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ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続 清 水 章 雄

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(1)

ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続

清 水 章 雄

は じ め に

一 .ガ ッ ト紛 争 処 理 手 続 の 発 達 二.ガ ッ ト紛 争 処 理 手 続 の 内容 三.ガ ッ ト紛 争 処 理 手 続 の 役 割

お わ り に

は じ め に

ガ ッ トの 締 約 国 間 の 紛争 処 理 を 目的 とす る条項 は,「 関 税 及 び 貿 易 に 関 す る 」(以 下 「定 」とい う一般 協。)及 び鯨 ・ ウ ・ ドに お いて 雛 さ れ 瀦 等 の 国 際 文 書 の 中 に数 多 く存 在 す る。

一 般 協 定 を例 に とる と,そ の ような条項 と して,第 玉に,一 般的協議を義務 づ け る第22条 が あ る。第2に,一 般 協 定 に基 づ く締 約 国 の 利 益 が 害 され た と き に と られ る紛 争 処 理 手 続 を 定 め る第23条 が あ る。第3に,一 般 協 定 に よ り締 約 国 に課 せ られ た個 々の 実 体 的 な 義 務 に関 して 一 定 の 場 合 に 協議 を義 務 づ け る条 項 が あ るn。 第4に,他 の 締 約 国 の 要 請 を受 けた と き に 自国 の 措 置 の検 討 が 義 務 づ け られ る第7条 第1項 及 び 第8条 第2項 の よ うな 条 項 が あ る。 第5に,他 の 締 約 国 の 措 置 に対 す る補 償 又 は対抗 措 置 として,あ る締 約国の譲許 を撤 回 若 し く

原 稿 受 領 日1983年7月19日

1)第2条 第5項(譲 許 表),第6条 第7項(ダ ンピ ン グ防 止 税 ・相 殺 関 税),第7条 1項(関 税 評 価),第8条 第2項(輸 出 入 手 数 料 ・手 続),第9条 第6項(原 産 地 表 示),第12条 第4項(国 際 収 支 制 限),第13条 第4項(数 量 制 限 の 無 差別 適 用),第

16条 第1項(補 助 金),第17条 第4項(国 家 貿 易 企 業),第18条 第7,12,16,鶉, 22項(政 府 の 関 発 援 助),第19条 第2項(セ ー フ ガ ー ド),第24条 第7項(自 由 貿 易 地 域 ・関 税 同 盟),第28条 第1,4項(譲 許 表 の 改 正),第37条 第2項(開 発 途 上 国 に 対 す る約 束)な ど。

〔105〕

(2)

は停 止 す る こ と又 は 義務 を免 除す る こ とを 可 能 にす る条 項 が あ る2}。 第5に, 一 定 の 場 合 に 締 約 国 の 義 務 を 事 前 に免 除 す る こ と を 規 定 す る 第25条 第5項

(い わゆ るウェーバー条項)が あ り・ 第6に ・ 搬 協 定 の 關 を 助長 す るた め の繍 国 の共 同 行 動 を可 能 にす る第25条 第1項 が あ るが,こ れ ら も締 約国 間 の 紛争 の予 防 ・ 解 決 に関 して 重 要 な役 割 を果 たす もの で あ る。 しか し一 般 協 定 に お け る紛 争 処

理 条 項 と して 取 り上 げ られ るの は,普 通,最 初 に あ げ た第22条 及 び 第23条 で あ る31。

第22条 第1項 は,一 般 協 定 の 運 用 に 関す るい か な る事 項 に関 して も,締 約 国 は他 の 締 約 国 に 申立 を行 うこ とが で き,当 事 国 間 の協 議 が 行 われ な くて は な ら な い こ とを 定 め る。 同条 第2項 は,第1項 に基 づ く協 議 に よ り解 決 が 得 られ な か った 場 合 に,い ず れ か の 締 約 国 の 要 請 に よ り,締 約 国 団 が 当事 国 と協 議 す る こ とが で き る こ とを 定 め て い る。

第23条 第1項 は,一 定 の 要件 の備 った事 項 に関 して,締 約 国 は他 の 締 約 国 に 申立 を行 う こ とが で き,当 事 国間 の協 議 が 行 わ れ な くて はな らな い こ とを 定 め る。 同条 第2項 は,第1項 の協 議 で 解 決 の得 られ な か った問 題 の締 約 国 団 へ の 付 託,締 約 国団 に よ る問題 の 調査,勧 告 又 は裁 定,譲 許 の 停 止 の 許 可 な ど を定 め て い るQ

一 般 協 定 第23条 の 紛 争 処 理 手 続 につ いて は30年 以 上 に わ た る運 用 によ り一 定 の 慣 行 が生 成 し,そ の 手続 は東 京 ラ ウ ン ドで 「通 報,協 議,紛 争 解 決 及 び 監 視 に関す る了鱒 項 」儲 ∬ 蟹野)と して成文化 され,・ の了鱒 項 は1979 年11月 の締 約 国 団会 議 に お いて 「決 定 」 と して 採 択 され た4,。

2)第2条 第5項,第12条 第4項,第18条 第7,12,21項,第19条 第3項,第28条

ど 。

3)T.FLoRY,LEG.A。T.T.,DRolTINTERNATIoNALETco瓢MERcE

MoNDIAL66‑78(1968);J.JAcKsoN,WoRLDTRADELAwANDTHELAw .

oFGATT163‑189(1969);K.DAM,THEGATT:LAwANDINTERNAnoNAL EcoNoMIcORGANIzATIoN351‑375(1970);R..HuDEc,THELEGALSYsTEM ANDWoRLDTRADEDlpLoMAcY46‑48,223‑225(1975).

4)翫der8̀α πdεπgRε9αrd̀π8・ ハb雌cα 古̀oπ,α)ηsω εZoπ,D̀8P鷹8e観 θmeπ̀

απ(オSωroeεZZα πce,26GENERALAGREEMENToNTARIFFs緬DTRADE, BAslcINsTRuMENTsANDSELEcTEDDocuMENTs210(1979).

(3)

ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続

107

IMF及 び ガ ッ トを軸 とす る ブレ トンウ ッズ体 制 は1970年 代 前 半 に崩 壊 した と 言 わ れ て い るが,ガ ッ トは貿 易 に関 す る重 要 な 「国 際 制度 」 と して 機 能 し続 け て お り5[,ガ ッ トの研 究 は 今後 も続 け られ な くて は な らな い。 「国 際 制 度 」 と い う用 語 に は,「 国 際 関 係 の 所 与 の領 域 に お い て,明 示 又 は黙 示 の 原 則,規 範, 準 則 及 び意 思 決定 手 続 の集 合 で あ って,そ れ を中 心 と して 行 為者 の期 待 が収 飲 す る もの」 とい う定 義 を与 え る ことが で き る と され て い る6}。 従 って 国 際 制 度 の 研 究 の1つ の方 法 と して,そ の 制 度 が どの よ う な原 則,規 範,準 則 及 び意 思 決 定 手 続 を有 す る か を研 究 す る こ とが 考 え られ るが,そ れ に は原 則,規 範 又 は 準 則 か らの 逸 脱 が いか な る意 思 決定 手続 によ って どの よ うに処 理 され るか を 明 らか にす る こ とが 必 要 で あ る。 以 上 を踏 ま え て,本 稿 は,ガ ッ トの 準 則(ル ー ル)か らの逸 脱 か ら生 じる紛争 が どの よ うに処 理 され るの か を一 般 協 定第23条 の手 続 を 中 心 に して 明 らか に しょ う と試 み る もの で あ る。

一 .ガ ッ ト紛争処理手続の発達

1.国 際 貿 易機 関 憲章 の紛 争 処 理 手 続 と一 般 協 定 第23条

協 定 は ・ 元 来 不 成 立 に終 ・ 姻 易 機 鵬 章(以とい う下「憲章。 」)の 第4 章 「通 商 政 策 」 を実 施 す るた め に 作 成 され,「 暫 定 適 用 に関 す る議定 書 」 に よ

り1948年1月 ユ日か ら暫 定 的 に実 施 され た7〕

憲章 には,あ る加 盟国 の利 益が他 の加 盟 国 により無 効 化 又 は侵 害 され た こ とに よ り生 じる紛 争 の処 理 手 続 が第8章 「紛 争 の 解 決 」 に定 め られ て い た。 そ こで は,

①紛鞘 事 国間の臓 及 醐 争当事国樋 の合意鷹 つ く繊 へ の概(93条),

② 紛 争 当事 国 に よ る執 行 理事 会 へ の付 託,執 行 理 事 会 に よ る一 定 の措 置 及 び憲 章 上 の 翻 又 は譜 の駈 の 許可(94条),③ 紛 争 当事 国 の要 請 が あ ・た とき の 執 行 縣 会 によ る再 検 討 の た めの 総 会 へ の 付 託(95条)幌 め られ て お り・ さ ら

5)川 田 侃 「相 互 依 存 深 化 の な か の 国 際 経 済 体 制 」 『 世 界 経 済 評 論 』第27巻 第3号,1983

年3月,46頁 。

6)KraSDer,8伽c̀ωrαZC協8es飢d.Reg̀mθ σoπseqμeπcθ8'Rθ9εmθsαs 1πε εroεηε π91疏 αrε αbZθs,361NrゴLORG.185,186(1982).

