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H30年度  厚生労働行政推進調査事業費補助金 

(慢性の痛み政策研究事業) ) 

慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究  分担研究報告書 

 

富山大学附属病院における痛み患者に対する Multidisciplinary approach に関する研究     

研究分担者  川口  善治    富山大学医学部  整形外科  准教授  研究協力者  山崎  光章    富山大学医学部  麻酔科  教授  研究協力者  樋口  悠子    富山大学医学部  精神科  講師  研究協力者  中田  翔太郎  富山大学医学部  精神科  心理療法士 

研究協力者  新出  敏治    富山大学附属病院  リハビリテーション部  理学療法士   

研究要旨 

  富山大学痛みセンターとしての我々の取り組みを検証し、今後の課題を探ることを目的とし て昨年からの継続研究を行った。富山大学附属病院痛みセンター、麻酔科ペインクリニック、

整形外科、精神神経科を 3 か月以上続く慢性の痛みのために受診した患者を対象とし、

NRS(Numerical Rating Scale)、HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)、PCS(Pain  Catastrophizing Scale)、アテネ不眠尺度、ロコモ 25、EQ5D(Euro QOL 5 Dimension)、PSEQ(Pain  Self‑Efficacy Questionnaire)の各スコアを初診時と再来院時に取った。その結果、各スコア で改善が認められた。以上より痛み患者に対し Multidisciplinary approach が有効である可能 性が示された。しかし、フォローアップ率が低い、各治療の有効性を個別に評価できていない などの課題が残った。今後は、痛みを有する患者が当院受診後どのように過ごしているかを検 証し、ケアを中心とした対策を練ることが必要であると考えられた。また各科の特徴的なアプ ローチを明らかにして、痛み診療の標準化を図る必要があると思われた。

 

A.研究目的 

慢性の痛みを訴える患者の多くは器質的疾 患のみならず、複雑な背景が存在しているこ とが多い。これらの患者の治療についてはほ とんどのケースで難渋しており、縦割りの診 療科単一の治療では有効性が示されないこと がしばしば経験される。一昨年より富山大学 附属病院では、麻酔科ペインクリニック、整 形外科、精神神経科、理学療法士、臨床心理 士、 看護師が痛みセンターという組織を作り、

多方面から患者診療に当たっている。本研究 はこれまで行ってきた痛みセンターとしての 我々の取り組みを再度検証し、今後の課題を 探ることを目的とした。 

 

B.研究方法 

富山大学附属病院痛みセンター、麻酔科ペ インクリニック、整形外科、精神神経科を 3 か月以上続く慢性の痛みのために受診した患 

 

者を対象とした。初来院の時点で痛みの状況  および患者背景を検する目的で以下のスコア を取った。 

1. NRS(Numerical Rating Scale):主観的 な痛みの評価 

2. 疼痛生活障害評価尺度(PDAS: Pain  Disability Assessment Scale) :疼痛に よる日常生活への障害の程度の評価  3. HADS(Hospital Anxiety and Depression 

Scale):不安や抑うつを評価 

4. PCS(Pain Catastrophizing Scale):破 局的認知の程度を評価 

5. アテネ不眠尺度(AIS:Athene Insomnia  Scale) :不眠の評価 

6. ロコモ 25:ロコモティブシンドロームを 評価 

7. EQ5D(Euro QOL 5 Dimension):QOL の評 価 

8. PSEQ(Pain Self‑Efficacy 

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Questionnaire):痛みに関する自己効力 感を評価 

(NRS、PDAS、HADS、PCS、AIS、ロコモは得点 が高いほど状態の悪化を示す。 

それに対し、EQ5D、PSEQ は得点が高いほど状 態の良好さを示す。 ) 

また初来院後 3 ヶ月以降、6 ヶ月以降の治 療経過時の同スコアを再度評価し、治療の効 果を検討した。治療は各診療科に任せ、それ ぞれのアプローチ(投薬、ブロック、外科治 療、精神療法、認知行動療法、理学療法、心 理療法など)を行った。 

さらに月 1 度の全体カンファレンスを持っ て、各診療科としてのアプローチをプレゼン し、それぞれの立場から意見を出し合い、そ の後の患者の治療にできるだけ反映させるよ うにした。 

(倫理面への配慮) 

