現代原価計算のもつ三つの計算機能の特徴
−現代原価計算から管理会計への発展を中心に−
佐 藤 好 孝
一︑給付単位計算機能と原価管理計算機能
対象計算ないし給付単位計算を本来的な課題とする原価計算は︑資本構成体としての企業体に対する利害関係集団
の要請の集約的表現たる原価計算目的に照応して︑有効にしてかつ現実的な原価計算方式を漸次考案整備してきたと
いえる︒とはいえ︑企業体に対する利害関係集団の要請の集約的表現としての原価計算目的が︑原価計算に附与され
るためには︑企業経営に対する利害関係集団の要請を可能ならしめるための計算技術的解決がなされていなければな
らぬ︒この計算技術的解決の問題については︑既に﹁経営と経済﹂第八一号ならびに第八五号において採り上げて来
た︒そこで︑われわれは︑以下本節では︑両計算のもつ機能的特徴を明かにしようとするのがその課題である︒
︹A︺ 給付単位計算機能の特徴
われわれか︑原価計算を給付単位計算と規定する場合︑それは︑一般に期間的損益計算と区別する形式的手法とし
て用いられている︒そこで︑われわれが︑給付単位計算機能としての原価計算の特徴を明らかにするためには︑まず
第一に︑財務会計と対比させて採り上げることが必要であろう︒だがこれには︑実は︑一つの注意を要する︒という
経 営 と 経 済
一 般 に 原 価 計 算 ( 問 ︒
2
円
82Fロロロ開)といっている言葉の概念には︑期間的原価計算
3
2
古 島 ・
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円 ︒ ︒
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給 付
原 価
計 算
( 同
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同
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ロ
30Fロ ロ ロ
m l
l なる二つのものが包含されているからである︒両者は共に給付原価の計算を的いとしてはいるが︑前者
は︑明かに期間計算であって︑そこには期間的損益計算と区別する上述の形式的手法には当依らない︒従って︑上述
の原価計算とは︑明かに︑後者の同色
w c z z
o
ロを指しているものであるという乙とが出来る︒若し前者︑すなわち
同M O
Z O
品
ω 岳問︒巳 目
35 nv
ロ ロ ロ
m
を意味するものとすれば︑原価計算は﹁経営の内的ないし生産過程の費消価値を把
握し﹂︑期間的損益計算は﹁支払過程
( N ω E
m2
ロ ロ
m
︒ 円
ω
口問)の費消価値を把握する﹂と規定すべ︑きであろう︒ のは︑われわれが︑
ところで︑制度としての原価計算は︑常に一般会計ないし損益計算との
計算的結びつきを前提として採り上げられるのが普通である︒乙の場合に
おける給付原価計算︑経営簿記︑ 一般会計の三者の関係は︑上図の如く(
I
図表
I )
︑給付単位計算としての原価計算と一般会計とは経営簿記という
表
連結鎧によって結合せられる︒この様に︑給付原価計算は︑経営簿記とい
図
う連結銀によって期間化されて一般会計に結びつけられている︒だが︑周
知の知く︑その結合の仕方には種々なる形態が考えられる事は申すまでも
ない︒要するに︑経営簿記は︑給付原価計算上の概念たる原価(同
02 3)
と給付
(Z ZZ
ロ開)とを関連づける乙とを狙った成果計算であり︑
一 般
会
計は︑支払過程上の概念たる費用(﹀正当
ωロ
島 )
と 収
益 (
開
25m )
とを関
連づける乙とを狙った成果計算であるといえる︒かかる意味において︑わ
れわれが原価計算において︑原価確定を行なうととの本質は︑一つには費用と原価を区分することにあるといえる︒
( ︿
包 ・
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︒ 回
目 ︒
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ロ 鈎 担 当
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ロ ・ 同
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ロ ロ
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四 回
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2口出 ω ロ 仏
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ロ 国 内
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3・ 四 回 司 凹 ぬ
・
2ロ 同
ω ユ 国
自 己
ロ 品
︑ 同
︐ y o
︒司君︒凹凹己目・)企業経営における価値犠牲は︑生産的給付に制約され a
た因果関係的拘束をもたないで支払過程を通じて支出との関係において発生する価値犠牲たる費用と︑支出に左右さ
れないで生産的給付に制約された因果関係のもとに発生する価値犠牲たる原価として把握される︒
発 る 生 価 原 値
因 犠原 牲 則 を
g
同 つ の
( t 尚
ミ雇。望号
E最
左の円=費用
語 に
右の円=原価
三 尽 左 の ( 下 弦 の ) 半 月
(a)=中性費用
E
主右の(上弦の)半月
(b)=附加原価
員 ご
線影面=基本原価
言 E
図 表 E
5・Lベ (V
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Kosiol,
E.,
a. a. 0.,
S.2.
