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新事業分野への取り組みと雇用創出へ向けた企業の 挑戦

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(1)

新事業分野への取り組みと雇用創出へ向けた企業の 挑戦

著者 上野 哲郎, 井出 健二郎, 福田 好裕, 山崎 秀雄,  当間 政義, 丸山 一彦, 平井 宏典, 大坪 史治

雑誌名 和光経済

巻 47

号 3

ページ 53‑60

発行年 2015‑03

URL http://id.nii.ac.jp/1073/00003847/

(2)

1. 研究の目的

 日本は,米国に端を発したリーマンショックや 欧州の金融経済危機,東日本大震災やその後の原 発事故あるいは,パナソニックやシャープ等の国 内大企業の収益性悪化等々,国内外において,社 会の中の様々な問題に直面している現状にある。

このような時,新成長戦略として 2010 年に「元 気な日本」復活のシナリオが閣議決定された。こ れは,経済産業省の主導により取り組まれたもの である。ここでは,需要を創造するために重要と なるのが課題解決型の国家戦略である,としてい る。この考え方にもとづいて,新成長戦略では,1. 

グリーン・イノベーション戦略,2. ライフ・イノ ベーション戦略,3. アジア経済戦略,4. 観光・地 域戦略を成長分野に掲げている。そしてこれらを 支える基盤として,5. 科学・技術・情報通信分野,

6. 雇用・人材分野,7. 金融分野の 3 分野を重要分 野として掲げている。すなわち,合計の 7 つの 戦略を重点的に推進することとしている。そこで,

〈資 料〉

新事業分野への取り組みと雇用創出へ向けた企業の挑戦

Efforts for New Fields and Challenge towards the Job Creation of Corporations

上 野 哲 郎    井 出 健二郎    福 田 好 裕    山 崎 秀 雄 当 間 政 義    丸 山 一 彦    平 井 宏 典    大 坪 史 治

Abstract

The government adopted the New Growth Strategy (Blueprint for Revitalizing Japan) upon  a cabinet decision in 2010. The corporate acknowledgment and understanding are important  in the diffuse of the New Growth Strategy. Then, in order to clarify the activities of “the  Asian economy” and “green innovation”, questionnaire survey was carried out.

【キーワード】

新成長戦略,アジア経済戦略,グリーン・イノベーション戦略,インターネット調査,教育(学習)

経済産業省が掲げる新成長戦略の考え方が,実際 に企業の経営において,どのような取り組みがな されているのかについて,我々は,研究する意義 があると考えている。すなわち,激変する経営環 境の中で,上記の成長分野を主としてドメイン(事 業領域)とする日本の企業が,いったいどのよう なビジネスを展開しており,そして新たな需要と 雇用の創造を目指しているのかを明らかにするこ とが重要であると考えている。特に,本研究では,

今後,日本の大部分を占める中小企業による国際 競争力の強化および地域活性化において,とりわ け関連が深いと考えられる成長戦略の中から「ア ジア戦略」と「グリーン・イノベーション戦略」

の 2 項目を設定した。これらについて,企業経営 の実態を調査することにより,その特徴や指向性 について調査研究を行い,示唆を見出すことを目 的としている。

1.2. 調査票の設計

 調査票の質問項目の作成にあたって,我々は,

各自の研究専門分野にかかわる質問を作成し,共

Tetsuro Ueno Kenjiro Ide Yoshihiro Fukuda Hideo Yamazaki

Masayoshi Toma Kazuhiko Maruyama Hironori Hirai Fumiharu Otsubo

(3)

『和光経済』第 47 巻第 3 号

54

同研究会においてそれらの質問項目を検討した。

そして調査に最適と考えられる質問項目を選定し た。

 以上のプロセスを経て,調査票を作成した。

1.3. 調査対象者と実査

 本研究は,日本の大部分を占める中小企業によ る国際競争力の強化および地域活性化に重点をお いており,このことに関連する情報が得られるよ うに,調査対象者を以下のように設定した。

 ・中小製造業勤務者(従業員数50〜300人程度)

