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若年者の痩せ、痩せ願望と食習慣および自覚症状に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)若年者の痩せ、痩せ願望と食習慣および自覚症状に関する研究 キーワード:痩せ,痩せ願望,ダイエット,食生活,自覚症状. 1.研究の背景. 所. 属. 行動システム専攻. 氏. 名. 山本. 真貴. 2.研究の内容. 現代社会は、飽食の時代とも言われ、このような時 代背景に反映して、生活習慣病罹患者やその予備軍の. 1)対象及び調査期間 福岡県、佐賀県及び長崎県の中学校・高校・短期大学、. 増加の問題が深刻化し、昭和 30 年代半ばから肥満の問. 4年制大学の1・2 年生の男女を調査の対象者とした。. 題が取り上げられてきた。その一方で、若年女性の「痩. 回答に不備のなかった 7,660 名を分析した(有効回答率. せ」の問題も深刻化している。厚生労働省が推進する. 87%)。その内わけを表 1 に示した。. 「21 世紀における国民健康づくり(健康日本 21)」のな. 調査期間は 2004 年 9 月から 12 月であった。. かでも、20 歳代女性の痩せの割合を減少させることが栄. 2)方法. 1)。若年層の. 養・食生活の目標の一つに掲げられている. 調査は無記名のアンケート方式で調査用紙を配布し、. 女性では、長身で痩身のタレントやモデルの体型を理想. 回収した。調査内容は、身体状況(身長・体重) 、食習慣、. とし、実際の体重を過大評価する傾向にある。現代の 20. 運動習慣、自己の体型の評価及び願望、ダイエット、自. 歳前後の半数が細身スタイル志向であると言われ、メデ. 覚症状であった。身長および体重はできるだけ測定した. ィアからは毎日のように痩身やダイエットに関する情報. 値を各自記入させて、体型評価のために BMI を算出し. が送られている。これらの情報に特に敏感な人々は、自. た。. 分の体型を過大評価してダイエットを行いがちある. 2)。. 表1. 必ずしも正しいとは言いきれない情報からダイエットを. 対象者の内わけ(人) 中学生. 高校生. 短大生. 大学生. 行い、実際は痩せる必要がないのに体重を減らし、自分. 男子. 782. 1517. 320. 893. の望む体型に近づこうとする。このような痩せ体型を望. 女子. 679. 1352. 1131. 987. む女性は、高校生・中学生、さらには小学生へと低年齢 化していると言われている 3),4)。さらに、体型誤認から. 3.結果の要約. の過剰なダイエットや不必要なダイエットは、月経異常. 1)痩せの出現率. や骨粗鬆症といった様々な身体障害も懸念され、最悪の. BMI区分による「痩せ」の出現率は、男子では高校. 場合は、摂食障害へも発展し、時には死に至ってしまう. 生、大学生ともに 10%程度であったが、中学生および短. 場合もある 5)。成長発育期にある思春期・青年期のダイ. 大生では 15%前後も存在した。女子では高校生、短大生、. エットは、他の年代より危険に満ちている。このような. 大学生ともに 15%前後であったが、中学生の女子で約. 大事な時期に自分自身の身体状況を正しく認識させ、ど. 23%と高率であった(表 2)。平成 14 年度国民栄養調査6). うあるべきかを理解させることはこれからの保健教育・. の 20 代の「痩せ」の出現率(男性 8.1%、女性 26.0%)と. 栄養教育では大切なこととなってくるであろう。これま. 短大生及び大学生の結果を比較すると、男子はやや高く、. で、小規模な集団を対象に、「痩せ」 、 「痩せ願望」と理想. 女子は 10%程低い出現率であった。ダイエットの経験は、. 体型、食事内容を中心とした食生活、不定愁訴との関連. 「痩せ」・「普通」の者に少ない傾向にあり、 中学生の男女、. 性、ダイエットなど実態に関して断片的な調査研究しか. 短大生、 大学生の男子では体型間に差も認められた。佐々. 行われていない。. 木ら(2002)の調査では、女子短大生で 67.5%が、女子大. そこで本研究では、同一調査用紙を用い、中学生から. 生で 41.9%がダイエットを経験していると報告されて. 大学生まで男女について調査を行い、現代の若者の痩せ. いる7)。今回の結果と比較すると、女子短大生(53.1%). 及び痩せ願望者の出現率、体型満足度、体型誤認、ダイ. は低いが、女子大生(44.4%)はやや高い結果となった。. エットに関する実態を明らかにし、痩せ志向者の食生活. ダイエット経験のない者でも、「肥満」または「普通」の者. を中心とする生活習慣、不定愁訴等との関連性を検討す. は、ダイエットをしたいと思う者が多く、大学生を除い. ることを目的とした。. た女子では、「痩せ」の者でも 1 割から 2 割はダイエッ.

