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知的障害者の住生活環境と福祉就労施設に関する研 究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

知的障害者の住生活環境と福祉就労施設に関する研 究

鈴木, 義弘

https://doi.org/10.11501/3154840

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(人間環境学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

知的障害者の住生活環境と福祉就労施設に関する研究

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ω

...

ω

199 9年

鈴木義 弘

(3)

目 次

論文要旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・01

序章. 研究の目的と方法

0-1. 研究の背景. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .07

①わが国の知的障害者問題と特徴

②社会参加環境整備の要件

o - 2 . 知的障害者の状況と施設体系.. . . . . ..・・・.. . . . 12

①知的障害者の状況

②戦後の施設制度化のプ口セス

③施設体系の問題点と適正化への方策

o - 3. 研究の目的と意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. . . . . . . . . . 18

①障害の概念と分析の視点

②建築計画的領域と課題

③研究の目的

④研究の方法 序章の補注 ・ 51用文献

1章. 住生活の特徴と行動規定の要因分析

- . はじめに. . . . . . . . . . . . . . . . . . 29 1 -2 . 知的障害者の住生活行動特性. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .30

①調査概要

②対象者の属性 ・ 能力

③家庭生活の状況

④外出行動の状況

⑤施設生活の状況

⑥将来の希望

- 3 . 住生活行動特性の要因分析・・・ ・・・・・・・・・. . . . . . . . .38

①住生活行動を規定する諸要因

②行動特性の規定要因

- 4 . 住生活時間による類型化.. . . . . . . . . . . . . . . . . . .42

①調査概要

②住生活行為の遂行時間構成

③家事参加 ・ 外出行動の内訳と特徴

④余暇時間遂行状況からみる住生活拠胤性の類型

- 5 . 住生活における領域形成. . . . . . . . . . . . . . . . . .48

①調査概要

②日常生活行為の分析

③住まい方の課題と改善のための要件

(4)

1 - 6 . まとめ・・・・・・・・・・・

・・・54

1市の補注 ・ 引用文献

4章. 通所授産施設における面積と用途構成の分析

4 - 1 . はじめに. • . • . • . • • . " . • . • . • • • • . • . • . • • . • . • . • . • • • • . • . • . • . • • • " • • . • . • " • " . • . • . • . • 93

①研究の背52

②研究の問的

4-2 対象施設の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. . 94

①大分県における援護施設整備状況

②対象施設の特徴

③平面計画と使われ庁による分鎖

4-3. 用途構成に関する分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98

①面積構成の分析

②主要室面積と用途構成の分析

③配置計画についての身察

4 - 4 . まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. • • • . . • . • . • . • .102 4章の補注 ・ 引用文献

2章. 外出行動特性と環境整備の課題

2 - 1 . はじめに.• • . . .58

2ー2. 外出形態と規定要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

①調資概要

②外lJjの形態と特徴

③外出11寺の利用施設について

④環境因fの分析

2 - 3 . 外出行動特性と社会環境整備課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64

①外川煩J�'lによる外出行動特性

②社会環境整備課題

2 - 4 . 事例研究:0市M町における地域受容環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・. • . . • . • . . . • • . . . • .67

①対象地区の選定時由と調査概要

②施設利用占の行動状況

③地域受符環境の身察

2 - 5. まとめ.. . • . . . .71

2 î吉の補注 ・ 引用文献

5章. 通所型授産施設利用者の行動特性と平面構成の分析

5 - 1 . はじめに.. . . • . • . • . • • • • • • • • . . . • . • . • • . • . • . . • . • . . . . . • . • • • • . . • • . • . • • . • • • • . . . • 107

①研究の目的

②研究の方法

5 - 2. 対象施設の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109

①対象施設の概要

②作業活動内容と作業領域

5 -3 . 作業活動の行動特性分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113

①作業活動における利用者の行動特性

②作業活動特性と作業室の用途構成

③行動特性に基づく領域構成の志向性

5 - 4 . 休憩時間の行動特性分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122

①休憩時間の主要行為

②施設利用者個人別の滞在場所と特徴

③施設平面 ・ 用途構成による規定要閃の身祭

5 - 5 . まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129

①作業 ・ 休憩行動を通した施設生活行動特性からの問題点

②通所型授産施設の計画要件

③施設の将来像を展望した課題 5章の補注 ・ 引用文献

3章. 福祉就労施設の特性把握と類型化

3 - 1 . はじめに・・・・・ . . .75

①研究の背景と日的

②知的附�占療育 ・ 処遇の施設体系と分類

③制祉就労施設の性格

3 -2. 研究の方法と対象施設の概要.. • . • . • • • • . • . • • . • . • . • • • • . • . • . • • . • • • . • . • . . • . . . • • .77

①調子町概民

②対 象施設の概要

3ー3. 立地特性による施設類型と特徴・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80

①敷地選定問山と立地特性の関係

②通l'lr I剖特性と通所万法の特徴

③施設連常の例別性と通所圏設定の課題

3 - 4 . 施設利用主体による施設類型と特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.• • • . • . • • . • .84

