.4145.7448.8048.6649.4940.3442.6114.84***33.30***0.61n.s. 10.238.899.289.739.519.479.179.449.449.0710.2810.829.698.339.568.06男子>女子1234578 効力感54.2853.3253.8751.4350.0948.4745.2045.4252.1153.6351.9550.3548.4147.5645.8342.653.9519.22***0.58n.s. 10.369.457.1011.089.668.619.6611.039.449.749.519.849.099.8515.9610.02男子>女子1245678 ; 35678 ;46 コン トロ52.2849.6049.6048.4550.7648.6947.0048.7451.6850.5851.6149.4149.0747.1449.0549.050.26n.s.4.15***0.82n.s. 9.869.499.2610.4410.3010.629.749.7710.259.0911.1710.2810.748.9112.278.191245678 ; 236 不安感49.4249.2550.6149.1151.9849.9248.9750.2551.0149.3951.2151.4151.6148.5649.3648.770.13n.s.1.40n.s.0.60n.s. 10.5810.6411.3212.549.9210.599.9710.2710.0711.0310.0110.849.128.4511.0710.04 対人 積極性54.7455.3150.8451.3249.3349.6843.5643.6852.3652.9148.9348.0348.1547.9841.7742.0413.25***34.64***0.18n.s. 9.188.639.808.868.5610.149.299.8510.109.4410.788.867.448.819.677.60男子>女子12345678 向社会性52.8553.1653.6651.9148.6049.0146.9546.2752.6353.7950.0148.7749.8847.2844.9546.783.06n.s.13.82***1.21n.s. 10.298.899.159.7311.437.239.419.359.959.249.2812.539.009.219.2213.27124567 ; 35678 ;4578 攻撃性50.3246.3449.1550.3250.3249.5149.5251.3349.9446.9744.5451.0351.4947.2252.4853.820.02n.s.6.12***1.87n.s. 10.258.968.189.399.499.469.5910.7210.069.718.118.6010.158.7810.2410.05  1457823 5786 ; 81 ( )内は標準偏差.***p<.001,**p<.01,p<.05.

(8)

性別,欲求のタイプの主効果が有意であった。

女子が男子と比較して有意に得点が高く,①親 和欲求高群,②内面・交流高群,③交流高群が

⑤固定・内面高群,⑦親和欲求低群,⑧固定高 群よりも得点が高かった。「不安感」は,欲求 のタイプの主効果が有意であり,⑤固定・内面

高群,⑦親和欲求低群が①親和欲求高群,②内 面・交流高群,③交流高群よりも得点が高かっ た。「対人積極性」は,欲求のタイプの主効果 が有意であり,①親和欲求高群,②内面・交流 高群,③交流高群,⑤固定・内面高群が⑥内面 高群,⑦親和欲求低群,⑧固定高群よりも高

Fig. 2 小学生男子における欲求のタイプごとの POEM

得点

Fig. 3 小学生女子における欲求のタイプごとの POEM

得点

(9)

かった。「向社会性」は,性別,欲求のタイプ の主効果が有意であった。女子が男子と比較し て有意に得点が高く,①親和欲求高群,②内 面・交流高群,③交流高群,④固定・交流高 群,⑤固定・内面高群が⑦親和欲求低群,⑧固 定高群よりも得点が高かった「攻撃性」は,性

別,欲求のタイプの主効果が有意であった。男 子が女子と比較して有意に得点が高く,①親和 欲求高群,④固定・交流高群,⑤固定・内面高 群,⑥内面高群,⑦親和欲求低群,⑧固定高群 が②内面・交流高群,③交流高群よりも得点が 高かった。このように,小学生においては男女

Fig. 4 中学生男子における欲求のタイプごとの POEM

得点

Fig. 5 中学生女子における欲求のタイプごとの POEM

得点

(10)

別にはセルフコントロール,不安感,向社会性 が女子で高く,攻撃性が男子で高いこと,欲求 のタイプ別には,①親和欲求高群と②内面・交 流群において,受容感,効力感,対人積極性,

向社会性などの肯定的側面の得点が相対的に高 いことが明らかになった。また,開かれた交流 欲求が低い群(⑤~⑧)において,攻撃性や不 安感が高いことが明らかになった。