 ・1 都 6 県(東京,神奈川県,茨城県,栃木県,

群馬県,埼玉県,千葉県)に所在地のある会 社(本社および支社,支店,工場,営業所な どを含む)に勤務している者

 ・係長職以上の者

 調査対象者は,調査会社

1)

の全国モニターから,

上述の条件に該当する回答者をランダムサンプリ ングによって 167 人抽出した。この 167 人に対し て,調査票を使用して,2014 年 2 月 1 日〜 28 日 にインターネット調査を行った。その結果,有効 回答数は 167 人(有効回答率 100%)であった。

2. 回答者属性の集計

 回答者の属性を次に示す。勤務地は,東京都 が 72.5%,神奈川県が,27.5%であった。居住地 は,東京都が 40.1%,神奈川県が 40.1%,千葉県 が 11.4%,埼玉県が 7.8%,静岡県が 0.6%であった。

 役職は,社長が 1.2%,取締役が 9.6%,部長(常 務を含む)が 26.9%,課長が 62.3%であった。男 女の割合は,男性が 95.2%,女性が 4.8%であっ た。年代では,30 代が 4.3%,40 代が 32.3%,50 代が 52.7%,60 代が 10.8%であった。

 勤務先企業の規模は,従業員数が 60 〜 89 人 が 22.8%,90 〜 119 人が 22.2%,120 〜 149 人が 16.8 %,150 〜 199 人 が 13.8 %,200 〜 249 人 が 24.6%であった。

 以上の回答者属性より,本研究の狙いとする対 象者が,本調査の回答者として得られていると言 える。これらのデータを使用し,次章以降で本研

究目的を導出する分析考察を行う。なお,複数回 答の集計においては,分母は総回答者数ではなく,

総回答個数に対する割合で算出している。

3. 調査の結果

3.1. アジア戦略の質問と調査結果

 3.1.1 貴社のアジアにおける海外事業活動の 現状はどの段階にありますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

19.2%

15.0%

18.6%

6.0%

41.3%

直接貿易(アジア)

業務・技術提携(アジア)

直接投資(アジア)

アジア以外で海外事業活動あり 海外事業活動なし

 3.1.2 今後の展開として海外事業活動につい てどのようにお考えですか。(いくつでも)

1 2 3

14.5%

8.7%

79.7%

アジア地域への展開に興味がある

アジア地域以外(欧州等)への展開に興味がある 海外事業活動を展開する予定はない

 3.1.3 貴社が海外事業活動を展開している国 をお答えください。(いくつでも)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

75.0%

15.9%

34.1%

34.1%

13.6%

17.0%

29.5%

12.5%

12.5%

1.1%

9.1%

1.1%

中国 香港 韓国 台湾 インドネシア シンガポール タイ フィリピン ベトナム ミャンマー  マレーシア その他

 3.1.4 アジア経済が貴社のビジネスの戦略的 展開に影響を与えていますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

10.8%

14.4%

21.0%

32.9%

21.0%

何も影響がない あまり影響がない どちらとも言えない 少し影響がある 大いに影響がある

(4)