①附;iF下IJJi:柿成比による施設類型と特徴

②入退所状況と施設連関関係の特性

③イ県議庁の協ノJ"姿勢による施設特性

3 - 5. まとめ・・ ・・・88

①知的防��f1号制{It就労施設の特徴

②今後の品��

終章. 総 括

3市のMlìtE. づ|川文献

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究 成 果 同同 録 a斗 献 き

一研

文 が 考 と 辞 文 参 あ 謝

(5)

論文要旨

論文要旨

近年の知的障害者に対する行政施策の進展は、 「障害若基本法J の制定( 1993)と福祉環境整備の数値打標 設定(í障害者プランJ)により一定の評価はされるが、 その実施レベルにおいては、rltfì体に委ねられた実 施計画立案とその行財政的基盤を含めた実効性、 福祉サービス利用対象汗の実態把慌が不充分な状態での11 標値設定の有効性、 既存の施設体系の温存とその細分化に対する妥当性など多くの問題点が指摘できる。 ま た、 研究対象としての知的障害者に対する学術的知見についてみると、 医学・心ß.M"r�の研究分野とその成見:

は、 限定された対象への臨床的な研究が中心となっている。

一方で、 生活空間を保障するための建築計画的研究の重要性が指摘されるが、 その成果もきわめて希侍で ある。 研究を推進する上で阻害となる要因である意思伝達の困難性(当事再要求把握の困難性)、f�lIî見的な 社会認識による対象者の潜在化及び調査研究の制約(実態調査の困難性)などの知的障害特有の問題点が指 摘されるが、 本研究は、 住環境、 並びに、 就労施設に関して、 生活行為主体である知的障吉省の行動特性を 捉える認識論的アプローチ及び計画理念、 並びに、 計画要件を明らかにする計画論的アプローチを))5に、 知 的障害者の社会参加のための環境整備についての分析・考察を行ったものである。

本研究は、 序章、 終章を含む全7章から構成される。

まず序章では、 研究の背景と目的および方法を述べ、 現状認識とこれからの知的障害者の福祉環境整備の 方向性を考察し、 当事者ニーズを反映した施設体系の適正化(再編成と統合化)と同時に、 施設、 並びに、

環境整備の計画理念の確立の必要性を示した。

第l章及び第2章は、 家庭生活及び、外出行動の特性把爆とそれらの規定要閃の分析を行った。

第l章は、 家庭における住生活行動の特性についての要因分析を行い、 障3当事者の行為遂行の時間構成 および領域形成の特徴をそれぞれ類型化して捉えたものである。 住生活の自立性は、 必ずしも障害程度の総 合的評価である障害判定に一義的に依拠するものではなく、 社会生活能力の醸成により生活自立性が高まる こと、 しかし、 生活行為の遂行能力が自立性に直接的にはつながらず潜在化している場合があること、 さら に、 援助環境が行動規定の大きな要因になっていることを示した。 また、 住まい}j調査による知的障害者の

(6)

論文要旨 論文要旨

特徴として見出せるr [�jJ -性保持J傾向に着目して時間的側面と空間的側面による住生活類型化を行い、 私 的あるいは公的領域への偏在傾向と行為内容の特徴を明らかにするとともに、 住生活行動特性に応じた住空 間に求められる課題を促示した。

総括として終章においては、 住生活および施設活動に共通する行動特性と領域形成の特徴である拠点性・

滞在の偏在性の形成要因と考えられ、 かつまた、 知的障害者の固有性ともいえる「同一件保持の傾向J (与 えられた条件への抵抗として示される固着的傾向)と「他律的選択J ({主要求のぷ分化な状況下 での情性的

・意思放棄的滞在傾向)の2点を指摘した。 こうした傾向が ー旦定析すると、 より望ましい遂行形態への移

行及び環境変化への追随の困難な点が指摘でき、 これに対処する計開i要件として、 1 )間着化を緩和する空間 構成の連続性・可変性, 2)安定的空間を確保できる選択可能性保障のための空間構成の分節件、 さらに、 こ れらが相補的に確保されるべきであることを提起した。

第2卒は、 社会参加を実現する上での、 基本的かつ共通的要件である外出行動について論じた。 外出行動 の実態の杷掘と対象者の外山行動の類型に対応した行動促進の要件を抽出したが、 住生活行動と同様に、 当 事省の行動能力が必ずしも外山行為に直結せず、 家族の援助体制や環境整備の状況に規定されることが確認 された。 併せて、 知的障害者の活動拠点である市街地立地の有効性を示し、 さらに、 地域住民による受容環 境の形成についても言及した。

第3'""5章は、 通所授産施設を中心とした福祉就労施設についての施設計画的研究である。

第31与は、 知的障害者福祉就労施設と規定した研究対象施設を横断的に扱い、 施設運営方式や利用者構成 などについての類型化と施設特性の把握を行ったものである。 ここで明らかにした点は、 同一種別の施設に おいても利用者特性と作業活動内容の関係に顕著な個別性があること、 とりわけ、 授産施設では顕著なこと である。 施設設立主旨と実態の恭離と個別性は、 多様な活動が保障されているというプラス評価よりも、 施 設体系の形骸化及び既設制度を利用しつつ自助的に対処しているマイナス評価と捉えるべきととを論述し、

