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児童虐待等の被害経験が 成人期女性に及ぼす影響に関する研究

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(1)

   

児童虐待等の被害経験が 

成人期女性に及ぼす影響に関する研究 

課 題 番 号 : 1 7 5 3 0 5 1 8

平 成 1 7 年 度 〜 平 成 1 8 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金

( 基 盤 研 究 ( C)) 研 究 成 果 報 告 書

                     

平 成 1 9 年 3 月    

 

研 究 代 表 者   藤   野   京   子  

早 稲 田 大 学 文 学 学 術 院 助 教 授  

(2)

目  次

 

1.  はじめに    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      1   

2.  質 問 紙 調 査    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      3   

2−1.目 的     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      3  2−2.方 法     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      3 

(1)調査 内 容    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      3  (2)調 査 対 象者 及 び実 施方 法     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      7  2−3.結 果     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      9 

(1)児童のころ親から受けた暴力     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      9 

(2)児童のころの家庭 状況    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    13 

(3)児 童のころのセルフ・エフィカシー    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    18 

(4)異 性 関 係     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    19 

(5)子 育 て    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    26 

(6)これまでの状 況     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    36 

(7)成 人 愛 着 尺 度 からの分 析     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    40 

(8)現 在 の状 況     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    46  2−4.まとめ    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    51 

 

3.  面 接 調 査     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    53   

3−1.目 的     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    53  3−2.方 法     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    53 

(1)調 査 内 容     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    53 

(2)調 査 対 象 者 及 び実 施 方 法     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    53  3−3.結 果     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 

(1)親 から受 けた暴 力 の原 因     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    55 

(2)親 からの暴 力 の振 るわれ方 の兄 弟 間 の差 異     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    57 

(3)

(3)暴 力 を振 るう親 に対 する児 童 のころの思 い    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    59 

(4)暴 力 を振 るう親 以 外 の家 族 成 員 との児 童 のころの関 係     ・・・・・・・・・・・・    61 

(5)暴 力 が不 当 であることへの気 づき    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    63 

(6)親 からの暴 力 の推 移     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    64 

(7)家 庭 以 外 での生 活 状 況 等     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    66 

(8)異 性 観 や異 性 との関 係     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    70 

(9)育 児 観 や子 どもとの関 係     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    72 

(10)親 との現 在 の関 係 や気 持 ち    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    76 

(11)兄 弟 との現 在 の関 係 や気 持 ち    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    80 

(12)親 からの暴 力 による傷 つきの緩 和 に役 立 ったもの    ・・・・・・・・・・・・・・・    81 

(13)現 在 の自 分 についての思 い    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    88  3−4.まとめ    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    92   

参考文献    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    94   

資料:調査票 

(4)

1.はじめに 

児 童 虐 待 1は , 近 時 , 社 会 問 題 と し て 取 り 上 げ ら れ る よ う に な っ て き て お り , 活 発 な 調 査 研 究 が 進 め ら れ て い る 。 し か し , そ の 調 査 研 究 と は , ① ど の 程 度 虐 待 現 象 が 生 じ て い る か の 実 態 調 査 , ② 現 在 進 行 中 の 虐 待 に つ い て の 深 刻 さ の 判 断 の 仕 方 や 効 果 的 な 介 入 の 仕 方 に 焦 点 を 当 て た 研 究 , が 中 心 で あ る 。  

し か し , 児 童 虐 待 被 害 の 影 響 は , 被 害 を 受 け て い る 時 点 に 限 定 さ れ る も の で は な く , 被 害 を 受 け て 以 降 の 生 活 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と が 十 分 推 測 さ れ る 。 例 え ば , 非 行 少 年 や 犯 罪 者 に は 児 童 虐 待 を 受 け た と す る 者 の 比 率 が 高 い , 児 童 虐 待 を す る 者 は 過 去 に 児 童 虐 待 被 害 の 経 験 を 有 す る こ と が 多 い , な ど と 言 わ れ て い る 。 ま た , 児 童 虐 待 を 受 け た 者 を 母 集 団 と し た 場 合 , 他 者 に 危 害 を 与 え る 者 ば か り で な く , 自 ら を 傷 つ け る 者 が 多 数 い る , と も さ れ て い る 。 さ ら に , 児 童 虐 待 を 受 け た 者 は ド メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス の 被 害 者 に な る 傾 向 が あ る な ど , さ ら な る 被 害 を 受 け や す い と も 言 わ れ て い る 。 し か し そ の 一 方 , そ の 多 寡 は と も か く と し て , 児 童 虐 待 被 害 の 経 験 を 乗 り 越 え , 前 向 き な 生 活 を 送 っ て い る 成 人 も 存 在 す る と 思 わ れ る 。  

ま た , こ れ ま で の 児 童 虐 待 被 害 の 調 査 研 究 の 多 く は , 病 院 , 福 祉 機 関 , 刑 事 司 法 機 関 等 に 係 属 し た 者 と い っ た 特 定 の 母 集 団 を 対 象 と し て い る 。 し か し , 児 童 虐 待 を 受 け た す べ て の 人 々 が そ の よ う な 機 関 に 係 属 す る と は 限 ら な い 。 つ ま り , そ の 実 態 を 明 ら か に す る た め に は , 調 査 対 象 者 を 特 定 の 母 集 団 に 限 定 す る の で は な く , 一 般 人 と す る こ と が 求 め ら れ る 。  

そ こ で ,本 研 究 で は ,調 査 対 象 者 を 30 歳 代 の 一 般 人 女 性 と し ,質 問 紙 調 査 に よ り , 児 童 虐 待 被 害 及 び そ の 後 の 生 活 状 態 を 明 ら か に す る こ と を 第 一 の 目 的 と し た 。  

具 体 的 に は , ま ず , 児 童 虐 待 の 種 類 と し て , 調 査 対 象 者 が 親 か ら 受 け た 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 に つ い て ,「 生 ま れ て か ら 10 歳 に な る ま で 」 及 び 「 10 歳 か ら 18 歳 に な る ま で 」 の 2 時 期 で 調 査 し た 。  

ま た , い わ ゆ る 世 代 間 連 鎖 − 児 童 虐 待 を 受 け た 者 が 親 に な り , そ の 子 ど も に 児 童 虐 待 を す る こ と − が 実 際 ど の 程 度 起 き て い る の か を 明 ら か す る た め , 調 査 対 象 者 の 被 害 経 験 の み な ら ず , 加 害 経 験 に つ い て も 明 ら か に す る こ と と し た 。  

1 「 虐 待 」 の 用 語 が 流 布 し て い る 現 状 で あ る が , 高 橋 他 ( 1 9 9 5 ) は ,「 虐 待 」 よ り 「 不 適 切 な 関 わ り ( マ ル ト リ ー ト メ ン ト )」 の 用 語 の 方 が よ い と 主 張 し , そ の 理 由 と し て ,「 虐 待 」 と い う 言 葉 は 非 日 常 的 な 言 葉 で あ り , 身 体 的 虐 待 に 代 表 さ れ る よ う な , 肉 体 的 な ダ メ ー ジ を 伴 う 重 症 の ケ ー ス の み を 連 想 さ せ , 1 ) ネ グ レ ク ト な ど 養 育 に 関 す る 知 識 の 不 足 や 無 関 心 に よ る 子 ど も へ の 被 害 の 認 識 を 阻 む こ と , ま た , 2 ) 自 分 の 行 為 が 「 虐 待 」 に 該 当 す る こ と を 自 覚 し て い な い 場 合 ,「 虐 待 」 と い う 名 目 で 介 入 が 行 わ れ る こ と 自 体 に 心 理 的 抵 抗 感 を 与 え る こ と , を 挙 げ て い る 。 こ れ ら の 主 張 を 踏 ま え る と , 本 報 告 書 で も ,「 不 適 切 な 関 わ り 」 を 用 い る 方 が 適 当 か と 思 わ れ る が , 一 般 的 知 名 度 を 優 先 さ せ ,「 虐 待 」 の 用 語 で 統 一 す る こ と と し た 。 

(5)

加 え て , ド メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス と 児 童 虐 待 は 別 個 の 現 象 と し て 扱 わ れ る こ と が 多 い も の の ,両 者 は い ず れ も 家 庭 の 問 題 で あ り ,実 際 の 臨 床 現 場 に お い て も , ド メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス の 被 害 者 が 児 童 虐 待 の 加 害 者 と な る ケ ー ス , 児 童 虐 待 を 受 け た 者 が 自 ら の 体 験 を も と に , 後 年 , ド メ ス テ ッ ィ ク ・ バ イ オ レ ン ス の 加 害 者 に な る ケ ー ス が 希 で な い こ と か ら , そ の 両 者 を 同 時 に 扱 う こ と で , 数 量 的 な 実 態 を 明 ら か に す る こ と と し た 。  

