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画像の表示とその圧縮

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画像の表示とその圧縮

著者 井岡 幹博

雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊

017

ページ 141‑161

発行年 1992‑12‑25

URL http://doi.org/10.15021/00003561

(2)

画 像 の 表 示 と そ の 圧 縮

博*

要 旨

    カ ラ ール ック ア ップテ ー プル 方 式 の グ ラ フ ィ ッ クス デ ィス プ レイ に よ る 自然 画像 と   濃 淡 画 像 を 同時 表 示 す る た め の 非 適応 型 量 子 化 手 法 に つ い て,1つ の方 法 を提 案 し,   そ の表 示 例 を報 告 す る。 また,量 子 化 画 像 を 前提 と した圧 縮 技 法 を提 案 し,そ の 手 法   を 記 述 す る 。 国 立 民 族 学 博 物 館 所 有 の 標 本 画 像 に 適 用 した 実 験 結 果 と して,平   24.7%の 圧 縮 率 を 得 た。

1  は'じ め に

  近 年 メ モ リ ー の 低 価 格 化 や デ ィ ス プ レイ 技 術 の 発 達 に よ り,カ ラ ー 画 像,濃 淡 画 像 の 計 算 機 上 で の 取 り扱 い,表 示 が 比 較 的 簡 単 に な っ て き た 。

  一 般 に カ ラ ー 画 像 を 計 算 機 で 扱 う場 合,対 象 物 をR,G,  B(赤,緑,青)に3色 解 し た 画 像 と し て 入 力,処 理,表 示 す る 。 表 示 装 置 と し て の グ ラ フ ィ ッ ク ス デ ィス プ レイ は フ ル カ ラ ー表 示 の も の,及 び カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル 方 式 の も の が あ る(図 1)。 フ ル カ ラ ー 表 示 の も の はR,G,  Bそ れ ぞ れ リ フ レ ッ シ ュバ ッ フ ァ ー を 持 ち, D/A変 換 器 に 送 られ デ ィ ス プ レ イ に 表 示 さ れ る 。 通 常 リ フ レ ッ シ ュバ ッ フ ァ ー は そ れ ぞ れ8ビ ッ ト程 度 の 深 さ を 持 つ の で 約1600万 色 の 同 時 表 示 が 可 能 で あ る 。 一 方,カ

ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル 方 式 は,リ フ レ ッ シ ュバ ッ フ ァ ー に コ ー ド化 さ れ た 画 像 が 送 られ る 。 各 画 素 値 が,カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル の エ ソ ト リ ー を 指 し,こ の テ ー ブ ル か ら の 出 力 がR,G,  Bの 信 号 と し てD/A変 換 器 に 送 られ る 。 カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル が24ビ ッ トの 深 さ を 持 て ぽ,表 示 可 能 な 色 の 数 は フル カ ラ ー デ ィ ス プ レイ の も の と 同 じに な る が,同 時 表 示 可 能 な 色 の 数 は,リ フ レ ッ シ ュバ ッ フ ァー の 深 さ に よ っ て 決 定 され る。 リ フ レ ッ シ ュバ ッ フ ァ ー の 深 さ が8ビ ッ トで あ れ ば,同 時 表 示 可 能 な 色 の 数 は256色 と な る 。 こ の 方 式 の 場 合,表 示 可 能 な 色 の 中 か ら最 適 な 同 時 表 示

色 を 選 ぶ 量 子 化 の 手 法 が 必 要 と な る 。

  今 回 我 々 が 採 用 し た 表 示 装 置 は,カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル 方 式 で あ る 。 す な わ

*日 本 ア イ ・ピー ・エ ム(株)東 京基 礎 研 究 所

(3)

国立民 族学博物館研究報告 別冊  17号

(a)フ ル カ ラ ー デ ィ ス プ レ イ

(b)カ ラ ー ル ッ ク ア ップ テ ー ブ ル 方 式 の デ ィ ス プ レ イ 図1  カ ラー表 示 装 置

ち,画 像 を 表 示 す る 際 に 量 子 化 の 作 業 が 不 可 避 と な る も の で あ る 。 カ ラ ー 画 像 と 濃 淡 画 像 を グ ラ フ ィ ヅ クス デ ィ ス プ レ イ に 表 示 す る 量 子 化 手 法 を 第2節 で 報 告 す る 。   画 像 は,デ ー タ 量 が 膨 大 な も の と な る傾 向 を 持 っ て い る 。 例 え ぽ,1024×1024画

の カ ラ ー 画 像 で あ る と,通 常R,G,  B各1バ イ トの 精 度 を 持 つ の で3メ ガ バ イ トの 容 量 と な る 。 画 像 を1000枚 持 つ と3ギ ガ バ イ ト,10万 枚 で3テ ラ ・ミイ トの オ ー ダ ー と な る 。 こ れ ら を 記 憶 す る 外 部 記 憶 装 置 と して は,最 近 光 デ ィ ス ク 装 置 が 一 般 的 と な っ て き て 解 決 さ れ つ つ あ る1)。 し か し,外 部 記 憶 装 置(光 デ ィ ス ク)に あ る 画 像 デ ー タ を 表 示 装 置 に 送 り表 示 す る 場 合 を 考 え る と,伝 送 時 間 が 問 題 とな る 。 特 に,分 散 シ ス テ ム 上 で の 画 像 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム を 考 え る と,画 像 の 圧 編 に よ る伝 送 時 間 の 短 縮 が 必 要 と な る。 ま た,表 示 を 目 的 と す る 画 像 の 圧 縮 に お い て は,出 力 機 器 の 種 類 と 圧 縮 方 法 は 密 接 な 関 係 を 持 つ 。 例 え ぽ,上 述 の フ ル カ ラ ー デ ィ ス プ レイ に 出 力 す る に は, R,G,  Bの3枚 の 画 像 に 復 元 で き る よ うな 情 報 を 圧 縮 して 伝 送 し な け れ ば な ら な い 。

