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知覚小体の再生につや・て

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知覚小体の再生につや・て

金沢大学大学院医学研究科整形外科学講座(主任:高瀬武平教授)

       東  田  紀  彦:

         (昭和38年2月1日受付)

(本論文の要旨は第35回日本整形外科学会総会に発・表した.)

 末梢神経縫合後の神経再生に関し,従来神経線維が 終末に到達している事実だけで機能まで再生したと考 える研究者が多い.(Tamura 1922, Jalowy 1934,19・

36)しかし知覚終末に運動神経線維や他の知覚神経線 維が二二する如き,異質の神経線維が終末に到達する 場合のあることは当然考慮さるべきであって,この場 合には本来の機能的な再生は起り得ないはずである,

そこで著者は一定数の終末群を選び,神経の機能的再 生をなしうるものの比率を調査しようと考えた。機能 を調査するためには生理学的な証明がまず必要であろ うが,著者は形態学的に或る程度それを推定しうる方 法として,特殊な形態を有する終末が元の形態に再生 することをもってその判定の基準とした.かかる目的 遂行のためには特定の形を有する終末を選定し,更に その終末の数が容易に数えうるだけ小範囲に存在する 場所でなければ,機能的再生をなしたと考えられる終 末の百分率は出し難い.特定の形態を有する終末とし ての知覚小体,特にVater−Pacini氏小体, Herbst氏 小体は特有な形態を示し,神経線維の分布状態は一定 で,その形態も簡略であり他の終末,例えば終板とか Meissner氏小体の如く複雑な神経分布を示していな い.従来かかる知覚小体が神経再生に利用された場所 はTamura(1922)による水鳥の嗜の表皮及び皮下組 織,Sasybin(1930)による各種動物の皮膚,双び Jalowy(1936)による猿の指尖等であるが,これらの 部位では小体の分布が広範囲にわたっていて,その総 数を算出することは甚だしく困難である.

 しかるに1957年,Takase&Nomuraは骨を含めて の脱灰鍍銀染色を考案し,これを利用してマウスの長 管状骨を対象として骨髄神経の研究を行った際に,脛 骨腓骨接合部骨膜周辺部に同一種類の知覚小体のほぼ 一定数の集団が存在していることを発見した.著者は これらの知覚小体群が前述せる本研究の目的に合致す るものである所より,これを利用して支配神経を切断 接着した上で全小体のどの位に神経線維が到達しうる

か,吏にそのうちのどの位が本来の小体の形態をとり 戻しうるかにつき数量的に調査した.

        染 色 方 法

 Takase&Nomura(1957)による蟻酸脱灰鍍銀染 色法の変法を利用し軸索染色を施行した.

 ①固定撰び脱灰・60%エチルアルコール20ccに蟻 酸1・5cρを加えた固定兼脱灰液晶に被検材料を入れ,

25。Cに保ち2日毎に液を交換し6日間置く,

 ②洗源:被検材料の余剰液を軽く濾紙で吸収除去 後,96%アルコール液中24時間25。Cに保ち,その間

3回以上液を交換する.

 ③民訴被検材料の余剰液を濾紙で吸収除去後,5

%硝酸銀水溶液中に投入し30。Cにて暗室に6日間保

存する.

 ④還元:被検材料の余剰液を濾紙で吸収除去後,蒸 溜水20ccたピロガロール0.39中性ホルマリン1.O ccを入れた還元液晶に25。Cに保ち2日間保存する.

上記操作を経た被検材料を蒸溜水中に室温で1時間放 置し還元液を洗源後,アルコール脱水,ツェルロイジ ン包埋,15ゼの連続切片標本を作製し鏡検した.かか る操作を経た軸索は暗黒色に染色され,淡黄色に染色 ざれる筋,骨,その他軟部組織と明瞭に区別される.

脛骨緋骨接合部骨膜周辺における 知覚小体酵の比較解剖学的観察

 マウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺部において,Ta・

kase&:NomuraがVater−Pacini氏小体のほぼ一定 数の集団を発見した事実に基づき,著者はその他の脊 椎動物につき各綱に一種類ずつの動物を選定し検討し た.著者らの脱灰鍍銀染色法は比較的小動物にしか応 用し得ないので,代表動物として次のものを選んだ.

 a)哺乳類  i)マウス

 マウスについては四肢をすべて連続切片にて精査し  Studies on the Reinnerヤation of the Sensory Corpuscles. Norihiko Toda, Department of Orthopedic Surgery(Director:Prof. B. Takase), School of Medicine, University of Kanazawa.

(2)

74

たが,骨膜近辺でVater Pacini氏小体の集団をなせ る部位は脛骨腓骨接合部周辺に限られており,極く稀 に他の部位の骨膜附近に単独の知覚小体をみるにすぎ なかった.

 脛骨腓骨接合部骨膜周辺のVater−Pacini氏小体総 数は再生試験に供した後述の15匹のマウスにおいては 最少19個,最多36個,平均26個であった.更に対照と したマウス3匹では,最少24個,最:多32個,平均28個 であり大差を認めなかった(図1),形態学的に個々 の知覚小体を観察すると,外形は長楕円形を示し長径 25面一10い,短径80−3いであり,外側より結締織 性被膜,内棍及び軸索より形成され,被膜は多数の層 板を示す扁平結締織細胞と多数の核よりなり,内払に は円形または多核形の細胞核を認める,小体の近位極 より内棍中へ単一有髄神経線維が進入し,その軸索は 小体内の始めの楓までは迂曲し,直径約1恥一2鉢で あるが軸索の自画は不規則であり,小体内の%をすぎ る頃より軸索は急に細くなり,直径8F−10μとなっ て内血中をほぼ真直ぐに走る,かくして小体の遠位極 に到達した軸索の先端部は種々の形状即ち,釦状,糸 球形成,または分岐形成して終っている(図2),

