幾何学序論1 K.Ichihara
実数とは
実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
幾何学序論1
練習問題市原一裕
2015年7月13日(月)2限
幾何学序論1 K.Ichihara
実数とは
実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
練習問題
実数の完備性
注意 3.5.8
実数に対して,その絶対値を,これまでと同様に定義する ことができる.詳しいことは,ここでは省略.
定理 3.5.9【実数の完備性(completeness)】
実数のコーシー列は必ず収束する.
すなわち,実数列{xn}がコーシー列である,つまり,
∀ε >0,∃N s.t. ∀n, n′ > N,|xn−xn′|< ε
が成り立つとき,実数 αがただ一つ定まり,次が成立する.
∀ε >0,∃N s.t. ∀n > N,|xn−α|< ε
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実数とは
実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
練習問題
実数の完備性
注意 3.5.9
一般に,絶対値(ノルム)が定義されている集合において,
任意のコーシー列が収束するとき,その集合は完備である
(complete)という.
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実数の集合の濃度
加法について
練習問題
上限と下限
定義 3.5.5【上限(sup)と下限(inf)】
Rの部分集合をAとする.
▶ Aに対して「すべてのα∈Aに対してα≤x」となる ようなx∈Rが存在するとき,このxをAの上界と いう.
▶ Aの上界がすくなくとも一つ存在するようとき,Aは 上に有界であるという.
▶ Aが上に有界であるとき,Aの上界のうちで最小のも の,つまり任意の「Aの上界」λに対して,α≤λを みたすAの上界αが存在するとき,それをAの上限
(supA)という.
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実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
練習問題
実数の連続公理
定理 3.5.10【実数の連続公理】
上に有界なRの部分集合Aには,必ず上限α= supA∈R が存在する.また,下に有界な集合Bには,必ず下限 β = infB ∈Rが存在する.
注意 3.5.10
いまのように,コーシー列から実数を定義している場合,
これは「定理」だが,この「連続公理」と前節の定理たち と次節の「アルキメデスの原理」をあわせて,「公理」とし て実数の集合を定義することもできる.
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実数とは
実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
練習問題
有理数の稠密性
定理 3.5.11【有理数の稠密性(ちゅうみつせい)】
α < βをみたす任意の実数αとβに対して,α < r < β と なる有理数r が無数に存在する.
定理 3.5.12
Rの中でNは有界ではない.
定理 3.5.13【アルキメデスの原理】
0< α < βをみたす任意の2つの実数αとβに対して,あ る自然数Nが存在してN α > βが成り立つ.
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実数とは
実数の完備性と連続公理 アルキメデスの原理と有理数 の稠密性
実数の集合の濃度
加法について
練習問題
Rの濃度
定理 3.6.1【Rの濃度】
Rと2Nは対等である.
定理 3.6.2
RとR×Rは対等である.
注意 3.6.1
この定理は,カントールが1877年に(32才のときに)示 したもので,無限に関しては次元には意味がない!ことを 意味しているように見える.
カントール自身,自分で証明できてしまったが,次のよう な友人のデデキント宛ての手紙が残っている
「私は見た.しかし信じられない(Je le vois, mais je ne le
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実数とは
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実数の集合の濃度
加法について
練習問題
練習問題
練習問題 3.6.1
A= (0,1)の下限が0であることを示しなさい.
練習問題 3.6.2
集合{m+nn |m, n∈N} ⊂Rが上限または下限を持つかどう か調べなさい.
練習問題 3.6.3
任意の正の実数αに対して,0< r < αをみたす有理数が 存在することを示しなさい.
N