カ ラ ー ル ッ ク ア ヅ プ テ ー ブ ル 方 式 の グ ラ フ ィ ッ ク ス デ ィ ス プ レイ に 出 力 す る の で あ れ ぽ,R,  G, B  3枚 の 情 報 を 送 る 必 要 は な く,量 子 化 さ れ た 画 像 を 圧 縮 し て 送 れ ば よ い 。 さ ら に パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ ー程 度 の表 示 装 置 で あ れ ぽ,送 る 情 報 量 は よ り少 な く な る 。 今 回 は,ホ ス ト計 算 機 に 接 続 さ れ た 光 デ ィ ス ク装 置 か ら,画 像 を 読 み 出 し カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー プ ル 方 式 の グ ラ フ ィ ッ ク ス デ ィ ス プ レイ に 表 示 す る 場 合 を 主

1)本 書 「画 像 デ ー タ の蓄 積 」 参 照 。

(4)

に 考 え,量 子 化 画 像 の圧 縮 につ い て 第3節 で報 告 す る。

 使 用 す る画 像 は,国 立 民 族 学 博 物 館(民 博)所 有 の標 本 画 像 の うち,カ ラー鳥瞰 画 像 と正面,平 面,側 面 の濃 淡 画 像 で あ る2)。

2画 像の表示法

  本 節 で は,主 に グ ラ フ ィ ックス デ ィス プ レイ に標 本 画 像 を表 示 す る際 の 量子 化 法 に つ い て記 述 す る。

2.1量 子 化 法

  カ ラ ー画 像 の量 子 化 技 術 に つ い て は過 去 様 々な研 究 が行 な わ れ,手 法 の 提 案 も行 な わ れ て い る。 そ れ らを大 別 す る と適 応 型 と非 適 応型 に分 げ られ る。適 応 型 は,表 示 し よ う とす る画 像 の 色 分布 を調 べ,そ の特 徴 を利 用 して個 々 の画 像 の 代表 色 を決 定 す る 手 法 で あ る。 非 適 応 型 は,色 空 間 に お い て等 間 隔 に 代 表 色 をサ ンプ リン グす る手 法 で あ る。 個 々の 画 像 に よ らな い代 表 色 を選 択 す る ので,複 数 枚 の画 像 が 同時 表 示 で き る 反面,画 像 に よって は 極 め て画 質 が 劣 化 した表 示 に な り うる。

  従 来 の研 究 は,適 応 型 の ア ル ゴ リズ ム に重 点 が お か れ,多 数 の提 案 が あ る 【吉 良 他   1983;HEcKBERT  1982;中 島 他   1985]。 R, G, Bと して取 り込 まれ た カ ラー画 像 を この アル ゴ リズ ムに よ って色 コー ド画 像(量 子 化 画 像)に 変 換 す る手順 は,以 下

の よ うに な る。

1.入 力 画像 の色 空 間 での分 布 を調 べN色 の代 表 色 を決 定 す る。

2.入 力 画 像 の す べ て の 画 素 に対 してN色 の代 表 色 の 中 か ら一 番 近 い 色 を 選 択 し   て,そ の 色番 号 を 画 素 値 とす る量 子 化 画 像 を作 成 す る。

3.カ ラ ール ックア ップテ ー プル にN色 の代 表 色 を セ ッ トして,量 子 化 画 像 を リフ   レ ッシ ュバ ッ フ ァーへ 送 り,表 示 す る。

  1.の 段 階 で 種 々 の ア ル ゴ リズ ム が 提 案 さ れ て い る 。Heckbert【1982]は,そ れ ら を 以 下 の2つ に 分 類 し て ア ル ゴ リ ズ ム を 提 案 し て い る 。

(a)The  Popularity  Algorithm

    色 分 布 の ヒ ス ト グ ラ ム に お い て 頻 度 の 高 い 色 か ら 順 にN色 を 選 択 し て 代 表 色 2)本 書 資料 編Dr標 本 画 像 自動 処 理 装 置 」 参 照。

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国立民族学博物館研究報告別冊  17号

    とす る。 色 の 分布 が広 範 囲 にわ た る ときや,Nが 小 さい時 は画 像 が 劣 化す る。

(b)The  Median  Cut Algorithm

    この 手 法 は,N個 の 代 表 色 が そ れ ぞれ 原 画像 の 等 しい数 の 画素 を 代表 す る と    い う考 え方 で あ る。 色 空 間 を1つ の箱 とみ な し,各 軸 に お け る最 大 値 と最 小    値 で作 られ る長 さの 最 大 の軸 に お い て ヒス トグ ラ ムを と り,そ の 中央 値 に よ     って 箱 を分 割 す る。 箱 の数 がN個 に な るま で繰 り返 す 。

  一 方,非 適 応 型 は ア ル ゴ リ ズ ム に バ リエ ーション が な く,ま た,す べ て の 画 像 に 共 通 な 限 定 代 表 色 は 存 在 し な い の で,提 案 され て い る も の も少 な い 。 しか し な が ら,複 数 枚 の 色 画 像 を 同 時 表 示 す る と い う要 求 は 多 く,適 応 型 と 非 適 応 型 の 中 間 的 な ア プ

ロ ー チ で あ る 程 度 実 現 し て い る 場 合 も あ る 【岩 井   1987】。 一 般 的 に 行 な わ れ て い る 手 法 は,人 間 の 色 知 覚 を 利 用 し て,緑 の 量 子 化 レベ ル を 他 の 赤,青 よ り多 くす る と い う