現行の施設極別細分化に関して、 再編成する必要性のあることを明らかにした。

第41告では、 通所授産施設の面積・用途構成の分析・考察を行っている。 国庫補助基準に準拠して設けら れる全盛宅である作業主・食事室をはじめ各室面積構成や、 機能別の部門構成のいずれにおいても施設問の 深見は大きく、 これは前章で示した施設の個別性との相関によって規定されるのではなく、 むしろ、 設立主 体の怒意的な判断に依拠する側面が強いこと、 さらに、 この結果、 こうした面積条件が諸室の用途を強く規 Æ:していることを指摘した。 また、 施設規模及び施設配置計画上の計画課題についても論じている。

続く第5草では、 利用書行動調査とその分析により、 作業活動および、休憩行動それぞ、れの平面計画上の課 題について、 総指的な計画要件に言及したものである。 利用者行動とこれに多大な影響を与える指導員の随 伴性の些ぷを加えて行った分析から、 利用者各レベルでの「作業遂行性jと「指導形態Jを指標化し、 これ らの組み合わせによって作業活動形態として3タイプの行動類型とその作業領域構成を示した。 また、 休憩

ILJ[HJ行1VJ特性の分析からは、 作業室の拠点性・床座償臥志向・食事室続問型和室の利用度の低さなどが挙げ られた。 以tを通して、 1)利用者の拠点的空間を充実すること、 2)作業活動の用途分化型領域構成を確保す ること、 3)活動の自rll度をもった空間構成に配慮することの主要な計画課題について言及した。

η4υ

(7)

序章. 研究の目的と方法

0-1 . 研究の背景

①わが国の知的障害者問題と特徴 1) r知的障害」の概念規定 2)知的障害省対策の後進性 3)知的障害者福祉観

②社会参加環境整備の要件

l)QOLの領域と概念化・測定化の指標 2)環境整備のプログラムと統合のための要件

。- 2. 知的障害者の状況と施設体系

①知的障害者の状況

②戦後の施設制度化のプロセス 1 )知的障害者福祉施設

2)職業リハビリテーション施設

③施設体系の問題点と適正化への方策 1 )現状の問題点

2)施設整備の基本理念

3)適正化への方策に対するこれまでの具体的提言 4)改革へ向けての課題

0- 3. 研究の目的と意義

①障害の概念と分析の視点 I)WHO試案

2)障害者の行動モデル

②建築計画的領域と課題

③研究の目的 1 )研究の着目点

2)既往関連研究と本研究の位置づけ

④研究の方法

1)調査と分析のフロー 2)研究対象

3)調査概要

序章の補注・ 引用文献

(8)

序章. 研究の目的と方法 0-1 . 研究の背景

①わが国の知的障害者問題と特徴

1) r知的障害」の概念規定

本論文は、 知的障害者を対象とした建築計画研究である。

これまで同義に用いられてきた「精神薄弱」という用語は、 ぷだ定義の明確ではない症候としての呼称、で あり、 またその用語の妥当性についても多くの疑問が指摘されてきた。 これと同II.Jに、 身体陪芹および精神 障害などと同様の障害区分としても用いられてきたため、 混乱もみられた。

欧米においても、 呼称の変遷がみられ、 その都度訳語についての議論も行われ引花に至っている。

例えば、 国際育成会連盟に用いられているMental Handicapの訳語やその叉・当性(ハンディキャップとい う用語自体にも差別的な意味合いが含まれる懸念)などが挙げられる。

現状においては、 障害区分を「知的(発達)障害JIntellectual Disabilityとし、 抗候をAAMR (アメリカ 精神遅滞協会)の定義(1992)の依拠しつつ「精神遅滞JMental Retardation とすることが一般的となってい る。 さらに、 これ以外の症候であるダウン症・内分泌疾患・自閉症・てんかん ・学習障害(L 0)・脳性マ

ヒ ・その他難病に起因する知的な発達障害を総称して、 本稿では「知的障害Jと規定し、 改正のilJきはある

ものの、 現状では旧来のままである行政上の用語や引用文献などに限って「精神薄弱Jを用いることとして いる。 (厳密には、 発達期に現れる知的な障害に限定するか否かの課題が残されている。)

また、 精神遅滞その他症候の分類についても、 疾病の原因の未解明な部分も含め未だ定説はない。 APA (アメリカ精神医学会)のDSM-ID (1994年にDSM-Nが提示された。)や、 WHOのl主|際疾病分類の ICD-I0などの極めて詳細で膨大な分類も提示されている。 しかし、 医学的治療の観点からのカテゴリ カルな障害別の診断ではなく、 社会生活を営む立場からは、 生活領域の機能的適応状態で判断するという身 え方もある。 本稿は、 生活環境を考察する研究の主旨から、 後者の観点で対象省を捉えることとする。

2)知的障害者対策の後進性

他に例をみない高齢化率の急伸は、 「公的介護保険J の導入に代表されるように、 わが国の医療保険制度 の根幹を改変させる重要な課題である。 また、 1994年建設省制定の通称「ハートピル法J U高齢者、 身体障 害者等が円滑に利用できる特定建築物の促進に関する法律J)や、 各都道府県単位で策定されつつある「福 祉のまちづくり条例Jなどは、 「バリアフリーJの概念の普及とともに評価されるべき画期的施策であると いえる。 しかし、 障害者問題全般の指摘と社会的対応はこれまで「身障者J中心であり、 これらの福祉的対 応対象の範鴎に「知的障害者Jおよびその他の障害者が想起されることは少ない。 医療分野の題材を多く手 掛け、 問題提起を行っている作家柳田邦男でさえ、 「障害Jを扱った書籍の編纂にあたって「身体障害者」

