石油収入に依存するサウジアラビアの経済は原油価格に大幅に左右され る。政府は脱石油依存を目指す中で、外資誘致を積極的に促進しようと している。一定条件下での小売・流通・輸入分野の外資100% による 投資の認可や外国人や外国企業への株式市場の開放等を通じ、外資の 呼び込みや雇用拡大を目指すのは、その一環である。石油収入の減少に より経済成長率は2015年4.1% が2016年度には1.4% に低下した が、政府の経済政策により2021年には2% ~2.5% のペースに向かう 見通しである。 2016年の GDP に占める民間最終消費支出額は各目値で40% ほどで ある。
消費市場
Consumer Market
6,130 億リヤル
83,021 リヤル
3,100,900
人 リヤドの GDP(2014年) リヤドの就業人口(2014年) 一人当たりの GDP(2014年) 2014年 産業別就業者構成割合 : リヤド Local/Non-Market: 24.5% 公的サービス(教育、医療、政府等) Manufacturing: 17.7% 製造 Business/Finance: 15.7% ビジネス・金融 Commodities: 14.8 農業、石油採掘を含む鉱業 Transportation: 8.8% 交通 Construction: 8.8% 建設Trade and Tourism: 7.3% 商業・観光 24.5% 17.7% 15.7% 14.8% 8.8% 8.8% 7.3% 2.5%
生産年齢人口及び可処分所得の増加 原油価格下落による経済成長率の低下とは相反して、消費市場の見通し は明るい。その理由に生産年齢人口 ( 15歳~64歳 ) の増加が挙げら れる。今後毎年2% の人口増加が見込まれ、2025年までに全人口が、 4000万人に達すると予想される。そのなかでも消費増加につながる 生産年齢人口比率が2017年には68% が見込まれ、すでにリヤドでは 2016年に 73% と高い比率である。 生産年齢人口の増加と共に可処分所得の増加も消費市場に影響を与え る。サウジアラビア全体の可処分所得は2011年の6740億リヤルから、 2015年には 1 兆620億リヤルで約58% の増加。 リヤド市の 1 世帯当たりの月額所得は2013年に13, 610リヤルで 2007年と比べて約 3% 減少した。国内の他都市と比較すると 1 人 当たりの月額所得はアル・バハ、東部州に続き、3番目である。 ・ 450,000 リヤル:サウジアラビア人口10%にあたる高所得層の 平均世帯可処分所得/年 ・ 85,263 リヤル:CEO 及び取締役の平均月収(2014年)
参考: JETRO • Bloomberg 11/Aug/2016 • Oxford Business Group 26/Oct/2016
Demographic Survey, General Authority for Statistics, Economist Intelligence Unit, Euromonitor International “Riyadh City Review 2016”
Oxford Business Group “The Report, Saudi Arabia 2015”
Colliers International “KSA retail market offers plenty of opportunities 2016”
近年、サウジアラビアの小売業界は急速に変化を遂げている。従来は バカラと呼ばれる食品と日用品を取りそろえた小売店が街中にあり、 消費者はまずここで日常の生活用品を購入し、その他の商品を購入する 際には取扱商品が同じ小売店が集まっているスーク(市場:野菜スーク、 魚スーク、家電スーク、ドレススーク、玩具スークなど)に行っていた。 しかし最近では国際的ブランドも入った豪華な外観のショッピング モール、娯楽施設や総合スーパーなどが建ち並び、消費者の行動パターン に変化が見られると共に、街の景観が一変した。
リヤドの
小売業
Retail Industry
in Riyadh
参考:JETRO「年次レポート世界貿易投資報告」20167000 単位:億SAR 6000 5000 4000 3000 2000 1000 000 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
出典:Retailing Euromonitor from Trade Sources/National Statistics 2015