も の で あ る 。 例 え ば,256色 限 定 表 示 の 場 合,R‑2bit,  G‑4bit,.B‑2bitと し て い る 。 ま た,Tajima【1983】 は,均 等 色 空 間 内 か ら 一 様 に 色 を サ ン プリング し て,ど の よ う な 連 続 調 画 像 に も 適 応 可 能 なN色 を 選 択 し て い る 。

2.2表 示 の 種 類

  扱 う画 像 は民 博 所 有 の標 本 画 像 で あ り,以 下 の よ うな種 類 か ら構 成 され る。

・カ ラ ー鳥瞰 画 像(1024×1024画 素:赤,緑,青)

・平 面 濃 淡 画 像(1024×1024画 素)

・正 面 濃 淡 画 像(1024×1024画 素)

・側 面 濃 淡 画 像(1024×1024画 素)

鳥鰍 濃 淡 画 像 も計 測 され てい るが,今 回 は 使 用 して い な い。

  また,構 築 され た プ ロ トタ イ プで あ る民 族 学 研 究 用 画 像 検 索 シ ス テ ムCIRES3) で は,表 示 の 形態 と して 以 下 の ものが 提 案 され て い る。

・鳥瞰 図1枚 表 示

    カ ラ ー 鳥 鰍 画 像(1024×1024画 素)を 使 用 。

・鳥 臓 図 ・3面 図 表 示

    カ ラ ー鳥瞰 画 像(512×512画 素)及 び,平 面,正 面,側 面 濃 淡 画 像(512×512     画 素)を 使 用 。

3)本 書 「共 同研 究 の概 略一 一方 法 と成 果一 」参 照。

(6)

・鳥瞰 図2×2枚 表 示

   カ ラ ー鳥 鰍 画 像(512×512画 素)を 使 用 。

・平 面 図2×2枚 表 示

平 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)を 使 用 。

・正 面 図2×2枚 表 示

   正 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)を 使 用 。

・側 面 図2×2枚 表 示

   側 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)を 使 用 。

・鳥 臓 図4×4枚 表 示

    カ ラ ー鳥瞰 画 像(256×256画 素)を 使 用 。

  表 示 の形 態 と して,上 記 の ほか に画 像 内 の 対 象物 の相 対 的 な 大 きさに 基 づ い た 相対 表 示 が考 え られ た 。 しか しな が ら,こ の表 示 はCIRESに は含 まれ てい な い 。 この表 示 に 関 して は,後 で簡 単 に記 述 す る。

  上 記 の表 示 を 可能 にす るた め に は,次 の種 類 の 画像 が必 要 とな る。

・ カ ラ ー鳥瞰 画 像(1024×1024画 素)

・ カ ラ ー鳥瞰 画 像(512×512画 素)

・ カ ラ ー鳥瞰 画 像(256×256画 素)

・平 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)

・正 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)

・側 面 濃 淡 画 像(512×512画 素)

  ま た,量 子 化 の面 か らみ る と,カ ラー鳥瞰 画 像(1024×1024画 素)は,適 応 型 量 子 化 法 を 用 い て,で き うる限 り原 画 像 に忠 実 に再 現 す る必 要 が あ る。 そ の他 の5種 類 の 画 像 は複 数 枚 同時表 示 す る場 合 が ほ とん ど で あ り,非 適 応 型 の量 子 化法 を採 用 す る こ と とな る。 しか も,カ ラー画 像 と濃淡 画 像 を 同時 表示 す る場 合 が あ り,こ の2種 類 の 画 像 を 同 時 に再 現 で き る量 子 化 法 を 考 案 す る必 要 が あ る。適 応 型 量 子 化 法 に つ い て は 2.1節 の 「量 子 化 法 」 で紹 介 した よ うに,種 々の手 法 が 提 案 され て お り,今 回 対 象 と す る 自然 色 画像 の量 子 化 に お い て どの 手 法 を採 用 して も大 差 は な い と判 断 され る。 問 題 とな るの は,カ ラー画 像 と濃 淡 画 像 を 同 時 表示 で き る量 子 化 法 で あ る。 以下 は,こ の問 題 に 焦 点 を絞 って記 述 す る。

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国立民族学博物館研究報告 別冊  17号

2.3  非 適 応 型 量 子 化 法

  あ らゆ る画 像 に共 通 な 代表 色 の セ ッ トを選 ぶ ことに よ り,複 数 枚 の カ ラー画 像 の 同 時 表 示 を 可能 に し,あ わ せ て濃 淡 画 像 と カ ラー画 像 の 同 時表 示 も可 能 とす る手法 で あ る。 これ に よ って,画 像 の 比較,異 種 画 像(濃 淡 と色 つ き)の 比較 が カ ラ ール ックア ッ プテ ー ブル方 式 の グラ フ ィ ックス デ ィス プ レイ にお い て 可 能 とな る。 今 回 の表 示 目 的 の た め の非適 応 型 量 子 化 法 が備 え なけ れ ぽ な らな い条 件 は,以 下 の2つ に 要 約 され

る。

1.複 数 枚 の 色 画像 を な るべ く原 画像 に 忠 実 に 同時 表 示 す る。

2.カ ラー画 像 と濃 淡 画 像 を 同 時表 示 す る。

従 来,適 応 型 に お い て も非 適 応 型 に お いて も カ ラ ー画 像 と濃 淡 画 像 を 同時 表 示 す る こ とは,基 本 的 に は 困難 で あ った 。 今 回 は,カ ラ ー画像 の複 数 枚 同時 表示 と とも に,濃 淡 画 像 を も同時表 示 す る こ とを 前 提 と して い る。