中学生においては,「受容感」は,性別,欲 求のタイプの主効果が有意であった。男子が女 子と比較して有意に得点が高く,①親和欲求 高群,②内面・交流高群が③交流高群,④固 定・交流高群,⑤固定・内面高群より得点が高 く,さらに①~⑤群は⑦親和欲求低群,⑧固定 高群よりも得点が高かった。「効力感」は,性 別,欲求のタイプの主効果が有意であり,男子 が女子と比較して有意に得点が高く,①親和欲 求高群,②内面・交流高群が,④固定・交流高 群,⑤固定・内面高群,⑥内面高群より得点が 高く,さらに①~⑥群は⑦親和欲求低群,⑧固 定高群よりも得点が高かった。「セルフコント ロール」は,欲求のタイプの主効果が有意で あった。①親和欲求高群がその他の群と比べ て得点が高かった。「不安感」は,性別,欲求 のタイプ,交互作用ともに有意差がなかった。

「対人積極性」は,性別,欲求のタイプの主効 果が有意であり,男子が女子と比較して有意に 得点が高く,①親和欲求高群,②内面・交流高 群が,③交流高群,④固定・交流高群,⑤固 定・内面高群,⑥内面高群より得点が高く,さ らに①~⑥群は⑦親和欲求低群,⑧固定高群 よりも得点が高かった。「向社会性」は,欲求 のタイプの主効果が有意であり,①親和欲求 高群,②内面・交流高群が,④固定・交流高

群,⑤固定・内面高群,⑥内面高群,⑦親和欲 求低群より得点が高かった。さらに,③交流高 群が⑤内面高群,⑥内面高群,⑦親和欲求低 群,⑧固定高群よりも得点が高かった。「攻撃 性」は,欲求のタイプの主効果が有意で,①親 和欲求高群,④固定・交流高群,⑤固定・内面 高群,⑦親和欲求低群,⑧固定高群が②交流高 群,③交流高群より得点が高かった。

このように中学校においては男女別には受容 感,効力感,対人積極性において男子が高く,

欲求のタイプ別には小学生と同様に①親和欲求 高群と②内面・交流群において,受容感,効力 感,対人積極性,向社会性などの肯定的側面の 得点が相対的に高いことが明らかになった。ま た,開かれた交流欲求が低い群(⑤~⑧群)に おいて,攻撃性や不安感が高いことが明らかに なった。

さらに小中学生共に,開かれた交流欲求が高 い①親和欲求高群,②内面・交流高群が③交流 高群,④固定・交流高群において受容感,対人 積極性,向社会性が相対的に高いことが示され た。よって,内面共有欲求を背景に持ちながら 開かれた交流欲求を持つタイプ,いわば広く深 いつきあいを求めるタイプが最も肯定的な心理 面を多く持つために,心理社会的発達が促進さ れると考えられる。反対に開かれた交流欲求が 低い群については,受容感や効力感が低く,攻 撃性が高いという結果から,交流の範囲が狭く なればなるほど個人の発達の促進に寄与しない と考えられた。

【まとめと今後の課題】

本研究では児童生徒の友人関係に対する欲求 の持ち方と心理社会的側面との関連を探索的に

(11)

検討することを目的とした。

友人関係に対する欲求の持ち方の類型の出現 率においては,(1)小学生男子において,④固 定・交流高群,⑧固定高群が多く,この時期に 特有と言われる固定化した強固な狭い関係を求 める傾向が強い,(2)中学生男子では①親和欲 求高群の出現率が高く,学校段階の移行ととも に,内面を共有したり,新たな友人関係を築き たいという欲求がでてくる,(3)女子において は,学校段階の移行とともに内面共有欲求が高 まることが明らかになり,学校段階および性別 による差異が見られた。

友人関係に対する欲求の持ち方の類型と心理 社会的側面との関連については,(1)どの学校 段階および性別においても,①親和欲求高群と

②内面・交流群が受容感,効力感,対人積極性,

向社会性が相対的に高く,これらの

2

タイプが 最も心理社会的発達が良好であったことが明ら かになった。また,(2)開かれた交流欲求が低 い群(⑤~⑧群)では攻撃性や不安感が高いこ とも明らかになった。よって児童生徒は,内面 交流欲求と開かれた交流欲求が同時に高まるよ うな友人関係を持てることが重要であると考え られる。つまり,単に友人関係を持つのではな く,どのような欲求を持ちながら友人と関わろ うとしているのかが重要であると考えられる。

