帝国議会の開設を控えて︑時の政府が大量の法令を公布したこと
は︑人のしるところだ︒議会開会の時から施行される帝国憲法が︑
﹁法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法二矛盾
セサル現行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス﹂と規定していたから︑
事前に周到な準備をしたのである︒尾崎三良の言葉をかりれば︑
此節︑各省より陸続法律命令的の議案を内閣へ提出し︑速か
に決定せられんことを催促し︑議案法制局に輻轄し︑十数人の
参事官連日手分けして調査するも︑容易に之を内閣へ提出する
運びに至らず︒何故に斯く俄かに沢山に法案を出すやと其内情
を探って見るに︑近日の内に国会を開催せらるるに至るべし︑
然る時は一切の法律案は皆国会の議を経ざるべからず︑国会両
院の議を経て可決するは容易の業にあらず︑故に国会の開けざ
る前に可成必要の法令は悉く決定発表して︑国会をして容塚せ
しめずとの政略にして︑所謂鬼のこん問に何とやら⁝⁝︒ 初めに
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 帝国議会と命令の罰則
その大量の立法の中に︑明治二三年九月一八日公布法律八四号︑
﹁命令ノ条項違犯二関スル罰則ノ件﹂がある︒次に掲げるのがその
全文である︒
命令ノ条項二違犯スル者ハ各其ノ命令二規定スル所二従ヒニ百
2円以内ノ罰金若ハ一年以下ノ禁鋼二処ス
もう一つ︑同日公布勅令二○八号︑﹁省令庁令府県令及警察令二
関スル罰則ノ件﹂・同じように全文を掲げる︒
第一条各省大臣ハ法律ヲ以テ特二規定シタル場合ヲ除クノ外
其ノ発スル所ノ省令二二十五円以内ノ罰金若ハニ十五日以下
ノ禁鋼ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
第二条地方長官及警視総監ハ其ノ発スル所ノ命令二十円以内
3ノ罰金若ハ拘留ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
憲法は議会に立法協賛権を与えながら︑同時に天皇の大権事項と
して副立法権を規定した︒その限りで議会の権限は制約をうけた︒
加えて右の法律八四号が命令に罰則をつけることを一般的に認めた
ことから︑その権限は大きく制約された訳である︒
新井
勉
一
副立法権は︑憲法そのものによる権限配分の問題であるが︑法律
八四号は︑その外にも問題を孕んでいた︒というのは憲法の中に︑
﹁日本臣民ハ法律二依ルー非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコト
ナシ﹂とある︒その規定がある以上︑命令に罰則制定権を委ねて︑
果して説明がつくのか︒罪刑法定主義との関係はどうかという問題
である︒後に︑美濃部達吉が次のようにのべている︒
処罰ハ或ハ刑罰トシテ司法権ニ依り之ヲ課スルモノアリ︑或
マE
ハ行政上ノ必要ニ依り行政権ニ依り課スルモノアリ︑或ハ法政ノ秩序ヲ維持スル為二民事裁判所二於テ課スルモノアリ︒何レ
ニシテモ予メ定マレル法律二依ルー非ザレバ之ヲ課スルコトヲ
得ズ︒﹁法律ナケレバ罰ナシ﹂ノ原則ハ我ガ憲法ノ等シク保障
スル所タルナリ︒唯憲法制定後其施行前二於テ定メラレタル明
治二十三年法律第八四号ハニ百円以内ノ罰金若クハ一年以下ノ
マお
懲役ヲ限度トシテ命令ヲ以テモ罰則ヲ定ムルコトヲ得ベキモノ4ト為セルニ因り此原則ハ大ナル制限ヲ受ケタリ︒
議会がどういう権限をもつかということと︑人権保障の一手段と
しての罪刑法定主義の問題は︑本来は同一のことの表と裏である︒
国民から選ばれた代表を含む議会が国政上大きな権力をもち︑その
議会の制定した法律によらなければ国民が処罰をうけることがない
という関係は︑近代立憲制の基礎的な考え方であると思う︒それが
近代日本の場合︑どうなのか︒帝国憲法をよむ限り︑﹁帝国議会﹂
の地位は高くはなく︑﹁臣民﹂の権利自由は確かなものではない︒
その上に︑件の﹁命令ノ条項違犯一一関スル罰則ノ件﹂がおいうちを
かけたとい︑フ図式だ︒ 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
政府の立場でみれば︑憲法に加え法律八四号を公布したことで︑
鬼に金棒︑独り政府が強大な権力を有した訳である︒その場合特に
法律八四号の機能として︑再び美濃部の著書から憲法九条独立命令
の個所の説明をひくと︑
警察命令ヲシテ実効アラシムル為一天必ズ罰則ノ之二伴うコ
トヲ要ス︒罰則ナキ命令ハ殆ド徳義上ノ訓諭二異ナラズ︒故二
本条二依ル命令ノ活動ハ︑主トシテ其命令二附スルコトヲ得ベ
キ罰則ノ程度二依リテ定マルモノト謂フベシ︒我ガ現時ノ国法
ハ頗ル高キ程度二迄命令二罰則ヲ附スルコトヲ許シ随ツテ命令
5ノ活動シ得ベキ範囲広キー過グルノ嫌アリ︒
さて行政権優位の枠組の下で︑初めて帝国議会が開かれたのが︑
明治二三年三月二九日︒立法府として政府の掌中にある罰則制定
権の回収を試みることは︑当然の話である︒二週後︑翌月一三日の
﹁東京日々新聞﹂は︑次のような記事をのせた︒保安条例廃止案の
成立については甘い予測をしているものの︑法律八四号の重要性の
認識は的確である︒マ弘保安条例廃止之結果同案廃止の建議案は已に提出せられた
れば早晩議場に現はれ来り︑多分は格別の異議もなくして可決マ弘を見るならん︒されど退て将来を想像する時は︑法律第八十六
号命令罰則の法律にして猶存せん歎︑政府は必要と見る以上は
何時にても保安条例同様の命令を発するを得て︑保安条例今日
の廃止は何の効能もなき事となるべし︒故に保安条例廃止は右
命令罰則廃止案と相待て︑其果を収むるを得くしと某議員は物
6語れり︒ 一一
右の記事にある廃止案に続き︑帝国議会は初めの頃何度も︑政府
の手から罰則制定権の大半をとりあげようと努力したようである︒
明治二三年法律八四号改廃法案の提出がそれであるが︑まずおよそ
7のことをしるために︑法案の提出と議事の結果をぬきだしてみた︒