2.3.1L*u*v*空 間 を利 用 した 非適 応 型 量 子 化 法

  カ ラー画 像 と濃 淡 画像 を 同 時表 示 す るた め の1つ の 手 法 と して,L*U*V*空 間 旧 本 色 彩 学 会  1980】を利 用 した量 子 化 法 に つ い て 記 述 す る。 これ は,人 間 の視 覚特 性 が デ ィス プ レイ の表 示 特 性 と一 致 せ ず,必 ず し もデ ィス プ レイ の表 示 して い るす べ て の色 を知 覚 して い る ので は な い とい う点 に 基 づ い てい る。 人 間 の 感覚 的 な 色 差 と近似 で き る と され る均 等 色 空 間 の1つ であ るL*u*v*空 間 を 利 用 す る。

L*がv*表 色 系 とxyz,  RGB刺 激 値

  前 提 とな るL㌔*v*表 色 系 と,原 画 像 のR,G,  B値 か らL*u*v*表 色 系 へ の 変 換 に つ い て 簡 単 に 説 明 す る 。

  国 際 照 明委 員 会(CIE:Commission  lnternationale  de 1'Eclairage)が 定 め た 表 色 系 に RGB表 色 系 とXYZ表 色 系 が あ る 。 RGB表 色 系 は, CIE表 色 系 の 基 本 と な る も の で あ る 。XYZ表 色 系 は, CIE標 準 表 色 系 と 呼 ば れ,色 を 正 確 に 記 述 す る と き は こ の3 刺 激 値 に よ っ て 表 わ さ れ る 。XYZ表 色 系 はRGB表 色 系 か ら,数 学 的 な 変 換 式 に よ

っ て 導 き 出 さ れ る。 一 般 的 に は 以 下 の 式 と な る 。

(8)

X) 4211 a12 a13 R

Y = (721 a22 a23 G

\Z \a31 a32 a33 B

  デ ィス プ レイ で 用 い られ て い るRGBは,  CIE‑RGB表 色 系 とは 異 な って い る。

XYZ系 は 色 を 絶 対 的 な 座 標 で 表 わ す こ とが で き,測 色 的 な 意 味 で 有 効 で あ る。 しか しなが ら,2つ の色 を 比 較 す る と き,XYZ系 の す べ て の領 域 で2点 間 の距 離iが人 間 の知 覚 す る差 に対 応 して い るわ け で は な い。 」←y色 度 図 上 で人 間が 見 分 け る こ との で き る最 小 の 色度 差 を プ ロ ッ トす る と図2の よ うに な る。 人 間 の 感 覚 的 な色 差 が 表 色 系 の距 離 と比 例 す る よ うな均 等 色空 間 が 種 々定 義 され て い る。 こ こで は そ の代 表 的 な も の であ るL*u*v*空 間 を 紹 介 す る 【日本 色 彩 学 会   1980】

  L*u*v*表 色系 は,1976年 にCIEが 推 奨 した 表 色 系 で あ る。 この表 色系 内の 一 定 距 離 が,ど の 色 の領 域 で も,ほ ぼ知 覚的 に等 歩 度 の 差 を持 つ よ うに定 め られ た 色 空 間 で

図2MacAdamの 偏 差 楕 円 【日本 色 彩 学 会1980】

(9)

                    国立民 族学博物館研究報 告別冊   17号

あ る。CIE1976  L'u*v*空 間 と も い う。

  1つ の 物 体 色 の3刺 激 値X,y,  Zか ら 次 の 計 算 に よ りL*,  u*, v*を 求 め る 。

L*=116(Y/Y,i)1/3-16 u* =13L*(d-24,)

v* =13L* (V- v',,)

(Y/ Y„ > 0.008856)

(1)

こ こ で,

ti= 4X/ (X+ 15 Y+ 3Z) , u',, = 4X„/ (X„+ 15 Y„+3Zn),

V=9 Y/ (X+ 15 Y+ 3Z)

v,, = 9 Y„/ (X„+ 15 Y„ + 3Z„) (2)

こ こ で,Xn,  Yn, Znは,上 述 の 物 体 色 と 同 一 照 明 下 の 完 全 拡 散 面 に 対 す る3刺 激 値 で,普 通 玲=100に 標 準 化 さ れ る1納 谷   1980】。

  現 在 の カ ラ ー テ レ ビ モ ニ タ ー の 標 準 方 式(NTSC方 式)に お い て, R, G, Bの 刺 激 値 か らX,y,  Zへ の 変 換 は 次 の よ うに な る 【テ レ ビ ジ ョ ン学 会   19801。

X=0。6067R十 〇.1736(}十 〇.2001B y==0.2988R十 〇.5868(}十 〇.1144B Z=         0.0661G十1.1150β

(3)

使 用 す る グ ラ フ ィ ック ス デ ィス プ レイの 表 示 特 性 がNTSC方 式 と近 似 的 に等 しい と

図3L*u*v*空 間 に お け る デ ィ ス プ レ イ の 表 示 可 能 領 域 【DURRET  1987】

(10)

す る と,R,  G, B刺 激 値 か らL*u*v*表 色 系 へ の 変 換 は 上 記 の 式 を 用 い て 行 な わ れ る 。 NTSC方 式 の カ ラ ー テ レ ビ モ ニ タ ー 表 示 可 能 領 域 をL*u*v*表 色 系 で 表 わ す と 図3の

よ う に な る。

量子 化 手順

 量 子 化手 順 は 以下 の よ うに な る。

1.濃 淡 レベ ル を決 定 す る。

  モ ニ タ ー の表 示 能 力 また は,表 示 され る濃 淡 画 像 の濃 淡 レベル よ り決 定 す る。

  濃 淡 レベ ル を 〃 とす る と式(1)で 示 した 式 を用 い て,L*軸 方 向 に(n‑1)分   割 し,各 分 割 点 の色(濃 淡)を 濃 淡 画 像 表 示 の た め の代 表 色 とす る。

