Toxoplasma gondiiの生物学的研究
第3報 Toxoplasma gondiiのマウスにおける経口および経皮感染実験 本村一郎
Biological Studies on Toxoplasma gondii
III. Examination on Oral and Percutaneous Infections with Toxoplasma gondii in Mice
Ichiro MOTOMURA
Abstract
Experimental infection with Toxoplasma gondii in mice was examined by the inoculation methods through mouth or injured skin, using the RH proliferative form and the Beverley cyst. The oral inoculation was performed by pouring the parasite emulsions into the stomach of mice with the syringe having a needle with a bluntly rounded end.
For the cutaneous inoculation, both of the superficial and profound injuries of skin were artifici‑
ally produced on the back of mice respectively by excoriating the skin surface with a piece of sand paper and by incising the skin deeply to the muscle stratum. The parasites emulsions were dropped to the surfaces of skin lesions. Results achieved were summarized as follows:
1) In the oral inoculation of parasites, it was demonstrated that the minimum infective dosage of proliferative forms was 103 and that even one cyst could be infective for mice.
2) In the inoculation of parasites through the superficial excoriation of skin, the minimum infective dosages of parasites were 15×103 proliferative forms and 2×102 cysts. While, through the profound incised lesion, 15×102 proliferative forms and 10 cysts were able to
infect mice.
244 熱帯医学 第9巻 第4号:244‑255員, 1967年12月
長崎大学熱帯医学研究所疫学部(主任:中林敏夫教授)
(昭和42年11月22日受付)
Department of Epidemiology, Institute for l一ropical Medicine, Nagasaki Umversiり, (Director : Prof. Toshio NAKABAYASHI)
長崎大学熱帯医学研究所業績 第516号
No infection of mice with the parasites through the healthy skin could be observed in a control experiment.
To!いcoplasma gondiiの生物学的研究,滞5報 245
は じ め に Tojcoplasma gondii (以下Tp )が人の病気の原凶
となることが確認されたのは, 1939年, Wolf, Cowen and Paigeが初生児の脳水腫例から木原虫を分離し たのが最初である.人の先天性Tp症では,出産後短 時日で典型的な症状を現わし,原虫の分離された例も 多いので経胎盤感染の成立することば,もはや疑いを 挿む余地がない.しかし,感染した母親の多くは不顕 性の形で推移し,その母親の感染時親,および経路は 全く明らかでない―
わが国における一般成人のTp抗体保有率は20‑
3D%の皮内反応陽性をしめし(香川ら1954,小林ら 1961),諸外国と同溌こ高率の不溶性感染の存在が知ら れている.しかしながら,先天性感染経路のみでTp の感染経路を説明するには未だ資料が不充分である.
実激こ,実験室内感染例のあること,屠夫,食肉販売 業者,養豚業者など,日常, Tp感染動物と接触する 機会の多い職業に従事する人達のTp抗体保有率が一 般人よりも,はるかに高率であること,三船的にみて, 人と動物を問わず,年令の増加とともにTp抗体保有 率も高くなっている事実等をみれば,後天性感染の成 立することも‑応肯定される.後天性感染経路のうち, とくに,経口感染成立の可能性については多くの報告 があり Adams ら(1949)の反対意見もあるが,大 多数の研究者はこのような感染経路が本症の最も主要 な伝播形式であると考えている.
しかし,経口感染成立の可能性についての論議は別 として,マウスを用しいたTpの経口感染実験の報告は 部分的な説明が試みられている他は意外に少ないよう である.また VanTheilら(1956)の指摘するよう に, Tpの経口感染実験の成績が研究者によって異な
ることば,実験に使用するTpの株による抵抗性の差 異を無視して論ずることばできない.Jacobs ら(1960) の報告及び著者の第1報並びに第2報で記述したよう に,増殖型虫体は胃液のpH,消化酵素,胆汁及び胆 汁酸等に対して比較的抵抗性が弱く,これに反して, Beverley株Cyst は胃液,消化液及び胆汁酸等に対 して強い抵抗性を保有していることが明らかとなった.
