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西村, 享平

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ラットの着床および胎盤形成におけるPPARsの発現と 機能に関する研究

西村, 享平

http://hdl.handle.net/2324/1441315

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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氏 名 : 西村 享平

論文題目 : Studies on Functional Expression of Peroxisome Proliferator-Activated Receptors during Implantation and Placentation in Rats

(ラットの着床および胎盤形成における PPARs の発現と機能に関する研究) 区 分 :

論 文 内 容 の 要 旨

ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPARs)はほとんどの脊椎動物において発現しており,

核ホルモン受容体スーパーファミリーに属するリガンド誘導性転写因子である.PPAR,およ びの3つのアイソタイプが存在し,炭化水素,脂質およびタンパク質などの細胞内代謝と細胞の分 化に密接に関与していることが知られている.卵巣,子宮および胎盤などの雌の生殖器系組織にお ける研究が行われており,PPARsが機能的に発現していることが明らかとなっているが,着床期か ら胎盤形成初期の子宮内膜における PPARs の機能については不明である.本研究では,妊娠初期

における PPARs の発現プロファイルを明らかにするとともに,その機能について調べることを目

的とした.

第二章では,妊娠0.5~6.5日のラット子宮におけるPPARsの発現をリアルタイムRT-PCRおよ び免疫組織化学的検索により調べた.リアルタイム RT-PCR の結果,PPARおよびPPARの発 現 は 妊 娠 期 を 通 じ て 変 化 が 認 め ら れ な か っ た が , 免 疫 組 織 化 学 的 検 索 で は 着 床 期 で あ る 妊 娠 4.5~6.5日にかけて子宮内膜間質細胞にPPARおよびPPARタンパクの強い発現が認められた.

卵巣除去手術を施した着床遅延ラットを用いた解析では,着床遅延中は PPARおよび PPARタ ンパクの発現は見られず,E2による着床誘導後にPPARタンパクに次いでPPARタンパクの発 現が認められた.さらに子宮内膜間質細胞のin vitro脱落膜化誘導系を用いた解析により,脱落膜 化誘導後に PPARに次いで PPARの発現が認められた.これらの結果から,胚の着床により PPARの発現が誘導され,次いで脱落膜化の開始により PPARの発現が誘導されることが示唆 された.PPARは,リアルタイムRT-PCRおよび免疫組織化学の結果ともに妊娠0.5および1.5 に強い発現が認められ,妊娠2.5日以降は低下した.このことから,PPARは交尾刺激により発現 が上昇する事が示唆され,着床前に発現が減少することが示された.

第三章では、着床および脱落膜化時に発現が認められたPPARおよびについて,in vitro 落膜化誘導系を用いた機能解析を行った。PPARおよびのそれぞれのアゴニストまたは siRNA を用い、プロスタグランジン(PG)産生への影響をELISA法によって解析した.その結果、PPAR

アゴニストによりPGE2産生は増加し,PPAR siRNAによりPGE2産生は減少した.リアルタイ RT-PCRによりアラキドン酸からPGH2への代謝を制御するシクロオキシゲナーゼ(COX-2)お よびPGH2から PGE2への代謝を制御するプロスタグランジンE 合成酵素(PGES)の発現を調べ たところ,PPARアゴニストによりCOX-2の発現増加が認められ,PPAR siRNAによりCOX-2 およびPGESの発現減少が認められた.PPARのアゴニストおよびsiRNAによるPGE2産生への 影響は認められず,またPGF2産生への影響は全ての実験区で変動が認められなかった.これらの 結果から,脱落膜化におけるPGE2産生はPPARによる制御を受けていることが示唆された.

第四章では、前章までの結果から脱落膜化において PPARが重要な役割を持つことが明らか になったため,PPARアゴニストを妊娠ラットに投与した際の妊娠機能に関わる影響を調べた.

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ラットの妊娠6~17日にPPARアゴニスト100mg/kgを毎日回強制経口投与したところ,着床 後死亡率の増加,生存胎仔数の減少,胎仔体重の減少,胎盤重量の増加が認められ,胎盤には高頻 度で水腫が形成された.次に,妊娠 7~日の期間に PPARアゴニストを単回投与したところ,

妊娠8~11日の投与で胎盤異常が誘発され,妊娠10日目に強い影響が認められた.さらに妊娠10 日目にPPARアゴニスト275mg/kgを単回投与し,投与後の胎盤の継時的な形態変化を病理組織 学的検索により調べたところ,妊娠 15 日目以降の胎盤基底層においてグリコーゲン細胞の細胞溶 解を伴う嚢胞性の変性が認められた.以上の結果から,妊娠期におけるPPARアゴニストの投与 は胎盤形成および胎子発生・発育に甚大な影響を及ぼすこと,またその影響は初期胎盤形成期に強 く,胎盤基底層の変性がその主な要因であることが明らかとなった.

以上の結果から,ラット妊娠初期子宮における PPARsの発現プロファイル,着床および脱落膜 化におけるPPARのPGE2産生制御機構が明らかとなった.また,PPARアゴニストの投与は 胎盤形成および胎子発生・発育を阻害することが明らかとなった.これらの研究成果は,着床・胎 盤形成機構解明の一助になり,ヒトおよび動物における妊娠障害の改善に貢献すると考えられる.

参照

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