左に掲げた表である︒第一議会は新聞記事どおり廃止案︑第三議会
以降はどれも改正案である︒提出者は所属党派をつけておいたので
分るように︑全員が衆議院議員である︒提出者が数人いる場合も︑
煩雑にならないように便宜上筆頭の一人をあげておいた︒その場合
党派というのは︑当然その人が属した党派︒蛇足を少しつけると︑
党派の欄に議員集会所や弥生倶楽部とあるのは︑初期議会衆議院の
院内団体のことで︑弥生倶楽部は自由党︑議員集会所は立憲改進党
とよみかえればよい︒
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 本稿は︑帝国議会が︑その開設の直前政府により公布されていた
明治二三年﹁法律﹂八四号命令の条項違犯に関する罰則の件という
法令に対して︑どのように反発し権限の回収を試みたか︑その努力
が首尾よく功を奏したかどうか︑という問題をみてみたいと思う︒
左の表から明らかなように︑貴族院の存在が壁になり︑議会はその
改廃に失敗した︒では︑貴族院はなぜ衆議院の意思を退けたのか︒
そ︑フ問題を設定しておきながら︑実は本稿はそれに答えるものでは
8ない︒本誌前号で第九議会の治安警察法案の廃案についてみたが︑
前号の場合と同じことだが︑貴族院内部の詳しい事情を掴むことが
できないでいるからだ︒もどかしさを感じながら︑ともかく議会の
審議をおうことにより︑せめて少しでも問題点を明確にすることが
できればよいと思ミフ︒
一一一 第八議会 第六議会 第五議会 第四議会 第三議会 第一議会
・岨・別I朋・3.羽 ・5・囮l・6.2 鮒・皿・肥l恥・皿・別 妬・皿・羽l茄・2・朗 妬.5.61妬.6.M 鴎.u・朗I別.3.7
会期
改正案 改正案 改正案 改正案 改正案 明治二三年法律八四号改正案 明治二三年法律八四号廃止案
件名
橋本久太郎外二名 高橋安爾外一名 肥塚竜 藤野政高外一名 野出錨三郎外二名 福田久松外一名 渡辺又三郎 提出者
立憲改進党 自由党 立憲改進党 弥生倶楽部 弥生倶楽部 議員集会所 無所属 所属党派
・皿・型 ・皿・別 ・5・咽 妬・皿・邪 妬︒n.羽 妬.6.2 羽・皿・略 提出
議決不要 朋・1.皿可決 未了 鮒・皿・9可決 茄・2.別可決 未了 未了 衆議院
邪・1・邪否決 未了 茄・2.邪否決 貴族院
帝国議会における明治二三年法律八四号命令の条項違犯に関する
罰則の件の改廃論議をみる場合︑問題になるのは︑第四議会と第八
議会である︒右の表で分るように︑その二回が︑衆議院と貴族院の
両院で審議が行われたからだ︒
第一議会衆議院︑明治二三年一二月一五日︑無所属の渡辺又三郎
が廃止案を提出した︒同日の会議の最初︑中島議長の報告の中に︑
本年法律第八十四号廃止法律案ヲ渡辺又三郎君ョリ⁝⁝提出
9セラル
一二月二五日の議事日程に上り︑第一読会が開かれよ︑フとして︑
政府提出の法案や議員の緊急動議により遮られた︒翌日から休会︒
翌二四年一月八日から衆議院は︑予算案の審議で大騒動︒予算案が
通過した後︑廃止案は︑三月五日の議事日程第一二︑六日第二︑
七日第二と店晒しになり︑結局何もせず審議未了︒
第三議会衆議院︑明治二五年六月二日︑議員集会所の福田久松︑
丸山名政が連名で改正案を提出した︒六月二日︑第一読会に入り
かけて︑提案者福田が﹁少シク延べテ貰上タイ﹂と発言して延期︒
0最終日一四日の議事日程にのせられただけで︑再び審議未了︒
序でに備忘から︑宮城浩蔵の見方を記せば︑廃止案に対しては︑
其当時政府二於キマシテ︑酷ク反対サレマシテ︑ドウシテモ
斯ウシテモ此八十四号ト云フモノヲ廃止シテハナラヌト云う精
神カラシテカラニ⁝⁝通過セヌコトヲ大変カヲ尽シマシタ︑又
一方即チ衆議院デドウ云う都合デアッタカ︑其当時ノ衆議院ヲ 一第四議会と明治二三年法律八四号改正案 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
/"鐸=
〆塞亨
敢テ攻撃スル次第デハアリマセヌヶレドモ︑八十四号廃止ノ案
ト云フモノガ順序ガ来ツタニモ拘ラズドウシテモ斯ウシテモ議
題二上ラヌ︑ドウ云う策略ヲシタモノカ知リマセヌガ議題二上
ラズ到頭々々議会ガ閉会ニナッタ︑ソレカラ第二ノ議会ハ解散
ノ運命ニナッタト云う都合デアルカラ︑終二八十四号ノ廃止ハ
⑫現レズニ仕舞ツタ次第デアリマス
第一議会の廃止案と第三議会の改正案が同じような扱いをされた
のか︑宮城の発言をうけて︑福田久松が改正案について︑
今日ハ延べテ呉レ明日ハ延べテ呉レト云ツテ︑到頭議事日程
0 3
ニ登リマスレバ時ガ足ラナク:⁝.
さて第四議会︑衆議院では︑明治二五年三月二九日開院の日︑
弥生倶楽部野出鏑三郎︑同盟倶楽部加賀美嘉兵衛︑議員集会所福田
久松の三議員が連名で︑改正案を提出した︒
明治二十三年法律第八十四号改正案
凡ソ行政命令一天五拾円以内ノ罰金若クハ拘留ノ罰則ヲ附スル
0コトヲ得
一二月六日︑第一読会の初めに︑野出が提案理由をのべ︑憲法に
﹁法律二依ルー非スシテ⁝⁝処罰ヲ受クルコトナシ﹂の規定がある
が︑法律が罰則を許すのだからさし支えないとした上で︑
此憲法ノ実施セラル︑僅カニ三箇月以前二当ツテ此八十四号
ノ如キ法律ノ出タト云フコトハ実二私等ノ怪ム所デゴザイマシ
タ︑当時如何ナル必要ガアッテ斯様ナ法律ガ出マシタカ其辺ハ
分リマセヌ︑ケレドモ兎二角八十四号ノ法律ガアリマスルタメ
ニ其結果二於テドウ云フコトガ生ジタカト云上マスト︑諸君モ
四
御承知デゴザイマセウガ︑本年一月二十八日二於テ予戒令卜云
フモノヲ発布セラレタノデアル︑此予戒令卜云フモノハ即チニ
十三年ノ法律第八十四号二依ツテ発布セラレタノデゴザイマセ
ウ︑デ予戒令ハ如何ナル場合二之ガ生レタモノデアルカト申シ
マスルナラバ︑彼ノ選挙干渉ノタメニ大二之ヲ利用スルト云
う︑即チ選挙干渉二大ニ之ヲ利用セラレタト云フノデアル︑斯
様ナ当時選挙干渉ノタメニ却ヅテ法律第八十四号ヲ利用セラレ
タノデ︑其害タルヤ実二非常ナコトデゴザイマシタ⁝:︑
それだけでなく︑二月前の一○月六日︑明治二五年勅令八四号で
公布された狩猟規則︒議会は租税法律主義その他から違憲の疑いを
