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1.背 景 と 目的

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Academic year: 2021

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(1)

マ ク ロ フ ァ ー ジ 泡 沫 化 阻 害 物 質 の 探 索

一 海 綿 か ら 単 離 し たmanzamineとbastadinの 構 造 と活 性 一

創 薬 生命 薬 科 学 専 攻 メデ ィ シナ ル ケ ミス トリー コー ス 天 然 薬 物 学 分 野  江 口啓 介

1.背 景 と 目的

我 々 は 、生 薬 や 海 洋 生 物 な どの天 然 資 源 か ら、健 康 維 持 や 疾 病 予 防 に有 効 な 「 機 能 性 天 然 薬 物 」 を探 索 して い る。 そ の一 環 と して 、 ア テ ロー ム性 動 脈 硬 化 症 を予 防 あ る い は治 療 で き る天 然 薬 物 の発 見 を 目指 して い る。 ア テ ロー ム性 動 脈 硬 化 症 が 引 き起 こ す 疾 患 と して虚 血 性 疾 患 で あ る心筋 梗 塞 や 脳 梗 塞 が あ げ られ 、我 が 国 に お け る死 亡 率 は全 死 因 の15%に 及 ん で い る。 アテ ロー ム性 動 脈 硬 化 症 は 高LDL一 コ レス テ ロール 血 症 や 高 トリグ リセ ライ ド血 症 な どの脂 質 異 常症 が 主 な原 因 と され 、 これ ま で に ス タチ ン系 や フ ィ ブ ラー ト系 な どの薬 剤 が 開発 され て き た。 しか し、 ア テ ロー ム性 動 脈 硬 化 症 が 引 き起 こす 疾 患 は 、 日本 に お い て現 在 も高 い死 因 の 一つ で あ る こ とか ら、我 々 は 既 存 薬 とは異 な っ た機 序 で働 く予 防 ・改 善 薬 の 開発 が必 要 で あ る と考 え た。 そ こで 、 アテ ロー ム性 動 脈 硬 化 症 の初 期 病 変 で あ るマ ク ロフ ァー ジ の泡 沫 化 に 注 目 し、 これ ま で泡 沫 化 阻害 物 質 の報 告 が行 われ て い な か っ た海 綿 や ホ ヤ な どの海 洋 生物 の エ キ ス を ス ク リー ニ ン グ した。そ の結 果 、 イ ン ドネ シ ア で採 集 した29種 の海 綿 の エ キス の うち、

2種 類 の海 綿(オcα痂08舶 ηgア1(顧orα 加gθη8(RMNHPOR.3991),Ianthellabasta(RMNH

POR.8675))の エ キス が 、100オg/mLの 濃 度 で それ ぞれ80%の 泡 沫 化 阻 害 作用 を示 し た の で 、 これ ら2種 の海 綿 に含 まれ る泡 沫 化 阻害 物 質 の 単離 、構 造 解 析 お よび活 性 評 価 を行 っ た。

2.海 綿.4.inensの エ キ ス か ら 単 し たmanzamine類 体 の 構 造 と泡 沫 ヒ阻 宝 活 性 海 綿A.ingens(RMNHPOR.3991)の エ キ ス か ら5種 類

の 既 知manzamine類 縁 体 で あ るmanzamineA(1)、

6‑hydroxymanzamineA(2),8‑hydroxymanzamineA(3),

12,34‑oxamanzamineE(4)お よ びmanzamineM(5)を 単 離 し た 。 得 ら れ たmanzamine類 縁 体 の 中 で 、 最 も 収 量 の 多 か っ た1が 最 も 強 い 活 性 を 示 し 、20オMの 濃 度 で 泡 沫 化 を 70%阻 害 し た 。 化 合 物1を 構 …成 し て い る β一carbolin(6)

とircinalA(7)は 、 単 独 で 試 験 し た 場 合 で も 、 あ る い は6 と7を 混 ぜ て 試 験 し た 場 合 で も 泡 沫 化 阻 害 活 性 が 弱 か っ た こ と か ら 、 こ れ ら2つ の 構 成 成 分 が 結 合 し た 場 合 に 、 強 い

C

H

ManzamineA(1)

泡 沫 化 阻 害 活 性 を 示 す こ と が 分 か っ た 。 そ し て 、1は 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ に お い て ス カ ベ ン ジ ャ ー 受 容 体A(SR‑A)やacyl‑CoA:cholesterolacyltransferase(ACAT)の 発 現 に 影

(2)

響を与えず、コレステロールをエステル化する ACAT の酵素活性を阻害することが明 らかとなった。また、 1 を経口投与したマウスでは動脈硬化病変が 45% 減少し、血中 脂質濃度が減少したので、 1 は動脈硬化症の予防あるいは治療のためのリード化合物に なる可能性がある

1)

3. 海綿 I. basta のエキスから得られた bastadin 類縁体の構造と泡沫化阻害活性

海綿 I. basta ( RMNH POR. 8675 )から 8 種類の既知 bastadin 類縁体である bastadin 5 ( 8 ) 、 bastadin 6 ( 9 ) 、 bastadin 9 ( 10 ) 、 bastadin 12 ( 11 ) 、 bastadin 16 ( 12 ) 、 bastadin 4 ( 13 ) 、 bastadin 7 ( 14 )および hemibastadin 1 ( 15 )を単離した。

これら化合物の中で 15 は単量体であるが、それ以外は二 量体である。 8-15 の中で、 6 個の Br を有する 9 が最も強 い泡沫化阻害活性を示し、 5 M の濃度で泡沫化を 96%

阻害した。その他の化合物においても、 Br の数が多い方 が強く阻害する傾向が認められた。また、 15 は全く活性 を示さなかったので、二量体のみが泡沫化阻害活性を示 すと考えられる。また、 9 は、マクロファージにおいて

SR-A および ACAT の発現に影響を与えずに ACAT の酵素活性を阻害することが明らか となった。

4. まとめ

著者は、動脈硬化症の予防薬あるいは治療薬の探索資源としてこれまで注目されて いなかった海綿から、マクロファージ泡沫化阻害物質として 5 種類の manzamine 類縁 体および 8 種類の bastadin 類縁体を単離した。そして、 manzamine A ( 1 )と bastadin 6

9 )は ACAT の活性を阻害することにより泡沫化を阻害することを見出した。さらに、

1 を動脈硬化モデルマウスに経口投与したところ、動脈硬化病変の形成を阻害し血中脂 質濃度を低下させることが分かった。化合物 19 は、これまでに報告された ACAT 阻害物質には認められない構造を有している。今後、本研究で得られた知見が、アテ ローム性動脈硬化症の予防薬あるいは改善薬の開発に活用されることを期待する。

参考文献

1) Eguchi, K.; Fujiwara, Y.; Hayashida, A.; Horlad, H.; Kato, H.; Rotinsulu, H.; Losung, F.;

Mangindaan, R. E. P.; de Voogd, N. J.; Takeya, M.; Tsukamoto, S. Bioorg. Med. Chem. 2013, 21, 38313838.

Bastadin 6 (9)

参照

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