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論 文 要 旨

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Academic year: 2021

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博士論文審査結果の要旨

博士論文審査委員会 主 査 平 野 真 審 査 委 員 堀 内 義 秀 審 査 委 員 田 中 秀 穂 審 査 委 員 戸 澤 幸 一 審 査 委 員 坂 本 正 典

氏 名 竹 倉

論文題目

成 熟 産 業 に お け る 競 争 優 位 性 獲 得

YKK

フ ァ ス ニ ン グ 事 業 の イ ノ ベ ー シ ョ ン 創 発 ―

〔論文審査の要旨〕

急 速 な グ ロ ー バ ル 化 が 進 む 今 日 、 め ま ぐ る し く 変 化 す る 国 際 市 場 の な か で の 企 業 の 競 争 力 を 構 築 し 、 し か も そ れ を 継 続 す る と い う 課 題 は 、 製 造 業 に 限 ら ず 、 あ ら ゆ る 産 業 の 企 業 経 営 に お い て き わ め て 重 要 な も の で あ る 。

本 研 究 で は 、 日 本 の 製 造 業 に お い て 強 い 競 争 力 を 構 築 し 維 持 し 続 け て い る ベ ン チ マ ー ク 的 な 企 業 を 事 例 研 究 の 対 象 と し て 取 り 上 げ 、 国 際 競 争 力 構 築 に お け る イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン を 得 る 事 を 目 的 と し た 。

研 究 対 象 と し て 選 ん だ YKK 社 は 、 現 在 多 く の 日 本 の 製 造 業 企 業 が 国 際 競 争 力 の 低 下 に 悩 む 中 で 、 戦 後 後 進 国 日 本 の 後 進 企 業 と し て 出 発 し な が ら 大 き な 成 長 を 遂 げ し か も 現 在 も 依 然 と し て 高 い 世 界 シ ェ ア を 維 持 し て い る き わ め て 希 有 な 優 良 企 業 の ひ と つ で あ る 。 ス ラ イ ド フ ァ ス ナ ー の 分 野 に お い て YKK 社 は 現 在 で も 国 内 で 9 割 、 世 界 で 4 割 以 上 の シ ェ ア を 誇 っ て い る 。 そ こ で 、 本 研 究 で は 、 Y KK フ ァ ス ニ ン グ 事 業 の 成 長 の 様 子 を 具 体 的 に 調 べ 、 そ の 競 争 優 位 性 の 構 築 が な ぜ 可 能 で あ っ た の か を 、 特 許 調 査 や 市 場 ・ 製 品 の 相 互 作 用 等 の 観 察 を も と に 考 察 し た 。 調 査 に お い て は 、 ス ラ イ ド フ ァ ス ナ ー 製 品 を ま っ さ き に 開 発 し 産 業 と し て 発 展 さ せ た 先 進 企 業 で あ る 米 国 TAL ON 社 と の 事 業 経 営 お よ び 技 術 開 発 、 製 品 戦 略 の 違 い を 、 様 々 な 資 料 や 膨 大 な 特 許 の 調 査 に よ り 、 歴 史 的 な 推 移 と と も に 明 ら か に し た 。 そ の 結 果 、 戦 後 に お け る Y KK 社 の 飛 躍 的 発 展 の 要 因 は 、 Y KK 社 が 当 時 後 進 国 で あ っ た 日 本 国 内 顧 客 特 有 の 需 要 を 丁 寧 に 拾 い 上 げ 、 製 品 形 態 の 変 革 と こ れ に 必 要 な 製 法 技 術 の 開 拓 、 結 果 的 に は あ る 種 の ビ ジ ネ ス ・ モ デ ル ・ イ ノ ベ ー シ ョ ン と い え る よ う な 改 革 を 行 い 、 こ れ を 次 第 に 海 外 そ し て 最 終 的 に は 米 国 市 場 に も 押 し 広 げ て い っ た 事 に よ る も の で あ る 事 を 明 ら か に し た 。 以 上 の 解 析 結 果 は 、 国 際 経 済 の 大 き な 流 れ の 中 で 一 定 の 環 境 条 件 の 制 約 は あ る も の の 、 個 々 の 企 業 の 市 場 や 技 術 と 向 き 合 う 姿 勢 や 工 夫 に よ っ て 、 様 々 な イ ノ ベ ー シ ョ ン の 形 態 が 生 ま れ 、 こ れ に よ り 先 進 国 や 新 興 国 な い し 先 進 企 業 や 後 進 企 業 に 関 わ ら ず 、 産 業 が 成 熟 期 に 達 し た 段 階 に お い て も 企 業 の 国 際 的 な 競 争 力 の 構 築 が 可 能 で あ る こ と を 示 唆 し て い る 。

