研 究
弁護士有限会社の社員資格と
パートナーシャフト有限職業責任会社
─ドイツ連邦最高裁2017年 ₃ 月20日判決について─
Über die Zulässigkeit einer Partnerschaftsgesellschaft mbB als Gesellschafterin einer Rechtsanwaltsgesellschaft mbH: Anmerkung zum
Urteil des BGH vom 20. 3. 2017
丸 山 秀 平
*一 は じ め に
ドイツ連邦最高裁(BGH) の弁護士部局(Senat für Anwaltssachen)1)
は, その2017年 ₃ 月20日の判決2)(以下「2017年 ₃ 月20日判決」 とする。)
において, パートナーシャフト有限職業責任会社(Partnerschaftsgesell- schaft mit beschränkter Berufshaftung) が, 弁護士有限会社(Rechtsan- walts- GmbH)の社員となることが出来るか否かの問題について,消極的 な立場をとることを明らかにした。
本稿では,2017年 ₃ 月20日判決を紹介し,関連する判決・決定に触れつ
* 所員・中央大学法科大学院教授
本稿は,2019年 ₃ 月30日に開催された日独比較企業法研究会(日本比較法研 究所共同研究グループ)でのテーマ報告に基づく。
1) 弁護士部局は,連邦最高裁に設置されている部局の一つとして,連邦弁護士 法106条 ₁ 項により連邦最高裁に配属されるべき事件を取り扱う権限を有して いる。ただし,連邦弁護士法109条に基づく決定により,民事第三部が扱うべ き場合は除かれる。
2) BGHZ 214, 235─258.
つ,同判決に対する評価について論じたい。
二 前提となるドイツの法状況
2017年 ₃ 月20日判決では,以下に論ずるように,原告である弁護士有限 会社について,パートナーシャフト有限職業責任会社の原告における社員 性が問われているが,本稿では,まず,右判決に係る訴訟が提起された前 後の時点における弁護士有限会社及びパートナーシャフト有限職業責任会 社に関するドイツの法状況を概観することにしたい。
1 弁護士有限会社
「弁護士有限会社」とは,有限会社( GmbH)形態をとっている弁護士 会社である。 この形態が認められたのは,1998年改正連邦弁護士法
(BRAO)(BGBl I S. 2600)による(連邦弁護士法59c~59m条)3)。 弁護士会社について,有限会社形態以外の会社形態の利用可能性につい ては,未解決のままで置かれてきた。弁護士と並ぶ自由業種である税理士 及び公認会計士については,それぞれの共同の職業活動に対し,人的会社
(合名会社・合資会社・1995年から,パートナーシャフト会社)のみなら ず,資本会社(株式会社・株式合資会社・有限会社)の形態での結合が認 められている(税務助言法(StberG)49条 ₁ 項, 公認会計士法(WPO)
27条 ₁ 項)。弁護士についても,弁護士株式会社(Rechtsanwalts-AG)を 認める連邦最高裁判決(BGHZ 161, 376)が出されたが,その利用例は少 ない4)。むしろ,実際には,民法上の組合(GbR)やパートナーシャフト 会社法に基づくパートナーシャフト会社(Partnerschaftsgesellschaft)に
3) 改正に至る経緯について,丸山秀平『ドイツ有限責任事業会社(UG)』(中 央大学出版部,2015年)114頁以下。
4) 2018年 ₁ 月 ₁ 日の時点で,連邦内の連邦最高裁を除く管轄区域27のうち10区 域で合計24社となっている(Jennifer Witte, Mitglieder der Rechtsanwaltskam- mern zum 1. 1. 2018, BRAK-Mitteilungen 2018, 141, 142)。
よって共同事務所(Sozietät)が運営されている場合が多数であると指摘 されている5)。従って,民法上の組合やパートナーシャフト会社に比べれ ば,相対的に少数ではあるが6),弁護士有限会社も,弁護士に係る共同事 務所のための法形態として,一定数の需要を充たしているといえよう。
2 パートナーシャフト有限職業責任会社
パートナーシャフト有限職業責任会社は,従来から制度化されていたパ ートナーシャフト会社7)の変形として構想され8),2013年改正パートナー シャフト会社法(BGBlI S. 2386)で導入された法形態である。右改正法 ₈ 条 ₄ 項によれば,誤った職務権限行使を理由とする損害に対して責任を負 うのは会社財産だけであり,それ以外に誰も責任を負うものではないとさ れる9)。
パートナーシャフト有限職業責任会社が,パートナーシャフト会社の変 形である以上,その法的性質は,法人でない団体であり,この点は,前記
₁ の弁護士有限会社とは異なる10)。また,パートナーシャフト会社が自由 業種としての弁護士,税理士及び公認会計士の共同の職業活動に利用され てきたことから,パートナーシャフト有限職業責任会社も,同様の範囲で 用いられるものとされていた。
しかし,制度導入以降,パートナーシャフト有限職業責任会社の利用数
5) Deniz Günal, Organisationsformen der freien Berufe in Deutschland am Bei- spiel der Rechtsanwälte,比較法雑誌49巻 ₁ 号203頁,特に,207頁以下。
6) 2018年 ₁ 月 ₁ 日の時点で,弁護士有限会社は,連邦内の連邦最高裁を除く27 の管区で合計884社となっている。なお,それとは別に,弁護士有限責任事業 会社(Rechtsanwalts-UG)は,₉ 管区で ₉ 社となっている(Jennifer Witte, a.a.O.
(Fn. 4), S. 142)。
7) 丸山・前掲書(注3))143頁以下。
8) Henssler, in: Henssler/Prütting, BRAO 4. Aufl. 2014, § 8 PartGG Rn. 57, Be- gründung des RegE BT-Drucks. 17/10487 S. 15.
9) 丸山・前掲書(注3))147頁以下。
10) 丸山・前掲書(注3))151─152頁。
は,増大しており,導入当初の2013年末には,パートナーシャフト登記簿 に登記されたパートナーシャフト有限職業責任会社の数は361社に過ぎな かったものが11),2016年末には,4,378社に増大しており12),この数はパ ートナーシャフト会社の数,13,197社の ₃ 分の ₁ を超えるものとなってい る13)。そして,現在,ドイツの全ての州では,州法の改正によって,建築 士(Archtekten)としての共同の職業活動についてもパートナーシャフト 有限職業責任会社の利用が認められており14),この流れは,エンジニア
(Ingenieure)にも及ぶものとなっている15)。このようにパートナーシャ フト有限職業責任会社が利用可能な自由業種が拡大されたこともあり,パ ートナーシャフト有限職業責任会社の数は,引き続き増大して行くものと 予想される16)。
以上の法状況のもとに,次節三で取り扱われる連邦最高裁の判決に係る 事実が生じたのである。
三 連邦最高裁2017年 ₃ 月20日判決
本節では,2017年 ₃ 月20日判決の事実及び判決理由の主要部分を以下に 掲げることとする。同判決で原告となったのは,弁護士有限会社であり,
被告である弁護士会による弁護士会社としての原告の認可後,原告の社員 が自然人からパートナーシャフト有限職業責任会社に変更したことで,被 告が原告の認可を取り消したことが,司法判断の発端となった。判決理由 11) Lieder/Hoffmann, Rechtstatsachen zur PartG mbB und zur LLP, NZG 2014, S.