もち︑一二月二日に貴族院有志が政府に質問書をだし︑一三日には
衆議院が政府の発令を非認する決議を行うことになる勅令をあげ︑
﹁若シモ法律八十四号ガナカッタナラバ︑狩猟規則ノ如キ罰則ヲ付
スルモノハ容易二勅令ヲ以テ発スルコトノ出来ナイノハ明白﹂で︑
廃止した方がよい位だが︑行政取締上さし支えるから改正したい︒
此八十四号卜申シマスルモノハ︑御承知ノ如クニ百円以内ノ
罰金若クハ一年以内ノ禁鋼卜云フコトデゴザイマス︑其罰金ノ
額ハ随分多イ額デアリマス︑又一年以内ノ禁鋼卜申シマスルト
此中一天重禁鋼モ軽禁鋼モ含ンデアルノデ︑随分体刑二処セラ
レルト云う様ナコトデゴザイマスナラバ︑実二此勅令ヲ以テ此
非常ナ権力ヲ持夕セルト云う話デアル︑斯様ナコトハ甚ダ宜シ
クナイ︑尤モ今日ノ立憲政体二於テ斯様ナコトヲ行政官二任カ
シテアルト云フコトハ甚ダ宜クナイ︑即チ行政命令二斯様ナ重
0 1
イ刑罰ヲ付サセルト云フコトハ甚ダ其当ヲ得ナイ⁝⁝
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 橋本久太郎︵議員集会所︶が支持した︒右の説明と同じように︑﹁此予戒令ナルモノハ⁝.:此八十四号カラ胚胎シテサウシテカラ二発シタモノ﹂であり︑第二回総選挙では自分の徳島四区において︑選挙の前日︑選挙人等二四○人を警察署によびあげ︑﹁選挙ノ終ルマデ故ナク留メテ⁝⁝選挙ノ終ル時分二放シダ﹂と非難してから︑野出が一ふれしただけの罪刑法定主義違反を前面におしだし︑
元来憲法ノ精神カラ言フテモドウデアリマス︑即チニ十三条
二明二此逮捕監禁及審問処罰ヲ受クルコトハ︑法律ヲ以テスル
ニアラザレバ逮捕監禁及審問処罰ヲ受クルコトガ出来ヌト憲法
ノー十三条二明二書イテ人民ノ権利ヲ保護シテアル︑然ラバ逮
捕監禁審問処罰ハ法律二依ルニアラザレバセラレヌコトハ︑憲
法二明二載セテ人民ノ権利ヲ保全シテアルモノデアル︑果シテ
サウデアレバ決シテ其他ノ事デ以テカラニ此逮捕監禁審問処罰
スルコトハ出来ヌモノデアル:.⁝
命令違反に多少の処罰がいるから︑八四号の罰則を減じておこう
というので︑二○○円以内の罰金︑一年以下の禁鋼という仕方は︑
﹁実二後来ノタメニ如何様二之ヲ以テ行政官ガ利器二使フテ弊害ヲ
我邦即チ日本帝国ノ人民二及ボシハセヌカト憂慮スル﹂︑
元来行政命令二於テ其身高イ罰ヲ付シ︑高イ制裁ヲ置クノ必
要モ実際二於テハ決シテ無イ筈卜思う︑一体是迄二於テ行政官
ノ権利ガ非常二伸張シ非常二伸ビテ居ツタガ故二︑種々ノ行政
命令二制裁ヲ加ヘテ居ルガ︑後来二於テ我憲法ノ精神二於テ決
シテ是迄ノ様二行政官二甚シキ制裁ヲ当テ︑居ル命令ヲ発スル
0 0
コトハサセナイ我々ハ積リデアル
五
法制局長官末松謙澄の反論は︑不得要領のものだが︑売薬規則や
石油取締規則等を例に︑命令には相当の罰則を要し︑改正すると︑
﹁此社会ノ秩序ノ変遷ハ如何ナル結果ヲ現スデアリマセウ﹂と大仰
である︒また︑議会が法律をきめていけば︑﹁行政命令デ以テ罰ヲ
附ケル区域ハ漸次二減ヅテ往クト云フコトハ考ヘテ置テ宜シイノデ
アリマス︑又将来二於テ益々拡張シテ往カウト云フコトハ︑決シテ
0 刊
考へナイノデアル﹂と空手形︒
改正案に対して︑宮城浩蔵︵無所属︶の反対がある︒それは末松
政府委員の説と違い︑廃止案ではないから反対だというのである︒
まず︑法律八四号は︑﹁憲法二抵触シテ居ル所ノ法律デアル︑即チ
違憲ノ法律デアル故二今此八十四号ヲ認メテ改正ヲ致シマスル場合
二於テハ︑八十四号ヲ相当ノ法律ナルコトヲ認メナヶレバナラヌ﹂
と真向から違憲論をふり鶏して︑橋本より強硬な罪刑法定主義論︑
逮捕︑監禁︑審問︑処罰ト云フガ如キハ人身ノ自由二重大ノ
関係アル所ノモノデ︑容易二施スベキモノデナイ︑是故二此事
ハ法律ヲ以テ規定スルニアラザレバ︑決シテ此事ヲ行ハヌ︑即
チ行政命令等ヲ以テ斯ル人身ノ自由二関係スルコトハ︑決シテ
為サヌト云フコトヲ憲法自ラ誓ツタノデアル
﹁法律二依ルー非スシテ﹂を政府の主張どおり︑﹁法律二基クニ
アラズシテ﹂と解釈し︑法律八四号を別に制定して︑八四号により
命令に刑罰を加えて憲法に抵触しないという説をおし進めると︑
果シテ八十四号ノ法律ヲ改正シテ⁝⁝刑法二記シテアル刑罰
ヲ悉ク行政命令二付スルコトニナッテ見マスレバ︑夫ノ憲法ノ
謂フ所ノ日本臣民ハ法律二依ルニアラズシテ審問逮捕監禁処罰 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
ヲ受クルコトナシト云フハ何ノ保証ノ効力ガアル︑即チ八十四
号ノ刑名ヲ一年以内ノ禁鋼トアルアノ刑サヘズット上セレバ︑
憲法ノー十三条ハ有ツテモ無クッテモ同ジ効力デアル︑無イモ
同ジデアル⁝⁝
そして宮城自身が︑﹁法律八十四号廃止案ハ︑幸二諸君ノ賛成ヲ
得テ本員ハ提出致シマス考デアリマス﹂から︑改正案が通過すれば
廃止案は提出することができなくなるという理由で︑反対をすると
0 0
い︑フ訳である︒
一二月六日の会議では結局︑改正案の審査を付託する委員を選ぶ
ことをきめ︑各部において選挙を行い︑次の九人の委員を選んだ︒山田東次︵弥生倶楽部︶野口勝一︵弥生倶楽部︶関直彦︵紀州組︶坪田繁︵議員倶楽部︶瀬戸岡為一郎︵弥生倶楽部︶小笠原貞信︵弥生倶楽部︶村松亀一郎︵有楽組︶斎藤勘七︵弥生倶楽部︶
09高田早苗︵議員集会所︶
一二月二四日︑第一読会の続会が開かれ︑小笠原委員長が委員会
の経過と結果を報告した︒宮城の違憲廃止論に対して︑
此今改正シヤウト云う法律デ行政部ノ罰例ヲ設クルコトヲ認
許スル︑ソコデ此法律デ罰例ヲ設クルコトヲ行政命令二認許シ
マ秘
ダニ依ツテ行政命令ガ罰金ヲ設ケルト云う斯ウ云うコトニナルカラシテ︑結局ハ法律二依ツテ行政命令二罰例ヲ設ケルト云う
コトニナルカラシテ︑矢張夫ノ﹁法律二依ルー非スシテ処罰ヲ
受クルコトナシ﹂ト云う憲法第二十三条二抵触スルト云フコト
ハナイ 一ハ
マお
若シ此行政命令二於テ放歌スル勿レトカ人ノ船ヲ覆ス勿レトヵ云う様ナ命令ヲ発スルコトガ出来ルトスレバ︑随分死刑ノ委
任モシナヶレバナルマイシ︑随分重大ナ刑罰ノ委任モシナケレ
