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☑2009年度テーマ研究論文 □2009年度専門職学位論文

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☑ 2009 年度テーマ研究論文

□ 2009 年度専門職学位論文

主査 友杉 芳正

副査 奥山 章雄 副査

論 文 題 目

主題 公認会計士監査における期待ギャップ

副題

研究科 大学院会計研究科

専攻 会計専攻

学籍番号 48080080

氏名 平原 恒

(2)

概要書

監査は、監査人が適正な財務諸表であるか否かを検証、評価し、監査意見の表明によっ て財務諸表に信頼性を加え、財務諸表の利用者に有用な情報を提供するものである。その 信頼性は財務情報が経済実態を反映することで担保され、その結果、資本市場の健全性は 確保される。

そのためには厳正な監査の実施が必要であるが、財務諸表監査制度には限界も存在する。

この限界に期待ギャップの視点から検討を加えるものである。

第1章「財務情報の信頼性と公認会計士監査」では、近年の財務情報のディスクロージ ャー拡大化は会計基準に対する期待ギャップの縮減を図るために行われてきたことを明ら かにする。拡大化された情報の中にはリスクを扱うものも含まれている。監査は積極的に 関与し、信頼性を付与する保証を社会から求められている。このような監査環境の変化に は、監査が有用な社会的用具としてのチェック機能とその役割重視の思想が流れている。

監査の厳格化が求められているのである。

第2章「期待ギャップ問題の史的展開」では、期待ギャップの存在を会計プロフェッシ ョンが認識する契機となった 1970 年代の米国における監査訴訟を取り上げる。期待ギャ ップに対する対応策として、コーエン委員会報告書とマクドナルド委員会報告書が発表さ れた。期待ギャップの縮減方法としては、訴訟を意識した監査のアプローチ(リスク・ア プローチ:重要な虚偽の表示が生じる可能性の高い事項について重点的に監査の人員や時 間を充てることにより、監査を効果的かつ効率的なものとする監査アプローチ)手法の開 発と会計プロフェッションによる積極的な企業不正問題への対応があげられる。

第3章「期待ギャップと不正」では、期待ギャップ問題のきっかけとなった不正につい て検討する。まず、監査が扱う不正の分類を行う。次に、リスク・アプローチにおける不 正対応方法を示す。さらに、平成 19 年の公認会計士法改正で新しく規定された不正・違 法行為発見時の対応についても検討する。そして、重要な虚偽表示を看過した場合の監査 人の責任についてふれている。最後に、職業的懐疑心について取り上げた。

第 4 章「「インセンティブのねじれ」の解消に向けて」と第 5 章「監査期待ギャップの 解消に向けて」では、コーポレート・ガバナンスにも目を向けた、期待ギャップ解消法を 検討している。第4章では「インセンティブのねじれ」が監査人の独立性に及ぼす影響に ついて論じている。「インセンティブのねじれ」問題とは、会社法監査において、監査を受

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ける者(取締役)が監査を行う者(会計監査人)の選任議案と監査報酬とを決定している ことであり、それは監査上、信頼性を維持するには極めて重要な独立性に反する問題であ る。監査環境のあるべき解決に向けて、日本公認会計士協会、日本監査役協会、日本経済 団体連合会はそれぞれの主張を展開している。まず、それらの主張について具体的に検討 する。次に、「監督」と「監査」の概念の差異が「インセンティブのねじれ」解消を困難な ものとしていることを明らかにしている。その上で、監督権と監査権の関係を、現行制度 上、正常に機能させるための手立てを探る。具体的には、監査人の選任議案や監査報酬決 定根拠を経営者が情報開示し、透明性を高めることが考えられる。最後に、監査品質の向 上を図る上で不可欠な「会社連携監査」について述べている。

第5章では、財務情報の適正性の確保のためには、企業のガバナンスが前提であるとの 認識に立ち、コーポレート・ガバナンスについて検討する。具体的には、世界におけるコ ーポレート・ガバナンスの潮流(主として、不祥事の再発防止を背景としたものと企業の 競争力を高めることを背景としたもの)を把握し、その上で日本型コーポレート・ガバナ ンスの構築を模索する。資本市場における投資家の信頼を確保する仕組みの構築という課 題でもある。それゆえ、コーポレート・ガバナンスの仕組みは、公正さと透明性を備えて いることがきわめて重要である。コーポレート・ガバナンスに果たす役割という視点から 独立取締役について検討している。また、監査役による相当性監査が新たな期待ギャップ を生んでしまうおそれについても指摘した。最後に、監査の信頼性確保について、(1)監 査の品質管理、(2)監査人の独立性と地位の強化、(3)監査法人等に対する監督・責任 のあり方、(4)積極的な情報開示の観点から論じている。

以上、第1章から第5章までを併せて考えると、次のことが言える。すなわち、社会の 人々が監査に期待するものは、時代の変遷とともに変化していくことは避けられない。職 業的専門家としての監査人は常に監査に関連する技術進歩に対応しつつ、期待ギャップの 解消を図るように努力し、監査人として「職業的懐疑心」の今日的意味を積極的に認識し ておかなければならない。「第三者評価機能を果たす監査のない企業社会は存在し得ない」

との認識が重要であるが、そのためには、期待ギャップを解消することが必要不可欠であ ることは、今更ながら言うまでもないことである。

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目次

概要書

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第1章 財務情報の信頼性と公認会計士監査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第1節 財務情報の拡大と監査

第2節 監査環境の変化

第2章 期待ギャップ問題の史的展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第1節 アメリカにおける企業不正事例と訴訟

第2節 コーエン委員会報告書 第3節 マクドナルド委員会報告書

第3章 期待ギャップと不正・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 第1節 不正の分類

第2節 監査の不正対応 第3節 不正発見の姿勢と対応

第4節 重要な虚偽表示を看過した場合の監査人の責任 第5節 職業的懐疑心

第4章 「インセンティブのねじれ」の解消に向けて・・・・・・・・・・・・・・31 第1節 「インセンティブのねじれ」問題

第2節 「インセンティブのねじれ」の解消に向けた諸見解 第3節 監督と監査の違い

第4節 「インセンティブのねじれ」の解決策 第5節 監査役と監査人の連携

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第5章 監査期待ギャップの解消に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第1節 コーポレート・ガバナンスの潮流

第2節 日本型コーポレート・ガバナンスの構築 第3節 独立社外取締役

第4節 相当性監査 第5節 監査の信頼性確保

結びに代えて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56

注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

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はじめに

財務諸表監査は、そのときどきの社会からの批判や要請を受けて、その業務内容を充実 ないし拡大させてきているといえる。そのなかでも、最も重要かつ意義のある変革は1970 年代から80年代の米国において行われた監査アプローチの転換であろう。

1970年代、米国では企業の経営破綻が相次いだ。ところが、それらの企業の財務諸表に 添付された監査報告書では、他の健全な企業と同様に財務諸表を適正とする意見が表明さ れていたことから、監査訴訟、すなわち、担当監査人の責任を追及する損害賠償訴訟が数 多く起こされることになったのである。

