大入熱溶接継手部の破壊靭性把握とその評価に関する研究
黒 川 常 夫 * ・ 片 岡 繁 夫 * 河 野 和 芳 * ・ 大 下 昌 弘 * *
Examination and E v a l l l a t i o n on F r a c t l l r e TOllghness o f Welded J o i n t s by High Heat‑lnpllt Welding
by
Tsuneo KUROKAWA
,Shigeo KATAOKA
,Kazllyoshi KAWANO ( D e p a r t m e n t o f S t r u c t u r a l E n g i n e e r i n g )
Masahiro OSHIT A ( I mabari S h i p B u i l d i n g C o . L t d . )
R e c e n t l y , h i g h h e a t ‑ i n p u t a u t o m a t i c w e l d i n g p r o c e s s has been a p p l i e d t o welded s t r u c t u r e s . However , t h i s h i g h h e a t ‑ i n p u t welding has an u n d e s i r a b l e e f f e c t o f a d v e r s e l y a f f e c t i n g t h e t o u g h n e s s o f t h e weldbond a t welded j o i n t s . I n o r d e r t o s e c u r e t h e s a f e t y o f welded s t r u c t u r e s , t h e r e f o r e , t h e s t u d y on f r a c t u r e t o u g h n e s s o f welded j o i n t s by t h i s w e l d i n g p r o c e s s i s one o f i m p o r t a n t p r o b l e m s .
I n t h i s e x p e r i m e n t , t h e a u t h o r s c a r r i e d o u t hardness t e s t , o b s e r v a t i o n o f m i c r o s t r u c t u r e s , t h e Charpy V‑notch i m p a c t t e s t , COD bend t e s t and f r a c t r o ‑ graphy w i t h weld t e s t specimens o f m i 1 d and 5 0 kg/mm 2 c l a s s h i g h s t r e n g t h s t e e l s which were welded by e l e c t r o ‑ g a s a r c p r o c e s s w i t h h e a t ‑ i n p u t v a l u e s o f a b o u t 1 1 0 kj/cm " ‑ ' 1 8 5 k j / c m .
From t h e r e s u l t s o f t h e s e t e s t s , t h e mechanism o f e m b r i t t l e m e n t was c l a r i f i e d and t h e c h a r a c t e r i s t i c s o f f r a c t u r e t o u g h n e s s were e v a l u a t e d on t h e weld bond o f h i g h h e a t ‑ i n p u t welded j o i n t s .
1 . はしがき
近年,船舶をはじめ溶接鋼構造物の巨大化に伴って 溶接工作技術の進歩は著しく,エレクトロガス溶接
( E l e c t r
び弓GasA r c W e l d i n g
,E G W)
,エレクト ロスラダ溶接( E l e c t
:r:o " ' " S l a gW e l d i n g
,E S W)
, 多電極'サ4ヂーマージアーク溶接(M u l t i p l e ‑ w i r e Subm
泣: g e d = A r c W e l d i n g
,S A W)
などの大入熱*構造工学科
**今治造船株式会社
高能率自動溶接法が実用化されている。しかしなが ら,とれらの大入熱溶接法を適用した場合,溶接継手 ボンド部の靭性劣化はかなり著しいものと推察され る。したがって,溶接鋼構造物の安全性確保の観点か ら,大入熱溶接継手部の破壊靭性を把握し,その脆性 破壊強度を明らかにする必要がある。
本報告は,
Si‑Mn
系 一 般 船 体 用 軟 鋼 板 な ら び26 大入熱溶接継手部の破壊靱性把握とその評価に関する研究
に,Si−Mn系, TiN系船体用50キロ級高張力鋼板
などについてのエレクトロガス溶接継手部を対象に,
ビッカース硬さ分布の把握,組織調査,V一ノッチシ
ャルピー衝撃試験および3点曲げCOD試験による破壊靱性値の把握,さらに,V一ノッチシャルピ備衝 撃試験片破断面についての走査型電子顕微鏡による調 査などを行なった結果について紹介したものである。
