• 検索結果がありません。

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

デザイン実践力を養成するための地域連携プロジェ クト : 『笑顔でつなぐ焼津市ポスター展』を事例 として

著者 川原崎 知洋, 伊藤 文彦

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 25

ページ 225‑234

発行年 2016‑03‑31

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター

URL http://doi.org/10.14945/00009452

(2)

静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 ヽ

25pη5〜234(2016) 実践報告〉

デザイン実践力を養成するための地域連携 プロジェク ト

― 『笑顔でつなぐ焼津市ポスター展』を事例として―

川原時知洋

1・

伊藤文彦 Ⅲ

A Regional Cooperation Project for Training the Design Practical skills

A Case Study of  me POster Exhiblion ECAO DE TSUNAGU in Yaizu City"―

TomohiЮ

 KAWARASAKI・

Fummiko ITo

 

本稿は、デザイン実践力の育成 とい う視点か ら、地域連携 プ ロジェク トに学生が参加す ることによる教育的効 果について考察 した ものである。本プロジェク トでのポスター制作の経験を通 し、学生が どのよ うなデザイ ン実 践力を身につけることができたのかを検討 した。まず、今年度のプロジェク トで学生が制作 したポスターについ てキャッチ コピー とビジュアル コンセプ トを中心に考察す ることで、ポスター対象 となるモチー フについての「新 たな価値 を発 見す る力

Jが

デザイン制作にお ける実践力 として重要であることが示 された。 また、本プ ロジェク トに参カロした学生 を対象にデザイン実践力に関す るアンケー ト調査 を行 つた結果、取材調査における rコ ミュニ ケーションカ」、グループワー クとしてプロジェク トを遂行 してい くための 「マネジメン トカ」の必要性 が抽出 された。 さらに、制作 したポスター を対象に市民による人気投票 を実施 した。その結果、市民による評価は、学 内での評価 と大 きな差異が生 じ、市民 とデザインを学ぶ学生の評価 には m幅 があることが明 らか となつた。 この 事実について、学生が市民の評価について考察するとい うプ ロセスを経 ることで、ポスターデザインで最 も考慮 すべき項 目が r分 か りやす さ」であるとい うことを再認餞す る契機 となつた。以上の ことよ り、地域連携プロジ ェク トにようて養成 され るデザイン実践力 とは、グループワーク としてデザイン表現す るプ ロセスを経 ることで 養成 される力 と、他者 による評価 を省察す ることで姜成 され る力であることが展望 された。

キーワー ド :地 域連携プロジェク ト

 

ポスター

 

デザイン実践力

1  

は じめに

本稿は、昨年度行われた 「焼津 さかなセ ンター笑顔 でつな ぐポスター展 J。 かの継続事業として行われたデ ザイ ンプロジェク トの実践報告である。学生が地域連 携プロジェク トに参画することによる教育的意義や効 果について考察 した。

今年度 「笑顔 でつな ぐ焼津ポスター展 Jプ ロジェク トが株式会社静鉄ア ド・パー トナーズの企画 として立 ち上げ られ 、静岡大学教育学部デザイン研究室は制作 協力 とい う形 で参画 した。デザイン研究室 としては 2013年 度の「きぬむすめ」米袋デザインプロジェク ト、

2014年 度の「焼津 さかなセンター笑顔でつな ぐポスタ ー展プ ロジェク ト」の参画を契機に、学生が主体的に 地域連携プ ロジェク トに取 り組むことによる教育的効 果、お よびデザイン研究の意義について継続的に検討 している。学びの再定義が展望 されている昨今の教育 現場において、解のない諸問題 について学生 自らが試 行錯誤 し、能動的に問題 を解決 していかなければな ら ないプロジェク ト型の実践は、 21世 紀型スキルを身に

つけるための授業モデル としての期待 も大きい。学生 が地域連携プ ロジェク トに参加す ることで、グローバ ル社会で求め られ る創造的で能動的な問題解決力の養 成が期待 され ることか ら、今年度 も地域連携 プロジェ ク トに教育学部デザイン研究室 として参画す ることと なつた。

まず、本プロジェク トで制作 されたポスターについ てキャッチコピー とビジュアル コンセプ トを中心に考 察 し、ポスターデザインの要点について整理す る。ま た、一連のプロジェク トの経験を通 し、学生たちはプ ロジェク トにおいて どのような力を必要 と感 じている のかについてアンケー ト調査を行 つた。そこか ら導き だ されたデザイン実践力について考察す る。 ポスター 展においては焼津 さかなセ ンターに来場 した市民 を対 象に人気投票を行 つた。その投票結果について、学生 たちが本ポスター展で 自身が制作 したポスターの考察 を行 つた。以上のことか ら、地域連携プロジェク トに おけるデザイン実践力がいかに養成 されたかについて 論 じる。

キ静岡大学教育学部 美術教育講座

225

(3)

川原峙知洋   伊藤文彦

2  プロジェク トのデザインフロー

本プ ロジェク トのデザインフローについて整理 しな が ら、プロジェク トの概要について整理す る。

(1)オ

リエンテーシ ヨン

オ リエンテーシ ヨンは、株式会社静鉄ア ド・パー ト ナーズのスタッフ 3名 によつて進行 され、笑顔でつな

ぐ焼津ポスター展実行員会の代表者 1名 が加わ り、静 岡大学教育学部

B棟 204教

室にて 7月 20日 (火 )18

時から行われた。ポスター展に参カロ す る学生

15名

(大 学院生 5名 、学部

3年

生 10名

)と

教員 2名 がオ リエ ン テーシ ョンに参加 し、ポスター展の概要、 目的などが 確認 された。

事業名 :笑顔でつなぐ焼津ポスター展 主

 

催 :株 式会社焼津水産振興セ ンター

協同組合焼津 さかなセ ンター

 

営 :笑 顔でつなぐ焼津ポスター展実行委員会 運営協力

:大

井り 11商 工会、おおいがわ Akindo事 業協同

組合、焼津市、焼津市魚仲水産カロエ業協同 組合、焼津商工会議所、焼津市観光協会 制作協力 :静 岡大学教育学部

静岡産業大学情報学部 常葉大学造形学部

 

的 :焼 津の催事記、観光、 自然、食な どから選ば れた 55選 をポスター として制作す る

:

今回のポスターは昨年 と同様に、グループワー クに よつて制作す ることを確認 し、任意で グループ分けを 行い、 3名 編成の

5グ

ループによつて本プロジェク ト

に取 り組む こととなつた。 また、各グループに割 り振 られた大学院生が り ,ダ ー とな り、グループ内での取 材予定や打合せや連絡な どの調整役 を行 うこととなつ た。なお、 55選 のポスターは県内 3つ の大学で配分 し、