127.
12) Lieder/Hoffmann, Rechtstatsachen zur Partnerschaftsgesellschaft mit und ohne beschränkte Berufshaftung, NZG 2017, S. 325.
13) Heribert Heckschen, Die PartG mbB - eine Gesellschaftsform fur Freiberufler, AnwBl 2018, 118.
14) Heckschen, a.a.O.
15) Heckschen, a.a.O.
16) Vgl. Lieder/Hoffmann, a.a.O. (Fn. 12) S. 332.
では,連邦弁護士法上,弁護士会社の構成員資格は(法人でない)自然人 であることが前提とされていると解されることから,パートナーシャフト 有限職業責任会社の通常形態としてのパートナーシャフト会社の団体とし ての性質・構造に係る法的評価が主要な争点とされている。本稿も右の点 を中心に,事実関係及び判決理由を紹介したい。なお,右判決理由中に引 用されている先行判決等については,必要な範囲で,注記において事実関 係等に言及することとした。
1 事 実 関 係
原告G. 弁護士有限会社は,2015年 ₂ 月 ₂ 日に,社員かつ業務執行者で ある ₃ 名の弁護士によって設立された。原告の事業目的は,法律事件に関 する助言及び代理である。将来の社員の詳細な要件に関する規定は,設立 証書にも,2016年 ₇ 月21日の社員決議によってなされた変更に至るまで,
会社契約にも含まれていなかった。
2015年 ₄ 月 ₈ 日,被告(弁護士会)は,原告を連邦弁護士法59c条によ る弁護士会社として認可した。その後直ちに,2015年 ₄ 月20日,社員は,
原告の全ての営業持分を,2002年以来パートナーシャフト会社として登記 されていた「G弁護士・ 税理士パートナーシャフト有限職業責任会社」
(以下「G.─パートナーシャフト会社」)17)に譲渡した。パートナーとして80 名以上の弁護士によって構成される右有限職業責任会社の業務目的は,パ ートナーシャフト登記簿によれば,「地域を超えたパートナーシャフトの 形での弁護士及び税理士のパートナーとしての共同の職業行使並びにその 17) 事実関係の原文では「2002年以来パートナーシャフト有限職業責任会社とし て登記されていた『G弁護士・税理士パートナーシャフト有限職業責任会社』」
(eine seit dem Jahr 2002 eingetragene Partnerschaftsgesellschaft mit beschränk- ter Berufshaftung)となっているが,前記一 ₂ で述べたように,パートナーシ ャフト有限職業責任会社制度は2013年法改正によって導入された法形態である ので,『G弁護士・税理士パートナーシャフト有限職業責任会社』は,2002年 にパートナーシャフト会社として登記され,右法改正後にパートナーシャフト 有限職業責任会社としての変更登記を経たものと思われる。
時々の職業法によって認められているあらゆる活動」である。
被告は,連邦弁護士法59h条 ₃ 項 ₁ 文に従い2015年 ₆ 月30日の決定によ って弁護士会社の社員に関する法規定(連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ ・ ₂ 文)18)に反したパートナーシャフト会社の参加と云う違反を理由に原告へ の認可を取り消した。これに対して申立てられた原告の異議を被告は2015 年 ₈ 月 ₄ 日の不服裁決によって拒否した。
それに対して原告によって提起された被告の前記裁決に対する取消訴訟 を原審(弁護士最高裁判所Anwaltsgerichtshof 2016年 ₆ 月 ₁ 日判決)19)
は斥けた。これに対して,原告は,更なる訴追を求めた。被告は,原審を 支持,これに同調した。
2 主文・判決理由
連邦最高裁の弁護士部局は,判決の主文として,「2016年 ₆ 月 ₁ 日のバ ーデンヴュルテンベルク弁護士最高裁判所第 ₂ 部判決に対する原告の控訴 は破棄差戻しされる」と述べている。以下は,その理由である。
原審が,原告の請求(前記2015年 ₈ 月 ₄ 日裁決に対する取消訴訟)を棄
18) 弁護士会社の社員となり得る者は,まず,弁護士,弁理士,税理士,納税代 理人,公認会計士,宣誓帳簿検査人(連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文,59a条 ₁ 項 ₁ 文) 及び外国における同様の資格者(連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文,59a 条 ₂ 項,206条)である。すなわち,2000年 ₃ 月 ₉ 日の「ドイツにおけるヨー ロッパ弁護士の活動に関する法律」(Gesetz über die Tätigkeit europäischer Rechtsanwälte in Deutschland vom 9. März 2000 (GBlB. I S. 182, 1349))の規定 により,同法の適用領域内で開業する資格を有する者やその他の会計士,弁理 士などの専門的資格者が挙げられる。これらの者は,弁護士会社において職業 的に活動をしなければならない(連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₂ 文)。
19) AGH Baden-Württenberg, Urt.v. 1. 6. 2016─AGH 18/15 II (SG 1).ここに言う
「弁護士最高裁判所」とは,各弁護士会の管轄区域(Bezirk)毎に設けられて いる弁護士裁判所(Anwaltsgericht)(連邦弁護士法92条 ₁ 項) の上級審とし て,上級地方裁判所の許に置かれ(同法100条 ₁ 項 ₁ 文),州司法行政局の監督 下で(同 ₂ 文,92条 ₃ 項),認可に関わる案件や上訴案件を扱う権限を有して いる(同法37条,142条,143条)(丸山・前掲書(注3)131頁(注71)参照)。
却したことは正当である。
被告が弁護士会社としての原告の職業法上の認可を取り消したことは正 当である。何故なら原告はG.─パートナーシャフト会社への営業持分の譲 渡後は連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文の要件をもはや充たしていないからで ある(同法59h条 ₃ 項 ₁ 文)。
弁護士会社の社員は,連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文により(当該会社で 職業的活動をしている(同法59e条 ₁ 項 ₁ 文))弁護士及び同法59a条 ₁ 項
₁ 文及び ₂ 項で掲げられている職業のメンバーのみである。原告の単独社 員としてのG.─パートナーシャフト会社はこの要求を充たしていない20)。 法律の解釈にとって基準となるのは,連邦憲法裁判所(BVerG)及び連 邦最高裁によれば,規範の中に表されている客観化された立法者の意思で ある,それは立法者が規定の文言やそこに差し入れられた意味関連から明 らかにされるものである。立法者の客観的意思を把握するために役立てら れるのは,規範の文言,体系,その意味及び目的並びに立法資料等の,成 立の経緯,それらは相互に排除し合うのではなく,相互に補完し合う,に 基づく一般的に認められた法律解釈方法である。これらの中では他のもの との間で何らの絶対的な優先順位はなく,その出発点となるのは,規定の 文言の解釈である。条文に表されており,立法者が追求している規制概念 は具体的事件との関係で裁判所によって出来るだけ確実に主張されなけれ ばならない21)。
以上の基準により連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文は,原告によって求めら れているように,パートナーシャフト会社は右条文によって認められる弁 護士会社の社員に含まれると解されるべきではない22)。
連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文の文言が示していることは,同条に掲げら
20) Entscheidungsgründe (Fn. 2) Rn. 17.