新事業分野への取り組みと雇用創出へ向けた企業の挑戦

55

 3.1.11 アジア戦略のまとめ

 アジア戦略に関する質問の回答結果について述 べることにする。

(1)海外事業活動の現状については,「海外事 業活動なし」と回答する割合が最も多く 41.3%であった。アジアにおける直接貿易

(19.2%),業務・技術提携(15.0%),直接投 資(18.6%)は,それぞれ 2 割程度に留まっ ている。

(2)海外事業活動の今後の展開については,「海 外事業活動を展開する予定はない」と回答 する割合が最も多く 79.7%と約 8 割に上った。

一方で,「アジア地域への展開に興味がある」

と回答する割合は 14.5%と少数であった。

(3)海外事業活動を展開している国については,

中国が最も割合が高く 75.0%,2 番目は韓国,

台湾がともに 34.1%,そしてタイが 29.5%と 続いた。

(4)アジア経済が自社のビジネスの戦略的展開に

 3.1.5 進出先国を決定した要因をすべてお選

びください。(いくつでも)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

34.1%

37.5%

2.3%

6.8%

10.2%

4.5%

2.3%

40.9%

9.1%

19.3%

3.4%

19.3%

10.2%

1.1%

2.3%

6.8%

市場規模が大きい 市場の成長性

市場の閉鎖性・特殊性が少ない 政治的・社会的に安定している 親日的な国である

税制面など優遇措置が充実している 法制度・法運用などが整備されている 人件費が安い

優秀な,又は必要な人材が豊富である  人件費以外のビジネスコストが安い  為替リスクが少ない

関連産業が集積している 出張など利便性が高い  語学上の障害が低い 現地情報が入手しやすい その他

 3.1.6 海外(アジア)の文化を十分に理解し て製品・サービスの開発を行っていま すか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

1.1%

22.7%

36.4%

33.0%

6.8%

全く理解していない それほど理解していない どちらとも言えない 少し理解している 大いに理解している

 3.1.7 海外(アジア)市場への戦略(現地法 人との戦略的提携を含む)は積極的で すか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

1.1%

14.8%

40.9%

30.7%

12.5%

全く積極的ではない それほど積極的ではない どちらとも言えない 少し積極的である 大いに積極的である

 3.1.8 海外(アジア)の人材を受け入れる場合,

雇用体制に影響は出ますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

5.7%

25.0%

34.1%

28.4%

6.8%

何も影響がない あまり影響がない どちらとも言えない 少し影響がある 大いに影響がある 

 3.1.9 円建て・ドル建て等,決済の仕方は海 外進出する上で経営面においてどのくら い影響しますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

0.9%

11.6%

25.0%

37.5%

25.0%

何も影響がない あまり影響がない どちらとも言えない 少し影響がある 大いに影響がある 

 3.1.10 テロや災害等のリスクマネジメントの 理解や教育は積極的に行っています か。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

17.4%

31.7%

27.5%

16.8%

6.6%

全く積極的ではない それほど積極的ではない どちらとも言えない 少し積極的である 大いに積極的である 

展開に影響を与えていますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

10.8%

14.4%

21.0%

32.9%

21.0%

何も影響がない あまり影響がない どちらとも言えない 少し影響がある 大いに影響がある

 3.1.8 海外(アジア)の人材を受け入れる場合,

雇用体制に影響は出ますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

5.7%

25.0%

34.1%

28.4%

6.8%

何も影響がない あまり影響がない どちらとも言えない 少し影響がある 大いに影響がある 

(5)

『和光経済』第 47 巻第 3 号

56

影響があるか否かについては,「大いに影響 がある」21.0%と「少し影響がある」32.9%

を含めると約 5 割が影響ありと回答している。

(5)進出国を決定した要因については,「人件費 が安い」が最も割合が高く 40.9%であった。

2 番目は「市場の成長性」37.5%,3 番目は「市 場規模が大きい」34.1%であった。

(6)海外(アジア)の文化を十分に理解して製 品・サービスの開発を行っているかについて は,「どちらとも言えない」が最も割合が高 く 36.4%であった。2 番目は「少し理解して いる」33.0%,3 番目は「それほど理解して いない」22.7%であった。

(7)海外(アジア)市場への戦略は積極的か否か については,「どちらとも言えない」が最も 割合が高く 40.9%であった。2 番目は「少し 積極的である」30.7%,3 番目は「それほど 積極的でない」14.8%であった。

(8)海外(アジア)の人材を受け入れる場合の 雇用体制への影響については,「どちらとも 言えない」が最も割合が高く 34.1%であった。

2 番目は「少し影響がある」28.4%,3 番目は「あ まり影響がない」25.0%であった。

(9)決済の仕方が海外進出する上での経営面への 影響については,「少し影響がある」が最も 割合が高く 37.5%であった。2 番目は「大い に影響がある」と「どちらとも言えない」が ともに 25.0%であった。