バナラヌト云フコトガアル︑併ナガラ此法律ヲ執行スルタメ又
公共ノ安寧ヲ保持スルタメニト云フコトニ就イテ発スル命令
ハ︑斯ノ如ク重大ナル事柄ヲ規定スルモノデナイト云フコトハ
分ツテ居ル︑サウシテ見マスト云う卜仮令他日ドウ云う考ヲ持
ツテ居ル議員ノ多数ガ居夕時ニシテモ︑憲法第九条ノ上カラ此
罰例ヲ委任スル罰ノ軽重卜云フモノハ定ツテ来テ居ルノダカ
ラ︑他日サウ云う様ナコトガ起ル道理ハナイ︑憲法第九条ノ行
政部二認許シダ所ノ命令ハ左様ナ重大ナ事柄ヲ規定スルモノデ
ナイ卜云フコトノ認メノ立ツテアル以上ハ︑之二附ク所ノ罰例
モ左様二重大ナル筈ハナイ︑サウ云う次第デアッテ結局憲法二
違反スルト云フコトハナイ
全く同じ論理から︑政府の存置論に対して︑
現行第九条ノ行政部デ発スル所ノ命令ハ即チ法律ヲ執行スル
タメ︑又ハ公共ノ安寧ヲ保持スルタメニ発スル所ノ命令デアッ
テ︑二百円以内ノ罰金ト云う罰例ヲ設クルトカ︑又一年以内ノ
禁鋼ヲ附スベキ罰例ヲ設ケルトカ云う︑斯ノ如キ重大ナル事柄
ヲ規定スベキモノデナイ︑ソレデ憲法第九条ノ行政部ョリ発ス
ル命令一天斯ノ如キ重大ナル事柄ヲ規定スルモノデナイトシタ
以上ハ︑二百円以内ノ罰金一年以内ノ禁銅ノ様ナ大キナ範囲ノ
モノヲ附スルコトハ出来ヌコトハ明カデアル︑ソレデサウ云う
剛次第デ結局此本案ヲ可決スルト云フコトニ至リマシタ
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 明治二六年二月二○日︑第二読会︒
凡ソ行政命令ニハ五拾円以内ノ罰金若クハ﹁十日以内ノ﹂拘留
ノ罰則ヲ附スルコトヲ得
委員会が改正案を支持しながら字句修正をしたことについて議論
があり︑刑法の総則に﹁拘留ハ十日以内卜規定シテアル以上ハ⁝⁝
蛇足デアル贄文デアル﹂として︑﹁法律ハ明瞭ノ方ガ宜イ⁝:・成ル
ベク体裁ノ宜シイ方ガ宜イ﹂という意見がおしきられ︑元の通りに
可決された︒そしてすぐ︑第三読会が開かれて︑可決された︒
明治二三年法律八四号の廃止案は︑その提出の記事すら議事録に
み当らない︒代りに︑二月一四日︑宮城浩蔵死去の記事がみえる︒
第四議会︑貴族院︑二月二二日が第一読会︒衆議院提出改正案の
審査委員の選定を議長に委託することをきめたので︑蜂須賀議長が
次の九人を委員に選んだ︒公爵近衛篤麿細川潤次郎男爵神山郡廉尾崎三良安場保和男爵伊達宗敦男爵小松行正富井政章
幽角田林兵衛
二月二七日︑第一読会の続会︑近衛委員長が報告︒法律八四号は
﹁発布以来随分世上二喧マシイ問題ニナッテ居ツタ⁝⁝大抵委員ノ
意思卜云フモノモ極ツテ居ツタモノデアリマスカラ僅力一時間位ノ
会議デ以テ決シダ﹂訳であり︑予算委員会で欠席した三人を除き︑
出席者六人が一致して改正案を否決した︒小松一人は現行のままの
存置論から︑他の五人は次にあげる廃止論から否決した︒
七
命令二斯ノ如キ制限モナイ罰条ヲ附スルト云フコトハ憲法ノ
精神二戻ル︑極簡単二申セバ夫レ丈ケノコトデアル︑夫レ故二
斯ノ如キモノハ存シ置クベキモノデナィ︑直二是レハ廃スベキ
モノデアル︑然ルー衆議院二於テハ之ヲ憲法ノ精神二戻ルモノ
デアルト云うコトヲ認メテ居リナガラ其刑状ヲ僅二軽減スルト
云フコトバカリデ以テ修正ヲシマシタ︑筍モ之ヲ存シテ置クト
云う考デアルナラバ即チ此法律ハ憲法ノ精神三民ルト云う所ト
ハ少シモ論理ガ合ハヌノデアリマス︑夫レ故二筍モ憲法ノ精神
二戻ルト認メタル以上ハ之ヲ全廃シナヶレバナラヌ⁝:.
委員会は︑衆議院の改正案を一蹴した︒そして︑法律八四号廃止
法案を提出する必要があるが︑会期末だからだす人があるかないか
卿などと︑委員長は全く他人の事としてのべたのである︒
二七日は︑委員長が報告をおえた時点で︑定足数をかき︑散会︒
翌二月二八日︑再び第一読会続会︒末松政府委員がたち︑委員会が
﹁政府委員一二言ノ御通知モナク御決シニナヅタ﹂ことに抗議して
から︑委員長報告に事実誤認があるとした︒衆議院の委員会では︑
﹁討議致シマシタ其結果ハ決シテ憲法二背イテ居ルモノデハナィ︑
今日ノ場合二於テハ程度ノ議論デアル﹂という結論になり︑
其報告ハ衆議院ノ議場ガ認メテ以テ憲法ノ精神二背クコトハ
ナイノデアル︑唯其程度ノ事丈ケニ於テ論ズルコトハ衆議院デ
明二極メタノデアリマシテ決シテ近衛公爵ノ御述ベニナリマシ
タ事実トハ全ク齪館シテ居ルノデアリマス︑即チ今日二於キマ
シテハ政府ハ勿論衆議院二於キマシテモ此八十四号ハ憲法二背
イテ居ラヌト云フコトヲ明二認メテ居ル⁝⁝ 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
政府は︑衆議院の改正案を拒まなければならないし︑その改正案
を否決した貴族院委員会の否決理由を退けなければならない︒憲法
の罪刑法定主義規定を﹁窮屈二解釈ヲ致シマスナレバ﹂疑問がある
が︑政府は勿論︑衆議院も︑そのような解釈をしない︑と衆議院の
改正案にこめた意思︑命令事項と命令の罰則制定権の縮小への意思
を消去して︑その前提として認めた論理だけをとりあげてみせた︒
政府ノ見ル所︑衆議院ノ解釈スル所二依リマスレバ法律二依
ルニアラザレバト云フコトハ直接ニ其法律二是レ丈ケノコトヲ
スレバ罰スルト云フコトヲ掲ゲンデモ即チ法律ガ委任スルト云
フコトガ出来ル︑委任スレバ法律二依ルト云う箇条二立派二適
合スル訳デアリマス
合憲である︒だから改正案を否決することは政府も賛同するが︑
従来八十四号卜云フモノハ憲法違反デアルカラ夫レ故二其本
ヲ廃セネバナラヌニ依ツテ衆議院ノ案ヲ否決スルト云う如キ御
精神デハ誠二賛同シ兼ネル訳デアリマス︑依ツテ廃スルト云フ
コトハ御同意ヲ表シマスガ今ノ憲法違反トカ何トカ云フコトハ
岨全ク御去リニナルコトヲ希望致シマス
富井政章が︑委員会の多数意見に賛成した︵富井も委員の一人︶
が︑論調は近衛より柔軟である︒憲法の︑
第二章二於テ所有権ヲ奪うコトデアルトカ処罰ノコトデアル
ト力云う様ナコトハ法律ヲ以テ定メナヶレバナラヌト云フコト
ニナッテ居りマス︑夫レハ間接ニデモ法律二拠レバ宜イト云フ
説ハ立シ︑夫レ故二本員ハ決シテ立法委任ガ憲法ノ条文二触レ
ルトハ申サナイ︑併ナガラ憲法ガ斯ク斯クノコトハ法律ヲ以テ
