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工業基地の造成と第三セクター

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(1)

79

工業基地の造成と第三セクター

佐  藤  守  弘

1.最近の工場立地動向         ない雇用問題がにわかに重要視されるところとな 最近「地方の時代」という言葉が聞かれるが,  り,定住条件を整備するためには就業機会の確保 真に地方の再生をはかるためには,雇用機会の創  が重要な課題となっている。このためいったん廃 出,生活環境の整備,医療施設の充実,教育文化  止した工場誘致条例を再び制定した市町村や・地 活動の活発化等地域の条件を整備することが必要  元雇用を促進するため地元雇用奨励金制度を設け であることはいうまでもない。         た県もみられている。工場立地を期待する声は各 とりわけ最近は,内外の経済環境の激変にとも 地方に高まりつつあるのが最近の傾向であろう。

第1図地域別立地動向の推移(立地件数)

(注)地域区分

.      {1}関東臨海、近畿臨海

(2)関東内陸、東海,近畿内陸、

山陽

(件) {3〕南東北、北睦、四国、北九州

2,000 {2}1       (4}北海道、北東北、山陰、南九州

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i%) 42  43  44  45  46  47  48  49  50  51  52  53年 資料:通産省「工場立地動向調査」

第1表 地域別工業出荷額対全国シェアの動き しかしながら,近年は全国的な交通通信網の整 (30入以上の事業所)

備や地方における工業生産基盤の整備が進行し, 昭和 36年 42年 46年 52年 一方では大都市地域における工場立地の抑制及び (%) (%) (%) (%)

関東臨海 29.75 30.36 29.35 26.29

外部不経済の増大等により工場の地方分散傾向が   随畿臨海 22.55 20.51 18.49 16.07 みられるとはいうものの,諜生産の地域別構成  器謬 15.86

U.57 16.22

V.38 17.18

V51 17.45V.59 をみると依然として大都市地域の占める比率は大 関東内陸 4.61 558 6.97 8.42

北九州 5.55 4.61 4.36 4.62

きいのである。第1表は,地域別工業出荷額のシ 南東北 2.89 3.18 3.41 4.30

エアの推移を示すものであるが,関東臨海,近畿 近畿内陸

l  国

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臨海,東海,山陽の各地域のシェアは縮小しつつ 北  陸 2.26 2.22 2.28 2.37 北海道 2.50 2.28 2.00 2.54 あるとはいえ昭和52年には全国の67.4%を占めて 北東北 1.09 1.02 1.05 1.35 南九州 1.00 0.92 0.91 1.77

いる。 山  陰 0.39 0.41 0.45 0.57

(注)52年の南九州には沖縄を含む 資料:通産省「工業統計」

(2)

80      茨城大学政経学会雑誌  第42号

とくに基幹資源型工業の立地は大平洋沿岸ベル  びその周辺地域に限られている。

ト地帯に極めて高く集中し,機械工業等の付加価   このような地域的集中の実態を主要業種につい 値の高い技術集積指向型工業の立地は,大都市及  てみると第2表のとおりである。

第2表  主要業種の三大湾・瀬戸内海沿岸地域への集中状況

業  種  名 生  産  品 目 現 在 の 生 産 能 力 当該地域へ

工場数 全国能力 の集中度

鉄  鋼 (高炉) 粗       鋼 22 126百万トソ/年 87%

石  油  化  学 エ  チ   レ  ン 17 554万トン/年 94%

石 油 精 製 燃 料  油  等 49 594万バーレル/日 86%

パ    ル    プ パ    ル    プ 74 951万トソ/年 16%

窯      業 セ   メ   ソ   ト 64 114万トソ/年 63%

非  鉄  金  届 ア ル ミ 地 金 14 151万トソ/年 36%

自   動   車 自   動   車 15 840万台/年 83%

食   料   品 メ リ ケ ソ 粉 51

i大手) 2万トン/日 71鰯 繊      維 紡      績 47 450万鐘/年 33%

基礎化学製品 か 性 ソ ー ダ 54 415万トン/年 67%

金 属  製  品 ア ル ミ サ ッ シ 35

i大手) 地金消費9万トソ/月 30%

(注)1.集中力は生産能力ベース  2.数字は通産省調べ

(資料)通商産業省「産業構造の長期ビジョγ」(昭53)