2.L*軸 の各 分 割 点 に お け るu*v*平 面 で代 表 色 を選 択 す る。

  各U*V*平 面 にお い て,最 適 な き ざみ で 格子 網 を は り,各 格 子点 を代 表 色 とす る。

  L*U*V*空 間 に お け る カ ラ ー テ レ ビ モ ニ タ ー で 表 示 可 能 な 領 域 の 体 積 は,約   1215000で あ るの で,最 適 な き ざみ 幅 は 以 下 の よ うに な る。

d=/ 'V 1215000/m n-1

  こ こ で,吻:選 択 さ れ る 代 表 色 の 数,〃:濃 淡 レベ ル,で あ る 。

    代 表 色 が 決 定 し た ら,そ れ に 基 づ い て カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル を 作 成 す   る 。

3.エ ソ コ ー ドテ ー ブ ル を 作 成 す る 。

  す べ て のR,G,  B値 に 対 して, L㌔*v*空 間 で の 座 標 を 計 算 し,選 択 さ れ た 各 代   表 色 と の 距 離 を 計 算 す る 。 距 離 が 一 番 近 い 代 表 点 の コ ー ドを そ のR,G,  B値   色 コ ー ドと す る 。

4.上 記3.で 得 ら れ た エ ソ コ ー ドテ ー ブ ル に 基 づ い てRGB色 画 像 を 量 子 化 画 像 に   変 換 し,カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー プ ル を 通 して 表 示 す る 。

一 度 得 られ た カ ラー ル ッ クア ヅプテ ーブ ル とエ ン コー ドテ ーブ ルは 固定 で あ る の で, 画 像 に対 す る処理 は4.の 量 子 化 画像 作 成 部 分 だ け で あ る。

  な お,複 数 枚 の カ ラー画 像 表 示 の 例 を写 真1に,濃 淡 画像 とカ ラ ー画像 の 同時 表 示 の 例 を写 真2に 示す 。

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国立民族学博物館研究報告別冊  17号

2.3,2  トレー ニ ソグに よる非 適 応 型 量 子化 法

  対 象 とす る画 像 を 限 る とき(こ こで は 民 博 所 有 の標 本 画 像),画 像 に お い て使 用 さ れ て い る色 を前 もっ て調 べ,出 現 頻 度 の高 い 色 を 代表 色 と して 使 用す る量 子 化 法 が考 え られ る。 こ こで前 提 と な って い る考 え方 は 以 下 の よ うな事 柄 であ る。

1.表 示 し よ う とす る画 像 に含 まれ る色 が,あ る傾 向 を持 って分 布 して い る こ と。

2.対 象 とな る画 像 の母 集 団 を 代表 す る画 像 を 選択 で きる こ と。

  今 回 の我 々が採 用 した 量 子 化 は,カ ラー画 像 と濃 淡 画像 の 同時 表 示 を 目的 と して い るの で,代 表 色 の 中 に濃 淡 表 示 に 必要 な色 が 含 まれ て い なけ れ ば な らな い。 この た め トレ ー ニ ソグに よる代 表 色 を 選 択 した後,濃 淡 色 を 加 え る もの と した 。具 体 的 に 行 な った 実験 の内 容 は 次 の通 りであ る。 つ ま り,ま ず 標 本 画 像 の 中か ら18点 を選 び 出 しそ の 中 に 含 まれ る色 の数 を調 べ た 。 標 本 画 像 は 赤,緑,青 そ れ ぞれ1バ イ ト(256レ ベ ル)で 計 測 され て い る。 これ らを それ ぞれ16レ ベ ル に まず量 子 化 した 。 も とも と1600 万 色 と りうる原 画像 を4096色 と り うる画像 と した わ け で あ る。 か な りの色 数 の制 限 と み られ るが,一 般 的 に 自然 色 画 像 を表 示 す る に4096色 程 度 あ れ ば,元 の 原画 像 と見 た 目に は遜 色 な く表 示 され うる1田 島   1986】。 選 ば れ た18標 本 画像 に おい て,表 示 に使 用 され る色 数 を 調 べ る と2117色 であ った。 つ ま り4096色 の うち の半 分 程 度 しか 表 示 に 使 用 され な い。 この2117色 をPopularity Algorithm }こ基 づ い て256色 まで に統 合 した。

こ の手 法 に よる複 数枚 の カ ラー画 像表 示例 を写 真3に,濃 淡 画 像 とカ ラ ー画像 の 同時 表 示 例 を写 真4に 示 す 。

2.3.3  そ の 他 の 非 適 応 型 量 子 化 法

  非 適 応 型 量 子 化 法 で 一 般 的 に 行 な わ れ て い る 手 法 は,2.1節 「量 子 化 法 」 で も 述 べ た よ うに,人 間 の 色 知 覚 を 利 用 し て,緑 の 量 子 化 レ ベ ル を 他 の 赤,青 よ り も 多 く す る と い う も の で あ る 。 こ こ で はR‑2bit,  G‑4bit,  B‑2bitと し て 量 子 化 した も の を 例 と し て 写 真5に あ げ る 。

2.3.4  パ ー ソナ ル コ ン ピ ュ ー タ ー に お け る 非 適 応 型 量 子 化 法

  パ ー ソナ ル コ ン ピ ュ ー タ ー も最 近 カ ラ ー表 示 能 力 が 向 上 して お り,機 種 に よ っ て は, 4096色 同 時 表 示 で き る も の な ど が あ る 。 しか し な が ら,ま だ16色 同 時 表 示 程 度 が 主 流

で あ り,表 示 能 力 と して は 限 界 が あ る 。 例 と し てIBM5550は 図4に 示 す よ う にR,

(12)