すなわち,大入熱溶接継手部の破壊靱性に関する基礎 データ,継手ボンド部の靱性劣化機構および靱性と組 織・破断面との関連性についての若干の考察などにつ
いて報告する。2.試験内容
2.1 供試鋼板および溶接条件
供試した鋼板は, 日本海事協会(NK)規格のSi−
Mn系一般船体用軟鋼板(A級鋼板,板厚25.4mm,
符号KAS),Si−Mn系船体用50キロ級高張力鋼 板(D級鋼板,板厚25.4mm,符号KD32)およ び,最近大入高溶高高として開発されたTiN二型体 用50キロ級高張力鋼板(D級鋼板相当,板厚25.4 mm,符号K5D)などである。供試鋼板の化学成分 ならびに機械的性質をTable lに示す。
供試溶接継手としては,代表的な大入熱溶接である エレクトロガス溶接による継手を選んだ。供試溶接継
手に適用した溶接条件をTable 2に示す。2.2 硬さ分布測定および組織調査
大入熱溶接による材質変化を把握する基礎データを 得る目的で,供試溶接継手部のビッカーズ硬さ分布測 定と顕微鏡組織の調査を行なった。試験片は各溶接継
手とも溶接始端部より約1,000mmの位置から採取 した。ビッカース硬さ分布測定は荷重10kgにて行
ない,溶接継手部断面の板厚中央部と板表裏面より各
々2mrnの位置をlmm間隔で測定した。組織調
査は,溶接継手部のマクロ組織を観察するとともに,
後述するV一ノッチシャルピー衝撃試験片のノッチ
先端部に該当する各位置のミクロ組織(倍率IQQ倍)
を光学顕微鏡にて観察した。
2.3 v一ノッチシャルピー衝撃試験
溶接継手部靱性の基本特性を把握する目的で,供試
鋼板母材ならびに供試溶接継手部の2mmV一ノッ チシャルピー衝撃試験を実施した。試験片は板厚中央部より圧延平行方向に採取した。また溶接継手部試 験片のノッチ位置は,溶接金属中央部,ボンド部,ボ
ンドから2mm,4rnm,8mm離れた熱影響部どし た。以下図表中の記号はWELD METAL, BOND,
HAZ 2 mrn, HAZ 4 mm,]ヨAZ 8 mmなどと記 す。これらのノッチは,ボンドの位置をマクロエッチ により確認後,所定の位置の板厚面に加工した。衝撃 試験に際しては,吸収エネルギーと脆性破面率の測定
Tableユ Chemical compositions and mechanica互prQperties.
CHEM I CAL CO岡POSITIONS ( 鬼 ) 丁ENSI LE PROPERTI ES 厩ATERIA
HEAT
sREATMENT PLATE
ケH.1 CK睡ES:S
@ mm
C
Si
門n P STi Y,P.
kkg/mm2) kkg/mm2〕T.S.
ELONG,(鬼)
f.L,=200mm
KAS AS ROLLED
25。傷 0.17 0.03 1.020・,020
0,01527 44 3G KD32
AS ROしLED25。η 0.ユ5
0.34 1.32 0,〔}200,00838
5230 K5D NORMALIZED
25.40.ユ3
0。3彗 1.48 0,008 0,003 0,010 33−35 50−51 28−32Table 2 Welding conditons.
凹酊ERIAL
WELDING
lETHOD WIRE
SHIEi』ING@ 6AS
WELDING bURRENT
ARC
uOLTAGE
TRAVEL rPEED
bm弧i塩HEAT
h髄PUTj3 c服
GROOVE SHAPE
@ (mm)
KAS・
HS 42G
Q.4φ
CO2
Q51加i皿
650
38
8 185.320。
P
亀 3 ぐ 冒竃 3 ur・ 8 N
KD32
EGW HSη2G R。2φ
CO2
S01/min 580−590
32−358一ユ0.5
109.4@ −139,2
20
磨@
T 3● 3 ぐ出N
20●
K5D
HS 42GR.2φ
CO2R01/min
650−670 36−388.5−8.8 ]665
@ −172,41ξ● . 画 い N
を行ない,吸収エネルギー〜温度遷移曲線ならびに 脆性破面率〜温度遷移曲線を求めたひ脆性破面当 は∴二面を投影機で10倍に拡大し,プラニメータを
用いて測定した。なお,破断面については走査型電子 顕微鏡で観察し,破面解析を行なった。
2・4 3点曲げCOD試験・
供試鋼板母材および供試溶接継手ボンド部の破 壊靱性を把握する目的で,3点曲げCOD(Crack Opening Displacement)試験を実施した。脆性破
壊発生特性値の一つである限界開口変位量,すなわち δ・値を求めた。試験片は圧延平行方向に,すなわち ノッチが圧延方向と直角になるように採取した。試験 片板厚は原厚のままとしたが,溶接継手ボンド部の試 験片については,溶接金属の余盛りを削除した。ノッ
チは,板厚断面に幅2mm深さ23 mmまでフライ ス加工した後,その先端を幅0。2mm深さ2mmグ ラインダ加工して全長25mmとした。なお,溶接継手ボンド部試験片については,両端部をマクロエッチ し,ボンド形状を確認して,板厚中央部においてボン ドを通る位置にノッチ加工した。試験片寸法,ノッチ
詳細およびノッチ加工位置をFig.1に示す。200
鼠 R・D。 NOTCH⇔
,4
vELD METAL
@ BOND
CLI P GAUGE
鴇N
鼠 魑
0.2mm G町ト肥〕NOTα1
DET閲しOF NOTCH r 、
NOTCH LOCATI ON HAZ PARENT厘TAL
DE「閲しOF NOTCH (㎜)
Fig.1 Shape of COD bend test specirnen.