最近,松林ら(1957),小林ら(1960),平山ら(1962), 石井ら(1962),小林ら(1963〕,村上(1964)及びE重]
中ら(1965)によって,わが国の怖の間にTp症がか なり濃屋こ浸潤しており,腰がTpのreservoir とし ての役割が注目されてきた.また,市販小間切れ豚肉 からも10‑2し%の検出率でTpが分離されている(徳 富1965,田中らユ967;.
三方,血清学的検査の進屋こ伴ない,屠場従業員, 食肉販売業者及び養豚業者のTp抗体保有率は一般人 よりもはるかに高率であること,従業年数の増加と共 にTp抗体保有率も高くなっている事実などが相次い で報告されている,
小林ら(1963)の報告によれば,屠場における家畜 の解体作業中に,屠場従業員の受ける創傷は予想以上 に多く,その創傷がTpの侵入門戸となりうる可能性 が多分に存在することを示唆している.すなわち,人 Tp症の後天性感染経路としては,主として,経口及 び創傷皮膚面からの感染の可能性が充分考えられる.
本章削こおいて,著者は種々な感染経路を究明する一 環として, Tpの増殖型と Cyst型を用いて,マウス の経口感染及び創傷感染実験を行ない,二,三の成績 を得たので,ここに報告する次第である.
実験材料および方法 工.実験材料
1.供試原虫
実験に使用した原虫はToxoμasma go〃diiのRH株 (増殖型)とBeverley株(Cyst型)である.
2.実験動物
実験に使用した動物は(1d系マウスで体重18‑20g の運動活発なマウスである.実験動物はすべて固型飼
料(日本クレア・CA‑1)と少量の水を与えて飼育 した.
3.原虫浮浪液の作製 (A) RH株(増殖型)
RH株Tp (以下RH)をマウス5匹の腹腔内に約 100万個体接種する. RH感染マウスは通常4‑5 B を経過して死亡するが,死亡前にマウスの腹腔内に生
246 本 村 一 郎 理的食塩水をl.Occ 注入して,これを誘い水として,
できるだけ多くの腹水を採取し' 10。G (soQrpm) 5 分間遠沈して腹腔浸出細胞と組織の粗塊を除去し,さ らに上宿液を1500G (5,000 rp m) 10分間遠心して Tp を沈澱せしめる.次いで上清部を棄て,生理的食 塩水を加えて擾拝し,再び遠心沈澱して葉虫し,この 沈漆原虫部に所定量の生理的食塩水を加えてよく撹拝 し, RH原虫浮溶液とした.この原虫浮溝液の虫体数 は血球計算盤を用いて算定した・
(B) Beverley 株(Cyst型)
Beverley株Cyst (Bev.Cystと略す) 2D個を10匹 のマウス腹腔内に接種し, 4‑5週間経過後,屠殺し てマウスの脳を無菌的に採取し,乳鉢内でよく磨砕す る.これに生理的食塩水をIQcc加えてピペットを用 いて十分に吸引圧出を繰返して均等な脳乳剤を作る.
この脳乳剤を2枚重ねの滅菌ガーゼで娼過して粗塊を 除去し, 650G (2,OOOrpm) 10分間遠心沈澱する・上 宿液を除き,沈直に生理的食塩水を一定量加えてよく 撹拝しBev.Cyst浮溝液とした.
脳乳剤中のCyst数はBev. Cyst 浮済液のI.02cc をスライドガラス坂上におき, 10¥20倍率の弱拡大で 鏡検し,全視野のCyst数を計え,同じ操作を2回線 返し, 5回の平均値をCyst数とした・
ll.実旗方法 1. Tpの経口接種方法
接種に用いた器具は静脈用注射針(太)の尖端を切 断して,サンドペーパーで切断面を丸く研摩した注射 針を1.Occの注射器に装置して,マウスの胃内に挿入 し,原虫浮溶液をI.2cc注入lした・注入に際して,マ ウスの咽喉部,食道などに損傷を与えないように充分 注意した.麻酔薬は一P]使用しなかった.