訴訟の場で明らかとなったのは、投資家をはじめとする社会の人々は、監査報告書にお いて適正意見が表明されていた場合に、その企業にはいかなる不正も存在しないと考えて いたのに対して、当時、実際に監査人が行っていた監査実務では、財務諸表が会計基準に 準拠して作成されていたことのみをもって、財務諸表を適正と判断するものであった。

このような社会からの監査に対する期待と実際の監査実務の乖離のことを期待のギャッ プ(Expectation Gap)という。

監査訴訟における判決において、公認会計士による監査人の当時の実務の多くは適切な ものではない、との判断が示されたことや、議会やマスコミ等において、監査のあり方の みならず会計プロフェッションのあり方についても批判の声が高まったことを受けて、会 計プロフェッションとしても、自主規制を行いつつ、期待のギャップ問題への対応を迫ら れることとなった。そこで、米国公認会計士協会は、1970年代半ばに監査人の責任に関す る委員会を設置し、その検討結果を踏まえて、期待のギャップの解消に向けて、積極的に 監査実務の見直しを図ることとしたのである。

その際に実施された見直しは監査基準(SAS)において改正がなされ、多岐に及ぶが、中 でも監査手続全般にわたって監査手法の転換が図られた点が重要であろう。すなわち、従 来の企業の内部統制に依拠し経営者の誠実性を前提とした監査の実施を図るという内部統 制アプローチから、経営者の誠実性は必ずしも前提とせず、不正や誤謬の発生するリスク の高いところに監査資源を重点的に配分するというリスク・アプローチへの転換が図られ たのである。

リスク・アプローチの導入は、必ずしも監査実務の抜本的な改革ではなく、監査を実施

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する際に決定した、試査の範囲等を正当化する論拠を明示したに過ぎないという消極的見 解もあるが、いずれにせよ、これによって財務諸表監査の目的の中に、虚偽記載への対応 が重要な課題として含まれたことは確かであり、これをもって財務諸表監査の第一の変革 と見ることができる。

リスク・アプローチは、訴訟に勝つための論理展開が意図され、限られた監査資源を不 正リスクの大きいところには多く効率的に配分して虚偽記載のリスクに対応しようとした ものであったが、1990年代半ば頃になると、そのような効率性重視の監査に対して、経営 者の不正や企業の経営破綻の兆候をいかに発見できるかという有効性重視の立場からの 見 解が示されるようになった。そこで、企業及び企業環境を十分に理解し、事業上のリスク をより積極的に評価するべく、リスク・アプローチの修正が図られることとなったのであ る。

かつて精細監査が実施されていた時代においては不正の摘発が主たる目的であった。昨 今の大規模公開会社におけるリスク・アプローチのもとでは、精細監査の思想を財務諸表 監査の枠組みにおいて限定的に取り入れたものと捉えることが可能であるが、現在では財 務諸表監査の枠組みに不正への積極的な対応を取り入れ、さらに、経営破綻にかかるリス クへの対応も図る等、財務諸表監査の更なる拡充が図られていると解されるのである。こ れをもって、財務諸表の第二の変革と解することができる。

それゆえ、公認会計士による財務諸表監査において、期待ギャップの歴史的展開を辿り、

昨今のコーポレート・ガバナンスの強化として、独立社外取締役の導入、最終的には半数 の員数への要請の動き、さらには監査を受ける者が監査をする者を決定しているインセン ティブのねじれ問題の解消策など、期待ギャップの解消の課題が多く出現している。その 中で、主な点を取り上げて、検討することにする。

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第 1 章 財務情報の信頼性と公認会計士監査

第 1 節 財務情報の拡大と監査

社会的・経済的状況の変化とともに、情報要求の多様化や利用者の目的指向への積極的 援助を求める声が高まってきた。かかる社会的・経済的構造変化に対して、会計原則のよ うな制度枠は即時的に適応しえず、制度とニーズ(要請)との間にある種のコンフリクト が生じることになる。それが会計原則をめぐる基準と利用者の期待との間の期待ギャップ である。そして、それは会計原則を判断基準とする財務諸表監査についての期待ギャップ をもたらすことになる。かかる伝統的監査をめぐる期待ギャップは、次の二つの側面をも つ。

(1) ディスクロージャーの拡大に伴う期待ギャップ

(2) 財務情報の利用可能性の改善・促進についての期待ギャップ

前者はディスクロージャーの拡大に伴う監査人の証明機能の拡大への期待を内容とする のに対し、後者は財務情報の利用可能性を促進するための、なんらかの情報提供機能を監 査人に期待するものである。前者は情報要求の多様化に照応すべく、制度枠の内外での情 報の拡張現象とそれに伴う情報の信頼性という質的付加価値の付与を行う監査人の証明機 能の拡張である。他方、後者は、企業倒産問題等主として法的サイドからの問題提起を 通 じて、現行の制度枠の内部における歪み、欠陥等の是正・補足機能を監査人に期待しよう とするものである。前者は証明という監査の批判的側面に焦点を置くのに対し、後者は情 報提供という、より創造的側面に関心を持つ点で差異が認められる

公認会計士が行う財務諸表監査は適正性監査であり、財務諸表の信頼性を保証する監査 である。しかし複雑化した経営活動を把握する財務諸表の理解可能性を増すには、追加的 情報を積極的に開示し、読者の理解に供することも必要であるといえる。

このような情報提供は二重責任の原則に違反し、監査人は行うべきではなく、信頼性の 保証の枠からはみ出すとの批判がある。しかし、財務諸表の持つ意味を正確に理解するた めの情報提供はなされるべきであり、それは信頼性の保証の枠内における理解可能性を高 める情報に限定されるべきものである。つまり、監査の機能としての信頼性の保証は、証 明機能に限定されるべきではなく、その説明機能が含まれていると解すべきである。すな わち、経営者が作成する財務諸表が、信頼に足りうる価値を有することを職業専門家であ

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る監査人が保証する社会コントロール・システムとして公認会計士監査を理解する必要が ある

支配株主以外の株主は、以下の尐なくとも3つの理由から、財務諸表の信憑性に強い関 心を有している。すなわち、(1)受託責任(経営者の動機付け、評価及び報酬決定、受託 者による潜在的な利害対立、資源の横領ならびに不正のコストの低減)、(2)すべての投資 家にとっての株式価値の増大、そして、(3)自己の所有する株式の価値の最大化の3つで ある。財務数値に信憑性があるのは、表現しようとしているものを忠実に表現し、かつ、

第三者によって検証することができるような数値を提供する会計基準に当該財務数値が基 づいている場合のみである。

しばしば、信憑性と目的適合性の間にはトレードオフの関係があるといわれるが、目的 適合的な情報を意思決定に織り込む程度はそれが信頼できる程度に依存している。換言す れば、意思決定への適合性がある会計項目に与えられる信念の強さは、それら会計項目に 係る信頼性が乏しければその分だけ弱くなるだろう。