7)高 野 雄 一 『国 際 組 織 法(新 版)』,有 斐 閣,1975年,290頁 。

(4)

に,④ 法 律 上 の 問 題 につ いて 国 際 司 法裁 判 所 の勧 告 的 意 見 を要 請 す る こ とが で き,(勧 告 的 意 見 で あ って も)そ の意 見 に国 際 貿 易 機 関 は 拘 束 され る こ とが 定 め られ て いた(96条)・ 憲章 第8章 紛 争 の鰍 」1まその ま まの 形 で は搬 協 定 には 受 け継 が れ ず8),無 効 化 及 び侵 害 に 関す る条 項 のみ が 単 独 で 一 般 協 定 に入 り,よ り簡 略 な手 続 が定 め られ,第23条 と な っ た。

2.締 約 国 団会 議 議 長 の裁 定 に よ る紛 争 処 理

憲 章 第8章 の よ うな紛 争 処 理 条 項 が 一 般 協 定 に は な い た め,締 約 国 間 の紛 争 に締 約 国 団が 介 入 で き るか ど うか 疑 問 と され た。 ま た一 般 協 定 に は,国 際 通 貨 基 金 協 定 第29条 の よ うに,協 定 の解 釈 につ い て 生 じる疑 義 の解 決 手続 を定 め る 条 項 もな い。 そ こで ガッ トで は,当 初,そ の 準備委 員会 当時 と 同様 に,締 約国 団会 議 議 長 の 裁 定(ruling)が 紛 争 処 理 の 手 続 と して 利 用 され た9⊃。1948年 の 第2 回 締 約 国 団 会 議 にお い て2っ の 紛 争 が この 手続 に よ り解 決 され た。 しか し この 会 期 に締 約 国 団 に付 託 され た も う1つ の紛 争 は作 業 部 会(workingparty)へ 付 託 され解 決 が み られ た 。

3.作 業部 会 に よ る紛 争 処 理

1949年 の第3回 締 約 国 団 で は締 約 国 団 へ 付 託 され た紛 争 は すべ て 作 業部 会へ 付 託 さ れ,紛 争 は作 業 部 会 へ 付 託 され る と い う慣行 が生 じた 。

作 業 部会 は ガ ッ トに 限 らず 広 く利 用 され,全 体会 議で は な し得 な い 作 業 を小 人 数 で 効 率 的 に行 う もの で あ る。 作 業 部 会 は主 要関 係 国 を常 に そ の構 成 国 と し,

中立 的 な立 場 に あ る国 を も構 成 国 に含 め るが,主 要関 係 国 間 の 合意 の 成 立 に努 め る もの で あ る 。.

第3回 締 約 国 団 会 議 の 作 業 部 会 は この よ うな一 般 的 な作 業 部 会 の性 質 を持 っ て いた が,1950年 の 第4回 締 約 国 団会 議 に お いて 設 置 され たオ ー ス トラ リアの 硫 安 補 助金 に関 す るチ リ ・オ ー ス トラ リア間 の 紛 争1ωを 処 理 す るため の 作 業 部

8)高 野 雄 一 ・筒 井 若 水 『国 際 経 済 組 織 法 』,東 京 大 学 出 版 会,1965年,172頁 。 9)R.HuDEc,sωprαnote3,at66‑67.以 下 の 作 業 部 会 及 び 小 委 員 会 の 導 入 に つ

い て の 記 述 は 同 著 に 依 る と こ ろ が 大 き い 。

10)こ の 紛 争 の 内 容 に つ い て は,内 田 宏 ・堀 太 郎 『ガ ッ トー 分 析 と 展 望 一 』,日 本 関 税

協 会,1959年,601頁 を 参 照 の こ と 。

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ガ ッ トの 紛争 処 理 手 続 109

会 は そ の 性質 を 異 に す る もので あ った。 作 業 部 会 は紛 争 当 事 国 の他 に,英 国, 米 国 及 び ノ ル ウ ェー の3国 に よ り構 成 され,こ れ ら中 立構 成 国 が 中心 的 な役 割 を果 た した。 そ して この作 業 部 会 の 認 定 は討 議 な しで締 約 国 団 会議 に よ り承 認 され た。 この 紛争 解 決 は,形 式 的 に は作 業部 会 に よ る もの で あ って も,事 実 上 は第 三 者 に よ る司法 的解 決 が行 われ た もの で あ る と評 価 され て い る1P。

第 三 者 的 な作 業 部 会 に よ る紛 争 解 決 は その 後 も順 調 で,1952年 の第7回 締 約 国 団 会 議 に は12件 に も及 ぶ 紛 争 が 付託 され,こ の量 的増 加 の た め ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続 に再 び変 化 が生 じるの で あ る。

4.小 委 員 会 に よ る紛 争 処 理

第7回 締 約 国 団 会 議 で 締 約 国 団 に最 初 に付 託 さ れ た紛 争 は,ノ ル ウ ェ ー ・西 独 問 の鰯 製 品 輸 入 取 扱 に関 す る もの で あ る12⊃。両 国 と も作 業 部 会 へ の付 託 に 合 意 し た が ・ 繍 国 騰 長(ノ ル ウ ェー のJohanMelander)はそ の 他1・ も概 さ れ 襯 争 の 数 が 多 い こ と を理 由 と し,本 件 及 び他 の事 件 を1つ の 作 業 部 会 へ 付 託 す る こ と

を提 案 した 。 さ らに数 日後,議 長 は 小 委 員 会(panel)の 設 置 が 合 意 さ れ て い る と し,そ の 議 長 を カ ナ ダ の 常 駐 代 表 の 個 人 名 で,他 の 委 員 を 国 名 (オ ース トラ リア,セ イ ロ ン,キ ューバ,フ ィ ンラ ン ド及 び オ ラ ンダ)で 示 し・付 託 顯 と 共 に 提 案 し・ ・ の 提 案 は 討 議 な しに採 択 さ れ た。

こ の小 委 員 会 に は紛 争 当事 国 及 び大 国 が 加 え られ て いな か っ た こ とに 注意 し な けれ ば な らな い。 紛 争 当事 国 は小 委 員 会 で 陳 述 を 行 う機 会 を 与 え られ,後 に 小 委 員 会 委 員 の み で審 理 及 び そ の認 定 の 報告 の 起 草 が 行 わ れ た 。 さ らに小 委 員 会 は 紛 争 当 事 国 と その 報 告 につ いて 討 議 を行 い,そ の後 に 締 約 国 団 に提 出す る た め の 最 終 報 告 を作 成 した 。 締 約 国 団会 議 で は そ の報 告 の 内容 が説 明 され,討 議 な しで 承 認 され た。

第 ・聯 綱 団餓 では,他 の紛争(雑 展編 轍 繍 獣 辮)'3'も 同様に小委員会・・より判断が下された・他・・綱 の酪農製品轍 制

11)R.HuDEc,3α ρハαnote3,at70.

