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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

著者 藤田 正, 清水 益治, 伊谷 實

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 8

ページ 101‑108

発行年 1999‑03‑31

その他のタイトル A Study of Student's Images about Student

Guidance and Educational Couseling in

University of Teacher's Training Course

URL http://hdl.handle.net/10105/4239

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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

藤 田   正

(奈良教育大学心理学教室)

清 水 益 治

(奈良保育学院)

伊 谷   寅

(伊谷教育相談室)

AStudyofStudent sImagesaboutStudentGuidanceand

EducationalCousellngin UniversItyOfTeacher sTrainlngCourse

TadashiFUJITA

(DepartmentofPsychology,NaraUniversityofEducation)

Masuharu SHIMIZU

(NaraTeacher sCollegeofEarlyChildhoodEducation)

MinoruITANI

(ItaniEducationalCounselingRoom)

要旨:「生徒指導Ⅲ」(中学校教員養成課程用)を受講している1回生87名を対象に生徒指導の 授業の初回と最終回にSD法(17個の形容詞対)を用いて「生徒指導」と「教育相談」について のイメージを現在、高校時代、中学時代についてそれぞれ評定させた。その結果、いずれの時代 においても生徒指導についてはやや否定的なイメージが強かった。教育相談については、中性的、

あるいは肯定的なイメージが強かった。

また、授業の効果を調べるために、「生徒指導」と「教育相談」について初回と最終回の評定 値を比較した。その結果、生徒指導では、中性的、あるいは肯定的なイメージに変化したもの、

逆に否定的なイメージになったものなど、かなりの項目に変化が見られた。それに対して、教育 相談において変化が見られたのはわずかであった。

キーワード:生徒指導と教育相談、SD法

Keyword:StudentGuidanceandEducationalCounseling,SemanticDifferentialMethod l.問 題

学校での教育活動は、大きく「学習指導」と「生徒指導」に分かれる。そして両者が相互補完 し合うことによって教育本来の効果が上がることが期待されている。『生徒指導の手引き(改訂 版)』(文部省,1981)には、「生徒指導は、すべての児童・生徒を対象に、それぞれの人格のより 良き発達を目指すとともに、学校生活が有意義にかつ興味深く、充実したものになるようにする ために指導・援助を行う。」という主旨の内容が記されている(p.1−7)。

近年の不登校、いじめ、非行、受験競争の激化などにより、以前よりも一層、学校教育の場で

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は、さまざまな形で生じる問題に対処できる、実践的指導力をもった教員が求められるようになっ てきた。したがって、教員養成の段階でも、実践的指導力の基礎的な能力をもっ教員の養成が期 待され、免許法上必要な授業科目として、大学は「生徒指導」の授業を展開している。

しかし、学生達が生徒指導の授業において生徒指導の目標や意義・機能を学んだ時、それまで に自分たちが学校教育の中で受けてきた生徒指導の実際とのギャプを大きく感じている者が多い。

彼らが体験してきたのは、校則を基本として、それに違反する行為に対する厳しい検査や指導で あり、それが生徒指導であるかのように受け取っていたようである。授業後の感想文の内容も、

生徒指導と言えば、『管理、校則違反、非行、厳しい、怖い、うるさい….』などの言葉が多くの 学生から挙げられていた。したがって、指導の中心が不良・非行などを犯す児童・生徒を対象と して行うべきものものであると感じており、このようなマイナスのイメージを拭い去ることので きない学生が多かった。

このような学生の状態は、岩井(1991)によって教員養成大学の学生を対象に行われた組織的 な調査によっても明らかにされている。岩井は、生徒指導、教育相談、進路指導について小学校、

中学校、高等学校時代にどんな体験をし、現在どのようなイメージをもっているかについて自由 記述法を用いて調査を行っている。「生徒指導」という言葉から思い出すものには、「校則違反等 のチェックのための検査・監視」、「問題生徒の個別指導」、「体罰・没収」など、もっぱら教師が 生徒を取り締まる場面があげられている。不登校やいじめなど教育相談に関する内容は、ほとん どみられなかった(p.80−81)。それに対して、「教育相談」については、自分の経験した教育相 談が少なかったせいか、一般的な知識として、進路、成績、勉強などの内容でカウンセリング的 な要素のものは含まれていなかった(p.81−83)。この調査は、教育職員免許法の改正(1991年)