21) Vgl. nur BVerfGE 133, 168 Rn. 66 m.w.N.; BVerfG, NJW 2014, 3504 Rn. 15;
BGH, Beschluss vom 16. Mai 2013─II ZB 7/11, NJW 2013, 2674 Rn. 27: Entschei- dungsgründe (Fn. 2), Rn. 19.
22) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 20.
れている自由職種のメンバー,従って自然人だけが弁護士会社の社員でい ることが出来るのであり,これに対して,弁護士会社に参加する職業メン バーとは完全に分離された法人格を有する法人は社員でいることは出来な い……それ故,パートナーシャフトのような広範囲にわたり法人に近い人 的会社も同様に社員でいることは出来ない……このような考察方法は,連 邦最高裁判決(筆者注:2001年 ₁ 月29日判決)23)において述べられていた ものと同じく,弁護士会社に関する法規制を導入した際の立法者の意思に 沿うものである24)。
23) BGH, Urteil vom 29. Januar 2001 - II ZR 331/00, BGHZ 146, 341, 343 ff. 同判 決の事実関係は以下の通りである。すなわち,原告は,手形訴訟で,右手形の 引受人として,民法上の組合という法形式の建設業の共同事業体(ARGE)で ある被告 ₁ 及び右組合の組合員である旧被告 ₂ ・ ₃ に対し付帯請求を加え, ₉ 万マルクの手形金額の支払を求めている。手形請求に関する被告 ₄ の責任は,
権利外観の観点からそれが導かれていた。地方裁判所は申立て通り被告らを連 帯債務者として支払いすべきものと判示した。上級地方裁判所は,その控訴に 基づき被告 ₁ 及び ₄ に関する訴えを棄却した。それに対して原告が上告し,同 人は地方裁判所の判決の回復を求めた。右上級地方裁判所が被告 ₁ に対する訴 えを認めなかった理由は,被告 ₁ が民法上の組合であり,当事者能力なき者と したことによる。これに対して連邦最高裁は,(対外的な)民法上の組合を民 事訴訟手続き上当事者能力(民事訴訟法50条)あるものとすること,つまり,
その限りで,組合を法取引の参加者として権利義務の担い手とすることが出来 ると判示した。すなわち,民法上の組合はその組合員の合手的共同体として法 取引において原則的に……それぞれの法的地位を取り入れることが出来(BGHZ 116, 86, 88; 136, 254, 257)……以上の枠内で固有の権利義務を基礎づけられる 限り,右組合は(法人でなくとも)権利能力を有する(Rn. 5)。そして,民法 上の組合の権利義務の担い手である能力が認められる場合,組合に民事訴訟に おける当事者能力,民事訴訟法50条により権利能力に相応する,を認めない訳 には行かない(Rn. 14)とした。
24) BGH, Beschluss vom 9. Juli 2001, 270 - PatAnwZ 1/00 -, BGHZ 148, 273f.: Ent- scheidungsgründe I 2. a) cc) (2) (Rn21).同決定の事実関係は以下の通りである。
申請者M弁理士有限責任会社は,1995年に弁理士, 博士 Walter, M.によ って設立された。2000年 ₆ 月26日の最終的に改正された定款 ₂ 条 ₃ 項は以下の ように定められた。
当有限会社の社員となることが出来るのは,弁理士会の構成員,弁護士及び その他弁理士法52e条 ₁ 項 ₁ 文に掲げられている者または,その目的がM弁 理士有限会社の持分の保有にある,民法上の組合のみである。右民法上の組合 の組合員となることが出来るのは,弁理士会の構成員,弁護士並びにその他の 弁理士法52e条 ₁ 項 ₁ 文に掲げられている者のみである。弁理士が右民法上の 組合の持分及び議決権の過半数(Mehrheit)を有していなければならない。
申請者の営業持分は, その当時全て1998年に設立された「M 参加管理組 合」の社員,同組合は,弁理士Dr. Walter M, Dr. Volker H.及びDr. Stefan Mi がメンバーであった,の手中にまとめられていた。同組合の目的は,申請人の 持分の保有及び管理である。会社契約上の規制は,有限会社の定款 ₂ 条 ₃ 項の 求めに適合していた。
1999年 ₈ 月23日,申請者は,弁理士会社としてのその認可を申立てた。2000 年 ₁ 月 ₄ 日,被申請者の理事会(Vorstand)は,意見書で,認可の要件が充た されていない旨,告知した。その間になされた他の抗弁と並んで,特に反論さ れたのは,申請者の定款 ₂ 条 ₃ 項の規定であった。被申請者の見解によれば,
民法上の組合は弁理士会社の社員となることは出来ないとされた。何故なら ば,このことは立法理由書から明らかに導き出される立法者の意思に反するか らである。
これに対してなされた司法判断への申立ての申請に対して上級地方裁判所 は,右処分の取消を決定した。右決定に対する即時抗告によって被申請者は司 法判断に基づく申請の拒絶を更に求めた。これに対して,申請者は,右取消の 決定を支持している。
被申請者の即時抗告は認容された(弁理士法38条 ₃ 項)。しかしながら, そ れが根拠づけられた訳ではなかった。部局は,上級地方裁判所の見解に立っ て,申請者の定款 ₂ 条 ₃ 項の規定は申請者を弁理士会社として認可することに 反するものではないとした(Rn. 13)。
すなわち,弁理士は,民法上の組合が自らの側で弁理士会社に求められた職 業法上の要件を充たしている場合には,民法上の組合と同じく,合手的に結び ついて弁理士会社に参加することが出来る(Rn. 19)。弁理士法52e条 ₁ 項の定 式から引き出すことが出来る結論は勿論,該当する自由業のメンバーだけが弁 理士会社の社員となるべきであり,反対に,参加している職業メンバーから完 全に切り離された固有の法人格を有する法人は社員となるべきではないという ことである(Rn. 22)。2001年 ₁ 月29日判決と同様,(対外的な)民法上の組合 は,民法典14条 ₂ 項の意味での権利能力があり,その限りで,法取引への参加
当部局は……以下に至る判断を下している。すなわち,連邦弁護士法 59e条 ₁ 項 ₁ 文に問題となる弁護士会社の社員について,同条で示されて いる自然人に加えて,自然人で構成されているが,有限会社の持分を保有 することに限定されている民法上の組合を入れるが,これとは反対にパー トナーシャフト会社は入れないというところまでの判断である……25)。こ れに対して原告によって追求された弁護士会社の社員の範囲の拡大は,そ の限りで連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文で認識され得るものとしてこれまで 明らかにされてきた立法者の客観的意思に反するものと言える26)。 立法資料からは,自然人から構成される職業を営む会社として弁護士会 社を,司法の利益,職業メンバーの独立性,とりわけ司法機関としての弁 護士及び委任者(Mandaten)に対する放棄することが出来ない人的信頼 関係の独立性のために出来る限り透明性のある構造を示し,そのことを通 じて従属性や影響力が及ぶことから保護されるような会社として戧出しよ うとする立法者の明白な意思が表明される。それ故,立法者は弁護士会社 との関係で「多層的な(mehrstöckige)」会社の設定ははっきりと拒絶し ていた27)。1998年 ₈ 月31日の連邦弁護士法,弁理士法その他の法律の改正
を通じて固有の権利及び義務が基礎づけられることは,現在ある関係ではそれ 程重要なことではない。問題は,有限会社の持分の保有に限定されている民法 上の組合が一般的にその種の権利能力に係る要件を充たしているかである。弁 理士法52e条による社員性の評価にとって決定的な観点となるのは,民法上の 組合という形で合手的な結び付きとして表されている者が専ら弁理士法52e条
₁ 項で掲げられている職業グループのメンバーであるか否かということである
(Rn. 24)。
25) この判断の前提として,民法上の組合が「有限会社」の持分を所有すること が出来ることは,既に連邦最高裁が認めるところである(BGH v. 3. 11. 1980─II ZB 1/79, BGHZ 78. 311. 313)。ただ,問題となる「有限会社」が,「弁護士『有 限会社』」であれば,有限会社法ではなく,「弁護士会社」に関する規制(連邦 弁護士法)との関係が問題となる訳である。
26) Entscheidungsgründe (Fn. 2) Rn. 25.