静岡大学は 19ヶ 所のポスタ‐を担当す ることとなつ た。

(2)取

材・情報収集

8月

上旬か ら中旬にかけ、割 り当て られたポスター 対象についての取材を行 つた。学生が主体 とな リポス ター対象に関する情報を提供いただける人物 にアポイ ン トメン トを取 り、ポスター制作のための取材 を行つ た。取材に関する調整は、静鉄ア ド・ パー トナーズの 担当者にバ ックア ップ していだいた。取材 と並行 し、

対象 となる場所や人物、 モチ、フの写真撮影 を行つた。

取材で調査できなかつたことについてはインターネ ッ トや文献調査によつて情報収集を行つた。

(3)デ

ザイン検討

取材 した情報や写真を基に、グループ単位でのブ レ インス トー ミングを随時行 つた。また 8月 下旬か ら

9

月上荀にかけて教員を交えたデザイン検討 を行つた。

デザイン検討では、ポスター対象 となる事物の情報 を 基に情報共有 し、その上で対象の特徴 を表現す るため のキャ ッチ コピーを考えた。

(4)中 間報告会

プロジェク トメンバーによる学内中間報告会を静岡 大学教育学部 B棟 204教 室において

8月 31日

(月

)13:00

から行つた。 フイー ドバ ックのための意見変換 と評価

シー トの記入 を実施 した。デザイン検討が十分に行わ れていないチームが多 く、プロジェク トメンバー間で 厳 しい指摘が飛び交 う中間報告会 となつた。

(5)デ

ザイン再検討

中間報告会を受け、ポスターのプラッシュア ップを 行つた。多 くのポスターについてビジユアル コンセプ トとキャチ コピーの再検討が求められたため、改めて 取材や写真撮影を行い、検討 し直 した。

(6)最

終審査会

最終審査会は静岡大学教育学部

B棟

204教 室におい て 9月 7日 (月

)13:00か

ら行つた。 フィー ドバ ック のための意見交換 と評価 シー トの記入 を実施 した。

最終調整においては、写真の トリミング、コピーの 視認性、画面の レイアウ ト等、教員が個別 に対応 しな が ら完成に近づけた。

(7)笑

顔でつな ぐポスター展

2015年

10月 10日

か ら焼津 さかなセンターにおいて

「笑顔でつなぐ焼津ポスター展

Jが

開催 された。展示 方法はセ ンター内にポスター専用掲示板が設置 され、

その掲示板 に全 55枚 のポスターが展示 された。除幕式 当 日は焼津 さかなセンターまつ りの初 日とい うことも あ り、多 くの来場者があうた。 さらに、 SBSラ ジオ め の収録 も実施 され、代表学生がラジオ番組に出演 し、

制作 したポスターについて紹介 した。

また、10月 中旬か ら 11月 上旬にかけて、焼津 さか なセ ンターに来場 した市民を対象 とした人気投票を実 施 した。

3  ポスターの構成要素 と要点

ポスターは基本的には絵 と文字によって構成 されて いる。絵 は「キー ビジ■アル」 と呼ばれてお り、イラ ス トや写真、模様やパ ターンがこれにあたる。文字は

「コピー」 と呼ばれてお り、情報の質や重要度に応 じ てその呼び名が異なる。そのポスターの中心 となる●

ピーを「キャッチ コピー」といい、「キャッチコピーは 表現 コンセプ トを凝縮 した ものであ り、同時にターゲ ッ トの 目に とま り、 さらには心を動かす ものであるこ と」。が求め られ る。 またキャッチ コピー を補足す る 短い文章を 「リー ド」 と呼ぶ。昨年度 と同様に、今回 のポスター案を検討す る際にもまず ビジェアル コンセ プ トを表すキャチコピーを考案す ることが第一の命題 であつた。

焼津の魅力を伝えるための手段 として、その対象の 歴史や文化などの情報 を加 工せず、ス トレー トに伝達 してい くことも 1つ の表現方法であるが、その対象に 関する常識や固定観念、既 に確立されている固有のイ メージを覆す ことによつて、笑いや感動 を生 じさせ る ことも可能である。原研哉は 「情報の質」を高めるこ とでコミュニケーシ ョンに効率が生まれ感動が発生す る 。と述べている。また、原はコミュニケーシ ョンが 深まる状態にある相互関係 を 「情報の美」 と定義 して お り、情報の美に辿 り着 くための

3つ

のルー トを 「分 か りやす さ」「独創性」「笑い

Jと

している。図 1に こ の関係図を示す。

「分か りやす さ」 とい う条件をクリアするためには、

「 『 分かる』とい うことや 『 分かっている』とい うこと、

(4)

デザ イン実践力 を養成す るための地域連携 プロジェク ト

贅筆●奏

ltattty ofinfOrmat,●

分かりやすさ          独劇性        笑い

oいrity         creaⅢ vity        ,。y′

卜un。 ′

1「

情報の美」と 3つ のルー ト

そ して『 分か っていない こと』 とい うことな どについ て理解 し、『 分 か る』を実現 させ るプ ロセ スを沈 着冷 静 に構築 してい く能力が必要である」つと指摘 している。

デ ザイナー は情報 を受信す る不特 定多数 の対象者 が持 ち得 てい る常識や 知識 を理解 した上で表現す ることが 求 め られ る。 デ ザイナー は多 くの人が 「分か るこ と」

と 「分かつていない こと」 を理解 し表現 しなけれ ば、

伝 えたい情 報 を正 しく伝 え るこ とがで きない。情報 の 質 の最 も基本 的 な要素 であ る。

「独創性 」の効能 として、「いまだかつて誰 もや つて いない斬新 な方法 で情報 を表現す ることである。

(中

)

オ リジナ リテ ィのある表現が情報 に付与 されてい るこ とで 、人はそれに興味を示 し、感動 し、またその情報 を尊重す るJめ と してい る。分 か りやす いだ けのポ ス ター は、人 の注意 を引きつ けるこ とができない。今 ま で になか った よ うな独遺」的 な表現 をす るこ とで多 くの 人 々の興 味・ 関心 を集 め、感 動 さえ与 え るこ とが可能

とな る。

「笑い」 につ いて、「極めて精度の高い『 理解』が成 立 してい る状態 を表 している。 内容 を理解 していない で人は笑わ ない。 内容 を把握す るだけではな く、それ を さ らに別 の角度か ら鑑賞す る余裕 を持 った ときには じめて笑いが発生す るJ° と述べてい る。パ ロデ ィで 笑 うこ とが で きるのは、そ のパ ロデ ィの基 とな る事柄 や 人物 を深 く理解 しているか らこそである。人が当然 の よ うに捉 えてい る常識 をデザイナーは理解 し、その 対象 の持つ 常識 を異 な る視 点 で提 え直 し、多 くの共感 が得 られた時、ポスターにお ける 「笑い=ユーモ ア」