東嘉伊勢,大阪の三大湾およ瀬戸内海沿岸地  大都市周辺の関東内陸,東海近畿内陸の各地域 域への生産集中状況は,鉄鋼(高炉製鉄)で87%, には一定の分散立地がすすんできたけれども,北 石油精製56%,石油化学(エチレン)94%,窯業63 海道,北東」b山陰,南九州などの遠隔地域にお

%となっていて基礎資源型工業の集中が著しい。  いてはあまり活発ではない。とくに昭和50年以降 以上のような基幹産業の地域的集中は,国土の  は全国的に新規工場立地が低調である。

均衡ある利用の面からも障害が現われ,とくに大   また三大都市圏からの工場移転状況は第3表の

都市地域では,用地,用水,電力等の生産資源の       第3表 三大都市圏からの移転状況(件数)

逼迫という事態も現れている。

この反面工業の地域的展開の遅れによって,雇 昭和 年

用機会に恵まれず,人口とくに若年層の流出,生 移転前 移転先 48 49 50 5ユ 52 53 活水準の立ち遅れが続き,地域経済の基盤の強化 北海道 4 0 1 0 0

0

を望む地域が広く残されているとみられる。 東  北 52 40 3 2 2 1

関東内陸 94 39 23 14 9 6

このため先般決定された第三次全国総合開発計 関東臨海 215 82 74 106 35 40 画においては,計画課題の一つとして工業再配置 東  海サの他  ・

11 構想をとりあげ,「定住構想を実現するためには,

関東臨海 1 0 0 0 0 1

環境の保全に配慮しながら地域の工業立地条件に 東  海 206 107 74 103 10 39 則しつつ定住人口の労働力供給に適合するよう工 北  陸サの他

1 8 8 3

業再配置を促進する必要がある」とし,そのため

近畿内陸 14 16 10 4 0 2

の工業生産基盤の整備の必要性をあげている。 近畿臨海 56 19 45 39 12 13 ところで大都市地域への工場立地を抑制し,そ 山  陽サの他 11

1 9

の地方分散を促進する政策は昭和37年の全国総合 その 11 2 2 2 0 0 開発計画以来継続して行われているのであるが, 資料:通産省「工場立地動向調査」

(3)

佐 藤:工業基地の造成と第三セクター       81

とおりであって,工業再配置法の制定によって移  近畿臨海のほか近畿内陸,山陽その他に分散し 転促進地域誘導地域の設定が行われたが,移転  ている。

先地域は同一地域に集中しているといえよう。地   このような工場移転を含めて工場立地の受け入 域別にみると,関東臨海地域に事業所を有してい  れ先である地域はどのようになっているかをみて た企業は,主に関東臨海のほか関東内陸,東北な  おこう。

ど大都市地域の外周部への移転がみられている。   第4表は地域開発法等の指定地域別にみた工場 東海地域については同一地域である東海に集中  立地の動向であるが,立地件数べ一スでみると,

しているのが特徴である。また近畿臨海地域では  農村地域工業導入促進地域が最も多くなっている が,工業拠点開発を目的とした新産業都市,工業

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整備特別地域にも比較的規模の大きい工場が立地 オている。

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 低開発地域,産炭地域,農村地域などは小規模 ネ工業開発拠点であり,工場立地も分散的である

寸 cq 寸 唱一噛州 c噂 o cq u尊 N 一 ロ闘P 7一弓 一 のに対して,新産業都市,工業整備特別地域は既

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@(障 寸 成工業地域にかわって新しい工業拠点を形成しよ

cq 一辱 卜層 うとするものである。このような新工業基地がど

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@q◎ 寸 のように造成されているか,あるいはまた最近各

地にみられている第三セクターの役割はどのよう

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@cq OD なものかについて事例を踏まえてみておこう。

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@cつ oつ 2.工業基地造成と第三セクター

cq   σつ 一噂 一 一 Q9 oq    一 3寸 1960年代以降,わが国の工業開発の中軸を担っ

o ζ臓 c冠1隈ト (ぬ O oつ o oつ ⑩ o 7圃 o くつ てきた新産業都市及び工業整備特別地域に限って

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@寸    一r 工業基地造成のための産業関連施設の整備がどの