(10)リスクマネジメントの理解や教育が積極的 か否かについては,「それほど積極的ではな い」が最も割合が高く 31.7%であった。2 番 目は「どちらとも言えない」27.5%,3 番目 は「全く積極的ではない」17.4%であった。

 以上の調査結果から,海外事業活動については あまり積極的ではない様子が窺えた。また「アジ ア経済」と「決済の仕方」については,自社への 影響が大きいと考えている。さらに,アジア文化 を十分に理解した製品・サービス開発,アジアの 人材受け入れ,リスクマネジメントの理解や教育 についての積極性はそれほど高くはないことが見

 3.2.1 貴社の企業活動において,環境に配慮 した取組は,どのように位置づけられ ていますか。(いくつでも)

1 2 3

16.8%

49.1%

13.8%

4 5 6 7

20.4%

16.2%

0.0%

16.8%

ビジネスチャンスである 企業の社会的責任の一つである

重要な戦略の一つである  法規制等の義務以上のものではない その他

環境に配慮した取組と企業活動は関連がない 事業継続性に係るビジネスリスクの低減につ ながる

 3.2.2 貴社が環境課題に対応する上で重視す る事項は何ですか。(いくつでも)

1 2

26.9%

32.9%

経営責任者のリーダーシップ

3 4

29.9%

15.0%

5 10.8%

組織体制とコーポレート・ガバナンスの強化 幅広く利害関係のある個人・団体への対応

6 7

0.6%

23.4%

その他

重視している事項はない

経営活動と環境配慮行動を統合した戦略的な 対応

バリューチェーン(サプライチェーン)にお ける環境負荷低減

 3.2.3 貴社では,環境配慮を考慮した原材料 等,物品・サービス等の選定(グリーン 購入)を実施していますか。(1 つだけ)

1 2 3

34.1%

24.0%

41.9%

実施している

実施に向けて検討している 検討していない 

 3.2.4 貴社において環境に関する情報を公表 する目的は何ですか。(いくつでも)

1 48.5%

2 23.4%

社会的な責任を果たすため

3 4 5 6

27.5%

13.8%

0.0%

30.5%

環境に関する取組の PR のため  環境に関する社員等への教育のため  その他

公表していない 

ステークホルダーと双方向のコミュニケー ションを図り,相互理解や環境配慮経営を進 展させるため

て取れた。

3.2. グリーン・イノベーション戦略の質問と調

   査結果

(6)

新事業分野への取り組みと雇用創出へ向けた企業の挑戦

57

 3.2.12 グリーン・イノベーション戦略のまとめ  グリーン・イノベーション戦略に関する質問の 回答結果について述べる。

(1)自社の企業活動における環境に配慮した取

 3.2.5 貴社では,製品・サービスの製造現場

において,環境に配慮した取組を行っ ていますか。(いくつでも)

1 2 3 4

26.3%

46.7%

38.9%

10.8%

ゼロエミッション 

3R(リデュース・リユース・リサイクル) 

グリーン購入 その他 

 3.2.6 貴社では,環境マネジメントシステムの 国際規格「ISO14001 規格」等の認証を 取得していますか。(1 つだけ)

1 2

28.7%

23.4%

3 2.4%

全社(全事業所)において既に認証を取得した  一部の事業所で認証を取得した 

6 環境マネジメントシステムを構築していない 33.5%

ISO 規格に基づくシステムを構築したが,認 証を取得していない(認証を取得する予定で ある)

4 ISO 規格に基づくシステムを構築したが,認 4.8%

証を取得していない(認証を取得する予定は ない)

5 ISO 規格以外の環境マネジメントシステムを 7.2%

構築した(構築する予定である)

 3.2.7 貴社では,ISO14001 規格の認証取得に よりどのような効果がありましたか。

(いくつでも)

1 2 3 4 5 6

12.6%

39.1%

56.3%

21.8%

3.4%

20.7%

コストの削減につながった  環境負荷低減につながった 

社員の環境への意識の向上につながった  社外からの評価が向上した 

その他 効果はなかった 

 3.2.8 貴社では環境報告書等(RC 報告書,サ スティナビリティレポート,CSR 報告 書等も含む)を作成・公表していますか。

(1 つだけ)