が表現でき るもの と考 え られ る。ユーモアについて も、

デ ザイナー の独 りよが りなユーモアでは、情報の美 を 体現す る こ とはで きない。ポ ス ターデザイ ンにおいて、

3つのアプ ローチ を意識す るこ とで、「情報の美」を体 現す るこ とが可能 とな る。

こ こで、「情報の美」が体現 され てい ると思われ るポ メ ター事例 を紹介す る。 図

2は

レゴプ ロックジャパ ン のポ ス ター である。 このポス ターの最大の特徴 は コピ

(文

)力

使用 され てお らず 、 ビジェアル のみ で画 面構成 され てい る点 であ る。 青 い背景 の画 面上方 には

2つの赤い プ ロ ックが配置 され ている。そ して2つ ブ ロ ックの下に影 が落 とし込 まれ てい る。その影は

2

つ のブ ロ ックの影ではな く、飛行機 のシルエ ッ トとな つてい る。 ここで このポスターの ビジュアル コンセプ

トを考察 してみたい。

子 どもは想像力 を働かせ なが ら、 レゴプロ ックを 用 い て飛行機 を創造 しよ うと してい る。2つのブ

2レゴプロックジャノくンのポスター )

ロ ックに よつて構成 されてい る表現その ものは拙 いが、子 どものひたむきなイマ ジネーシ ョンが、

本物 の飛 行機 の シルニ ッ トとな って表 され てい る。

レゴプ ロックで遊び浸 る子 どもの 「心の 目」 を通 じて見る2つの拙 いプ ロックは、まぎれ もな く本 物 の飛行機 で あ る。 そ の創 造 力 を支援す るのが レ

ゴ社 の使命 である。

以 上が この ポス ター か ら読 み とるこ とので き る ビジ ュアル コンセ プ トである。

画 面 の構成 要素 と して は青 い背 景 に赤 いブ ロ ック と 飛 行機 の影

(シ

ル エ ッ ト)のみ で あ る。構成要素が少 な いため、何 が描 かれているのかが

[分

か りやす くJ

表 現 されてい る。 また、たった

'つ

の要素の組合す に よつて、現実世界 と想像 力の世界 とを巧みに対比 して い るところに表現 にお ける 「独創性Jが指摘 で き る。

さ らに、子 どものひたむ きな想像力が飛行機 のシルエ ッ トと して表 現 され てい る とい うユーモ ア=「笑 い」

と指摘す ることがで きる。 コピーの無いポスターは、

文字 に よつて伝 えたい情報 を伝 える こ とがで きないた め、 ビジュアル コンセ プ トを伝 えることが難 しく高度 な手法 で ある。 しか しこのポス ター は伝 えるべ き事項 をシ ンプル に集約 しなが らも情報 の美 を体現 してい る 好事例 で あ る。

制作 したポス ター の学 内評価

今 回制作 した ポス ター につ いて、 中間報告 会 と最 終 審 査会 にお いて投 票 に よる評価 とフィー ドバ ックを行 っ た。最終審査 会 において評価 の高 かつたポスター

5

点 を と りあげ、 キ ャチ コ ピー と リー ド、 メイ ン ビジュ アル を中心に、 ビジュアル コンセプ トが どの よ うに決 定 され たのか につ いて整 理 し、ポス ターデザイ ンす る 上 での要点について考察す る。 また、最終審査 にお け

る学 内のポス ター ランキ ングを表

1に

示す。

学 内投票 の結果

1位

「飯淵のお不動 山J

ワ′

9乙

(5)

川原崎知洋・伊藤文彦

キャッチヨピー :不 動明王には会えな くても和尚の笑 顔 は拝めます。

リー ド

:3年

に 1度 のご開帳。

飯淵のお不動山への取材時に、観光用 として 「顔は めパネル」が境内に設置 されていることに担当学生た ちは気付いた。 さらに、寺の住職 ご自身が 「顔はめパ ネル」に顔 を入れ、カメラに満面の笑顔 を向けていた だいた。学生がこの写真 をポスターに使用す ることを 提案 した時点で、そのユーモアのある写真の力によっ てメインビジュアルが決定 した。親 しみやすい住職の いる寺院であるとい う価値 をビジュアル コンセプ トと した。威厳のあるはずの住職が

li内

で遊んでいるよう な雰囲気 と共 に本尊である不動明王を取 り入れ ること で、ポスター対象が寺であることが伝わるキャッチコ ピーを考案 した。

2位

「佃煮・角煮 (焼 津の食 )J

キャッチヨピー :l cll角 の焼津 リー ド :焼津 の味、詰まってます。

佃煮・角煮 とい うカテ ゴリーでのポスター依頼に対 し、角煮に しぼつて提案 したポスター となつた。加工 されたマグロの角煮 の形がほぼ l cmの 立方体であるこ とを発見 し、 この形状 を基 に したキャ ッチ コピー ′ 「

1

cln角 の焼津」が提案 された。マグロの角煮 を画面中央 に配置 し、線描で表現 された立方体の中にキャッチコ ピーを配置 した。小 さな l cm角 の中に焼津の魅力や う まみがたつぷ り詰まつた食品であるとい う価値の発見 がキャッチ コピー とビジェアル コンセプ トを導きだ し

3位 「大井川港 lll市

キャッチコピー

:ウ

キウキフクフク朝つパラダイス リー ド:4月 29日 は年に一度の海鮮天国

大井川 lll市 は、その名の通 り大井川港で行われる朝 市である。朝市は他の どの地域で も行われている行事 であ り、大井川港朝市の特徴的な催 し物が行われてい る訳でもなか つた。そこで 「朝つぱら

Jと

「パラダイ ス」を合わせ た造語 「朝つパ ラダイス」を提案 した。

言葉に漂 う「ナンセ ンス さ」 とユーモアをビジュアル コンセプ トとし、ナンセンス さを強調するためにあえ て一昔前の電飾 を用い、懐か しくも古 くさい派手な賑 やか さを演出す ることをね らい として画面を構成 した。

4位

r石 津水天官

J

キャ ッチヨピー :お祈 りしてあげまちゅ。

リー ド:安産祈験 に

石津水天官は水難除けや安産の神 として信仰を集 め

巌 位 名 前 合計 平 均

1位 餞淵のお不動さん │││ 554

2位 焼綸

0■

(働 蕪・角壼

)