のみを対象としたことに、 強い自省の念を綴っている。

r (前略)私は文轟春秋創業七十周年記念事業のーっとして、 『同時代ノンフィクション選集』全十二巻の編 集と各巻のテーマ別解説の執筆と各巻末掲載のテーマ別ノンフィクション作品年点という仕事に取り組んで いた。 ・・・・ (中略)

しかし、 選集第三巻の「障害をこえて」の巻では、 身体障害者に関する作品だけを対象にしていたため、

「おやじは病気や障害の問題に力を入れているけれど、 精神障害者の問題は落ちているね。 やっぱり精神障 害者は社会的に疎外されているし. 問題にされるのは最後になるんだJと、 厳しい意見をいった。

いま、 その言葉が父親であり作家である私の肩に重くのしかかっている。 (後略)J

く柳田邦男「犠牲付')77イスわが息子ー脳死の日日J1995・文芸存秋〉

(9)

序章. 研究の目的と方法 序章, 研究の目的と方法

身障者偏重の行政施策. Iは、 歴史的背呆に基づく,意図的なものであることが指摘されている。 ひとつは、

ILO勧告の誤訳問題である。 1955年保択のJLO勧告第9 9号「障害者の職業更生に関する勧告Jにおい て、 'disabled person' を「身体障害者J. 'physical or mental impairrnent' を「身体的及び精神的障害Jと訳し たのは、 精神神弱者-・村神障害省の排除を意図したものであるという問題である。また、 日清・日露戦争以 降U額の経質と技術を投入した傷樋軍人への医療と更生援護対策が、第2時大戦後も引き継がれてきた点も、

無関係ではなかったといえる。

1952年設立の全日本精神薄弱者育成会(親の会 )が中心となり要求運動の展開された「精神薄弱者福祉法J 制定が1960年(1身体障害者福祉法」は、 戦後間もない1949年)、「養護学校設置義務化J1979年、 知的障害 τ守のきIJ当雇用率に算入されることとなった*2 r障害者の雇用促進等に関する法律J1987年(1身体障害者雇 用促進法J制定は1960年、 雇用義務化の大改正は1976年)など法制定が、 知的障害者対策の遅延をそのまま 点しているといえる。

に変更している。)この概念が、 ようやく、 社会の側が附'ð1守をはじめとする社会 的不利な条件を「ノーマ ルに受け入れるJための環境整備、 すなわち当事者決定による主体的生活保障という本来促唱された認識に 変化しつつある。 前述の比喰でいえば、「生かされる『福祉�Jから「生きる『福祉�Jへということになる。

意志表示に多大な困難を伴う知的障害者においては、 代弁省Advocate が側めて市;要な役割を拘うことにな るといえるが、 京tJlがこれになりうるかの如何など、 一言に当事{f決定といえども、 実際これをどの様に反映 するかについては今後解決すべき問題も多い。

筆者の本研究におけるスタンスは、 この「当事者主体論」に立脚するものであるが、「、円事(fJの概念に いわゆる健常者をも含むべきであると考える。すなわち、 障害当事占主体で追求されてきた福�IUt'-J'ヒ活保附 の取り組みを最大限に評価しながら、 むしろ一般社会の側が、分自住宅義的な陪得点4への処遇をキャンセルし、

共存できる環境を求める必要性があるという立場である。 パークスンとロマーBarkson & Romer は‘ その 著作の中で、「ソーシャル・エコロジーJSocial Ecology なる概念を提示している'につまり、 自然界におけ る生態系のみならず、 社会的生態系という連関関係の回復の必要性を示している概念である。機能分化とこ れに伴う均質化した現代の生活環境が生み出す様々な社会問題解消の課題として、 ソーシャル・ エコロジー の実現が求められているといえる念70

3)知的障害者福祉観

そもそもの背景として理解しておくべき知的障害占に対する社会的価値基準に関して概括し、 本研究にお ける知的障害占福祉観の基本スタンスを述べる。

知的障害者に対する受容的な価値観として歴史的には、 まず欧州においては、 数済宗教としてのキリスト 教義が、 それまでの原始・古代における様々な原初的病者観を統合し、 健康者の社会的義務としての病者救 済、 そのための奉仕・慈善的活動および公的扶助の根拠となり、 現代においても一般的といえる弱者救済思 惣として定着しているといえる。 わが国では、 とれとは別に、 誰しもがその可能性をもっ受障を一身に背負 ってくれた存花として、 知的障害者を厚遇する慣習が旧来の受容的価値観として存在していた。

近代社会における「工業社会型価値基準」が支配的となると、 生産性の観点からの能力優位論に基づく障 官庁の劣等者としての抱否的価値観が生じ. 偏見・差別の根拠ともなっている。現在においても、 この能力 優位論は線強いといえる。生産性至上主義的観点からは、 身体能力の低下した高齢者や身体障害者の場合の、