2. Tpの創傷感染実鼓
創傷感染実験の方法は橋本ら(1963)及び松本(1966) らの実験方法に準拠して行なった・
(1)除 毛
除毛は実験前目にマウスの背部の被毛を,あらかじ め毛刈鉄で短く刈取った後,除毛剤としてエバタレー ム(田辺製薬°を2‑3mmの厚さに塗布し, 20分経 過後に,微温湯(4o。C)の脱脂綿で皮膚に損傷を与え ないように極力注意して軽く拭きとって除毛した・
(2)創傷部位
創傷部位は図1に示すように,マウスの背部正中線 上の中間よりやや尾根部寄りに2×2・5cmの楕円形
をマークし,その枠内に創傷を設けた.
(3)創傷の程度
深創:マウス背部正中線の中央部の皮膚を鋭利な外 科用のメスを用いて頭尾方向に長さ1 cmの創傷を1 本作つた.この創傷は,まず,皮膚を切開し,皮下織 に達し,さらに筋膜を切開して筋肉層にメスの先端で 3mm程度の傷を2, 5個所に設けた.この程皮1 の創傷を深創と定めた.
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Fig. l. Schematic illustration of the artificial lesion on the back of mice
図1. マウス背部の創傷部位模式図
浅傷:マウス背部正中線上に設けた楕円形の枠内の 皮膚をサンドペーパー(ノリタケ研摩A80)を用いて 強く磨擦し,僅かに血がにじむ程度に止めた。この粗‑
度の創傷を浅傷と定めた.
正常皮膚:エバクレームを用いて除毛したマウスの 中から肉眼的に全く損傷の認められないマウスをえら」
び,対照実験に使用した.
(4)原虫浮済液の塗布方法
所定濃度に調製したRII及びBev. Cyst浮済液を「
0・5cc目盛のメスピペットでとり,各創傷部及び正常1 皮膚面に),05ccずつ滴下して全域に広く塗布した・
(5)創傷の組織学的検討
探創の場合は肉眼的に筋膜を切開し,筋肉層に到達王 していることを確認しているので,組織学的検討は行 なわなかった.しかし,浅傷の場合は肉眼的に血のに じむ程度という酸味な表現を避けるために,浅傷の深1 さを組織学的に検討した.まず,浅傷を設けたマウス を脳背髄離断法によって屠殺し,直ちに,浅傷部の半 分には,組織損傷の程度を明確にするために,製図用 黒色インキを塗布し,残り半分は無処置のままの疾陰 にして,創傷部位を切取って,ホルマリン固定,パテ
フィン包埋,へマトキシリン・エオジン染色を行なっ て切片標本を作製した.その安唐紙織の創傷の深さお よび表皮層の剥離の状況等について検討を行なった.
組織標本を鏡検の結果,われわれが浅傷と呼んでい る皮膚欠損の程度は,サンドペーパーを用いた擦過傷 であるため,擦過した皮膚全面にわたって平等に損傷 がみられるものではなく,諸所に全く傷害のみられな い正常皮膚組織が認められ,また,損傷にも軽重の差 がみられた・すなわち,表皮層から真皮層上層部に達 する組織の欠損等である・しかし,真皮層の欠損から 皮下織が露呈するほどの深い傷害は全く認められてい ない.浅傷の範囲は上述した程度の皮膚損傷を意味し ている・ (図1,附図参照).
Ⅱ・経口及び創傷感染成立の判定
感染実験において, Tp接種マウスは毎日観察を続 け,死亡したマウスは直ちに解剖して,腹腔,胸腔疹 .tl液及び脳,肝,牌及び肺の各臓器を詳細に調べ, Tp 虫体の検汁1確認したものを腸.性とした・なお, &存マ ウスについては各臓器中のTpの検出を行なうと共に.
‑Jプ.,採血用折紙(東洋折紙製)に所定量マウスの血 液を採り,花木.信藤の方法によるTp感作血球凝集 反応(HAと略す)を応用してTp抗体価を検定した.