151

,位 大丼川港朝市 ●

41

S31

4位 水天富 000 ,30

│●

":港

120

6位

B‐71ヽ111】

L

│夕

│ S2, ,位 へ

̀な

とマラツシ 021

ψ

0

A‐

懐澤さかなセンター螢リ

0位 菫空畿たるま市 004 │││

1咆

露海お 0さ ん長谷

"lス

志 │││ 500 1位 卜焼津の金 (桜 エビ

)

595

19■

1位 焼津の食〈 離韓 '嬌 げ詢〉 4a0

13位 みなと祭リ 438

14位

卜藤守の日遊び

134 487 5位

B―

みなとマラツン 403 :│● 卜藤守の日逍び 571 433 1,位

B線

の食 (棲 エビ

)

57, 481 18位 卜 木屋

"1沿

いの標颯 571

430

19位 ●磯緯 さかなセンタ

=祭

572

4■7

Ю位 朝比奈川

tの

画の手さくら 571

4■

5

21位 臨 津さかなセンタ´祭リ 557 431

22住 卜焼 津滲

41●

22位 ■焼津港 546 465

24位 ヘ ー 焼津の食 (黛 はんべん

)

541

24位 諄航空自衛隊

響■1

26位

B―

大丼川港 a

27位 ヘー 航空自衛障 S21

438

27位

8‐

燒津の食 (票 はんぺん

)

526

438

29位 ■本塵

lll沿

い 0棲 堤 411

学内ポスターランキング

1位 r崚 滉のお不動山」 3位 「大井

"1灌

輌市」 4位 「石津水夫宮」

dF島

2位 r鶴 燕 .綺 熱

(6)

デザ イン実践力 を養成す るための地域連携 プロジェク ト

ている神社である。担 当した学生たちが石津水天宮の 神主 さんへの取材 と同時に、写真撮影 を行つていた。

この神主 さんの写真か らどの ようなキャッチコピーが 引き出せ るかを考えた。 rぉ 祈 りしてあげまちゅ」は赤 ちゃん言葉である。神を記 ることを生業 とす る神主が 最 も言いそ うのない 口語をあえて選択す ることで、メ インビジュアル とキャッチ コピー とのアンバ ランスな 違和感 とともにユーモア として表現 している。また、

赤ちゃん言葉であることか ら、赤ちやん (安 産 )に 関 す る神社であることを示唆 している。

5位

「小川港」

キヤッチコピ● :ば かサバ とれ る リー ド :全 国

3位

のサバ漁港

小川港はサパの漁獲量が多い とい う特徴があつた。早 い段階でモチーフをサバに限定 し、サバに関連す るモ ノ・ コ ト・言葉を考案 した。その中で「ばかサパ とれ るJと い うキャ ッチコピーが提案 された。「ばか

Jは

静 岡弁で「とて も」を意味 し、静岡県民であれば このキ ャチコピーを rと てもサバが穫れ る漁港

Jと

い う意味 で受信 されることが想定 され る。 またメインビジュア ルを 「バカつぱいサバ

Jの

イ ラス トにすることで、あ たかも『パカさば

Jと

い う種のサバが穫れるとい うパ ロデ ィ情報を発信することで、小川港で穫れるサバの ブラン ド価値が高め られ るとい うコンセプ トを立案 し た

lD。

以上、学内における上位

5点

のポスターについてキ ャチ コピー とリー ド、 ビジュアル コンセプ トについて 概観 した。 これ らのポスターの評価が高かつた理由 と しては、ポスター対象 となつたモチ‐フについて 「新 しい価値の発見

Jに

ある。 このことか ら、新 しい価値 を発見す る力が、ポスターデザインにおける要点であ り、養成が期待 され るデザイン実践力であるとも言 え る。学内で人気の高かつたポスターは、明快でユーモ アのあるキャッチヨピーによつて表現 されていた。 こ れはポスターに表現 された情報が 「分か りやすいか」

「表現における独倉 1性 はあるか」 「笑いは含まれている か」 とい う原の指摘す る「情報の美

Jと

い う評価基準 に準拠 していることも指摘できよ う。

5  プロジェク トに参加 した学生アンケー ト調査 ポスター制作が終了 した後、プ ロジェク トに参カロし た学生に対 し、プロジェク トに参加 したことに関す る アンケニ ト調査を実施 した。アンケー トでは

5件

法に よる選択式 と自由記述式を併用 し、 全 12設 間に関 して 回答 を求めた。 このアンケー ト結果 を分析 しなが ら、

地域連携プロジェク トに参カロし、ポスター制作を行 う ことで養成 されたデザイン実践力について考察する。

設間 l「 今回のプロジェク トに参加 した達成感はあ り ますか ?」 では、「おおいにある」が

50%、

「ある」が

214%と

な り、全体の 714%の 学生が肯定的な感想 を 持 つた。達成感 を感 じることができた理由として下記 のよ うな感想があつた。

 

実際にポスター とな り、展示 されていることが誇 りに感 じる。

 

改善に改善を重ねた作品だけに達成感 は大きい。

 

普段、 リーダー としてチームをひつぱる経験がな かったので、チームでの制作が とても良い経験だ つた。

自分が制作に関わつたポスターが誰かのために機能 し、活用 され ていることに対 して達成感 を持つた学生 が多かった。 またチ

=ム

の一員 として活動できた こと に対 して満足感 を得 られた とい う記述 も見受けられた。

設問

2「

今回のプ ロジェク トで 自分の力を発揮す るこ とはできま したか ?」 では、 「かな りできた」が 143%、

「できた」が

429%と

な り、全体の 57.2%の 学生が肯 定的な感想 を持つた。 自分の力を発揮できた理由とし ては下記のような感想があった。

 

チーム リーダー としてチームメイ トが考えやすい 環境、雰囲気作 りを心掛ける力がついた。

 

チームメイ トのそれぞれの得意分野を生かせ るよ う、モチベーシ ョンをあげることを重視 し、話 し 合いや制作 に望めるよ うに促 した。

 

自分 自身が率先 してアイデア出 しを行い、プ レス トの段階ではチームメイ トの良い ところを褒める ことを意識 した。

 

メンパーに頼 ることを党えた。

 

ポスター作成 を行 う上での実質的な部分での役割 の他に、グループ内のマネジメン トをする必要を 感 じ、それ を実行 しよ うと試みることができた。

しか し、当初か ら明確な各 グループメンバーヘの 今回のプロジェク トを通 した 目標を決められてい れば、よりよいポスター作 りを進めてい くことが できた と思 う。

ポスターデザインにおいて、発想力、構成力、表現 力 といつた技術的な能力の発揮 も見受 けられたが、グ ループ ワークとしての制作経験か ら、グループ内での 役割 を意識す ること、グループ内の雰囲気や士気を上 げ られ るよ うな管理能力の必要性についての記述が多 数見受けられた。