 ii)ラッチ

 ラッチの脛骨腓骨接合部骨膜周辺に存在する知覚小 体群はマウスのそれの存在する部位よりやや中枢寄り で,脛骨後側の骨膜周辺である.その総小体数もマウ スに比し多く,著者の組織学的に検索した3匹のラッ チの下腿については,最少30個,最多47個,平均42個 であった(図3).個々の小体についての観察では,長 楕円形を示しその大きさは長径300μ一17砿,短形80 μ一60μである.被膜の層板は少なく,被膜と内評は 濃染し被膜と内棍の間は核のみが濃染し原形質は淡比 する面心な細胞を充たしていた,内棍には多数の細胞 核が雑然と排列され,輪画はかなり明確に示されてい た. この小体の近位極から単一有髄神経線維が進入 し,その軸索は直径約10粋で小体内では真直ぐに或 いは始めの%までは迂曲して進入し,以後殆んど同一 の直径で遠位極に至り,ここで途絶したかの観を呈す るか,釦状に終っている(図4).

 b)鳥  類

 鳥類の代表として鶏(雛)を選定し,その下腿に神 経染色を施し組織学的に検索した.鶏(雛)において も知覚小体群は存在し,その存在部位は脛骨中央部後 側の骨膜周辺であり,その数は正常鶏(雛)の5下腿 にては最少40個,最多54個,平均47個存在した(図 5).形態学的な個々の観察ではラッチのそれと類似 するが,心内熊内には外側部に細胞核は多く,中央部

では漸減している.小体内軸索もラッチのそれとほぼ 同様で,直径約1いの太さで近位極附近では迂曲し,

以後真直ぐに内乱中を走り,遠位極にて途絶している

(図6).

 c)爬虫類及び両棲類

 爬虫類の代表としてヤモリ,両棲類の代表としてト ノサマガエルを選定し,それぞれ下腿を組織学的に精 査したが,マウス,ラッチ,鶏(雛)の下腿に見る如 き知覚小体群が集団をなしている部位は発見し得なか

った.

 d)小  括

 脊椎動物の脛骨腓骨々膜周辺部に知覚小体の集団が 存在する事実は文献的記載をみないところである.著 者は哺乳類のマウス,ラッチ,及び鳥類の鶏(雛)に おいてほぼ同一の部位にVater−Pacini氏小体及びこ れに類似せる知覚小体の集団を発見した、マウスの場 合は被膜が整然たる多数の層板より形成され,内状中 を単一の軸索が遠位極まで入ること等,正常Vater−

Pacini氏小体の構造と全く一致をみるところである.

ラッチ,鶏(雛)においては層板は少なく,被膜と法雨 間に核のみが濃染する懸粗な細胞が存在すること,更 に内面中には細胞核がかなり明確に存在を顕わし,軸 索が単一で真直ぐに小体の近位極から遠位極にまで到 達し,非分磁性なこと等Vater−Pacini氏小体とは幾 分異なりHerbst氏小体に近似しているがHerbst氏 小体の場合内棍は層板よりなり,外側に1列の整然た る細胞核の排列がみられる点でHefbst氏小体とも幾 分異なっている.従ってこれら知覚小体群は形態学的 にはVater−Pacini氏小体と1耳erbst氏小体の中間型 というべきかと思われる,このような後肢下腿部の骨 膜周辺に集団する知覚小体群は脊椎動物の爬虫類及び 両棲類にはみられなかったが,著者の検索した動物の 種類が少数なので,更に系統発生学的な調査を必要と

する.

実 験 方 法  a)実験材料

 実験動物として生後約2週間の幼若マウスを選び,

その右側下腿を使用した.

 b)実験方法

 マウスの四肢末端を固定板上に固定し,その右側下 腿をマーキロクロームアルコール消毒,無麻酔で無菌 的に大腿中央部背側にて皮切を施し,筋間を分離し坐 骨神経本幹を露出した,この際極力周囲軟部組織の損 傷を防ぎ,坐骨神経の全貌を視野に入れ血管損傷をさ け,神経本幹を一気にしかも確実に切断した.

(3)

 かくして処置した動物群をそれぞれ術後24時間,6 日,10日,15日,20日,45日, 3.月, 5月,10月,13 月,18月,24月目に左i頸動脈を切断出血死せしめ,術 側下腿を膝関節直下及び足関節直上で切断剥皮し,腓 腹筋の大部分を取除き固定液に入れた.なお坐骨神経 切断部の神経再生状態をみるために,全例において切 断部の肉眼的及び組織学的検索を併せ行った.

実 験 成 績  a)実験経過

 連続切片標本につき経時的に各処置動物群の各症例 の小体総数と,更に各小体に進入する軸索数を統計学 的に調査し,次に個々につき形態学的に観察した.

 坐骨神経切断後のVater−Pacini氏小体内の軸索は 24時間後には早くも変性像を示し,大部分の小体では その軸索は崩壊の過程を辿る.しかし一部の小体内で はなお軸索が存在する.

 術後36時間後にはすべて¢)Vater−Pacini四八体内 の軸雫は消失し内棍中は空虚となる.

 術後48時間目には附近の結締織中の神経東中にも殆 んど軸索を認め難くなり,代ってSchwann細胞が次 第に増生してくる.Vater−Pacini氏小体の外形には 変化はないが軸索消失のため内槻は空虚である.

 術後6〜15日に至ってもVater・Pacini氏小体は軸 索の消失のみで,小体自体の変化は殆んど認められ ず;一萎縮したり消失したりする所見は全くない.