12)こ の 紛 争 の 内 容 に つ い て は,内 田 ・堀,前 掲 注10),603頁 及 び 道 田 信 一 郎 「国 際

取 引 」 『 現 代 の 経 済 構 造 と 法 』,筑 摩 書 房,1975年,197頁 を 参 照 の こ と 。

13)こ れ らの 紛 争 の 内 容 に つ い て は,内 田 ・堀,前 掲 注10),602頁 を 参 照 の こ と 。

(6)

限 に 関 す るオ ラ ンダ ・米 国 間 の 紛 争141につ い で作 業 部 会 に よ り判 断が 下 され た が,こ の 作業 部 会 は実 質 的 に は小 委 員 会 と同様 の 活 動 を 行 った。

1953年 の第8回 締 約 国 団会 議 において 小 委 員 会 の 設 置 に至 った紛 争 の付 託 は な か った 。1954年 の第9回 締 約 国 団 会 議 に お いて は 付 託 され た2件 の紛 争 につ いて 小 委 員 会 が 設 置 され た。 そ して この時 か ら小 委 員 会 の 委 員 す べ て が個 人 名 で 指 名 され,個 人 の資 格 で 活 動 す る こと と な った。

この 後1963年 ま で に小 委 員 会 に付 託 され た紛 争 は11件 あ り,そ の うち9件 に つ い て小 委 員 会 の 判 断 が 下 され た。 小 委 員会 が紛 争 処 理 に利 用 され る よ う に な った1952年 か ら6年 後 の1958年 まで の 間 に,40件 の紛 争 が 付 託 され,そ の うち11件 に対 して 何 らか の 最 終 的 判 断 が 下 され,20件 に つ い て は手 続 の途 中で 和 解 が行 わ れ,残 りの9件 は放 棄 され て い る151。1959年 か ら1961年 ま で の 間 は一 般 協 定 第23条 の 紛 争 処 理 手 続 は 全 く利用 され て い な い16}。1962年か ら1963 年 まで に6件 の 紛 争 が付 託 され た 。 た だ し この6件 うち4件 まで は米 国 が ケ ネ デ ィ ・ラウ ン ド関 係 の 通 商 法 案 の 議 会 通 過 を意 図 して ガ ッ トの存 在 意 義 を知 ら しめ る ため に 申立 を行 った もの で あ り,他 の2件 の う ち,ウ ル グ ァ イ と15の 先 進 国 の間 の紛 争 は、 法律 的紛 争 とい うよ り,開 発 途 上 国 の 先 進 国 に対 す る政策 的 要求 と い う性 格 を持 つ もの で あ った17⊃。1964年 か ら1970年 まで の 問 は わ ず か4件 の紛 争 しか ガ ッ トに持 ち込 ま れ て お らず,さ らに この 間 は小 委 員 会 は全 く設 置 され て いな い。1970年 か ら1972年 まで の 間 に9件 の 紛 争 が ガ ッ トに 持 ち 込 まれ たが,そ の うち8件 ま で が米 国 の 申立 に よ る もの で,こ れ もま た 東京 ラ ウ ン ド関係 の通商 法案 の議会 通過 を意図 して行 われ たもので ある。 これ らの紛 争 の ろ ち,英 国の繊 維輸 入制限 に関 す るイスラエル ・英国 間 の 紛争 及 び米 国 の 申立 に よ ,り付 託 され た 紛 争 の うち2件 につ いて は小 委 員 会 に よ り判 断 が下 され て い る。

以 上 の よ う煉 京 ・ウ ・ ・交 渉(1973年 〜1979年)カ始 ま る ま で の搬

の 紛 争 処 理 は,① 第 三 者 に よ る 司 法 的 解 決 手 続 と い う 性 格 を も っ 小 委 員 会 14)同 上,604頁 。

15)R.HuDEc,s麗prαnote3,at84.

16)∬d.at216.

17)、 茜d.at81,216‑217.

(7)

ガ ッ トの紛 争 処 理 手 続

111

に よ る 手 続 が 盛 ん に 利 用 さ れ た ユ952年〜1958年,② こ の 手続 の利 用 が急 減 したig59年 〜1969年,③ 主 と して 米 国 の 申立 に よ り この手 続 が 再 び利 用 され 始 め 兆1970年 〜1972年 の3っ の 時 期 に 分 け られ る。

① の時 期 に盛 ん に利 用 され て い た一 般協 定第23条 の紛 争 処 理 手 続 が② の 時 期 に そ れ ほ ど利 用 され な くな った こ との 主 な 理 由 は,ガ ッ トの ル ー ル に対 す る締 約 国 の 態 度 が 変 化 した こ とで あ る18〕。 ③ の 時期 に は,締 約 国 は戦 後 の 自 由貿 易 の 拡 大 に よ る世 界 経 済 の 建 直 しとい う共通 の 目標 を持 ち続 けて お り,そ の 目標 達 成 の 手 段 で あ る精 密 な ガ ッ トの ル ー ル は経 済 活 動 の 明 確 な ガ イ ドとな り得 た。

しか もガ ッ トの ル ー ル の 適 用 は柔 軟 に行 わ れ,そ の こ とが か え って 一 般 協 定 中 の 成 文 の ル ー ル を 発展 させ,ま た締 約 国 に よ る ガ ッ トの ル ール の 遵 守 を 容 易 に した 。 従 って そ の ル ー ル を 適 用 して行 われ る紛 争 処 理 手 続 も盛 ん に利 用 され た。

と こ ろが ② に 時 期 に 入 る と,世 界 経 済 にお け る米 国 の 比 重 の 低 下 及 びEC・ 本 の比 重 の上 昇 並 び に南 北 格 差 の増 大 な ど に見 られ る世 界 経 済 構 造 の 変化 にっ れ て ガ ッ トのル ール には時代 遅 れ とな る ものが生 じ,多 くの締 約 国 に と って そ れ を 完 全 に遵 守 す る こ とが 実 際 上 困 難 な状 況 とな った。 この よ うな状 況 に対 して, 1947年 に制 定 され1955年 に小 規 模 な 改 正 が あ った だ け の一 般 協定 を根 本 的 に 改 正 す る よ り,個 々 の 問 題 の 解 決 を 主 に外 交 交 渉 に よ って プ ラグ マ テ ィ ッ クに 行 うと い う対 処 方 法 が と られ た。 この方 法 の正 当化 の た め ガ ッ トに は一 種 の反 リーガ リズ ム(antilegalism)が 見 られ るよ うに な った。 そ の よ うな状 況 に お い て は司 法 的解 決 手続 とい う性 格 を 持 つ小 委 員 会 に よ る紛 争 処 理 手 続 が 利 用 され な くな るの は 当 然考 え られ る こ とで あ る。

5.開 発 途 上 国 用 紛 争 処理 手続

反 リーガ リズ ムの 見 られ る60年 代 の ガ ッ トに お いて,リ ー ガ リス テ ィ ックな 行 動 を部 分 的 にせ よ 見せ た国 に は,前 述 の よ う に米 国 が あ るが,そ れ 以外 に,

18)Roschke,コ 偽eGAT7ヤPro6Zθ ηお 伽(1Prospecめs,12J.INでLL.&EcoN.

85,86‑89(1977);Hudec,GA7Tα8p撹 θSe観emeπ̀の 孟er仇eToた ッo

Roω η(!'α η 〔Zπノεπ̀8んe(9BωsZηes8,13CoRNELLI喪T'LL.」.145,152‑153

(1980);Lipson,跣 ε 野 απsプbr几 α翻oπo∫71rα(∫ θ 」εんθ80ωrcθ8αrz(ノ 碓cおo∫

Rθ96η τeC7Lα η8召,361NT2LORGり417,433‑437(1982).

(8)

ガ ッ トの 法 的 ・制 度 的 枠 組 の 変 革 を 試 み る こ とに よ り開発 途 上 国 も その よ う な 行 動 を見 せ て い る19}。その 試 み の成 果 の1っ が一 般 協 定 第4部 「貿 易 と開 発 」

G雛 鱗)で ある・搬 齪 第4部 の採択に伴い設置され慣 易醗 委員

会 に おい て 討 議 され た 事項 の 中 に 開発 途 上 国 ・先 進国 間 の 紛 争 処 理 手 続 の 問 題 が あ り,1966年4月 に開発 途 上 国が 先 進 国 に対 して 申立 を 行 う場 合 の 紛 争処 理 に関 す る特 別 な手 続201が採 択 さ れ た 。 この 特 別 手 続 は 「きわ め て妥 協 的 」21}で

不 十 分 」221な改 革 で あ る とす る意 見 が あ る一 方,「 開 発 の 国 際 法 の創 造 へ の ま た1つ の貢 献 で あ る」23}とす る意 見 もあ る 以 下 に記 す 手 続 の 内容 を見 れ ば, 開 発 途 上 国 を 多少 な りと も有 利 な 立 場 に置 こ う とす る もの で あ る こ とが分 か る で あ ろ う。