寺
ノL
定メネバナラヌト言ブタ其精神ハ成ルベク重要ナ事項デアルニ
依ツテ法律自ラ定ムベシ法律ガ勝手二行政二︑勅令二委任スル
鯛卜云フコトハ最モ慎マナケレバナラヌト云フコトハ顕レテ居ル
小畑美稲と箕作麟祥が︑小松と同じ意見から︑改正案否決に賛成
した︒憲法九条︑独立命令の存在が理由である︒
憲法第九条ガアリマスカラ法律ガ是レ丈ケノ事ヲ勅令二委任
シテ罰セシメルノハ法律自ラ罰スルモ同ジコトデ馴力憲法二背
イタノデナイト思上マス︑夫レカラ⁝⁝私ハ矢張り度合ハ現行
ノ八十四号即チ禁鋼一年以下罰金二百円以内ト云フノガ適当ノ
㈱度合デアルト思上マス
松岡康毅一人が︑委員会の多数意見にも少数意見にも反対して︑
改正案に賛成した︒八四号の罰則というのは﹁日本ノ刑法ノ中デモ
軽罪ノ中ノ事実上申シテ見ルト多数ヲ占メテ居ル位﹂だとして︑
委任ヲスルト云フコトハ悪ルクハナイケレドモ委任ノ幅ガ広
過ギルカラ之ヲ五十円以下卜拘留トー減ジヤウト云う衆議院ノ
説ハ先ヅ適当ノモノト見テ宜カラウト本員ハ考ヘル︑何分二百
円卜云フノト殊二禁銅ノー年ト云フコトマデ麦二与ヘテアルト
云フコトハ過分ノ至り︑斯ウ云うコトヲ余り幅ヲ広ク与へ過ギ
テ置クト此行政命令ノ中カラ人民ノ権利二関スル︑身体ノ権利
伽二関スルコトモ動モスルト侵害ヲ受ケルト云う虞ガアル
審議の後︑議長が︑第二読会を開くか否か採決した︒賛成は少数
に留まり︑開くべからず︑衆議院改正案は廃案に決したのである︒
二月二八日︑議会が終了︒三月一○日の﹁自由党々報﹂は︑第四
議会の報告書を掲げ︑その中で八四号改正案について︑
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 行政命令二制裁カヲ与フルニハ︑其違犯者ヲ罰スルノ規定ヲ
設クルノ必要アリト錐モ︑法律第八十四号二規定スル所ハ︑二
百円以内ノ罰金若シクハ一年以内ノ禁鋼二処スルヲ得セシメタ
リ︑立憲政躰ノ今日ニ在テ︑斯ノ如キ過大ノ権ヲ行政官二与フ
ルハ穏当ナラズ︑故二我党二於テハ︑其権限ヲ縮メ︑行政命令
ニハ︑五十円以内ノ罰金若クハ十日以内ノ拘留ノ罰則ヲ附スル
コトヲ得セシムベシ︑トノ改正案ヲ提出シタルナリ︑本案ハ衆
側議院二於テ可決セラレタルモ︑貴族院ノ為メニ否決セラレタリ
序でに少し前︑会期中の一月五日︑﹁立憲改進党々報﹂は︑次の
記事をのせた︒保安条例廃止案に関連して︑
下院が大多数を以て通過したる保安条例廃止法案を︑客臘上
院が手もなく之を否決し去りたるに付ては︑大に下院の気色を
害し︑延て輿論の泉源たる天下人衆をして上院頼むに足らずの
感想を起さしめたる事なるが︑流石上院の御味方派と聞へし研
究会に於ても︑卿か輿論に鑑むる所ありしにや︑一種の保安法
と名くるものを案出し︑現行保安条例の退去期限三年以内を一
年以内と訂正し︑又之に関する訴願の途を開き︑是等幾分の修
正を装ふて以て上院を通過せしめんものと︑協議を尽し居る由
なれど︑同院の硬派は斯る姑息の修正案にはョモ同意を表すま
じと聞く
保安条例廃止案を明治二三年法律八四号改正案へと翻訳すると︑
﹁硬派﹂の違憲廃止論と﹁御味方派﹂の現行存置論が︑委員会での
一致と同じように︑偶然一致した︒そのため︑衆議院提出の改正案
は︑葬られたのだと思う︒
九
第五議会衆議院︑明治二三年法律八四号改正案は︑既にみたが︑
明治二六年二月二八日︑第四議会の最終日︑貴族院が否決をした︒
同年二月二八日︑第五議会の開院式の日︑衆議院では弥生倶楽部
藤野政高と野出鏑三郎が連名で︑三度改正案を提出した︒
明治二十三年法律第八十四号改正法律案
凡ソ行政命令一天五十円以内ノ罰金若ハ拘留ノ罰則ヲ附スルコ
トヲ得
前回と同じ内容のものである︒一二月五日︑第一読会が開かれ︑
藤野が提案理由をのべた︒内容が同一である以上︑前回と同じ論理
で︑憲法に違反するものではないと確認してから︑
此八十四号卜申シマスモノハ未ダ国会ノ開ケマス前二当リマ
シテ発布シダ法律デアリマス︑立憲政治ノ行ハレル今日二於テ
斯ノ如キ或ハニ百円以内ノ罰金︑若クハ一年以下ノ禁銅二処ス
ルト云フコトニ致シマスノハ︑最モ不相当ノコトゞ考へマス
一二月五日の会議は︑藤野の説明中定足数をかいたため︑説明を
やめて散会︒翌六日︑再び藤野がたち︑前日の説明の続きをのべ︑
法律八四号から生れた予戒令を例としてあげ︑
私ハ立憲政治ノ行ハル︑今日二於キマシテハ斯ノ如キ行政官
二重大ナル権能ヲ付与スルト云フコトハ改正ヲセナクテハナラ
ーナイト信ズル⁝⁝
次に野出も︑改正の理由をのべた︒衆議院議員のみならず貴族院
議員にまでよびかけようとしたもので︑ 二第八議会と明治二三年法律八四号改正案 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
此法律案ハ貴族院二於テ如何ニシテ否決セラレマシタカト申
シマスルナラバ︑憲法違反デアルト云う所ノ議論ガ大ニアッタ
ノデアリマス︑是ガ憲法違反デアルト云う所ノ論者ガ十分之ヲ
考ヘテ見テ︑果シテ憲法違反デナイト云フナラバ︑我々二同意
ヲ表セラル︑卜云フコトハ無論ノコトデアラウ
として藤野と同じように法律による罰則委任論を展開してから︑
刑法四三○条が府県知事や警視総監に﹁其地方ノ状況二依ツテハ﹂
違譽罪の罰則︵拘留・科料︶を設けることを認めている︑
違譽罪ノ罰則ヲ府県長官等二許シテアルノハ今日マデ許シテ
アルコトヲ怪ンダ者ハ一人モナイノデアル︑又行政取締上二於
テ少シモ罰則ヲ設クルコトガ出来ナイト云フナラバ︑如何ニシ
テ此取締卜云フコトガ行ハル︑デアルカ︑如何ニ其取締ノ法ヲ
実施セラルゞノデアル
改正論に対して︑例の末松法制局長官が︑前回と同じ内容の反論
をくり返した︒
勅令二於キマシテハ随分肝要ナル事柄ヲ規定シナクテハナラ
ヌ場合ガ多クゴザリマス:.⁝唯今発案者ガ言ハル︑如キノ改正
卿ニナリマシテハ︑少シモ実地二融通ガ附カナクナル
一二月九日︑第二読会︒罰金と拘留に並べて︑科料を規定せよと
いう修正説がでたが︑議場から顧みられず︑すぐ採決︒楠本副議長
が一度は起立者少数で否決とみた程︑改正論は元気のよいものでは