さ ら に , 親 か ら の 児 童 虐 待 被 害 の 程 度 が 同 程 度 で あ っ た 場 合 , 後 年 の 社 会 適 応 状 態 に 差 異 が あ る か ど う か , ま た 差 異 が あ る と し て , ど の よ う な 要 因 が 抑 止 要 因 な り 促 進 要 因 な り に な る の か を 明 ら か に す る た め , 児 童 の こ ろ の 家 庭 の 様 子 や 調 査 対 象 者 自 身 の 態 度 や 行 動 傾 向 , 調 査 時 点 に お け る 調 査 対 象 者 自 身 の 婚 歴 , 就 労 状 態 , 他 者 関 係 , 自 身 の 生 活 に 対 す る 満 足 感 等 を 調 査 す る こ と と し た 。 こ れ ら は , 児 童 虐 待 被 害 の 影 響 を 最 小 限 に 抑 え る 対 策 を 考 え る に 当 た っ て 貢 献 で き る と 考 え た か ら で あ る 。  

こ の ほ か , 本 研 究 で は , 質 問 紙 調 査 に 加 え , 面 接 調 査 も 実 施 し た 。 上 記 質 問 紙 調 査 の 回 答 者 の う ち , 親 か ら 児 童 虐 待 を 受 け た こ と が あ る と 回 答 し , か つ , 面 接 調 査 に 協 力 す る 意 向 を 示 し た 者 を 対 象 に , 児 童 虐 待 の 実 態 や 原 因 に 加 え て , 児 童 虐 待 を 受 け な が ら も 今 日 に 至 る こ と が で き た こ と に つ い て の 過 程 や と ら え 方 を 明 ら か に す る こ と に 焦 点 を 当 て た 面 接 調 査 を 実 施 し た 。こ れ が ,本 研 究 の 第 二 の 目 的 で あ っ た 。  

児 童 虐 待 の 防 止 等 に 関 す る 法 律 で は ,児 童 虐 待 と 同 種 の 現 象 で あ っ て も そ れ が 18 歳 以 降 の 者 に 対 し て 行 わ れ る な ら ば 児 童 虐 待 と み な さ れ な い が , 実 際 に は ど の よ う に そ の 現 象 が 終 息 す る の か , ま た , 児 童 虐 待 を 受 け た 当 事 者 に は そ れ が ど の よ う な 影 響 を 与 え る の か , あ る い は , そ れ を ど の よ う に 乗 り 越 え て い く の か と い っ た 過 程 は , 質 問 紙 調 査 で は な く , 面 接 調 査 を つ ぶ さ に 行 う こ と に よ っ て 浮 き 彫 り に な る と 考 え た か ら で あ る 。  

こ れ ら は , 児 童 虐 待 を 受 け た 者 に 対 す る 適 切 な 処 遇 の あ り 方 を 考 え る 上 で 有 意 義 で あ る こ と に 加 え て ,虐 待 を 受 け て い る 最 中 の 者 に と っ て は ,「 こ う す る こ と で 多 少 と も 虐 待 に 耐 え や す く な る 」 な ど の 情 報 提 供 に も つ な が ろ う 。 ま た , 児 童 虐 待 被 害 者 は , 好 き 好 ん で 被 害 を 受 け た わ け で は な い も の の 先 に 述 べ た 世 代 間 連 鎖 の 概 念 の 昨 今 の 普 及 と も あ い ま っ て , 被 害 を 受 け て し ま っ た が ゆ え に 自 身 が 虐 待 す る 側 に な る の で は な い か と 怯 え て い る 場 合 が 少 な く な く , そ う し た 彼 ら に と っ て , 児 童 虐 待 被 害 を 乗 り 越 え た 人 々 の 証 言 は 将 来 へ の 希 望 を 灯 す こ と に つ な が る の で は な い だ ろ う か 。  

(6)

本 調 査 は , 質 問 紙 調 査 に 回 答 し て く だ さ っ た 多 く の 方 々 , さ ら に , 面 接 調 査 に お い て 自 身 の 体 験 を 勇 気 を も っ て 語 っ て く だ さ っ た 方 々 の 協 力 の も と , 成 し え た も の で あ る 。 こ の 場 を 借 り て 謝 意 を 表 し た い 。  

   

研 究 組 織  

研 究 代 表 者 :   藤 野 京 子   ( 早 稲 田 大 学 文 学 学 術 院 )  

交 付 決 定 額 (配 分 額 ) 

      直 接 経 費   間 接 経 費   合   計  

平 成 17 年 度   3,300,000 円 0 円 3,300,000 円

平 成 18 年 度   400,000 円 0 円 400,000 円

総   計   3,700,000 円 0 円 3,700,000 円

研 究 発 表  

藤 野 京 子   親 か ら の マ ル ト リ ー ト メ ン ト 経 験 と パ ー ト ナ ー や 子 ど も と の 関 係 −30 歳 代 女 性 へ の 調 査 結 果 か ら −   日 本 心 理 学 会 第 70 回 大 会 発 表 論 文 集 p.362, (2006 年)

藤 野 京 子   親 か ら の マ ル ト リ ー ト メ ン ト 経 験 と 自 身 の 育 児 観 と の 関 係 −30 歳 代 女 性 へ の 調 査 結 果 か ら − 日 本 心 理 臨 床 学 会 第 25 回 大 会 発 表 論 文 集 p.471,  (2006 年) 

研 究 成 果 による工 業 所 有 権 の出 願 ・取 得 状 況  

  な し    

(7)

2.質問紙調査 

2−1.目 的    

調 査 対 象 者 が 児 童 の こ ろ 親 か ら 受 け た 身 体 的 暴 力 及 び 心 理 的 暴 力 の 実 態 を 調 べ る と 共 に , 成 人 と な っ て い る 調 査 時 点 の 生 活 を 明 ら か に す る こ と で , そ の 経 験 が そ の 後 の 生 活 に ど の よ う な 影 響 を 与 え て い る か , さ ら に , そ の 影 響 の 多 寡 に か か わ る 抑 止 要 因 や 促 進 要 因 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し た 。  

   

2−2.方 法  

 

(1)調 査 内 容  

調 査 対 象 者 の 調 査 時 点 で の 就 労 状 態 , 経 済 状 況 , 婚 歴 ( 異 性 と の 交 際 歴 を 含 む ),

子 ど も の 有 無 に 加 え , 以 下 に つ い て 測 定 し た ( 調 査 票 は 巻 末 に 添 付 )。  

〇   親 か ら の 暴 力 , 配 偶 者 等 2 間 の 暴 力 , 子 ど も へ の 暴 力 の 測 定 ( 問 3-2,4-3,4-4,5-4)  

親 か ら 暴 力 を 受 け た か ど う か (問 3-2), 配 偶 者 等 か ら 同 種 の こ と を さ れ た か ど う か (問 4-3),配 偶 者 等 に 同 種 の こ と を し た か ど う か (問 4-4),自 身 な い し 配 偶 者 等 が 子 ど も に 対 し て 同 種 の こ と を し た か ど う か ( 問 5-4) に つ い て , い ず れ も 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 の 双 方 の 頻 度 を 測 定 し た3。  

身 体 的 暴 力 に つ い て は , Straus  et  al.(1998) の 親 子 葛 藤 戦 略 尺 度 Parent-Child Conflict Tactics Scaleの う ち ,「 深 刻 な 暴 行 」 及 び 「 非 常 に 深 刻 な 暴 行 」の 項 目 を 用 い た( 問 3-2 の う ち ,4 「 深 刻 な 暴 行 」の 項 目 番 号 は 1,3,5,7,

「 非 常 に 深 刻 な 暴 行 」 の 項 目 番 号 は 9,11,12,13)。  

ま た , 心 理 的 暴 力 に つ い て は , Straus  et  al.(1998) の 親 子 葛 藤 戦 略 尺 度 Parent-Child Conflict Tactics Scale の 「 心 理 的 攻 撃 」 に 加 え , 高 橋 他 (1995)