物瑚的対応による能力補完の理解は得やすいが、 知的および精神障害者への受容は慈悲的なもの(あるいは 保活的処遇)に止まらざるを得ない。

また、 近年認識が普及し、 福祉施策実現を推進する主要な根幹となる概念は、 人権擁護論と社会保障論に 集約されるといえる。 不当な社会的待遇の改善による人権の擁護と、 本来望まれる生活環境実現のための社 会保附の充実は、 もはやその異論をはさむ余地のないところである。しかしこれに対しても、 選択の余地の 少ない社会保障(法制度・施設整備など)に関しては、 当事者の希望に反して一方的に提供されることの弊 (特別な人への特別なサービスを分離主義的Segregation に供給することの問題点)が、 強く指摘されてい る。その結果、 社会復%fのための訓練施設に処遇されたものの対処の目途のたたない利用者は、 高齢化に至 る数卜年にわたって「訓練Jが続けられることとなる。さらに構造的な観点からは、 フーコ一MichelFoucault のいう「生かされる『福祉�J .:1に代表される社会矛盾論・ヘすなわち生命と幸福を重視するはずの「福祉

川家J11体のもつ逆説性・危険性にも傾注する必要があるといえる。

知的障持者の'1.:: r,号保障のキーワードとしてデンマークのパンク=ミケルセンNiels E訂kBank-Mikkelesen が促l引し、 ヴォルフェンスヴェルガ- Wolfensberger,W. の著書・5によって広く認知されている「ノーマラ イゼーションJという基本理念は、 身体障害省や晶齢者においても援用されているが、 当初は誰もが「ノー マルに持らせるJ環境整備をすべきであるという生清水準保障と理解され、 その意味では旧来の社会保障論 の域(画-.的なサービス供給による生活保障)を出ず、 その認識のされ方に異論がもたれていた。(著者自 身がi誤解を招いていることへの対処として、 その後用語を「社会的役割の有価値化 social role valorizationJ

②社会参加環境整備の要件

知的障害者に対する建築計画的課題を設定するため、 社会参加環境整備の領域とその要件を、 既往の社会 科学研究による主要な見解に基づき整理しておく。

1)QOLの領域と概念化・測定化の指標 .QOLの領域

まず、 シャロックRobert L. Schalock は、 障害当事者の生活の質Quality of Life の向上のための領域と、

諸要素として下記の項目を挙げている*8。

a.健康 :健康ケアシステムへの接近性;手術や薬物治療享受性;健康予防ケアサービスを受ける資格

b.生活環境 :プライパシー, 安全, 自立, 普通の生活手段の利用度とそれへの接近度 C.家族 :接触の頻度と親密度;情緒的支援;親密度

d.社会的また情緒的人間関係 :多くの社会的または情緒的活動に伴う多忙さ・経験量と質・満足度 e.教育 :カリキュラム;統合の過程;仲間との人間関係;成功裡での移行

・ここでは、 Turnbell and Turnbell (J 986)の成呆を引用しつつ、 さらに具体的な特殊教育での発達 原理(普通教育にも該当)が列記されている。

1.すべての子どもを教育すること 2.非差別的な評価をすること

3.適切な個別教育をすること

4.レジャー, 教育, 就業の場の機会を用意すること 5.教育手続きの過程を民主化すること

6.両親を積極的に教育課程に参加させること

[労働 :収入;高められた自己概念と自尊心;社会に貢献をする活動の機会 g.レジャー;レクリェーションの見方;趣味;自由時間;文化的活動

.QOLの概念化・ 測定化の指標

さらに、 これらを概念化・測定化するための社会科学的凡方を、「社会的指標」と「心開的指標J、 および これらが実現されるための「よい適合/社会施策Jの3つの観点から要約している。

「社会的指標J:外的環境に基づく状態と関係づけられる「社会的指標Jは、 社会の主要な見庁、 状態につ いての簡潔性、 包括性、 均衡ある判断力を高める直接的、 規範的関心の総体であるとの定義を援用しつつ、 次の

06 - 9 -

(10)

研究の目的と方法 研究の目的と方法 序章

序章

9項目が挙げられている。

jじ

EE 角平

他人との差nより知似性を強調す るように、 間人が他人に54するよ うにしたり、 処遇したり、 呼称し たり、 理解する。

表0ー1 .マリゼション原 理のプログラムおよび建築上の意義 1)健康2)社会福祉3)友達 4)生活水準5)教育6)公的安全7)住居8)隣人 9)レジャー

の 次

個人の周凶、 あるいは対象となる 個人が所属する" 中間的な社会シ ステム" を変容したり、 別の外観 を呈させるようにしたの、 社会シ ステムの埋解にかえさせて、 (同人 だけでなく社会システムも、 IIJ能 なかぎり文化的に通常とみられる ようにする。

相 互 作 用

直接的な物理的・社会的相互作別 の手段を用いて、 何人から通常の スキルや習慣を引き出したり、 形 成したりする。 また、 個人を通常 の状態に維持する。

家族、 教室、 学校、 労働の場、 サ ービス機関、 近隣などの" 1次的 および中間的な社会システム" を 通して間接的に個人に働きかけて 個人から通常の技能や習慣を引き

出したり、 形成したりする。 また

通常の状態に維持する。

フラナガンFlanagan,J.C.