ないようだ︒出席者の数が分らないものの︑﹁七名丈多数﹂により
改正案は何とか可決︒提案者の要求により︑すぐ第三読会を開き︑
生抑睡吋︾J可決された︒
■■■■■■■■■■■
○
第五議会貴族院︑一二月一三日が第一読会で︑何の議論もなく︑
委員の選定を議長に委託︑蜂須賀議長が九人の委員を選んだ︒公爵二条基弘伯爵広橋賢光子爵鳥尾小彌太子爵林友幸子爵加納久宜加藤弘之男爵小松行正長谷川貞雄
鯛
平田東助
第五議会は︑民党が条約励行論をふりかぶり政府を攻撃したこと
から︑同月一九日︑停会となり︑二九日︑再度停会︒翌三○日に︑
政府が衆議院を解散したので︑貴族院は停会︒改正案は審議未了︒
第六議会衆議院︑明治二七年五月一五日︑開院式の日︑立憲改進
党肥塚竜が︑改正案を提出した︒それはなぜか議事日程に上ること
がないまま︑六月二日︑再度の解散にあい︑結局審議も何もせず︑
㈱未了︒
第八議会︑衆議院︒明治二七年一二月二四日︑開院の日︑自由党
の二議員︑高橋安爾と中島又五郎が連名で改正案を提出した︒また
立憲改進党の三議員︑橋本久太郎︑村上芳太郎︑丸尾文六も連名で
改正案を提出した︒戦時議会である第七議会を数にいれなければ︑
第三議会以来連続して五度目のものだ︒その上︑法律八四号改正案
については︑自由党と改進党の意見が一致していた︒
ただ同じであることをみるために掲げておく︑
明治二十三年法律第八十四号改正法律案
行政命令一天五十円以内ノ罰金若クハ拘留ノ罰則ヲ附スルコト
ヲ得
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 翌二八年一月一○日︑第一読会︒提案者高橋が︑
法律第八十四号ト云フモノハデス︑実ハ時代違ノ旧時代ノ遣
法デゴザイマシテ今日ノ社会一天其影ダモ存スルコトヲ望マヌ
位ノ法律デアルノデアル︑然ルー第四議会ノ折二此案ハ大分政
府ノ不同意ヲ招キマシタ大シダ議論ノアッタコトモゴザイマ
ス︑今日二於テハまさかに第四議会ノヤウナ御意見ヲ固執セラ
ル︑コトハナカラウ卜信ジマスル︑一体斯様ナル法律ハ専制時
代ニアッテハ必要カハ存ジマセヌケレドモ︑今日ノ立憲治下ニ
アッテ斯ノ如ク身体及財産上二危険アル法律ハ到底其儘二存シ
テ置クコトノ出来ヌ道理ハ申スマデモナイ⁝⁝
廃止されて当然だが︑命令にも﹁多少ノ制裁﹂がいるから実際上
㈱できない話︑と前回と論理は同じで短い説明をした︒
禁鋼があれば附加刑があるぞと︑改正案を支持する議員︑
此時代二於テ而カモ野蛮的ヲ含ムダ所ノ此行政命令二附スル
ニ臣民ノ権利ヲ停止シ若クハ剥奪スルガ如キ重大ノ事項ヲ以テ
㈱スルト云フコトハ甚ダ宜シクナイ
例の末松法制局長官の反論︑
元来政府二於キマシテ此行政命令二制裁ヲ附ケルコトニ於テ
ハ他ノ事一天多クハ必要ハナイ︑主トシテ警察二関係スルコト
ニアルノデアリマス︑例へ︵移民保護規則ノヤウナモノニ又此
醜業体ノ婦女ノ外国二出ルトカ云フヤウナ者ノ取締ノ如キモ或
ハ此法律ヲ制スルコトノ必要ガアルカモ知レマセヌ︑斯ノ如キ
事柄ノ続々発生致シマシタ時分ニハ決シテ本発案ノ如キ制裁デ
鋤ハ十分ト云う.︑卜︲ハ認メマセヌノデアリマス
一一
一月一二日︑第二読会︒改正案にある五○円以内の罰金を五○円
﹁以下﹂の罰金に修正する説がでたが︑消滅︒議長がすぐ採決して
可決︒ひき続いて第三読会で︑可決︒改正案は衆議院を﹁風の如く
通過﹂した︒
第八議会︑貴族院︒一月一六日︑第一読会︒村田保から︑衆議院
提出改正案に政府は同意かときかれて︑例の末松政府委員︑
衆議院二於キマシテハ五十円以内若クハ拘留ノ刑二附スルト
云うコトデアリマス︑事実ノ上二於キマシテ斯ク制限致シマシ
テハ所謂行政命令ノ効力卜云フモノハサッパリ失う様二至りマ
ズルノデアリマス
改正案以上に罰則が必要な場合﹁総テ法律案トシテ出サナヶレバ
ナラヌト云う結果ニナリマス︑然ルトキニハ行政命令ヲ発スル権能
ヲ大二妨ゲル訳ニナリマス﹂︑
また︑刑法により拘留は府県令につけることができる訳だから︑
﹁勅令ノ権能卜府県令譽察令杯ノ権力トヲ同等ノ様ナルモノニシテ
仕舞う卜云フコトニ陥ル﹂ので︑改正案に同意はできない︒
次に︑船越衛から︑現行の命令中罰金の最高は幾らかときかれ︑
移民保護規則︑酒精営業規則︑予戒令の罰金二○○円︑体刑でいう
と予戒令の六月と答弁した後︑再びくり返して︑
斯ウ云フコトガ出来ナイトナリマスレバ此ノ如キ種類ノモノ
ハ総テ法律デ致サナケレバナラヌ︑法律卜致シマスルノハ第一
時機ヲ失スルコトガゴザイマス︑又全体二法律︑憲法デ組立テ
マス命令権ノ方二余程収縮ヲ加ヘルコトニ陥ルノデアリマス︑
夫レ故二衆議院ノ案ニハ到底同意ハ出来ナイ 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
次に︑名村泰蔵から︑今あげられた命令でどれ程の人がどう違反
したか実情をきかれ︑その答弁として確かなのは予戒令について︑
之ヲ取締ルー附キマシテ余程効力ヲ生ジテ居りマス︑其実行
致シダ数モ相応二数ガゴザイマスル⁝⁝
改正案の審査委員選定を今回も議長指名に一任したので︑蜂須賀
議長が九人の委員を選んだ︒侯爵松平康荘伯爵万里小路通房子爵曽我祐準子爵鍋島直彬児島惟謙千坂高雅金子堅太郎木下広次山田荘左衛門
一月二八日︑第一読会続会︒曽我副委員長が報告︑
何分衆議院提出ノ案デアリマスルニ依ツテ其説明二当ル人ハ
ナイ︑夫レ故二其精神其主意ハドコニ在ルカト云フコトハ判然
致シマセヌノデアリマス︑或ハ憲法第二十三条ニ所謂法律二依
ルー非ズシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシトアル明文二
触レルトカ︑或ハ又其憲法ノ精神二背クト云うコトデアリマス
レバ是レハ自ラー論デアリマセウガ︑此案ヲ審査シテ見マスル
ト現在ノ罰金二百円ヲ五十円二改メルニ過ギヌノデ所謂五十歩
百歩デアル︑憲法論ョリシテ見レバ五十歩百歩デアル︑故二憲
法二基イタルモノトハ委員会デハ認メマセヌデアリマシタ
前回第四議会での貴族院委員会の報告とは一八○度違い︑衆議院
の改正案に冷やかである︒委員会が政府委員に対して︑現在罰則の