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632)さ L 機
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主主
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...、向 い
ロ
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・ 換
N え
・;.れ
) ば 原 価
ピが︑企業経営における価値犠牲は︑上述の如︑き明確な二面とし
て発生するものばかりではない︒原価要素ならびに費用の多くのも
のは︑上図の如く(図表
E )
︑両過程の限界的なもの︑いい換えれ
ば費用にも原価にも関係をもっ価値犠牲に属している︒これをわれ
われは︑基本原価 と呼んでいる︒かかる原価を
( の 円 ロ
ロ 品 目 円
︒
ω
件 ︒
ロ )
両過程の価値犠牲に区分する乙とは︑原価計算に課せられた一つの
課題でもあり︑同時に給付単位計算として特徴︒つけられる実際原価
計算のもつ一つの大きな機能といえる︒この様に︑経営過程におけ
l
乙基
づいて原価通算の原理(の E
ロ 島
gEe同 開
︒ 丘
g
向 山 口
同 の F
E S S ロ
悶 )
徴が見出される︒ に従って給付単位の計算がなされる処にその特
乙こに︑実際の価値犠牲をもとに計算する給付単位計算としての実際原価計算が︑ ﹁期間損益計算の精密化﹂の手
現代原価計算のもつ三つの計算機能の特徴
経 営 と 経 済
二 四
段ないし﹁棚卸資産評価﹂の手段といわれる由来も存在するものといえる︒
原価管理的計算機能
原価計算のもつ原価管理的計算機能とは︑いうまでもなく︑ ハ B
︺一般に︑これを科学的管理法との関連において︑標準
思考による管理手法︑いい換えれば実際・標準比較
( ω
︒ = ・ ロ
ロ ι
r 昇 ︒
ω
芯ロ︿
2E E各 )
はコスト・マネッジメン卜として理解されている︒ による管理として︑さらに
経営管理を行なうためには﹁標準﹂というものが必要であることは申すまでもない︒しかるに︑前述の実際原価計
算は︑記録能力はあっても標準設定能力を欠いでいた︒これに対し︑技術的な﹁科学管理法﹂は︑標準設定能力はあ
っても︑系統的・組織的な記録能力を欠いでいたといえる︒しかるに︑経営管理を行なうために必要不可欠の条件た
る標準と記録との結合が原価制度のなかに止揚された処に︑原価計算が︑原価管理的計算機能をもつに至った一つの
大きな理由が求められよう︒
註
標準原価制度の創設者であるハリスン氏
3・
nE2 2
出 釦
円 己
85
は ︑
﹁ 標 準 ﹂ と ﹁ 記 録 ﹂ と の 関 係 に つ い て 次 掲 の 如 く 述 べ て
い る
が ︑
誠 に
正 鵠
を 得
た 比
輸 と
い え
る ︒
( 富
︒
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・ 冨
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﹀
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H 2fa
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l)
標準と記録とは︑緯度と経度︑貸と借︑東と西︑の如く分離しては考えられないものである︒記録の欠げた標準は︑丁度的を
射撃する場合︑標的係が的中か否かを射手に知らせる手段そもたないのと同じように何等役立たぬものである︒また︑逆に︑標
準の欠げた記録は︑あたかも︑標的係に的を与えないで一弾一弾を注意深く記録せよというに等しい︒標準があっても記録がな
ければ︑丁度︑われわれが︑時刻表をもっているが︑時計をもたなかったり︑逆に時計はもっているが︑時刻表をもたないで旅
行 す
る に
等 し
い ︒
.•
乙の結果︑的従来の原価計算の如く︑原価財の実際消費額に基づいて経過せる経営事象を事後的に計算するに止まら
ず︑経営の経済過程を前もってその経済過程の原価内容の結果をまたずして計算し得る様になった事︑納責任と権限
の委譲に基づく人間中心の計算が行なえる様になった事︑約企業の経済活動(生産活動)の結果の評価が可能になっ
