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研究分担者

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Academic year: 2021

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A.研究目的

先行研究において、我々はHIV感染症/エイズ及び 梅毒(以下、エイズ等)の検査利用機会拡大と疾 病の早期発見・早期治療を促進するモデル事業を 受託した愛知県から委託され、郵送検査キット利 用と適切な企業選択により「職場におけるエイズ 問題に関するガイドライン(以下ガイドライン)」

を遵守しつつ従業員に不利益なく検査機会の提 供を目的とした。

B.研究方法

愛知県の事業を名古屋医療センターが受託して 実施した。ガイドラインを遵守して行った。対象 は雇用保障、プライバシー管理及び健康支援のポ リシーを保証する企業及びその正規従業員とし た。検査機会提供に先立ってエイズ等の疾病知識 の普及啓発の取組みを行うことを必須の条件と し、エイズ等検査機会は郵送検査キットによって 提供した。検診はA〜Cの3つのパターンを基本と し参加企業毎にカスタマイズして実施した。

A)健診期間外に全従業員に説明会を実施し、全員 に郵送検査キットを配布

B)健診期間内に全従業員に対し説明会を実施し、

検査希望者のみに郵送検査キットを提供(個人端 末からweb申込)。

C)健診期間内外に社内の希望者に対し説明会を 開催し全員に郵送検査キットを配布

郵送検査キットの有効利用のため、原則プランB またはCで実施することを参加企業に依頼した。

対象者総数をプランA及びBの場合は公表されて いる全従業員者数、プランCの場合は説明会参加

者数とし、郵送検査キット配布数及びキット利用 者数を調査する。受検者には先行研究で行ったア ンケート調査を実施した。

説明会前と検査機会提供終了時に、平成30年1月 に総務省で実施された「HIV感染症・エイズに関 する世論調査」と比較できる形で啓発効果の検証 を行った。また、検査機会提供終了時に受検の有 無及び受検理由の調査も併せて実施した。

C.研究結果

実施期間は令和2年9月1日から令和3年3月 31日まで行った。実施時間は研究依頼施設の勤務時 間内(概ね9時から17時)であった。

合計1100人に検査実施について説明し、509人よ り受検の申し込みがあった。その内実際に自己採血 を行って検査キットを返送したのは307人(キット

使用率:60.3%)であった。検査結果確認時に結果確

認サイト上でアンケート調査を行った。有効回答数 は246人(80.1%)であった。回答者の性別と年代は 表1の通りである。表2には同居者の有無を記載し た。およそ67.1%に同居者がいることが分かった。

HIV・梅毒共に陽性者は認められなかった。それゆ

え、検査陽性者に対するフォローアップのための電 話相談・面談、医療機関受診を促す文書の発行及び 受診結果確認の追跡調査は行われなかった。

結果確認は307件の返送数に対し、研究終了日の 令和3年3月31日時点で246人(80.1%)の検査結果確 認があった。

表1:受検者の内訳(アンケート回答分:246人) 令和2年度厚生労働厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)

分担研究報告書

職域での健診機会を利用した検査機会拡大のための 新たな HIV 検査体制の構築に向けた研究

研究分担者 今橋 真弓

名古屋医療センター臨床研究センター感染・免疫研究部 感染症研究室長

研究要旨

企業で働く従業員に不利益なく HIV・梅毒検査(以下エイズ等検査)を提供することを 目的として本研究は行われた。検査機会提供に先立ってエイズ等の疾病知識の普及啓発の 取組みを行うことを必須の条件とし、エイズ等検査機会は郵送検査キットによって提供し た。4企業でエイズ等検査機会の提供を行い、合計1100人に検査実施について説明し、509 人より受検の申し込みがあった。その内実際に自己採血を行って検査キットを返送したの は307人(キット使用率:60.3%)であった。HIV・梅毒ともに陽性者はいなかった。246 人が結果告知サイトでのアンケートに回答した。年代は20~40歳代が多く、男性が59%を 占めた。受検者の30%が本プログラム利用が初めてで、69%が本プログラム以外でのHIV 検査経験がないと回答した。27.6%が保健所でHIV検査が無料で受検できることに「知ら なかった」と回答した。以上より、今後はキットを請求したにも関わらず使用しなかった従 業員を対象に使用しなかった理由を聴取することがより参加率の高い検査体制構築に寄与 するだろう。また検査体制を構築すると並行して、検査機会の周知が検査率上昇に重要で あることが示唆された。

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(性別その他・50代:1人) 単位:人 性

受検者の年齢構成

10代 20代 30代 40代 50代 60代 計 男

性 0 16 47 61 29 2 155 女

性 0 22 25 39 3 1 90 表2:同居者の有無

同居, n(%)(複数回答)

ひとり暮らし 81 (32.9)

夫・妻 129 (52.4)

パートナー・恋人 13 (5.3)

友人 0 (0)

子 89 (36.2)

父母 15 (6.1)

祖父母 1 (0.4)

兄弟 4 (1.6)

その他 4 (1.6)

各受検者の検査経験についてはおよそ30%の受検 者が前にも本プログラムを利用してHIV検査を行 ったことがあると回答した。本プログラム以外で のHIV検査歴の有無については68.3%の受検者が

「いいえ」と答えた。また本プログラム以外でも 検査歴のある受検者については43%が「3年以上前」

と回答していた。金額の問題を除外して、会社の 健診でHIV検査を実施してほしいと「思う」または

「やや思う」と答えたのは73%であった。(図1)

図1:検査に関する質問

結果告知サイト上ではHIVに関する知識について アンケート調査を行った。以下の18問の事項はい ずれも科学的に正しいものである。これらの事項 について「知らなかった」と回答した割合を表し た。(表4)