1 2 3 4

14.4%

15.6%

17.4%

52.7%

作成・公表している 

作成しているが公表していない  作成を検討している

作成していない 

 3.2.9 貴社では,取引先(請負業者,納入業 者等)の選定に当たり,取引先のどの ような環境マネジメントシステムを考 慮していますか。(いくつでも)

1 2

28.7%

5.4%

3 8.4%

ISO14001 エコアクション 21 

4 5 6 7

13.2%

0.0%

21.6%

37.1%

独自に策定した環境マネジメントシステム  その他 

今後考慮する予定である 考慮していない 

地方自治体等が策定した地域版の環境マネジ メントシステム

 3.2.10 貴社では,環境報告書等の信頼性を高 める手段としてどのような審査を受け ていますか。(1 つだけ)

1 2

28.0%

56.0%

3 6.0%

内部審査を実施している

第三者機関による審査を受けている

5 6

0.0%

4.0%

その他

審査を受けていない

第三者機関による審査の受審に向けて検討し ている

4 審査ではないが,有識者からコメントを受け 6.0%

ている

 3.2.11 貴社で環境に関するデータ,取組等の 情報を公表していないのはどのような 理由からですか。(いくつでも)

1 2

36.4%

22.4%

3 19.6%

コストがかかるため 人材が確保できないため

5 6

21.0%

2.1%

公表すべき情報が分からないため  その他

行政や国民等とは業務上の関係がない(希薄 な)ため

4 公表できるだけの情報が収集できていないた 28.0%

め(現在整備中の場合を含む)

する目的は何ですか。(いくつでも)

1 48.5%

2 23.4%

社会的な責任を果たすため

3 4 5 6

27.5%

13.8%

0.0%

30.5%

環境に関する取組の PR のため  環境に関する社員等への教育のため  その他

公表していない 

ステークホルダーと双方向のコミュニケー ションを図り,相互理解や環境配慮経営を進 展させるため

スティナビリティレポート,CSR 報告 書等も含む)を作成・公表していますか。

(1 つだけ)

1 2 3 4

14.4%

15.6%

17.4%

52.7%

作成・公表している 

作成しているが公表していない  作成を検討している

作成していない 

(7)

『和光経済』第 47 巻第 3 号

58

組の位置づけについては,「企業の社会的責 任の一つである」と回答する割合が最も多く 49.1%と約半数に上った。2 番目は「重要な 戦略の一つである」20.4%であった。一方で,

「環境に配慮した取組と企業活動は関連がな い」16.8%,「法規制等の義務以上のもので はない」16.2%とそれぞれ 2 割弱の回答があっ た。

(2)環境問題に対応する上で重視する事項につ いては,「経営活動と環境配慮行動を統合し た戦略的な対応」と回答する割合が最も多く,

32.9%であった。2 番目は「組織体制とコー ポレート・ガバナンスの強化」29.9%,3 番 目は「経営責任者のリーダーシップ」26.9%

であった。一方で, 「重視している事項はない」

と 23.4%が回答した。

(3)物品,サービス等の選定(グリーン購入)の 実施については,「検討していない」と回答 する割合が最も高く 41.9%であった。2 番目 は「実施している」34.1%,3 番目は「実施 に向けて検討している」24.0%であった。

(4)環境に関する情報を公表する目的については,

「社会的な責任を果たすため」と回答する割 合が最も高く 48.5%と約半数に上った。2 番 目は「公表していない」30.5%,3 番目は「環 境に関する取組の PR のため」27.5%,そして,

「ステークホルダーと双方向のコミュニケー ションを図り,相互理解や環境配慮経営を進 展させるため」23.4%と続いた。

(5)製品・サービスの製造現場における環境に配 慮した取組については,「3R」と回答する割 合が最も高く 46.7%と約半数に上った。2 番 目は「グリーン購入」38.9%,3 番目は「ゼ ロエミッション」26.3%であった。

