神津島の流紋岩と玄武岩質包有物 : 地学散歩(62)
著者 石川 剛志
雑誌名 静岡地学
巻 82
ページ i‑iii
発行年 2000‑11‑18
出版者 静岡県地学会
URL http://doi.org/10.14945/00025119
静 岡 地 学 第
82号
(2000)地学散歩
(62)神津島の流紋岩と玄武岩質包有物
石 川 剛 志 *
地学散歩
(62)神津島は、下回の南南東約
50kmの海上に浮かぶ¥ひょうたん形をした局間約
24kmの火山島であ る
O伊豆七島の一つに数えられる神津島の歴史は古く、その名は、神代の昔、この島が神々の会議場 となったことから付けられたと伝えられている
O神津島は、少なくとも
16偶の流紋岩単成火山からなる
O随所にそびえ立つ溶岩円頂丘は、この島で 繰り返された噴火の歴史を雄弁に物語っている(写真
1) 0これらのうち最新のものは、
838年(承和 5年)から始まった天上山火山の活動である
O天上山火山の活動は、はげしい火砕流と火砕サージの 流下を伴ったものであり、最終的には、南北約
2km、東西約
1km、浮き
150""'‑'200mの、黒雲母流紋 岩からなる溶岩円頂丘を島の中央部に形成した(写真
2)。海岸で観察される火砕流堆積物の厚さは場 所によっては約
50mに達しており、このような火山活動が今起こったらと思うとぞっとするものが ある
o 2000年
6丹末から始まった伊豆諸島の群発地震では、その原因として、神津島東方沖の地下に おけるマグマ上昇の可能性が指摘された。神津島および周辺の新島、式根島の火山活動のほとんどが 流紋岩マグマによるものであることから、それらと同様な酸性マグマによる爆発的噴火の発生も懸念 されたが、今回は幸い事なきを得たようである
Oとは言え、度重なる地震は、流紋岩の火山独特の急 峻な地形と相まって多数の鹿崩れを招き、この島に深い傷跡を残した。
大部分が流紋岩からなる神津島であるが、その一部には玄武岩質の包有物が認められる
O島の南部 に露出する面房火山の溶岩(紫蘇輝石流紋岩)にはそのような包有物が比較的多く、千両池付近では、
めんぼう注意深く探すとたくさんの包有物を見つけることができる
Oこれらの玄武岩質包有物(かんらん石普 通輝石玄武岩)は
1""'‑'20 cmくらいの大きさで、形は滴状、球状、鰹節状、棒状と様々である(写真 3)
0これらの包有物は、ホストの流 紋岩出来と思われる融食された石英や
Naに富む斜長石の結晶を
J u x
時
間
神 むこと、周囲に縮粒のリムを持つものがあることなどから、高温の グマが液体状態のまま、より低温の流紋岩マグマに注入さ れて形成されたと考えられている
Oこのような包有物は新島におい ても認められ、マグマの混合や、噴火のメカニズムを理解する上で 興味深いものである
O参考文献
一色(1
982)地域地質研究報告雪
5万分の
1図幅,八丈島
(9)2,
75 p.地質調査所;
Koyaguchi (1986) J. V olcan. Geotherm. Res.,
29,
71‑98.*
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