マウスから原虫の検出ができないものでも, Tp抗体 価の著明な上昇がみとめられたときはTp感染成立と 考え, Tpの検出もなく,またHAも陰性のマウスは Tp感染不成立と判断した・
受 験 成 績 二l. RH増殖型の経口感染実験
RH増殖型のマウスにおける経口接梓は次のように 行なった・
生理的食塩水).2cc中にRH虫体48×104個体, 12×104個体, 5 ×1D4個体, 103個体, 102個体及び 10]個体を含有する原虫浮済液を作製し,静脈用注射
表1。
Table l・
針(太)の尖端を切断して少し丸昧をつけた後, l.Qcc の注射筒に装置して).2ccずつ1群5匹のマウスの胃 内に注入した.なお.自製の注射針挿入に際し咽頭, 食道を損傷しないように充分注意を払った・
表1にみられるように, RH増殖塑のマウス胃内接 種による最小感染数は103個体(66.69イoの感染率)で, R上I増殖型の経口感染実験
Experimental infection with the RH proliferative form through mouth in mice
No. of parasites inoculated (cc)
No.of mice inoculafed
48× 104(o.2)
12x 104(o.2)
3× 10^(0・ 2)
/
103(0・2) /
102CO. 2)
/ [
10KO.2)ー
1 2
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1 7 3
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1 2 /!
1 7
o
1 1
3 (
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]
Fate of mice Detection of T. gondii inoculated prolif. form Cyst
8
D鞍(9°鵜〓
D C9) D (ll) D (6) D (10) D (ll) D (8) D (ll) D (10) S** (30) D (ll) D (7) S (30) S (30) S (30) S (30) S (303 S (30)
Notes 羊D :
柵s .
手筋耕:
十 十 十 十 十 + 十 十 十
十 十
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HA
[ i ,
[ / ,,
≡】
/
1
】】】
Infection
r∂ te C%)
loo
100
loo
66 6
o
o
Death of mice
surヽival of mice
Numbers in parentheses give the survival days of mice
248 本 村 一 郎
表2. Beverleyシスト の経口感染実験
Table 2. Experimental infection with the Beverley cyst through the mouth in mice
No. of Cyst inoculated
(cc)
No. of mice inoculated
Fate of mice Detection of T. gondn inoculated prolif. forml cyst
HA
Infection rate
%
480(0. 2;
120(0. 23
60(0. 23
30(0・ 2)
10(0・ 2)
5(o・ 2)
KO..2)
1 2 3
1 2
.>
1 7 3
1 7 3
1 2 3
1 2 3
1 2
>.>
Dキ(9)萌単騎
D (10;
D (9) D (10)
D C12)
D し13) D (13;
D (14) D (15ノ D (14) s〓し3o)
D 06)
D (ll) S (30;
D し11) S (30) D し14) D (.13) S (30) s (30;
s し3o)
Notes ;・ モID : Death of 奇串s : Survival
糾描・ Numbers
lOO%感染致死率は5 × 104個体の原虫を必要とした.
2・ Bev.Cystの経口感染実験
Bev. Cystの経口接種は以下に記述するように行な った.
生理的食塩水0.2∝中に Bev. Cyst 個, 120個, 60個, SO個, 10個, 5個及び1個を含有するように原 虫浮源液を作製し,前項において記載した自家製の経 口接種用注射器を用いてo。2ccずつ1群5匹のマウス の胃内に注入した.
Bev. Cystは1個接種しても66.6%の感染率が得ら 礼, 100%の感染率を得るためには最低10個のCystを
必要とした.
3。 RH増殖型の創傷感染実験 (1)皮膚深創感染実験
生理的食塩水).05cc中の虫体数が,15×ID5,15×104, 15×103, 15×102, 15×101, 40, 20及び10個体の各 接種群において1群につき5匹のマウスを供試した.