による研究成果(1982)を適用して、 QOL定義の15要素とこれらを5項目の一般的次元に分類した「心理 の必要性と、

「心理的指標J :個人の主観的反応の焦点を当てた「心理的指標」 活 動 の if. 劃j

レ ベ ル を示している'九

的幸福感J

個 人 1 )物質的豊かさと経済的安心

-身体的また物質的幸福…

1次的お よび中間 的な社会 システム -他者との関係…一...

-社会的・地域的また市民としての活動

文化が差異を最大限に受け入れる ように、 文化価値、 態度、 ステレ

オタイプを変容する。

大きな社会システムや教育システ ム、 法律、 政治というような社会 構造を適切なものに変容させるこ とで、 個人が通常の行動を取れる ようにさせたり、 通常の行動のま までいるようにする。

14)受動的/参観的レクリェーション 15)能動的/参加的レクリェーション QOL向上の指標

.OECD社会指標に基づく、

社 会 を指摘しつつ、 1977年に示 システム

QOL向上のための「アクセシビリティ指標の重要性・有効性J 三重野卓は、

されたOECDによる社会指標体系を提示しているホ10。

く『ノーマリゼーション』ゲォ!日工ンスヘ. )げ 〉より抜粋 2)健康と安全

3)配偶者との人間関係 4)子どもの養育 5)親戚との関係 6)親しい友人との関係

7)他者の支援や激励

8)地元や政府機関の会合に出席

・何人の発達と自己実現…一....一-一・…… 9)知的発達

10)個人の理解と計画性

11 )面白く、 報酬の高い価値ある労働 12)創造性と個人的経験

・レクリェーションー・ー・………・・・・・・・・・ー・ 13)他者と社会性を高める

OECD社会指標体系(アクセシビリティの指標) OECD 1977 1.牢間的距離

2.時間的な迅速性

3.各椅サービスの受益可能性 4.その経済的容易さ

5.情報の入手可能性

2)環境整備のプログラムと統合のための要件

「ノーマリゼーション原理のプログラムおよび、建築上の意義」

4点、 前述のヴォルフェンスペルガーは、

6つのカテゴリーを示している*110 <表0-1>

3つの活動レベルと2つの次元から捉え、

として、

とれらの諸項目が統合された形 義的に供給されてきた過去の論拠の問題点を指摘しつつ、

そして、 分離

でサービスされるための、 物理的および社会的な統合の2つの統合のための要件を挙げている。

a.物理的な統合

卜立地 :場所が物理的に孤立していることは避けるべき

・サービスを受けるべき地域社会の諸施設や社会的諸集団からの距離の適正化

2. 物埋的な関連 :広範囲に渡る社会の諸施設が存在し、 サービスの提供を受ける条件を満たす 3.利川の使 :距離だけでなく交通手段も含めた条件を満たす

4.刷棋と分散 :統合できる限度をこえない分散 b.社会的な統合

1. フログラムの特徴 :普通の市民と相互作用がもてるプログラムの設定 2)サービス及び施設の呼称の配慮

3)レッテルづけの戸|避 :逸脱としてみられる状態を最小にする配慮 4)建物の知党 :市民に決定的な影響を与えない外観や周辺状況の配慮

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ー10 -

(11)

研究の目的と方法 序章

序章. 研究の目的と方法

-

哨・

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障害児者数 4931千人

知的障害者の状況と施設体系

①知的障害者の状況 0- 2.

••

4 1 3千人と推 うち精神薄弱児者は、

わが国の障害者の総数は、 厚生省の統計によると約4931千人、

わが国の障害者推計数 図0-1 .

計されており、 全体の8.7%である.120 <図Oー1>

0..・ 金一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_ _tI一一一

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- 人口比

郎道府県別では、全国での人口比平均が0.315%であるが、佐賀県0.525%、秋田県0.506%で0.5%を越え、 0.5・

常崎県・0.445%、 島根県0.435%まどがこれに続く。 逆に神奈川県では0.181%、千葉県0.21 長崎県0.494%、

6%、 t荷主県0.234%の)llfíに低い比率で、 最大最小の格差は3倍近くに達している* 130 <図0-2>

0.3・

(2----3%の説もある) といわれており、 仮にその数値を基準 一般に知的障害者の出現率は、 人口比1%

とすると、確認されているのは実数の3割程度に止まっているといえる。 さらに、わが国の障害者の定義は、

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生1I本同"'.輔-1禽時士圃を("'",,3年3R Itl在1 北膏岩官牧山植� I罰静子園買神車両富石福山畳"量値三滋車大晃司骨組問広山島畠膏唱IJli賓福住畳照文官邸仲

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(則

これらを勘案すると、 要援助者が多数潜在化していると指摘 欧米諸国に比べて大変厳しいといわれており、

できる。

今少し考察を加えると、 福祉施設の入所措置者が 先の厚生省統計に戻って、 知的障害在の状況について、

図0-2. 都道府県別療育手帳保持者数(人口比)

1 1 6千人、 在宅省が297千人となっている。

作〉

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..