た事︑判経営能率(原価能率)ならびに経済活動(生産活動)の測定が即時的・発生根源的に行なえる様になった事
ぷどが︑原価管理的計算機能をもっ原価計算の特徴として上げられよう︒
乙乙に︑従来の実際原価計算が︑物的計算
( ω
R
冒
2F
ロロロ悶)と呼ばれるのに対して︑原価管理的計算機能をもっ
原価計算としての標準原価計算が︑人聞を中心とした責任計算(︿
RS
件当
22
ロm
ω
同2
Fロロロ悶)と呼ばれる由来も存
在するものといえる︒乙の様に︑原価管理機能をもっ原価計算は︑消費主義原則︑いい換えれば消費主義原則の一つ
( 匂 円 山 口 の 山 間 己 0
0
向 ︒u
向︒
oU
HF︒
ロ)
に
の発展としての﹁真実の原価﹂
(2 58 2ω )
なる思考に基づいて﹁例外の原則﹂
従って原価管理がなされる処にその特徴が見出される︒
ニ
︑ 原 価 管 理 的 計 算 機 能 か ら 計 画 計 算 機 能 へ の 発 展
ー予算統制との関連と標準思考の欠陥の問題を中心に
1
計画機能と管理機能という経営管理上うらはらの関係にある両機能を︑原価計算機能の発展過程的観点に立ってこ
れを考察する時︑原価計算の計算機能は︑原価管理的計算機能から計画計算機能へ︑別の言葉をもってすれは︑経営
の部分領域的管理機能から全体領域的管理機能へと発展移行していったといえる︒われわれが︑いま︑原価計算の原
価管理的計算機能から計画計算機能への発展という問題に答えるためには︑現代原価計算が︑原価管理的計算機能か
ら利益計画をその指標とする計画計算機能領域にまでその機能を拡大したという現実の事実そのものを指摘するに止
まるだけでは充分でない︒より重要なことは︑いかなる企業経営の要請によって︑乙の計画機能が原価計算に附与さ
現代
原価
計算
のも
つ三
つの
計算
機能
の特
徴
二五
経 営 と 経 済
れるようになったかを明かにする必要がある︒このことは︑取りも直きず︑かかる企業経営の要請が生じて来た起因
を探ると共に︑本来的には計画計算機能をもたない原価計算において︑乙の計画機能の問題が︑具体的にどのような
一 一 六
形において解決されているかという事実関連を分析することにある︒かくて︑この企業経営の要請の起因ならびにそ
の要請がいかなる形で解決されているかの事実関連を分析し︑解明することは︑実は︑原価計算の管理的計算機能が
いかにして計画計算機能に発展したかを明らかにする道でもある︒
われわれが︑いま︑乙れを結論的に申せば︑原価計算の原価管理的計算機能から計画計算機能への発展の問題を明
らかにするためには︑付従来の標準思考に基づく原価管理の欠陥ならびに 白原価計算と予算統制のもつべき課題が
具体的にどの様な形で結合されるに至ったかの事実関連を分析することに求められる︒これらの問題は︑いづれも予
算制度と原価計算との結合関係の分析を通じて初めて明かにされるという関係にある︒企業予算は︑周知の如く︑歴
史的には一九二
O年前後に標準原価計算とほぼ時を同じくして発達し︑しかも初期においては︑両者の発達は非常に
かけはなれており︑標準原価は工場内部において発達し︑予算制度は企業の財務面において発達したという関係にあ
ったといわれる︒乙れがその後︑両者は︑共に同一の経営原理に基づくものに外ならず︑かっ両者は︑共に原価管理に
関し完全に相互補完的な二面であるという事が認識されるに至ったという事情にある︒
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ロ ・
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︒ 口
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ω・ )
乙の結果︑予算制度は︑財務予算から出発し︑次第に販売予算︑製造予算などのような活動予算へと移行し︑乙れ
めた総合予算
的に見た場合︑大約次掲の二つに分けられよう︒ がついに調和の原則
(U 15 6Z
え℃円︒℃︒立芯ロ)のもとに財務予算も含めたいわゆる経営全体の各部門の予算を集
へと発展した︒われわれが︑いま︑原価制度と予算制度との結合関係を事実関連
( 自
ω22
vc
品 開
立 )
一︑原価管理面での部分的結合