信憑性の規準を設けるということは、潜在的に有用な情報の一部は財務諸表以外の手段 で伝達されなければならないということを意味する場合もある。しかし、信憑性が欠如し ていれば、本来は有用であるはずの会計項目が無価値となる

投資意思決定に有用な財務情報は目的適合性と表現の忠実性の特性をもつものに基本的 に限定されながら、開示の拡大化がなされている。財務情報のディスクロージャーもまた、

適時性、正確性、十分性、公平性などの要件を具備しながら拡大化の方向にある。このよ うな拡大化された財務情報に対しても、監査が関与し、信頼性を付与する保証が積極的に 行われなければならない

第2節 監査環境の変化

情報提供者の情報作成責任と説明責任が果たされているのか、情報利用者の知る権利が 保障されているか、情報評価者としての監査人が独立した評価責任を果たしているかの観 点から、監査への期待の高まりは、従業員不正の摘発を中心とした監査から経営者不正の 防止を中心とした監査への変化、不正摘発を主たる目的としない消極的適正性監査から不 正防止を主たる目的とする積極的適正性監査への変化、内部統制組織を中心にした手続準

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拠性監査からリスク・アプローチによるリスク指向監査への変化などがみられ、監査人の 責任の確立を意図した厳格な監査への変化として現れている

金融商品取引法第 193条の 3「法令違反等事実発見への対応」として、公認会計士また は監査法人は「法令に違反する事実その他の財務計算に関する書類の適正性の確保に影響 を及ぼすおそれがある事実」を発見したときは、是正等の適切な措置をとるように経営者 に書面で通知することが要求されている。第2項では、法令違反等事実が財務計算に関す る書類の適正性の確保に重大な影響を及ぼすおそれがあり、経営者が是正等の適切な措置 をとらないときは、内閣総理大臣に申し出なければならない、とある。

公認会計士法の改正(平成19年6月20日成立)により、不正・違法行為発見時の対応 が新しく規定され、監査人による不正発見・予防監査の導入により企業監視が強まり、監 査はどのような役割を果たすべきか、監査の機能と限界はどこまでかが問われる時代に入 っているが、公共の利益の実現のため、監査は更なる厳格さが求められている。そこに 流れる思想は、監査の有用な社会的用具としてのチェック機能とその役割の重視である

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第2章 期待ギャップ問題の史的展開

第 1 節 アメリカにおける企業不正事例と訴訟

-コーエン委員会報告書前にみる監査期待ギャップ問題-

20 世紀前半の世界大戦の経験は、戦後、アメリカ会計におけるいわゆる「会計原則運 動」を生んだ。すなわち、大恐慌をも生起した 20 世紀前葉の企業不正、倒産の理由とし て、会計原則の不備が指摘され、その結果、アメリカでは詳細な規定を持つ会計原則が、

会計専門職から距離をおいた「社会的に独立した」設定主体によって設定される、とい う方向が採られるのである。

このことは、この段階では企業不正の発見、防止ができなかった原因が、監査に直接 的に求められるというよりは、会計原則の不備に求められたことを意味する。もちろん その中には、会計原則の設定主体が会計専門職から「独立した」第三者機関に移される という、企業不正を防ぎ得なかった会計専門職に対する事実上のぺナルティも含まれて はいた。しかしこのことは一方で、かかる会計専門職から距離をおいた設定主体による 会計原則への準拠性が、監査における重要な要点となる傾向を加速した。平たくいえば、

詳細に定められた会計原則への会計的認識の準拠性が確かめられれば、監査は適正と意 見表明できると考えられるようになったということである。

20 世紀後半、より具体的には 1960 年代後半以降にアメリカで多発した、企業不正と倒 産の発生に伴う監査人への訴訟に際して、監査人側が会計基準への準拠性と適正性監査 の意義を主張したのは、監査人側からみた監査の展開を考えれば当然といえる。しかし、

かかる主張は訴訟の場においては必ずしも認められず、監査人は多くの場合そこで敗訴 し、多額の損害賠償責任を負うこととなった。ここでは、監査人に企業不正、倒産の発 見、防止の責任を求める社会的要求が改めて確認され、かつそれは会計基準への準拠性 を確認するということでは満たし得ていなかったのである

(1) バークリス事件

バークリス事件は、倒産したバークリス社(BarChris Construction Corp.)の社債権者 が、1962 年、ピート・マーウィック・ミッチェル(Peat Marwick Mitchel)会計事務所を 相手取って、有価証券報告書における重要な虚偽記載を理由に損害賠償請求訴訟を起こ

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したものである。本事例について 1968 年に下った判決では、資産の過大表示と負債の過 尐表示について監査人の過失が認定された。

本事例は、当時の会計基準の不明瞭さに起因する部分があり、このため本事例後に APB(Accounting Principles Board;会計原則審議会)オピニオン第 5 号の発表などの対処 が行われている。監査に対する一般大衆の合理的な期待が、明瞭な会計基準の発表とい う形で満たされた。会計基準の改善により期待ギャップの縮減が図られた。

本事例の重要性は、1933 年有価証券法の下で、監査人の責任が判決上明瞭に問われた 嚆矢となる事件であったことにある。ウルトラマーレス事件にあっては、監査人の過失 は判決上は認定されなかったが、バークリス事件ではウルトラマーレス事件後に制定さ れた有価証券法に基づいてこれが判決上認定されたことになる

(2) コンチネンタル・ベンディング・マシン事件

本事例は、1966 年、コンチネンタル・ベンディング・マシン社(Continental Vending machine Corp.)の財務諸表監査を行ったライブラント・ロスブラザース・アンド・モン ゴメリー(Lybrand Ross Bros.& Montgomery)会計事務所の 3 名の公認会計士が、詐欺共 謀により刑事告発された事例である。

本事例では、コンチネンタル・ベンディング・マシン社の経営者が、子会社を利用し て資金操作した資金を個人的な株式投機に私消して回収不能となり、この結果コンチネ ンタル・ベンディング・マシン社が倒産したものである。この際、監査人は資金の回収 可能性を認めて適正意見の監査報告書を提出しており、かつかかる個人的な資金の流れ について財務諸表上で開示が不十分であったことを指摘され、この点が詐欺共謀とされ て監査人に対する刑事訴追に至ったものである。

1969 年の判決では、3 名の公認会計士に対して罰金刑の有罪判決が下された。すなわ ち、本事例では公認会計士が刑事上有罪とされた点で重要な事例である。また、会計事 務所も損害賠償金の支払いを行っている。

本事例の判決によれば、経営者に不正の意図が見られる場合には一般に認められた会 計原則や監査基準への準拠性の確認では適正意見表明には十分ではないこと、経営者の 誠実性を確認することも監査人の責務であることを示し、法廷によって「監査責任が拡 張された」のである。本事例後、監査基準書(Statements on Auditing Standars;SAS)第 5 号の発行に見られるような、監査基準および会計基準の再検討が行われた10。一般大

(13)