その結果,表5に示すように,虫体数15×105‑15×
102個体接種マウス12匹は全例,接種後7日目〜12日 に至る間に感染死した・しかし15×101‑ 10個体の RH増殖型を接種したマウスは12匹全部生存したが,
+
i…
+ 十 十 十 十 十 十 十
十 十
十
十 1十
i=
83
+
1T1
loo
loo
loo
loo
loo
66.6
66.6
mice of mice
in parentheses give the survival days of mice
50日後に屠殺して原虫の検出を行なった結果,すべて 原虫陰性であった.すなわち.皮膚探創感染実験にお いて100%の感染致死率を期待できる最小RH虫体数 は15×102個体である・
(2)皮膚浅傷感染実験
表5に示した如く,虫体数15×ID5, 15×103,及び 15×101個体を含む浮溶液0。05cc接種した結果, 15×
105個体のRH接種マウスは100%の感染率を得たが, 15×103個体接種したマウスは5匹中1匹が感染し (感染率33.3%)残りのマウスはすべて生存した・ 50日 後には殻処分してRHの検出を試みたが,この生存
マウスは全例原虫陰性であった・
(3)正常皮膚感染芙嚇
除毛剤を用いて脱毛したマウスの皮膚面にRH虫体 数15×10…/0.05cc,及び15×io3/o。 o5ccを塗布したマ
ウス6匹はすべて生存したが,50日後の屠殺検査によつ て,生存マウスは全例原虫の検出陰性であった(表5).
4. Bev・ Cystの創傷感染実験 (1)皮膚深創感染実験
Bev・ Cyst 100, 50及び10個を含む脳乳剤).o5ccを 1群5匹のマウスの深創部位に接種した成績は表4に
Tojcoplasm.1 gondiiの生物学的研究,第5報 249 表 RH増殖塑の創傷皮膚感染実験
Table 3. Experimental infection with the RH proliferative form through injured skin on mice
Extent of
lesion No. of parasites No. of mice Fateof mice inoculated (cc) inoculated inoculated
[
Deep incision
Excoriation
Normal skin (Control)
15×105 (0.05)
15×104 (Q・05)
15×103 (0.05)
15×102 (0.05)
15×101 (0.05)
40 (0・o5)
20 (0.05)
10 (0.05)
/
15×103 (0.05)
15×103 (0.05)
15xlOl (0.05)
/
i
い5×105 (0.05)
3 15×1。3 〔。.05)
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1 7
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1
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J
1 2 J
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Detection of T. gondu Prolif. form Cyst
MA Infection rateし%)
D (7) 十
D蓮。3蔓享/㌔ …
表層点参璽辛畢E‑[章
二二王‑I
S (30ノ
喜3}3
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(10) (9) C30J) (3〔)) (12) (30)
(3oノ)
〔30一
1 2 3
1 2 3
S (30ノ)
s (3〔)) S (30) S (3(り s 〔30) S (30;
示した如く, Cyst lOO個を接樺したマウス3PP.巾2匹 の感染(感染率66・6%)を試め, 5D個及び10偶接種マ ウスでは53.3%の感染率を得た.
(2)皮膚浅傷感染実験
Bev. Cyst 200,100及び50個を含む脳乳剤). 05ccを 1群5匹のマウスの浅傷部位に接朽し, 200偶のCyst を接種しf三マウス5匹中2匹からCyst が検rTTはれ,
て
3
loo
了
loo
10,)
inn:
o
o
o
o
loo
33.3
o
0
o
66・6%の感染率をは■たが, Cystを10D及び50個接種し たマウスは全例原虫の検け‑晴性であった・
(3)正常皮膚感染実験
除毛したマウスの皮膚面にBev. Cystを200個塗布1 しブ'二マウス5匹はすべて/L存し, 30H後の検査によっ て時ヽ.虫の検;I】1陰件であった.
25D 本 村 一 郎 表4. Beverl。ノyシスト の創傷皮膚感染実験
Table 4. Experimental infection with the I∋everley cyst through injured skin on mice
・Ee…:tentof
ion単noo・.ofparasitesl culated(cc)i単sfo.ofi noculat岩uce
dj三<atei nocu寸まt三ice
Deep incision
1ooこO. OS)
50CO・ o5)
10(0.05)
DetectionofT.gondii prolif.
formCyst ぎHA i
Infection
rate (%)
1
7
,1
1 1
, >
1 7
:)
S (30) S (30) S (30) S (30) S (30) S (30) S (30) S (30) S (30)
十
十
ss
十
excoriation
200(0. 05)
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5o(0. 05)
1 7 .J.一.