設間

3「

授業で行 つているデザイ ン課題 と本プロジェ ク トのデザイン課題 との違いを感 じま したか ?」 の設 間では、全体の 71.4%以 上の学生が 「違いを感 じた」

と回答 した。その理由としては下記のょぅな感想があ った。

 

実際に取材 に行 くことで、デザインに人が介在 し ているとい うことを強 く感 じたこと。

 

自分の考えだけでなく企業や クライアン トの意向 も考えて作 らなければならないこと。

 

誰か一人が頑張 るだけでは出来ていかないもの と 感 じた こと。

 

今回のプロジェク トでは明確なクライアン トが存 在 し、クライアン トの意思を尊重 しつつ、定め ら れた方法でのデザインが求め られたこと。

実際のクライアン トが存在することや、関係各所に 取材す るとい う経験が通常授業 との大きな違いであつ た との感想が見受 けられた。取材先、あるいはグルー プ内でのコミュニケーシ ョンの とり方がデザイン制作 をす る中での今後の課題である。 クライアン トや取材 先である関係各所 とのコミュニケー ションについては 設問 11で 報告す る。

設間

4「

本プロジェク トを遂行 してい く中で新たな発 見や気付きがあ りま したか ?」 の設間では、下記のよ

うな感想があつた。

 

ポスター制作における役割について、得意分野 ご

229

(7)

川原崎知洋 :伊藤文彦

とにメンバーに依頼する方法を学ぶ ことができた。

 

行動力 と課題に向き合 う姿勢。 自分の行動次第で 作品の質を高められ ることが分かつた。

 

デー タやネ ッ トだけの情報だけでは、そのものの 魅力 を存分に引き出 したポスターは作れないとい

うこと。

 

デザイ ンは論理的に詰めることでユーモアを表現 することができるとい うこと。

 

「パ ッと見て分か りやすい」「目立つ」「どんな人 も共感 できる」を満たす必要があると感 じたこと。

 

独 りよが りな発想になつて しま うことがあつたが、

同チーム、他チームか らの意見な ど、他者 との意 見を共有 しそれを制作に生かす重要性について再 発見す る機会が多かつた。

 

キャ ッチ コピーに込めた意味、ユーモアが通 じな い とい う評価があると、修正や再考の必要が出て

くるが、最終的なアウトブットの形が最良のもの であるかは市民の方々が見ての反応次第になつて

くる。

設 間 5「 地域 活 性化 のた めに今回 のポ ス ターデザイ ン は効果 が あ る と思 い ます か

?Jの

設 間 で は 、全 体 の

57.1%の学 生が効果 はあ る と回答 した。 どち らともい えない と回答 した学生は全体の

429%だ

つた。

「地域活性化 に効果がある。J

 

学 生 が この よ うな取 り組み を して い るこ とを もつ と焼津に住 む人に知 つて欲 しい と思つた時 に、ポ ス ター とい うア ウ トプ ッ トだけでな く、制作のプ ロセ スを発信 していければ、よ り焼津 に興味をも つて も らえるきつかけになるのでは と考える。

 

投 票 の数 だ けで効果 を実感 で きる。

 今回ポスターの題材として取り上げられた焼津の

名所、名産品の中には、他の市の人々は知 らず、

焼津市内の人々もあえて話題に出す とい うことは ない もの もあると感 じた。そ ういつたものが、今 回のプ ロジェク トによ り少 しでも話題 にあがるこ とがあれば、効果があるといえるのでは。

 

ポスターを掲示 した場所は、市外・県外の人々が 集 まる場所だか ら効果は期待できる

「どちらともいえない」

 

ポスターの利用の仕方次第。

 

面 白く、話題性がある

=行

きたい 。や りたいに直 接繋が らないのでは。

 

このよ うなプロジェク ト自体は地域活性化に大き く関与できる可能性を持つていると思 うが、この プ ロジェク トの存在を広報す ることに関 してはあ ま り力が入れ られていないように感 じる。

設 問 6「 今 回のプ ロジェク トを通 して大変だつた こ と・難 しかつたはあ りますか ?」 の設間では、下記の ような感想があつた。

 

実際に体験できずに資料や市民の情報のみで制作 したので、 他のポスターに比べて考えにくかつた。

 

取材場所が遠 く、また取材時間の確保が大変で時 間の余裕がなかつた。

 

クライアン トの要望に応 えること。ユニークさを 表現す ること。キャッチコピー とビジユアル との マ ッチング。

 

セールスポイン トがない とい う立場のクライアン

卜との コミュニケーシ ョンとデザイン提案が難 し かった。

 

夏休み時期であったため、積極的に参加す ること ができる学生 とそ うでない学生 との間に差ができ て しまったように感 じられた。

 

参加学生全員 のモチベーシ ョンを上げることが難 しかつた ように感 じられた。

 

チーム リーダー としてメンバーの意見をま とめる こと、また、メンバーにとって今回の制作が有意 義なものに感 じられるよ う計画を立てること。

 

取材や資料提供のお願い といつた連絡の返事が遅 く、ポスター修正等が滞 ることがあつたこと。

 

取材場所までの交通手段 を広告代理店にご協力い ただいたが、メンバー とのスケジュール調整の関 係で希望の 日に取材ができない といつた時間的制 約があつたこと。

設問

7「

今回のプロジェク トを通 して良かつたこと・

楽 しかったことはあ りますか ?」 の設間では、下記の ような感想があつた。

 

突撃インタピューや撮影協力のお願い等、行動カ や度胸がついたこと

:

 

学年を越 えての交流が増 えたこと。

 

チームで動 くことは個人で動 くよりも難 しい とい うこと。

 

クライン トがいた り、明確な 目的があつた りと、

求められ るデザインを経験 できたこと。

 

今まで縁 もゆか りもなかつた場所だつたが、愛着 や親 しみを持てるようになつた。

 

実際にポスターを見た焼津市の方々の リアクショ ンを直に見ることができた こと。

設問

8「

グループワークで良かつたこと・ 良くなかつ たことはあ りますか ?」 の設間では、下記のような感 想があつた。

「良い点」

 

いろんな観点か らの意見が集 まるので新たな価値 観を持つ ことができた。

 

各々の長所 を反映 し制作に打ち込めたこと。

 

終盤にかけて、班内でのデザインに対す る共通認 識が広がったこと。

 

取材においては役割を分担 し、様々な情報を効率 的に引き出す ことができたこと。

 

メンバーの持つ技術を間近で見ることができた。

「良くない点」

 

スケジュールが合わず、グループワークでの効果 を発揮 しきれていなかった。

 

チーム内の 「ノ リ

Jで

出た案があま りよい結果を 生まなかつた。

 

夏休み中のプ ロジェク トであったため、グループ メンパーや、他のグループの集ま り方に関する否 満な どが出ないか心配だつた。

 