27) BT- Drucks. 13/9820, S. 12 f.: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 27.この部分 は,後記のレマーマンの論稿(後注59))においても,立法資料から明らかに
のための法律草案理由書28)で(下記のように)述べられている。
「有限責任を伴う弁護士会社と弁理士会社は職務を行使する会社(Be- rufsausübungsgesellschaften)としてあるべきである」29)。
「純然たる資本参加,第三者の会社の利益への参加,並びに多層的な 会社は,草案により認められない。このことを通じて,求められる透 明化を確実なものとしまた従属化及び過度の影響力の強化を防ぐこと ができる。」30)。
更に,連邦弁護士法59e条の個別理由書に以下のように記されている。
「弁護士会社は,共同の法的処理活動のための組織形態を形造ってい る。 ₁ 項 ₁ 文によれば弁護士と並んで,同様に(限られた範囲である けれども)法的処理活動を行うことが出来る,共同事務所を認められ る職業メンバーが弁護士会社の社員となることが出来る。」
「弁護士会社は職務を行使する会社として構想されている。それは資 本投下に資するものではない。それ故, ₁ 項 ₂ 文は弁護士会社におい て社員は職業的に活動をしなければならないと定めている。職業活動 なっている立法者意思として引用されている(S. 573)。ただ,レマーマンに よれば,連邦最高裁は本件の理由としてこの種の「歴史的な」立法者の意思を 根拠として引用しているが,それが全て信頼出来るかというと必ずしも自明で はない。 立法者はまず以て民法上の組合の「社員能力(Gesellschaterfähig- keit)」を否定してきたことは明らかである。しかし,このことは連邦最高裁 の弁理士部局にとっても民法上の組合の社員の地位(Gesellschaterstellung)
を認めることの妨げとはなっていなかった。部局は歴史的な立法者に常に服従 してきた訳ではなく,部局が服従すべきとする場合にして来たにしか過ぎな い, つまり, それは単なる従順のヴァリエーション(Variante der Folgsam- keit)であるとしている(S. 573)。
28) BGBl. I S. 2600.
29) BT- Drucks., a.a.O. (Fn. 28) S. 11: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 27.
30) BT- Drucks., a.a.O. (Fn. 28) S. 12: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 27.
の範囲は確定されている訳ではない,しかし,最低限の職業活動はな されなければならない。」
「当草案が前提としていることは,持分は社員に分割されない状態で なければならず,それ故,その合手的な結びつきの中にある民法上の 組合の職業メンバーは社員であることはできないということである。
このような制限は,例えば,持分が有限会社法15条の規定外で民法上 の組合に適用される原則によって譲渡され得る場合に不利益を生ずる 弁護士会社の透明化に資する。」31)
以上の立法者及び連邦弁護士法59e条の内容の評価はその後の立法手続 きの中で何らの変更を受けなかった32)。
立法体系(Gesetzessystematik) の観点も, 連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文を,原告が考えるように,パートナーシャフト会社も弁護士会社のあり 得べき社員に属するとまで広く解釈されるべきではないことを支持してい る33)。
弁護士会社に関する法規定(連邦弁護士法59c条以下)もパートナーシ ャフト会社法の規定も,立法者がこれらの規定を戧り出そうとする際……
努力されたことは,前記の会社(弁護士会社・パートナーシャフト会社)
への会社の参加及びそれに伴う「多層的な会社」の形成を妨げることであ った34)。
これに加え,立法者が……定めたのは,弁護士会社が共同して職業を営 むために他の統合に参加してはならないということであった(連邦弁護士 法59c条 ₂ 項)。それによって弁護士会社ができないことは,例えば,社
31) BT- Drucks., a.a.O S. 14: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 28.
32) Vgl. nur Beschlussempfehlung und Bericht des Rechtsausschusses des Bun- destages, BT- Drucks. 13/11035, S. 5, 23 f.; Plenarprotokoll des Bundestages 13/241, S. 22375: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 29.
33) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 30.
34) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 31.
員として他の弁護士会社若しくはパートナーシャフト会社に参加すること である。後者はパートナーシャフト会社法 ₁ 条 ₁ 項 ₃ 文からも明らかであ る。同条によれば,パートナーシャフト会社の社員となることができるの は自然人だけである。(「多層的な会社」の形成に至る)パートナーシャフ ト会社の弁護士会社への参加は,以上の規制体系に一致するものではな い35)。
結局,原告が主張しているような連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文の拡張解 釈とは逆のことを同条の意味及び目的が述べている。連邦弁護士法59e条 の規律及びその範囲でさらに関連する規範を通じて達成されることは,弁 護士会社という法形式は,弁護士及びそこで広範囲に掲げられている職業 メンバーが共同して職業を営むことにだけ役立つものであるということで ある(前注(24)連邦最高裁2001年 ₇ 月 ₉ 日決定参照)36)。前掲の者から 形成されているパートナーシャフト会社を弁護士会社の社員として参加さ せることは,以上の目標設定に適うものではない。原告が,連邦最高裁が 前掲の2001年 ₇ 月 ₉ 日決定で(憲法と同調した)解釈という方法で行った 弁護士会社のあり得べき社員の範囲の拡大から反対のことを導き出そうと したことは誤りである37)。
原告が見誤っていることは,前記判決に該当するのは(連邦弁護士法 59e条の意味及び目的を含む)民法上の組合という特別な状況(例外的な)
事案であって,同組合の唯一の対象が,それに参加する職業メンバー自身 によって営まれる弁護士会社の持分の保有であったこと,そしてそのよう な参加形態の会社法上また職業法上の特殊性が……本件のパートナーシャ フト会社の参加という事案形成に移転されないこと,である38)。
立法者はパートナーシャフト会社を,より明白に独立性あるものとして
35) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 32.
36) Vgl. hierzu bereits BGH, Beschluss vom 9. Juli 2001, a.a.O. (Fn. 24) S. 279: Ent- scheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 35.
37) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 35.
38) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 36.