(6)環境マネジメントシステムの認証を取得し ているかについては,「環境マネジメントシ ステムを構築していない」と回答する割合 が最も高く 33.5%であった。2 番目は「全社

(全事業所)において既に認証を取得した」

28.7%,3 番目は「一部の事業所で認証を取 得した」23.4%であった。

(7)ISO14001 規格の認証取得による効果につい ては, 「社員の環境への意識の向上につながっ た」と回答する割合が最も高く 56.3%と約 6 割に上った。2 番目は「環境負荷低減につな がった」39.1%,3 番目は「社外からの評価 が向上した」21.8%であった。一方で,「効 果はなかった」という回答も 20.7%と約 2 割 に上った。

(8)環境報告書等を作成・公表しているかにつ いては,「作成していない」と回答する割合 が最も高く 52.7%と約 5 割に上った。一方 で,「作成・公表している」と回答する割合 は 14.4%に留まった。

(9)取引先の選定する上で,取引先のどのよう な環境マネジメントシステムを考慮している かについては,「考慮していない」と回答す る割合が最も高く 37.1%であった。2 番目は

「ISO14001」28.7%,3 番目は「今後考慮す る予定である」と 21.6%が回答した。

(10)環境報告書等の信頼性を高めるための,手 段としての審査を受けているかについては,

「第三者機関による審査を受けている」と回 答する割合が最も高く 56.0%と約半数に上っ た。2 番目は「内部審査を実施している」

28.0%であった。

(11)環境に関するデータや取組等の情報を公表 していない理由については,「コストがかか るため」と回答する割合が最も高く 36.4%で あった。2 番目は「公表できるだけの情報が 収集できていないため」28.0%,3 番目は「人 材が確保できないため」22.4%,そして「公 表すべき情報が分からないため」21.0%と続 いた。

 以上の調査結果から,環境に配慮した企業活動 は一般的,あるいは当たり前と思われたが,必 ずしもそうとは言えない現状であることが窺えた。

消極的な意見として,「環境に配慮した取組と企 業活動は関連がない」,「法規制等の義務以上のも のではない」,グリーン購入を「検討していない」,

環境に関する情報を「公表していない」,環境報

(8)

 3.3.1 貴社は,経営環境対応としてコンプラ イアンス(法令遵守)は重要であると 考えていますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

5.4%

6.6%

18.6%

30.5%

38.9%

全く重要ではない それほど重要ではない どちらとも言えない  少し重要である 大いに重要である

 3.3.2 貴社は,監査役設置会社ですか,それ とも委員会設置会社ですか。(1 つだけ)

1 2

60.5%

39.5%

監査役設置会社 委員会設置会社

 3.3.3 貴社は,将来の後継者の人選(昇格)

の際,どのように決定されますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5 6

21.6%

40.1%

6.0%

26.3%

3.0%

3.0%

同族から選出 

経営者(会長・相談役・社長など)の一存  直属の上司 

個人の業績や貢献度により経営者が決定  同僚より推薦

その他 

 3.3.4 貴社は,コーポレート・ガバナンスの 教育(学習の場)を行っていますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5 6

19.2%

12.0%

37.7%

16.8%

0.6%

13.8%

各個人に任せている  外部機関に委託している 

社内勉強会や研修会を開催している  社内・社外の専門家にその都度,相談している  その他

全く行っていない 

 3.3.5 貴社にとって,コーポレート・ガバナ ンスの牽制は主にどのような機関によ りますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5 6

1.8%

8.4%

20.4%

26.3%

38.9%

4.2%

労働組合による 

取引のある金融機関による  業務取引先による  外部監査役による  ISO などのシステムによる その他 

 3.3.6 貴社では,コーポレート・ガバナンスが 組織風土(組織文化)と関係が深いと 考えていますか。(1 つだけ)