この手 続 が ガ ッ トの従 来 の紛 争 処 理 手 続 と異 な る点 は,ガ ッ ト事 務局 長 の周 旋 を制 度 化 した こ と及 び手 続 の 各 段 階 に 時 間 的 制 限 を 設 け た こ とで あ る。 す な わ ち,紛 争 当事 国 間 の 協 議 に よ り紛 争 が 解 決 しな い場 合,申 立 国 は 事件 を事 務 局 長 に提 示 す る こ とが で き,事 務 局 長 は 紛 争 当 事 国 及 び 関 係 国 際機 関 と協議 を し,さ らに紛 争 の 解 決 を容 易 に す るた め に周 旋 を 行 う こ とがで き る とされ て い る。 周 旋 に よ り紛 争 が2カ 月 以 内 に解 決 しな い と きは,申 立 国 は事 務 局 長 に対 し締 約 国 団 又 は理 事会 に報 告す る こ とを 要求 で き る。事 務 局 長 の報 告 を受 理 し た 後,直 ち に,締 約 国 団 又 は 理 事会 は小 委員 会 を 設 置 す る。 小 委 員会 は60日 の 間,調 停 活 動 を行 う。60日 の 経 過後,小 委 員会 は そ の 認定 及 び勧 告 を締 約 国 団 又 は 理 事 会 に提 出 し,締 約 国 団 又 は理 事 会 は そ れ を審 査 ・承 認 す る。 それ か ら 90日 以 内 に当 事 国 が 勧 告 内 容 に 従 わ な い と きは,締 約 国 団 は 申立 国 に対 し譲 許 そ の 他 義 務 の 停 止 を 許 可 す る こ とがで き る。 譲 許 そ の他 の義 務 の停 止 が 開 発 途

19)佐 分 晴 夫 「GATTと 発 展 途 上 国 」 『国 際 法 外 交 雑 誌 』 第82巻 第2号,1983年6月, 43‑45頁 。 ,

20)Procθ 伽re8ω η(1er、4rむ̀cZe㎜ 」 し14GENERALAGREEMENToNTARIFF合 ANDTRADE,BAs五cINsTRuMENTsANDSELE(πEDDocuMENTs18(1966).

21)佐 分,前 掲 注19),45頁 。 22)同 上,64頁 。

23)0.DERIvERo,NEwEcoNoMlcORDERANDINTERNATIoNALDEvELoPMENT

LAW67(1980).

(9)

ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続 〃3

上 国 に よ り行 わ れ るた め 実効 的 で な い と きは,90日 後 に締 約 国 団 は新 た な措 置 を と る こ とを 決 定 す る こ とが で き る。 な お,小 委 員 会 は 申立 の対 象 と な って い る先進 国の措置が開 発途上国 の貿 易及 び経済発展 に及 ぼす影響 に適切 な考慮 を 払 う こ とが 求 め られ て い る。

6.東 京 ラ ウ ン ド交 渉

世 界 経 済 構 造 に変 化 が 起 り24},新 た な保 護 主 義傾 向 の 高 ま った1960年 代 及び 1970年 代 初 期 の 状 況 に 対 して と られ た 対 応 の1つ は,ガ ッ トの 新 し い ラ ウ ン ド に よ り 多 角 的 な 貿 易 交 渉 を 行 う こ と で あ っ た 。ヱ973年9月 ヱ4日 に 第7回 ガ ッ ト 閣 僚 会 議 が 東 京 で 開 催 され,「 多 角 的 貿 易 交 渉 に関 す る東京 宣言 」25}が 採 択 さ れ,そ れ に よ り正 式 に開 始 した新 国 際 ラ ウ ン ドは東 京 ラ ウ ン ドと呼 ば れ,1979 年4月12日 に 交 渉 の 妥 結 内 容 を 示 す 「議 事 録 」26〕(Proc倉s‑verbal)が 署 名 の ため に 開 放 さ れ て 実 質 的 に 終 了 し た27,。 そ れ ま で の ガ ッ ト ・ ラ ウ ン ド交 渉 に 比 べ て 東 京 ラ ウ ン.ドの 最 も大 き な 特 色 は,ダ ン ピ ン グ 防 止28},補 助 金 ・相 殺 関 税29∵

関 税 評 価30},ス タ ン ダ ー ド31},ラ イ セ ン ス32⊃,民 間 航 空 機 貿 易33},政 府 調

24)前 述111頁 。

25)Gε πεrαZA望reεmθ π̀oπ 野 α沸 απd聾 αdθ'70ん ツoD2cZαrα εεoπoπ1臨 薦Zα 一 孟 θrὰ野 αdε1物go孟̀ὰゴoπs[September14,1973],121NゲLLEGALMATERIALs

1513(1973);東 京 ラ ウ ン ド研 究 会 編 『 東 京 ラ ウ ン ドの 全 翻,日 本 関 税 協 会,1980 年,50頁 。

26)同 上42頁 で は 「調 書 」 と さ れ て い る 。

27)東 京 ラ ウ ン ドに 関 し て は,東 京 ラ ウ ン ド研 究 会 編,前 掲 注25)の 他,Graham, Rθ8嘘s(ゾ̀ん θTbん ッoRo㏄ πd,9GA.J.INfL&CoMp.L153(1979);Mc‑

Rae&Thomas,餓 θ α47ワ α記 ハ伽Z観 αεerαZ乃 ・eα 妙 ハ血 ん̀ηg/7五 εTbんyo Ro協d,77AM.J.INT'LL.51(1983)な ど を 参 照 の こ と 。

28)関 税 及 び 貿 易 に 関 す る 一 般 協 定 第6条 の 実 施 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約7号 〕 (以 下 「ダ ン ピ ン グ 防 止 協 定 」 と い う)。

29)関 税 及 び 貿 易 に 関 す る 一 般 協 定 第6条,第16条,第23条 の 解 釈 及 び 適 用 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約8号 〕(以 下 「補 助 金 協 定 」 と い う)。

30)関 税 及 び 貿 易 に 関 す る 一 般 協 定 第7条 の 実 施 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約 第9号 〕 (以 下 「関 税 評 価 協 定 」 と い う)。 関 税 及 び 貿 易 に 関 す る一 般 協 定 第7条 の 実 施 に 関 す る 協 定 の 議 定 書 〔昭 和55年 条 約 第10号 〕。

31)貿 易 の 技 術 的 障 害 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約 第11号 〕(以 下 「ス タ ンダ ー ド協 定 」 と い う)。

32)輸 入 許 可 手 続 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約 第12号 〕(以 下 「ライセ ンス 協 定 」と い う)。

33)民 間 航 空 機 貿 易 に 関 す る 協 定 〔 昭 和55年 条 約 第13号 〕(以 下 「 航 空 機 協 定 」と い う)。

(10)

達34,,牛 肉 の 貿 易351,酪 農 品 の 貿 易36}な ど の 関 税 引 下 げ 以 外 の 分 野 に 関 す る

条約が繍 された ・とである・ ・れ らの条約の うち,ダ ・ピング防止齪(15条), 補助錦 定Gl:王1条)潤 税評鵬 定G8条)・ ス・ ・ダー 傑 僕)及 び 政欄 定(7条)は ・ これ まで のガ ・ トの紛争処理手続 と購 の ものであ る が,そ れ ぞ れ 独 自の紛 争 処 理 手 続 を有 して い る。 ラ イセ ンス協 定 は独 自の手 続 を 有 せ ず,搬 第22条 及 び第23条 の 例 に よ る もの と して い る(4条2項)。航 空機 協 定 は一 般 協 定 第22条 及 び第23条 並 び に了 解 事 項 の規 定 を準 用す る こ とと してい る(8条8項)・牛肉聴 及び国騰 農 品取極 に醐 争鯉 に関す る規定 は'

