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鋼の高周波誘導加熱による全体焼入れに関する研究

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Academic year: 2021

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(様式18号) 「論文博士用」

学 位 論 文 審 査 結 果 の 要 旨

申 請 者 氏 名 結城 敬史

学 位 論 文 題 目

SUJ2

鋼の高周波誘導加熱による全体焼入れに関する研究

主査 ・ 副査

主査 高橋 裕

副査 鈴木 泰之

副査 小竹 茂夫

副査 稲葉 忠司

審査結果の要旨

本論文では、

SUJ2

軸受鋼を高周波誘導加熱する技術に関して述べられている。通常のプロセスに おいて熱処理は雰囲気を管理した炉の中で行われるが、この技術により省エネルギー化と環境負荷 低減が期待される。

まず本研究では

900℃以上でのオーステナイト化における炭化物の溶解挙動について調べた。こ

の鋼ではマトリックス中に溶解している炭素量を加減することで焼入れ性を制御するために、炭化 物の一部が溶け残るようにする。炭化物の溶解速度は炭化物中のクロムの体拡散に律速されるが、

マトリクスの粒界上にある炭化物の粒界拡散の寄与もかなりある。オーステナイト化前の炭化物の 粒度分布だけでなく、成形による塑性変形によっても炭化物の溶解が影響されることがわかった。

次に、焼入れ条件の機械的特性に及ぼす影響について調べた。マトリックス中の炭素量が同じで あっても焼入れ温度が異なると残留オーステナイトの比率が変化するために、軸受の用途として要 求される機械的特性が影響を受ける。評価した項目は経年寸法安定性、静的負荷容量、耐摩耗性、

耐表面損傷性、せん断疲労強度、転動疲労寿命であり、炉により加熱した試験片をベンチマークと し、すべての項目において同等以上の特性となる条件を見出すことに成功した。

最後に、見出されたオーステナイト化条件を実現するための設備開発や運転パラメータ設定のた めのツールとして、電磁界解析と伝熱解析を連成させた有限要素法によるシミュレーションの適用 可能性について検討した。最適化の試行錯誤に対してシミュレーションが適用できれば開発時間と コストを大幅に削減できる。鋼の磁気特性に温度依存性の

B-H

曲線を用いることでキュリー点以下 の温度でシミュレーションの温度予測が実現象に対して高い確度を有した。しかし、キュリー点以上の 温度では変態潜熱のピーク温度を高温側にシフトさせた比熱を用いることで確度を改善することが 必要であることがわかった。

したがって、以上の内容は

SUJ2

鋼の高周波誘導加熱の工業的適用の可能性を示唆するだけでな

く、学術的にも鋼の急速加熱に対して有意義な知見をもたらし、博士の学位に価すると判断された。

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