1 2 3 17
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S (30) S (30) S (30) S (30) S (30) S (30°
S (30) S (30) S (3o)
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Normal skin (Control)
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S (30°
S (30) S (30)
66. 6
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33.3
66 6
l
/o
/ o
o
考 察
現在までに報告されたTpの感染経路に関する研究 の主なるものを挙げると,経胎盤(RemingtoneJ"J・
1961・),経口(Rifaatetal.1962;Nakayamaetal.
1961),経鼻(佐藤1961),経皮(橋本1965;松本1966), 結膜(穂坂1959)及び経腫(Cowen1950;松本1966) 等の感染実験があり,この他にも,実際上の感染可能 経路として衛生害虫,吸血性晃虫及び家畜等による Tp媒介についての研究も盛んに行なわれている.例 えばWeyer(1951),Piekarski(1950),Blanche/.
(1950),Jacobsetal.(1953),中隊C1957),村本(1957) 等の報告がそれである.最近,Hutchison(1967)は Toxocaracat'
‑専用いてTpの伝播実験に成功したと報 じている・
これらの感染経路のうち,先天性感染すなわち経胎 盤感染の経路はすでに証明されている.しかしながら' 先天性感染経路のみでTpの感染経路を説明し尽すこ とはできない.すでに本報の緒言において記述した如 く,後天性感染の成立を否定できない多くの事例が次 常に明らかにされてきた・このうち,とくに経口感染
が後天性感染の場合,重要な伝播形式であろうと推定 されている.
Tpの経口感染実験の成績は実験者によって若干異 なることが多く, Tpの感染経路を明確に指摘するこ とは困難なように,響)われる.実験成績に差異を生ずる 原因の一つは,実験に使用する Tp株の抵抗性の差 異によると考えられ,一般に, Tp のCyst型は増殖 型よりも外界での抵抗性が強いといわれている.
Tpの増殖型が胃液中の酸,消化液等に対して極め て弱く比較的早期に死滅するという事実はSchmidtke (1956), VanTheilrta/. (1956), Wildfiihr (1956) 及び著者(1967)等によって証明されている・ Jacobs
〟 。J. (1960)によれぼ,増殖型を用いた経口感染実 験において,しばしば,感染の成立を認めることがあ るが,こ才Lは増殖型が唾液やその他の粘液によって被 覆保護された状態にあったためであろうと推論してい る.このように,経口感染の成立,不成立はマウス胃 内での滞留時間'胃液の性状及びマウスの抵抗性の強 弱によって左右されるものと思われる・これに反して,
Toxoplasma gonaa^の生物学的研究,第5報 251
Cyst 型は胃液の酸,消化液及び胆汁酸等に対して強 い抵抗性を保有していることがJacobsetal. (I960)及 び著者(1967)らによって明らかにされた.
本報においても上記の事実を裏付けるような成績が 得られている.すなわち,マウスの経口感染において 増殖型は100%の感染率を得るためには少くとも5 ×
104個休の原虫を必要とした.これは著者の第1報に 述べた如く,増殖型をマウス腹腔内に接種した場合の 100%感染率を得るために要した虫体数20個体と比較 してその差は極めて顕著である.