試験は室温〜一196。Cの温度範囲で実施したが,
低温での試験はエチルアルコールやイソペンタンをド ライアイスや液体窒素で冷却した冷媒を用いて,所定 の温度に15分闇保持した後,破壊させた。なお,試験片 の温度測定は,ノッチ先端部に取り付けた銅一コンス タンタン熱電対によった,また,CODの測定には,
先にFig.1に示したごとく,抵抗線ひずみゲージ
を用いたりング型クリップゲージを使用した。試験に
際しては,荷重Pとクリップゲージの変位Vgとの 関係をX−Yレコーダにより記録し,破壊時のクリップゲージ変位V ・を求めた。なお,後述するが,
このV凋直から破壊時の限界開口変位量δ・値を計算
により推定した。3・試験結果
3.1 硬さ分布測定結果および組織調査結果
K5D鋼板エレクトロガス溶接継手部のビッカース 硬さ分布測定結果をFig=2に示し,各供試継手に対する硬さ分布測定結果をまとめてTab【e 3に示す。
。鍔 茎励
惣が
。罵 婁励 蜘
§1go
主加 150 130寵しD鵬丁糺 刊AZ
9.5mm 8,佃n
麗IDD毘
員 Wの3m田
搬…口剛口貞L HAZ D7m
SSU階ACE
Fig.2 Hardness of weld zone(K 5D).
さらに,K5D鋼板エレクトロガス溶接継手部のマ
クロおよびミクロ」組織をFig.3に, KAS鋼板,
KD 32鋼板エレクトロガス溶接継手ボンド部と母材 のミクロ組織をFig.4に示す。
Table 3 Results of Vickers hardness survey.
VICKERS A剛ESS Hv(LO畑10kg)
陥TERIAt
冒EU〕1閥G醍丁HODPARE瑚T門ETAL
WEU〕阿EτALHAZ BO冊
KAS
ユ29−137 158一]67
131−152150
KD32 E G W
139−1覧 170−183 146−181181
K5D 146−151 176−188 152−177 179
以上の硬さ分布測定結果および組織調査結果より次 のことが明らかになった。
1)各供試溶接継手板厚中央部において,ボンド部
ならびにその近傍の熱影響部の最高硬さは,KAS鋼板では160Hv, KD 32鋼板では181 Hv, K 5 D鋼
板では179Hvであった。母材の硬さ平均値より約 30〜35Hv程度高くなっているが,通常の溶接継手に比較して硬さの上昇程度は少ない。また,溶接金属
の硬さは,平均値で各継手とも母材より約30Hv程 度高くなっていた。2)マクロ組織から測定した熱影響部の幅は,各供
試溶接継手板厚中央部において,約8.5〜15mmであった。この幅は通常の溶接継手に比べてかなり広い。
3)いずれの供試溶接継手のミクロ組織において
28 大入熱溶接継手部の破壊靱性把握とその評価に関する研究
薮瀟繍漏麟紬懲蕊繍霞i漉臨繊13
日置LD ZONE
WELD 凹E丁AL
HAZ 2旧皿
…灘
藝懇懇
HAZ 8 mm
.ゆ1 」10mm.
BOND
HAZ 4 m皿
PARENT METAL
恥
Fig・3 0ptical micrograpy of parent
metal and weld zone(K5D).