な い 。

東 京 ラ ウ ン ドの も う一 つ の特 色 は 「世 界 貿 易 の運 営 の た め の国 際 的 な枠 組 の 改 善 」3ηに つ いて 交 渉 が 行 わ れ た こ とで あ る。 この 問 題 を 扱 う交 渉 グ ル ー プ (い わ ゆ る フ レー ムワ ー ク 。グル ー プ)は 途 上 国 の 要 望 ・・よ り 設 立 さ れ た ・ そ ・で は 醗 途 上 国 問 題38}及 び ガ ッ トの ル ール の 見 直 しの問 題 につ いて 交 渉 が 行 われ た。 後 者 の 問 題 は特 に 先 進 国 側 か ら持 ち 出 され,そ の 中 に ガ ッ トの紛 争 処 理 手 続 の 見 直 し の 問 題 が 含 ま れ て い た 。 これ は 主 と して 米 国 の 要 求 に よ る もの で あ る。 米 国 の 1974年 通 商 法 の うち,大 統 領 に通 商 協 定 に関 す る交渉 を 行 う権 限 を 与 え る 部 分39)は,「 国 家 又 は国 際貿 易 に関 す る機 関 の 間 の 定期 的 な協 議 の た め の手 続 並 び に国 家 及 び そ の よ うな機 関 の 間 の通 商 上 の紛 争 を司 法 的 に解 決 す る手 続 を設 立 す る た め に必 要 な改 正 」 を通 商 協 定 に加 え るた め に必 要 な措 置 を大 統 領 が と る こ と とす る と定 め て い る4ω。

34)政 府 調 達 に 関 す る 協 定 〔昭 和55年 条 約 第14号 〕(以 下 「政 府 調 達 協 定 」 と い う)。

35)牛 肉 に 関 す る 取 極 〔 昭 和55年 外 務 省 告 示 第148号 〕(以 下 「牛 肉 取 極 」 と い う)。

36)国 際 酪 農 品 取 極 〔 昭 和55年 外 務 省 告 示 第169号 〕。

37)「 多 角 的 貿 易 宣 言 に 関 す る 東 京 宣 言 」 第9項 。

38)Meier,銑e70ん ッoRoω ηdoゾ1臨Z̀̀Zα εerαZTrαdθ1Vθgoὲα 翻oπsα 認 仇 θ 1)eoθZop̀π8(】oω ὴr̀es,13CoRNELLINfLL.J.239(1980);佐 分,前 掲 注 19),62‑64頁 。

39)Jackson,Louis&Matsushita,Zmρ̀θmθ η伽8ε んθ7bん ッoRo鵬d∴ 乙θgὰ

Aspθcεso∫ αLαπ8加g1撹emα ὲoηαZEcoπom̀cR認es,81MlcEL.REv.

267,340‑351(1982)を 参 照 の こ と。

40)19U.S.C.A.§2131(a)(9)(West1980).

(11)

ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続

115

前 述 の よ うに,米 国 は 東 京 ラ ウ ン ド交 渉 開始 直前 の時 期 に ガ ッ トの 紛 争処 理 手 続 を盛 ん に利 用 した が,そ れ は 交 渉開 始 後 も同 じで あ っ た。1973年 か ら1979 年 まで の 間 に米 国 は8件 の 紛争 につ いて ガ ッ トの 紛 争 処 理 手 続 を 利 用 した41}。

さ らに この よ うな米 国 の動 き に伴 い,1973年 にECが 米 国の税 法 に関 して持 ち 込 ん だ紛 争42⊃を初 め と して,こ の 時 期 に米 国 以外 の国 が12件 にのぼ る紛 争 につ い て ガ ッ トの紛 争 処 理 手 続 を利 用 した。 以 上 の件 数 は ユ950年代 の もの に匹 敵 す る。 この よ うな件 数 の 増 加 は東 京 ラ ウ ン ドに お い て紛 争 処 理 手 続 につ いて 交 渉 を促 す 原 因 の1つ とな った の と同 時 に,反 対 に東 京 ラウ ン ドに お け る紛 争処 理 手 続 の交 渉 が その よ うな件 数 の増 加 の原 因 の1つ とな っ た と も言 え るで あ ろ う。

以 上 の よ うな推 移 に もか か わ らずEC及 び 日本 は東 京 ラ ウ ン ドに お い て紛 争 処 理 手 続 につ いて 交渉 す る こと に対 し激 し く抵 抗 した と伝 え られ て い る431。こ れ に 対 し,開 発 途 上国 は そ の政 治 ・経 済 的 立 場 か ら考 え る と有 効 な紛 争 処 理 手 続 が 存在 した方 が 都 合 良 く,紛 争 処 理 手 続 につ い て 交 渉 す る こ とに賛 成 で あ っ

た。 さ らに開 発 途 上 国 は,違 反 国 に対 し全 締 約 国 が制 裁 を 行 う こ と,損 害 を受 け た 開発 途 上 国 は金 銭 損 害 賠 償 を 得 られ る よ う にす る こ とな ど先進 国 に対 して 使 用 す る こと ので き る制 裁 を増 強 す る こ とを 要 求 した44}。しか し根 本 的 な政 治 的 制 約 が 存 在 す る以 上,極 端 な制 度 の改 革 に は現 実 的 な可 能 性 が な く,前 述 の よ う に,そ れ まで の ガ ッ トの紛 争 処 理 手 続 に関 す る慣 行 が 成 文 化 され,了 解 事 項 と して 合 意 され た だ け で あ る。 開 発途 上 国 につ いて は,1966年 に採 択 され た 前述の醗 途掴 用手続爾 された(了 解事項7項)ざ'

この 了 解 事 項 に つ いて は,「 紛 争 処 理 を促 進 させ る はず の もの が,こ の 余 計 な 協 定 に よ ってGATT23条 自体 を 無 意 味 な もの に して しま った の で あ る」45)

41)Hudec,8μPrαnote18,at181‑182.

42)Reports,Gθ πerαZAgrθ εηLθ脱oπ7hr励 απ(∫Trα(∫e'Pα πeZRθpor古80η

κ 伽 α8ωrθsα πdl1窪8'r̀cω あ αPαZ」RoZ̀cy,201NrビLLEGALMATER【ALs843 (1981).

43)(Conference),R⑳rmoノ̀ん θ1ん̀θrη α翻oπ ὰ%「 αor̀πgSンs6eη τ̀蕊pec̀αZ̀ツ D̀sp醜 θ8ὲεZem飢 θ,84F.R.D.590,592(1980).

44)Hudec,sμprαnote18,at158;佐 分,前 掲 注19),64頁6

45)本 山 美 彦rGATTとNIEO」 『貿 易 と 関 税 』 第31巻 第5号,1983年5月,2G頁

(12)

とす る否 定 的 な意 見 もあ るが,「 現 行 規 定 の基 本 的 な メ カ ニ ズ ム を支 持 す る と と も に,こ れ を一 層 効 果 的 な もの とす るた め,特 に紛 争 解 決 手 続 に お け る従 来 の慣 行 を よ り明 確 に し,そ の 迅 速 か っ衡 平 な解 決 を図 る た めの 改 善 を行 って い る」46,,「紛 争解 決 手 続 の 実 効 性 を 確保 す るベ ー スが 出来 た こ とに な る」47⊃,紛 争処 理 手 続 が 「東京 ラ ウ ン ドで キチ ッ とで き あが った」48)等,肯 定 的 な意 見 も 多 い49⊃。 了解 事 項 が 採 択 され た こ とは,小 委 員 会 に よ る司 法 的 解 決 手 続 とい う 性 格 を持 った 紛争 処 理 手 続 の正 当性 が 確 認 され た こ とを 意 味 す る。 了解 事項 の それ 以 上 の評 価 は 内容 を検 討 し,今 後 の 運 用 を見 た上 で下 され るべ きで あ る。

内容 の検 討 は次 節 以 下 で行 う。 現 時 点 で は運 用 に つ い て十 分 な考 察 を行 う こ と はで き な い。 た だ この 了解 事 項 が 採 択 され た 後 もガ ッ トの 紛争 処 理 手 続 は利 用 され 続 け,1980年 か ら1982年 半 ば だ け を と って も 利 用 件 数 は5件 とな って い る50〕こ と に注 意 す べ きで あ る。

な お,1982年11月 に ジュネーブ に お いて 開催 され た第8回 ガ ッ ト閣僚 会 議51}

に お い て 採択 され 燗 言 の 紛 争鰍1・ 関 す る部 分 …(以言」 とい う下 「閣僚宣。)カ ㍉ 了解 事 項 にわ ず か な 改 正 を 加 え て い る。

二.ガ ッ ト紛 争 処 理 手 続 の 内 容

1.手 続 の対 象

一 般 協 定 第23条 第 ヱ項 及 び 了解 事 項 の附 属 書 「紛 争 解 決 の 分 野 に お け るガ ッ トの慣 習 的慣 行 の謎 ・関 す る 舗(第23条 第2項)」 ・3・(劉 塀 書 」)第 ⇔

46)伊 藤 哲 治 「ガ ッ ト用 語 の 知 識17協 議 ・紛 争 解 決 手 続 」 『貿 易 と 関 税 』 第28巻 第 9号,1980年9月,41頁 。

47)東 京 ラ ウ ン ド研 究 会 編,前 掲 注25),242頁 。

48)吉 川 共 治 「ガ ッ ト閣 僚 会 議 を 終 え て 」 『貿 易 と関 税 』 第31巻 第2号,1983年2月, 22頁 。

49)以 上 の 他,了 解 事 項 の 評 価 に つ い て は,漁Z観 αε εrαZ招rαde1鞄goε ε α¢̀oπs'翫s‑

P碗eSè̀Zεmθ π̀,〔1980〕PRocEEDINGsAM.Soc.INfLI」.140;(Conference), 餌prαnote43な ど も 参 照 の こ と 。

50)「 国 際 機 関 情 報GATT」 『貿 易 と 関 税 』 第30巻 第12号,1982年12.月,38頁 。 51)第8回 ガ ッ ト閣 僚 会 議 に つ い て は,吉 川,前 掲 注48)を 参 照 の こ と。

52)GA7T'1協 πお̀εrε αZ1)εcZαrὰ̀oπ,17J.WoRLDTRADEL.67,71‑73(1983).