一 一 〇9 ① 「甲 cq 寸 o 畑 00 u◎ cq uつ OD ようにすすめられてきたかを検討しよう。

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カコ  まず各地域における工業出荷額の実績を旧基本 v画の目標値にたいする達成率でみると,第5表

σq o 卜r oう トr   トー ミ》 09 1」0 寸 cq   卜亀

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黶@qつ   ㏄ のとおりである。

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新産業都市関係では,仙台湾,松本諏訪;富山

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[1 じ鴨    o 高岡,岡山県南,東予などの各地域においては目

調毅 αつ 一1 ⑩ 一 qD   寸

標値を上まわっているが,秋田湾,日向延岡,徳

uう 0 0D cq トー ひq    一唱 島,不知火有明大牟田などの地域では目標値の7

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⊂つ cq GQ 《) 一    LΩ 署 太平洋沿岸ベルト地域から遠くはなれた遠隔地域

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早j   ◎) 藝 における目標達率が低いことが注目される6しか

拙 し遠隔地域のすべてが目標達成率が低いかという

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寳餐翌W瀞趣総{ロ 置 と,仙台湾,松本諏訪富山高岡などの太平洋沿

廉H瞳適動≡〔謎 111亜適 コ瑠轟 蟹 率が低ぐなっているとはいえないであろう。むし

(4)

82       茨城大学政経学会雑誌  第42号

第5表  新産業都市及び工業整備特別地域の人口・工業出荷額

人   口 50年目標 工業出荷額 50年目標

40年 50年 達成率 40年 49年 達成率

新産業都市地域 (89) (93)

1 道      央 156 211 io2 3,488 i5,071 77

2 八       戸 34 38 86 438 2,752 85

3 仙  台  湾 87 106 101 1,435 7,841 105

4 秋   田  湾 31 35 81 566 2,3ヱ6 50 5 常 磐 郡 山 81 83 82 1,191 6,825 82

6 新     潟 72 79 88 1,326 6,422 78 7 松 本 諏 訪 54 58 87 且,654 7,587 147

8 富 山 高 岡 75 80 88 2,367 11,589 125

9 中     海 54 57 94 678 3,227 87

10 岡 山 県 南 94 1】7 85 4,307 28,078 124

U 徳      島 46 50 81 978 4,588 60

12東      予 48 50 78 2,146 10,215 120

13大      分 ξ7 56 88 866 6,975 73 14 日 向 延 岡 22 23 65 6ユ8 2,289 56

15不知火有明大牟田 146 147 88 1,830 7,476 69

工業整備特別地域 (89 (92)

} 鹿     島 18 23 65 90 8,725 67

2 東 駿 河 湾 74 89 95 4,145 18,457 100

3 東  三  河 53 61 90 1,813 9,】13 77

4 播      磨 116 144 93 6,245 30,466 96

5 備      後 74 85 93 2,557 12,045 120

6 周      南 39 44 75 2,930 94,863 80

(注)L 人口は国勢調査 2.工業出荷額は名目価格

3 実質達成率は50年目標に対する49年実績による実質達成率

資料二国i,「1

ろ目標値の達成率という面では,計画における目  過密化した既成工業地域への人口と産業の集中化 標値の妥当性や工業用地をはじめとする産業関連  を抑制するとともに,

施設の整備の進捗状況などが規定要因ともなって  成することを目指したのであるが,各地域につい いるのであって,必ずしも工場立地動向における  て人口と産業の目標達成率の相関をとると第2図 遠隔地の不利匪のみに起因するものではないとみ  のようになる。

られる。・       これによると,工業出荷額の目標値を達成した 一方工業整備特別地域についてみると,鹿島, 地域にあっても,人口の目標値を達成している地 東三河を除くと工業出荷額の目標値の8割を達成  域は少ない。道央,

しており,新産業都市にみられたようなばらつき  においては,都市機能の集積の効果によって人口 は大きくない。これは工業整i備地域としての指定  の増加もあり,目標値に到達しているのである。

要件として,工業の集積や産業関連施設,都市機  したがって全般的にいえば工業出荷額の伸びに対 能の面である程度成熟した地域がとりあげられて  して人口の増加がともなわず,人口目標値に到達 いることによるのであって,鹿島地区を除けばす  した地域は数が少ないといってよいであろう。

でに工業地域としての条件が整備されていたため   また工業基地建設のための公共投資の進捗率 に,工場立場動向においても,また工業出荷額の  と,工業出荷額の目標達成率との相関についてみ 面においても一定水準を維持していることになっ  ると第3図のとおりである。

ているのであろう。      ここでは大きく区分して3つのグループにみら ところで,新産業都市及び工業整備特別地域は, れる。まず第1に公共投資の推捗率を超えて工業

(5)

佐 藤:工業基地の造成と第三セクター       83     ピ

第2図 工業出荷額目標値・人口目標値の達成率の相関

資料:国ヒ庁

人達

値率      x印 L業整備特別地域

番号は第5表による

100

1         3・      .