2  配 偶 者 等 に は ,恋 人 を 含 み ,調 査 時 点 の み な ら ず ,そ れ 以 前 の 交 際 相 手 を 含 め て 回 答 す る よ う 求 め た 。 3  児 童 虐 待 等 の つ ら い 経 験 に 関 す る こ の 種 の 調 査 は , 回 答 者 に 心 理 的 負 担 を 与 え る も の で あ り , 特 に , 性 的 暴 力 に つ い て の 回 答 に は 抵 抗 感 が 強 い こ と が 推 察 さ れ た た め ,調 査 項 目 か ら 外 す こ と と し た 。ま た , ネ グ レ ク ト に つ い て は , ネ グ レ ク ト さ れ て い る と 自 身 で 気 づ く こ と が む ず か し く , 質 問 紙 調 査 で そ の 実 態 を 明 ら か に す る こ と は 難 し い と 考 え た 。 そ こ で , 本 調 査 で は 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 に 限 定 し て 調 査 す る こ と に し た 。 な お , 臨 床 場 面 に お け る 調 査 で は な く , 面 識 の な い 一 般 の 調 査 対 象 者 に 対 す る 質 問 紙 調 査 と し て , ど の 程 度 の 内 容 を 盛 り 込 む こ と が で き る か ど う か の 検 討 に 当 た っ て は , 女 性 と 子 ど も に 対 す る D V 研 究 グ ル ー プ   ( 2 0 0 1 ) , 兵 庫 県 家 庭 問 題 研 究 所   ( 2 0 0 1 ) , 妹 尾 他 ( 1 9 9 9 ) , 石 川 ( 2 0 0 1 ) 等 の 先 行 研

を 参 考 に し た 。

4  和 訳 の 際 に は , M i l l e r   e t   a l . ( 1 9 9 9 = 2 0 0 3 ) p . 1 0 7 - 1 0 8 を 参 考 に し た 。  

(8)

を 参 考 に 質 問 項 目 を 作 成 し た ( 項 目 番 号 は 2,4,6,8,10)。  

な お , 親 か ら 受 け た 暴 力 に つ い て は , そ れ を 受 け た 年 齢 に よ っ て 影 響 が 異 な る こ と が 予 想 さ れ た こ と か ら ,「 生 ま れ て か ら 10 歳 に な る ま で (以 下 ,「 10 歳 未 満 」と 略 す )」と「 10 歳 か ら 18 歳 に な る ま で( 以 下 ,「 10 歳 以 上 」と 略 す )」の 2 つ の 年 齢 層 に 分 け て 質 問 す る こ と に し5,そ の 暴 力 の 主 体 に つ い て も 回 答 す る よ う 求 め た 。  

配 偶 者 等 間 の 暴 力 の 調 査 項 目 に お い て は , 調 査 対 象 者 が 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 関 連 を 明 ら か に で き る よ う 基 本 的 に 同 項 目 と し , 加 え て , 心 理 的 暴 力 に 関 し て 1 項 目 を 追 加 し ( 問 4-3 な い し 問 4-4 の 項 目 番 号 12), 自 身 の 被 害 と 加 害 の 双 方 の 経 験 を 回 答 す る よ う 求 め た 。  

ま た , 自 身 な い し 配 偶 者 等 の 子 ど も へ の 暴 力 に つ い て も , 調 査 対 象 者 が 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 関 連 を 明 ら か に で き る よ う , 同 項 目 と し た 。  

〇  セルフ・エフィカシーの測 定(問 2-1) 

同 程 度 の 児 童 虐 待 を 受 け た と し て も ,そ の 影 響 が 同 程 度 で あ る と は 限 ら な い 。 例 え ば , セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー が 高 け れ ば , 児 童 虐 待 を 受 け た と し て も , そ の 原 因 を 自 ら に 求 め る こ と な く , そ の 結 果 , 後 年 に 及 ぼ す 被 害 の 程 度 は さ ほ ど 大 き く な ら な い で 済 む な ど , 被 害 の 大 き さ に 対 す る 抑 止 要 因 と し て 作 用 す る こ と は 考 え ら れ る 。 そ こ で , 調 査 対 象 者 の 児 童 の こ ろ の セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー を , 東 條・坂 野  (2001)の「 行 動 の 積 極 性 」「 失 敗 に 対 す る 不 安 」「 能 力 の 社 会 的 位 置 づ け 」 の 3 因 子 か ら 成 る 一 般 性 セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー 尺 度 ( GSES) を 用 い , 質 問 文 を 過 去 形 に 修 正 の 上 ,測 定 す る こ と と し た(「 行 動 の 積 極 性 」の 項 目 番 号 は 1,5,6,8,10,13,15 で 5,8,15 は 逆 転 項 目 ,「 失 敗 に 対 す る 不 安 」 の 項 目 番 号 は 2,4,7,11,14,「 能 力 の 社 会 的 位 置 づ け 」 の 項 目 番 号 は 3,9,12,16)。  

  〇  元 家 庭 の状 況 の測 定(問 2-2) 

      虐 待 が 発 生 し や す い 家 庭 の 状 況 を 明 ら か に す る た め に , 調 査 対 象 者 の 児 童 の こ ろ の 家 庭 状 況 を 測 定 す る こ と と し た 。 Moos  &  Moos(2002) の FES(Family  Environment Scale:家 庭 環 境 尺 度 )で は ,「 家 族 成 員 の 関 係 性 」を 示 す 尺 度 が「 凝 集 性 」「 表 出 性 」「 葛 藤 性 」 で 構 成 さ れ て い る こ と か ら , そ の 尺 度 の 主 旨 を 踏 ま え た 項 目 を 設 け た(「 凝 集 性 」「 表 出 性 」「 葛 藤 性 」の そ れ ぞ れ の 項 目 番 号 は 1,3,2)。

加 え て ,本 間・岩 田  (2001)が 児 童 虐 待 の 発 生 に 関 係 が あ る と し て 挙 げ て い る 子 ど も の 私 物 化 に つ い て の 項 目( 項 目 番 号 6),ま た ,井 上 (2005)や 堤 (2004)を 参

(9)

考 に ,ス ト レ ス 論 的 説 明 の 項 目( 項 目 番 号 5),貧 困 や 社 会 的 孤 立 と い っ た 家 族 の 生 活 状 態 に つ い て の 項 目( 項 目 番 号 は 4,8),児 童 虐 待 を 誘 発 し や す い 子 ど も の 反 応 や 親 子 関 係 に つ い て の 項 目 ( 項 目 番 号 7) を 設 け た 。  

  〇  親 の養 育 態 度 についての測 定(問 3-1)

      Bowlby(1969=1991)等 が 主 張 す る よ う に ,親 の 子 ど も に 対 す る 養 育 態 度 や 行 動 は ,そ の 子 ど も の 発 達 に 影 響 を 及 ぼ す 。そ こ で ,Parker, Tupling, & Brown (1979) が 開 発 し た PBI(Parental Bonding Instrument)の 短 縮 版 ( Klimidis, Minas, & 

Ata, 1992)6( う ち ,「 養 護 (care)因 子 」 は 項 目 番 号 1,3,4,8 で , 1,3 は 逆 転 項 目 。「 過 保 護 (overprotection)因 子 」 は 項 目 番 号 2,5,6,7 で , 2,5 は 逆 転 項 目 ) を 用 い て , 調 査 対 象 者 か ら 見 た 親 の 養 育 態 度 に つ い て 測 定 す る こ と と し た 。  

〇  他 者 関 係 についての測 定(問 4-1, 問 7) 

児 童 虐 待 を 受 け た 経 験 は , 後 年 の 他 者 関 係 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と が 予 想 さ れ る 。 そ こ で , Collins & Read (1990)の 「 依 存 」「 不 安 」「 親 密 性 」 の 3 尺 度 か ら 成 る 成 人 愛 着 尺 度 を 用 い て , 調 査 時 点 に お け る 他 者 関 係 に つ い て 測 定 す る こ と と し た (「 依 存 」 の 項 目 番 号 は 1〜 6 で , 1,2,5,6 は 逆 転 項 目 ,「 不 安 」 の 項 目 番 号 は 7〜 12 で , 7 は 逆 転 項 目 ,「 親 密 性 」 の 項 目 番 号 は 13〜 18 で , 15,16,18 は 逆 転 項 目 )。  