 著者の実験では右大腿中央で坐骨神経本幹を切断し 両断端を極力接近せしめ,神経縫合を行わずに処置し たものであるが,術後6ん15日に至れば肉眼的には坐 骨神経切断面は完全に接着し,切断部を中心として中 枢側と末梢側に亘り約5mmの膨隆を示し,神経腫様 の外観を呈している.更に組織学的には中枢側断端よ り多数の新生軸索がSchwann細胞の増生した末梢側 Schwann tube内へ多数進入し始めている,しかし新 生軸索はいずれも極めて細く,直径1μ一面のものが 殆んどである.これら新生軸索が一末梢側Schwann tube内へ5〜15本進入している.更に新生軸索は末 梢側Schwann tube内へ進入するのみならず,方向 を変えて中枢側へと進むもの,附近の結締織中へと叢・

状に進入するもの等ありその方向は千差万別である.

なお20日以後経時的に観察した実験群の全例において も坐骨神経の切断部は,自然に両断端の接着が行わ れ,軸索の再生が行われていることが組織学的に証明

された.

 術後5月をすぎると末梢側Schwann tube内の細 径軸索のうちの一部はその直径をまし,術後18月の標

本では10−」恥にまで太くなっている軸索もかなり 存在する.しかし24月を経ても1本のSchwann tube 内の軸索数は減少を示さずやはり5〜15存在してい

る.

 b)実験成績  術後20日

 肉眼的所見・術側下腿は対側に出し軽度の筋萎縮を 示し,自動運動は識別され難い,潰蕩形成や関節拘縮 は発生していない.

 組織学的所見:軸索が変性し消失しているVater−

Pacini氏小体に再生軸索が進入しかけている.標本 を作製せるマウス2匹につき統計学的に総小体数と再 生軸索の進入せる小体数の関係を調べると表1の如く

表  1

マウス症例

1(術後20日)

2( 〃 ) 小体

19 23

進入軸索数

体隣3本腱

4 4

0 0

0 0

0 0

計、到達率  1

4 4

21%

17%

平釧21141・1・i・i4119%

全小体に軸索が進入し始めたのではなく,平均小体数 21個中4個にのみ軸索が到達し,他の小体では未だ内 棍は空虚であって,小体への再生軸索の到達率は19%

を示すにすぎない,

 再生軸索の到達をみた4個の小体中の軸索はいずれ も直径1い一六の極めて細いものであって,その小体 に元分布していた神経軸索のSchwann tube内を経 由して来たものであり,その他の経路をとって小体 に達する軸索はなかった.小体内に進入した軸索は Schwan獄tube内とほぼ同一の直径で,厚目にて数本 に分岐形成するもの,近位極附近で途絶するもの等が あり,いずれも一小体内に1本の軸索で2本以上の軸 索の進入はみられなかった,

 術後30〜45日

 肉眼的所見:術側下腿は前期とほぼ同程度の筋萎縮 を示していたが,必要に応じて緩慢な自動運動を営

む,

 組織学的所見:標本作製せるマウス3匹の下腿で は,総小体数と再生軸索の進入せる小体数の関係は表 Hの如く,再生軸索の小体への到達率な平均88%と著 明に増加している,なお一小体内に1本の再生軸索の 進入をみるものの他に2本以上の再生軸索が同時に進 入する小体は平均57%であった.

 図7は症例2のVater−Pacini氏小体分布図とその

(4)

76

表  皿

マウス症例 1(術後30日)

2(術後45日)

3( 〃 ) 小数 −ρUOOOOOOnδ

進入軸索数

困2本i3本魔

11 13 9

13 11 工0

354 二r9QU59右00Ω乙り召4ぼ0 到達率

93%

92%

85%

平均133111ill14i4i29188%

再生軸索進入状態を示している.

 一方形態学的に個々の小体と,これに分布する再生 軸索につき観察すれは,一小体内に1本の再生軸索が 進入する場合でも,小体内棍中で迂曲屈折したり(図 7のU,18),分岐形成し相錯綜し叢形成するもの(図 7の1,3,10,16,23,29,33).が大部分であり,

しかもそれらの軸索は極めて細く,内棍の途中で終る もの(図7の4,35),または遠位極まで到達するが,

そこで180。回転して再び小体の中央部に終るもの(図 7の5),等多種多様である.:更に1本のSchwann tube内を2本または3本以上の再生軸索が進入する 一幅体内においても同様な叢形成を営むものが大部分 である (図7の2,7,8,13,15,17,20,21,22,

24,25,26,28,31,32).しかもこれら小体内の再 生軸索の太さは不平等で直径如一5μのやや太いも の,または直径軸位の細いもの等様々である.なお 全く再生軸索の進入をみない小体も存在した(図7の

6, 27, 36).

 術後3〜5月

 肉眼的所見・標本作製せるマウスは4匹であり,全 症例に術側下腿の軽度筋萎縮を認め皮膚は異常光沢を 示していた.更に症例3,4では足関節拘縮と第3及 び第5趾爪の変形を有していた.

 組織学的所見=総小体数とその再生軸索進入状態の 関係は表皿の如く,小体への再生軸索の平均到達率は 85%とほぼ前期と変りなかった.

 なお一小体内に2本以上の再生軸索が進入するもの 表  皿

マウス症例 1(術後3月)

2( 〃 ) 3(術後5月)

4( 〃

小体

ワ8﹄仙009召り召9刮

)125

進入軸索数

1本囲3本腱 51晶nOO

1111

7・﹂448 孕μqUQり109召−払9劃9μ

到達率 85%

80%

91%

80%

平均125113}6■・}21【85%

の数は33%を示している.

 図8は症例1のVateτ一Pacini氏小体の分布図とそ れらの再生軸索分布状態を示している.