         ・    x2      3    15        x4       x5

@    1ぎ㌦・.2・9   ・、  .,4 .11  ・5      1げ

       ●

゜14     ×1

】00      150        工業出荷額囲 目標達成率

一[目

業標出達   第3図公共投資実質進捗率と工業出荷額目標達成率の相関

荷成

額率      資料:国上庁

150

゜7

・6  1°・12・5        ・印礫整備特別地域

番号は第5表による         ・

・3

100 x2

・9

     ゜2

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゜13

1も  x1

・11

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@     4

100       150         公共投資 実質進捗率

(昭和50年)

(6)

84       茨城大学政経学会雑誌  第42号

出荷額の伸びが大きいAグループである。つぎに  うかも問題であろう。そのため公共投資の各項目 両者の間に一定の相関がみられるBグループであ  についてもより細かく検討する必要があることに

る。第3には,公共投資の進捗にもかかわらず,  留意する必要があろう。

工業出荷額の目標達成率の低いグループである。   つぎに工業基地造成の具体的事業内容とその事 それぞれのグループに所属する地域をあげると 業主体についてみておこう。

つぎのとおりである。       工業基地造成に関連する事業を生産関連投資と Aグループ=富山高岡,松本諏訪,岡山県南,  生活関連投資に区分してみるとつぎのようにな 東予,備後,周南。      る。

Bグループ=八戸,仙台湾,常磐郡山,東三河,  A・生産関連投資

播磨,東駿河湾。      1.工業用地(内陸・臨海)

Cグループ=新潟,秋田湾,徳島,大分,日向    2・工業用水道

延岡,鹿島,道央。       3・輸送施設(道路,鉄道,港湾,漁港,空 Aグループの地域は,既存の都市機能の集積が     港)

あり,また工業生産の面でも一定水準を示すよう    4・通信施設 に工業開発の熟度がある地域といってよい。これ    5・国土保全施設 に対してCグループの地域は,都市機能や工業生   B・生活関連施設 産機能の集積が十分でなく,工業開発面での熟度    1・住宅,住宅団地 が低い地域といってよいであろう。とりわけ道央    2・上水道,下水道 地域は公共投資進捗率が高いにもかかわらず,工    3・教育・厚生施設

業生産の目標達成率では低い。また秋田湾は工業     1) 教育施設(幼稚園,小学校,中学校・

開発の成熟度という点では最も低い地域である。     高校)

ところで昭和39〜50年度までの公共投資の内     2)厚生施設(保育所,病院,清掃施設)

訳を生産関連投資と生活関連投資に区分してみる    4・職業訓練施設 と,全体として生産関連投資が生活関連投資を上    5・公園緑地 まわっているのが特徴である。       6・その他

従来から拠点開発方式においては生産関連投資

が優先されて,生活関連投資が立ち遅れていると  以上のように区分してそれぞれの事業主体をみ 指摘されていたが,実際の数値においてもこれを  ると第6表のごとくなる。

確認することができる。地域別には富山高岡,東   工業用地については,県事業が最も多く,これ 予,大分,鹿島,東駿河湾,東三河などにおいて  についで公社・公団事業がある。海岸埋立による は生産関連投資の比率が大きくなっている。また  臨海工業用地の造成,開発公社による工業用地造

それぞれの部門別の実質進捗率をみると,新産都  があるからである。

市地域では生産関連投資は119に対して,生活関   工業用水道事業は県の公営事業会計によるもの 連投資は104,工業整備特別地域においてはそれ  が最も多い。

それ103,77となっており,いずれの場合におい   輸送施設では国,県・市町村・公社公団が分担 ても生産関連部門の進捗率は高いのである(付表  して実施している。