53)AgrθedDescr̀μ εoπ(ガ ε んe(】 μ8̀oηLαrッPrαc古̀cθoゾ 古 んθGATT̀π̀んeFε θZd

(13)

ガ ッ トの 紛 争処 理 手 続

117

項 に よれ ば,一 般 協 定第23条 の紛 争 処 理 手 続 の対 象 とな る の は,一 般 協 定 に基 づ い て 締 約 国 に与 え られ た利 益 が無 効 に され 又 は侵 害 され た こ と に よ り生 じた 紛 争 の み で あ る。

一 般 協 定 第23条 の無 効 化 ・侵 害 とい う概 念 の 元 をた だ す には第2次 世 界 大戦 前 に さか の ぼ らなけ れば な らな い。通 商 条 約 に お け る無 効 化 ・侵 害 条 項 の 必 要性 を最 初 に指 摘 した の は1933年 の ロ ン ドン世 界 経 済 会 議54〕の 貿 易 専 門 家 グル ー プの 報 告 書 で あ る とさ れて い る55}。通 商 条 約 は相 互 主 義 に基 づ くバ ラ ンス の と れ た 貿 易 を 中 心 的 課 題 と し,そ れ を 達 成 す るた め に 関税 の相 互 引 下 げ を行 う。

しか し貿 易 政 策 の 手 段 は関 税 率 に 限 られ る訳 で は な い し,貿 易 は他 の 国 内 的措 置 に よ って も影 響 され る。 そ の す べて に つ い て あ らか じめ 条 約で 法 的 義 務 を課 して お くこ と は不 可 能 で あ るの で,貿 易 の バ ラ ンス に 悪 影 響 を 及 ぼす 措置 す べ て に 適 用 す る こ との で き る一 般 条 項 が必 要 とな る。 そ の た め に考 え 出 され た の が,当 事 国 の 条 約 に 基 づ く利 益 が無 効 に さ れ 又 は侵 害 され た と き に救 済 が な さ れ る よ うに 規 定 して お く無 効 化 ・侵 害 条 項 で あ る。 逆 に言 え ば,無 効 化 ・侵 害 条 項 は 当 事 国 間 の 利 益 の バ ラ ンス の維 持 を 目的 とす る もの で あ る。 従 って 自国 の条 約 に 基 づ く利益 を無 効 に さ れ又 は侵 害 され た とき,そ の原 因 と な っ た措 置 を と った 相 手 国 が 条 約 に 基づ く義 務 に違 反 して い る場 合 だ け で な く違 反 して い な い場 合 で も この条 項 を援 用 す る こ とが で き る。

一 般 協 定 第23条 第1項 に お いて も,「(a)協 定 に基 く義 務 の履 行 を 怠 っ た結 果 と して 」 だ けで は な く,「(b)協 定 の 規 定 に抵 触 す るか ど うか を問 わ ず,何

らか の 措 置 を適 用 した結 果 と して 」,又 は 「(c)そ の他 何 らか の 状 態 が 存 在 す る結 果 と して 」 利 益 の 無 効 化 又 は侵 害 が 起 った 場 合 に も同条 を援 用 で き る と さ れ て い る。 但 し慣 行 に よれ ば(a)の 一 般 協 定 に基 づ く義 務 の 違 反 が あ る場 合 と(b)及 び(c)の 義 務 の 違反 が な い場 合 に つ いて,挙 証 責任 の 分 配 が異 な

o∫1)εsp協 θSθ 観eme撹̀ArεZcZe㎜1'2,,GENERALAGREEMENToN TARIFFsANDTRADE,sωprαnote4,213.

54)ロ ン ド ン 世 界 経 済 会 議 前 後 の 状 況 に つ い て は,麻 田 四 郎 「ブ レ ト ン ・ウ ッ ズ へ の 途 」

『商 学 討 究 』 第32巻 第2号,1981年11月,4頁 を 参 照 の こ と 。

55)HuDEc,8ωprαnote3,at20.

(14)

る(附 属 書5項)・す な わ ち 議 反 の あ る 場 合1ま・ 一 応(・ ・im・f・・i・)無効 イヒ 又 は侵 害 が あ る もの と推 定 され る。 これ は,ガ ッ ト ・ル ール の 違反 は 他 の 締 約 国 の 利 益 を害 す る こ とが 推定 され,申 立 を受 け た相 手 方締約 国が そ の反 証を しな け れ ば な らな い こ とを意 味す る。 そ して この 場 合,申 立 国 か らの 要 請 が あ れ ば, 事 態 が 重 大 で あ るた め に 譲許 又 は 義務 の停 止 の 許 可 が 正 当 と され るか ど うか を 考 慮 す る こ とが,事 実 上,要 求 され る。 これ に反 して,一 般協 定 に 違 反 しな い 他 の締 約国 の措 置又 は た だ単 に何 らか の一 般 的 状 況 によ り無効 化 又 は 侵 害 が 生

じた と主 張 す る場 合 は,申 立 国 が それ を立 証 しな くて は な らな い。

この よ うに一 般 協 定 第23条 は他 の締 約 国 が 一 般 協 定 に基づ く義務 に 違 反 して い な く と も自国 に与 え られ た 利益 が 無 効 に され 又 は 侵 害 され た 場 合 に は締 約 国 は救 済 を得 られ る こ とを定 めて い る。 この こ とを 指 して 「権 利 の存 す る ころ, す な わ ち救 済 あ り」56}とい う法 諺 を涙 り,「 権 利 の存 しな い と こ ろ,す な わ ち 救 済 あ り」 と言 わ れ て い る57}。 しか し 「権 利 の 存 す る と ころ,す な わ ち 救 済 あ り」 は一 般 協 定 第23条 につ いて は必 ず し も常 に 妥 当 しな い。す な わ ち 利 益 の 無 効 化 ・侵 害 が な けれ ば.た と え 「権 利 の 存 す る と ころ 」 で あ って も救 済 は 与 え られ な いの で あ る。 一 般 協 定 に単 に違 反 した だ けで あ って 利益 の無 効 化 ・侵 害 が 生 じな けれ ば 一 般 協 定 第23条 を援 用 す る こ と はで きな い。 これ に つ い て 国 内 契 約 法 を類 推 して,無 効 化 ・侵 害 と呼 ば れ る 「損 害 」 の存 在 が 一 般 協 定 第23条 の 援 用 に は必 要 で あ る と説 明 され て い る58}。

2.手 続 の 過程 (1)協

ガ ッ トの 目的 は締 約 国 同 士 が 交 渉 に よ り相 互 的 か つ 互恵 的 な 合意 を す る こ と に よ り達 成 され る(一 般 協定前 文,28条の2等)詳の 交 渉 蟻 を補 完 す る の が 騰 で あ る59}。紛 争 処 理 にお いて も一 般 協 定 第23条 第1項 によ り紛 争 当 事国 間 の 協議 が

56)Ubijusibiremedium.

57)DAM,s砿prαnote3,at358.

58)JAcKsoN,LEGALPRoBLEMsoFINTERNATIoNALEcoNoMlcRELATIoNs 426(1977).