 一方面態学的に個々の小体につき観察するとVater−

Pacini氏小体に進入する再生軸索数は1或いは数本 で,小体内では迂曲屈折したり,叢形成したりするこ とは前期と同じであるが,術後3月に至ればSchwa訟n tubeより小体近位極へと進入する再生軸索の直径は やや太くなり,融一4 のものも存在し(図8の1,6,

10,16,17,24)ている.しかし数本の再生軸索の進 入をみる小体では,そのすべてが直径をましているの ではなく,そのうちの1本が太くなり他は細い場合が 多い(図8の11,13,14,23,26).しかし一小体内 にやや太目の軸索が2本進入している小体も存在した

(図8の4,8).更に1本の直径約恥の細い線維が 近位極より遠位極まで,ほぼ同じ太さで走行し途中で 分岐を示さないものも存在した(図8の18,21).

Vater−Pacini氏小体附近のSchwann tubeの中には 直径の極めて不揃いな再生軸索が1或いは数本錯綜し ていて,小体と連絡を有するSchwam tubeではこ れら数本の軸索のすべてが小体中に進入する場合もあ るが,一般にはこれら数本中の1或いは2本が小体中 に進入し,他は横にそれ,小体の外周に接近して結合 織中で遊離終末に終っている.なお全く再生軸索の進 入をみない小体も若干存在する(図8の2,7,9,22).

 さて術後5月目の症例3の標本中には注目すべき所 見がある.即ち術後3月までの標本中には,小体内に 1本の再生軸索の進入をみる場合でも,小体内で分岐 したり迂曲屈折したりして,正常Vater−Pacini氏小 体内の軸索とはかなり異なっていた.しかし症例3の 総数23個の小体中2個において,正常Vater−Pacini 民小体内心にみる如き直径邸一1馳の再生軸索が Schwann tubeより真直ぐに小体中へ進入し,分岐を 示さず遠位極まで到達しているのが観察され形態学的 にほぼ正常に復元している.

 術後10〜13月

 肉眼的所見:標本作製したマウス4匹とも術側下腿 の筋萎縮は極く軽度となり,内症例1,2,3は足背部 に散発性の小範囲の発毛不全を認める外は正常下腿と 変りない.また自動運動は拙劣なるも行い得た.

 組織学的所見:4匹のマウスにおいての総小体数と 各々の再生軸索進入状態は表IVの如く小体への再生軸 索の平均到達率は88%と他時期の症例に比して著明な 増減を認めなかった,更に2本以上の再生軸索の進入 をみる小体数は43%であった.

図9は症例3のVatef−Pacini氏小体の分布図とそ

(5)

表: IV

マウス症例 1(術後10月)

2(術後12月)

3(術後13月)

4( 〃 )

小体1進入軸索数

数陣本13本腱

﹁01具04Ω乙9召00り召 0乙OU﹂40U1   1

nO80乙ΩU  1 rO−晶02 三両 ﹂望8ρOQVO419β−ーユ00ハU 到達率

97%

86%

87%

80%

平均1251119121・122188%

 術後24月

 肉眼的所見:マウスの生存率は減少し,実験に供し た1匹では下腿筋萎縮は殆んど認められず,自動運動 も盛んに行うが,山側肢で体を掻く等の巧緻運動はし

難い.

 組織学的所見:Vater−Pacini氏小体に進入する再 生軸索数には前期に比し著明な増減は認められず,表 VIの如く再生軸索の小体への到達率は82%であった.

表  VI 1れちめ再生軸索分布状態を示している.

 形態学的に観察した場合には大部分の再生軸索の太 さは前期同様に融一如であるが,小体に接続する Schwann tube内を走る数本の再生軸索中では,その

うちの1本は直径約5μにまで太くなり,他は1 卸の細いままに残っているものが大部分を占めてい る(図9の8,13,20,21,22,25,26).更に数本の 再生軸索が四一3μの細いままに存在するものもあっ た(図9の29,30).また全く再生軸索の進入をみな い小体も若干あった(図9の1,11,14,16).更に前 期同様に1本の直径8μ一10μの太い再生軸索が進入 してほぼ正常のVater−Pacini氏小体の状態を示すも のも各症例に2〜3個存在した(図9の9,15).

 術後18,月

 肉眼的所見=実験に供したマウスは1匹であり,そ の術側下腿は殆んど筋萎縮を認めず,足背の一部に小 範囲の発毛不全を認めるのみである.自動運動は拙劣 ながら行いうる.

 組織学的所見:小体内に進入する軸索数は1或いは 数本であることに変りなく,総小体数と再生軸索の進 入をみる小体数の関係は表Vの通りである.

表  V

マウス症例

術後24月

小数

23

進入軸索数 詞2本i3本1以上1楼本計

12 5 2 。119

到達率

82%

薮様織奎計階

 図10は術後24月のマウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺 のVater−Pacini氏小体の分布図とそれらの再生軸索 分布状態を示している.

 形態学的に観察すると,Vater−Pacini氏小体近傍 のやや太い神経東中の軸索は大部分が再生初期に比し て,その太さをましている.しかしほぼ正常に近い直 径と形態を有する軸索の進入をみた小体は意外に少な く,総小体数23個中僅か1個のみである(図10の15).

従って他は細いままに残り(図10の11,12,14,19,

20,21,22).各軸索は相錯綜し叢を形成しているの が大部分である(図10の2,3,5,8,9,13,23).

 c)成績小括

 i)統計学的観察:神経切断後軸索の変性した Vater−Pacini氏小体に始めて再生軸索の出現してく るのは術後20日頃である.術後30日以後24月までの標 本では症例により80−97%の小体に再生軸索が到達し ているが,加功の如くこの到達率は決して月数の増加

マウス症例

術後18月 26 13 8 1 0 22 84%

表  w

日(勝12・日130〜智i3〜員110淵18月124月 半 均

到達率 19% 88% 85% 88% 84% 82%

 即ち再生軸索の小体への到達率は84%と前期に比し 一変を認めなかった.