参照)。      通信施設は電電公社による。

勿論,公共投資の内容を生産関連,生活関連に』 @国土保全施設では国,県,市町村が事業を分担       r

謨ェするのは多分に便宜的であり,例えば道路,  している。

鉄道,通信施設が生産関連とだけいい切れるかど   以上を通じてみると生産関連投資については,

(7)

佐 藤:工業基地の造成と第三セクター       8与

第6表  新産業都市・工業整備特別地域全体の各事業の事業主体比率(件数べ一ス)

地 域 新   産   地   域   工   特   地   域

iヌ.分 A B C D A B   C D A B C D

L 工 業 用 地 13 7 11 6 3 4

19 10 15 44

2.工業用水道 2 14 3 1 6 4 3 20 7 1 31

3. 輸 送 施 設 14 14 14 12 6 6 6 5 20 20 20 17 77

4・ 通 信 施 設

14 6

20 20

5国土保全施設 13 14 9 1 6 6 6 ig 20 15 1 55

6准宅および住宅団地 13 13 13 1 6 5 5 1 19 18 18 56

7.水道および下水道

4 14 1 5 6 9 20 1 30

&教育および厚生施設 3 13 14 10 1 4 6 3 4 17 20 13 54

9 職業訓練所 1 9 1 4 1 1 10 1 4 16

緯 公 園 緑 地 1 11 14 2 4 5 1 1 15 19 3 38

ll. そ  の  他 2 9 14 11 6 6 3 2 15 20 14 51

合       計 36 114 103 80 15 50 47 27 61 i64 150 1.7i472

(注) A:国直轄事茉 B:県事業 C:市町村事業 D:公社公団等 資料:国土庁

風県,市町杜公社公団が事業分野を分け合っ   つぎに代表的な工業基地の造成方式について具 ていることがみられる。      体的に比較してみよう。採り上げた地域は千葉港 うになっ  中央地区,鹿島地区,東三河地区,苫小牧東部地 ている。      区むつ小川原地区であり,苫小牧,むつについ

住宅住宅団地は,県,市町枯公社公団で分  ては現在検討中のものもある(第7表)。

担している。住宅は賃貸分譲の双方があるが,   千葉港中央地区の特徴は,資金調達面で民間デ 公営住宅と住宅供給公社による分譲住宅などがあ  ベロツパーが参画していることであるが,事業面

る。      でも用地造成,分譲に参加している。

水道,下水道は,市町村を中心として県がこれ   鹿島地区では,資金面では進出企業の予納金を を補完する。      活用しながら,用地造成は県が事業主体となり,

教育・厚生施設は市町村が最も多いカ㍉これを  産業関連施設,都市施設については第三セクター 県と公社公団が補っている。      が設立されている点が特徴である。これは都市機

職業訓練所は国が中心である。         能の面で既存の集積が脆弱で皆無に近いため,政 公園緑地は見市町村の都市計画事業等が中心  策的に創出する必要に迫られたからである。

となっている。       東三河地区では,資金面では民間資金政府系 生活関連投資については・市町村が中心となり・ 金融機関の資金を利用しながら,用地造成,産業 これを県,公社公団が補完する形となっているこ  関連施設,

とがみられるが,こうしたことが公共投資の財源  されている。

確保の面から生活関連投資の立ち遅れが生ずる原   苫小牧東部地区むつ小川原地区においては,

因の一つとなっているといえよう。       民間資金政府系金融機関の資金を導入すると同

(8)

86 茨城大学政経学会雑誌  第42号

瞳≡ミるo

1 婁    電  理       婁  璽 P遷諜 難嘩; 竃葦  葦ミ 蝶F Q    o    o o

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時に, 用地買収はもとより工業基地造成のための   すでに述べたように従来の工業立地政策の主眼 調査計画段階から第三セクターが参画しているの  は,産業関連施設の整備をすすめることによって,

が特徴であろう。       工場を誘導するという立地誘導型であった。しか

(9)

佐 藤:工業基地の造成と第三セクター       87

しながら近年の臨海工業地帯にみられるように,  た。そして苫小牧東部地区,むつ小川原地区のよ 用地規模が大きくなり関連施設もまた大型になっ  うに大規模な工業基地造成になると,ナショナル・