松本(1966)は経口感染がTpの重要な後天性感染 経路であり,その理由として1) Tp原虫感染動物の臓 器及び筋肉等からCystが高率に検出されたこと, 2) Cyst 型原虫は外的条件'とくに胃酸及び消化液に対
する抵抗性が極めて大であること, 5°川上(1959) の報ずるところによれば実験的にも経鼻,吸入,経臆 及び結膜は感染の可能性が少なく,飲食物による経口 感染が最も重要な経路であろうと考えられる成績が得
られたことなどを挙げている・
人と生活環境の上で最も密接な関係を有している 鳥類及び家畜を対象に色素試験による抗体保有率を調 査した泉谷( 1958)の報告によると,矧こついては 21.3%,牛については22, 馬では20.3%の各陽 性率を認めている.また,豚については平山ら(1962) の報告によれば屠場に出荷されてくる一見健康と思わ れる豚58,940頭のうち,内臓検査によって肺の退縮不 坐,体表,内臓のT)ンパ節の腫脹を伴なうものなど一 定の病変を示した151頭の豚についてTpの検出を行 ない, 82頭(62.6%)に原虫が証明され,対申)として全 く病変のみられなかった豚82頭からはTpの検出は全 く陰性であったという・その後も多くの研究者によっ て調査され,陳が本症のreservior としての役割りを 演じているものと思われ'わがE自の豚の問に,ほとん ど,全国的規模でかなり濃厚にTpの侵淫があること はもはや疑いの余地がない.また,最近徳富ら(1965)は 東京地区において一般市販豚小間切れ肉IOOg単位の 検体150のうち, 25 (19.5%)からTpを分離したと いい,田中ら(1964)も大阪府下の屠畜場において屠 殺された豚の筋肉144検体のうち (12.5%)からTp が検出されたといい,さらに田中らC1967)は大阪府 下において市販されている豚肉を無消化法によって処 理した後マウス接種による原虫の分離を試みた結果, 45例中検出数5例( ll.6%)であつたと報告している.
もとよりこれらの豚肉から分離された株がすべて人に
対して病原となりうるか否かは不明であるが,食肉中 のTp原虫,もしくはCystが経口的に感染を起す可 能性は大きいものと予想される Weinman et al・
(1956)はTp感染は,旋毛虫症の場合と同様に'加熱 不十分な豚肉の摂取によると述べている.その理由と して,旋毛虫症患者は加熱不十分な豚肉を摂取して感 染が起る訳であるから,旋毛虫症患者のTp抗体は一 般健康人よりも高いtiterがみとめられるとして,色 責試験によつて旋毛虫症患者の抗体調査の結果1 : 64 を示したものが一般健康人の2倍, 1 :256を示した ものが健康人の5倍以上の率を示したと報告している̲
Jacobs et at. (I960)は〝半煮え〝状態の肉の中に 含まれたCyst の生死について実験を試み,また, Kozar 0958), Harboe (1952), Gr。nroos(195S)及び
Kudicke (1954)等は男女の性別による差,すなわち, 女性は男性よりも高い感染率を有していることは女性 が主として料理を担当しているための差異であろうと 述べている.
しかしながら, Tp の感染は経口感染以外の経路に「
よっても行なわれているものと想像される.その理由 は,インドの Hindusのように肉を食べる習慣のない 菜食主義者の間でもTpの感染率は非常に高いこと (Rawa1 1959; Jacobs 1956),豚肉を決して食べない匝 数徒もTpの感染率は低くないこと,病理学的所見に ついても腸における病変の出現率はあまり高くないこ
と,羊など草食動物においても極めて高い感染率を経 ていること等が挙げられ,このようにTpの感染経路 は複雑な様相を呈しているが,次に述べる経皮感染の、
重要性についても再認識する必要があると思考する.
創傷皮膚よりのTp感染は日常遭遇する機会が極めて 多いことからも非常に重要な侵入門戸と考えられるが,.
極めて少数の報告をみるにすぎない.わが国において は橋本ら(1965)及び松本(1966)の報告がある.
橋本らの報告によれば'TpのRH増殖型虫体によ る創傷感染実験では,きわめて浅い傷でさえも感染が 認められたが,正常皮膚からは虫体は侵入し難いとい・
い,松本はRH増殖型による創傷感染実験の結果,皮 膚深創で100%の感染成立する濃度は原虫数が5 ×104 以上であり,浅傷の場合, 5 ×104個体の原虫数が感 染の下限数であったと記し, Bev.Cystでは深創50偲 (40%の感染率) ,浅傷50個(感染率20Oイ。)であった と報告している・
本報における実験成績では, RH増殖型による感染 は皮膚深創で15×102個体(感染率100%)を必要とし,
252 水 村 ∴ 郎 浅傷で15×103個体(感染率 33.5%)を要した・
Bev・Cystでは深創で10個(感染率33.5%),浅傷で 200個(感染率66. が感染の下限虫体数であった・
南棟とも,正常皮膚からは虫体の侵入による感染はみ られなかった・
本報の成績と前記二者の報告とを比較して,いずれ とも大同小異の成績が得られた.