サウジアラビアにおける小売業売上推移
サウジアラビア全体の小売業の売上げは2010年に約1680億 リヤルであったが、2015年には約3020億リヤルとなり、 年平均 12.4%の伸び率が見られた。2020年には約5900億 リヤルと予想され、今後も成長が見込まれている。
リヤドでは従来のショッピングセンターから、大型複合施設に移行している。また、 可処分所得が他都市に比べ高いことから、高級ブランドがリヤドに進出し、小売業 の高級化も進む。 リヤド市の商業施設の総面積は約150万平米で、2019年までに225万平米に 達すると予測されている。現在の商業施設のうちの 85%が、平均面積が4万平米 のリージョナルモール※1と平均面積 8 万 8000 平米のスーパーリージョナルモール ※2で構成される。現在建設中のショッピングモールの平均面積は7万8000平米 であり、ショッピングモールの大型化は続く予定。 ※1:リージョナルモール 大型総合スーパー等を核テナントとして、50店以上の専門店を有する広域商圏型ショッピングセンター。車で24- 30以内の商圏規模と、商圏人口15-20万人ほどを対象としている。幅広い業種とテナントが揃った1日中滞在で きる「時間消費型」の商業施設。 ※2:スーパーリージョナルモール リージョナルモールよりも2-3倍の総敷地面積をもち、総合スーパー以外に高級専門店や百貨店の4~6核で構成 され、150店以上の専門店を有する。商圏規模や商圏人口はリージョナルモールと同じ。 ※3:コミュニティー型ショッピングセンター 商品を総合的に品揃えしている店舗、 ディスカウントストア又は大型食品スーパー等を核テナントとし、 20 ~ 50 店 程度の専門店を有する中型規模のショッピングセンタ ー。車で 20 分以 内の 10 万人程度が商圏人口。 リヤドにおける商業施設の比率
出典:KPMG Research and Analysis Q1-2016 参考:KPMG, “Riyadh Market Overview” June 2016
コミュニティー型ショッピングセンター※3 リージョナルモール スーパーリージョナルモール 16% 42% 42%
Al Urub ah Rd. Alid Rd. King S aud Rd . Mekk ah Al Muka rrama h Rd. Khura is Rd. Al Dl wan St. Prince Ahm ed Bin A bdula Olaya S t. Olaya St. K in g F ahd Rd. Abl B ak r As Sidd iq Rd. Khali d Ibn Al W ali d St. Iman Sa ud Bin Abdulaz iz Bin Moh ammed R d. King Abd ullah Rd . Prin ce Turk l Ibn Abdula ziz Al A ww al Rd. 日本大使館 65 40 40 65 535 Kin g K ha lid R d. Makka h Al Muka rrama h Rd. Makkah Al Mukarramah Rd. Ea stern Ri ng R d. Norther n Ring R d. Damman Rd. Airp ort R d. Al K ha rj Rd. 500 マスマク・ フォートレス 国立博物館 3 2 4 539 537 522 550 1 8 5 7 6 1 2 4 3 5 主要商業施設及び地域開発 地図 開業済みの主要商業施設 総合賃貸面積 ( 平米) 概要 1 The Boulevard 20,000 店舗・レストラン、ホテル、ジム・スパのほかオフィススペースを併設する屋外型モール。 2 Al Hamra Mall 78,000 2 階建てのモールにはフードコートの他に欧米系のファッション ブランドを中心に189店舗が入居。 地図 開業予定の主要商業施設 総合賃貸面積 ( 平米) 概要 3 Al Khaleej Mall 43,028 靴・バッグ・アパレルの女性用著名ブランドや子ども服店舗に加え、独自ブランドの店舗を展開。飲食も充実し、ファーストフード、レ ストランなど 207 店を有する。ハイパーマーケットが併設している。 4 Cordoba Boulevard 79,000 ショッピングモールとタワーホテルが併設する複合施設。モール にはハイパーマーケット、スパやスイミングプール等のレクリエー ション、ビジネスセンターなど、多種多様な店舗展開。駐車台数 2,500台。 5 Riyadh Park 92,000 ハイパーマーケット、エンターテイメント施設、フードコート、 レストランで構成される複合施設。 Jardin Mall が併設される。店舗数180店、レストラン・カフェ 22店を予定。駐車台数3,500台