により、生徒指導、教育相談、進路指導に関する科目の新設が必要となり、授業内容を新たに構 築していくための手掛かりを得るために行われたものである。

本研究は、生徒指導の授業担当者として、教員を志望する者にとって生徒指導の実践的な基礎 的力量を習得させるために、どのような生徒指導の授業内容、展開が必要であるのかを検討する 手掛かりを得るために行ったものである。本研究では、学生が生徒指導の授業を受ける前に中学 時代、高校時代、現在もっている生徒指導のイメージの違いについて比較すること、及び生徒指 導を実践する中で重要な役割を果たす教育相談のイメージと生徒指導のイメージを比較すること を第一の目的とした。

さらには、授業を通して、生徒指導の本来の目的、意義、機能、方法などが十分理解されてこ そ、生徒指導のへの基礎的な能力養成の効果も上がるものと思われる。生徒指導の授業開始時と 全授業終了後に「生徒指導」と「教育相談」イメージを調査し、イメージがどのように変化した かを捉えることにより授業の効果を調べることを第二の目的とした。

このような目的を達成するために、岩井(1991)が用いた自由記述法とは異なる方法であるS D法を用いることにした。SD法を用いたのは、イメージの比較が容易にでき、統計的処理が利 用しやすいという理由である。

なお、生徒指導の授業の構成は、以下のような内容を基本として14回(約28時間)を展開した。

『第1章 生徒指導の基礎、第2章 生徒理解の基礎、第3章 青年期の発達的特徴、第4章 教育相談、第5章 思春期の問題行動、第6章 生徒指導体制・組織のあり方、第7章 中学校 における生徒指導の実践より』の内容であった。

なお、大学教官が生徒指導の理論的な基礎についての講義を終了した後、最後の2つの章につ

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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

いては、教育現場における生徒指導の実態を学生諸君に知ってもらう目的で、教育現場で生徒指 導を実践し、研究してきた第3著者(伊谷宴)が4時間の授業を担当した。また、教育相談につ

いては、教育相談の意義、カウンセリングの理論と方法、カウンセリングマインド、カウンセリ ングの事例などの内容で、合計6時間程度の授業を行った。

2.方 法 2.1∴調査対象

調査対象は、奈良教育大学中学校教員養成課程1回生87名(男子35名、女子52名)であった。

2.2.材 料

イメージ評定のために用いた形容詞の対尺度は、図1〜7に示すような17個の形容詞対であっ た。これらの形容詞対は、第2著者である清水益治が、幼稚園教員養成系の専修学校の1年生55 名を対象にして「生徒指導」という言葉から連想する形容詞を3つずっ書かせ、その結果に基づ き産出頻度の高いものから17個選び、それぞれの形容詞と反対の意味をもつ形容詞とを対にして 尺度を構成したものである。なお、評定は、7段階評定尺度となっていた。結果の処理に際して

の得点は、各尺度の左側の「とても」を1点、右側の「とても」を7点として算出した。

2.3.手続き

評定に際しての一般的な教示を述べ、最初に現在持っている「生徒指導」のイメージの評定を 求めた。続いて、高校時代、中学時代に持っていたイメージについて評定を求めた。生徒指導に ついての評定が終わった後で、「教育相談」について現在もっているイメージを評定してもらっ た。なお、実施は生徒指導の授業の開始日と約5カ月後の講義の最終日の授業中に一斉に実施さ れた。

3.結果と考察

3.1.中学校時代・高校時代・現在における生徒指導のイメージの比較 3.1.1.生徒指導のイメージ ー形容詞対尺度ごとの比較一

図1は、中学校時代・高校時代・現在の評定値を平均した値についてプロフィールを措いたも のである。評定尺度の4を平均と考えて、それと各尺度の平均値との差についてt検定を行った。

その結果、「速い−遅い」「よい−悪い」「大きい一小さい」「正しい一間違った」の形容詞対を除 いて残りの形容詞対は5%水準で有意であった。これらの4つの形容詞対を除き、評定尺度の4 との差の絶対値が大きい順から生徒指導のイメージをみると、「強制的」「やかましい」「かたい」

「大変な」「難しい」「きびしい」「つらい」「細かい」「暗い」「辛い」「古い」「激しい」「気持ち悪 い」というものであった。さらに、母平均からの隔たりが評定値の上で1以上である場合に、そ のイメージが比較的強いと考えるならば、生徒指導のイメージは、「強制的」「やかましい」「か たい」「大変な」「難しい」「きびしい」「つらい」というものであると言える。この結果は、岩井