常に粗大化した領域が存在し,過熱組織であるウィド マンステッテン組織や上部ベイナイト組織などが認め
られた。すなわち,この領域には原型ーステナイト結晶粒界に大きく成長した初析フェライトと,それに 囲まれた中間段階組織が現われており,粒内には,塊
状・棒状の粗粒フェライトが析出していた。すなわち,この領域は組織的にみて脆化していることが予想 される。しかしながら,結晶粒の粗大化の程度,中間 段階組織の性状,およびフェライトの析出形態などは
鋼種により異なっており,K5D鋼板の場合,他の2歯種と比較して,結晶粒の粗大化やフェライトの成長 程度は小さく,粒内には微細なフェライトが認められ
た。
4)組織的に認められた脆化領域は,KAS鋼板,
KD 32鋼板, K 5D鋼板の供試溶接継手板厚中央部に
おいて,それぞれボンドから約6mm,約4mm,約2mmの範囲であった。
5)各供試溶接継手とも,結晶粒粗大化領域の外側 の熱影響部には,細粒化した領域が認められた。この 細粒化域では,粗大化領域に比べて靱性の回復が予想
される。細粒化領域は,KAS鋼板, KD 32鋼板,K5D鋼板の供試溶接継手板厚中央部において,それ ぞれボンド部から約10〜13mm,約6〜10 mm,約
5〜9mmの間に存在していた。
3 2 v一ノッチシャルピー衝撃試験結果
供試鋼板母材および供試溶接継手部から採取した試
BOND ( K A S )
BOND (KD32)
鍵鐘,
縫選灘、.
PARE閥丁凹ETAL(KAS)
PARE閥丁 凹ETAL ( K D 32 , 1/5剛朧.
Fig・4 0ptical micrograpy of parent
metal and weld bond(KAS, KD 32).
28
2町
寡占20
こ
お16蓮
=12
崔
毯8 4
100
(80
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;」40
霧
慈200
/
1
ノゴノ.ノ
鵬Z8温皿.
PA旺閥τ 門ETAL
サ
!τ=1雛監:
/ ,1
寒冷ミ
,ノ
, 一一一
, 甘EU)門ETAL
BONDPAR^Elll:ノ\、
、、も.
\.
も,ボンド部およびその近傍の熱影響部に結晶粒が異
一ユ00 。80 一{30 一身0 ≒20 0 20 η0 60 80
T洋凧TU旺(OC)
Fig.5 Charpy V−notch transition curves
of weld zone(K5D).
Fig.6 Transition temperatureηTγ∫at
various notch locations of weld
zone(KAS, KD 32, K 5D).験片によるV一ノッチシャルピー衝撃試験結果より,
吸収エネルギー〜温度遷移曲線ならびに脆性雪面率
〜温度遷移曲線を得た。その代表例として,K5D鋼
板とその供試溶接継手部についての遷移曲線をFig.
5に示す。これらの遷移曲線から得られた50%脆性
工面率遷移温度・T・・とノッチ位置との関係,およ び溶接継手部∬・・の母材・T・・からの変化量など
をFig.6に示す。以上のV一ノッチシャルピー衝撃試験結果より以下 のことが明らかになった。
1)いずれの供試溶接継手においても,ボンド部お
よびその近傍の朝影一部の吸収エネルギー〜温度お よび脆性画面率〜温度遷移曲線は,母材の遷移曲線に比べて高温側に存在しており,しかもボンド部のシ ェルフエネルギー値は,母材に比べてかなり小さい。
2)KAS鋼板, KD 32鋼板, K 5 D鋼板の供試 溶接継手ボンド部の・T・・は,それぞれ420C,35。C,
18。Cであり,母材の∬・・より34〜83℃高温側
に移動していた。すなわち,ボン・ド部はかなり脆化し ている。
3)各供試溶接継手とも,ボンドから81nm離れ
た熱影響部の・T・・は,母材の・丁湾より低温側に 存在していた。すなわち,靱性はむしろ母材よりも向
上していた。3・3 3点曲げCOD試験結果
3点曲げCOD試験によって求められた破壊時の クリップゲージ変位V・から,ノッチ先端での限界
開口変位量δ・値への換算法については,種々の方法 が提案されているが,本報告においては,金沢らの提 案した1)以下の方法によった。
すなわち,低応力破壊域ではFEM解析により荷 重から直接δ・値を求め,全面降伏後に破壊するよ
うな高応力域では,試験片が曲げモーメントにより
見掛けの回転中心に対して回転変形すると仮定した Rotational Factor rを用いることによりV・値からδ・値を求めるという方法で,次式によるもので
ある。
i) σN/σY≦].・5
FEMにる計算結果を最小二乗法により近似した次
式による。
Eδo/σY4= {O.003916十〇,O1392(σN/σY)
十〇.:L224(σ四/oY)2−0.05658(σN/σY)3
十〇.04321(σN/σY)4 十 ・・・… } ・・・・・・… (1)u6
……・…・………・…………(2)
δo=
1十〇/プ(4−6)
ii) σN/σY≦2.O 次式による。
(r−1/3とする)
iii) 1.5〈σN/σY<2.0
(1拭,②式で得られる平均値とする。
Vg
∴メノハ
㎝ hP
Fig.7 Profile of notch opening assoiated concept rotational factor.