衆の監査に対する不正発見の期待が法廷により認められ、監査や会計の基準が再検討さ れることを通して、基準が改正され又業務の改善(職業的懐疑心の保持)が図られるこ ととなった。

(3) エール・エクスプレス事件

本事例は、エール・エクスプレス(Yale Express)社の粉飾経理にあたって、同社の株 主および社債権者が同社の監査人であったピート・マーウィック・ミッチェル会計事務 所を相手取って 1967 年に損害賠償請求訴訟を起こしたものである。

本事例にあっては、監査人は当初(1963 年)は粉飾に気づかなかったものの、後に(1964 年)これに気づき、しかしながらその事実を 1965 年まで公表しなかった。法廷では、監 査人が監査証明後に気づいた事実について、その公表と過年度の財務諸表の修正が必要 か否かが争われた。本事例は、和解により会計事務所側が損害賠償金を支払って解決し、

判決には至っていないが、その過程で上記の公表、過年度修正義務が法廷により確認さ れている。この結果として、監査手続書(SAP)第 41 号の公表が行われたとされる11。監 査に対する一般大衆の合理的な期待が、監査基準の発表という形で満たされた。監査基 準の改善により期待ギャップの縮減が図られた。

(4) エクイティ・ファンディング事件

1973 年に発覚したエクイティ・ファンディング事件は、投資信託証券の販売を行うエ クイティ・ファンディング(Equity Funding)社と同社を中心とした保険、証券などのグ ループ企業による詐欺事件である。

本事例では、架空契約、生命保険証書の偽造、架空資産の計上などが、多様な方法で コンピュータを駆使して行われていた。その規模は、架空資産だけでも 1 億 4,300 万ド ルに及ぶとされるが、監査人は長年この不正を見抜けなかった。エクイティ・ファンデ ィング・グループ各社の監査は、異なる会計事務所が担当していたが、特にエクイティ・

ファンディング社の監査を行っていたウルフソン・ウェイナー・ラトフ・アンド・ラピ ン(Wolfson,Weiner,Ratoff & Lapin)事務所は、きわめて杜撰な監査を行っていたとして 強く非難された。当時の基準を監査業務が満たしていなかった。1975 年には、3 名の公 認会計士が実刑判決を受けるとともに、本事例に関係した会計事務所は総額 4,400 万ド ルに及ぶ損害賠償金の支払いに応じている。

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本事例は、その不正の規模の大きさと、監査が不正の発見についてはまったく機能し なかったという事実により、アメリカにとって当時きわめて衝撃的な事件であった。1974 年には、本事件に関する調査報告書が公表されている12

第2節 コーエン委員会報告書

1960年代以降、アメリカでは会計専門職である公認会計士に対して、その監査の失敗 を理由とした財務諸表情報の利用者からの損害賠償請求訴訟が多発した13。監査人が監 査においてその自らの職責と考えていることと、社会が彼らあるいは監査に求めている こととの間にギャップがあることが、会計専門職である監査人の不正の発見または防止 の責任にかかわる訴訟という形で顕在化した14

公認会計士が財務諸表について意見を表明するという枠組みの中で伝統的に果たし てきた役割は、「一般に認められた会計原則という枠組みのなかでの財務諸表の信頼性 の保証」である15。したがって、「不正の発見、防止は監査の主目的ではない」、という アメリカの会計専門職の主張は受け入れられず、敗訴した。社会の人々が期待している

「監査人の役割」と公認会計士が現実に引き受けている「監査人の役割」との間には大 きな乖離があることが、一連の訴訟のなかで、次第に認識されるようになった。

AICPA(監査人の責任委員会)が1978 年に公表した通称『コーエン委員会報告書』

は、「期待ギャップ」を引き起こしている源泉の識別とその処方箋を含む会計士側の対 応を明らかにした16

報告書は、結論と勧告を、以下の11点にまとめている。

(1)社会における監査人の役割

ここでは、社会における監査人の役割を、財務諸表の作成者と監査人の関係において 論じている。

監査目的としての不正の発見の重要性を軽視しようとする多くの監査人の努力に もかかわらず、もっとも見識のある財務諸表利用者を含む一般大衆の全ての構成員

は、不正の発見を監査の必要かつ重要な目的であると考えているように思われる。

(15)

利用者は、監査人が経営者による不正および違法な行動の双方の可能性に関心を払 うことを期待している。

ここには、監査人と財務諸表利用者を含む一般大衆との間の、不正の発見についての 考え方の違いが示され、これは監査人と財務諸表の作成者(経営者)との関係に関わる ことが示されている。

ここで、コーエン委員会報告書は、監査人と財務諸表の作成者との関係について、伝 統的な「二重責任の原則」を確認し、これを支持する。すなわち、財務諸表の作成責任 は経営者(財務諸表の作成者)にあり、監査人の責任は、これを監査し、財務諸表につ いて意見を表明することであるということである。

したがって、「財務諸表上の言明を決定する責任のすべてもしくはその大部分は独立監 査人に負わせるべきであるとする考え方」についてはこれを否定し、監査人と財務諸表 作成者との間の現行の責任分担関係を維持するべきことを結論づけている17

(2)財務諸表に対する意見の形成

経営者は会計原則を適用し、財務諸表を作成する際に判断を求められる。コーエン委 員会報告書は、この判断要素を、経営者と監査人の双方が軽視してきたと指摘し、監査 人は、経営社の行った判断をそのまま受け入れることなく、その適否を判断しなければ ならないことを指摘している。

このために、監査報告書上の、「適正に表示している」(present fairly)という文言は、

その意味に実益はなく、より判断の側面を強調する意味からもこれを削除すべきとして いる18

(3)財務諸表上の重要な未確定事項に関する監査報告

この勧告は標記のように未確定事項について述べたものであるが、特に企業の継続性

(ゴーイング・コンサーン)についての監査人の情報提供に関連している。この点につ いて、コーエン委員会報告書は、財務諸表上に企業の継続性についての情報が開示され ない限りは、監査人がこれを監査報告書において取りあげることに否定的な見解を示し ている19

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(4)不正の発見に対する責任の明確化

不正の発見についての監査人の責任に関して、以下のような説明をする提言を行うの である。

監査は、財務諸表が重大な不正による影響を受けていないことについて合理的な 保証を与え、ならびに、重要性のある金額の企業資産に対する経営 者の会計責任に ついて、合理的な保証を与えるよう企図されねばならない。

財務諸表監査において、独立監査人は、不正の防止を目的とした統制やその他の 手段の適切性に関心を払い、不正を調査する義務を負い、また、専門職としての技 量と注意を働かせれば通常発見できるであろう不正は発見することを期待されねば ならない。