てくると,造成事業費が大きくなり,国,地方自治  プロジェクトという性格から当該地域の資金のみ 体の資金のみでは財源確保が不可能となってきた  ならず産業界,財界全体の出資によって第三セク のである。このため民間資金の導入がはかられ,  ターが設立され,既存の都市機能の集積の欠けた 事業内容においても第三セクター(官民双方の出  地域において政策的にこれを創出しようというこ 資による企業)に依存するところが大きくなっ  とになる。

第4図 工業基地形成における第3セクターの位置とその推移

事 業 内 容

計   画

建   設 維持・管理サービス 開発のステージ

件産・生活除暇

Fii

ii,生産1生活1余暇,@ ii i 生産、生活1余暇1;lii  (対応する事例)

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第1

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第2

iセクター) (大 分岡山県南)

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第3

(セクター)

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㊧:実現化しているもの

開発方式の推移 ○:計画段階

(10)

88      茨城大学政経学会雑誌  第42号

このような工業基地造成方式の推移をモデル的  段階からこれに関与し,計画,建設,維持管理の に示すと第4図のごとくなるであろう。     各ステージにおいて主導的役割を発揮することが

昭和30年代後半において造成された岡山県南地  期待されるようになった。このため第三セクター 区などにおいては第三セクターの参加はみられて  は国や地方自治体の開発行政を補完するばかりで いない。これは工業基地造成にあたり生産関連及  なく,むしろ積極的に工業基地造成の主体となる び生活関連の双方の領域において既存の都市機能  べき位置が与えるように変化し,現在各地の工業 を利用することが可能であり,また工業基地造成  基地建設のために設立されてきている。

に関連する事業については民間資本の参加が可能

であったからである。      3・第三セクターの事業内容一事例研究 ところが昭和40年代前半に入り工業基地の造成   第三セクターの企業の本質をどのように理解す 規模が大型化してくると,既存の都市機能に依存  ぺきかについてはさまざまな説があり,必ずしも できる大都市周辺地域に用地を求めることは不可  一致した見解があるわけではない。事業目的やそ 能となってきた。このため大都市から距離的に離  の内容からして,公共事業,公営事業にはなじま れた地域の開発が行われることになる。鹿島地区  ぬ事業で,しかも民間私企業では採算上参入でき は首都圏内に位置しながらも交通条件の障害によ  ない分野を分担するという常識的理解や,企業の って未開発のまま残されていた地域であり,用地  資本構成が国,地方自治体,民間の共同出資によ 規模,用水資源からみても巨大開発の先鞭をつけ  り事業内容では多少とも公共公益的性格をもつも

るには適した地区であった。しかしそのために工  のという性格づけがなされている。

業開発に必要な都市施設の整備等を開発事業の一   ここでは第三セクターの本質論はさておき,こ 環として採用せぜるを得なくなったのである。か  れまで第三セクターといわれるものがどのような くして鹿島都市開発㈱をはじめとする第三セクタ、部門に設立されてきたかをみると第8表のとおり 一が設立されることになった。したがって第三セ  である。

クターは,工業基地造成にあたり建設段階から関   事業部門別にみると,交通施設・流通施設関係 与し,維持管理段階においてその機能の発揮が期  や観光レジャー関係が最も多く,ついで都市サー 待されるのである。       ビス施設,第1次産業振興関係がこれについでい ところで近年における工業基地造成はますます  る。地域開発・都市開発関係は数は必ずしも多く 大規模化し,用地規模や環境面からみても遠隔地  はないが,交通施設,流通施設とともに昭和40年 に計画されるようになった。このため苫小牧東部  代前半から設立件数が増加していることに注目し 地区,むつ小川地区のように第三セクターは計画  ておきたい。

第8表  第三セクター部門別設立年次別会社数

地域開発 s市開発

都市サー rス施設

交通施設 ャ通施設

埠  頭 q  庫

観  光 激Wャー マスコミ

農林水産

U  興 産業振興 合  計

戦   前 1 1 4 3 2 11

昭和20〜24 3 7 2 12

〃 25〜29 4 6 4 4 11 3 4 36

〃 30〜34 3 8 6 8 7 3 7 4 46

〃 35〜39 6 11 9 13 18 2 13 4 76

〃 40〜44 9 7 22 4 12 3 6 4 67

〃 45〜47 6 2 12 3 7 2 32

25 33 59 58 58 21 31 18 280

(注)昭和4?年3月現在 資料:日本長期信用銀行業務開発部

(11)

