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視覚・力覚・聴覚メディア伝送におけるユーザ体感 品質評価に関する研究

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

視覚・力覚・聴覚メディア伝送におけるユーザ体感 品質評価に関する研究

著者 立松 綾乃

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第889号 学位授与年月日 2013‑03‑23

URL http://id.nii.ac.jp/1476/00003029/

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学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

タテ マツ アヤ

立 松綾

博士(工学)

博第889号 平成25年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

視覚・力覚・聴覚メディア伝送におけるユーザ体感品質 評価に関する研究

(Study oll QoE Assess田ent in Visual, Haptic and Aud玉tory Media Transmission)

論文内容の要旨

 近年における計算機の高性能化,ブロードバンド通信の普及および触覚インタフェース 装置の登場により,医療分野,ロボット制御分野,芸術・教育分野等の様々な分野において,

力覚メディアとともに視覚,聴覚メディアを複数の端末間で伝送するアプリケーションが 用いられるようになってきている.また,視覚メディアについては,通常のビデオの他に,

立体ビデオや自由視点ビデオといった次世代のビデオに注目が集まっており,活発に研究 が行われている.

 本研究では,視覚・力覚・聴覚メディアを扱い,これらのメディアを一つ,二つ,あるい は三つ組み合わせて伝送する場合についてユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)の 評価を行う.また,QoEとサービス品質(QoS:Quality of service)との対応関係を明らかに するQoSマッピングを行う.まず,視覚メディアの伝送として,自由視点ビデオ伝送を扱 い,次に,視覚・力覚メディアの伝送として,三次元仮想空間での協調作業と競合作業,実 空間での立体ビデオ・力覚メディア伝送を扱う.そして,視覚・力覚・聴覚メディアの伝送 として,ビデオ・力覚メディア・サウンド伝送を扱い,ネットワーク遅延がQoEに及ぼす 影響を明らかにする.

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 本論文は以下の各章から構成される.

 第1章では,本研究に至った背景を示し,本論文における議論の前提となる要素技術を説 明する.そして,本論文の目的を示す.

 第2章では,自由視点ビデオ伝送において,ネットワーク遅延が合成画像伝送方式と画 像・奥行き画像伝送方式という二っの伝送方式のQoEに及ぼす影響を主観評価により明ら かにする.また,自由視点ビデオの仮想カメラのカメラワークやビデオコンテンツの特性 による影響も調べる.その結果,自由視点ビデオ伝送におけるQoEは,カメラワークやビ デオコンテンツの特性により,方式間の優劣が異なるため,目的(ユニキャスト,マルチキ ャヌト等)や状況(画像品質とインタラクティブ性のどちらを重視するのか)に応じて,二つ の方式を使い分ける必要があることを示す.

 第3章では,異種触覚インタフェース装置間の仕様の違いの吸収方法を検討している.仕 様の異なる四つの触覚インタフェース装置(PHANToM O皿ni, PHANToM Desktop,

SPIDAR-GAHSおよびFalcon)を用いて, CG(Compute懇Graphics)で構築された三次元仮 想空間における協調作業と競合作業を扱い,各装置の作業空開を仮想空聞ヘマッピングす

ることによって,装置開の作業空間の大きさの違いを吸収する.そして,マッピング方法が QoEの客観的な評価尺度である作業効果1作業効率に及ぼす影響を調査し,比較を行う.結 果として,3軸方向に一律にマッピングを行う方が,軸毎に必要なだけマッピングを行うよ

りも作業効果・作業効率ともに高くなることを示す.

 第4章では,力覚メディア・立体ビデオを用いた遠隔制御システムを対象とし,ネットワ ーク遅延がQoEに及ぼす影響を主観評価により調査する. QoEとして,触覚インタフェー

.ス装置の操作性,立体ビデオの出力品質,インタラクティブ性,および総合品質を評価す る.また,アプリケーションレベルQoSの評価も行い, QoSマッヒ゜ングにより,このQoS パラメータからQoEパラメータを全般に高精度に推定可能であることを示す.