 形態学的にも前期と大差なく,小体内再生軸索は1 或いは数本が相錯綜し,2本以上の軸索の進入するも のも多くは1μ一門で細いままに残存していた.しか し中にはやや太目の直径融一10粋の殆んど正常に近 い形態の軸索が1本小体の内棍を走るものも総数26小 体中2個存在した.

と共にふえるのではなく,30〜45日までにほぼ到達す べき軸索は,24月まで小体自体の消失は皆無として,

到達しているものと考えられる.

 次に術後30日以後のいずれの時期にも1小体内に2 本以上の軸索の進入をみるものがかなりみられたが,

表唖め如く術後日数の増加と共にますものでなく,こ れも30〜45日までにほぼ到達しているものと考えられ る.また術後日数の増加と共に減少する傾向もないの で,小体と機能の合致しない軸索が吸収されてゆくよ

(6)

78

表  、亜

目(膨12・日130〜皆3〜到10〜胃1副24月

2本以上

の到達率 0% 57% 33% 43% 35% 30%

うなことはないと考えられる,

 ii)形態学的観察3次に個々の小体内に再生した軸 索を形態学的に観察すると,全般に正常の太さ(雛一 10のと棍棒状形態を示さず,種々不定の構造を示し ている.術後約3月までは小体に進入する軸索は極め て細く,輻一跡のものが大部分を占ある.1本の軸 索が分岐せずに真直ぐに走るものもあるが,内棍に至 ると急激に多くの分岐を作り互いに錯綜して叢を形成 するもの(図11,12),また1小体に2本以上の軸索 が入り分岐形成が少なく,からみ合って走るもの(図 13,14,15),或いは内棍にて分岐し叢iを形成するも の等多種多様の形態を示す.これらの軸索の形態は術 後24月までの追求において,大した差異はみられなか ったが,その太さは月数と共に幾分太くなり,術後10 月になると数本の進入せる軸索中の1本は直径恥一 6μとなっているものも存在し,術後24月目の標本中 には数本中の軸索のうちの1本が約御となっている

ものもあった.

 一方術後5月以後の標本になると,直径8 一10粋程 度の軸索がみられ,1本のやや太い軸索が分岐せずに 内棍中を真直ぐに走る如き,正常のVater−Pscini氏 小体にみられる軸索と形態がほぼ類似するものも平中 本中に1或いは数個存在した(図16).しかしその数 は表皿の如く,術後5月以後24月に至るまで月数と共

表  P(

日(騰12・日130〜皆3〜矧10〜矧18月i24月 ほぼ正常

に復元せ る小体数

0 0 2 2 2 1

%}6%1・%18%i8%彫14%

に増加する傾向はないので,これらの軸索も30〜45日 までに到達したものであり,その径の増加に日数がか かったにすぎないものと思われる.

総括並びに考按

 a)脛骨腓骨接合部骨膜周辺における知覚小体群の 発見について=Takase&Nomuraは1957年マウスの 下腿骨につき骨髄神経の研究中,その脛骨腓骨接合部 骨膜周辺に限局して,ほぼ一定数のVater−Pacini氏 小体の集団を発見した.Vater−Pacini氏小体が骨膜

や関節近辺に存在することは,古くはK611ikef(18・

50),Miscolczy(1926)ののべるところであり, Igari

(1955),Schilnoda(1956),Nozaki(1956)も入の膝 関節周辺及び下肢骨博戯の一部に散発性に存在するこ

とをみているが,マウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺部 の如き一定数の集団が小範囲に限局している場所につ いては文献上記載をみないところである.更に著者は 比較解剖学的に脊椎動物の各綱につき選定した動物の 四肢骨周辺を組織学的に精査せるところ,鳥類(鶏の 雛),哺乳類(ラッチ)の脛骨中央部後側骨膜周辺にの みかかる知覚小体のほぼ一定数の集団が限局して発見 された.かかる動物でも四肢骨のその他の部位には,

知覚小体の集団はみられず,更に爬虫類(ヤモリ),

両棲類(トノサマガエル)の:四肢骨周辺にも発見し 得なかった.これらの知覚小体の形態はマウスとラッ チ,鶏(雛)においては幾分相違がみられるが,いず れも被膜は層板を形成しており,同一機能の知覚小体 と考えられる.Vater−Pacini氏小体の層板は液質を充 たしていて多分圧覚や位置覚を感受する小体であると 推定しているSchumacher(1911)の説の如く,これ ら動物の下腿骨々膜周辺の知覚小体群は触覚,圧覚,

位置覚等の役割を果すものと推定される.しかし鳥類 以下の動物には存在せず,鳥類以上の動物においてか かる小体群が下腿骨4膜周辺に限局して存在すること の必要性については現在その理由を説明し難い,

 b)本研究の目的は緒言に記載したが,終末の神経 再生につきその機能的再生を形態学的に観察し,続い て統計学的に推定しようとしたのであるから,そのた めには対象とする終末は特定の形態をしており,しか もその終末の数が算定しうるだけ小範囲内に分布され ている必要がある.例えば筋の終板は特定の樹枝状分 岐を示す形態をとっており,運動神経軸索のみが作り うるものと考えられ,一つの筋の終板数を連続切片で 算定することは可能である点は上記の条件を充たすも のである.しかし再生をみる上においては終板を利用 しにくい理由がある,第一に神経軸索の進入していな い終板や,運動神経軸索以外の軸索が進入したり,通 過したりする終板を染色により識別することは困難で ある,第二に終板は一つの筋線維に数個あることがあ り,更に神経再生時に終板は新生されるというBoeke

(1916),Grigorieff&Lawrentjew(1930)の説もあ る.故に筋の終板を利用することは不適当となる,従 って本研究に当って特殊な形態を有する知覚終末群を 求めた.特に知覚小体は特有な形態により,神経軸索 が変性消失してもその存在を確認しうるものである.