表4:HIVの知識に関する質問

「感染している人とキスをしても感染しない」

「HIVは蚊によってうつされることはない」「保 健所では無料でHIV検査が受けられる」以上3事項 は25%以上の受検者が「知らなかった」と回答し た。

自由記載では下記のような意見が寄せられた。

1HIVは、感染している人と握手をしても感染しない 0

2HIVは、感染している人と話をしても感染しない 2.4

3HIVは、感染している人と一緒に仕事をしても感染しない 2

4HIVは、感染している人と食器を共用しても感染しない 8.1

5HIVは、感染している人とキスをしても感染しない 29.3

6HIVは、感染している人と一緒に温泉などに入浴しても感染しない 13.8 7HIVは、感染している人と無防備に性行為を行った場合、感染することがある 1.2 8HIVは、感染している人とカミソリやピアス、注射器などを共用した場合に感染することがある 2.4 9HIVは、感染している人の血液や精液、膣分泌液に触れることで感染する 2 10HIVは、性行為の際にコンドームを使用すれば感染の可能性を低くできる 2 11HIVは、適切に治療することにより他の人への感染を予防することができる 2.4

12HIVは、蚊によってうつされることはない 27.6

13HIVは、血液検査によって感染しているかどうかがわかる 2

14保健所では無料でHIV検査が受けられる 27.6

15HIVには現在、感染予防のためのワクチンがない 8.9

16健診などで異常がなくても、HIVに感染していることがある 12.2 17特に自覚症状がなくても、HIVに感染していることがある 7.3

18健康そうに見えても、HIVに感染していることがある 6.5

はい, 74, いいえ, 30%

168, 68%

これまでにあなたは本プログラム(本研究)を利 用したことがありますか。

はい いいえ 答えたくない

はい, 67, 27%

いいえ, 168, 69%

わからない, 8, 3%

あなたは本プログラム(本研究)以外でHIVの血 液検査を1度でも受けたことがありますか。

はい いいえ わからない 答えたくない

1年以内, 11, 16%

1~3年以…

3年以上前, 29, 43%

あなたが本プログラム(本研究)以外でHIVの血 液検査を直近で受けたのはいつ頃ですか。(前問 で「はい」と回答した人のみお答えください。)

1年以内 1~3年以内 3年以上前 わからない

思う, 113, 46%

やや思う, 67, 27%

あまり思わない, 30, 12%

思わない, 18, 8%

会社の健診時にHIVの血液検査を実施してほしい

(費用の負担は考慮しないでお答えください。)

思う やや思う あまり思わない

思わない わからない

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(3)

 HIVの検査を是非健康診断の血液検査の項目 の一つと捉えて1回の採血で実施できるよう にして欲しいです(血が苦手なので、簡単で も血を出すのは抵抗があります)。コントロ ールできる疾患になっているのにそれを知 らずに触れてはいけないものとしていて、治 療が遅れるのはもったいないです。このプロ ジェクトが成功し、何かを変えることができ れば良いと思い、応援しています。がんばっ てください!!

 政府や厚労省には、誰もが簡単にかつ人の目 を気にせず検査が受けられる環境を作って 欲しい。

 なし

 研究に協力できて良かったです。

 アンケートで知識構築できるシステムはい いですね。

 血液検査だけで結果が出るので、健康診断に 入っていても良いと感じる。どんな病気でも 早期発見は大切。5年以上前にカナダで受け たきりだったので今回参加させて頂けて良 かったです。ありがとうございました。

 広く広めていただきたい

 推進ありがとうございます。

 アンケートの項目が多すぎる

 検査をもっと普及してほしい

 自宅で採血することに少し抵抗を感じたが、

実際にやってみたら意外にも簡単で、その手 軽さと検査の重要性から、HIV感染の疑いが ある人にも無い人にも、ぜひ受けてもらいた いと感じた。

 HIVの関心を高めるいい機会になりました。

ありがとうございました。

 PREPの承認を早く適用してほしい

 HIVについて知っているつもりでも、十分な

知識ではなかったなと思いました。検診も進 んで受ける機会はあまり無いので、良い機会 になりました。

 もっと検査を受ける人が増えるといいと思 います

 今回初めて受けましたが、思った以上に簡単 な検査でした。また機会がありましたから受 けてみたいと感じています。

 検査を健診の際にオプションで選択でき、か つオプション検査の結果は会社や健保組合 が知ることはないと保証されていることが 重要だと思います

 無料か低額での郵送検査を拡充してほしい。

平日に保健所行くほど暇じゃないし、週末の 繁華街でイベント的にやる検査に行くほど 心臓に毛も生えていません。

D.考察

就労者を対象に行った研究のため、受検者は20 歳代~40歳代が多数を占めた。キット使用率が 60.3%と低く、今後はキットを請求したにも関わら ず使用しなかった従業員を対象に使用しなかった 理由を聴取することがより参加率の高い検査体制 構築に寄与するだろう。「本プログラム以外で検査 を受けたことがない」と回答した受検者が69%であ ったことから、未受検者への機会提供という点で、

本研究は一定の役割を果たしたと考えられる。

27.6%の受検者が保健所でHIV検査が無料で受検で きるということを「知らなかった」と回答した。HIV 検査率の低下を改善するには、検査機会の提供と 同様に検査の存在を周知徹底させることが必要で ある。

E.結論

企業の従業員を対象に郵送検査キットによる HIV・梅毒検査を行った。今後は検査をしなかった 原因の究明を含め、検査体制構築と同様に検査機 会の周知が検査率上昇に重要であることが示唆さ れた。

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1. 論文発表

なし

2. 学会発表 なし

H.知的財産権の出願・登録状況 (予定を含む。)

1. 特許取得 なし

2. 実用新案登録 なし

3.その他 なし

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参照

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