最上限はどのような事項に用いているか質したら︑先に議場ででた 一一一
命令を答られたという︒それをきいて︑
現在ノ有様随分此位ノ罰法ハ行政命令二附ケテ置カネバナル
マイ︑又移民事件ノ如キハ今後益々近隣ノ邦国二対シ交渉ノ事
件モ多端ニナルノデアラウカラニ百円杯卜云フノハ随分必要デ
アラウ︑之ヲ行政命令二許シテ制裁ヲ加ヘシムルノハ随分必要
ナルコトデアラウト云う斯ウ云う議論デ出席委員二於テハ一人
ノ異論者モナク此案ハ否決スルコトニ極リマシタ
マ秘
子爵谷干城がその報告に驚き︑﹁此ノ如キ重イ命令へ罰金禁獄ヲ附シダ所ガドコニアリマセウカ︑私共ハドウモ聞及ンデ居ラヌ﹂︑
一旦廃止したい程だが︑今日ではやむをえず衆議院案に賛成する︑
此今議二上ツテ居ルノガト云フモノハ命令二非常ナ過重ナル
権ヲ委ネテアル︑夫レデ衆議院二於テ之ヲ制限ヲ附ケタ卜云フ
ハ一種道理ノアルコトデ決シテ無理ナコトトハ考ヘナイ︑唯五
十円ト云フハ本員杯ノ考ニハマダ権限ガ広過ギルト云う程ノ考
デアル⁝⁝此ノ如キ重大ナル法律ノ規定スベキ程ノ重大ナ事マ
デモ行政権へ任セテ仕舞フト云フノハ余程是レハ呑気ナ話
衆議院の改正案は他に賛成の発言がなく︑採決した結果︑起立者
少数により第二読会を開くべからず︑廃案に決した︒
四月二五日の﹁自由党々報﹂は議会報告書を掲げ︑件の改正案は
﹁衆議院ヲ通過シタルモ貴族院ノ遮断スル所卜為しり﹂と記した︒
確かに貴族院に︑今回は政府の主張どおりの論理で遮断されたが︑
﹁之ヲ持ツテ居レバ命令二依ツテドノ様ナコトデモ出来ル﹂と谷が
のべた法律の改正案に対して︑衆議院でも前回第五議会と同じよう別に︑議事に冷淡︑散会を急いだ議会である︒
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 帝国議会における明治二三年法律八四号命令の条項違犯に関する罰則の件の改正論議を︑議会の議事速記録をよむことでみてきた︒その作業により︑次に明らかにしたい二つのことがでてきた︒政党が改正案を提出することは当然のことである︒ところが︑第四議会では貴族院で︑衆議院より強い廃止論がでたこと︒元老院時代からの執念か︑初期議会としての政府に対する意識の昂揚か︒もう一つ第八議会で貴族院は︑前回と逆に容易に政府に賛同したこと︒日清戦争のさ中のせいか︑衆議院での改正論が低調なせいか︒
明治二三年法律八四号は︑帝国憲法と命運を同じくするまで存続
したことは︑広くしられる︒同二三年勅令二○八号は︑二度改正が
ある︒明治三九年九月二六日勅令二五八号により︑
明治二十三年勅令第二百八号第一条中﹁各省大臣﹂ヲ﹁内閣総
理大臣及各省大臣﹂二改メ﹁省令﹂ヲ﹁閣令又ハ省令﹂二改ム
次に明治四一年九月二九日勅令二四五号により︑
明治二十三年勅令第二百八号中左ノ通改正ス
第一条中﹁二十五円以内ノ罰金若ハニ十五日以下ノ禁鋼﹂ヲ
﹁百円以内ノ罰金若ハ科料又ハ三月以下ノ懲役︑禁鋼若ハ拘
留﹂二改ム
第二条中﹁十円以内ノ罰金若ハ拘留﹂ヲ﹁五十円以内ノ罰金若
ハ科料又ハ拘留﹂二改ム
現行憲法は︑命令に一般的に罰則を授権することを禁じた︒帝国
剛憲法下︑論じるまでもなく本稿でみた法律が存在したためである︒ 終りに
一一一一
①尾崎三良﹁尾崎三良自叙略伝﹂中巻昭和五二年二三○〜一頁︒尾崎法制
局部長は山県首相に︑﹁各省に於ても焦眉の急を要し︑国会の開催を待つ
こと能はざる程のものにあらざれば︑国会開催の日を待って︑可成正式に
立法府たる国会の議を経ることに定めらるるこそ︑憲法を尊崇するの誠意
にあらずや﹂と建議︑首相は同意したという︒が︑何もかも﹁焦眉の急﹂
を要したものらしい︒
②﹁法令全書﹂明治二三年法律二六一〜二頁︒旧刑法時代のことだから︑
禁銅には︑定役に服する重禁鋼と服さない軽禁鋼の二種がある︒それぞれ
現在の懲役と禁銅に当る︒罰金の下限は二円︑重軽禁銅の下限は二日︒
③﹁法令全書﹂明治二三年勅令四二四〜五頁︒北海道庁官制により長官は
庁令︑地方官官制により知事は府県令︑警視庁官制により警視総監は警察
令を︑法律命令の範囲内において発することができた︒
側美濃部達吉﹁憲法撮要﹂大正一二年一七五頁︒
⑤前掲憲法撮要四三四頁︒
⑥明治二三年一二月一三日付﹁東京日々新聞﹂︑新聞集成明治編年史七巻
昭和九年五三五頁︒
例衆議院参議院・議会制度七十年史﹁帝国議会議案件名録﹂昭和三六年︑
法律案の部の記事により作成︒議員の党派は︑衆議院事務局﹁衆議院議員
党籍録﹂昭和七年による︒
⑧新井勉﹁第九議会治安警察法案側﹂金沢大学教養部論集二四巻二号昭和
六二年︒貴族院についての分析は︑着手したばかりである︒その口と日︑
保安条例廃止法案と予戒令廃止建議案の提出者の党派は︑衆議院参議院・
議会制度七十年史﹁政党会派編﹂で検索したため︑正確でないものが少数
ある︒前掲衆議院議員党籍録により正したものを︑末尾に掲げる︒
⑨﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第一議会九○頁︒第三議会以降改正案の
提出記事について︑速記録の当該頁により一々付註することを省略する︒
また議員の党派も︑前掲書の当該頁による付註を省略︒
⑩前掲衆議院速記録第一議会二六四頁︑九七五頁以下︒ 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
伽﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第三議会五八七頁︑六二五頁︒
⑰﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第四議会七八頁︒
側前掲衆議院速記録第四議会八○頁︒
側前掲衆議院速記録第四議会七五頁︒第三議会提出の改正案も︑第四議会
提出の改正案と恐らく同じ内容だと思う︒
⑬前掲衆議院速記録第四議会七五〜六頁︒
㈹前掲衆議院速記録第四議会七七頁︒
㈹前掲衆議院速記録第四議会七六〜七頁︒
㈹前掲衆議院速記録第四議会七七〜八○頁︒
側前掲衆議院速記録第四議会八九頁︒
剛前掲衆議院速記録第四議会五一六〜八頁︒第一読会冒頭︑末松政府委員