日常,人と接触する機会の多い各種動物間において Tpの感染が極めて高率に認められていることは既述
したが,このようなTp感染動物または臓器と直接接 触する機会の多い屠場従業員,食肉業者,養豚業者及 び動物飼育者についてのTp抗体保有率は一般成人よ りもはるかに高いことが多くの研究者によって明らか にされた(Beverley,etal・ 1954旧中ら1958;小林ら 1960:村上1964).また,このような職業E‑字従事する人 々のTp抗体保有率は職/業従事年数の長いものほど, 高年令者になるほど高くなる傾向を示している.
この他,屠場従業員のTp抗体価は一般的に屠畜業務 に従事してから比較的短期間に上昇する傾向があり, 作業中に感染を受けていることは疑いのないものと考 えられる.
橋本ら(1963)によれば,屠場従業員が作業中に受 ける創傷は予想以上に多く,むしろ創傷の認められな いものの方が少ないほどであったという.屠畜の解体 中に誤って受ける創傷は,例えば,皮はぎ,臓器の摘 出の際の解剖刀による傷害,また,骨片などによる創 傷,俗にいう〝ササケレ〝等,屠場従業員の手指は〝
ナマキズ〝が絶えない状態である.この場合,創傷皮 膚がTpの侵入門戸となりうる可能性は,今回Q)マウ スを用いた創傷感染実験の結果から考えても,大きい ものと思われる・さらに,このようなTpの創傷感染 の危険性は,単に職業人に限らず,広く一般人にも共 通する重要問題であり, Cyst による経口感染と同様 に注目すべき感染経路の一つであると思考される・
む す び
Toxoplasma go〃diiのRH株(増殖塑°並びにBeverley 樵(Cyst型)の2株を剛),マウスにおけ声経口感染 実験及びマウスの創傷皮膚感染実験を試み次の知見を 得た.
1.経口感染実験
RH株:経口感染実演における10G%感染成立の原 虫数は5 ×104個体以上であるが,その感染下限原虫 数は103個体(感染率66.6%)であった・
Beverley株: 100%感染成立の原虫数はCyst数10 個以上であるが'その感染下限Cyst数は1個(感染 率66・6%)であった・
2.創傷感染実験
RH株:探創(筋層に達する傷)ーでは100%感染成
立の濃度は原虫数が15×ー102個体であったが,蔑傷(義 皮あるいは真皮に達する傷)では100%感染成立の濃 度は原虫数が15×105個体であったが,感染下限原虫 数は15×103個体(感染率33.39イo)ーであった.正常皮 膚からの感染は認められなかった.
Beverley株:深創ではCyst数が10個接種によって 55・5Oイoの感染率を得たが,浅傷では200個(感染率 66・6%)のCyst数が岳染下限Cyst数であった.正 常皮膚からの感染は認められなかった・
稿を終るにあたり,御指導,御校閲を賜わった中林 敏夫教授及び皮膚組織標本の作製の労を煩わし,また 御教示を賜わった本研究所病理学部,渡辺豊村数授に 深謝の意を表します.
文 献
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Explanation of Plate Photo. 1. Deep incision on the back of mouse.
Photo・ Excoriation on the back of mouse
Photo・ Section of normal skin of mouse, stained with Hematoxylin‑eosin. 100×.
Photo 4 to 6. Section of inlured skin produced by excoriating the skin surface of mouse
with a piece of sand paper, stained with Hematoxylin・eosin. 100×.
Drawing ink was rubbed in the injured skin to clarif), the depth of
wolユnd.