図4  パ ー ソナ ル コ ン ピュ ータ ー(IBM5550)に お け る表 示 可 能 色 と同 時表 示 標準 色

G,Bそ れ ぞ れ4レ ベ ル で64色 の 色 が 表 示 可 能 で あ る。 同時 表 示 は16色 で あ り,標 準 色 は 図4に おい て 丸 で 示 した色 で あ る。 今 回 作 成 した プ ロ トタ イ プCIRESで は,こ の標 準 色 を 採 用 して い る。画 像 に お け る そ れ ぞれ の画 素 は,RGB空 間 に お い て 最 も 距離 が近 い標 準 色 に よ って デ ィス プ レイ に表 示 され る。

2.4  そ の 他 の 標 本 画 像 表 示

  標 本 画像 を表 示 す る うえ で特 有 な 表 示 方 法 と して,相 対 表 示 を提 案 す る。 画像 化 さ れ て い る標 本 の大 き さは数 セ ンチ メ ー トル か ら1メ ー トル程 度 まで様 々で あ る に もか か わ らず,画 像 化 す る際 に は,ほ ぼ 同 程 度 の 大 きさに表 示 され る よ うに ズ ー ム比 を調 節 して 計 測 され てい る。 これ らの画 像 を 複 数 枚表 示 で並 べ て み る と,す べ て 同 じ よ う な大 き さの 印 象 を受 け て しま う。 計 測 時 の ズ ー ム比 の情 報 を 利 用 す る と,写 真6で 示 す よ うな 標 本 の大 き さに 対 応 した相 対 表 示 が 可能 とな る。

2.5考   察

  以上,非 適 応型 量 子 化 を 中 心 に そ の手 法 に つ い て述 べ た 。 こ こで は,カ ラ ー画 像 同 時複 数 枚 表 示 の うえ に,濃 淡 画 像 も同時 表 示 し よ う と して い るた め,基 本 的 に カ ラー ル ック ア ップ テ ー ブル 方 式 の グ ラ フ ィ ックス デ ィス プ レイ で 実 現 す るに は 無 理 が あ

(13)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号 る。 先 に 提 案 した 手 法(2.3.1節,2.3.2節),ま た は 紹 介 した手 法(2.3.3節)で 生 成 され た代 表 色 を あ ま り含 ま な い よ うな 画像 を表 示 しよ うと した 場 合,原 画像 と色 合 い の違 った表 示 とな る こ とが 起 こ り うる。3つ の 手 法 は,そ れ ぞれ 前 提 とな る条 件 が崩 れ る と予 想 に反 した カ ラー 画像 の表 示 とな る。 例 え ぽ,L*がV*空 間 を 利 用 した 方 法 で は,出 力 し よ うとす る デ ィス プ レイ 装 置 の 表 示 特 性 が違 うと,2.3.1節 の(3)式 示 した係 数 をそ の特 性 に応 じた 数 値 に 変換 しなけ れ ぽ,色 調 の違 った 画 像表 示 とな っ て し ま うで あ ろ う。 トレー ニ ソ グに よ る方 法 では,サ ソ プ リング され た 画 像 の 色 分布 に 近 い画 像 は比 較 的 自然 に表 示 され るが,代 表 色 に は 含 まれ ない よ うな 色 を た く さん 含 む 画像 を表 示 しよ うと した 場 合,原 画像 に忠 実 で な い表 示 とな る場 合 が あ る。 緑 の 量 子 化 レベ ル を多 くす る方 法 は,表 示 装 置や 画 像 に左 右 され な い反 面,濃 淡 表 示 が貧 弱 とな る 。

3量 子化画像 の符号化

  量 子 化 され た 色 画 像 を 対 象 に,量 子 化 特 徴 を 利 用 した 可 逆 符 号 化(Information Preserving Coding/Lossless  Coding)の 一 方 式 を提 案す る。

  対 象 画 像 は1節 で 述 べ た よ うに量 子 化 画 像 で あ るた め,多 値 画 像 を完 全 に 元 の 情 報 に復 元 で き る手 法 で な けれ ば な らな い。 可 逆符 号 化 に お け る従 来 技 術 と しては,2値 画 像 を対 象 とす る フ ァク シ ミ リに適 用 され て い る手 法 が 代 表 的 な もの で あ る。 方 式 と

して 最 も一般 的 な もの は,白 黒 画素 のそ れ ぞれ 続 く長 さ(ラ ン長)を 符 号 化 す る ラソ レ ン グ ス(run  length)符 号 化 で あ る 。 そ の 主 な も の を 以 下 に 列 挙 す る1吹 抜 1982}。

・ 剰 余 符 号

●Wyle

Oハ フ マ ソ  (Huffman)

●Modified  READ

● ビ ッ ト ・バ イ ・ ビ ッ ト

●DB2

●Modifiedハ フ マ ン

  しか しなが らいず れ も2値 画 像 に対 して の手 法 で あ り,こ こで対 象 と して い る よ う な 多値 画 像 の可 逆 符 号 化 方式 で は な い。 多 値 画 像 の可 逆 符 号化 方 式 と しては,2値

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像 に 対 し て の 手 法 を 多 値 に 拡 張 す る 方 法 が 考 え られ る 。

  一 方,濃 淡 画 像 及 び カ ラ ー 画 像 に 関 し て は,主 に 予 測 符 号 化(Predictive  Coding) と直 交 変 換 符 号 化(Orthogonal  Transform  Coding)に 大 別 され る が,い ず れ も不 可 逆 符 号 化(Non‑information  Preserving  Coding  /Lossy  coding)が 主 で あ る 。 我 々 は, 量 子 化 さ れ た 多 値 画 像 に 対 象 を 限 っ て,比 較 的 単 純 な ア ル ゴ リズ ム で 効 率 的 に 符 号 化,復 号 で き る可 逆 符 号 化 方 式 を 目的 と して い る。 特 に,復 号 の 場 合,特 別 な ハ ー ド