担任教師はどのようにすれば,児童生徒が色々 な他者と関わって見たいと思い,本音で率直な 自己開示をして内面を交流したいと思うのか,

この視点を持ちながら学級内の友人関係形成及 び学級集団作りを展開する必要があるのではな いかと考えられる。

近年,固定的かつ排他的な集団内でのいじめ

(Simmons,2002; 三 島,1997; 藤 田,1997)

の問題が指摘されている。文部科学省(2006)

もいじめを許さない学級集団づくりについて言 及しており,教師がグループ内での児童生徒の 人間関係の変化を踏まえ,学級経営やグループ 指導の在り方,わけても班別指導について不断 の見直しや工夫改善を行う必要があることを指 摘している。よって,学級内の友人関係の問題 が深刻化する前に,児童生徒の対人関係に対す る欲求を捉え,内面交流欲求と開かれた交流欲 求が同時に高まるように教育実践を展開して いくことが,いじめ問題の予防として,および 児童生徒の心理社会的発達を促進するものとし て,重要であると考えられるのである。

本研究では,調査法の対象となる小学校

4,

5,6

年生のみの検討となった。小学校

1,2,3

年生の欲求なども捉えて児童期の対人関係を検 討することを今後の課題としたい。

引用文献

藤田英典 1997 教育改革―共生時代の学校づくり  岩波書店

保坂亨・岡村達也 1986 キャンパス・エンカウン ター・グループの発達的治療的意義の検討 心 理臨床学研究,4,17–26.

一前春子 2011 友だち関係の発達:ギャング・

チャム・ピア 児童心理学 伊藤亜矢子 編著  ミネルヴァ出版

石隈利紀 1999 学校心理学 誠信書房

三島浩路 1997 対人関係能力の低下といじめ 名 古屋大学教育学部紀要(心理学),44,3–9.

文部科学省 1985 児童生徒のいじめの問題に関す る指導の充実について 文部省初等中等教育局 文部科学省 2004 「学校教育に関する意識調査 調

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文部科学省 2006 学校におけるいじめ問題に関す る基本的認識と取組のポイント 初等中等教育 局児童生徒課

文部科学省 2013 平成

24

年度「児童生徒の問題行

(12)

動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果に ついて 文部科学省初等中等教育局児童生徒課 武蔵由佳 2013 児童生徒の友人・仲間関係に対す

る欲求の検討 早稲田大学大学院 教育学研究 科紀要,別冊第

21–2

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人間関係の発達心理学

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培風館

Simmons, R. 2002 Odd girl out: The hidden culture of aggression in girls. New York:Harcourt Inc.

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弥 生 1992 POEM(Prediction Of Emotional

Maladjustment, 児童生徒理解カード)図書文化

田中熊次郎 1975 新訂 児童集団心理学 明治図

書出版

Table 5 小学校における欲求のタイプごとのPOEM得点の分散分析結果  男子女子 1234567812345678性別欲求のタイプ交互作用 親和欲求 高群内面・交流高群交流高群固定・交流高群固定・内面高群内面高群親和欲求低群固定高群親和欲求高群内面・交流高群交流高群固定・交流高群固定・内面高群内面高群親和欲求低群固定高群 (n=94)(n=24)(n=31)(n=78)(n=39)(n=14)(n=104)(n=90)(n=169)(n=55)(n=31)(n=42)(n=75)(n=45)(n=53
Table 6 中学校における欲求のタイプごとのPOEM得点の分散分析結果  男子女子 1234567812345678性別欲求のタイプ交互作用 親和欲求 高群内面・交流高群交流高群固定・交流高群固定・内面高群内面高群親和欲求低群固定高群親和欲求高群内面・交流高群交流高群固定・交流高群固定・内面高群内面高群親和欲求低群固定高群 (n=179)(n=99)(n=45)(n=64)(n=98)(n=63)(n=169)(n=69)(n=231)(n=121)(n=56)(n=41)(n=110)(n=64)(n

参照

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