ファシ リテーター役が明確でなかつた。

 

信頼関係が薄 く意見を言い合 う関係になるまでに 時間を要 したこと。

 

個人作業の分担に偏 りが出て しまつたこと。

プロジェク トの反省において、チームの一員 として

の視点が多 く見受けられた。 このことか ら、グループ

の中の自分がグループ間での コミュニケーシ ョンカが

(8)

デザ イ ン実践力 を養成す るための地域連携 プロジェク ト

デザイ ンプ ロジェク トではいかに重要であるか とい う ことが実感 として得 られたこと指摘できる。

設問

9「

プロジェク トの節 日で行 つた中間報告や最終 審査会は役に立ちま したか ?」 の設間では、下記のよ

うな感想があつた。

 

自分のチームでは検討できなかったことや新たな 視点を与えて くれた。

 

意見交換の場は客観的な視点を与えてくれ る。

 

審査会を行 うことで、少な くとも他のグループ と の表現方法な どの重複 を回避することができた。

 

フィー ドバ ックによつて、グループ ワー クが より 活発 にな り、方向性 も明確 にならた

 

自らも他チームの作品を批評す ることで、デザイ ンを見る目を養 うことができたため。

 

湧いた愛着をそのまま具現化す ることが必ず しも よい結果 を生むわけではない ことが分かった。

設問 10「 教員 とのブ レス トは役 に立ちま したか ?」 の 設間では全員役に立った と回答 し、下記のような感想 があつた。

 

自分では良い と思つていたアイデアにも様々な問 題点があることが分かつた。

 

チーム内で取材調査な どによって持 った先入観 を 外 したアイデアを考えることができた。

 

考えが進まな くなった時に、それまで とは異なつ た方向で考えるきつかけを与えて くれた。

 

自分たちでは 「くだ らない案」 として破棄 しよ う としていたアイデアを拾い、アイデアを膨 らませ るきつかけを与 えて くれた。

 

プ レス トす ることで、班内でや りたかつたことが 明確になった。

 

取材では得 ることができなかつた他の観点を示 さ れ、それ をもとに別の方向性で思考することがで

きた。

 

自分のチームや他チームのブ レス トの様子 を見て いて、学生が教員にアイデアを頼 る場面、議論の 停滞で時間を有効に使えていないことが多 くある

と感 じた。

 

プ レス トの様子を記録 し、 どんなアイデアが出て いるのか、議論に偏 りがないかを リアル タイムで 把握す るフアシ リテーター役の必要性 を感 じた。

 

教員にアイデアの許可をもらうことが 目的なつて しまった。

 

教員のセンスに力を借 りた部分が大きい。

教員がプ レス トに参加す ることで、客観的な視点を 与 え、新 しい方向性で検討す る視点を与えるのに役立 つていた と指摘できる。その一方で教員のアイデアに 頼 りす ぎた、ポスターのアイデアの善 し悪 しではな く、

学内審査に通ることを目的 として しまったとい う反省 も見受 け られた。学生の自主的な問題解決ができるよ うなア ドバイスを心掛ける必要がある。

設間 11「 施 主の方 とのコミュニケーシ ョンは うま くと れま したか ?Jの 設間では、 うま くとれたと回答 した 学生は全体の 357%、 いいえと回答 した学生は

28.6%、

どち らともいえない と回答 した学生は 357%で あつ た。施主 とのコミュニケーシ ョンについて、下記の よ

うな感想があつた。

 

当初は どのよ うに取材 をすればいいのかわか らな かつたが、施主の方々の人当た りの良さか ら、交 流を してい くうちに自然 と質問を投げかけること ができた。

 

施主 さんの中には、 自分の会社の広告を勧 めるよ うな方 もい らっ しゃつた。施主 さんの考え等 も考 慮 しつつ、 コミュニケーシ ョンを取つてい く必要 があると思つた。

以上のアンケー ト調査 より、グループワークとして ポスター制作に参カロした学生に姜成が期待 され るデザ イン実践力は以下のように整理 され る。

 

グループワー クによつてデザイ ン制作に取 り組ん だ結果、グループ内における自分の役割やポジシ ョンを意識 しなければプロジェク トは円滑に遂行 することができないことに多 くの学生が気付いた。

個の制作 とい う意識か ら脱却 し、複数人による制 作の難 しさを経験す る中で、グループ制作におけ るコ ミュニケーシ ョンカの重要性が意識化 された ことが指摘できる。

 

コミュニケーシ ョンカは、グループワークに必要 とされているだけでな く、ポスター対象 となつた 関係者の方々への取材を行 う際にこそ求め られ る 能力であるとの感想が多 く見受け られた。取材で 得 られる情報の量や質は、その対象の新たな価値 を見出すための基礎資料 となる。 コミュニケーシ ョンカの発揮が、その後の ビジェアル コンセプ ト やアイデアに大 きく影響す るもの と指摘できる。

 

個の技術や能力の伸長 よりも、グループとしての 個の伸長 としての感想が多 く見受け られた。そ し て自分の能力 をグループ内においていかに発揮で きるのか、あるいはグループメンパーの能力をい かに引き出す ことができるのか、 どこで使 うのか といつた管理能力の必要性が感想か ら見受けられ た。 グループ ワークとしての遂行す るためのマネ

ジメン トカの重要性が指摘できる。

6  市民によるポスター評価

焼津 さかなセンター内において、 10月 中旬か ら 11

月中旬にかけて、市民による人気投票を実施 した。投 票では 「一番 目を引いた。個性的だ と思つた。」「キャ ッチフレーズが面 白かつた。共感できた。」「内容に興 味を持つた。友達にも見せた くなつた。 Jの 3項 目の設 間を設 けた。有効票数は 222票 があ り、全 55枚 のポス ターの総合 ランキングを表 2に 示 した。 尚、市民によ る人気投票の静岡大学担 当分の上位

5点

のポスターに ついてキャチ コピー とリー ド、ビジュアル コンセプ ト について概観す る。

1位 (総

2位)「 黒 はんぺ ん」

キ ャ ッチ コピー

:里

はんぺ ん リー ド

:ふ

る里の味

黒 はんぺん は焼津 を代表す る加 工食 品

(練

り物

)で

あ る。黒 はんぺんの 「黒」の漢字 を主モチーフ として 制作 した ことが特徴 的で あ る。「黒

Jと

い う漢字 は「里J

と「れ つか」で構成 されているこ とに着 目し、「れ つか」

部 を4枚の黒はんぺんの実物写真で表す こ とで 「里」

の字 を強調 させ、「里はんぺん」と視認 で きるよ うな画 面 として構成 した。 黒はんぺ んは焼津 市民 の ソウル フ

231

(9)