ウ ェ ア な ど を 使 用 し な くて も,ソ フ ト ウ ェ ア の み で も実 用 時 間 で 復 号 で き る も の を 目 的 とす る 。

3.1符 号 化 の 構 成

  以下 の3つ の 要 因 に よって 符 号化 が構 成 され る。

1.ラ ン レ ングス 符号 化 を基 本 とす る。

  これ は 「長 さ情報+画 素 情 報 」 を単 位 と して 符 号化 す る。

2.前 ライ ソの 画 素 を参 照 す る こ とに よ り,符 号 化 の効 率 化 を 図 る。

3.前 値 予 測 を採 用す る。

3.1.1 ランレングス 符 号 化

  同 じ値 に 量 子 化 さ れ た 画 素 が 続 く長 さ(ラ ン長)を 符 号 化 す る 。 こ れ は2値 画 像 の ラ ン レ ン グ ス 符 号 化 を 多 値 コ ー ド化 画 像 に 拡 張 した も の で あ る 。

3.1.2  画 素 情 報 の 符 号 化     前 ラ イ ン参 照 一

  い ま,符 号 化 し よ う と す る 画 素 をXと す る と,画 素Xは そ の8近 傍(画 素A,B, C,D,  E, F, G, H)の どれ か と 一 致,ま た は 色 空 間 で の 距 離 が 近 い と 予 測 され る(図 5)。 た だ し,ラ ス タ ー ス キ ャ ソで あ る の で,符 号 化 時 点 で 既 知 な の は 画 素A,B,  C,

A D F

B X G

C E H

図5対 象画素Xと その近傍

(15)

      国立民族学博物館研究報告別冊  17号 Dで あ る。X=Dの 場 合 は,3.1.1節 で 述 べ た ラ ン レ ソグ ス符 号 化方 式 で符 号 化 され た 場 合 にあ た る。 前 ライ ソを参 照 して以 下 の よ うに符 号 化 す る。

」¥=Aの 時 X=Bの X=Cの 上 記 以 外 の時

00 01 10 11

前 ライ ンA,B,  Cで 一 致 す る 場 合 は2bitで 符 号 化 さ れ る 。

3.1.3画 像 情 報 の 符 号 化     前 値 予 測(Predictive  Coding)

  こ の 方 式 は 差 分DPCM(Differential  Pulse Code  Modulation)と も 呼 ば れ る 。 予 測 の 方 法 と して は,現 在 の 画 素 の 値Xと 過 去 の 画 素 の 値 を 用 い てXを 予 測 した 予 測 値 Xe、tと の 予 測 誤 差eを 求 め,こ れ を 符 号 化 す る 。 前 値 予 測 で は,1つ 前 の 値1)に 予 測 係 数aを 乗 じ(図5の 場 合)。

Xest = aD

と す る 。 した が っ て,予 測 誤 差eは,

e= X— Xest= X— aD

とな り,こ れ を 量 子化 す る。a=1の 場 合 を こ こで は採 用 した 。

  た だ し,こ の 方 式 は,画 素 間 の 相 関 が 高 く差 分 信 号 が 小 さい こ とを前 提 と して い る。 今 回対 象 の デ ータ は,既 に量 子化 され て い るた め 画素 間 の相 関 が な く,そ の ま ま 差 分 を 符 号 化 して も効 率 的 な圧 縮 は望 め な い。 隣 接 画 素 の 相 関 を 高 め る た め に,カ

ラ ール ッ クア ップ テ ープ ル の並 び 換 え 及 び それ に基 づ い た 画素 値 の変 更 を 行 な う。 並 び 換 え の手 順 は 以 下 の よ うに な る。

1.カ ラ ー ル ッ ク ァ ッ プ テ ー ブ ル の 各 エ ン ト リー の 輝 度 レベ ル を 算 出 す る 。 輝 度 レ   ベ ル の 算 出 に は 次 の 式 を 使 う。

Y=R+G+B

こ こ で,       y:エ ン ト リー に お け る 輝 度 レ ベ ル

R,G,B:エ ン ト リ ー に お け るR,  G, B値

(16)

2.輝 度 レベ ル の 低 い 方 か ら 高 い 方 ヘ カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル の 並 び 換 え を 行   な う。

3.旧 カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル か ら 新 カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル へ の エ ソ ト リ ー の 変 換 テ ー ブ ル を 作 成 す る 。

 画 素 自身 の圧 縮 は変 換 テ ー ブル を参 照 し,新 しい エ ン ト リー値 と してか ら前 画素 と の差 分 を記 録 す る。

 以 上,3つ の 手 法 を組 み あわ せ る と以下 の形 式 の符 号 とな る。

・ラ ソ レ ソグ ス符号+画 素 符 号

・画素 符 号 は 以下 の2つ の場 合 に分 け られ る。

      00

1.  Ol          前 ライ ン3近 傍 の どれ か と一 致       10

2.   11+差 分 信 号    前 ライ ン3近 傍 の どれ と も不 一致

3.2  符 号 化 の 評 価

  512×512画 素 の 量 子 化 され た32枚 の 画 像(1枚:256キ ロバ イ ト)に 対 して,上 記 の 手 法 で圧 縮 した結 果 を 比較 した(表1)。 使 用 計算 機 はIBM3081‑K32で あ る。

  表 で 見 られ る よ うに,ランレングス 符 号 化 のみ の 場 合,原 画像 の30.8%に 圧 縮 され て い る。 また,ラ ン レ ングス符 号 化 と前値 予測,ラ ン レ ングス符 号 化 と前 ライ ン参 照 の組 み あ わせ で は,共 に26%程 度 の 圧 縮 率 とな って い る。 最後 に3つ の 手 法 の組 み あ わ せ では,平 均65キ ロバ イ ト,24.7%ま で圧 縮 され て い る。 実 験 結 果 か ら もわ か る よ うに,上 記 の手 法 の うち最 も効 果 のあ るの が ラ ン レ ング ス符 号化 で あ る。 これ は,標 本 画 像 の場 合,背 景 が か な り均 一 なた め ラ ン長 の長 い画 素 が 背景 部 分 に 発 生 して い る か ら であ る。 他 の2つ の 手 法 は,ランレングス 符 号 化 に比 べ る と圧 縮 の効果 は薄 い。