ま た , 児 童 虐 待 を 受 け た 経 験 は , 異 性 と の 関 係 の あ り 方 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と が 予 想 さ れ , さ ら に , そ れ が , 児 童 虐 待 の 世 代 間 連 鎖 に 進 展 す る こ と が 推 測 さ れ る こ と か ら , 久 田 他 (1990)の 夫 婦 関 係 尺 度 を 用 い て , 配 偶 者 等 と の 双 方 の 関 係 に つ い て も 測 定 す る こ と7と し た 。  

〇  育 児 観 についての測 定(問 5-2,5-3) 

児 童 虐 待 を 受 け た 経 験 は , 後 年 の 自 ら の 育 児 観 に も 影 響 を 及 ぼ す こ と が 予 想 さ れ る 。 そ こ で , 大 日 向 (1988)の 「 母 親 役 割 に 対 す る 積 極 的 ・ 肯 定 的 受 容 」 及 び 「 母 親 役 割 に 対 す る 消 極 的 ・ 否 定 的 受 容 」 の そ れ ぞ れ の 尺 度 の 項 目 の う ち , そ の 尺 度 抽 出 に 当 た り 行 っ た 因 子 分 析 の 結 果 , 因 子 負 荷 量 の 高 い 2 項 目 を 用 い る こ と と し た( 問 5-3)。な お ,育 児 に か か わ る 前 と か か わ っ て か ら の 育 児 観 が 異 な る 可 能 性 も あ る こ と か ら , 育 児 に か か わ る 前 の 育 児 観 に つ い て も 測 定 す る こ と と し た ( 問 5-2)。  

〇  主 観 的 幸 福 感 の測 定(問 8)

6  和 訳 に 際 し て は , 北 村 ( 1 9 9 5 ) p . 2 7 5 を 参 考 に し た 。

7  久 田 他 ( 1 9 9 0 ) で は ,項 目 が 英 文 表 記 で あ っ た た め ,和 訳 し て 用 い た 。ま た ,今 回 対 象 と し た 異 性 に は , 恋 人 を 含 む こ と と し , 調 査 時 点 に お い て , 特 定 の 異 性 が い な い 場 合 に は , 以 前 の 交 際 相 手 を 含 む こ と と し た こ と か ら , 質 問 文 を 過 去 形 に す る な ど , 文 言 の 一 部 を 修 正 し た 。

(10)

    調 査 時 点 に お け る 自 ら の 生 活 に 対 す る 満 足 度 を 測 定 す る た め , 伊 藤 他 (2003) の 主 観 的 幸 福 感 尺 度 を 用 い る こ と に し た 。こ の 尺 度 は ,「 人 生 に 対 す る 前 向 き な 気 持 ち (満 足 感 )」「 自 信 」「 達 成 感 」「 人 生 に 対 す る 失 望 感 」8の 各 領 域 か ら 成 っ て お り ,1 次 元 と み な さ れ て い る 尺 度 で あ る( そ れ ぞ れ の 領 域 の 項 目 番 号 は ,1

〜 3, 4〜 6, 7〜 9, 10〜 12)。  

〇  その他(問 6)

    こ の ほ か , 犯 罪 の 被 害 経 験 , 加 害 経 験 , 自 殺 企 図 歴 , 心 的 不 調 に よ る 治 療 歴 に つ い て の 質 問 項 目 を 設 け た 。  

(2)調 査 対 象 者 及 び実 施 方 法  

調 査 は , 郵 送 法9に よ り , 2005 年 10 月 〜 11 月1 0に 実 施 し た 。

調 査 対 象 者 は ,2005 年 1 月 1 日 現 在 ,30 歳 代1 1( 1965 年 〜 1974 年 生 ま れ ) で あ る 東 京 都 内 在 住1 2の 女 性 5,000 名 で あ り ,住 民 基 本 台 帳 を 元 に 二 段 抽 出 法 に よ り 無 作 為 抽 出 し た 。

調 査 対 象 者 に は ,① 女 性 に と っ て ,家 族 を は じ め と す る 身 近 な 他 者 と の 関 係 の 影 響 は 大 き く ,そ う し た 他 者 関 係 は ,そ の 時 点 の み な ら ず ,そ の 後 の 生 活 に も 大 き な 影 響 を 及 ぼ す こ と が 予 想 さ れ ,本 調 査 で は ,児 童 虐 待 や 配 偶 者 間 の 暴 力 を 含 む そ の 実 態 を 明 ら か に す る こ と に そ の 目 的 が あ る こ と ,② 調 査 対 象 者 の 選 定 は 住 民 基 本 台 帳 か ら 無 作 為 に 抽 出 し た こ と ,③ プ ラ イ バ シ ー に 立 ち 入 っ た 質 問 も 含 ま れ て い る が , 無 記 名 回 答 で あ り , 個 人 が 特 定 さ れ る こ と は な い こ と1 3, に 言 及 し , 同 封 さ れ た 返 送 用 封 筒 を 用 い て 回 答 す る よ う , 調 査 協 力 を 求 め た 。

回 答 者 数 は 1,032 名 で あ り ,そ の う ち ,無 記 入 な ど を 除 い た 有 効 回 答 者 数 は 1,027 名( 20.8% の 回 答 率1 4)で あ っ た 。回 答 者 の 婚 歴 ,異 性 と の 交 際 歴 ,子 ど も の 有 無 , 就 労 状 態 に つ い て の 分 布 は , Table 1 の と お り で あ っ た 。 ま た , 回 答 者 の 調 査 時 点 で の 経 済 状 況 と 就 労 状 態 に つ い て の 分 布 は , Table 2 の と お り で あ っ た 。

 

8  こ の 尺 度 に は ,「 至 福 感 」 の 領 域 も 含 ま れ て い る が , 伊 藤 他(2003)も 社 会 人 で の 測 定 で は こ の 領 域 を し て い る こ と か ら , 本 調 査 で も 除 く こ と と し た 。

9  各 種 調 査 法 の う ち 郵 送 法 が 調 査 対 象 者 に と っ て 最 も 心 理 的 抵 抗 が 低 い で あ ろ う と 判 断 し ,郵 送 法 で 行 こ と と し た 。

10 調 査 票 は , 2 0 0 5 年 1 0 月 2 5 日 に 投 函 し , 返 送 期 日 を 同 年 1 1 月 1 5 日 と 定 め た 。 同 年 1 1 月 8 日 に , 調 協 力 に 対 す る お 礼 及 び 未 回 答 の 方 へ の 協 力 依 頼 の 主 旨 を 記 し た 葉 書 を 送 付 し た 。

11 調 査 対 象 者 の 年 齢 選 定 に 当 た っ て は ,調 査 対 象 者 の 心 理 的 負 担 の 大 き さ を 勘 案 し て 児 童 の こ ろ の こ と を あ る 程 度 の 心 理 的 距 離 を 持 っ て 扱 え る 年 齢 に 達 し て い る こ と , か つ , 児 童 の こ ろ の こ と が 記 憶 の か な

に な っ て い な い 年 齢 で あ る こ と , の 双 方 を 考 慮 し た 。

12  本 調 査 で は , 質 問 紙 調 査 回 答 者 の う ち 有 志 の 方 に , 面 接 調 査 を 行 う こ と を 計 画 し て お り , そ の 面 接 場 を 研 究 代 表 者 が 所 属 す る 大 学 と 設 定 す る こ と と し た の で , そ の ア ク セ ス の 利 便 性 を 考 慮 し た 。

13 た だ し , 面 接 調 査 に 協 力 す る 意 図 を 示 し た 有 志 を 除 く 。

(11)

Table 1  回 答 者 の 属 性 等 の 分 布 ①  

(人)

40h以上 40h未満 不就労 未回答

なし 未婚・交際歴あり 176 41 18   235

未婚・交際歴なし 32 9 18 59

未婚・交際歴未回答 2     2

初婚 74 57 35 166

離別 18 10 4   32

再婚 4 1 3

合計 306 118 78 502

あり 未婚・交際歴あり   1 2   3

初婚 78 143 235 3 459

離別 22 12 3   37

再婚 4 7 9  

婚歴未回答夫有       2 2

合計 104 163 249 5 521

未回答 未婚・交際歴未回

8

20

答   1  

初婚 1   1 2

再婚 1     1

合計 2 1 1

就労状態 子ども

の有無 婚・交際歴 合計

1

4    

Table 2  回 答 者 の 属 性 等 の 分 布 ②  

(人)

40h以上 40h未満 不就労 未回答

富裕 21 16 25 1 63

中の上 82 56 97 0 2

中 217 135 160 4 516

中の下 68 58 32 0 1

貧困 11 17 11 0 39

未回答 13 0 3 0

合計 412 282 328 5 1,027

経済状況 就労状態

合計 35 58 16

   