 第5章では,力覚メディア・ビデオ・サウンド伝送において,メディア間のネットワーク 遅延の差と遅延揺らぎがQoEに及ぼす影響を主観評価により調べている. QoEとして,触 覚インタフェース装置の操作性,ビデオの出力品質,サウンドの出力品質,メディア間同期 品質,および総合品質を評価する.また,第4章と同様にアプリケーションレベルQoSの評 価を行い,アプリケーションレベルQoSとQoEとのQosマッピングにより,ほとんどの場 合においてアプリケーションレベルQoSパラメータからQoEパラメータを高精度に推定で

きることを示す.

 第6章では,本論文で得られた結論および今後の課題・展望を述べる.

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論文審査結果の要旨

 近年,教育・芸術分野,医療分野,ロボット制御分野等の様々な分野において,力覚メディアととも に視覚,聴覚メディアを複数の端末間で伝送する分散マルチメディアアプリケーションの研究開発が 活発に行われている.また,視覚メディアについては,通常のビデオの他に,立体ビデオや自由視点ビ デオといった次世代のビデオに注目が集まっている.

 本論文は,視覚・力覚・聴覚メディア伝送を扱い,これらのメディアを一つ,二つ,あるいは三っ組 み合わせて伝送する場合について,主観的および客観的なユーザ体感品質(QoE:Qua且ty of

Experience)を評価している.また, QoEとサービス品質(Qos:Quahty of Service)との対応関係を明ら かにするQosマッピングを行っている.

 第1章では,研究の背景と議論の前提となる要素技術を説明し,本論文の目的を示している.

 第2章では,視聴者が自由に視点を変更できる自由視点ビデオ伝送システムを用いて,ネットワーク 遅延が二っの伝送方式(合成画像伝送方式と画像・奥行き画像伝送方式)に対するQoEに及ぼす影響 を主観評価している.また,QoEに影響を及ぼす要因として,仮想カメラのカメラワークとビデオコン テンツの特性の違いを採り上げている.結果として,二っの伝送方式におけるQoEは,前述の要因によ って優劣が異なるため,目的(ユニキャスト,マルチキャスト等)や状況(画像品質とインタラクティブ 性のどちらを重視するのか)に応じて,伝送方式を使い分ける必要があることを示している.

 第3章では,現在様々な触覚インタフェース装置が開発されている中で,異なる装置を相互接続する 方法を検討している.具体的には,三次元仮想空間における協調作業と競合作業において,装置間の作 業空間の大きさの違いを吸収するためのマッピング方法を複数提案し,客観的なQoE評価尺度である 作業効果・作業効率を比較している.その結果,3軸方向に一律にマッピングを行う方法は,軸毎に必要 なだけマッピングを行う方法に比べて,作業効果・作業効率ともに高くなることを示している.

 第4章では,力覚メディア・立体ビデオを用いた遠隔制御システムを構築し,ネゾトワーク遅延が主 観的なQoEに及ぼす影響を調査している. QoEの評価項目として,触覚インタフェース装置の操作性,

立体ビデオの出力品質,インタラクティブ性,および総合品質を扱っており,ネットワーク遅延に対す るそれぞれの品質を定量的に示している.また,Qosマッピングを行い,アプリケーションレベルQos パラメータの計測値からQoEを全般に高精度に推定可能であることを示している.

 第5章では,力覚メディア・ビデオ・サウンド伝送システムを用いて,ネットワーク遅延がQoEに及 ぼす影響を主観評価している.評価では,メディア間のネットワーク遅延の差と遅延揺らぎを変化さ せることにより,触覚インタフェース装置の操作性,ビデオの出力品質,サウンドの出力品質,メディ ア間同期品質,および総合品質を定量的に示している.また,第4章と同様にQoSマッピングを行い,

ほとんどの場合においてアプリケーションレベルQosパラメータからQoEパラメータを高精度に推定 可能な推定式を導出している.

 第6章では,本論文で得られた結論および今後の課題・展望を述べている.

 上記の成果は,著書1編,解説記事1編,国内和文論文誌(査読あり)3編,および国際会議(査読あり)

3編の論文として発表されている.本論文は,IPネットワークにおける力覚・視覚・聴覚メディア伝送 において,QoEを向上させるためのメディア同期制御に代表されるQoS制御の設計指針を提供するも のであり,この分野の発展に寄与するところが大きい.よって,本論文は本学博士(工学)の論文とし て十分その価値を有するものと判断する.

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