しか しな が ら,2つ あ わ せ て6%程 度 の 効果 を あ げ て い る。

  ま た,1枚 の 画 像 を 復 号 す るの に平 均0.95秒(試 作 復 号 プ ログ ラ ムに よる)と,実 用 時 間 内 で達 成 して い る。

(17)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号

表1圧 縮 アル ゴ リズ ム の評 価 画像番号

 2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

平 均 (%)

手 法1 (KByte) 89.3 68.8 70.1 30.6 62.4 61.4 54.O l12.3 96.3 81.l lO5.1 122.1 32.0 71.8 96.0 82.6 131.4 32.9 60.5 61.4 50.7 70.0 36.5 71.1 188.3 69.3 182.4 65.7 103.5 60.7 146.7 19.3 80.8 30.8

手 法1+2 (Kbyte) 85.6 72.1 64.7 30,3 59.3 56.1 53.0 99.9 69.6 60.5 95.3 110.3 29.4 70.3 71.9 64.5 115.8 27.5 56.0 56.7 47.6 64.6 33.0 59.8 145.6 62.5 136.0 58.3 87.7 51.0 104.O l6.1 69.2 26.4

手 法1+3 (Kbyte) 83.3 69.8 61.9 27.1 56.4 55.3 43.8 84.6 69.9 61.6 96.1 112.9 27.3 71.8 70.2 63.4 113.3 25.5 56.0 57.8 45.9 66.4 31.5 61.5 156.7 61.7 142.7 57.3 86.1 51.8 111.1 15.6 68.6 26.2

手 法1+2+3   (

Kbyte) 82.3 74。8 59.8 27。7 55.5

53.1 44.4 81.9 62.3 54.3 92.5 107.8 27.0 7L4

64.0 58.4 105.6 24.4 54.0 55.9 45.1 63.7 30.7 57.9 139.8 595 126.8 54.6 80.9 49.8 96.5 15.2

64.9 24.7

復 号 時 間   (

Sec.) 1.09 0.93 0.86 0.48 0。80 0、79 0.69 1.18 1、00 0,89 1.23 L42 0.49 0.95 LOO α91 1.44 0.48 0.79 0.81 0.68 0.89 053 0.86 1.93 0.86 1.81 0.81 1.15 0.76 L45 0.35

0.95

手 法1:ラ ン レ ングス 符 号 化 手 法2:前 値 予 測

手 法3:前 ライ ソ参 照

原 画 像=512×512×8bit=256  KByte 使 用 計 算 機:IBM3081‑K32

4  おわ りに

  カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル 方 式 の グ ラ フ ィ ッ ク ス デ ィ ス プ レ イ に よ り,カ ラ ー 画 像 と 濃 淡 画 像 を 同 時 表 示 す る た め の 非 適 応 型 量 子 化 手 法 と,量 子 化 画 像 を 前 提 と し た 圧 縮 技 法 を 報 告 した 。 量 子 化 に お い て ほ,カ ラ ー ル ッ ク ア ッ プ テ ー ブ ル 方 式 の グ ラ フ ィ ッ ク ス デ ィ ス プ レイ を 使 用 す る 限 り,そ の 表 示 に は 限 界 が あ る 。 しか しな が ら,制

(18)

約 され た 画 質 を前 提 とす る と圧縮 の面 にお け る利 点,つ ま り,原 画 像 に対 して 少 な く と も3分 の1の 容 量 で済 む とい う利 点 も備 え て い る。 さ ら に これ を圧 縮 す れ ば,3.2 節 の実 験 で み た よ うに,原 画 像 に対 して10分 の1の 程 度 の容 量 とす る こ とが で き る。

  圧 縮 に 関 して は,今 回 使 用 した 標 本 画 像 の よ うに,背 景 を 多 く含 む よ うな 画像 で は,積 極 的 に 背 景 を除 去 して 画 像 容量 の低 減 化 を 図 る こ と も一 法 で あ る。 この 場 合, 背景 除 去 の 自動 的手 法,抽 出 され た オ ブ ジ ェ ク トの表 示 方 法 な どが 問題 とな る であ ろ う。 今 回 の共 同 研 究 で も,背 景 除 去 が1つ の テ ー マで あ ったが,満 足 で きる背 景 自動 除去 手 法 は 開発 され なか った 。 また,一 般 的 な カ ラ ー画 像 の圧 縮 方 式 も これか らの 課 題 で あ り,色 の 特 性 を利 用 した 圧縮 方 式 が 開 発 され るべ きで あ る。

文 献

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写 真1L*u*v*空 間 を利 用 した 非 適 応 型 量 子 化(複 数 枚 色 画 像 表 示)

写 真2L*u*v*空 間 を 利 用 した 非適 応型 量 子 化(濃 淡 画 像 と色 画像 の 同時 表 示)

159

(21)

国立民族学博物館研究報告別冊  17号

写 真3  トレー ニ ングに よ る非 適 応 型量 子化(複 数 枚 色 画 像表 示)

写真4  トレー=ン グに よ る非 適 応 型 量 子化(濃 淡 画 像 と色 画 像 の 同時 表 示)

160

(22)

写 真5  そ の 他 の 非 適 応 型 量 子 化(Red‑2bit,  Green‑4bit,  Blue‑2bit)

写真6  相対表示

161

参照

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