川原崎知洋   伊藤文彦

― ドであ り、 また焼津市民の 「ふ る里 の味」である と い う価値 を発 見 し、 これ を ビジュアル コンセプ トとし た。 また、画面の背景は黒はんぺんの 「黒」 をス トレ ー トに捉 え、文字は黄金色で表現 した。黒はんぺんは 庶 民的な食 品だが、あえて高級感 のあるビジュアル と し、 日常的な食材 を非 日常的な食材 と して提 え、普段 食 してい る黒 はんぺん とは異な る表情 を持 たせ た。

2位

(総

3位)「 小り

II港

J

キ ャチ コピー :お かげ さばで元気にや つてます リー ド

:全

国有数 の さば漁港

小川 港 はサバ の漁獲 量 が多 い とい う特徴 が あ った。

前述 した よ うに、当初 「ばかサバ とれ る」 とい うキャ ッチ コ ピー を提案 して いた が、小川港 関係者 の 了解 が 得 られ ず 、代案 を考 え る必要が 出た。 そ の結果 、制作 したイラス トを活かせ る言葉選び を行 い、「おかげサバ で…」 とい う駄洒落を用 いて、分か りやす さを強調 し たキ ャチ コピーで再提案 した。

3位

(総

6位)「焼津港 」

キ ャッチ コピー :モ テす ぎちやつて困るんです よ!!

リー ド

:鰹

の漁獲量、 日本一

焼 津港 は健 の漁獲量 が 日本一 とい う特徴 が あ る。 ま た 、 日本全国の鰹漁師が集 まる とい う特徴 もあつた。

また漁師専用 の港 とい うこともあ り、焼津港の取材 が 非 常 に困難 を極 めていた が、時 間 も限 られ てい る状況 下、強行 的に写真撮影 を行 つたも2人の漁師が船の上 で談笑 してい る良い雰囲気 の写真撮影 に成功 し、この 写真 を使 用す るこ とを制約 と し、 キャ ッチ コ ピー を考 案 した。 画面左側 の漁 師 が'「鰹 を抱 いて い る」 よ うな 仕 草 を して い た こ とか ら、鰹 のイ ラス トを合 成 させ 、

「モテす ぎちやって困 るんです よ‖鰹 にね)」 のキ ャ ッチ コ ピ‐ を提案 した。 キ ャ ッチ コピー を大 き く表 示 させ 、 ビジュアル コンセプ トが一 日で分か りやす く 伝 え られ る画 面 を構成 した。

4位

(総

7位

)1航空 自衛 隊静浜基地J

キャチ コピー :す みませんっ上か ら目線 で

リー ド

:高

い所か ら皆 さんの安全 を守 らせ て くだ さい 航 空 自衛 隊静浜基地 のポス ター制作 で は、制 作者 が 望む 写真 を撮影す るこ とが 出来 なかつた。反 面 、静 浜 基地 に関連す る多 くの写真提供 を していただ くこ とが で きた。提供 していただいた写真を使用す るとい う制 約 の 中で 、そ の写真 の 中に映 し出 され てい る価値 を発 見 し、 キ ヤ ツチ コピー を考案 した。 上空 を飛 行 す る航 空機 。 そ の機 内か ら操縦 士の肩越 しに街 の様 子 が映 し

出 され た写真 につ いて検討 され た。その 中で、「上空か

2全 55選

ポス ター ランキ ング122

薇 ・ 独    .

1位 r黒 はんぺん」 2位 「 小

"│お

」 3位 「 焼津港」

4性

r自 衛隊籍浜墓綺 5位 r颯 兼 .角 素」

・L        

・■ 二

・ 一 一 一  

・ 一

︐ 一

(10)

デザイ ン実践力 を養成す るための地域連携 プロジェク ト

ら街の安全を監視」は見方を変えると「上か ら目線で 街の安全を監視」 と捉 えることができる。 あえて 「上 か ら日線

Jと

い う立場をとることでユーモアな表現 と

してのキャッチ コピーが完成 した。

5位

(総 合

8位)「

佃煮・角煮 (焼 津の食

)」

キャッチ コピー

:l cm角

の焼津 リー ド:焼 津の味、市 まつてます。

(学 内投票

2位

で、前述の通 りのため省略

)

8学 生による市民評価の評価

本プロジェク トで制作 したポスターの学内評価 と市 民による評価には大きな差が生 じる結果 となつた。 こ の投票結果について、プ ロジェク トに参加 した学生各 自が考察 した。

設問 12「 ポスターの市民投票の結果を見て どのよ うな 感想 を持 ちますか ?ま た、学内最終審査会での投票結 果 との比較か らどのよ うな感想 を持ちますか

?J

 

明確 な表現ほど趣 旨が伝わ りやすいものだ と分か つた。 シンプルなコピーを意識する必要があると 感 じた。

 

市民はコピー とリー ドのつなが りを含めて理解 し よ うとすること、ポスターの隠れた意図を読み解 くことまで意識 しない傾 Fn4が ぁると感 じた。

 

日に飛び込んで くること、内容がす ぐに伝わるこ と、画面イメージがはつきりしていることがポス ターには求め られていると思 う。

 

学内だ とユーモアが感 じられ るポスターの評価が 高かつたが、市民には画面が美 しく分か りやすい ポスターが受け取 りやすいのだ と思 う。

 

デザインを学ぶ学生は一般の方 よ りもポスターの 意図を読み とく能力や発想す る力が専門的である と思われる。そのため、制作物のユーモアや面 白 さといつた観点が市民 とずれ、偏 つて しま うこと があると感 じる。

 

学内では、コピー とリー ドのつなが りを意識 し細 部まで こだわつた作品や、ポスター対象 となつた 人たちの想いを汲んだポスターの評価が高い傾向 にあつたが、市民投票では、認知度の高い 「なる と lや 「黒はんべん」など、分か りやす さを強調 した表現が人気 を得ていたよ うに感 じる。

以上のよ うな考察が見受けられた。学生の考察 をま とめると以下の

3つ

に集約 され こととなる。

「デザインは他者を意識する造形行為である。

J

「デザインを専門的に学ぶ者からの評価が高いポ スターが、必ず しも多 くの人々の共感 を得 るポ スターだ とは限 らない。」

「多くの人々の共感を得るためには、独創性やユ ーモア以上に一 日見た時の分か りやす さが優先 され る。」

また、「ポスター投票に参加 した年齢層 と学内での年 齢層の差が票に出てきたように思える。

J「

ポスター展 がゆつくりじつくり鑑賞するよ うな環境ではない こと が要因 となつているのではないか。」といつた考察があ つたよ うに、評価す る年齢層の違いや、評価す る環境 が学内投票 と市民投票 とでは決定的に異な り、一概 に 比較す ることはできない ことも書き添えてお く。