形成しており,そしてとりわけパートナーシャフト会社を,社員としてそ のメンバーとなっている自然人に対する権利主体として,連邦最高裁の判 例によって,部分的権利能力を有する民法上の組合についてそのことが問 題とされたよりも明らかに法的により強く独立したものとしている。それ によって,民法上の組合は法的には連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文に掲げら れている自然人により近いものとみなされ,自然人として組合に結合して いる職業メンバーは組合に対して,そこことが完全に独立した法人または それに近いパートナーシャフトの場合に問題となるよりも弱く目立たなく なっている39)。
連邦最高裁は最近,民法上の組合の組合員の住居賃貸借法上の自己必要
(Eigenbedarf § 573 Abs. 2 Nr. 2 BGB)に係る原則的判決40)(以下,「2016
39) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn37.
40) BGH, Urteil vom 14. Dezember 2016 - VIII ZR 232/15, ZIP 2017, 122): Ent- scheidungsgründe (Fn. 2)(Rn. 38). 2016年12月14日判決の事実関係は以下の通 りである。すなわち,被告は1985年 ₂ 月24日の契約により原告の前権利者にミ ュンヒェンの多世帯用家屋内の166平方メートルの広さの ₅ 部屋の住居を賃借 した。賃料は月総計1374ユーロ12セントであった。現在の住居の賃貸人である 原告は,1991年に戧立された ₄ 名から成る民法上の組合であって,同組合は同 年に右家屋を取得していた。同組合の目的は,組合契約 ₂ 条によれば,一方に おける右家屋の修繕,更新・改築であり,他方,その賃貸並びに居住権の可能 な限りの分割であった。1994年から原告は右家屋の建て直しを開始した。右家 屋の居住権は分割された。住居の一部は売りに出されたが,残りの居住権は原 告に留まっていた。被告の住居は唯一立て直しがなされていなかった。同じく 1994年に設立時業務執行組合員 ₄ 名のうち ₁ 名が脱退し,同人に代わり新たな 組合員が加入した。爾来,組合員の構成は変わらないままである。組合員間に 親族関係はない。2013年 ₉ 月30日付けの書面によって原告は, 被告に対して 2014年 ₆ 月 ₃ 日を期限として被告との賃貸関係を解約する,その理由は, ₁ 名 の(設立時)業務執行者の子女が自身及びその家族のための住居を必要として いることであると告知した。被告は右解約告知に反対してきた。区裁判所は,
₅ 部屋の住居の明け渡し及び引渡しに向けられた訴えを権利濫用として退け た。地裁は,原告の控訴を退けた。地裁の主張は,一組合員の自己必要は,民 法上の組合に居住関係の解約告知を与えるものではないと言うことであった。
年12月14日判決」とする。)において次のことを強調している。すなわち,
(外部的な)民法上の組合は,なるほど連邦最高裁裁判官によって確立さ れた判決(2001年 ₁ 月29日判決)(前注23)によれば,外的に向けて存す る(nach außen hin bestehende)制限的権利能力を有するが,しかし,右 組合は,その部分的権利能力が,法人の場合にそれが問題とされる場合と は異なり,当該組合の組合員に対して完全に独立したものとなってはいな い部分的な権利能力を有するにしか過ぎない人的会社なのである。それ 故,法人との根本的相違は,民法上の組合の部分的権利能力によって組合 員からの組合の完全な離脱は成し遂げられていないという点にある41)。 立法者は,パートナーシャフト会社を(民法上の組合とは異なり部分的 権利能力だけではない)合名会社の「姉妹形姿(Schwesterfigur)」であ るとし,それに相応してパートナーシャフト会社法の法規制を本質的な点 で合名会社に適用される法規定に合わせていた。その際,立法者は,パー トナーシャフト会社を,その限りで,広範囲にわたって法人に近いものと していた42)。
また,立法者が追求した目的が,職業上の協働の形式に際しても自由職 業活動の強く個人的に関係づけられた性格を考慮し,共同して職業を営む 構造の透明性を保障するというものである以上,パートナーシャフト会社 の弁護士会社への参加は,連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文の意味及び目的に 適っていない点も原告は見誤っている43)。
弁護士会社に関する法規定44)の導入を通じて立法者が望んでいたこと 上告審は,右の点を考慮しつつも,法人とは異なる民法上の組合の構造,組合 とその構成員との非分離性を考慮して民法典573条 ₂ 項 ₂ 号の直接適用はない が(Rn. 15),準用(entsprechende Anwendung)は可能であるとの結論を導き 出した(Rn. 16)。
41) BGH, Urteil vom 14. Dezember 2016, a.a.O. (Fn. 40) Rn. 17─19 m.w.N.: Ent- scheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 38.
42) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 39.
43) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 40.
44) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 17.
は,(パートナーシャフト会社に関する規定の導入でも同様)その範囲で 展開される法的及び実際上の枠組み条件45)を顧慮することによって,これ らの職業にとって放棄することが出来ないその都度の職業メンバーとその 者の委任者との間の人的な信頼関係についての制限若しくは委任者及び法 取引にとって必要な共同して職業を営むことの透明性についての制限に結 びつくことなく,自由業のメンバーの職業上の協働の可能性を拡大するこ とであった46)。以上の目標設定に相応して立法者は,連邦弁護士法59e条
₁ 項 ₁ 文で認められる社員の範囲を原則として自然人に限定するととも に,同項 ₂ 文による弁護士法人を職業を営む会社として形成したのであ る。
連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文と同項 ₂ 項との遮断は,従って(原告の見 解とは逆に)例えば,前記の事案において,その限りで原告が正しく主張 しているように,少なくとも原告の単独社員という現在の構造に際しては 配慮しなくともよい,職業とは無縁の第三者の弁護士会社への影響を防ぐ ためだけにとりわけ役立つのではない。それどころか,既に述べたよう に,連邦弁護士法59e条 ₁ 項の戧造に際して,立法者にとって重要なこと は,職業メンバー,とりわけ司法機関としての弁護士とその委任者との間 の人的関係の保障であり,また,本件のような「多層的会社」の場合,立 法者が原則として危惧するものと思われる限りで必要な透明性の維持なの である47)。
原告の考えとは異なり,右のような危険は,とりわけ前述の弁護士とそ の委任者との間の人的な信頼関係が問題とされる限り,既述の立法者の目 標設定に関し,(原告もまた明らかにそのことを前提としているレターヘ ッドが、連邦弁護士業法(BORA)10条 ₂ 項 ₁ 文に含まれている規制を見
45) Vgl. hierzu BT- Drucks. 12/61 (Fn. 2), 52, S. 1, 7 f.; 13/9820, S. 11 f.: Entschei- dungsgründe (Fn. 2), Rn. 41.
46) Vgl. BT- Drucks. 12/6152, S. 7─ 9; 13/9820, S. 11 f., 14: Entscheidungsgründe a.a.O.
47) Vgl. BT- Drucks., 13/9820, S. 12 f.: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 42.