かかる知覚小体を神経再生の研究に利用した者にTa・

(7)

mura(1922), Boeke(1917), Jalowyσ934),(1936)

らがある.しかし彼らが利用した動物の場所,即ち猿 の指先,水鳥の品等は知覚小体の数が算定しにくい広 範囲に分布していることと,更に数種類の終末が混在 せることにより,これらの蔀位を本研究の目的に使用 することは再生率の算出が困難であるので適当ではな い1 しかるにマウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺部の Vater−Pacini氏小体群は全癒体認が容易に算出しうる

.だけ広範囲に他の組織から独立して存在し,且つ本小 体が簡単で特有の構造を有することより,本研究の目 的たる神経再生率の算定に最適と考える.1玉esse(18・

78)は支配神経切断後,Grandry氏小体が退行変性に り次いで消失したとのべている.これに反しTa mura(1922)はかかる小体の消失は観察し得ず,

Dijkstra(1933)も4月間に3回の神経切断を行った が,小体の退行消失はなく,留鳥の標本でも術後2年 を経るも軸索のない小体が消失せず原形を止めている

ところより,神経切断後Vatef−Pacini氏小体が消失 するとは考えられない,:更:にDijkstra(1933)は神経 再生と共にGfandry氏小体が新生され,数がふえて

くるとしているが,著者の標本ではVater−Pacini氏 小体群の数は術後の期間により著しい変動がなく特に 新生されたと断ずるだけの所見はなかった.これら

激黙黙鼎懇欝糊翻小

 圭)終末への神経到達率について

 神経を切断縫合した場合,元その神経の支配する終 末のどの位に再生軸索が到達するかについて,これを 数量的に算定した論文は著者の調べた内外の文献中に は見当らなかった.

 到達率については動物の種類,年齢,手術時の種々 の条件,日数,周囲組織との関係,術後療法等多くの 因子が影響を及ぼすことは明らかであるが,これらの 影響因子を考慮せず,唯神経そのものの再生につき考 察してみると,神経断端部より再生軸索が終末に到達 するには,まず再生軸索が切断部末梢のSchwann tubeに進入する必要がある.中枢断端では軸索が多 数の細軸索に分岐し扇状に拡り,末梢断端を求める.

その結果末梢断端に到達すると末梢断端の中空になっ ている1本のSchwann tube内へ多数の再生細軸索 が進入し,そめ数はHolmes&Young(正942)によ れば兎の坐骨神経で10〜20本,著者のマウス坐骨神経 切断における標本中では1本の末梢端Schwann tube 内へ5〜15本の再生軸索が進入する.一旦断端で Schwann tubeに進入した軸索はそのtubeより外れ ることなく,末梢の終末へ向って走行する.即ち再生

軸索は元のSchwann tubeがなければ,遠隔の終末 まで到達出来ないもので再生にとりSchwa蹴n tubeは 極めて重要である.このことは山田(1961)も報告し ている通りである.従って縫合部で末梢のSchwann tubeに入った軸索は殆んど終末にまで到達する.故 に終末への神経到達率は極めてよいはずで,事実著者 の統計でも術後30〜45日で平均88%の小体に再生軸索 は到達している.この到達率は月数と共に増加するこ とはないので,到達率は症例によって多少の差は存在 するも,最:低80%,最高97%と大差なく,再生軸索の 終末到達率はかなり高いものといえる,ここに断端部 末梢沁めSchwann tube内へは再生軸索は5〜15本 進入するにかかわらず小体内に進入する軸索はどうし て1或いは数本に減ずるかの疑問を生ずる.これはマ ウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺の約30個の小体を支配 する神経軸索は数本であ.ろうし,これらが小体群の近

くで30本位に分岐するであろうから断端部末梢端の Schwann tubeへ5〜15本の再生軸索が進入しても,

このように分散すれば数少なくなるものと推定され

る,

 ii>小体に到達せる軸索中機能的に適合したと考え    られるものの比率について

 平均80%以上の到達率を示す小体内の再生軸索がす べて小体に必要な,即ち機能的に小体と結合しうる軸 索であるとは限らない.神経の切断端接着部において は,前述せる如く中枢端の神経軸索は多数に分散し,

これらが混和されて末梢側Schwann tubeに入るが この際,元来運動神経軸索があったSchwann tubeに 再生知覚軸索の入りこむこともあり,この逆め場合も ありうる.これら再生神経軸索は末梢側のどのSch・

wann tubeにでも全く無差別に進入するもめであっ て,決して本来のSchwann tubeに進入するのでは ないことはCaims&Youη9(1940)がのべている.

それ撤末梢端の1本のSchwann tube内へ運動神経 軸索と知覚神経軸索が数本ずつ混じて進入すること もありうる.従って異質の神経軸索でも終末まで到 達しうるものと考えられる.しかるにTamura(19・

22),Jalowy(1934)(1936), Dijkstra(1933)はいず れも知覚小体に再生神経軸索が到達している事実のみ で知覚小体の機能は再生したと信じている.彼らの実 験では知覚神経のみを切断縫合しているので,知覚小 体にその機能に適合した再生軸索の到達する確率は高 いが,知覚神経の中にも触,温度,痛,圧,位置一等 種々の神経軸索が混在しており,神経切断後の再生に 際して知覚小体固有の神経軸索ではなく,温度,痛覚 等の軸索が小体内に進入することも当然考慮さるべき

(8)

801

であり,この点を考慮に入れず,単に小体に神経軸索 の存在する事実をもつて小体の機能が再生したと考え るのは全く阜計の感を免れ得ない.まして著者の実験 に利用した神経は混合神経である坐骨神経であり,多 数の運動神経軸索も再生しこれらも当然小体内に進入 するものと思惟する.

 形態学的に機能の恢復を論ずることは不適当ではあ ろうが,著者は少なく共神経軸索が正常と同様の形態 に再生する場合は機能の恢復を推定しうると信ずる.