(1991)の調査結果と類似している。

(5)

やさしい 古い 細かい 大変な 明るい 気持ち惑い 速い 強制的 難しい 甘い かたい やかましい 楽しい 激しい よい 大きい 正しい

図1 生徒指導についてのイメージ

3.1.2.プロフィール全体の生徒指導のイメージの類似性について−D得点の比較による分析一 図2〜4は、中学校時代・高校時代・現在における生徒指導のイメージ評定平均値をプロフィー ルに表して2つずつを比較したものである。

最初に現在と高校時代、現在と中学時代、高校時代と中学時代のイメージの頬似性をみるため に、それぞれの評定時期における評定値間の差異得点であるD(discrepancy)得点の平均値を 算出した。この得点は、小さい程、2つの時期のイメージの類似性が高いことを示す。D得点の 平均値は、現在と高校時代(4.98)、現在と中学時代(5.35)、高校時代と中学時代(5.73)であっ た。それぞれの時期の間の平均値についてt検定を行った結果、いずれの間も有意でなかった。

この結果は、3つの時期での生徒指導に対するイメージが比較的類似していることを示している。

3.1.3.中学・高校時代・現在の生徒指導のイメージの比較

図2〜4のそれぞれについて形容詞対ごとに1要因の分散分析を行った。その結果、共通して 有意差のなかった形容詞対は、「細かい−おおざっぱな」「明るい一暗い」「気持ち悪い一気持ち よい」「速い一遅い」の4対であった。残りの形容詞対はいずれも5%水準以上で有意であった。

有意であった形容詞対について下位検定の結果をまとめてみると次のようになる。

現在と高校時代、現在と中学時代、高校時代と中学時代の差について形容詞対ごとにt検定を 行った。その結果、現在と高校時代の比較(図2)では、1%水準で有意になったものは、「古 い−新しい」「大変な一楽な」「難しい−易しい」「正しい一問違った」であり、5%水準で有意 であったものは、「かたい−やわらかい」「楽しい一つらい」「よい一わるい」「大きい−小さい」

であった。現在と中学時代の比較(図3)では、1%水準で有意になったものは、「やさしい−

きびしい」「難しい−易しい」「正しい一間違った」であり、5%水準で有意になったものは、

「大変な一楽な」「強制的一自発的」「やかましい一静かな」「激しい一穏やか」「よい−悪い」で あった。高校時代と中学時代の比較(図4)では、「やさしい−きびしい」「強制的一自発的」

「甘い一辛い」「やかましい−静かな」「激しい一穏やかな」のすべてが1%水準で有意であった。

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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

以上、3.1.1.から3.1.2.の結果より明らかになったことは、全体の傾向として、生徒指導に対し て「きびしい」「大変な」「強制的」「かたい」「やかましい」というイメージを強くもっているこ

とが明らかになった。

生徒指導は、本来すべての児童・生徒を対象にして人格の知的・身体的・精神的な各側面、子 どもたちが直面する諸問題への対処能力などを発達させるために行われる総合的な教育活動であ る。そのため「生徒指導」には、臨機応変な「指導・援助」が必要とされる。しかし、学生達が 受けてきた生徒指導の現状は、イメージ評定の結果

に表れたように、どちらかと言えば子どもたちの問

題行動の「指導」に偏っていると考えられる。   やさしい また、中学校時代と高校時代の生徒指導のイメー

ジを比較した結果は、高校時代に比べて中学時代の 方が「きびしい」、「強制的な」というイメージを強 くもっている。思春期の前半にある中学生の方が第 2次性成長に伴う身体面、性的成熟に伴う大きな変 化から、情緒的、精神的に不安定になりがちであり、

さらに高校受験という精神的な圧迫の影響が、日常 生活の中にも表れている可能性が高い。このような 状況の中で外面的にも、内面的にも問題を抱えやす い発達段階にあるのが中学生の時代である。したがっ て、外に表れやすい問題行動への対処のみならず、

内面的に抱えた問題に対しての相談活動などへの方 策も大切である。

なお、用いた形容詞対の内、「速い−遅い」「大き

と−現在・−・‥中学 て

きびしい 新しい おおざっぱな 楽な 暗い 気持ちよい 遅い

自発的 易しい 辛い やわらかい

な   い   か       い   っ か   ら   や   い   さ   違 静   つ   穏   悪   小   間

図3 現在と中学時代の生徒指導についてのイ メージの比較

古い 細かい 大変な 明るい 気持ち悪い 速い

L

的   い       い   ま   い   い     い   い 制   し   い   た   か   し   し   い   き   し 強   敵   甘   か   や   楽   激   よ   大   正