ここで
δ・: ノッチ先端での破壊時の開口変位量,mm γ・:破壊時のクリッフ。ゲージ変位,mm
σN:試験片実断面での破壊時のNominal Skin Stress, kg/mm2σY 試験温度での降伏応力,kg/mm2
30 大入熱溶接継手部の破壊靱性把握とその評価に関する研究
6 ノッチ長さ,mm(Fig.7参照)
試験片高さ(深さ)¶,mm(Fig.7参照)
RσtationarFactor .
3点曲げCOD試験結果に上式を適用して推定し たδ・値の温度依存曲線を,鋼種ごとにFig・8〜
Fig.10に示す。
5
⊇ こ
1謁
0,5
:
: 臣 暑。日1
0、05
門A 1;ERIAL=KAS
●!
PARE閥丁 岡ETAL 一 !
O !
o!
. !6
,
4__BOND,
,! ● ● ,!,
/●
5
;
こ 1 略
0.5
= り
ぎ 墓。・1り
0。05
門AτERIAL 巳 K 5 D
PARE馳『「 囲ETAL
イ
o 』 ノ !
!●!●
むド ク
./
./
/
ノノ
◎ ←BO閥D
,
ノ
≒200 −150 −100 −50 0 50
・TEMPERATURE ( oC )
Fig.8 Reslllts of COD bend test(KAS).
一200 −150 −100 −50 0 50
TE門PERATURE ( oC )
Fig.10 Results of COD bend test(K5D).
5
;
こ 1 洛
三 二
§ ま
り
05
0。1
0.05
鵬TERIAL 3 K D 32
♂
//
!●
一200 −150 −100 −50 0 50
TE凹PERATURE ( OC )
Fig.g Results of COD bend test(kD 32).
以上の3点曲げCOD試験結果より概略次のこと
が明らかになった。
1) 各供試溶接継手ボンド部δ・値の温度依存曲線 は,試験した全温度域にわたり母材のそれより高温側
に存在していた。すなわち,脆化の傾向を示している。
2)各供試溶接継手ボンド部のδ・値温度依存曲線
は,低温側からKsD鋼板, KD 32鋼板, KAS鋼 板の順に存在しており,破壊靱性はK5D鋼板溶接継手ボンド部が他の供試鋼板溶接継手ボンド部より優れ ていた。
4.考 察
4.1 大入熟溶接によるボンド脆化について 以上の試験結果より,供試されたエレクトロガス溶 接継手ボンド部およびその近傍の熱影響部はかなり脆 化しており,その範囲も広いことが明らかになった。
この脆化現象については以下のように考えられる。
供試された溶接継手の溶接入熱量は,109〜185 kj/cmと非常に大きい。したがって,ボンド部およ びその近傍の熱影響部は,溶融点から1,100℃程度
の高温に長時聞曝らされていたと考えられ,この領域 の結晶粒界に存在していた析出物が,過熱のためオー ステナイト結晶中へ溶融し,結晶の成長を抑制する要 素がなくなり,結晶粒が異常に粗大化したと考えられ
ること。さらに,その後の冷却過程においても,入熱
量が大きいため,母材および外気中への熱拡散がゆる
やかとなり,冷却速度が遅くなって(たとえばエレク
トロガス溶接継手ボンド部における800℃から500。C
までの冷却時間は150秒程度),上部ベイナイトある
いは粗大なフェライ}が析出したと考えられることな
ど,いわゆる低靱性組織が現われたために脆化したも
のと見なされる。Fig。 llに示すKAS鋼板エレク トμガス溶接継手ボンド部のV一ノッチシャルピー衝撃試験片のクラック伝播径路からも明らかなように
]ノ5mm.
