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山下, 友子

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

日本語圏の乳幼児の音声の音響的特徴と時間構造 : 英語圏の乳幼児との比較

山下, 友子

https://doi.org/10.15017/1398382

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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(様式3)

氏 名 :山下 友子

論文題名 :日本語圏の乳幼児の音声の音響的特徴と時間構造:英語圏の乳幼児との 比較

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

本研究では,日本語もしくは英語を母語とする月齢 3 ヶ月から 24 ヶ月の乳幼児の音声の音響的 特徴および音声の時間構造を調べる。それらが,音声生成に関わる器官の発達と共にどのように変 化するのか,また乳幼児の属する言語共同体にどのように影響を受けるのか,音響的測定方法を用 いて調べることによって,音声生成の発達に関する知見を得ることが,本研究の目 的である。

第1章では,本論文の背景として,乳幼児の調音器官の発達,乳幼児音声の発達,乳幼児音声の 時間構造に関する先行研究を紹介した。 第2章では,まず,成人日本語母語話者と成人英語母語 話者との音声を,Ueda et al.(2010)の先行研究と同様に,臨界帯域フィルター群に通し,出力パ ワーの時間的な変化に対して因子分析を行い,成人音声の音響的特徴を調べた。その結果,両言語 圏において,中帯域の因子,二峰性のある因子,高周波数帯域に関連のある因子が得られた。日本 語と英語の間には言語上の違いが存在するにも関わらず,非常に似通った分析結果が得られた。次 に,因子分析で取り出した因子得点の自己相関関数を算出し,成人音声の時間構造を調べた。その 結果,中帯域の因子の自己相関関数の最初のピークの時間位置は,成人日本語母語話者の音声では,

0.27 s,成人英語母語話者の音声では,0.48 sであり,有意差が認められた。日本語と英語とでは,

時間周期性が異なることが,分析結果として得られたことになる。続く,第3章では,月齢 3, 8, 15,

20, 24ヶ月の日本語圏の乳幼児の音声に対して聴きとりによる観測を行なった。その結 果,月齢15

ヶ月から24ヶ月では,全体の約60% 以上の音声は,音節を持っていることが明らかになった。第 4章では,日本語圏の乳幼児(月齢3ヶ月から24ヶ月)および英語圏の乳幼児(月齢 15ヶ月から 24ヶ月)の音声について,成人音声の音響的分析方法と同様に,臨界帯域フィルター群に通し,出 力パワーの変化に対して因子分析を行った。その結果,日本語圏の乳幼児および英語圏の乳幼児,

どの月齢においても,1600 Hz 付近にまとまりのあるピークをもった因子が得られた。月齢24ヶ 月では,両言語圏において,成人音声と類似する 3つの因子を抽出し,4帯域に音声の帯域を分割 できることが明らかになった。日本語圏および英語圏の乳幼児の音声について,月齢 24 ヶ月にお いて得られた3因子の境界周波数は,平均すれば,成人音声の境界周波数の値に比べて日本語圏で は,1.68 倍,英語圏では 1.83 倍であった。このことは,月齢 24 ヶ月の乳幼児と成人は,基本的 には,同じように調音器官を有しかつ利用しているが,調音器官の大きさが異なることを示唆する。

つまり,周波数が,日本語圏の乳幼児音声で約1.7分の1倍および英語圏の乳幼児音声で約1.8分 の1倍であれば,乳幼児の調音器官の大きさは,日本語圏の乳幼児では,約 60%,英語圏の乳幼児

では,約55%であると考えればよい。これは実際に,核磁気共鳴画像法を用いて,乳幼児の声道を

観察した,Vorperian et al.(2005)の研究で,声道を構成する各部位は,月齢18ヶ月までに長さ の次元で成人の声道の対応する部位の約 55% から 80% にまで成長することに対応する。第5章 では,月齢15ヶ月から24ヶ月の日本語圏および英語圏の乳幼児の音声の時間構造について調べた。

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時間的な周期を探るために,因子分析により求められた因子得点の自己相関関数を算出した。その 結果,月齢が上がると共に,時間周期は短くなり,0.4 s 以下に収まる発話が増えることが明らか になった。この傾向は日本語圏の乳幼児に,顕著に見られた。第6章では,月齢が上がるとともに,

乳幼児の調音器官の発達やコントロールの仕方が,どのように日本語圏および英語圏の乳幼児の音 声のスペクトル変動に影響したか考察した。また,日本語圏および英語圏の乳幼児の音声の時間周 期性の発達的変化と言語環境の影響についても考察した。第7章では,本論文の結論を述べた。

本研究では,日本語もしくは英語を母語とする月齢 3 ヶ月から24 ヶ月の乳幼児の音声の音響的 特徴および音声の時間構造を調べた。日本語圏と英語圏との乳幼児の音声を臨界帯域フィルターに 通して因子分析を行った結果,月齢 24 ヶ月までに,両言語圏の乳幼児の音声において,成人音声 と類似する 3因子が出現したことが明らかになった。月齢24 ヶ月において得られた 3因子の境界 周波数は,成人音声の境界周波数の値よりも高かった。このことは,月齢 24 ヶ月の乳幼児と成人 は,基本的には,同じように調音器官を有しかつ利用しているが,調音器官の大きさが異なること を示唆した。また,音声の時間構造に関しては,月齢が上がると共に,時間周期は短くなり,0.4 s 以下に収まる発話が増えることが明らかになった。

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