 

(12)

2−3.結 果    

(1)児 童 のころ親 から受 けた暴 力  

回 答 者 が 児 童 の こ ろ 親 か ら 受 け た 暴 力 に 関 し て ,各 調 査 項 目 に 対 す る「 10 歳 未 満 」

「 10 歳 以 上 」 の 年 齢 層 別 の 回 答 分 布 及 び 両 年 齢 層 間 の 回 答 分 布 の 差 に つ い て のt検 定1 5の 結 果 は , Table 3 の と お り で あ る 。 身 体 的 暴 力 に つ い て ,「 10 歳 未 満 」 を 例 に 挙 げ る と ,「 顔 や 頭 を 平 手 打 ち さ れ た 」は 53.6% ,「 げ ん こ つ で 殴 ら れ た ,ま た は , 強 く 蹴 ら れ た 」は 76.3% の 者 が 経 験 し て い な い に と ど ま っ て い る 。た だ し ,深 刻 な 身 体 的 暴 力 各 種 に つ い て は , 0.9〜 3.5% が 経 験 し た に 過 ぎ な い 。 一 方 , 心 理 的 暴 力 の 中 で は ,「 大 声 で 怒 鳴 ら れ た 」の 経 験 が な い 者 は ,「 10 歳 未 満 」に お い て は 28.6% ,

「 10 歳 以 上 」 に お い て も 37.8% に と ど ま っ て い る 。 ま た , 各 項 目 に つ い て 「 10 歳 未 満 」 と 「 10 歳 以 上 」 で 比 較 す る と , 身 体 的 暴 力 に つ い て は 項 目 番 号 1,3,5,7 で , ま た 心 理 的 暴 力 に つ い て は 項 目 番 号 2,4,10 で ,「 10 歳 未 満 」の 方 が 有 意 に 多 く 経 験 し て い る 。  

各 種 暴 力 項 目 の 信 頼 性 係 数 は ,身 体 的 暴 力 で は ,「 10 歳 未 満 」で α =.80,「 10 歳 以 上 」で α =.82,心 理 的 暴 力 で は ,「 10 歳 未 満 」で α =.69,「 10 歳 以 上 」で α =.69,身 体 的 暴 力 な い し 心 理 的 暴 力 で は ,「 10 歳 未 満 」 で α =.85,「 10 歳 以 上 」 で α =.84 で あ り , い ず れ の 尺 度 も ほ ぼ 十 分 な 値 が 得 ら れ た 。 な お , Table 4 に , 児 童 の こ ろ 受 け た 各 種 暴 力 の 累 積 結 果 を 示 し て い る 。  

こ れ ら 親 か ら 受 け た 暴 力 の 実 態 の 概 略 を 示 し た も の が , Table 5 で あ る 。 こ れ ら 2 種 の 暴 力 を 合 わ せ て 考 え る と , 身 体 的 暴 力 , 心 理 的 暴 力 の い ず れ も 経 験 し な か っ た 者 は ,「 10 歳 未 満 」「 10 歳 以 上 」 の い ず れ の 年 齢 層 に つ い て も 2〜 3 割 に と ど ま っ て お り , い ず れ も 経 験 し た 者 が 「 10 歳 未 満 」 に つ い て は 半 数 ,「 10 歳 以 上 」 に お い て も 3 分 の 1 強 と な っ て い る 。 た だ し , 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 経 験 し た 者 は ,「 10 歳 未 満 」「 10 歳 以 上 」の い ず れ の 年 齢 層 に つ い て も 5% に 満 た な い 。な お ,心 理 的 暴 力 を 伴 わ ず 身 体 的 暴 力 の み を 受 け た 者 の 比 率 は 低 く , こ の 傾 向 は , 特 に , 深 刻 な 身 体 的 暴 力 に お い て 顕 著 に う か が え る 。  

暴 力 の 種 類 毎 に「 10 歳 未 満 」と 「 10 歳 以 上 」を 比 較 し た 結 果 は ,Table 6 の と お り で あ る 。 い ず れ の 暴 力 に つ い て も ,「 10 歳 以 上 」 よ り も 「 10 歳 未 満 」 の 方 が 深 刻 で あ る こ と が 示 さ れ て い る 。  

(13)

Table 3  親 か ら 受 け た 暴 力 の 分 布 及 びt検 定 の 結 果  

し ば し ば

と き ど き

・ 2 度

全 く な し 6.0 16.7 23.7 53.6 3.3 8.9 23.2 64.6 2.7 5.9 9.2 82.2 1.6 2.3 6.3 89.9 1.9 2.5 6.5 89.2 1.5 1.9 4.4 92.3 3.8 6.2 13.7 76.3 2.0 3.9 9.2 84.9 .9 .5 2.2 96.5 .9 .3 1.6 97.3 .4 .0 .5 99.1 .2 .1 .7 99.0 .3 .1 .8 98.8 .3 .0 .2 99.5 .4 .2 .7 98.7 .3 .2 .9 98.6 1.0 .9 1.9 96.3 .8 .2 1.8 97.3 16.1 30.5 24.8 28.6 11.3 21.7 29.1 37.8 1.7 2.0 5.7 90.7 1.7 2.3 6.4 89.6 2.6 6.0 11.7 79.7 2.5 5.8 9.7 82.0 1.8 2.2 9.3 86.8 1.7 1.6 7.0 89.7

上段は「10歳未満」,下段は「10歳以上」の回答分布

+p<.10,*p<.05,**p<.01

t (1018)= -1.87+ t (1020)= -2.98**

t (1022)= -1.30 t (1022)=  -.17 t (1020)= -2.70**

t (1022)=-11.17**

t (1018)= -8.67**

t (1020)= -1.41 t (1022)=  -.35

t (1020)=  1.25 t (1019)=-10.31**

t (1021)= -8.58**

各種暴力の項目

回答分布(%)

t 値

身 体 的 暴 力 深

刻 な 暴 力

t (1015)= -3.53**

5)

6)

7)

顔や頭を平手打ちされた 1)

2)

3)

「生まれてこなければよかった」「家の 恥」などと悪態をつかれた

げんこつで殴られた,または,強く蹴ら れた

9)

10)

11)

4)

めった打ちにされた

「殺してやる」などと脅かされた

自分が話しかけても,わざと無視された 8)

尻以外の身体の部分をベルト,ブラシ,

棒,その他の固いもので叩かれた

大声で怒鳴られた

投げ飛ばされた,または,殴り倒された

心 理 的 暴 力

自分の大切なものを,わざと壊されたり 捨てられた

首をつかまれ窒息しそうになった わざとやけどをさせられたり熱湯をかけ られた

ナイフや銃で脅かされた 12)

13)

   

 

Table 4  親 か ら 受 け た 暴 力 の 累 積 得 点 の 分 布 , 平 均 , 標 準 偏 差  

0 1 2 3 4 5 6 7 8↑

10歳未満

 身体的暴力 45.8 19.4 14.1 6.0 4.8 1.9 1.9 1.7 4.6 1.7 2.7

  うち 深刻 95.1 2.6 .7 .7 .4 .2 .0 .1 .2 .1 .7

 心理的暴力 27.1 21.0 24.3 10.6 5.8 3.0 2.4 2.1 3.6 2.1 2.3  いずれか 22.8 14.8 14.6 9.8 10.1 7.6 4.4 3.4 12.6 3.7 4.7 10歳以上

 身体的暴力 60.4 18.3 8.1 4.7 2.4 1.4 1.2 .4 3.1 1.1 2.4

  うち 深刻 96.2 2.0 .7 .6 .2 .0 .2 .0 .2 .1 .7

 心理的暴力 35.3 24.3 18.2 8.9 3.6 3.0 2.4 .9 3.3 1.7 2.2  いずれか 31.6 18.4 15.3 9.5 6.8 3.2 3.7 1.9 9.6 2.8 4.2

M SD

累 積 得 点 (%)

暴力の種類

   

(14)

Table 5  親 か ら 受 け た 暴 力 の 種 類 の 分 布  

(%)

 なし  心理的暴力のみ

深刻 深刻

10歳未満 22.8 4.2 (.1)  23.0 50.0 (4.8) 

10歳以上 31.6 3.6 (.0)  28.8 36.0 (3.8) 

( )は,深刻な身体的暴力を含む内数

身体的暴力のみ  双方 

年齢層

   