一
_FR《σURE COT!蹴AτmN
Fig.11 Fracture continuation profile of Chrpy V−notch inpact test
specimen(KAS, BOND;一400C).Fig.12 Scaning electron fractrograph of匹
Chrpy V−notch(KAS, BOND;0。C).
クラックは上部ベイナイトのラス状組織あるいは粗 粒フェライトを直進する傾向にある。すなわち,組
織的にみても,ボンド部およびその近傍の熱影響部で は,クラック伝播を阻止する要素が少なくなっている と言える。さらに,長時間過熱による硫化物の粒界へ の析出による粒界脆化,また,脱炭の促進による低靱 性中間段階組織の析出なども,脆化の原因になってい
るものと考えられる。この脱炭現象は,先に述べたご とく,ボンド部の硬さが余り上昇していなかったこと からも裏付けられよう。
また,前述のFig.3, Fig.4およびFig.6
などから明らかなように,鋼種によって溶接継手ボン
ド部の組織および靱性は異なっている。これは主に含有成分の差によるものと考えられる。すなわち,
K5D鋼板は, KAS鋼板およびKD 32鋼板などと
異なり微量の窒化チタン(TiN)を含有している。こ
のTiNは,溶接中の高温でも比較的安定した析出物として存在し,金沢ら2)が報告しているように,オ ーステナイト結晶粒成長抑制効果を示し,また冷却中 の結晶粒内に微細フェライトの発生を促す結果となっ
ている。したがって,K5D鋼板のエレクトロガス溶接継手ボンド部は,他野洲に比べて結晶粒が比較的 小さく,靱性も比較的良好であったと考えられる。
この組織と靱性の関係については,従来から種々議
論されており,たとえばPetch3)によれば,結晶粒径4と・T・・とには良い相関が存在するとされてい
る。しかし著者らが,溶接継手部に関して原オーステ ナイト結晶粒径を破壊の破面単位と仮定し,・T・・と
の関係の調査を試みた結果では,Petch流の整理は できなかった。そこで,V一ノッチシャルピー衝撃 試験片の破面を走査型電子顕微鏡で観察し,Heavy Tear Ridgeに囲まれた部分の平均粒径を破壊の破面単位4・と仮定して・T・・と関連づけることを試み
た。その代表例として,KAS鋼板エレクトロガス溶 接継手ボンド部V一ノッチシャルピー衝撃試験片の 破面写真をFig.12に示す。破面は不連続な破壊の
進行を示し,微細クラックの生成・伝播過程の繰り返
しから構成されている。そして,それらが塑性的に結
合したHeavy Tear Ridgeが認められる。通常の多結晶金属では,結晶粒を伝播した壁訓達は,結晶粒 界あるいは亜結晶粒界で方向を変えるため,粒界は脆 性クラック伝播の障害となる。しかしながら,隣接結 晶粒の壁潮面({IOO}面)の角度がそれほどくい違 わない場合は,結晶粒界は有効な障害にはならないと 考えられる。この{100}面を小さな角度で共有する
領域と,前述のHeavy Tear Ridgeに囲まれた領域とはほぼ一致することが報告されている4)。エッチ ピット法2)により供試溶接継手部を調査した結果,
同様なことが確認出来た。
Fig。13は,この様にして求めた破面単位4・と
60
20
§
● 0 陛。20
の40
,60
一円.
鬼
△
H 面1轟L PAR印T
㎜
甑Z2陶,
甑Z瑠血.
甑z8㎞.
κAS
△
△
▲
▲
▲ KO叉
銃
日回 口
口K50 o
●
o 0
●
回o
o
●
1。o山。壱 旧M・豊,
Fig l3 Relation betweenηTr50f weld
zone and unit crack path,4c.