が改正案の﹁拘留﹂に対して︑どの程度か分らないと三百代言を弄した︒
そのため委員会は修正を加え︑﹁十日以内ノ﹂拘留とした︒本質的な問題
ではないが︑議場でかなりやりとりがある︒
伽前掲衆議院速記録第四議会八八四〜五頁︒
例﹁帝国議会貴族院議事速記録﹂第四議会四六四頁︑四七五頁︒
㈱前掲貴族院速記録第四議会六○二頁︒明治二三年法律八四号公布を巡る
元老院内閣の対立は︑秋元信英﹁元老院の﹁命令ノ条項違反二関スル罰則
ノ件﹂検視﹂︵明治法制史政治史の諸問題昭和五二年所収︶に詳しい・
伽前掲貴族院速記録第四議会六二二〜三頁︒
㈱前掲貴族院速記録第四議会六二四頁︒
側前掲貴族院速記録第四議会六二四頁︒
伽前掲貴族院速記録第四議会六二三〜四頁︒
㈱前掲貴族院速記録第四議会六二四頁︒
側明治二六年三月一○日付﹁自由党々報﹂三二号三頁︒衆議院での改正案
の扱いは︑党報の記事の主張どおりである︒
帥明治二六年一月五日付﹁立憲改進党々報﹂二号四九頁︒保安条例廃止案
については︑新井前掲論文目︑四参照︒
一
四
㈹ ㈹ ㈹ 側 @ 4 ) 側 側 例前掲衆議院速記録第五議会九三頁︒野出は︑星議長処分問題で自由党を 細﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第五議会八五頁︑九二頁︒
脱党して同志倶楽部を組織する中の一人だ︒
剛前掲衆議院速記録第五議会九二〜三頁︒
帥前掲衆議院速記録第五議会一三四〜五頁︒
鯛﹁帝国議会貴族院議事速記録﹂第五議会二六頁︑一二一頁︒
鯛﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第六議会三頁︒保安条例廃止法案の扱い
も同じ︑新井前掲論文口︒
棚﹁帝国議会衆議院議事速記録﹂第八議会四五頁︒
例前掲衆議院速記録第八議会四五〜六頁︒
剛前掲衆議院速記録第八議会四五頁︒
側前掲衆議院速記録第八議会四六頁︑七二頁︒明治二八年一月二五日付の
﹁自由党々報﹂七七号二二頁︑﹁明治二十三年法律第八十四号改正法律案
第二読会︑風の如く通過し第三読会を開くに決し.⁝..﹂O
Ⅷ﹁帝国議会貴族院議事速記録﹂第八議会七四〜五頁︒末松は明治二三年
勅令二○八号に言及し︑省令の制裁︑府県令の制裁は︑﹁斯ク斯クト云う
様二又内輪デ制限ガ出来テ居りマスカラ︑決シテ大ナル濫用ヲ来スト云フ
前掲貴族院速記録第八議会一三○頁︒
明治二八年四月二五日付﹁自由党々報﹂八三号六頁︑次の記事を掲載︑
﹁明治二十三年法律第八十四号改正法律案本案モ亦タ議会ノ宿題ト為り
其要旨ハ行政命令二違犯シタル者ヲ罰スルニ其範囲ヲ減縮シ現行罰金二百
円以内禁鋼一年以内ヲ改メテ五十円以内ノ罰金若クハ拘留ノ罰則ヲ附スル 恐ハナイ積リデアリマス﹂と説明︒
前掲貴族院速記録第八議会一三○頁︒
前掲貴族院速記録第八議会一三○頁︒ 前掲貴族院速記録第八議会七五頁︒前掲貴族院速記録第八議会七五〜六頁︑七九頁︒前掲貴族院速記録第八議会一二九〜三○頁︒ 前掲貴族院速記録第八議会七五頁︒
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 事ヲ得セシムルニ在り本案ハ衆議院ヲ通過シタルモ貴族院ノ遮断スル所卜為しり﹂・二月一二日付﹁立憲改進党々報﹂三八号三七頁︑次の記事だ︑﹁第八議会平時の議会と錐も代議士が国務に熱中して議事を慎重すべきは弁を待たず︑況んや軍国多事の時に於てをや︑蓋し第八議会は兵馬控惚の間に開会せるの議会なり︑其議事を慎重にし其行為を謹厳にすべきは論なきのみ︑然るに其実際は如何︑議員欠席の多きは抑も何の兆ぞ︑若し夫
マあれ議事に冷談にして散会を急ぐの傾向あるは予輩又言ふに忍びざるなり︑
記して以て議員諸氏の反省を望む﹂・
側﹁法令全書﹂明治三九年勅令三一三頁︑同四一年勅令四六九〜七○頁︒
四一年勅令二四五号は附則により︑一○月一日から施行された︒吉川経夫
﹁日本における罪刑法定主義の沿革﹂︵東京大学社会科学研究所﹁基本的
人権﹂四巻昭和四三年︶一六〜七頁︑家永三郎﹁歴史のなかの憲法﹂昭和
五二年一七四〜五頁は︑明治二三年の時点で同四一年の勅令の内容の記述
がある︒
側憲法七三条六号︑法学協会﹁註解日本国憲法﹂昭和二九年一○九○頁︑
一○九六頁︒
︵一九八七・五・七︶
一
五
保安条例廃止法案提出者
第一議会加藤平四郎弥生倶楽部第二議会安東九華大成会第三議会野口髪弥生倶楽部加藤政之助議員集会所第四議会魚住逸治議員集会所愛沢寧堅弥生倶楽部伊東祐賢同盟倶楽部第五議会加賀美嘉兵衛同盟倶楽部
山口千代作同盟倶楽部山田泰造弥生倶楽部第六議会魚住逸治立憲改進党第八議会徳増源太郎自由党武市彰一立憲改進党
漆間谷沢西田
加賀美沼田第九議会西村竹内漆間第一○議会竹内漆間大竹第一二議会金山 帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶
民夫竜蔵忠之
嘉兵衛
字源太
真太郎正志民夫正志民夫貫一従革 立憲改進党立憲革新党立憲革新党立憲革新党立憲革新党進歩党進歩党進歩党進歩党進歩党進歩党進歩党 第七議会立憲革新党第七議会無所属 第四議会無所属 註⑧参照予戒令廃止建議案提出者
第三議会長谷場純孝弥生倶楽部折田兼至弥生倶楽部河野広中弥生倶楽部河島醇無所属犬養毅議員集会所第四議会長谷場純孝弥生倶楽部折田兼至弥生倶楽部河野広中弥生倶楽部河島醇同盟倶楽部犬養毅議員集会所第八議会平田筬自由党浜名信平自由党第一○議会竹内正志進歩党漆間民夫進歩党大竹貫一進歩党第一二議会金山従革進歩党第一三議会加藤政之助憲政本党工藤行幹憲政本党 一一ハ
註⑧参照
第一議会
第三議会
第四議会第六議会
第八議会 第五議会 明治二三年法律八四号改正案提出者
帝国議会と命令の罰則︵新井勉︶ 渡辺福田丸山野田加賀美福田藤野野出肥塚高橋中島橋本村上丸尾 又三郎久松名政錨三郎嘉兵衛久松正高錨三郎
一屯安雨
又五郎久太郎
芳太郎文六 無所属議員集会所議員集会所弥生倶楽部同盟倶楽部議員集会所弥生倶楽部弥生倶楽部立憲改進党自由党自由党立憲改進党立憲改進党
立憲改進党 法律八四号廃止案提出者第三議会無所属
一
七