一方で、監査人が全ての不正を発見できることは期待できず、特に疑いを持てないよ うな経営者と第三者との間で行われた共謀による不正は、発見は不可能とする。

社会は、いかなる専門家に対しても完璧な結果を求めてはいない。

このため、会計専門職にとって、不正の発見に関する注意の基準が必要だとし、以下 の点を含む基準の改善の勧告を行っている。

・依頼人について、新契約の締結、既存契約の継続を判断すること。これは、問題のある クライアントとは契約しない、あるいは契約を打ちきることを求めたものである。

・ 経営者が不誠実な場合には対策を講じること。監査人が健全な懐疑心を持って経営者 に対することの必要性を述べている。

・ 経営者不正の兆候を示す状況を観察すること。経営者を不正に走らせるような企業環 境を含めた状況観察を監査人に求めている。

・ 内部統制の調査と評定を拡大すること。

・ 不正および不正の発見方法についての情報を作成し広めること。かかる情報を会計事 務所が交換できるような体制づくりも求めている。

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・ 個々の監査技術および監査技法の欠陥に注意すること。伝統的な監査技術の見直しと 新たな監査技術の開発も求めている。

・ 監査契約上の限界を理解すること。限定的な監査契約では、不正の発見はほとんどで きないことを述べている20

(5)企業の会計責任と法

違法行為の発見、防止についての監査人に対する社会の期待は不明であるとし、また 監査人の能力の面からも、この点を監査人の責任として捉えることに必ずしも積極的で ない見解を示している。ただし、「しかしながら、監査の過程で職業専門家としての技量 と注意を行使すれば通常発見できるであろう違法もしくは疑わしい行為については、独 立監査人は発見しなければならない」とする21

(6)監査人の役割の境界とその拡張

基本的には、その能力の範囲内であれば、かかる要求、期待に応えるべきであるとし ている。しかし、「委員会は、監査人が関与する情報は会計および財務的性質をもつ情報 に限定されるべきであると確信する」とし、会計、財務情報以外の情報の監査にまで拡 大して会計専門職が携わることには否定的である。ただし、レビューという形で、中間 財務情報や四半期情報へ監査人が関わることは否定せず、可能であるとしている22

(7)監査人から利用者への伝達

監査期待ギャップを縮小する上で、監査人から利用者へ伝えられるメッセージ、情報 が重要であることはいうまでもない。これは、監査報告書、特に制度監査にあっては標 準化された短文式監査報告書によってなされるわけであるが、コーエン委員会報告書は、

この標準監査報告書がメッセージを伝えるものとしては不十分だとする。そして、30年 にわたり改訂されてこなかった標準監査報告書の改訂を勧告している23

(8)監査人の教育、訓練および能力開発

会計研究者が、会計専門職の教育に必ずしも関心を持っていない現状を指摘し、会計

(専門職)大学院(アカウンティング・スクール)の設置によってこれを解決すること、

公認会計士の資格を持たない会計研究者を、準会員のような形で会計専門職団体に迎え

(18)

ることが勧告されている24

(9)監査人の独立性の維持

この項目は、特に監査人の独立性の維持とコンサルティング業務との関連を述べたも のである。また、監査報酬の決定や、監査人の定期的交替制度についての見解を述べて いる。特に後者については、監査費用の増大と、クライアントとの有効な関係の維持が 困難になるという観点から、これを行うことに否定的見解を示している25

(10)監査基準の設定過程

アメリカでは、監査基準の設定は、会計専門職団体(アメリカ公認会計士協会)によ ってなされてきたが、この監査基準の設定過程について述べたものである。コーエン委 員会報告書は、この点について、現行の監査基準の設定過程には欠陥があり、改善は必 要なものの、会計専門職から監査基準の設定権限を他に移すことには否定的見解を示し ている26

(11)監査実務の品質を維持するための専門職の規制

会計専門職は、基本的に自己規制により監査業務の品質を維持してきた。たとえば連 邦政府がこれに代わって会計専門職を規制するという考え方については、コーエン委員 会報告書はこれに否定的見解を示している。しかし、監査の品質管理を維持するために、

会計事務所のピア・レビューとその改善の必要性は特に強調されている27

第3節 マクドナルド委員会報告書

カナダにおいても、アメリカでの監査期待ギャップ問題の認知を受け、この問題の検 討が行われている。カナダ勅許会計士協会(監査についての一般の期待研究委員会)が 1988年に公表した通称『マクドナルド委員会報告書』では、社会一般の監査に対する期 待について、聞き取り調査などによる現状分析が行われている28

マクドナルド委員会報告書は、期待ギャップをまず基準ギャップと業務ギャップに大 別している。前者はさらに、①(一般大衆の)不合理な期待によるものと、②合理的期

(19)

待に分けられ、また後者は、③現実の業務上の欠落によるものと、④認められはするが 現に重要でない業務上の欠落によるものに分けられるとする。

図 期待ギャップの構成要素

出所:『監査期待ギャップ論』、p.72.

ここで①と②は、現行の監査基準下では監査人の監査業務に含まれていないものによ る期待ギャップである。これら基準ギャップは、基準を拡大することでしか対応できな い期待ギャップであるが、①については、いわば一般大衆が監査に対して持つ過剰期待 の部分ということになる。③は、現行基準にあるものの監査人の監査業務がこれを満た していないために生じる期待ギャップであり、④は監査人が業務上なしているにもかか わらず、一般大衆がこれを認識していないがために生じる期待ギャップである。このた め、②と③は専門職による改善が求められ、①と④はよりよい一般大衆とのコミュニケ ーションがもとめられるとする29

これは監査に対する監査人の責任問題に対して、次のことを示唆する。

(1) まず、合理的基準ギャップの問題に関して、監査のための合理的かつ具体的な 基準・指針の整備・確立が要請されるであろう。コンピレーションやレビュー業 務を内容とする限定保証業務は、無保証と監査保証との中間レベルの保証の提供 を目的とするものであるが、かかる中間レベルの保証概念は利用者にとってきわ

基準ギャップ 業務ギャップ

合理的な期待

不合理な期待 現実の業務上の 欠落

認 め ら れ は す る が 現 に 重 要 で な い業務上の欠落

現在の基準

よりよいコミュニケーションが必要 専門職の改善が必要

(20)

めて不明瞭で誤導しやすく、司法当局も無保証か監査保証かの二者択一的選択を 行う傾向にあり、したがって、限定保証業務をめぐる会計プロフェッションと利 用者側との期待ギャップは一層拡大し、会計士に対する訴訟問題もますます増大 することが予想される。かかる法的環境から会計プロフェッションを擁護し、そ の発展を促進するためには、限定保証によって達成可能な保証の範囲とその限界 とを明瞭化すること、すなわち、会計士の限定保証業務において摘発されるべき 不正・誤謬の範囲と限界とを明示し、そのための具体的手続と会計士の責任範囲 とを鮮明にする合理的な監査基準の確立が特に肝要になるであろう30