32
大入熱溶接継手部の破壊靱性把握とその評価に関する研究
V一ノッチシルピー衝撃試験結果の∬γsとの関係
を示したものである。鋼種や試験片採取位置に関係な
く,∬鳶と46との間にきわめて良い相関が得られ,次の実験式で表わされることが明らかになった。
oTγ3一一76010946−1/2十454・・・・・・・・・・・・・・・… (3>
Fig・13によれば,溶接継手ボンド部の破面単位
4・は,母材のそれより大きいことが明らかである。
つまり,ボンド部では,群群単位が大きくなったため に靱性の低下を来たしたと言える。
以上述べて来たように,溶接継手部の靱性は,組織 と破面形態とに密接な関係があることが明らかになっ たが,より定量的な評価を可能ならしめるためには,
今後の研究努力が望まれよう。
4.2 靱性値の評価について
各供試鋼板母材,およびそれらのエレクトロガス溶
接継手について実施したV一ノッチシャルピー衝撃 試験結果,および3点曲げCOD試験結果の評価法について検討する。
V一ノッチシャルピー衝撃試験結果については,靱
性を的確に示すと認められている50%脆性斜面率遷移温度抄丁・sを評価の基準とすることが一番妥当で あろう。
一方,3点曲げCOD試験結果については,限界
開口変位量に対するある種の遷移温度を評価の基準に
する場合と,ある力学条件を設定したときの破壊発 生限界値を評価の基準にする場合とについて検討した。
先ず前者の場合について述べる。一般に,δ・値は
試験温度の上昇とともに増加するが,ある温度以上 になると,ノッチ底部にThumbnail状のFibrous Crackが発生する。この延性クラックが発生するときの限界開口変位量δゴ値は,金沢5)や大塚6)らに より,板厚,板幅などの試験片形状や荷重様式あるい は拘束度などに余り依存しないと報告されている。こ のδ・一δゴとなる温度丁ゴは,一種の脆性〜延性遷 移現象に対応する温度で,材料の脆性破壊発生に対す
る有効なクライテリオンになり得ると考えられる。
AE法7)あるいは除荷法6)で求めた供試鋼板母材 のδf値は,KD 32鋼板ではO.27 mrn, K 5 D鋼板で
は0.36mmであった。 KAS鋼板については測定値 が得られていないので,とりあえずK5D鋼板のδゴ
値を適用することにした。δ・値がこれらの値を示す 温度丁ゴを評価の基準にしたのである。
一方,ある力学条件を設定したときの破壊発生限界
値を評価の基準とする場合として,作用応力を50キロ級高張力鋼板の室温規格降伏応力の施,すなわ
ちσ一16kg/mm2とし,また許容クラック長さと して一般によく用いられている2C=80 mmと設定 した場合の,破壊発生限界温度σ一16T6F40を
基準にすることにした。すなわち,破壊靱性値K・が 180kg・mm−3/2を示す温度を評価の基準としたので
ある。なお,3点曲げCOD試験結果のδ・値からのK・値への換算には次式を用いた。
Dugdaleモデル8)によれば
δ=8CσY/πE{レ会(πσ/2σY)2十レ丘2(πσ/2σY)4十 %5(πσ/2σY)6十………}……… (4)
である。σ《σYである場合,
δ=≒πCσ2/EσY……・………・・……(5)
となる。一方,破壊靱性値は
K、一σゾ玩・・…………・…………・……・・………(61
で与えられるから,⑤式(6)式より,Ko=一レ/E●σY●δc 一。・・・・・・・… 。・・・・・・・・・・・・・・… 。・。・・ (7)
ただし
σ:作用応力,kg/rnm2
C:クラック長さの施,mmとなる。
(7)式を適用して3点曲げCOD試験結果のδo値か
ら求めたK・値と1/T・(TK絶対温度)との関係を,
Fig・14に示す。
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0 −4G −80 一ユ00 −120 一工魂0 一ユ60 −170 ( 。C )
3
Fig.14
4 5 6 7 8 TE門PERATURE ユ/工κ (OK−1)
ヨコ 9(X10 )
Results of C O D bendtest(Ko
vs. Temperatllre).各供試鋼板母材およびそれらのエレクトロガス溶接
継手ボンド部について求めた,・T・・,T および σ一16L・一40などをFig.15に示す。 Fig.15から概略次のことが明らかである。
1)供試溶接継手ボンド部の・T・・は,母材の
・T・・より35〜85。C程度高温側に存在しており,大
入熱溶接によるボンド部の靱性劣化は顕著である。し
かしながら,K5D鋼板における・T・・の絶対値は かなり低温である。凹AτER1AL NOTCH kOCATION
一〇
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4
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Fig.15
Results of Chrpy V−notch inpact test and COD bend test
(Relation between∬γ∫, T ;σ一16 T 60−40;KAS, KD 32, K 5 D).