ても社員として弁護士会社に参加しているパートナーシャフト会社の構造 に関する詳細な説明を委任者に何も与えていない場合には)委任者は自ら 能動的に,パートナーシャフト登記簿への閲覧(パートナーシャフト会社 法 ₄ ・ ₅ 条)を通じて以上の情報を入手できることになるが,そのことに よって既に十分に妨げられることにはならない48)。
さらに,原告の見解とは逆に同人によって求められた弁護士会社の認め られる社員の範囲をパートナーシャフト会社へ拡大することは,連邦弁護 士法59e条 ₁ 項 ₁ 文の基本法 ₃ 条 ₁ 項及び12条 ₁ 項との関係での合憲的解 釈(verfassungskonforme Auslegung)から導くことも出来ない49)。
四 判決の評価
本節では, 前節三で紹介した2017年 ₃ 月20日判決に対する評価につい て,批判的なものと肯定的なものそれぞれについて代表的な論評を取り扱 うことにしたい。
1 批判的評価
⑴ グルネバルト
批判的な評価として,まず,取り上げるのは,グルネバルトによるコメ ントである50)。
グルネバルトは,まず2017年 ₃ 月20日判決の判決理由で,民法上の組合 の「部分的権利能力」と比べて,パートナーシャフト会社が法人に近いこ とが強調されており,自然人との距離あることを理由として,その社員資 格を制限している点について,判決理由には疑問があるとしている。とい うのは,グルネバルトによれば,判決理由における指摘が納得できるとす れば,それは連邦最高裁が民法上の組合がパートナーシャフト会社に比べ
48) Vgl. BVerfG, NJW 2009, 2587 Rn. 15: Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 43.
49) Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 44.
50) Barbara Grunewald, BB-Kmmentar, BB 2017, 1170.
てその有している権利が少ないという領域を指定しようとしている場合で ある。しかしこのような結果は何も生じていない。反対に,民法上の組合 にはより多くの権利が与えられているとしている。この点で,グルネバル トは,右判決理由で引用されていた2016年12月14日判決に係る賃貸借法上 の自己必要による解約告知の可能性51)と並んで,弁護士有限会社への参加 の可能性も示唆している。
また,参加構造の透明性に関して,グルネバルトは,民法上の組合の組 合員の場合とは異なり,パートナーシャフト会社のパートナーは,問題な くパートナー登記簿から引き出すことが出来るので,この形態の透明性 は,民法上の組合よりもより高いとしている。
最後に,グルネバルトは,2001年 ₁ 月29日判決(前注(23))によって
「ダムは決壊した」。何故,パートナーシャフト会社ではなく,民法上の組 合だけが社員として認められるかを「もはや正当化することはできない」
としている52)。
⑵ レマーマン
レマーマンも,2017年 ₃ 月20日判決に対して批判的である。すなわち,
右判決に対する論評53)で,レマーマンは,連邦最高裁の弁護士部局が,透 明性なきことや司法機関,依頼人に対する信頼関係を理由として,争点に 対して消極的な立場をとっていることについて,これら全て「的外れなこ とは明らか(offenkundig fernliegend)」であるとして54)以下のように述べ ている。
すなわち,透明性について,何れの登記簿にも現されない民法上の組合 とは反対に,パートナーシャフトはより透明性があることは明白である。
依頼人に対する信頼関係と,弁護士がどのような法形態で組織されるかと いう問題は明らかに何の関係もない。加えて,依頼人が有限会社の枠内で
51) Vgl. BGH, Urteil vom 14. Dezember 2016, a.a.O. (Fn. 50),前注40)。
52) Grunewald, a.a.O. (Fn50).
53) Volker Römmermann, EWiR 9/2017 261.
54) Römmermann, a.a.O. (Fn. 53) 262.
配慮する者として弁護士は何ら問題なく,むしろ問題となるのは当該有限 会社の社員である。これら(有限会社の社員)は2008年有限会社法改正法
(MOMiG)55)によってその価値を決定的に回復した社員名簿(有限会社法 16条 ₁ 項)から見取られる。有限会社またはその社員兼業務執行者の従属 性も一人社員という法形式の種類から問題となるものはない56)。
会社法を所轄する民事第二部がようやくして職業法上好ましいものとし て弁護士会社法を開き,支持し得ない制限を除去している(レマーマン は,ここで連邦憲法裁判所2013年 ₅ 月16日決定57),医師と薬局を共にする 弁護士共同事務所に関する事案を引用している。)。その一方,弁護士部局 は,依然として伝統的な,もはやまたはもとから理由づけることが出来な い禁止規制を擁護し続けている。残されていることは関与者が憲法上の抗 告を望むことである。基本法 ₃ 条及び12条の違反は明らかである58)。 レマーマンは,以上の批判的評価に重ねて,別の論稿59)でも,2017年 ₃ 月20日判決がパートナーシャフトの弁護士有限会社の社員性について消極 的な立場をとったことに対して,前記論評に掲げた幾つかの観点から批判 を行っている。
まず,透明性について,レマーマンは,民法上の組合がコンツェルンの 55) Das Gesetz zur Modernisierung des GmbH-Rechts und zur Bekämpfung von
Missbräuchen vom 23. Oktober 2008, BGBl I S. 2026.
56) Römmermann, a.a.O. (Fn. 53) 262.
57) BGH Beschluss vom 16 Mai 2013, II ZB 7/11, ZIP 2013 1429.連邦憲法裁判所 が判断することになったのは,連邦弁護士法59a条の違憲性であった。すなわ ち,基本法 ₃ 条 ₁ 項の平等原則,同 ₉ 条 ₁ 項の結社の自由及び同12条 ₁ 項の職 業選択の自由との関係である(Gründe A.II 2. (Rn. 18))。裁判所は,連邦弁護 士法59a条 ₁ 項 ₁ 文は,右規定がパートナーシャフトの枠内で共同の職業活動 を行うために弁護士が医師並びに薬剤師とが結合することを妨げている限り で, 基本法12条 ₁ 項(職業選択の自由) と相容れないと判示した(Gründe C.II. (Rn. 43))。
58) Römmermann, a.a.O. (Fn. 53) 262.
59) Volker Römmermann, Was spricht eigentlich gegen eine sinnvolle Fortentwick- lung des anwaltlichen Gesellschaftsrecht?, GmbHR 2017, 572.
親会社(Konzernmutter)になるときの不透明性(Intransparenz)につい て,民法上の組合は公の登記においては何ら記されるところはなく,法取 引上知ることが出来るのは,設立,財産,組合員に関する情報,実際は組 合自体の告知に関する情報だけであり,結果的に,組合の業務執行者自身 が整えた準備の具合に依存するものでしかないとし,このよう民法上の組 合の業務パートナーの扱い辛い状況は,判例上,過去も現在も変わらず,
いわゆる「仮装共同事務所(Scheinsozietät)」60)の背景となっていると指 摘したうえ,パートナーシャフトの場合はそれと異なり,各パートナーシ ャフトの基本データはパートナーシャフト登記簿に記されており,その点 で民法上の組合よりもパートナーシャフトの透明性は高いとしている61)。 また,司法機関としての弁護士の依頼人に対する信頼関係について,レ マーマンは,「司法機関」という用語は,「トポス(Topos)」であって,
連邦最高裁の見解に依れば,ある種の判断に欠かせないものであるとして も,それが決定的な状況に対する具体的関係をはっきりと開くものではな い62)。また信頼関係に関する連邦最高裁の示唆を受け容れることも難しい としている。というのは判決ではそれに関する具体的な議論は明らかにさ れておらず,また,弁護士有限会社の社員がある法形式かまたは別の法形 式で組織されているかによってその弁護士としての代理において依頼人の 個人的信頼が左右されるという考えは的外れである63)と再論している。
最終的に,レマーマンは,近年の動きとして,連邦憲法裁判所が,その 2016年 ₁ 月12日民事第二部決定64)によって,インタープロフェッショナル な協業関係への口を開こうとしたことに触れつつ,このような継続的発展 の途中で場合によっては何ら重要でない事柄によって覆われていた「多層 性」の禁止に陥ってしまうとして,弁護士は,他の職種と同様,社員が企
60) Römmermann, a.a.O. (Fn. 59), GmbHR 2017, 573f.