(2) トをしようとよく考えていることがわかった。ダイエッ. 2)自己の体型認識. ト経験者の中で、現在ダイエットを行っている者が、男. BMI 区分による実際の体型別に自己の体型願望をみる. 子で 18 38%、女子で 45 53%と認められ、男女とも. と、BMI での判定が「普通」及び「痩せ」であるのに関わら. 中学生が最も多かった。ダイエットの開始年齢は、男子. ず、体重を減らしたいと思う「痩せ願望」を持つ者は、「痩. では、大学生や短大生は 18、19 歳、女子では 16 歳とど. せ」の男子では、全年代を通し 10%未満であるのに対し、. 8). ちらも身長スパートがほぼ終了した年齢 に開始してい. 「普通」の男子で、中学生で 20%、高校生で 30%、短大・. る者が多かった(図 1)。女子大生を対象とした拓殖ら. 大学生で 40%程度であった(図 2)。「痩せ」の女子では、. (2003)の調査では、10∼12 歳の学童期にダイエットを実. 痩せているのにもかかわらず中学生を除いて約半数の者. 9). 施していた学生も認められている 。今回の結果でも、. が「痩せ願望」を示した。「普通」の女子では、中学生で. 学童期の年齢から開始している者も多くみられた。ダイ. 70%、高校生、短大生、大学生で 90%程度と非常に高い. エット方法のうちよく行うものは、「運動」で、次に「カロ. 割合を示し、「体型誤認」の者、 「痩せ願望」を持つ者が. リー計算」と理想的なダイエット方法である。しかし、「嘔. 極めて多いことがわかった。痩せたい理由では、「普通」. 吐」や「絶食」、 サプリメントや下剤などの「痩せる薬」など. の男子では、中学生、高校生で「健康のため」を選んだ者. を用いている者が 1∼5%程度認められた。これらの実態. が最も多かった。短大生、大学生では「スポーツのため」. を考慮すると、ダイエットの必要性や正しいダイエット. が最も多く、次いで「太っているから」という体型誤認が. 方法の認識等についての教育が必要とかもしれない。. 痩せたい理由となった。「痩せ」・「普通」の女子では、「太 っているから」という体型誤認を理由とする以外にも、 全. 表2. 痩せ・普通・肥満のBMI区分による出現率(%) 高校生. 短大生. 大学生. 19.1 71.9 9.1 22.8 70.3 6.9. 11.8 81.3 6.9 14.9 81.2 3.9. 14.4 77.2 8.4 15.4 76.2 8.4. 9.7 83.7 6.6 16.2 79.3 4.5. 年代を通し、「ファッションのため」をはじめとする容姿 にかかわるものを選ぶ者が多く、自分が太っていないと わかっていても、 「タレントやモデルへの憧れ」や「他人 の目などが気になる」という理由から、痩せたいと思う 者も少なくない事が分かる。. 25. 中学 高校 短大 大学. 15 10. 肥満. 人数. 20. 普通. 痩せ. 痩せ 男子 普通 肥満 痩せ 女子 普通 肥満. 中学生. 5. 中学生 高校生 短大生 大学生 中学生 高校生 短大生 大学生 中学生 高校生 短大生 大学生. 0. 0%. 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 歳. 25. 中学 高校 短大 大学. 15 10. 肥満. 人数. 20. 普通. 痩せ. 8. 5 0 8. 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 歳. 図1 ダイエットの開始年齢(上段:男子、下段: 女子). 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 中学生 高校生 短大生 大学生 中学生 高校生 短大生 大学生 中学生 高校生 短大生 大学生 0%. 20% 減らしたい. 40% 60% 80% 100% このままでよい 増やしたい. 図2 体型別の体重をどうしたいか(%) (上段:男子 下段:女子).