この場合正常と同じ構造即ち,分布の形態と軸索の太 さが正常に復元することが重要である.Simpson&

Young(1943), Sandefs&Young(1944), Weiss&

Taylor(1944), Weiss&Edds(1945)は再生軸索が 終末器官と連絡に成功するとその軸索は全長に亘って 太くなり,連絡を有しない軸索は細いままに残るとの べ,Aitken(1949), Rajkovits(1953)は知覚神経軸 索に結びついた運動神経軸索は結びつかぬものより太 いが,筋に結びついたものより細いとのべている.従 ってVater−Pacini氏小体内にあって分岐を示した り,叢記になったり,術後2年を経るも細いままに残 存する大多数の軸索は,本来のVater−Pacini氏小体 に所属する,即ちVater−Pacini氏小体の機能に適合 した神経軸索ではなく,運動神経軸索や,異質の知覚 神経軸索の迷入と考えざるを得ない.これに反し術後 5月以後になって直径約8』10 の太さの再生軸索 が分岐せずに真直ぐに内旨の中央を走り,ほぼ正常の 軸索の分布形態と太さをもつ小体を認めたが,これは 機能的に再生し得たものと推定されよう,しかしその 比率は極めて少なく,各症例に1或いは2個にすぎぬ ところより,これらVater−Pacini氏小体群に自己の 機能に適合した軸索が進入する場合は極めて少なく,

ある一定部位の小範囲の知覚終末をとり上げた場合,

その終末に元所属していた軸索が再び元の終末に到達 しうることは全く偶然によって支配されているといわ ざるを得ない.従って一旦切断された神経の分布して いる範囲の機能が完全に恢復することはあり得ないと いえよう.

 c)臨床上の機能面復の問題について:さて我々が 臨床的に,切断せる神経を縫合すると,諸条件が良好 であるなら案外に機能の恢復される症例を経験するこ とがある.しかしこれは粗大な機能一例えば皮膚の感 覚とか関節の屈伸運動一の場合であり,小手筋を使用 する線細な手指の運動の如く協同作用を要するような 緻密な機能の恢復はかなり困難であることを野村及び 著者(ig63)は主張した.この臨床的に粗大な機能の恢 復がかなり良好である理由として,第一に神経束の沼

剖学的構成の特有さがあげられる.即ちStoffel(19 13),Kraus&Ingham(1920)によれば,ある部位の 粗大な機能に関する神経線維は一例えば拮抗筋へゆく

2種の神経線維一それぞれ神経派内で局在性に集合し て束をなしているか或いは,独立した一つの神経幹を なしている傾向がある.後者の場合例えば屈筋群にゆ く神経は縫合部で神経線維が混乱してもいずれかの屈 筋に到着して機能を発揮し,前者の場合でも切断部で 軸回旋させずに縫合すると,一機能の再生線維群は最 も近距離にある自己の機能を営むべきSchwann tube へ入る確率は高くなり,良機能の恢復が得られること となる.しかし実際にはある程度の断端部の軸回旋は 不可避であるにもかかわらず,良機能の得られる理由 は著者の実験結果の如く,断端部で再生神経軸索が多 数に秀奇し錯綜する事実と一つのSchwan皿tube内へ 多数の軸索が入りこむ事実(Holmes&Young 1942)

があげられる.事実著者の実験でもマウスの坐骨神経 切断部の再生状態では1本のSchwann tube内へ5

〜15本の再生神経軸索の進入をみた.故に1本のSch・

wann tube内に種々の性質の軸索が共存する場合が 多いと想像される.多数の神経軸索が1本のSchwann tube内を伝わって終末に到達すると,そのうちには 終末と機能の適合した軸索のある可能性が高い.良機 能はこの終末で同じ機能の軸索が結合する場合に得ら れ,ここでこそ機能の分離が行われるものと考えられ

る.

 第二は中枢の順応の問題である.Sperry(1940),

Watanabe(1955)は犬,鼠で拮抗筋へゆく神経の交 叉縫合で逆運動や拙劣な運動の起ることをのべ,更:に Sperry(1947)は猿を使用し,それらの運動が訓練に より合目的運動へと再編成されることをみ,この中枢 の再編成は下等な動物では容易に出来ないが,霊長類 のような高等動物では偉大なカを発揮することを立証

した.

 以上の如く粗大な機能の恢復はかなり良成績を示す が,手指の巧緻運動の如き線細な機能が容易に恢復し ないことは,著者の実験でみられるように一定小範囲 の機能に適した神経軸索が終末と結合する割合が極め て少ないことによって説明される.故に神経再生の成 績を論ずる場合には粗大なる機能と線直なる機能の両 者を調査して結論を出すべきものと考える.

 a)動物の下腿骨々膜周辺部に知覚小体の集団が 存在することを発見した.これは哺乳類(マウス,ラ ッチ),鳥類(鶏の雛)にみられるが,それ以下の爬

(9)

虫類(ヤモリ),両棲類(トノサマガエル)には存在し ていない.       ・       ・ 」  b)そこでマウスの脛骨腓骨接合部骨膜周辺の Vaをer−Pacini氏小体の神経再生を連続切片標本によ

り,経時的,統計学的に調査した.

 c)変性せるVater−Pacini氏小体に始めて神経軸索 の進入してくるのは術後20碑頃で,術後30日以後ほぼ 80%以上の小体に再生軸索の到達をみた.この比率は その後2年までの観察では殆んど変化しなかった.従 つで術後30〜45日で到達すべき軸索は到達し,その後 追加進入し,或いは吸収されること.はなかった.

 d)形態学的には小体内にみられる神経軸索は,直 経軸一趣の細い軸索が主であり,分岐錯綜し叢形 成を行っており,また一小体内へ2本以上の軸索の進 入をみたものもかなり存在した.

 e)術後2年忌経るも細いままの直径の軸索や,分 岐錯綜する軸索.は小体本来に所属する軸索ではなく,

他め知覚或いは運動神経軸索の導入と考えられ,故に かかる軸索は小体と機能的に結合し得ないものと考え

る.

 f)術後5月以後の標本で直径融一10 の再生軸索 が小体中へ1本進入し分岐を示さずほぼ正常のVater−

Pacini氏小体に類似した軸索構造を示すものが,平 均Vater−Pacini氏小体数26個の各症例に1或いは数 個存在した.このほぼ正常形態に復:した小体のみが機 能的に再生し得たものと推定される.