佐 藤:工業基地の造成と第三セクター       89

さて,ここでは工業基地造成に関連する第三セ  が,石炭需要の減退から昭和50年度の積出数量は クターを対象として,その組織形態,事業内容に  約302万トンとなっている。

ついてやや具体的にみていくことにしよう(第9  臨海鉄道事業は,昭和43年から開始しており,

表)。      昭和50年度の取扱貨物量は約145万トンである。

まず検討の対象としては,苫小牧開発に参加   フェリーターミナル事業は,昭和47年度より開

し,会社の設立年次が昭和32年とかなり早い時期  始したが,1万総トン級岸壁2パースと開発埠頭      

となっている苫小牧港開発株式会社,東三河湾に  フェリーターミナル施設(ターミナルビル,駐車 木材港およびわが国最大規模の住宅産業基地の建  場等)を備えている。

設を目ざして民問資本が中心になって設立された  当社の設立事情や事業内容からも察せられるよ 株式会社総合開発機構,さらに都市機能の集積の  うに,苫小牧港整備計画と一体となった第三セク ない地域での工業開発を推進し,近年漸やくエ業  ターであり,工業用地の造成分譲のほか石炭荷役,

基地としての体制を整えつつある鹿島臨海工業地  臨海鉄道,フェリーターミナル事業など交通運輸 帯の都市施設の整備を主な事業目的とする鹿島都  機能に重点がおかれている港湾関連の第三セクタ 市開発株式会社,現在大規模工業基地として建設  一である。

中のむつ小川原地区及び苫小牧東部地区の第三セ   〔2〕 株式会社総合開発機構

クターであるむつ小川原開発株式会社,苫小牧東   概要 会社の設立は昭和43年9月で,授権資本 部開発株式会社である。      50億円,払込資本25億円である。資本の構成は,

〔1〕苫小牧港開発株式会社         公共団体が137%,民間金融機関が16.5%,民間 概要会社設立は昭和32年11月で,他の4つの  企業が69.8%となっており,他の第三セクターと 第三セクターと比較すると最も設立年次が早い。  比較して民間の出資比率が大きいのが特徴であ 授権資本は20億円で,払込資本は12億5千万円で  り,いわば民間主i導型の第三セクターといっても

ある。その出資比率は公的機関が全体の57.2%で  よいであろう。

ある。公的機関の出資者は北海道東北開発公庫,   事業内容 当社の事業内容は港湾建設に関する 日本国有鉄道,苫小牧市である。従業員数は387 事業,不動産の取得・造成・分譲に関する事業,

名(昭和51年現在)である。      鉄道,トラックターミナル等貨物運送に関連する 事業目的 事業目的は,①工業用地造成②石炭  事業,公共施設の維持管理に関する事業,観光レ 荷役事業③臨海鉄道事業④フェリーターミナル事  ジャー施設,農畜産業等に関する事業など多岐に 業の4事業である。       わたっている。

事業状況工業用地造成事業は,昭和33〜36年  港湾建設に関する事業としては,港湾諸施設の 度まで用地買収のみであったが,昭和37年度より  取得,造成,譲渡,賃貸借,管理などのほか,土 造成工事に着手し,分譲が開始されたのは昭和39 木建設等の調査,設計,港湾運送,陸上運送,倉 年度からである。そして昭和51年度3月末現在ま  庫業,土木建設用機械,荷役機械の賃貸借,管理 でに買収予定面積27,994千ガのうち26,274干ガ  なども含まれ,土木建設業と大差ないものとなっ の買収を終えている。また分譲予定面積の15,353 ている。

千㎡の80・2%にあたる12,308千ガについては分譲   また公共施設管理業務の受託,ホテル,ゴルフ 契約が成立している。       場劇場,運動場等の観光施設の建設および経営,

石炭荷役事業は,港湾建設のテンポに合せて昭  工業用蒸気の供給販売など港湾,工業団地の維持 和36〜37年度の2年間において年間300万トンの  管理面の業務を分担しているのも注目しておく必 設備を完成し,昭和38年度から営業を開始し,  要がある。

その後積出設備能力を年間400万トンに増強した   さらに関連企業への投資,指導も事業内容に記

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