9ま とめ

本稿では、地域連携プロジェク トに学生が参加 し、

ポスター制作 を通 して養成 され るデザイン実践力につ いて考察 した。ポスタ

̲の

制作はグループワークとし て取 り組み、一連のデザインフローを経験す る中で、

プロジェク トとして求められ る実践力が浮 き彫 りとな った。

ポスターをデザインするためには、対象となるモチ ーフに関する情報をいかに収集することができるかが ポイン トとなる。その際に必要となる力が「コミュニ ケーションカ」であることが、学生を対象としたアン

ケー トか ら明 らか となつた。 コミュニケーシ ョンカは ポスターデザイ ンの基礎資料 となる情報収集 を行 う際 や、プロジェク トを円滑に推進するためにかかせない 能力であることが示 された。また、グループワークと してプロジェク トに参加することで、グループの一員 としての 自党が高ま り、ポスター制作に貢献できるこ とや 自分の役割 についての意識が高ま り、グループ全 体でデザインを推進 させてい くための「マネジメン ト カ」が強化 され ることが明 らか となつた。ポスター制 作の要点の整理 として、 今回制作 した 19点 のポ

^タ

ー の うち、学内投票で高い評価を得たポスター

5点

につ いてコピー とビジュアル コンセプ トを中心に考察 した。

その結果、ポスター対象 となるモチニ フの「新たな価 値 を発見する力」が必要であることを指摘 した。また、

原が提唱する情報の美 と

3つ

のルー トを端緒 とし、ポ スターデザイ ンは分か りやす さ、独創性、笑いのバ ラ ンスに配慮 しなが らデザインす ることの重要性 につい て論 じた。以上のことか ら、ポスター制作を通す こと で必要 となる力は「コミュニケーシ ョンカ」「マネジメ ン トカ」 「新たな価値を発見する力」であることが理解 された。

さらに、制作 したポスターについて市民による人気 投票を行い全

55点

のポスターについての客観的な評 価 を行つた結果、学内での評価 とは異なるポスターが 上位 にランキングされた。市民による評価に対 し、学 生が考察 した結果、デザインは他者 を意識する造形行 為であ り、デザインを専門的に学ぶ者の評価が高いデ ザインが、必ず しも多 くの人々の共感 を得ることには 繋が らないことや、独創性やユーモア以上に一 日見た 時の分か りやす さ Ю )を 重視す ることが重要であるこ とが再確認 された。デザイナーは刻 々 と変化する社会 の動向や潮流を提 えなが ら、次々と新たな価値を生み 出 し創造 していかなければな らない。そのよ うな渦中 にあつても、 自らのデザインを客観的な視点で提え、

冷静な視点で省 察 してい くこともデザイン実践力では 求め られ るであろ う。

以上のことよ り、地域連携プロジェク トにおいて菱 成が期待できるデザイ ン実践力 とは以下のよ うに整理

され る。

(1)グ

ループワークとしてデザイン表現するプロセス を経ることで養成 され る力

(コ ミュニケーシ ョンカ・マネジメン トカ・新たな 価値 を発見す る力・

)

(2)他

者による評価 を省察す ることで養成 される力 (客 観性のある視点で省察する力

)

今回の実践を通 し、デザイン実践力が どの程度学生 たちに姜成 されたかを計測す るには至 らなかつた。 し か しなが ら、デザイン実践力養成のためにプロジェク

233

(11)

川原崎知洋・伊藤文彦

卜型の取組みの重要性 について改めて気付 く契機 とな った。 また、今回の地域連携プ ロジェク トの取組みが ポスターを制作す ることのみに注 目されていたが、焼 津の魅力 をもつと知つて もらえるような施策 を打ち出 さない と本 当の意味での地域活性化にはな らないので はないか、といつた意見が学生から多数見受け られた。

これは自分 とは関係のない地域であつても、デザイン を通 してその地域 と関わることで 自分事化

"さ

れ、

問題意餞を持 ちながら活動するためのモチベーシ ョン に繋がることを意味 している。

グローバル社会 となつた今、地方都市の魅力を誰 も が発信す ることができ、誰 もが彙信できる時代へ と変 容 してきている。デザインとい う視点で地域連携プロ ジェク トに参加す ることで、これまで開ざされていた 地方都市の魅力や価値を再発見 し、同時に人の気持ち を動かす ことのできる実践力の養成 と人材の育成が今 後ますます期待 されるであろ う。

1)伊 藤文彦 川原崎知洋

rデ

ザィ ン教育における地域 連携プロジェク トの実践 と考察

1」 ,静

岡大学教育 実践総合センター紀要,No24,2015年

,pp l17‑124

2)川 原崎知洋 伊藤文彦「デザイン教育における地域 連携プロジェク トの実践 と考察 2J,静 岡大学教育 実践総合センター紀要,No 24,2015年 ,pp.12513

3)満 開ラジオ樹根爛漫

 

土曜 日

13:00〜

15:00(S3S ラジオ

)

4)浜 田浩之 「広告の基本」 ,日 本実業出版社

,2007 lF,p.108

5)原 研哉 「デザインのデザイン」

,岩

波書店

,2003

1「,p.209

6)原 研哉

,前

掲書

,p213

7)原 研哉

,前

掲書

,p.211

8)原 研哉

,前

掲書

,p211

9)原 研哉

,前

掲書

,p212

10) http://i gzn jp/ing/2013/08/27/olevё r―prints

/09 jpgか ら引用

11)最

終案はキャッチコピー 「おかげサバで元気にや つてます」に変更された。

12)網

掛けとなつた 19点 のポス ターが静岡大学担当 分のポスター。

13)分

か りやす さには、画面におけるシンプル さとい

う分か りやす さや、アイデアにお ける分か りやす

さ等の複数の分か りやす さに分類 されるものと考

え られ る。今回、市民に評価 されたポスターは分

かりやす さが強調 されたものであるとの結論に至

ったが、どのような 「分か りやす さ」が市民には

受け入れやすいのかについては慎重に判断 してい

けなければな らい。

参照

関連したドキュメント

外声の前述した譜諺的なパセージをより効果的 に表出せんがための考えによるものと解釈でき

しかし、近年は遊び環境の変化や少子化、幼 児の特性の変化に伴い、体力低下、主体的な遊

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

ても情報活用の実践力を育てていくことが求められているのである︒

記述内容は,日付,練習時間,練習内容,来 訪者,紅白戦結果,部員の状況,話し合いの内

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

実習と共に教材教具論のような実践的分野の重要性は高い。教材開発という実践的な形で、教員養

学生は、関連する様々な課題に対してグローバルな視点から考え、実行可能な対策を立案・実践できる専門力と総合