2)Tゼ温度においても,ボンド部は母材より40
〜60℃程度高温側に存在しており,ボンド部の脆性
破壊発生特性に大入熱溶接法が悪影響を及ぼしている ことは事実であるが,7㌃の絶対値はかなり低温であ
る。
3)KAS鋼板, KD 32鋼板およびK5D鋼板溶 接継手ボンド部の破壊発生限界温度σ一16丁露=40
は,それぞれ約一75。C,一ll50C,一130℃となって おり,かなり低温である。
以上は,実構造物には存在するであろう溶接残留応 力や拘束応力などを無視した評価であり,あくまで材 質の判定であることを追記しておく。
5.結 言
大入熱溶接継手部の脆性破壊強度を明らかにす るため,Si−Mn系一般船体用軟鋼板KAS鋼板,
Si−Mn系船体用50キロ級高張力鋼板KD 32鋼板,
および大入熱溶接用として開発されたTiN系船体用 50キロ級高張力鋼板K5D鋼板などのエレクトロガ
ス溶接継手部について,ビッカース硬さ分布測定,組
織調査,V一ノッチシャルピー衝撃試験,および3点 曲げCOD試験などを実施した。これより大入熱溶接継手部の破壊靱性に関する基礎データを把握すると ともに,それらについての若=Fの評価を行ない以下の
結論を得た。1)V一ノッチシャルピー衝撃試験結果によれば,
エレクトロガス溶接継手ボンド部とその近傍の熱影響 部は,靱性低下が顕著である。すなわち,ボンド部の
・T・・は母材の・T・・より35〜85℃程度上昇して いる。しかしながら,K5D鋼板における・T・・の絶
対値はかなり低温である。
2) 3点曲げCOD試験により得られたFibrous Crack発生の限界温度丁∫は, KAS鋼板, KD 32 鋼板,K5D鋼板のエレクトロガス溶接継手ボンド
部で,それぞれ約5。C,一20。C,一35℃であり,母
材のT より40〜60。C程度上昇している。すなわち,ボンド部の脆性破壊発生特性は大入熱溶接により
低下していることは事実であるが,Tfの絶対値はか なり低温である。3) 3点曲げCOD試験結果より推定した作用応 力σ一16kg/mm2,許容クラック長さ2C−80mmに
対する,エレクトロガス溶接継手ボソド部の破壊発生
限界温度σ=167㌃o=40は,KAS鋼板では約一75℃,KD 32鋼板では一ll5。C, K 5 D鋼板では一130℃
と,かなり低温である。
4)エレクトロガス溶接継手ボンド部の靱性低下 は,溶接時の大入熱による過熱のための結晶粒粗大
化などに起因する破面単位の増大によるものと考えら
れる。
5) V一ノッチシャルピー衝撃試験片破断面を走査
34
大入熱溶接継手部の破壊靱性把握とその評価に関する研究
型電子顕微鏡で観察した結果,Heavy Tear Ridge
に囲まれた平均粒径(破面単位) Z・と,50%脆性破 面率遷移温度・T・・との間には,比較的よい相関が 認められ,
ッ7「γ∫==一760♂09ζノ。一∀2十454
なる実験式が得られた。
本研究は日本造船研究協会第147研究部会および第 153研究部会共同研究の一部として,実施されたもの である。ここに,両研究部会の委員各位より戴いたご 示唆およびご熱心なご協力に対して厚く感謝の意を表
する次第である。参考文献
1) 金沢,町田,萩原,小林: 工業的試験法とし
ての曲げCOD試験について(第2報) ,口本造船学会論文集第134号,P.365,(昭48)
2) 金沢,中島,岡本,金谷: 微細TiNによる
溶接ボンド部靱性の改善と大入熱溶接用鋼の開発 , 鉄と鋼第61巻,11号,p・65,(昭50)
3)A.J. Petch: The Fracture of Metals ,
Pro. in Met. Phys., VoL 6,(1954)
4)松田,井上,三村,岡村: 低合金調質高張力 鋼と有効結晶粒径 ,鋼の強靱性,Climax Moly,
p.109, Gi召48)
5)金沢,町出,工藤: Fibrous Crack Exten−
tionを伴う脆性破壊とCOD ,口本造船学会論文
集第138号,p.471,(昭50)
6) 大塚,宮田,西村,大橋,柏木: 鋼の破壊様
式の遷移とCOD説について ,日本造船学会論文集第135号,P.307,(昭49)
7)岡,中村: AE法による鋼の塑性変形と破壊 の研究 ,長崎大学卒業論文, (昭52)
8) D.S.Dugdale: Yielding of Steel Sheet Containing Slits , J. Mech.of Solids, VoL 8,
(1960),p.IOO