(2) 次に、現実の業務上の欠落による業務ギャップの問題に関して、監査において 従来よりも一層高いレベルで実施基準を充足することが要求されるであろう。た

とえば、SSARS1において、会計士の未監査財務諸表のコンピレーションやレビ

ュー業務にあたって、その業界についての全般的知識や顧客の会社の会計システ ムについての個別的知識が求められるようになったのは、その一例である。また、

不正・誤謬等の疑わしき状況における会計士の摘発・報告責任についても、会計 士は単に自らが入手しえた情報の範囲に限定されず、合理的な会計士が同様な状 況のもとで摘発しえたかどうかという合理的会計士の基準が要請されることに なる。さらに、会計士の責任範囲と業務内容を明記した確認書や業務契約書の作 成が過去の訴訟事件の教訓から一層協調されなければならない31

(3) そして最後に、利用者の不合理的な期待ギャップや誤った認識による業務ギャ ップの問題に関しては、一般パブリックや顧客に対する教育・啓蒙活動の必要性 が指摘されよう。限定保証業務という比較的新しい領域においては、利用者の不 当な期待や認識不足に基づく期待ギャップやそれに伴う会計士の訴訟問題が増 大することが予想されよう。かかる不当な期待ギャップの問題を排除するために は、会計プロフェッションは利用者教育を通じて限定保証業務の意義とその限界 について理解を促進しなければならない。併せて、新しく整備された監査基準の 理解と受容のための啓蒙活動も看過されてはならないであろう32

期待ギャップが解消されないままでいると、財務諸表利用者などの利害関係者の監査 に対する期待は満たされず、結果として財務諸表に対する社会的信頼性は失われ、財務 諸表に信頼性を付与するという監査の目的は達成されなくなることになる。したがって、

(21)

期待ギャップを解消することが必要となる。

期待ギャップを解消するには、以下のような2つの方法がある。

第一の方法は、利害関係者に対して財務諸表監査の内容や限界を理解してもらい、利 害関係者の過剰ともいえる監査人への期待の修正を促すことにより、ギャップを解消す る方法である。例えば、監査基準に監査の目的を明記することや、監査報告書の記載事 項を充実させることは、この方法に該当する。

第二の方法は、監査人の役割を充実させ、利害関係者の期待する役割に近づけること で、ギャップを解消する方法である。例えば、継続企業の前提に関する検討を導入する ことは、この方法に該当する。

(22)

第3章 期待ギャップと不正

第1節 不正の分類

監査基準委員会報告書第 35 号「財務諸表の監査における不正への対応」では、不正と は、財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他者を欺 く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為をい う(第 6 項)。不正には、不正な財務報告(いわゆる粉飾)と資産の流用がある(同第 7 号)。また、同委員会報告書では、不正のトライアングルとして、「①動機・プレッシャー、

②機会、③姿勢・正当化」を指摘し、その連鎖を断ち切る不正発見型監査が重視されてい る。

(1)不正な財務報告

不正な財務報告とは、計上すべき金額を計上しないこと又は必要な開示を行わないこと を含む、財務諸表の利用者を欺くために、財務諸表に意図的な虚偽の表示を行うことであ る。不正な財務報告は、次の方法により行われる場合がある。

・財務諸表の基礎となる会計記録や証憑書類の改ざん、偽造または変造 ・取引、会計事象又は重要な情報の財務諸表における不実表示や意図的な除外 ・金額、分類、表示又は開示に関する意図的な会計基準の不適切な適用

(監査基準委員会報告第35号8項より)

(2)資産の流用

資産の流用は、従業員により行われ比較的尐額であることが多い。しかし、資産の流用 を偽装し隠蔽することを比較的容易に実施できる立場にある経営者が関与することもある。

資産の流用は次のような方法により行われる場合がある。

・ 受取金の着服(例えば、掛金集金を流用すること、又は償却済債権の回収金を個人 の銀行口座へ入金させること)

・ 物的資産の窃盗又は知的財産の窃用(例えば、たな卸資産を私用又は販売用に盗む こと、スクラップを再販売用に盗むこと、企業の競争相手と共謀して報酬と引換え に技術的情報を漏らすこと)

(23)

・ 企業が提供を受けてない財貨・サービスに対する支払(例えば、架空の売主に対す る支払、水増しされた価格と引換えに売主から企業の購買担当者に対して支払われ るキックバック、架空の従業員に対する給与支払)

・ 企業の資産を私的に利用すること(例えば、企業の資産を個人又はその関係者の借 入金の担保に供すること)

資産の流用においては、資産の紛失や正当な承認のない担保提供といった事実を隠蔽 するために記録又は証憑書類の偽造を伴うことが多い。(監査基準委員会報告書第35号 第11項より)

会計上の不正は、

① 財務諸表の表示そのものを意図的に歪めることを目的にした行為、

② 財務諸表の表示そのものを意図的に歪めることを目的にしたものではないが、会計 帳簿や会計記録の偽造・改ざんなどを通して、間接的に財務諸表の虚偽表示をもた らす会社財産の横領や流用を内容とする資産の流用、

から構成される33

不正をその実行者と不正の目的との関係で、以下のように細分化すると、財務諸表監査 に関係する不正の位置づけが理解できる。

範疇①;経営者が会社(組織)の利益を図るために遂行した不正

代表例は、市場からの信用の維持を図ることなどを目的に行われる、財務諸表における 企業業績の偽装表示を内容とする不正な財務報告である。この種の不正な財務報告は一般 に粉飾決算と呼ばれている。不正な財務報告の帰責問題は、最初から明確である。当該財 務報告に法的に責任を負っているのは作成者である経営者である。したがって、財務諸表 監査であれ内部統制報告書監査であれ、監査人は不正な財務報告の帰責を解明する必要は なく、帰責は経営者にあるとの前提で、監査に臨めばよいこととなる。これに対して、行 為の監査においては、「帰責は誰にあるか」という問題に多かれ尐なかれ関わることとなる。

この範疇の不正は粉飾決算だけではない。経営者による監督官庁担当者に対する贈賄工 作、談合工作の指揮、あるいは総会屋に対する無償の利益供与など、さまざまである。こ れらの不正は、違法行為(コンプライアンス違反)の問題として扱い、不正概念からは切 り離すこととする34

(24)

範疇②;従業員が会社(組織)の利益を図るために遂行した不正

従業員による贈賄・総会屋に対する無償の利益供与であり、法令違反(コンプライアン ス違反)を内容とする。経営者から指示を受けた粉飾決算への関与も、範疇②の不正に含 まれる。この種の不正は行為の監査において極めて重要なテーマとなる。従業員(上級管 理者)がこの種の不正に関与する場合が多いように思われるが、経営者の指示(社命)に より、この種の不正に関与するのが一般的かもしれない。そのような組織不正の場合には、

範疇①と範疇②を区別する意味は小さくなる。現実には、企業不祥事の多くは範疇①と範 疇②が重なったところで起こっている。そのほとんどは、脆弱なコーポレート・ガバナン スとそれに起因した内部統制の機能不全が原因である。