二︑経営計画面での全体的結合
従って︑われわれは︑両制度の結びつきを上掲の二面に求め︑乙の二面より両者の結合の事実関連を中心に本首題
の課題に対する諸問題を以下解明してみる乙とにする︒
︹
I
︺原価管理面での部分的結合
予算制度と原価制度の両者が︑原価管理に関して︑相互補完的な二面であるという事に気付かれ始めたのは歴史的
には比較的早く二九二三 l 四年頃の文献には既に明確なる形において取扱われている︒特殊部分的機能の予算ではあ
一九二三年頃には︑製造間接費が固定的な間接費予算の形で取り上げられ︑これが︑標準原価制度における標
準間接費率として標準原価制度に採り入れられ︑両制度の部分的結合関係が完成している︒かかる固定的な間接費予 る
が ︑
算 は
︑
一九二五年頃より弾力性予算へと発達レ始め︑ 一九二六年頃には乙れを一般に普及せんとする処まで発展し
た︒すなわち︑例えば一九二六年に米国商工会議所(の
ZB V2
︒ 同 わ ︒
BB 28
︒ 同 吾
o dE Z品
ω Z Z ω )
が︑製造
工業部門において標準原価を使用した際の会計処理の統一化をめざして発表したパンフレット
手 円 ︒
mv po dg o同ω
Zロ 色
刷 耐 え
ω )
がその一例である︒(詳細は︑拙稿﹁米国標準原価計算とドイツ計画原価計算との発展過
( ゎ
︒ 丘
﹀ の
の
O
ロロ己ロ悶
程 の
史 的
比 較
考 )
同 ﹁
経 営
と 経
済 ﹂
第 八
一 号
を 参
照 さ
れ た
い ︒
)
要するに︑このような特殊部分的な形で両制度の結合が完成されたのである︒だが︑そこには︑次述の如く︑この
様な結び付をもってしては到底解決し得ない経営管理上重要な意味をもっ欠陥を包蔵していたといえる︒標準設定に
基づく原価管理思考︑いい換えれば標準管理思考には︑そこに︑原価管理上救い難い大きな欠陥が内在されていた︒
現 代
原 価
計 算
の も
つ 三
つ の
計 算
機 能
の 特
徴
二 七
経 蛍 と 経 済
すなわち︑直接費関係原価(直接材料費・直接労務費)は︑単位原価標準によって︑変動的間接費関係原価について
二入は︑弾力性予算によって管理し得た︒︑たが︑ 一般に︑固定的設備資産に結びついた固定的間接費として分類されてい
る原価については︑上述の標準思考を適用する
rけでは充分でなく︑ 一つの別の思考を必要とするという欠陥︑すな
わち乙れである︒乙乙に︑われわれは︑本首題の如︑き原価計算の発展を望む企業要請が発生して来る一つの起因を求
める乙とが出来る︒かかる要請に答える一つの手段として︑例えば米国では︑固定費管理について︑付支出管理標準
│事前計画に基づく支出限度予算による管理︑白設備利用の正常標準 l 正常操業度標準による管理を実施していた︒
・( Z k r
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・﹀
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間
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芯少︒?の
Z J E M
‑ ‑ M l ω
・ )
以上の事より導き出し得る結論は︑真の原価管理は︑企業経営の基本的構造の点までさかのぼって考えなければ実
際には行ない得ないという乙とである︒経営構造の問題は︑経営政策!経営方針の問題であり︑企業の経営計画なか
んずく基本計画ないし個別計画
( 匂 円 ︒
﹄ ︒ ︒ 同
ω
司 ︼ロ ロ 山 ロ
m )
に属する問題である︒かくて︑真の原価管理は︑予算制度と
原価制度との部分的結合だけでは充分でなく︑最終的には︑経営計画︑なかんずく基本計画たる経営構造の所までき
かのぼって考えるべきであるという結論に達する乙とは至極自然な帰結であるといえよう︒
真の原価管理が実施されるためには︑先ず基本計画の樹立が必要であり︑乙の基本計画樹立のために資料を提供し
得るものは外ならぬ原価計算であり︑原価計算は︑かかる資料の提供という過程を通じて計画に帰納するという関係
に立つ︒乙乙に︑本来的には計画機能をもたない原価計算に︑計画機能があるとする理論的根拠も見出せると同時に
広義の原価計算に特殊原価調査
( ω
官 三 巴
g E丘E
22 )
なるものが含められる由来も存在するものといえよう︒