Table 6  親 か ら 受 け た 暴 力 の 年 齢 層 別 平 均 値 及 びt検 定 の 結 果  

暴力の種類 10歳未満 10歳以上 t値

身体的暴力 1.7 1.1 t(1022)=11.90**

 うち 深刻 (.11) (.09) t(1022)= 1.09 心理的暴力 2.0 1.7 t(1022)= 8.59**

いずれか 3.7 2.8 t(1022)=12.47**

**p<.01  

 

年 齢 層 毎 の 暴 力 の 種 類 別 の 相 関 は , Table 7 の と お り で あ る 。 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 と の 間 に 高 い 相 関 が あ り , ま た , 年 齢 層 間 に も 高 い 相 関 が あ る こ と が 示 さ れ て い る 。 加 え て , 親 か ら の 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 分 布 を 示 し た Table 8 か ら は , 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け る 場 合 ,「 10 歳 未 満 」「 10 歳 以 上 」の 双 方 の 年 齢 層 で 受 け て い る 場 合 が 少 な く な い こ と が う か が え る 。  

 

Table 7  親 か ら 受 け た 各 種 暴 力 の 相 関  

10歳未満

 身体的暴力 .73** .94** .83** .63** .80**

 心理的暴力 .92** .63** .84** .80**

 いずれか .79** .78** .86**

10歳以上

 身体的暴力 .66** .92**

 心理的暴力 .90**

 いずれか  

**p<.01

10歳以上 10歳未満

身体的 暴力

心理的

暴力 いずれか 身体的

暴力

心理的

暴力 いずれか

暴力の種類

   

Table 8  親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 分 布     (%)

なし あり 10歳未満

 なし 93.3 1.2  あり 2.2 2.6

  10歳以上

 

(15)

Table 9 は , 親 か ら 受 け た 暴 力 の 種 類 と 暴 力 を 振 る っ た 親 の 種 類 と の 関 係 を 示 し て い る 。 年 齢 層 に か か わ ら ず ,「 身 体 的 暴 力 の み 」 は 父 が ,「 心 理 的 暴 力 の み 」 は 母 が , 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 の 「 双 方 」 は 両 親 , と 回 答 す る 傾 向 が 見 ら れ る ( 10 歳 未 満 :χ2(4)= 8.23, .05<p<.10; 10 歳 以 上 :χ2(4)= 23.63, p<.001)。  

加 え て , 親 か ら 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け た 者 を 母 集 団 と し , 深 刻 と は 限 ら な い 身 体 的 暴 力 や 心 理 的 暴 力 を も 含 め た い ず れ か の 暴 力 を 振 る っ た 親 の 種 類 を 示 し た も の が ,Table 10 で あ る 。深 刻 な 身 体 的 暴 力 と は 父 の み な ら ず 母 も 振 る っ て お り ,特 に 10 歳 未 満 で は そ れ が 顕 著 で あ る こ と が う か が え る 。  

 

Table 9  親 か ら 受 け た 暴 力 の 親 の 種 類 の 分 布  

― い ず れ か の 暴 力 を 受 け た 者 を 対 象 と し た 場 合 ―  

(%)

父のみ 母のみ 両親 父のみ 母のみ 両親

身体的暴力のみ 43.8 37.5 18.8 56.3 25.0 18.8

心理的暴力のみ 28.2 41.2 30.6 27.2 44.7 28.1

双方 25.5 37.3 37.1 29.7 31.1 39.2

合計 27.1 38.3 34.6 30.1 36.0 33.9

10歳未満 10歳以上

暴力の種類

   

Table 10  親 か ら 受 け た 暴 力 の 親 の 種 類 の 分 布  

− 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け た 者 を 対 象 と し た 場 合 −

(%)

父のみ 母のみ 両親 父のみ 母のみ 両親

16.7 47.9 35.4 30.6 27.8 41.7

10歳未満 10歳以上

   

な お , 親 か ら 受 け た 暴 力 に つ い て 「 10 歳 未 満 」「 10 歳 以 上 」 の 両 年 齢 層 の 経 験 を 合 わ せ た 結 果 は , Table 11 の と お り で あ る 。  

 

Table 11  親 か ら 受 け た 暴 力 の ま と め ( 両 年 齢 層 込 )  

(%)

なし

   深刻    深刻

16.2 5.0 (.1) 20.8 57.8 (6.0)

暴力の種類

身体的暴力のみ 心理的暴力のみ 双 方

 

(%)

25.3 33.4 41.3

父のみ 母のみ 両親

暴力を振るった親の種類

 

(16)

(2)児 童 のころの家 庭 状 況

児 童 の こ ろ の 家 庭 状 況 に つ い て の 各 項 目 に 対 す る 回 答 分 布 は , Table 12 の と お り で あ る 。こ れ ら 家 庭 状 況 に つ い て の 各 項 目 と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 間 に は ,Table 13  が 示 す よ う に , い ず れ の 項 目 に つ い て も 有 意 な 相 関 が 認 め ら れ る1 6。 ま た , こ れ ら  

 

Table 12  児 童 の こ ろ の 家 庭 状 況 に つ い て の 分 布   

(%)

全 く あ て は ま ら な い

や や あ て は ま ら な い

や や あ て は ま る

あ て は ま る

1) 互いに助け合ったり支えあったりしていた 6.9 17.3 40.9 34.9

2) ちょっとしたことでも,すぐにもめ事になった 35.9 38.0 16.7 9.5

3) 困っていることなど何でもオープンに話し合える雰囲

気であった 17.7 34.3 32.1 15.9

4) 経済的に追いつめられた状況にあった 55.6 24.4 13.8 6.3

5) 十分な子育てをするには,精神的余裕がないほどの心

配事や悩みなどをかかえていた 56.9 24.2 12.6 6.3

6) 子どもは親に絶対服従すべきであるという家風だった 28.7 28.7 28.4 14.2

7) 家族の中で,自分だけが孤立していた 66.7 19.7 10.2 3.4

8) 近隣から浮いた家族であった 68.8 18.7 9.6 2.8  

 

Table 13  家 庭 状 況 と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 相 関  

1) 互いに助け合ったり支えあったりして

いた -.23** -.32** -.29** -.20** -.32** -.28**

2) ちょっとしたことでも、すぐにもめ事

になった .34** .43** .41** .31** .42** .40**

3) 困っていることなど何でもオープンに

話し合える雰囲気であった -.19** -.31** -.27** -.18** -.30** -.26**

4) 経済的に追いつめられた状況にあった .19** .22** .22** .16** .18** .19**

5) 十分な子育てをするには、精神的余裕 がないほどの心配事や悩みなどをかか えていた

.30** .36** .35** .27** .34** .33**

6) 子どもは親に絶対服従すべきであると

いう家風だった .34** .38** .38** .31** .37** .37**

7) 家族の中で、自分だけが孤立していた .30** .42** .38** .26** .40** .36**

8) 近隣から浮いた家族であった .27** .34** .32** .24** .33** .31**

 上記1)〜8)の合計得点 .42** .54** .51** .38** .52** .49**

**p <.01

合計得点の算出に当たって,項目番号1,3は逆転項目

10歳未満

心 理 的 暴 力

い ず れ か 10歳以上

家庭状況 身

体 的 暴 力

心 理 的 暴 力

い ず れ か

身 体 的 暴 力

 

16 家 庭 状 況 の 各 項 目 の 得 点 化 に 当 た っ て は ,「 あ て は ま る 」「 や や あ て は ま る 」「 や や あ て は ま ら な い 」「 全 て は ま ら な い 」 を 4 , 3 , 2 , 1 と し た 。  

く あ

(17)

家 庭 状 況 に つ い て の 8 項 目 の 信 頼 性 係 数 は α =.801 7で あ り , 8 項 目 の 合 算 得 点 ( 以 下 , 家 庭 の 状 況 尺 度 と 略 す ) と の 相 関 も 有 意 で あ っ た 。  

ま た , Table 14 は ,親 か ら 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け た か ど う か で 家 庭 状 況 を 比 較 し た も の で あ る 。 い ず れ の 項 目 に も 有 意 差 が 認 め ら れ , 親 か ら 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け た 群 は 受 け な か っ た 群 に 比 べ て , 家 庭 状 況 が 良 好 で な い こ と が う か が え る 。    

Table 14 親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別   家 庭 状 況 平 均 値 及 びt検 定 の 結 果  