現在と高校時代の生徒指導についてのイ メージの比較

と か や ふ や か と 一一一高校・…一中学

て な や つ や な て も り   う   り も

やさしい −⊥一⊥−⊥㌧⊥レ ] − きびしい 古い

細かい 大変な 明るい 気持ち懸い 速い 強制的 難しい 甘い かたい やかましい 楽しい 激しい よい 大きい 正しい

l 一八」」_⊥ユ おねぎ,はな

こI

l l とム_1111 崇な 暗い 気持ちよい

..」_」一一連11」掛、

_」一議こ_」」⊥⊥ 自発的 111 卑しい

_′ ̄

】−」 辛い 1㌦でIll一一」− やわらかい

=竺妄==:

:==斗」」エ

静かな つらい 穏やか 悪い 小さい 間違った

図4 高校時代と中学時代

(7)

い一小さい」「正しい−間違った」の3つは、生徒指導や教育相談のイメージと結びつきにくい ため、評定値が4の どちらでもない′′ に偏ったとも考えられる。

3.2.「生徒指導」と「教育相談」に対するイメージの比較

図5は、「生徒指導」と「教育相談」に対する現在のイメージ評定の平均値をプロフィールに したものである。それぞれの形容詞対について平均値の差についてt検定を行った。その結果、

「細かい−おおざっぱな」「速い−遅い」「大きい一小さい」の3項目を除いた14項目において5

%水準以上で有意差がみられた。

生徒指導と教育相談の評定値が同じ方向にあり有意差のあった形容詞対の内、生徒指導の方が よりその傾向が強かったのは、「大変な」「難しい」「辛い」「つらい」であった。逆に、「教育相 談」の方がよりその傾向が強かったのは、「良い」「正しい」の2つであった。また、有意差のみ

られた形容詞対で対照的な評定の見られた形容詞対の内、生徒指導の方がよりその傾向が強かっ たのは、「きびしい」「古い」「暗い」「気持ち悪い」「強制的」「かたい」「やかましい」「激しい」

の形容詞対であった。それに対して「教育相談」

の方がその傾向が強かったのは、「やさしい」

「新しい」「自発的」「穏やか」の形容詞対であっ た。

やさしい 古い

教育相談は、生徒指導を実践していくの中で 細かい

大変な

も有効な方法のひとっである。生徒の抱える問 明るい 題への解決を目標とする治療的な側面と、生徒 気持ち熟、」

個人のもっ発達の可能性を引き出す開発的な側 速い

強制的

面とがある。生徒指導の本来の目標を達成する 難しい ためには、この両方がうまく機能することが大 甘い 切である。教育相談における援助・助言活動は、かたい

やかましい

児童・生徒の持つ悩みや困難な課題の内容が、 楽しい それぞれの個人によって異なるので、全体を対 激しい 象とするような一般的な指導だけでは解決でき芸い ない場合が少なくない。したがって、多くの場 正しい

−生徒指導 一一一教育相談

きびしい 新しい

おおざっぱな 楽な 暗い 気持ちよい i臥ヽ 自発的 易しい 辛い やわらかい 静かな つらい 植やか 悪い 小さい 間違った

合、個別カウンセリングなどの個別指導の中で 図5 生徒指導と教育相談についてのイメージの比 の援助や助言が必要となってくる。         較

3.3.授業による「生徒指導」と「教育相談」のイメージの変化

受講学生の中から1回目(授業開始前)と2回目(授業終了後)の調査に参加した46名のデー タを用いて分析を行った。図6は「生徒指導」、図7は「教育相談」について、1回目と2回目 のそれぞれの形容詞対における評定値の平均をプロフィールにし、イメージの変化を比べたもの である。