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0

<図0-3>

a.在宅者の障害程度の内訳

•• 2剖正目白人

4段階評価による在宅者の障害程度の内訳は、 児者ともに重度最重度と中軽度者でほぼ2分されている。

在宅-xîの中に合まれる通所施設利用者や一般事業所での就労人数を考慮しても、 能力に応じた適切な処遇を

受けていない中軽度者、 あるいは、 然るべき受け皿のない(適当な福祉サービスを受けていない)相当数の 精神歯車弱児

島�5∞人

重度最重度者が、 在宅に甘んじているといえる。

4000 (2国)

繍神薄田者

1筋草加入

<図0-4>

b.福祉施設利用者

(23.2\)

施設利用の大下を占めている入所型の授産・更生施設および通所型授産・更生施設のついての経年変化か これに入所授産を加えた入所型施設が約3/4近く(72.1%)を 入所更生が正倒的に多く、

らは、 現状では、

l片めている。

35∞ - 也l帥占 凶,...�省,,,....JtC.l..董J (I�.J

図0- 3. 在宅精神薄弱児者の障害程度

不鮮162∞人

(慢産・更生) は逆に授産施設中心に設置されており、更生施設を合わせた定員総数の伸び率 通所有2施設

では人所を上向っているものの、明員の実数では、未だ入所が上回っている(実数での格差は拡大している) のが羽状である。

<0

〈適所,値段〉

21714 (586)

0

0 (千人}

4()

回-〉

団・く

され始めたとされる小規模作業所は、 厚生省による初の行政調査の行われた1981年に6 c.小規模作業所

1960年代から設

く1991>

96ω6人 74382

(11∞)

1993

3 8ヶ所が確認されているが、 その後の急増により、 1989年度22 5 0ヶ所(利用者20 644名)、

239閲(643) 26798 (713)

32106 (847) 29194 mo) く1992>

101652人 く1993>

107803人 く1994>

113027人 く1995>

11ω<<人 く1996>

124741人 77684

(1155) 81∞5 (1202)

86938 (1295) 83833 (1250)

このうちほ これは通所型福祉施設(授産+更生施設) 利用者を上回るもの 年度32 5 0ヶ所(利川者数約5 7 000名)、 1995年には3816ヶ所へと急増している.J �

ぽ下数以上が知的附害者でl片められており、

である。

②戦後の施設制度化のプロセス

34834 (911) 89907

(133自)

1)知的障害者福祉施設

軍軍宇は定員官t ()内は施段.

幽.:.生省f社盛岡後店世田直J (各毎)

「生活保護法J (1946)や 健施鐙

戦後まもなくの のEらの救済'1J業や「社会事業法J (1938-51)に基づく施設、

111

図0-4. 援護施設定員(授産・更生施設)の経年変化 (1 947)による福祉的施策はみられたものの、専ら知的障害者を対象として制定されたのは、

r 9� r在悩祉法J

ここで制度化されたのが、精神薄弱者援護施設で を待たねばならなかった。

1960fドの「打J�II神弱仔福祉法J

(12)

序章. 研究の目的と方法 序章. 研究の目的と方法

ある。

同法制定にあたって準備的に検討された「精神薄弱者福祉対策要綱(案)Jでは、 援護施設として3つの タイプが想定されていた。(表現は当時のまま)

a.精神薄弱者更生施設 : 主として職業自立の可能な軽度の精神薄弱者を収容して職業訓練を行い、 あわ せて社会適応性の付与を努めて、 社会復帰を図る。

b.精神薄弱者授産施設 : 社会復帰の可能性は少ないが、 適当な保護指導によって、 ある程度の技術的作 業を習得し得る精神薄弱者を収容し、 適当な種目の授産事業を行いつつ保護指導を行う。

C.精神薄弱者保護施設 : 主として知能指数25以下のいわゆる白痴級の者を収容して長期継続的に生活 指導を行いつつ保護を加える。

しかし、 結果的には、 財源、を主な理由として「精神薄弱者援護施設Jという種別のみに制度化されたとい う経緯がある。 これが7年後の法改正(1967)において、 更生施設と授産施設に2分され、 授産施設には、 収 容型(定員5 0名以上)と通所型 (定員2 0名以上)が規定された。 児者一元化規定 ( 1 8才以上の障害者 施設に1 5才以上の障害児の階置を可能とした)が盛り込まれたのもこのときである。これに、 上述C.保 護施設 に対応する機能として、 更生施設に「重度棟」を併設できることが加えられたホ15

その後、 法定外施設として、 向助的に施設数・利用者数の急伸してきた小規模作業所への国庫補助が開始 (1979)されたこと、 より一般就労に近い形態での処遇を図り、 措置型から契約型福祉への口火を切る福祉工 場制度が創設(] 985)された。 さらに、 在宅者対応としてのデイサービス事業の創設(1991)および重介護型デ イサービスセンター創設(1994)によって、 現在の知的障害者福祉施設体系の骨格が成立したといえる。

これらとともに、 グループホーム(精神薄弱者地域生活援助事業)制度(] 989)の創設をはじめとした居住 の場の確保、 段産施設分場制度(1991)や身体障害者授産施設への精神薄弱者の混合利用制度(1991)など、 既

存制度を補完する各種の施策が付加されてきている。

近年の行政施策では、「心身障害者対策基本法J(970)が名称とともに大改正され「障害者基本法J(1993) が制定された。精神薄弱および精神障害も「障害者Jと総称されることが、 初めて法文化された点が、 遅れ ばせながらも画期的なものである。具体策として同年厚生省から示された「障害者対策に関する新長期計画」