なし あり

1) 互いに助け合ったり支えあったりしていた 3.1 2.3 t(1021)= 6.43**

2) ちょっとしたことでも、すぐにもめ事になった 1.9 3.0 t(1020)= -7.55**

3) 困っていることなど何でもオープンに話し合える雰囲気で

あった 2.5 1.8 t(1020)= 4.89**

4) 経済的に追いつめられた状況にあった 1.7 2.3 t(1019)= -4.35**

5) 十分な子育てをするには、精神的余裕がないほどの心配事や

悩みなどをかかえていた 1.6 2.6 t(1018)= -7.29**

6) 子どもは親に絶対服従すべきであるという家風だった 2.2 3.0 t(1020)= -5.43**

7) 家族の中で、自分だけが孤立していた 1.5 2.4 t(1019)= -8.52**

8) 近隣から浮いた家族であった 1.4 2.2 t(1021)= -6.62**

 上記1)〜8)の合計得点 14.8 21.4 t(1012)= -10.06**

1) 互いに助け合ったり支えあったりしていた 3.1 2.5 t(1020)= 3.96**

2) ちょっとしたことでも、すぐにもめ事になった 2.0 3.0 t(1019)= -6.87**

3) 困っていることなど何でもオープンに話し合える雰囲気で

あった 2.5 2.1 t(1019)= 2.69**

4) 経済的に追いつめられた状況にあった 1.7 2.3 t(1018)= -4.16**

5) 十分な子育てをするには、精神的余裕がないほどの心配事や

悩みなどをかかえていた 1.6 2.7 t(1017)= -7.23**

6) 子どもは親に絶対服従すべきであるという家風だった 2.2 3.3 t(1019)= -6.66**

7) 家族の中で、自分だけが孤立していた 1.5 2.4 t(1018)= -6.91**

8) 近隣から浮いた家族であった 1.4 2.3 t(1020)= -6.64**

 上記1)〜8)の合計得点 14.9 21.4 t(1011)= -8.84**

**p<.01

合計得点算出に当たって,項目1,3は逆転項目

《10歳未満》

《10歳以上》

家庭状況

   

親 の 養 育 態 度 は PBIの 短 縮 版1 8を 用 い て 測 定 し た が , そ の 信 頼 性 係 数 に つ い て は , 父 に つ い て の 養 護 が α =.81, 父 に つ い て の 過 保 護 が α =.74, 母 に つ い て の 養 護 が α

=.81,母 に つ い て の 過 保 護 が α =.77 で あ り ,十 分 な 値 が 得 ら れ た 。Table 15 は そ れ ぞ れ の 相 関 を 示 し た も の で あ る 。 養 護 と 過 保 護 と の 間 に は 負 の 相 関 が 有 意 で あ り , こ の ほ か , 父 と 母 と の 相 関 も 有 意 で あ っ た 。  

 

17 項 目 番 号 1 , 3 は 逆 転 項 目 。

18 各 項 目 の 得 点 化 に 当 た っ て は ,「 あ て は ま る 」「 や や あ て は ま る 」「 や や あ て は ま ら な い 」「 全 く あ て は ま ら な い 」 を 4 , 3 , 2 , 1 と し , 逆 転 項 目 は そ の 逆 と し た 。

(18)

Table 15  親 の 養 育 態 度 の 相 関  

p<.01

父の養護 -.42** .50** -.27**

父の過保護 -.27** .51**

母の養護 -.49**

母の過保護

**

父の 過保護

母の 養護

母の 過保護 父の

養護

 

Table 16 は ,親 の 養 育 態 度 と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 関 係 を 示 し た も の で あ る 。親 の 養 育 態 度 と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 相 関 が 有 意 で あ る こ と が う か が え る 。 同 様 に , Table 17 は ,親 か ら の 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別 で 比 較 し た も の で あ る が ,親 の 養 育 態 度 に つ い て 有 意 差 が 認 め ら れ る 。  

 

Table 16  親 の 養 育 態 度 と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 相 関  

     

父の養護 -.29** -.38** -.36** -.29** -.37** -.36**

父の過保護 .26** .31** .30** .27** .33** .33**

母の養護 -.30** -.44** -.39** -.26** -.42** -.37**

母の過保護 .28** .40** .36** .27** .43** .38**

**p<.01

10歳以上 親の

養育態度

身 体 的 暴 力

心 理 的 暴 力

い ず れ か

身 体 的 暴 力

心 理 的 暴 力

い ず れ か 10歳未満

   

Table 17  親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別   親 の 養 育 態 度 の 平 均 値 とt検 定 の 結 果  

なし あり なし あり

父の養護 11.2 8.3 t(963)= 6.33** 11.2 8.5 t(962)= 5.35**

父の過保護 7.2 9.0 t(971)= -4.72** 7.2 9.3 t(970)= -4.72**

母の養護 12.6 9.3 t(1006)= 8.01** 12.5 10.2 t(1005)= 4.75**

母の過保護 7.4 10.4 t(1011)= -7.53** 7.5 10.2 t(1010)= -5.83**

**p<.01

親の養育態度

t値 t値

10歳未満 10歳以上

   

さ ら に , Table 18 & 19 は , 上 記 の 養 護 と 過 保 護 の 得 点 に つ い て , 平 均 点 よ り も 高 い 群 と 低 い 群 に 分 け , そ の 組 み 合 わ せ で , 親 か ら 受 け た 暴 力 に つ い て 分 析 し た 結 果 で あ る 。親 か ら 受 け た 暴 力 は ,養 護 低 過 保 護 高 (affectionless control)に お い て 最 も 多 く ,養 護 低 過 保 護 低( neglectful parenting),養 護 高 過 保 護 高 (affectionate  constraint), 養 護 高 過 保 護 低 (optimal bonding)の 順 に 少 な く な っ て い く こ と が う か が え る 。  

(19)

ま た , 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別 の 分 析 結 果 を 示 し た Table 20 & 21 か ら も , 深 刻 な 身 体 的 暴 力 を 受 け た 場 合 の 親 の 養 育 態 度 は 受 け て い な い 場 合 に 比 べ て , 養 護 低 過 保 護 高 で あ る 比 率 が 高 く , 養 護 高 過 保 護 低 で あ る 比 率 が 低 い こ と が う か が え る 。  

 

Table 18  父 の 養 育 態 度 別 親 か ら 受 け た 暴 力 の 平 均 値 及 び 分 散 分 析 結 果   養護低

過保護低

養護低 過保護高

養護高 過保護低

養護高 過保護高

F値 Tukeyの

多重比較 10歳未満

 身体的暴力 .7 1.1 .6 .7 F(3,953)=22.10** ②と他**

 心理的暴力 1.9 3.3 1.3 1.7 F(3,953)=44.98** ②と他** ①と③**

 いずれか 3.4 6.1 2.3 2.9 F(3,953)=41.64** ②と他** ①と③* 10歳以上

 身体的暴力 .9 2.1 .5 .7 F(3,952)=29.12** ②と他**

 心理的暴力 1.5 2.9 1.0 1.4 F(3,952)=44.80** ②と他** ①と③*  いずれか 2.4 5.0 1.5 2.1 F(3,952)=44.57** ②と他** ①と③*

*p<.05, **p<.01  

 

Table 19  母 の 養 育 態 度 別 親 か ら 受 け た 暴 力 の 平 均 値 及 び 分 散 分 析 結 果  

養護低 過保護低

養護低 過保護高

養護高 過保護低

養護高 過保護高

F値 Tukeyの

多重比較 10歳未満

 身体的暴力 .7 1.0 .6 .7 F(3,1001)=22.60** ②と他**

 心理的暴力 1.9 3.3 1.2 1.6 F(3,1001)=64.65** ②と他** ①と③**

 いずれか 3.5 6.0 2.2 3.0 F(3,1001)=45.63** ②と他** ①と③* 10歳以上

 身体的暴力 .9 1.9 .6 1.0 F(3,1000)=18.08** ②と他**

 心理的暴力 1.4 2.9 .9 1.5 F(3,1000)=59.97** ②と他** ③と④*  いずれか 2.3 4.8 1.5 2.5 F(3,1000)=42.05** ②と他** ③と④*

*p<.05, **p<.01  

 

Table 20  親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別 父 の 養 育 態 度 の 分 布  

(%)