61) Römmermann, a.a.O. (Fn. 59), GmbHR 2017, 574.
62) Römmermann, a.a.O. (Fn. 59), GmbHR 2017, 575.
63) Römmermann, a.a.O. (Fn. 59), GmbHR 2017, 576.
64) BVerfG v. 12. 1. 2016─1 BvL. 6/13, NJW 2016, 700.
業に参加するような構造をも形成できるようになるとの展望を示してい る65)。
2 肯定的評価
前記 ₁ とは反対に,2017年 ₃ 月20日判決に対して肯定的な評価をしてい るのは,ホスパッハとバンテル・ヴァイス(以下「ホスパッハ=バンテ ル・ヴァイス」とする。)である66)。
まず,ホスパッハ=バンテル・ヴァイスは,「本判決は歓迎すべき(zu
begrüßen)である。」と評価し,以下のように論じている67)。
すなわち,本判決は,司法,透明性の利益においてまた弁護士と依頼人 との間の信頼関係保護のために,弁護士会社に際しての多層性に対し明白 な拒絶宣告を行っただけでなく,連邦弁護士法59a条 ₁ 項 ₁ 文及び ₂ 項と の関連で同59e条 ₁ 項 ₁ 文がどのように解釈されるべきかをも最終的に明 らかにした。
弁護士部局の見解によれば,連邦弁護士法59e条 ₁ 項 ₁ 文は以下の趣旨 で解釈されるべきである。すなわち,同条で掲げられている自由業メンバ ーだけが,すなわち,自然人だけが弁護士会社の社員となることが出来,
そして,それを越えて,右メンバーによって構成されるそれぞれの有限会 社持分の保有に限定される民法上の組合も社員となることが出来るが,こ れに対し,広範に法人と近いパートナーシャフト会社は社員となることが 出来ないということである68)。
規定の文言からもまた立法資料からも「自然人から構成される職業を営 む会社として弁護士会社を,司法の利益,職業メンバーの独立性,とりわ
65) Römmermann, a.a.O. (Fn. 59), GmbHR 2017, 576.
66) Hospach=Bandtel-Weis, Klare Absage des BGH an die Mehrstöckigkeit von Rechtsanwaltesgesellschaften, NZG 34/2017 1311, 1333.
67) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn66), S. 1332.
68) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn66) S. 1332; Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 21, 25, 37.
け司法機関としての弁護士及び委任者に対する放棄することが出来ない人 的信頼関係の独立性のために出来る限り透明性のある構造を示し,そのこ とを通じて従属性や影響力が及ぶことから保護されるような会社として戧 出しようとする」というはっきりとした立法者の意思が明らかにされてい る。それ故,立法者は,弁護士会社との関連での「多層的な会社」の設定 を明白に拒んでいる(2017年 ₃ 月20日判決,判決理由Rn. 27─29)。
また連邦弁護士法59c条以下の体系も,立法者が右の規制を形成する際 に努めたことは「多層的な会社」の形成を妨げることであったということ を示している(前記判決理由Rn. 31─34)。このことは例えば,弁護士会社 は共同して職業を営むために他の結合に参加してはならないと規定する連 邦弁護士法59c条 ₂ 項から導き出される。また,弁護士会社の(唯一の)
社員として人的性格の強いパートナーシャフト会社を参加させることを認 める場合には,完全に裏をかかれてしまう(unterlaufen)ことになる連邦 弁護士法59j条 ₂ 項 ₂ 文の弁護士会社の職業責任に関する規制によっても 導き出される69)。
弁護士部局によってなされた連邦弁護士法59e条 ₁ 項の解釈は強制力あ るものである。本判決は,憲法に適った解釈がその限界を見出すのは,当 該解釈が文言や立法者の明白に認識可能な意思に反しているという場合で あるという憲法上の原理を肝に銘じたものに過ぎない。この点で,立法者 は,彼が弁護士会社に際して多層的な会社の設定を拒絶することを明白か つ紛れもなく述べてきていたし,弁護士部局も,このことをその判決中に 全般にわたって述べてきた。従って,ホスパッハ=バンテル・ヴァイスに よれば,それと異なることを述べる判決は,却って,憲法上,疑わしいも のとなるとされる。2001年に弁理士部局が,民法上の組合(単に部分的権 利能力を有するだけの組合,組合員からの組合の完全な分離がなされてい ないものにしか過ぎない。)を狭い前提のもとで,弁護士有限会社の適格 な社員であるとみなしたと云うこと,そして右の判断が,弁護士部局によ
69) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn. 66) S. 1333.
って今回確認されたという事実だけで,広範にわたって法人に近い,パー トナーシャフト有限職業責任会社の社員の能力も認めなければならないこ とを意味することにはならない。また,法的に独立した会社が相互に参加 することは,必然的に会社のコンツェルン化及び多層化に行きつくとして も,その一方,民法上の組合の有限会社への参加に際し右のことが必然的 となる訳ではないとされる70)。
また,ホスパッハ=バンテル・ヴァイスは,パートナーシャフト会社の 弁護士有限会社への参加を通じた多層性が透明性の欠損,管理の欠損,責 任の欠損に至り,一種の権利濫用的な法形態の選択を助長することは疑い がなく,このことが司法の利益や弁護士と顧客との間の信頼関係にとって 不利益となることは明白であるとして,レターヘッドのデザイン(Briefbö- gengestaltung)に際しての透明性の欠損,登記による公示を通じた透明 性なきこと,多層性に際しての管理の欠損,多層性に際しての保険による 保護の不十分性,そして多層性による責任関係偽装の可能性について,そ れぞれの問題点を指摘している。
このうち,登記による公示を通じた透明性なきことについて,ホスパッ ハ=バンテル・ヴァイスは,パートナーシャフト会社の弁護士会社への参 加の場合でも,会社の構造は全く透明化されていないとして,以下のよう に論じている。
すなわち,パートナーシャフト会社の参加能力の支援者によって,パー トナーシャフトの参加に際してその透明性は当該パートナーシャフトの登 記による公示を通じてまさしく確保されていると部分的にではあるが主張 されるかもしれない。しかし,このことは決してそうではない。公示と透 明性とを混同してはならない。訴訟に関わる一般人(Publikum)にとっ て,パートナーシャフトがその社員となっている弁護士有限会社に委任す る際にそのような会社の構造が意味することは以下①~③の通りである。
すなわち,(だれにそれを委任するかを知りたい)一般人は,①まず以て,
70) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O.