患者のプライバシーには特に注意を払い、

痛みセンター内での守秘義務を徹底した。 

 

C.研究結果 

本年度診療に当たった患者は、合計 83 名

(男性 39 名、女性 44 名、平均年齢 60.65 歳)

であった。昨年度以前の患者数と合わせると 計 303 名であった。内、初来院から 3 ヶ月以 降にフォロ‑アップとして再びスコアを取っ た患者は合計 81 名であった。 平均フォローア ップ期間は 131.0 日であった。6 ヶ月以降に スコアをとった患者は 4 名であった。平均フ ォローアップ期間は 370.5 日であった。3 期 の各尺度平均点を表に示す。その結果、全体 的に、フォローアップを重ねるごとに得点が 良好に変化した。 

                   

D.考察 

1. Multidisciplinary approach が有効と思 われた点は以下であった。 

・慢性の痛みをする患者の各スコアが低下 し治療が有効であることが確認された こと 

・月 1 回のカンァレンスでそれぞれの専門 的立場から意見を出し、患者の治療に対 し参考になったこと 

・各医師通しの意思疎通がより確かなもの となったこと 

など 

2. 今後の課題および今後の対策としては 以下の点が挙げられた。 

・フォローアップ率が十分であるとは言え ないこと。痛みを有する患者が受診後ど のように過ごしているかを検証し、ケア を中心とした対策を練ること。 

・対象とする疾患が様々であり、どのよう な病態に対しての治療が有効であった かが検証困難であること。どのようなタ イプの痛みにどのような治療が有効か の情報を痛み診療に携わる医師間で情 報共有すること 

以上の課題を考慮しつつ、今後もさらに改善 したMultidisciplinary approachをとるべき と考えている。同時に引き続き各治療の有効 性を個別に評価し、その検証をしたいと考え ている。さらに各診療科の特徴を明らかとし て痛み診療の標準化、すなわち行うべき診断 上の必要項目の検討などをする必要があると 考えられた。 

 

E.結論 

慢性の痛みを有する患者に対して麻酔科ペ インクリニック、整形外科、精神神経科、理 学療法士、臨床心理士、看護師が連携した Multidisciplinary approach が有効である可 能性が示された。しかし、未だ各治療の有効 性を個別に評価できていないなどの課題が残 った。 

 

F.健康危険情報 

総括研究報告書にまとめて記載。 

初診時 3ヶ月フォロー時 6ヶ月フォロー時

患者総数 303 81 4

NRS

最強 6.77 5.3 3

最低 2.8 2.49 2.3

平均 5.3 4.22 3

現在 4.7 3.94 3

合計 19.5 16 11

PDAS 24.3 18.5 14.8

HADS 

不安 7.7 6.26 3.75

抑うつ 8.73 7.38 3.75

合計 16.43 13.6 8.5

PCS 34.1 28.6 13.8

EQ5D 0.5611 0.6398 0.7865

PSEQ 25.18 32.1 46.8

AIS 8.27 6.89 1.8

ロコモ 36 26.9 13.8

ZARIT 18.4 14.85 15.5

満足度 ― 2.96 2

表.痛みセンター受診患者の3期の各尺度平均点

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G.研究発表   

1.論文発表 

今後データ蓄積中、作成予定。 

1) 川口善治. 非特異的腰痛の治療 Update、

薬物療法.第29回腰痛シンポジウム. 

2018. 

2) 川口善治. 運動器慢性痛に対する薬物 療法.CLINICIAN. 

2017;64(11‑12):1092‑1097. 

3) 川口善治. 脊椎・脊髄疾患の治療法の進 歩 痛み・しびれに対する薬物療法.整 形・災害外科. 2017;60(5):597‑602. 

4) 川口善治. 慢性腰痛症 特集:仕事と病 気. 成人病と生活習慣病. 

2017;47(8):999‑1003. 

5) 川口善治. 仕事による腰痛.慢性疼痛の 治療戦略 治療法確立を目指して⑪.臨 床整形外科. 2017;52(8):790‑793  2.学会発表 

痛み関連の学会に発表予定。 

 

H.知的財産権の出願・登録状況(予定を含 む。 ) 

1.特許取得  なし 

2.実用新案登録  なし 

3.その他 

なし 

 

 

 

 

 

参照

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