︹
E
︺経営計画面での全体的結合
計画はなにも企業の経済活動に限った事ではなく︑われわれが︑経済生活を営む以上常に何等かの形において実行 して来た事であり︑古い時代の企業経営においても︑経営者が︑意識的たると無意識的たるとを問わず︑何等かの形
において一定の計画のもとにその企業経営を行なって来た乙とはいうまでもない︒これに対して︑われわれが︑ここ
にいう経営計画とは意識的・組織的・総合的・科学的計画を指すものである︒かかる計画は︑これが実践的には︑例
¥LEA/
図 表
E(Lay
,
C. F.,
op. ci t.,
p. 32)えば上図の如き(図表
E ) ( え
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︒ロ
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命令
= z s d
︿ ニ
‑ z g
開 ・
Z 吋 E E
‑ P ω 0
・
smm
・)過程を通じて実践化され
て い
る ︒
では︑なぜかかる経営計画が︑企業経営によって要請せられ︑
かつまた実行されるようになったのか︒これには︑種々なる観点
よりする種々なる要因が考えられる乙とはいうまでもない︒だが
いま︑われわれが︑かかる要請の起因を経営計算制度的観点に絞
って考えた場合︑そ乙にはどの様なものが考えられるか︒まず︑
前述の問題との関連において考えられることは︑企業経営者が︑
従来の如︑き部分的・内経営的・消極的管理では︑真の経営管理というものは到底行ない得ないという現実的・経験的
朝実に基づく反省と同時に︑真の経営管理を行なうためには︑全体的・統一的・積極的管理に待つより外ないとする
訴をもつようになったことである︒かかる意識の発生こそ︑われわれが︑本小文で採り上げようとしている本節の
現代原価計算のもつ三つの計算機能の特徴
二 九
経 営 と 経 済
O
首題の如き原価計算の発展を望む企業要請が発生して来た一つの大きな起因と考えられる︒
か く
て ︑
一定の計画の下に経営管理を行なわんとする要請に対して︑現実的・実践的に答えてくれる経営計算制度
報告書の分析と僻釈
"
'1
《 L 旦 組ャ…
¥ 三 」 主 内 /
内部怠らびにタト3 llO
温室
一般むらび叩価のL‑ u録棋、ー‑‑‑〆
は︑何といっても予算制度を置いて外にはなく︑現存する経営計
算制度的観点に立って考えた場合︑乙こから生れる当然の帰結で
図 表 町
(Lay, C. F., op. cit., p. 34)
あるといえよう︒この様に経営計画は︑実践的には予算を通じて︑
上図の如く(図表町)会計的に計数化され︑これによって最も具
体的な形のものとなって︑現実化されて行くのである︒以上採り
上げた経営計画の実践化過程に対する両図表の関係を総合すれば
われわれは︑図表
Vの 如
︑ き
関 係
と し
て 示
し 得
ょ う
︒
きて︑現代的な予算制度は︑端的に表現すれば︑企業体におけ
る経営計画︑いい換えれば経営計画の一つの指標としての短期的
な利益計画
Q82ご
) E
ロ ロ
E m )を︑具体的・総合的・調和的・組
織的に現わしたものであって︑諸部門の活動の総合的計画として
の性格をもつものであるということが出来よう︒乙乙にいう利益
計画とは経常的利益計画を指すものであるが︑乙れは︑常に一定
期間の経営活動の業務計画(販売・生産・購買・貯蔵・資金などの計画)を経営組織との関連において︑本節の最後
これを一般
に 米
国 で
は ︑
に 掲
e
けた別表の如く(図表明 H)
周 知 の 如 く ︑ ー久保田音二郎博土講演使用図表 1 ︑具体的に定められるものである︒
と呼んでいることは申すまでもない︒ 期間計画(宮門広島
12 E
ロ
問 )
乙の様に︑現代的な予算編成の指標をなす利益計画は︑経済事情に応じて種々なる樹方が考えられるが二般には︑
資本構成体としての企業体の経済活動を統一的な資本の自己増殖運動として把握し︑この資本の収益性
刊 直
也 ﹂
駄
制
1 1 1 1 1 1
× ↓
0 0
)
をよりどころとして大綱的に定的められる
‑判
明芯
澱株
のが普通である︒乙の資本利益率の算定には︑まず何よりも前掲
(鴻
株主
臥
図 表
V(Lay
,
C. F.,
op. cit.,