 9)以上より一定小範囲部の知覚終末部をとりあげ た場合,再生後完全無欠な機能的恢復は容易に起り得 ないものであり,従って神経縫合術によるも完全な機 能的再生は望み得ないものと信ずる.

 終りに臨み御懇篤なる御指導と御校閲を賜った恩師高瀬武平教  授並びに野村進助教授に深く感謝の意を表します・

主 要 文 献

1)Aitken,」. T., Sharman, M.&Young,」.

Z、3 J.Anat.,81,1(1949).    2)窓oeke,

J.: cited by Young, J. Z. (31)      3)

Cai恥rns, H.& Youn窪, J. Z.:Lancet,27,

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rief【, L. M.& Llawrentj ew, B.1.ξ」Anat.

Anz・,68,129(1929).    6)Hesse, Fr.:

Afch. Anat. u. Physiol.,18,288(1878).

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77,63(1942).   8)Igari, T.: Arch, hist.

jap.,8,657(1955).     9)Jalowy, B。3 Z。Zellforsch. u. mikr.一anat.,21,149 (1934).

10)Jalowy, B.: Z. Zellfofsch. u. mikr.一anat.,

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259 (1920).     13)Lloyd, G.3 Physio1.

Rev・,36,441(1956).   14)Miscolczy, D.:

Z・Anat・・81,638(1926).1  15)野村 進・

東田紀彦:整形外科,(1963).掲載予定.

16)Nozakj, K:.= Arc11. hist. jap.,9,269(19・

56). 17)R・jk・vit・, K.,cit6d by L1。yd,

G.(13)    18)Sander8, F. Kl.&Yo腿ng,

」.Z.: 」. Physio1.,103,11β(1944).

19)Sasylbin, N.:Z.1nik卜allat. Forsch.,22,

         1(i930).    20)Schumacher, S.: Arch.

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56).    23)Simpson, S..A.&Yonng, J.

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25)Sperry, R. W.: Afch. neurol. Psychiat.,

58,452(1947).   26)Stoffel, A.:M廿nch.

med. Wochenschrift,60,175(1913).   27)

Tamura:Arch. Entw. mecha11.,51,552(1922).

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Neur.,108, 421 (1957).       29) W爾重anaわe,

]K.: Arch. jap. chir.,24,132(1955).

3⑪)Weiss, P.&Edds, Jr.:J. Neurophysiol.,

8,173(1945).   31)Wei8s, P.&Tay且or,

C.: J.exp. zGol.,95,233(1944).     32)

山田浩:中部整災誌,3,1025(1961).

33)Young, J. Z.:Physio1. Rev.,22,318(19・

42).

       Abstract

 In 1957 Takase and Nomura found a group(about 30)of Vater。Pacinian corpuscles a−

round the五bula of the mouse at its distal portion. From the phylogenetic studies, I found in mammals(rats)and birds(chickens), a group of sensory corpuscles which were similar to those of the mouse in position and structure, while I could not丘nd them in the lower

(10)

      ‑Js‑

 vertebrates (amphibia and reptilia).

   The purpose of the preseint wQrk was to know the percentage of the reinnervation of  sensory corpuscles on the regenerating process of the main nerve trunk. For this reason, I  took aS materials the corpuscles of the fibula of the mouse, the right sciatic nerve. of which  was Seveired ahd jointed in the middle part of the thigh. After the periods allowed for

regeneration, the whole leg of the operated side was dissected out and prepared With the formic acid decalcification‑silver impregnation method (Takase and Nomura 1957) and sec‑

 tioned serially. ・

  ・20,days after operation, the first thin regenerated axons could be seen to enter some de‑

nervated corpuscles through the Schwann's tubes. After 30 days 80‑v97% of the corpuscles were reinnervated with thin axons which sometimes formed very fine branches within the inner.bulbs. There were some corpuscles which had simultaneously two or three axons in, 'a bulb.

' 5 months after opetation I found in one or two of the corpuscles, a thick axon running 'straight within the inner bulb; they had a close resemblance to the normal Vater‑Pacinian corpuscles in structure. In almost all of the other corpuscles I found some regenerating axons which remained thin in diameter and showed an abnormal termination .within the in‑

ner bulbs. Even 24 months after operation, however, there were a few corpuscles which had no axon.

  It could thus be concluded that many of the thin fibers entering the corpuscles probably demo'nstrate the aberration of motor or other sensory fibers of the sciatic, and that the con‑

 dition of the reinnetvated corpuscles, except some, may not be correlated with functional

・ recovery.

(11)

 図1 正常マウス脛骨腓骨接合部骨膜周辺のVater・

Pacini氏∠1\イ本圃羊 (x100)

 図2 正常マウス脛骨腓骨接合部骨膜周辺のVater・

Pacini氏小体(×400)

 図3 正常ラッチ脛骨中央部後側骨膜周辺の知覚小 体群(×150)

隼毛㌦節

 図4 正常ラッチ脛骨中央部後側骨膜周辺の知覚小 体群 (x330)

噛爵

 図5 正常鶏(雛)脛骨中央部後側骨膜周辺の知覚 小体群(×100)

 図6 正常鶏(雛)脛骨巾央部後側骨膜周辺の知覚 小体(×330)

(12)

84

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