59)前 掲 注1)に あ げ た 条 項 を 参 照 の こ と 。

(15)

ガ ッ トの 紛 争処 理 手 続

119

義務 づ け られ て い る。 この 協 議 な しで は 同条 第2項 に 定 め られ て い る手 続 を開 始 す る ・ とが で き な い(了項6項 〉.言 わ ば臓解事 前 置 蟻 が と られて い る ので あ る。 協 議 に よ って も解 決 が 得 られ な か った場 合 に初 め て手 続 の次 の段 階 に進 む こ とが で き るの は,前 述 の 東京 ラウ ン ドで締 結 さ れ た各 種 協 定 にっ いて も同 じ で あ る(勝 蕎彙 、鱒 墳璽 舗 翻 老ラ㌶16島 〉.な かで も補 助金 齪 は騰 を棚 られ る鯛 を臓 の蟷 か ら3・日に限 ・て いる(!3条ユ項)・

ただ し・の鯛 は舗 によ ・て賑 す る ことカ・で きる(同 項注)。 他 の齪 及 び 一 般 協 定 第23条 第1項 によ る協 議 の 期 間 は 日数 を定 め られ て い な いが ,協 議の 要 請 に は直 ち に応 じ,協 議 を 迅 速 に 終 了 す る よ う に 努 め な け れ ば な らな い (了 解事項4項)・

(2)周 旋 及 び調 停

開 発 途 上 国 が先 進 国 に対 して 申 立 を 行 う紛 争 につ い て は,協 議 に よ り解 決 が 得 られ な い と き,申 立 国 で あ る開発 途上 国 は ガ ッ ト事 務局 長 に 周旋 を 要 請 で き る こ とは 前 述 の 通 りで あ る。 この場 合,ガ ッ ト事 務局 長 は 締 約 国 団 議 長 及 び理 事 会 議 長 と臓 す る ・ とが で き る(了 解事項8項)・

そ の他 の 紛 争 につ いて も当事 国 は合 意 に よ り周 旋 を 要 請 す る こ とが で きる。

この 場 合 に,了 解 事項8項 で は誰 に周 旋 を 要請 で き るか 具 体 的 に は定 め られて い なか った。 しか し閣僚 宣 言(i)項 に よ り,当 事 国 の 合意 に よ り事 務 局 長 又 は そ の 指 名 す る者 の 周旋 を 要 請 で き る とさ れ た。 さ らに,こ れ は調 停 手 続 で あ る こ とが 明 示 され,迅 速 に行 わ れ る と定 め られ た。 事 務 局 長 は理 事 会 に調 停 の結 果 を報 告 す る。

協 議 に よ り解 決 の 得 られ な か った紛 争 に つ い て,ダ ンピ ング防止 協定 で は, 同 協 定 第14条 に よ り設 置 さ れ る 「ダ ンピ ング防 止 措 置 に関 す る委 員 会 」 に問 題 を 調 停 の た め 鮒 託 す る ・とが で き る と定 め られ て ・・る(15条3項)調 は3カ 月 に限 られ て い る。 調 停 に よ り解 決 が 得 られ なか った場 合 にの み 手 続 の 次 の 段 階 に進 む こ とが で き る と し,調 停 前 置 主 義 が と られ て い る。 これ は他 の 協 定 につ いて も同様 で あ る。 ただ し補 助 金 協 定 は調 停 の期 間 を30日 と して お り

憐)潤 糖 価齪(20条i項),ス ・・ダー・齪(騰)ほ び政府雛

(16)

120 商 学 究 第34巻 第2号

幡)に おいては同様 の手 繍 ・ついτ講 のかわ り嘲 査 という用語力・

使 わ れ て い る60}。

な お 関 税 評 価 協 定 及 び ス タ ンダ ー ド協 定 の2つ に お いて は,技 術 的 検 討 を要 す る事廊 つ き,そ れ ぞれ識 術 委員 会(関 税評価協定20条2項)又 は技 術 専 門 部 会

(軽 藤 謝 による棚 の手 続が定め られ ている・

(3)小 委 員 会 又 は 作 業部 会 の 設 置

以 上 の協 議 又 は周 旋 等 で は解 決 が 得 られ な い場 合 に手 続 は次 の段 階 に進 む。

一 般 協 定 第23条 第2項 に よ り,紛 争 を締約国団 に付託す ることがで きるのであ る。 いず れ か一 方 の紛 争 当事 国 の 要請 が あれ ば,締 約 国 団 は確 立 した 慣 行 に 従 って小 委 員会 又 は作 業 部 会 の設 置 に つ い て決 定 す る。 小 委 員会 の 利 用 が,1952 年 妹 の手 続 とな ・た と され て い るが(附 属 書6項働),そ の 設 置 は 欄 国 団 の義 務 とは され て い な い6n。 小 委 員 会 は常 に設 置 され る もの と は され て いな い の で あ り,さ らに附属 書 同 項 で は,関 係 締 約 国 が 申立 を検 討 し,理 事 会 に提 出 す るた め の 申 立 に 対す る返 答 を準 備 す る機 会 を持 った後 で な けれ ば,小 委 員会 の 設 置 が な され な か った とい う慣 行 が 明 らか に され て い る。

これ に反 して,ダ ンピ ング防 止 協 定 で は紛争 当 事 国 の どち らか一 方 の 要請 が あ・た場合 に,委 員会 は楼 員会澱 けるもの とされてい る(15条4項)621。これ は轍 金齪(18条1項)瀾 税評価齪(碧 雷)・ ス・・ダー ・齪(騰 〉及 び政府調達齪 幡)に おいて も同様であ る・

小 委 員 会 が 設 置 され る こ と にな る と,事 務局 長 が 関係 締 約国 の合 意 を得 て小 委員会の委員(事 件により3〜5名)を指名 し諦 綱 団が これを羅 するく礁 妻翻 轟・)。

紛争 締 約 国 は7日 以 内 に小 委 員 会委 員 の 指 名 に つ い て 同意 し,や む を得 な い理 由 の あ る胎 を除 いて 脚 務賑 に よ る委 員 の 非旨名 に反 対 しな い(了 解 事項12項)。

60)国 際 法 に お い て は,周 旋,調 停,調 査(審 査)の 間 に は,「 慣 行 上 は ほ と ん ど 相 互 の 区 別 が 認 め られ な い 」 と さ れ て い る 。 筒 井 若 水 『国 際 法 皿』,青 林 書 院 新 社,1982 年,77頁 。

61)了 解 事 項 第10項 で は,̲theCoNTRAcTINGPARTIEswoulddecideonits estabhshme批̲と 規 定 さ れ て い る 。

62)...theCommitteeshal1,attherequestofanypartytothedispute,

establishapanel...と 規 定 さ れ て い る 。

(17)

ガ ッ トの 紛争 処 理 手 続

121

紛争当事国の国民 隙 騨 魏 甥 嘉鎚 勢講 つ)は小委員会の委員

に な らな い。 小 委 員 会 の委 員 は公 務 員 で あ る こ とが望 ま しい と され て い るが, 例 外 的 に非 公 務 員 が委 員 とな った こと もあ る。通常 は ガ ッ トの常 駐代表 又 は締 約

国の中央官庁の公獺 の 中か ら選ばれ(附 属書6項(in)・実際には緻 綱 及翻 の 出身 で あ る こ とが 多 い63}。開 発 途 上 国 と先 進 国 の間 の紛 争 に は開 発 途 上 国 出 身 の 委 員 槍 まれ る ・とが 慣 行 とな ・て い る(附 属 書6項(u))。た と舩 で あ ・ て も小 委 員 会 の 委 員 は政 府 の 代 表 と して で は な く個 人 の 資格 で 独 立 して 活 動 す

る(了項14項)。解事

小 委 員 会 の構 成 は 締 約 国 団 の 設 置 の決 定 か ら通 常30日 以 内 にな され な くて は な らな い(了項11項)。解 事 この 構 成 を 容 易 にす る た め,賜 関 係,経 翻 び ガ ッ トに 関 す る他 の 事 項 の 分 野 で 資格 を有 し,小 委 員 会 の委 員 と な る こ との で き る者 の 非 公 式 の 名 簿 を 事 務 局 長 が 作 成す る。 その ため,各 締 約 国 は,各 年 の初 め に,自 国 が小 委 員会 の作 業 の た め に提 供 す る用 意 の あ る1人 又 は2人 の専 門 家 の 氏 名 を事 務 局 長 に 通知 す るよ う要請 され る(了 解 事項13項).