(3) 3)食生活. 4.まとめ. 食生活の実態を体型別に比較すると、「痩せ」の者に際. 本対象者には、身長と体重はできるだけ実測するよう. だつ特徴は見られなかった。体型願望別に比較すると、. に依頼した。しかし、全員が実測したとは考えられず、. 「体重を減らしたい」と望む群では、間食、夜食をとらな. 自己申告の身長や体重の値も多く含まれると思われる。. い者が多い傾向にもあった。しかし、短大生および大学. 自己申告の体重でもかなり正しいという報告もある. 生の女子では「体重を減らしたい」と望む群が、「このま. が、時として少なめに申告することもある 12)。また、回. までよい」という群より、間食や夜食を摂取する頻度が. 答者が理想の身長,体重を答えるときに、回答者の描い. 高い傾向にあった。また、食事の時間帯や所要時間に差. た体型のイメージと数字で表示される体型との間に差が. はみられず、「痩せ」の者が食べるのが遅い、体重を減. 生じる可能性があるかも知れないが、自分の身長、体重. らしたいのでゆっくり食べるというような傾向. 10). は得. 11). を基に、理想の体型を考えると、イメージと回答される. られなかった。. 数値が大きくかけ離れていることはないだろうと思われ. 4)自覚症状. る 13)。以上のような問題点は生じるが、本研究のような. 「手足が冷える・冷え性」は「痩せ」の者に多い傾向に. 中学生から大学生まで男女の多人数で「痩せ」や「痩せ. あった(図 3)。これは、女子大生を対象とした亀崎ら. 願望」の実態、現代の若年者が理想とする身長、体重、. (2002)の先行研究と同様の結果になった 10)。また彼らは、. BMI、体型への願望、ダイエット経験、食事時間や摂食. 「胃痛」・「月経不順」でも「痩せ」に多い傾向があること. 状況を考慮した食生活、自覚症状などについての調査報. を報告しているが、今回の結果では、体型別に差は得ら. 告は少なく、若者の実態を反映していると思われる。. れなかった。その他の項目では、「不安感・憂鬱になり. 本研究では、「痩せ」の出現率は 10∼23%であった。各. やすい者」は中学生の男女、高校生の女子では肥満の者. 年代とも女子に多く、特に中学生の女子に多かった。さ. に多いが、高校生の男子では痩せの者に多かった。「便. らに、女子においては現実の BMI と自己体型認識との間. 秘」は、女子の中学生の「痩せ」に少ない傾向があった。. には、大きなずれが生じ、理想とする体型を実現するた. しかし、他の年代では同様の傾向は得られなかった。体. めに「痩せ志向」「痩せ願望」に向かうことが明らかとなっ. 型願望別に見ると、 「体重を減らしたい」あるいは「体. た。また、「普通」の男子でも 20∼40%が「痩せ願望」を持. 重を増やしたい」と思っている者は、 「全身がだるい・. っていた。これまで、あまり指摘されなかった男子にお. 疲れたと感じる」、「肩こり」、「下痢」、「便秘」、「吐き. いても適正な体型を認識させるための指導が必要である. 気・腹痛」、「いらいらする」、 「不安感・憂鬱になる」、. と思われる。また、ダイエット開始年齢が学童期からの. 「かっとなりやすい・不平不満が多い」 、 「生理不順」の. ものも多く、その中には、 「嘔吐」・ 「絶食」・ 「痩せる薬」. 9 項目で、「このままでよい」と思っている者より多い傾. などといった必ずしも正しいとは言い切れないダイエッ. 向にあり、有意な差が認められた項目もあった。. ト方法を用いている者もいるため、学童期からのダイエ ットへの正しい認識の必要性が示唆された。 「痩せ」や「痩せ願望者」の食生活については、全年代に. 大学生 短大生 高校生 中学生. 共通した目立った特徴は特に認められなかった。 「痩せ」 の者の自覚症状では、 「手足が冷える・冷え性」でのみ各. 痩せ 普通 肥満 痩せ 普通 肥満 痩せ 普通 肥満 痩せ 普通 肥満. 年代で共通して愁訴率が高かった。 