深刻な 身体的暴力

養護低 過保護低

養護低 過保護高

養護高 過保護低

養護高

過保護高 χ2

10歳未満

 なし 23.3 26.5 ▼ 37.5 △ 12.7 △

 あり 25.0 59.1 △ 13.6 ▼ 2.3 ▼

10歳以上

 なし 23.4 26.6 ▼ 37.3 △ 12.7 △

 あり 23.5 64.7 △ 11.8 ▼ 0.0 ▼

*p<.05,**p<.01

△は残差分析において期待値より有意に高いこと,▼は有意に低いことを示す

χ2(3)=26.25**

χ2(3)=27.27**

   

(20)

Table 21  親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別 母 の 養 育 態 度 の 分 布  

(%)

深刻な 身体的暴力

養護低 過保護低

養護低 過保護高

養護高 過保護低

養護高

過保護高 χ2

10歳未満

 なし 15.8 28.7 ▼ 39.9 △ 15.7  

 あり 10.2 73.5 △ 8.2 ▼ 8.2  

10歳以上

 なし 15.7 29.6 ▼ 39.3 △ 15.4  

 あり 10.8 62.2 △ 13.5 ▼ 13.5  

*p<.05,**p<.01

△は残差分析において期待値より有意に高いこと,▼は有意に低いことを示す

χ2(3)=45.22**

χ2(3)=19.11**

こ の ほ か ,Table 22 は ,い ず れ か の 暴 力 を 振 る う 親 の 種 類 毎 に 親 の 養 育 態 度 を 示 し た も の で あ る 。 暴 力 を 振 る う 親 の 養 育 態 度 は 養 護 的 で な か っ た り 過 保 護 的 で あ っ た り す る な ど 否 定 的 で あ る こ と , ま た , 片 親 が 暴 力 を 振 る う 親 で あ っ て も , 振 る わ な い 親 の 養 育 態 度 に つ い て は 養 護 的 で あ っ た り 過 保 護 的 で な か っ た り す る な ど 肯 定 的 に 評 価 し て い る こ と , が う か が え る 。  

 

Table 22  暴 力 を 振 る う 親 の 種 類 別 親 の 養 育 態 度 の 平 均 値 及 び 分 散 分 析 結 果   親の

養育態度

父のみ

母のみ

両親

なし

④ F 値 Tukeyの

多重比較 10歳未満

 父の養護 10.0 11.1 10.6 12.2 F (3,846)=20.25** ④と他** ②と①**

 父の過保護 8.4 7.0 7.8 6.4 F (3,850)=23.51** ①と②④** ①と③③と④**

③と②*

 母の養護 12.5 11.4 11.8 13.8 F (3,884)=34.27** ④と他** ①と③*

 母の過保護 7.2 8.6 7.9 6.7 F (3,887)=23.43** ②と④①** ②と③③と④**

10歳以上

 父の養護 9.9 11.3 10.7 11.8 F (3,876)=17.06** ④と③①** ②と①** ③と①*  父の過保護 8.7 7.1 7.7 6.4 F (3,882)=38.11** ④と他** ①と②③**

 母の養護 12.6 11.4 11.8 13.2 F (3,916)=22.63** ④と②③** ①と②** ①と③*  母の過保護 7.4 8.9 8.0 6.5 F (3,919)=35.20** ②と他** ③と④** ①と④**

*p<.05, **p<.01  

   

(21)

(3)児 童 のころのセルフ・エフィカシー

1 9

  GSES 全 体 の 信 頼 性 係 数 は α =.82 で あ り , ほ ぼ 十 分 な 値 が 得 ら れ た 。 ま た , GSES の 下 位 尺 度 の 信 頼 性 係 数 に つ い て は , 行 動 の 積 極 性 で α =.78, 失 敗 に 対 す る 不 安 で α =.73,能 力 の 社 会 的 位 置 づ け で α =.63 で あ り ,能 力 の 社 会 的 位 置 づ け に つ い て は 若 干 低 め の 値 で あ っ た が , 他 は ほ ぼ 十 分 な 値 が 得 ら れ た 。  

  GSES 全 体 と 親 か ら 受 け た 各 種 暴 力 と の 間 に は , Table 23 が 示 す よ う に 有 意 な 相 関 が 見 ら れ た 。ま た ,GSES の 下 位 尺 度 毎 に み る と ,行 動 の 積 極 性 や 能 力 の 社 会 的 位 置 づ け と の 相 関 は ほ と ん ど 有 意 で な か っ た の に 対 し て , 失 敗 に 対 す る 不 安 に つ い て は , い ず れ も 有 意 で あ っ た 。  

  ま た , Table 24 が 示 す よ う に , 親 か ら の 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別 に GSES を 検 討 し た 結 果 , 失 敗 に 対 す る 不 安 に お い て 有 意 差 が 認 め ら れ た 。  

 

Table 23   児 童 の こ ろ の セ ル フ ・エ フ ィ カ シ ー と 親 か ら 受 け た 暴 力 と の 相 関  

GSES全体 -.09** -.11** -.10** -.06 -.11** -.09**

 行動の積極性 -.04 -.08* -.06 -.02 -.08* -.05  失敗に対する不安 -.17** -.23** -.21** -.12** -.21** -.18**

 能力の社会的位置づけ .02 .06* .04 .00 .03 .02

*p<.05, **p<.01

身 体 的 暴 力

心 理 的 暴 力

い ず れ か

身 体 的 暴 力

セルフ・エフィカシー 心

理 的 暴 力

い ず れ か 10歳以上 10歳未満

 

 

 

Table 24  親 か ら 受 け た 深 刻 な 身 体 的 暴 力 の 有 無 別   セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー の 平 均 値 とt検 定 の 結 果  

なし あり なし あり

GSES全体 24.8 23.3 t(975)= 2.34* 24.5 24.5 t(974)= .10  行動の積極性 10.5 10.0 t(994)= 1.48 10.4 10.9 t(993)= -1.20  失敗に対する不安 8.2 7.1 t(1007)= 4.86** 8.2 7.5 t(1006)= 2.47*  能力の社会的位置づけ 5.9 6.1 t(1007)= -1.21 5.9 6.1 t(1006)= -.77

*p<.05, **p<.01

t値 t値

10歳未満 10歳以上

 

   

19 得 点 化 に 当 た っ て は , 得 点 が 高 い ほ ど セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー が 高 く な る よ う , 2 な い し 1 の 得 点 を 割 り 当 て た 。

Table 1  回 答 者 の 属 性 等 の 分 布 ①   (人) 40h以上 40h未満 不就労 未回答 なし 未婚・交際歴あり 176 41 18   235 未婚・交際歴なし 32 9 18 59 未婚・交際歴未回答 2     2 初婚 74 57 35 166 離別 18 10 4   32 再婚 4 1 3 合計 306 118 78 502 あり 未婚・交際歴あり   1 2   3 初婚 78 143 235 3 459 離別 22 12 3   37 再婚 4 7 9   婚歴未回答
Table 3  親 か ら 受 け た 暴 力 の 分 布 及 び t 検 定 の 結 果   し ば し ば ときどき 1・2度 全くなし 6.0 16.7 23.7 53.6 3.3 8.9 23.2 64.6 2.7 5.9 9.2 82.2 1.6 2.3 6.3 89.9 1.9 2.5 6.5 89.2 1.5 1.9 4.4 92.3 3.8 6.2 13.7 76.3 2.0 3.9 9.2 84.9 .9 .5 2.2 96.5 .9 .3 1.6 97.3 .4 .0 .5 99.1
Table 5  親 か ら 受 け た 暴 力 の 種 類 の 分 布   (%)  なし  心理的暴力のみ 深刻 深刻 10歳未満 22.8 4.2 (.1)  23.0 50.0 (4.8)  10歳以上 31.6 3.6 (.0)  28.8 36.0 (3.8)  ( )は,深刻な身体的暴力を含む内数 身体的暴力のみ  双方 年齢層     Table 6  親 か ら 受 け た 暴 力 の 年 齢 層 別 平 均 値 及 び t 検 定 の 結 果   暴力の種類 10歳未満 10歳以上 t
Table 9 は , 親 か ら 受 け た 暴 力 の 種 類 と 暴 力 を 振 る っ た 親 の 種 類 と の 関 係 を 示 し て い る 。 年 齢 層 に か か わ ら ず ,「 身 体 的 暴 力 の み 」 は 父 が ,「 心 理 的 暴 力 の み 」 は 母 が , 身 体 的 暴 力 と 心 理 的 暴 力 の 「 双 方 」 は 両 親 , と 回 答 す る 傾 向 が 見 ら れ る ( 10 歳 未 満 :χ 2 (4)= 8.23, .05&lt; p &lt;.
+7

参照

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