以 上 の よ うに小 委 員 会 は,ガ ッ ト事 務 局 長 が紛 争 当 事 国 の 同意 を得 て 指 名 した 紛 争 当事 国以 外 の 国民 で あ る個 人 と して の専 門 家 によ り構 成 され る。 な お反 ダ ンピッグ協 定 その他 の協 定 につ いて も,小 委 員 会 の構 成 につ いて は ほ とん ど 同様 で あ る(反協定 附 属 書 皿ダ ン ピ ング 協 定15条7項,補,ス タ ン ダー ド協定 附 属 書 三,政 府 調 達 協 定7条8項)・助 金 協 定18条3,4,5項,関 税 評 価

これ に対 し,作 業 部 会 は5〜20力 国 の 各 国 代 表 に よ り構 成 され,紛 争 当事 国 は常 に そ の 中 に含 ま れ る(附 属 書6項(i))。作 業部 会 に は 利 害 鮪 す る締 約 国 がす べ て 参 加 す る こ とが で き,構 成 国 の数 は 関係 す る問 題 及 び利 益 の重 要性 に よ り異 な る こ との他,作 業 部 会 の 構 成 につ い て は 了解 事 項 。附属 書 は これ以 上 何 も述 べ て いな い。

(4)小 委 員 会 及 び作 業 部 会 の 活 動 a小 委 員 会

小 委 員 会 に 対 す る付 託 条項(termsofreference)は,理 事 会 に お いて 討 議 ・

63)deKieffer,σATT1万8p協e8臨Zεmθ πεs'A.磁 ωB2g̀π πε π8,2Nw.J.IN九

L.&Bus.317,323(1980).

(18)

承 認 され,そ の 内 容 は,通 常,「 問 題 を検 討 し,か っ,締 約 国 団 が 第23条 第2 項 に定 め る勧 告 又 は裁 定 を 行 うの に 役 立 つ 認定 を行 う こ と」 と さ れ,譲 許 そ の 他 の 義 務 の 停 止 が 問 題 と され る と きは 「第23条 第2項 の規 定 に従 って 問 題 を検 討 す る ・ と 」 と さ れ る(附 属 書6項(ii))・

小 委 員 会 の機 能 は,事 件 の 事 実 関係 及 び ガ ッ ト規 定 の適 用 可 能 性 を審 査 し, これ らの 事 項 に つ い て 客観 的 な評 価 を下 す こ とに よ り,締 約 国 団 が 第23条 第2 項 の 醗 を 果 た す ・ と に 役 立 つ ・ と で あ る(了 解 事 項15項,附属書6項(iii))。さ ら に,ガ 。 ト 規 定 の 違反 又 は 無効 化 ・侵 害 の認 定 が な さ れ た とき,小 委 員 会 は締 約 国 団 が 勧 告 又 は 裁 定 を 行 うの に 役 立 っ よ う問題 の処 理 の た め の適 切 な提 案 を しな けれ ば

な らな い(閣 僚 宣言(v順)・

小 委 員会 自身 が そ の作 業 手 続 を定 め るが その 内容 につ いて の 慣 行 は 次 の 通 り で あ る(附 属 書6項(iv))・小 委 員会 は潤 係 当事 国 と2‑3回 の 公 式 会 謙 行 う・ 当 事 国 は互 い の面 前 で書 面 若 し くは 口頭 は又 は そ の両 方 で 自国 の見 解 を 明 らか に す る よ うに 要 請 さ れ る。 小 委 員 会 は両 当事 国 を尋 問 す る こ とが で き る。小 委 員 会 は 紛 争 当 事 国 で は な い が紛 争 に 実質 的 な利 害 を有 す る第 三 締 約 国 の 見解 も聞 く。 小 委員 会 は いか な る個 人 又 は機 関 か ら も報 告 又 は技 術 的 助 言 を得 る権 利 を 有 し,す べ て の締 約 国 は その よ うな情 報 を迅 速 に,か つ,完 全 に提供 しな け れ ば な らな い(了 解 事項15項 〉・ 小 委 員会1ま款 ガ ・ ト事 務 局 の助 言 又 は援 膿

・ とが で きる(附 属 書6項㈹)・

小 委 員 会 の活 動 が始 ま った後 も,紛 争 当事 国 間 の 和 解 が 奨 励 され,そ の ため の 騰 が行 樵 和解 のための醐 な機会 力・供せ られる 鷹 欝 網 ・)。さ ら に和 解 を試 み る た め に,小 委 員 会 の 報 告 は,締 約 国 団 に送 付 され る前 に,孝 ず,そ の説 明部 分 が,そ の後 に,結 論 又 は その 概 要 が 紛 争 当 事 国 に提 示 され る (了 解 事項18項,附属書6項(vii))・紛 争 当事 關 で 不・齢 成 立 した場 合 に は・ 小 委 員 会 の 報告 は 事 件 に関 す る簡 潔 な記 述 及 び解 決 が 得 られ た 旨の 報 告 に限 定 す る こ とが で き

る(了 解事項17項,附属書6項〔v}).

和解 幟 立 しな い と き には 認 定 を 書 酢 よ り提 出 す る(了項17項 〉。 そ の 内解事 容 は,事 実 の 認 定,関 連 規 定 の 適 用可 能性,認 定 及 び勧 告 の 基礎 的 な理 由 か ら

(19)

ガ ッ トの 紛争 処 理 手 続

123

な る(附 属 書6項〔v〕)。小 委員 会 は,搬 の ・レール 諏 の 礁 に つ い て の 見解 の 表 明,紛 争 当 事 国 に対 す る 勧 告 案 の 作 成,技 術 的 意見 の 提 出 な ど を 行 う (附 属 書6項(面)).

以 上 の 小 委員 会 の活 動 は,前 述 の開 発 途 上 国 用 手 続 を 除 いて,一 定 の期 間 内 に 終 了 す るよ うに限 定 さ れて い な ・・力状 体3‑9カ 月 を 要す る(附 属 書6項(b【)).

緊急 の場 合 は,小 委 員 会 設置 の 日か ら3カ 月 以 内 に 認定 を提 出す る よ う に求 め られ る ・ とが あ る(了 解 事項20項)。 ダ ・ ピ ・グ防 止 協 定1・も,小 委 員 会 の認 定 の提 出 を遮 の鯛 内 に限 る規 定 はな い。 関 税評 価齪 で は3力 朋 内(附 属書皿6項), ス ・ ・ダ ー ・齪 で は ・カ月 以 内G謝 激 府 調灘 定 で は ・カ月 以 内(桑 瑠)を 目標 とす べ きで あ る と定 め られ て い る・ 翻 定 で は6・日以 内 嘲

を提 出す べ きで あ る と定 め られ て い る(18条2項)。

b作 業 部 会

作 業 部 会 に対 す る付 託 事 項 は,一 般 に,「 一 般 協 定 の 関 連 規 定 に照 ら して 問 題 を鮒 し,鱒 会へ鮪 す る・と」である(附 属書6項σ)〉.篠部会 自身が その 手続 を定め る瓜 その内容についての慣行 は次の通 りであ る ㊥ を 検 討 す るた め の1〜2回 の会 議 が 開 か れ,次 に結 論 を討 議 す る最 終会 議 が 開 か れ る。 コ ンセ ンサ ス が求 め られ る傾 向が あ り,作 業 部会 の 報 告 の作 成 に は な ん らか の 交 渉 及 び 妥 協 が行 わ れ る。 報 告 に は構 成 国 す べ て の 見 解 が 記 載 され, 従 って必 要 な 場 合 に は個 別 的見 解 が記 載 され る。

この 報 告 は理 事 会 に よ って 採 択 され,締 約 国 団 が 最 終 的 決 定 を下 す際 の基 礎 とな る勧 告 的意 見 で あ る と され る。

(5}締 約 国 団及 び委 員 会 の活 動 a締 約 国 団

締 約 国 団 は小 委 員 会 又 は作 業 部 会 によ り提 出 され た 報告 を速 やか に検 討 す る。

次 に,相 当 な期 間 内 に その 報 告 に基 づ き適切 な 措 置 を と ら な け れ ば な ら な い (了 解 事項21項)。 慣 行 で は,小 委 員 会 又1ま作 郷 会 の勧 告 が そ の ま ま採 択 さ れ る。

勧 告 は,通 常,一 般 協 定 と一 致 しな い と認 定 され た措 置 の 撤 回 を確 保 しよ う と す る もの であ る。 そ の よ うな撤 回 が 実 際 的 で な い場 合 に限 り,そ の 撤 回 まで の

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