6 Al Diriyah Festival City Mall 250,000 ショッピングモールと500室のホテルで構成される複合施設。 テーマパークの建設も検討されてはいるが、未だ構想段階。
地図 主要な地域開発 面積(平米) 概要
7 ITCC 1,000,000 公共年金機構が建設する商業・住居の複合施設。
8 The King Abdullah Financial District (KAFD) 88,000
金融ハブ建設構想のもと、2006年に着工したが、建設が予定 通りに進まず、2016年のサウジ・ビジョン2030の発表の際に、 同地区を規制・手続きの緩和、ビザ免除、キング・ハーリド (リヤド)国際空港への直接アクセス等の優位性を持つ特区に 生まれ変わらせるとして、その計画は見直しされることとなった。
複合商業施設および地域開発
Mixed-Use and Regional Development
1
Kingdom Tower
オラヤ地区 2002年にオープン。302メートルのタワーがリヤドのランドマーク的存在になっている。延べ床面積は18万5000平米で、 高級ホテルやサービスアパートメントも入居し、中流の上クラスから上流階級が顧客層である。 グランドフロアー・プラザ・1階・2階とわかれているフロア内には約160の店舗が入居する。2 階の女性専門フロアーはアバ ヤショップ、アクセサリー、ボディケアー商品や化粧品、衣料の他、スパなど40店舗が入居し、外出時や家族以外の男性の前 で女性が着用する、全身を覆うアバヤ姿の女性が周りを気にする事なくショッピングを楽しんでいる。フードコートではインド、 中国、イタリア、日本等の各国の料理が提供され、各種フードチェーングループやフランスの有名グルメカフェも入居。最上階 の99階には、街のメインストリート、キングファハド・ロードを中心とした市内を見渡せる有料展望室がある。 2Al Faisaliah Mall
オラヤ地区 2000年にリヤドのランドマークとしてオープンした267メートルのタワー、キングダムタワーが一望できる屋外デッキと高級 ホテルに付随するモール。高級ブランド店や英国系高級デパートが入居している。 3Granada Center
グラナダ地区 約47万平米の敷地内に建つ14万平米の2階建モール。人気のあるバラエティーにとんだ235店舗が入居する。有名ファスト ファッションアパレル、フランス系スーパーマーケット、イギリス系百貨店2店、多種多様なファーストフードチェーン店が入居。 中流階級の家族連れが多く訪れる。 4Panorama Mall
ノース マーサー地区 2008年オープン。スーパーマーケットより広い売場面積を持つハイパーマーケットや、英国系の百貨店、有名玩具店、 ファストファッション等が入居する。多数のファーストフードチェーンの他に、高級レストランやカフェもありバラエティに富んで いる。リヤドで一番広い子供向けの遊戯施設(7, 325平米)では、ゲームや遊具が揃う。上階のレディスフロアでは子供向け のバレエ教室なども開催されている。中流階級の家族連れに人気。 5Al Nakheel Mall
アル マグリザ地区 国内外でホテルやモール、会議場、多目的ホール、娯楽施設等を経営している大手 Al Hokhair グループのモールの一つ。 98, 000平米のモールには子供向け遊戯施設、多様なブランド店等、200店舗が入居。フードコートでは、主要ファースト フードチェーンに加え、世界各国の食事が楽しめる。 出典:各施設のウェブサイトの情報を編集リヤドのショッピングモール
Shopping Malls