この種の不正のなかには、業務遂行の過程で生じてしまった損失を取り戻そうとして、

社内規定に違反して同種の業務を行ったものの(会社の利益)、かえって損失の額を大きく し、その結果、発覚を恐れてそれを糊塗するための大掛かりな不正工作(個人の利益)に 発展した事例(大和銀行[1995])もある。このような段階に至ってしまうと、「個人の利 益」(範疇④)の側面が強くなる。財務諸表監査において、仮に公認会計士がこの種の不正 の発見に失敗したとしても、そのことをもって直ちに監査人の責任問題が起こるわけでは ない。これらの問題は、基本的には、内部統制の問題である。ただ重要な点は、この範疇 の不正が財務諸表の重要な虚偽の表示に影響を与えていないかどうかである35

範疇③;経営者が個人利益の追求を図るために行った不正

範疇③の不正は、経営者の資産横領・地位利用による会社財産の私消である。かかる不 正を隠蔽するための手段として会計操作が行われ、その結果、財務諸表の重要な虚偽の表 示にいき着いたという場合もあるので、財務諸表監査においても、監査人はこの領域に対 しても絶えず目を光らせていなければならない。1938 年にアメリカで起こったマッケソ ン・ロビンス事件は、経営者による資産の流用が不正な財務報告に結びついた典型的な例 であるが、財務諸表の重要な虚偽の表示に発展しない限り、この範疇の不正が公認会計士 の責任に発展することはないであろう。

範疇④;従業員が個人利益の追求を図るために行った不正

範疇④の不正は、いわゆる従業員による会社財産の横領・流用である。かかる不正に手 を染めるに至った事情はさまざまである。一般論として、この範疇の不正が財務諸表の重

(25)

要な虚偽の表示に結びつくことはまれであるが、皆無ではない。範疇④の不正は、基本的 には、内部統制の問題(経営者の問題)であるが、内部統制報告書監査が導入されたこと もあり、監査人(公認会計士)もまったく無関心ではいられなくなった。というのは、企 業財産の保全・管理にかかる内部統制に重大な欠陥があったため、従業員による巨額な資 産の流用を許し、かつ、その発覚を恐れて会計記録などの偽造・改ざんがなされ、結果と して財務諸表の重要な虚偽の表示につながった場合には、資産の流用が内部統制問題を通 じて内部統制につながり、同時に重要な虚偽の表示を通じて財務諸表監査ともつながるか らである。

財務諸表監査のもとで監査人が発見すべき不正は、財務諸表の重要な虚偽の表示である。

財務諸表の重要な虚偽の表示は、それが誰によって引き起こされたものであれ、また、い かなる目的でなされたものであれ、監査人がそれを看過し、その結果虚偽証明に至った場 合には、監査人は責任を負わなければならない36

第2節 監査の不正対応

監査基準第二 一般基準4に「監査人は、財務諸表の利用者に対する不正な報告あるい は資産の流用の隠蔽を目的とした重要な虚偽の表示が、財務諸表に含まれる可能性を考慮 しなければならない。また、違法行為が財務諸表に重要な影響を及ぼす場合があることに も留意しなければならない。」と規定されている。財務諸表に重要な影響を与える虚偽の表 示の発見について監査人は合理的な範囲で保証する義務があり、職業的懐疑心を発揮して、

この義務を遂行すべきことを求めている。

さらに監査基準第三 実施基準 一基本原則5に「監査人は、職業的専門家としての懐 疑心をもって、不正及び誤謬により財務諸表に重要な虚偽の表示がもたらされる可能性に 関して評価を行い、その結果を監査計画に反映し、これに基づき監査を実施しなければな らない。」と上記一般基準4の内容を補足している。

現代の財務諸表監査においては、監査リスク・アプローチを前提にして、「重要な虚偽表 示」を検出できるような監査手続を選択・適用し、もって、財務諸表に重要な虚偽の表示 のないことについての意見の表明を支える「合理的な基礎」を確かめるという方向が強く 打ち出されている。重要な虚偽の表示は不正や誤謬によって引き起こされるだけでなく、

(26)

違法行為によって引き起こされる場合もある。したがった、理念的には、「重要な虚偽の表 示のないこと」という立言は、「不正、誤謬または違法行為による重要な虚偽の表示はない」

という意味として理解しなければならない。しかし、財務諸表監査における監査意見は「違 法行為による財務諸表の重要な虚偽の表示はない」という公認会計士の信念を反映したも のと理解すべきであろうか。

財務諸表監査において公認会計士が監査報告書において表明する意見-「財務諸表は会 社の財政状態、経営成績、およびキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において 適正に表示している。」というメッセージ-の意味は、基本的には、

①「当該財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準が要求している会計表 現の水準を満たしている。」

②「当該財務諸表には、不正または誤謬による重要な虚偽の表示はない。」

の2つを含んでいる。

前者の意味は伝統的に識別されてきた監査意見の意味であるが、アメリカ公認会計士協 会の監査基準書は、財務諸表の適正表示の意味として②を識別するとともに、どのような 証拠活動モデルが「不正または誤謬による重要な虚偽の表示はない」との合理的な保証を 監査人に与えることができるかを検討してきた。そして、この答えが現在の監査手続の枠 組みを規定している監査リスク・アプローチにほかならない37

(1) 監査計画段階

① 監査チーム内での討議

監査人は、監査基準委員会報告書第 29 号「企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽 表示のリスクの評価」に記載されているとおり、監査チームにおいて、財務諸表に重要 な虚偽の表示が行われる可能性があるかどうかについて討議する必要がある。この討議 では、不正による重要な虚偽の表示が行われる可能性について、特に重点を 置くことに なる。監査人は、職業的専門家としての判断や企業における過去の経験及び現状認識に 基づいて、討議に参加させる監査チームのメンバーを決定する。通常、討議には、監査 チームの主要メンバーが参加する。この討議により、監査チームのメンバーは、財務諸 表のどこにどのように不正による重要な虚偽の表示が行われる可能性があるのかについ ての知識を共有することが可能となる。(監査基準委員会報告書第 35 号第 28 項)

② 経営者とのコミュニケーション

(27)

監査人は、不正を識別した場合、又は不正が存在する可能性があることを示す情報を 入手した場合、速やかに、適切なレベルの役職者に報告しなければならない。(監査基準 委員会報告書第 35 号第 93 項)

監査人が不正が存在又は存在するかもしれない証拠を入手した場合は、速やかに、適 切なレベルの役職者に注意を喚起することが重要である。これは、例え些細な事項(例 えば、従業員による尐額の使込み)であっても同様である。どのレベルの役職者が適切 かの決定は、職業専門家としての判断事項であり、共謀の可能性、不正の内容や影響の 度合等を考慮する。通常、適切な役職者のレベルは、当該不正に関与していると思われ る者の上位者である。(監査基準委員会報告書第 35 号第 94 項)

③ 監査役等とのコミュニケーション

監査人が例えば以下のような事項について監査役等とのコミュニケーションを行うこ とは、経営者不正による財務諸表の重要な虚偽の表示を発見するのに効果的である。

・ 不正を防止し発見するために構築された内部統制、並びに財務諸表の虚偽の表示の 可能性に対する経営者の評価の手続、その範囲及び頻度についての懸念事項

・ 識別した内部統制の重大な欠陥に対する経営者の不適切な対応

・ 識別した不正に対する経営者の不適切な対応

・ 経営者の能力と誠実性に関する問題を含む、企業の統制環境に関する監査人の評価

・ 不正な財務報告を示唆する経営者の行動(例えば、企業の業績や収益力について財 務諸表の利用者を欺くための利益調整が行われたことを示唆する会計方針の選択及 び適用)