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論 文 要 旨

2015 年 3 月 9 日

※報告番号 甲 第 168号 氏 名 竹倉 徹

主論文題名

成熟産業における競争優位性獲得

YKK

フ ァ ス ニ ン グ 事 業 の イ ノ ベ ー シ ョ ン 創 発 ―

内容の要旨

一般的に製造業でのイノベーションは先進国で起こり、先進国で市場を築いた製品は、その 後、新興国にも普及していくと考えられている。新興国側では、先進国企業の生産拠点の移設 等に始まり、技術のスピル・オーバーなどにより、安価な労働力を梃にやがて先進国に製品を 輸出する後進企業も生まれ、先進企業の競争優位性を脅かしたり、先進国の空洞化を加速した りするといわれる。

実際、戦後間もないころ、技術力も低く、新興国であった日本の製造業はいつの間にか、先 進国であった米国などの技術をキャッチアップし、欧米先進諸国に輸出する立場にな っていっ た。そして、自らも先進国の仲間入りを果たした今日、逆に新たな新興国である中国やアジア 諸国に市場での競争力を奪われ、また生産拠点の移転によって産業空洞化の問題を抱えてい る。

だが、こうした流れにあっても、先進国側で勝ち残る先進企業もあり、生産拠点の空洞化も 必ずしも企業競争力を弱めるとはかぎらない。それでは、勝ち残る企業の競争優位性はどのよ うに形成されうるのであろうか?あるいは、逆に新興国側においても、単に人件費の安さによ る一時的な興隆ではなく、継続的に成長していく企業の競争力というものは、どのように形 成 されるのであろうか?グローバル化が進む今日、こうした変化する国際市場のなかでの企業の 継続的な競争力を構築するという課題は、製造業に限らず、企業経営においてきわめて重要な ものとなっている。

こうした問題意識のもとに、本研究では、日本の製造業において国際競争力を構築し維持し 続けているベンチマーク的な企業の事例研究を行い、課題解決に向けた何らかのインプリケー ションを得る事とした。

YKK 社は現在多くの日本の製造業企業が国際競争力の低下に悩む中で、戦後後進企業として 出発しながら大きな成長を遂げしかも現在も依然と して高い世界シェアを維持しているきわめ て希有な優良企業のひとつである。スライドファスナーの分野において YKK 社は現在でも国内 で 9 割、世界で 4 割以上のシェアを誇っている。そこで、本研究では、YKK ファスニング事業

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の成長の様子を具体的に調べ、その競争優位性の構築がなぜ可能であったのかを、その背景に ついて特許調査や市場・製品の相互作用等の観察をもとに、考察した。

本研究は、国際経済の大きな流れの中で一定の環境条件の制約はあるものの、個々の企業の 市場や技術と向き合う姿勢や工夫によって、様々なイノベーションの形態が 生まれ、これによ り先進国や新興国ないし先進企業や後進企業に関わらず、産業が成熟期に達した段階において も企業の国際的な競争力の構築が可能であることを示唆している。

産業の現場で起こっているこうした多様なイノベーション創発の過程に関する分析と意味付 けを深耕することは、今後も閉塞状態にある日本の多くの製造業企業の活性化に資する様々な 知見を与えてくれるであろう。

※印欄記入不要

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