有限会社の商業登記簿の閲覧をしなければならない,②そこである(ある いは場合によっては複数の)パートナーシャフト会社が社員であるとの情 報を得る,③そこで相応するパートナーシャフト登記簿の閲覧をしなけれ ばならない。
前記①~③によって公示は提供されるが,透明性はそうではない。連邦 憲法裁判所は,連邦弁護士法10条 ₁ 項 ₃ 文の合憲性に関し,その2009年 ₃ 月24日の決定71)において,弁護士に係る会社法における透明性の要請に関 し見解を示した。同決定において右裁判所が述べたことは,訴訟に関わる 者が,例えば,その者がインターネットや弁護士名簿を調べるように自ら 能動的にならなければならないような場合には,もはや十分な透明性は与 えられていないということである。ある弁護士会社に際して,その関係に ついてのイメージをもつために異なった登記簿を複数回閲覧する必要があ る場合には,手掛かりとして十分な透明化はなされていないのである72)。 更に,多層性による責任関係偽造の可能性についても,ホスパッハ=バ ンテル・ヴァイスは,2017年 ₃ 月20日判決の事案がパートナーシャフト会 社の参加ではなく,パートナーシャフト有限職業責任会社である点を捉 え,次のように論じている。
すなわち,特別の危険性が存するのは,多層的構造またコンツェルン構 造が,責任関係の偽装若しくは弁護士責任を更に制限するために利用され るという点である。ある参加構造を選択するための以上の動機と職業法上 の会社(団体)法とが一致するかは非常に疑わしい。法が弁護士に差し出 すのは,その職務を行うための法形態の完全なパレット(eine ganze Pa- lette)であり,そこでは弁護士に対して(とりわけパートナーシャフト有 限職業責任会社や有限会社,株式会社を通じた)多くの責任制限の可能性 が用立てられている。それ故,パートナーシャフト有限職業責任会社とい
71) BVerfG, NJW 2009, 2587 Rn. 10; Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn. 66) S.
1333.
72) 前注57)に掲げた判決は,前節Ⅱの判決理由中に参考すべきものとして引用 されている(Entscheidungsgründe (Fn. 2), Rn. 43.)。
う法形態の選択は当然にその職務を行う者の財務上の個人責任の制限に行 き着く。その結果,一般的には,個人責任の回避のためにそのような参加 構造を採るべきではないとしている73)。
以上の点から示唆されるように,ホスパッハ=バンテル・ヴァイスは,
2017年 ₃ 月20日判決がパートナーシャフト会社の弁護士有限会社の社員性 を否定したことは,その姿勢がパートナーシャフト会社の「姉妹形姿」で ある合名会社の社員性の否定に及ぶ一方,同判決が前掲2001年の弁理士部 局の判決を維持することで,自然人と並び,唯一,民法上の組合が一定の
(狭い)要件74)のもとでのみ弁護士会社の社員となり得ることを示した点 を評価している。この点で,これまで一部の学説が,弁護士有限会社にお ける民法上の組合の社員性要件を拡く捉えようとしていること75)に対し
73) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn. 66) S. 1334.
74) その要件として示されているのは,①民法上の組合が有限会社の持分の保有 に限定されている(そしてそれによって職業を営む会社を表していない)こ と,②右組合が自身で,弁護士会社に対して提出される職業法上の要件を充た していること,③弁護士会社の定款によって,民法上の組合が連邦弁護士法 59c条による職業法上の要件を全て充たしている者だけを構成員とすることを 確定していること,である(Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn. 66) S. 1335)。
75) この点でホスパッハ=バンテル・ヴァイスが批判の対象としているのは,ヘ ンスラーの見解(Henssler: in Henssler/Prutting, a.a.O. (Fn. 8) §59e Rz. 14)で ある。ヘンスラーによれば,規定文言の意味中に民法上の組合の持株会社の禁 止が明白に掲げられていないので,社員の合手的結合を認めるのに相応しいの は合憲的解釈の規律であるとしている。すなわち,弁護士会社の持分は民法上 の組合という法形式で一個の持株会社に束ねられる。それによって実際に直接 的かつ無形式の民法上の組合への持分の譲渡への途が開かれる結果,有限会社 法15条 ₃ 項による組織的かつ経済的負担(筆者注:公証人の認証)は回避され る。ヘンスラーによれば,ここで注意しなければならないことは,一つの民法 上の組合に持分を束ねることだけで形式規定の回避に資するのではないことで ある。何故ならば,このような回避事例中,民法上の組合の組合員の変更にも 有限会社法15条が適用されるからである。その目的が有限会社持分の保有及び 管理に限定されている場合には回避はない(BGH NZG 2008, 377)。その民法 上の組合は一人社員として,業務執行者を通じて代理している。「星型共同事
て,2017年 ₃ 月20日判決を踏まえ,批判的な姿勢をとることを明らかにし ている76)。
五 ま と め
ドイツにおける自由業種に係る法については,それぞれの業種ごとに独 立した立法がなされているが,各業種に共通する活動については,部分的 に,相互に類似する規定を置いたり,準用することによって,業種を超え た活動も可能なように配慮されている。しかし,本件のように,その活動 形態によっては,従来の自由業の枠組みから外れてしまうような制度利用 がなされ,それに対する司法判断が求められることもある。
個別的な司法判断として,本稿で取り扱った2017年 ₃ 月20日判決につい ては,前記四で論じたように,連邦最高裁が自らの過去の判断を確認した に過ぎず,先行判例(とりわけ2001年 ₁ 月29日判決)から将来へ一歩踏み 出した判断を示していないという点で批判されて然るべきか(前記四 ₁ ),
それとも,先行判例で示された基準に基づき,一貫した判断を示した限り で一定の評価に値するものであるか(前記四 ₂ )意見が分かれるところで ある。しかし,先行判例以上の積極的な判断を求めようとするのが困難で 務所(Sternesozietät)」の禁止の脱落以来(旧59e条 ₂ 項),民法上の組合も職 業活動を行う会社となることが出来るとする(Henssler, a.a.O.)。ここでいう 星型共同事務所とは,一つの職業メンバーが複数のバラバラの共同事務所に帰 属している場合である(Michalski/Römermann: in Henssler/Streck, Handbuch Sozieritätsrecht, 2. Aufl. 2011, B Rz. 208.)。右文献によれば,旧59a条 ₁ 項 ₁ 文 にあった「一つの共同事務所において(in einer Sozietät)」という文言が,結 果的に新法に移らなかった点を考慮すれば,星型事務所の肯定に方向付けられ る(Michalski/Römermann, a.a.O., B Rz. 209.)。その一方で,新法に係る文献 では,弁護士が弁護士業務について複数の共同事務所を展開することについて は,前記の文言の削除を考慮しつつ肯定するものの,それ以上の展開について はむしろ抑制的な論述も見受けられる(Brüggemann: in Feuerich/Weyland, BRAO, 9. Aufl. 2016, § 59a Rz. 62ff.)。
76) Hospach=Bandtel-Weis, a.a.O. (Fn. 66) S. 1335.