1 2 3 4 5

7.2%

15.6%

40.7%

25.7%

10.8%

全く関係はない  それほど関係はない  どちらとも言えない  少し関係がある  大いに関係がある

告書等を「作成していない」,環境マネジメント システムを「構築していない」などの回答が見受 けられたためである。激変する経営環境の中でこ れらの課題を改善していくことが今後の企業の挑 戦になると言えよう。

3.3. その他の質問と調査結果

 3.3.7 その他のまとめ

 その他に関する質問の回答結果について述べる。

(1)経営環境対応としてコンプライアンス(法令 遵守)を重要であると考えているかについて は,「大いに重要である」と回答する割合が 最も高く 38.9%であった。2 番目は「少し重 要である」30.5%,3 番目は「どちらとも言 えない」18.6%であった。

(2)監査役設置会社か委員会設置会社かについて は,「監査役設置会社」と回答する割合が最 も高く 60.5%と 6 割を上回った。一方で, 「委 員会設置会社」は 39.5%であった。

(3)将来の後継者の人選(昇格)はどのように 決定されるかについては,「経営者(会長・

相談役・社長など)の一存」と回答する割合 が最も高く 40.1%であった。2 番目は「個人 の業績や貢献度により経営者が決定」26.3%,

3 番目は「同族から選出」21.6%であった。

(4)コーポレート・ガバナンスの教育(学習の

場)を行っているかについては,「社内勉強

会や研修会を開催している」が最も割合が高

く 37.7%であった。2 番目は「各個人に任せ

(9)

『和光経済』第 47 巻第 3 号

60

【注】

1)調査会社には,株式会社バルクを使用した。株式会社バル クは,全国で 334 万 5,192 名(2014 年 2 月現在)の利用可 能なモニターを所有し,国内に先駆けてインターネットを 使ったマーケティング調査を行った企業である。

( 2015 年 1 月 27 日 受稿

2015 年 2 月 7 日 受理

【付記】

 本調査は,2013 年度,和光大学総合文化研究所 研究プロジェクト「新事業分野への取り組みと雇用 創出へ向けた企業の挑戦」代表上野哲郎,研究メン バーは,井出健二郎,福田好裕,山崎秀雄,当間政義,

丸山一彦,平井宏典,大坪史治によるものである。

ている」19.2%,3 番目は「社内・社外の専 門家にその都度,相談している」16.8%であっ た。一方で,「全く行っていない」と回答す る割合が 13.8%と 1 割弱が教育を行っていな い。

(5)コーポレート・ガバナンスの牽制は主にどの ような機関によるかについては,「ISO など のシステムによる」と回答する割合が最も高 く 38.9%であった。2 番目は「外部監査役に よる」26.3%,3 番目は「業務取引先による」

20.4%であった。

(6)コーポレート・ガバナンスが組織風土(組織 文化)と関係が深いと考えているかについて は,「どちらとも言えない」と回答する割合 が最も高く 40.7%であった。2 番目は「少し 関係がある」25.7%,3 番目は「それほど関 係はない」15.6%であった。

3.4. 考   察

 以上の調査結果から,調査対象企業の多くはコ ンプライアンスが重要と考えており,設置会社は,

監査役設置会社の方が多いことが見て取れた。後 継者の人選(昇格)は,業績や貢献度などの客観 的な実績よりも経営者の一存や同族からの選出の 場合の方が一般的なようである。また,コーポレー ト・ガバナンスの教育として社内勉強会や研修会

が開催されている一方で,全く教育を行っていな い企業も見受けられた。そして,牽制としての役 割は ISO などのシステムが担っているようであ り,コーポレート・ガバナンスと組織風土(組織 文化)との関係は弱いという認識のようである。

 今回, 「アジア戦略」, 「グリーン・イノベーショ ン戦略」,「その他の戦略」に関する調査結果につ いて考察してみた。新たな雇用創出を考える上で,

建設的なアイデアや知恵を出していくためにも教

育というアプローチが今後,重要性を増していく

ことが示唆された。システムとして教育をいかに

組み込むことができるかが企業の積極的な挑戦を

支えるためにも今後の重要な課題と言えよう。

参照

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