現在、サウジアラビアでは観光目的のみのビザは存在せず、「巡礼」に 対してのビザが発給されている。ヒジュラ歴の第12月(ズルヒッジャ)の 8日目から始まり、13日目に終わる5日間の巡礼の儀礼は「ハッジ」 (大巡礼)と呼ばれ、イスラム教五行の一つで義務とされている。この期 間以外に巡礼を行う巡礼は「ウムラ」(小巡礼)と呼ばれ、五行の中には 入らない。外国からの巡礼者にむけてのビザは、各国のイスラム教徒に対 して巡礼人数枠が割り当てられており、サウジアラビア政府公認の巡礼ツ アーオペレーターを通して日程が組まれる。国外からの巡礼者のほとんど はジッダのキング・アブドゥルアジーズ国際空港の巡礼者専用ターミナルに 到着後、メッカやメディナと限定された都市への移動のみ許可されている。 2016年のハッジの巡礼者は186万人ほどであった。一方、ウムラ巡礼 者では約1, 200万人で、2016年1月の時点で、218万人にビザが 発給された。巡礼ビザは2020年までに年間1, 500万人への発行を 見込んでいる。
出典:Al Arabiya, 「Saudi Arabia says Hajj 2016 receives 1.8 million pilgrims」2016 年 9 月 12 日
出典:サウジアラビア統計局「Hajj Statistics」2016
宗教観光
Religious Tourism
2016年ハッジ巡礼者 2016年ハッジ巡礼者 外国人内訳 91% 9% 外国人 91% 1,692,417人 サウジアラビア国民 9% 170,492 人 国名 割合 (%) 1 エジプト 39.2 2 パキスタン 16.3 3 インド 9.4 4 イエメン 7.6 5 スーダン 4.6 6 バングラデッシュ 3.8 7 ヨルダン 3.6 8 シリア 2.1 9 インドネシア 2.0 10 フィリピン 1.8 11 アメリカ 0.8 12 その他 8.8 1 2 3 4 5 67 12 8 9 10 11海外からは、航空・宿泊・食事等がパッケージ化されたツアーで訪れる巡礼者が 多く、ツアー費用は一人当たり約22, 500 ~ 37, 500リヤルである。また、 ハッジ期間中には小売業の売上げが12~20%増加。2014年のハッジ期間中 5日間の平均消費額は、海外からの巡礼者が平均17, 250リヤル、国内の巡礼者 は平均4, 875リヤルであった。国内外からの巡礼者により、337. 5億リヤルの 経済効果をもたらしている。 メッカ、メディナ、ジッダでは大型モール建設や今後増加する巡礼者を見越した インフラ整備が行われている。メッカのグランドモスクに隣接する政府所有の Abraj Al Bait Complex は代表的な複合施設であり、7棟の超高層ビル郡は、 ホテル、4000の店舗数を誇る5階建てショッピングモールなどで構成されている。 2016年4月に発表されたビジョン2030において、石油依存型経済からの脱却 を目指す政策の一環として観光産業を視野にいれ、イスラム教徒の巡礼後の観光を 促そうとしている。
参考:Al Arabiya, 「Saudi Arabia says Hajj 2016 receives 1.8 million pilgrims」2016 年 9 月 12 日 Al Arabiya, 「$8.5 billion income from hajj expected」2014 年 8 月 25 日
2016年度のネットショッピング利用者数は、サウジアラビア 全体で約1100万人であった。年齢層では25~34歳がその 50%を占め、ついで16~24歳が22%、34~44歳が 20% の順である。一人当たりの購入額は2, 263. 65リヤル。 男女比率では男7対女3であった。2020年度には1700万人、 販売額は407.4億リヤル規模に達すると予測される。人気の高 いサイトは、Souq、Jarir、Opensooq、ASOS、Cobone、 Amazon 等で、スマートフォン上での利用が多い。 海外サイトよりも信頼性が高い国内サイトを好む傾向がある。 オンラインショッピングの購入商品は衣類、靴などのファッショ ン商品や家電の購入が大きく占めるが、最近では食料品の購入 が増加している。食品のみのオンラインショッピングの市場規模 は4億3,125万リヤルと推定される。女性の運転が禁じられて おり、気軽に外出が出来ない理由から、女性の利用率が58% を占めている。スマートフォンを利用しての購入が約8割を占め、 支払いの方法は現金による代金引換が66%、カード払いによる 引換が18%、事前カード決済が16%である。
ネットショッピング
E-commerce
参考:GoGolf,“E-Commerce in Saudi Arabi – Statistics and trends” 2015
Entrepreneur Middle East,“Online grocery shopping rises in Saudi Arabia’s E-commerce upswing”2016