(1993)の重点施策である「新障害者プランJ(1995)においては、 1996年から向こう7カ年の知的障害者をは じめとした障害者福祉施設の整備拡充、 環境整備などの目標値が設定された。 それまでの篤志的・自助的努 力に依拠しながら実現される側面の強かった福祉サービスが、 新たな段階へ入ったともいえるが、 実態把握 の緬めて不充分なままでの安易な数値目標設定であるともいえ、 行財政的懸念および施策内容の実効性等の

而から、 本質的問題改善になるとは言い難いのが現状である。

b.精神薄弱者職業能力開発センター

社会生活指導の面で特別の配慮を必要とする、 また職業訓練に多くの時間を要する知的防芹者に対する雇 用対策として、 条件整備を強化し、 訓練機会の拡大を図るために、 ヒ記開発校を補完するために制度化され た(1983)。第3セクターによる運営を前提としているが、設位されているのは全凶で8ヶ所に11:まっている。

C.地域障害者職業センター

雇用促進事業団の運営により職業リハビリ施設として、 「心身障吉者職業センター」の呼称で1972年から 設置された施設で、 1981年に全国各都道府県に設置が完了した。 改正された「障苫汗の版J:lI促進等に関する 法律J(1987)において、 現在の呼称、となり、 また全間施設の統括・研究・技術開発のためのrllì��-ð峨業総 合センターJ(1991年開所)および、 3ヶ所の広域障害省センターにより惜r&.されている。

視覚障害者の専用課程(OA講習)も設けられているが、 活動の中心である「職業準備訓紙J や「職場実 習Jの対象者は障害種別を問わないもので、 その結果現状での利用実態においては、 矢n的�ìf'& x-の依存度が かなり高いという傾向を示している。

d.障害者雇用支援センター

長期施設入所者の就労促進、 および職業自立のための長期的・継続的支援を、 上記「地域障害者センターj よりも地域的なレベルで実施することのできるよう、 1994年制度化された。 1997年4月現在、 全凶で6ヶ所 が設立されている。

これらの施設資源が、 福祉施設と相乗効果的に活用されることが望ましいといえるが、 管轄省庁横断的な 利用実態詳細把握はなされていないといえ、 利用者ニーズとの整合を図りながらの適正化が課題といえる。

③施設体系の問題点と適正化への方策

2)職業リハビリテーション施設

厚生省管轄のいわゆる福祉施設とともに、労働行政下における就労支援を目的とした各種施設についても、

知的附害占の利用先のひとつとしてその有用性の向上が図られるべきと考えられる。

a.障害者職業能力開発校

全国で、 国公立1 9校が設置されている。

Jt来、 日'1コ戦争以降の傷痕軍人を対象とした「職業補導所Jが、 戦後一般障害者をも対象とした施設とな り‘「職業訓練法J (J958)の制定と改正の中でその呼称・利用対象者が変更されながら、 1987年の改正によ り、 「陪持者職業訓練校Jとして知的障害者もその対象者となった (訓練コースが各校順次設定されるよう になった)0 1992年「職業能点開発促進法Jへの法改正によって、 現在の呼称となり、 16校で知的障害者 のコースが整備 (春日台職業訓練校<愛知県>は、 その専門校)されている。

1)現状の問題点

前項でみたように、 これまでの施設整備方針は、 利用対象者の「類型別施設供給Jであるといえる。 これ が、 財源の制約のなかで順次整備されたきており、 これに続き、 これら類型の細分化によるサービスメニュ ーの充実が図られてきているといえる。 その背景として、 従来からの施設至上主義が必ずしも払拭されてい ないことが、 大きな要因とも指摘されている本16。

その一方で、 利用者の処遇は、 施設種別間で機能に応じた差別化がなされているとは必ずしもいえず、 む しろ平準化・同一化していたり、 場合によっては逆転現象 (入所施設の顕著な軽度化)もみられている。 利 用者の滞留化・高齢化 や、 施設機能ではなく経営・運営条件 (制度上の有利性)による施設種別の決定、 措 置費運営のため欠員が生じた場合の性急な補充の必要性などが、 その要因に挙げられる. 1 7。

こうした実状に対し、 行政施策における改善の試みとして、

a.通所施設化の促進 (これは、 行財政的見地からもさけられない課題)

b.分場制度による、 施設利用圏の適正化・地域施設化・無認可施設の法定施設化の促進 C.混合利用制度による、 活動の場確保の促進

などが挙げられる。 a.の通所型への移行は、 各分野からも指摘されている時代の趨勢といえるが、 暖護施設 の定員実数からは、 未だ入所の伸びが通所を上回っている。 b.の分場制度化も、 その主旨においては今後期 待される可能性を持っているが、 別法人により設立されている既存施設問の連携には、 多大な困難性を伴う といえる。C.の混合利用化は、 その母体となる身体障害者授産施設の実数自体が少なく、 そのニーズが何処

まであるのかを検証するされてゆくべきであろう。

とれらの施策は、 類型細分化の隙間を瑚める上で、 論理的には効果的な内容ともいえるが、 基本的には対

- 1.1 -

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参照

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