p. 35)の算定式の分子たる年間利益の確定が必要であり︑乙の年間利益
の確定は︑企業の経済活動を費用・収益発生の統一的活動として
把握する乙とによって︑初めて現実的・具体的に確定が可能とな
る︒従って︑利益計画は具体的・内容的には収益と費用との予定計
算にあるということが出来る︒収益発生の実現は︑なんといって
も製品の販売であり︑乙の販売製品の売上収益の予定計算を可能
ならしめるためには︑製品ととの売上原価予定が必要でありこの
予定計算を可能ならしめるものは何といっても原価計算であると
いう関係にある︒と同時に︑原価計算は︑費用計算の面において
も︑既述の如︑き費用と原価の分離という過程を通じて貢献するという関係にある︒かくて︑原価計算は︑利益計画の
具体的内容をなす費用と収益の予定計算に貢献するという過程を通じて計画に帰納する︒
以上の考察を通じていい得ることは︑原価管理面での部分的結合からは︑標準思考に基づく原価管理の欠陥を補な
うものとして︑企業の基本計画設定のための資料の提供という形において︑経営者の計画機能に帰納し︑経営計画面
での全体的結合からは︑利益計画との結びつきにおいて経営者の計画機能に帰納した︒かくて︑本来的には計画機能
現代原価計算のもつ三つの計算機能の特徴
韓基畑A1
1娼鉱1
11 1
1
幸
11益計画の分桁図1音量計
E
豊富関係図表羽
をもたない原価計算が︑いずれも︑計画資料の提供という間接的過程を通じて経営者の計画機能に帰納している処に
現代原価計算のもつ一つの大きな特徴が存するといえる︒
︑ 原 価 計 算 に 三 つ の 計 算 手 段 機 能 領 域 の 誕 生
給付単位計算を本来的な課題とする原価計算は︑消費主義原則︑いい換えれば原価発生原因原則(問︒
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ロ m 名門戸ロ江℃)ならびに原価影響原因原則(同
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m 名門即日石)に基づき経営過程上の価値犠牲を原
価と費用に区分し︑正しい実際の給付原価の計算をする統一的な計算体系であるということが出来るが︑標準思考に
基づく規範原価という新たなる原価概念の採用により︑ここに︑原価計算は︑二つの手段機能が附与されるようにな
った︒すなわち︑消費主義原則に基づいて実際の給付原価を正しく計算するという計算手段機能領域と標準思考とい
う消費主義原則の一つの発展思考(真実の原価)と見倣される思考に基づいて規範原価を計算し︑実際 l 標準比較を
通じ︑例外の原則に基づき経営を管理するという管理手段機能領域とがこれである︒
だが︑標準思考に基づく管理手段機能領域は︑更に︑既述の付固定費管理に対する不備ないし欠陥︑同予算制度と
の全体的結合という二つの事実より︑乙乙に︑経営を統一的・総経営的・積極的観点より管理せんとする経営計画(
個別計画・期間計画)思考計算の発生により︑管理手段機能領域は︑更に二つの手段機能領域に分化するようになっ
た︒すなわち︑原価を管理するという管理手段機能領域と経営を統一的・総経営的・積極的観点より管理するという
管理手段機能領域︑いい換えれば計画手段機能領域とが乙れである︒
この様に︑原価計算の管理手段機能領域が二つに分化したとはいえ︑乙れら二つのものは︑形式的には原価計算の
広狭二つの経営管理手段機能領域をあらわすという相違はあっても︑本質的には︑相対立する関係にあるものではな
現 代
原 価
計 算
の も
つ 三
つ の
計 算
機 能
の 特
徴
経 営 と 経 済
四
く︑むしろ両者は同一範暗において考えらるべきものである︒かかる両管理手段機能に対立するものは︑いうまでも
なく給付単位計算手段機能であるといえる︒給付単位計算手段機能は︑経営過程の価値犠牲の実際消費価値を客体中
心に計算する手段機能であり︑管理手段機能領域は︑双方とも予定原価をもって人間中心に責任領域計算をする手段
機能
であ
る︒
かくて︑われわれは︑原価計算のもつ二つの管理手段機能を︑本質的には原価計算の経営管理手段機能という統一
構造として理解し︑現象的には︑原価管理計算手段機能と計画計算手段機能との二つのものとして理解し︑原価計算
の本来的手段機能たる給付単位計算手段に対立せしめて理解せしめんとするものである︒
(三七・三・一五)