「生徒指導」と「教育相談」のそれぞれについて、1回目と2回目のそれぞれの形容詞対にお ける評定値の平均を用いてt検定を行った。その結果は、以下の通りである。

「生徒指導」に関しては、「古い−新しい」「大変な−楽な」「明るい−暗い」「気持ち悪い−気

持ちよい」「強制的な一自発的な」「難しい一易しい」「かたい−やわらかい」「やかましい−静か

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教育大学生における生徒指導と教育相談のイメージ

な」「よい−わるい」「正しい一問違った」の10個の形容詞対が1%水準で有意であり、「細かい−

おおざっぱな」「大きい一小さい」の2個の形容詞対が5%水準で有意であった。

これらの形容詞対の変化の仕方は、①「ふつう(4)」を越えてイメージが変わったもの:「古い

→新しい」「気持ち悪い→気持ちよい」の2尺度、②「ふつう(4)」に近づいたもの:「暗い→」

「強制的→」「かたい→」「やかましい→」の4尺度、③「とても(1)」に近づいたもの:「細かい」

「大変な」「難しい」「よい」「大きい」「正しい」の6尺度に分けることができる。

一方、「教育相談」に関しては、「やさしい−さびしい」の形容詞対においてのみ5%水準で有 意な変化(②「ふつう(4)」に近づいたもの)が見られた。

・・・.一前

‡悪書 一一一後 やさしい

古い 細かい 大変な 明るい 気持ち悪い

杓   い       い い   制   し   い   た

連   動   雛 . 甘   か

り も

ー 1− きびしい        やさしい 新しい         古い おおざっぱな      細かい

暗い      明るい 気持ちよい       気持ち悪い

」 il削、         速い

⊥ 自発的        強制的

」⊥ 易しい        難しい 辛い         甘い

⊥ やわらかい       かたい 静かな         やかましい つらい         楽しい 緩やか        激しい 悪い      よい

′1、さい        大きい

−」一 問違った       正しい

− 前 一一一 後

きびしい 新しい

おおざっぱな 菜な 暗い 気持ちよい 遅い 自発的 易しい 辛い やわらかい 静かな つらい 穏やか 悪い

小さい 間違った

図6 授業による生徒指導のイメージの変化    図7 授業による教育相談のイメージの変化 以上の結果は、授業を通して、生徒指導の目標や機能、思春期の精神面と身体面における発達 の特徴、教育相談の役割、カウンセリングの方法などの基礎的な理論や原理の学習に加えて、新 聞記事などのタイムリーな資料の活用、教育現場での生徒指導実践者による現在の中学校におけ る生徒指導の現実の厳しさ、実際に経験した生徒指導や教育相談の事例の話などを通して、現在 の教育現場における生徒指導の大変さ、厳しさ、必要性に気づいて行ったことが、「生徒指導」

のイメージを変化させることに影響したものと考えられる。

義務教育の現場で長年にわたり生徒指導の実践を経験した者が、最後の2回分の授業を担当し た。このことにより大学の教官が行った生徒指導や教育相談の基礎的な理論や原理についての知 識と教育現場での実践との関係がより明確になった。このことは、授業後の学生の感想の中に、

これに関連するような感想が多く見られたこと、具体的な対応の仕方についての質問が増えたこ となどからも裏付けられる。授業を構成して行く際、必要に応じて適宜生徒指導実践者による実 践の内容を授業の中で行っていくことの有効性を強く感じた。

「教育相談」のイメージは、変化した項目が少なかったが、岩井(1991)の報告でも明らかに

されたように実際に教育相談を体験したことがなかったこと、さらには、生徒指導に関する内容

の授業時間数と比べ教育相談の授業時間数が少なかったことにより変化したものが少なかったこ

とが考えられる。平成11年度から実施される新免許法に基づく新しい本学のカリキュラムでは、

(9)

「教育相談(必修)」(2回生前期)は独立した授業科目として展開されることになるので扱われ る内容も豊富になる。したがって、「指導」と「相談」という生徒指導の本来の目標や機能を達 成するための指導力を身につけさせるのに効果をもつことが期待できる。

引用文献:

1)岩井勇児:「生徒指導・教育相談・進路指導のイメージ」,『愛知教育大学研究報告』,40

(教育科学編),pp.79−92,1991.

2)文部省:「生徒指導の手引き(改訂版)」,『大蔵省印刷局』,1981.

付 記:本研究は、日本教育心理学会第40回総会(1998年7月)、及び関西心理学会第110回大会

(1998年12月)において研究発表したものを基本に論文にまとめたものである。データの分析に

際しては、心理学専攻生 重松紀子さん、武市至穂里さん、丸岡優子さん、丸橋詳子さんの協力

を得た。記して厚くお礼申し上げます。

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