・ 企業の通常の事業活動の範囲を超えるような取引の承認に関する適切性又は網羅性 に関する懸念事項(監査基準委員会報告書第 35 号第 101 項)

(2) 不正及び誤謬による財務諸表の重要な虚偽の表示の可能性の評価

監査人は、内部統制を含む、企業及び企業環境を理解する際に、入手した情報が不正リ スク要因の存在を示しているかどうか検討しなければならない。(監査基準委員会報告書 第 35 号第 48 項)

不正リスク要因は、大まかに次のように分類される。

① 不正な財務報告による虚偽の表示に関する要因

(28)

・ 経営者の個性及び統制環境に対する経営者の影響

・ 業界の動向

・ 事業活動の特性及び財務の安定性

② 資産の流用による虚偽の表示に関する要因

・ 資産の流用の容易性

・ 内部統制(検討の範囲は資産の流用の容易性に関連する不正リスク要因により影響 される)

監査基準委員会報告書第 35 号付録ではさらにこれらの要因を、不正による重要な虚偽の 表示が行われる場合に通常みられる三つの状況、すなわち、不正に関与しようとする「動 機・プレッシャー」、不正を実行する「機会」、及び不正行為に対する「姿勢・正当化」に 分類している。

(3) リスク評価手続

リスク評価手続の一環として、監査人が不正による重要な虚偽表示のリスクの識別のた めの情報を入手するために、以下のような手続を実施する。

・ 経営者や監査役等(必要な場合、その他の企業構成員を含む。)に質問を行い、不正 のリスクの識別と対応について経営者が構築した一連の管理プロセスに対応する監 視、及び不正のリスクを低減するために経営者が構築した内部統制に対する監視を、

取締役及び監査役等がどのように実施しているかを理解する。

・ 不正リスク要因が存在しているかどうか検討する。

・ 分析的手続の実施において識別した通例でない又は予期せぬ関係を検討する。

・ 不正による重要な虚偽表示のリスクの識別に役立つその他の情報を検討する。

(監査基準委員会報告書第 35 号第 33 項)

(4)経営者確認書

監査人は、以下の事項を記載した経営者確認書を入手しなければならない。

・ 不正を防止し発見する内部統制を構築し維持する責任は、経営者にあることを承知 している旨

・ 不正による財務諸表の重要な虚偽の表示の可能性に対する経営者の評価を監査人に 示した旨

(29)

・ 次の者が関与する企業に影響を与える不正又は不正の疑いがある事項に関する情報 が存在する場合、当該情報を監査人に示した旨

①経営者

②内部統制において重要な役割を担っている従業員

③財務諸表に重要な影響を及ぼすような不正に関与している者

・ 従業員、元従業員、投資家、規制当局又はその他の者から入手した財務諸表に影響 する不正の申立て又は不正の疑いに関する情報を監査人に示した旨

(監査基準委員会報告書第 35 号第 90 項)

(5)第三者への報告

監査人は、守秘義務があるため、被監査会社の同意がある場合や法令等の規定に基づく 場合等正当な理由がある場合を除き、発見した不正について第三者に対して報告又は漏ら してはならない。

不正に関して第三者に対する報告が必要な場合には、それが正当な理由に該当するかど うかにつき、適切な法律専門家に助言を求めることが有益である。

(監査基準委員会報告書第 35 号第 102 号)

(6)監査契約の継続の検討

監査人は、不正や不正の疑いにより虚偽の表示が行われた結果として、監査契約の継続 が問題となるような例外的な状況に直面した場合、次の事項を実施しなければならない。

・その状況において必要となる職業倫理上及び法律上の責任を検討すること(企業又は規 制当局等への報告が必要かどうかを含む。)

・監査契約の解除の当否を検討すること

・監査人が監査契約を解除する場合は、

① 監査契約の解除及びその理由に関して、適切なレベルの経営者及び監査役等と討 議すること

② 企業又は規制当局等に、監査契約の解除及びその理由を報告する職業倫理上及び 法律上の必要性について検討すること

(監査基準委員会報告書第 35 号第 103 号)

(30)

第3節 不正発見の姿勢と対応

監査基準は「監査人は、財務諸表の利用者に対する不正な報告あるいは資産の流用の隠 蔽を目的とした重要な虚偽の表示が、財務諸表に含まれる可能性を考慮しなければならな い」とし(同基準第 2「一般基準」4 前段)、「違法行為が財務諸表に重要な影響を及ぼす場 合があることにも留意しなければならない」としている(同基準第 2「一般基準」4 後段)。

その上で、監査基準は「監査人は、監査の実施において不正又は誤謬を発見した場合に は、経営者等に報告して適切な対応を求めるとともに、適宜、監査手続を追加して十分か つ適切な監査証拠を入手し、当該不正等が財務諸表に与える影響を評価しなければならな い」としている(同基準第 3「実施基準」3)。

この点に関し、公認会計士法は、虚偽又は不当のある証明をした場合の懲戒責任を定め ているものの(公認会計士法第 30 条第 1 項及び第 2 項)、監査報告書に至る以前における 不正等を発見した場合の監査人の対応について、法律上の義務を規定しているわけではな い。

しかし、監査人が被監査会社の財務書類に重要な影響を及ぼす不正や違法の事実を発見 した場合であって、監査役等に報告するなど、被監査会社の自主的な是正措置を促す手続 を踏んでもなお改善が図られないときは、監査人が被監査会社との関係において強固な地 位に基づいて適正に監査証明業務を行うことができるように制度的な手当てをすることが 重要であると考えられる。

そこで、2007 年(平成 19 年)公認会計士法改正では、金融商品取引法において新たに 次の規定を設けることとした。

① 公認会計士又は監査法人が、上場会社等の監査証明を行うにあたって、当該上 場会社等における法令に違反する事実その他の財務計算に関する書類の適正性の 確保に影響を及ぼすおそれがある事実(「法令違反等事実」)を発見したときは、

当該法令違反等事実の内容及び当該法令違反等事実に係る法令違反の是正その他 の適切な措置をとるべき旨を、遅滞なく、当該上場会社等に書面で通知しなけれ ばならない(金融商品取引法第 193 条の 3 第 1 項)。

ある事実が「法令違反等事実」に該当するかどうかについては、公認会計士又 は監査法人において、被監査会社の規模、特性、その財務書類の内容等を総合的 に勘案し、当該事実が財務書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実

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Mudambi, Susan 2002, ‖ Branding Importance in Business-to-Business Markets: Three Buyer Clusters, ‖Industrial Marketing Management,‖ 31 6, 525– 533.. Narelle Pittard, Michael

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