しかし、「痩せ願望者」 をはじめ、自己の体型に満足していない者は、満足して いる者に比べ、自覚症状の愁訴率が高い傾向にあった。 本研究からは、明らかな「痩せ」の弊害を示すことは できなかった。しかし発育・発達期のダイエットや不十 分な食生活は、近未来あるいは成人期以降の身体的問題 0%. 20%. 40%. 60%. とてもよくある ときどきある 図3 女子の冷え性の愁訴率(%). 80%. 100%. よくある ほとんどない. を引き起こす可能性があろう。また、今回の結果から、 自分の体型を正しく認識させ、必要のない体型願望を抱 かなければ、不必要なダイエットの抑制、自覚症状の減 少等に繋がるであろう。不必要なダイエット、自覚症状 の減少には、適正な体型認識を持たせることが非常であ ろうと思われる。.

(4) また、今後の課題として、強度や時間を考慮した運動. and body weight in different groups of female. 習慣や栄養素別の食事摂取内容や食行動等を考慮して、. adolescent athletes,Int.J.Eating.Disord.,7(6),. そのような生活習慣と「痩せ」や「痩せ願望」との関連性だ. 749-757,1988. けでなく、どのように影響するのか調査することが挙げ られる。 本研究における現代若者の「痩せ」や「痩せ願望」、「自. 13)Stunkard,A.J.,et al.:The accuracy of selfreported wights,Am.J.Clin.Nutr.,34 ,1593 –1599,1981 14)西沢義子,木田和幸:児童の体型認識と肥満及び痩せ. 己体型の過大評価」 、「ダイエット」などの実態などを考. に対するイメージ,学校保健研究,39(2),132-138,. 慮すると、早い段階からの正しい健康教育、体重・体型. 1997. の認識、ダイエットに関する栄養教育などが必要と考え る。 謝. 辞. 稿を終えるにあたり、本研究の調査にご協力ください ました諸先生方及びアンケートに答えていただいた生徒 の方々に深謝いたします。 参考文献 1)財団法人健康・体力づくり事業財団:健康日本 21, 太陽美術,東京,2000 2)福岡秀輿:危険がいっぱい、思春期のダイエット,芳 賀書店,東京,2001 3)古川裕,澤田淳,橋本勉:中学生の肥満ややせの自己 評価基準と異性から望まれる体型,小児保健研究, 52(3),334-339,1993 4)矢倉紀子,広江かおり,笠置綱清:思春期周辺の若者 のヤセ願望に関する研究(第一報)-ボディイメージと BMI,減量実行との関連性-,小児保健研究,52(3), 521-524,1993 5)中野弘一,金村良治:ダイエット‐疾病への発展,臨 床栄養,104,388-393,2004 6)健康・栄養情報研究会編:国民栄養の現状 平成 14 年 国民栄養調査結果,2003 7)佐々木大輔:若い女性のやせ願望と妊孕性:周産期医 学,32(2),184-187,2002 8)小林正子,衛藤隆:思春期におけるからだの発育,周 産期医学,32(4),449-453,2002 9)拓殖光代,佐藤文代,川野因:若年女性の痩せ志向と 食生活の問題点,New Food Industry,45(3),7-11, 2003 10)中村丁次:思春期の食行動とその異常,周産期医学, 32(2),165-168,2002 11)亀崎幸子,岩井伸夫:女子短大生の体重調節志向と減 量実施及び自覚症状との関連について,栄養学雑誌, 56(6),347-358,1998 12)Brooks-Gunn,J.,et al.:Attitudes toward eating.

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参照

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