例で学ぶ作用環入門
その他のタイトル Introduction to operator algebras by examples
著者 楠川 雅治
雑誌名 理工学と技術 : 関西大学理工学会誌 =
Engineering & technology
巻 24
ページ 1‑12
発行年 2017‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/12455
関 , , り大学
J!I江 学 会 誌
.fll!工 学 と 技 術
V o I . 24 (2 0 I 7)解 説
例で学ぶ作用環入門
楠
ITI牙 伯
*
ム
︑︑︑>
口
Introduction to operator algebras by examples Masaharu KU SUD A
1.
は じ め に
作) II 素閑論は 1児数解析学(古い Ii" い方では位~'I I 解析 学)の中の 一つの分野であり
.ここでいう羽とは多元 閑の
ことである.多元閑とはベクトル空間で あ っ て梢が定義されていてその利
tが双線)利であるものをい
う
. またここで
いう作/ I I 素とは. ヒルベルト
<HIilI
.・の 連続な線捌
'lj'.像のことである . (これらの正確な定義 は後で述べる
.)関数解析学では線型写像を線)利作
)I I 索というのが一般的である.すなわち
作m索閑とは.
ヒルベルト空間
I・.の連続な線
1利作)I I 索のつくる多
Jじ屎である. (さら
に作)I I 索の収束の議論ができるような 構造を定義する必災がある.)
作用索斑にはフォン
・ノイマン環と
c‑‑政じの
2種 類 があり
.この両者の迩いは.位相構造の辿い ( 大雑把 にいえば環の)じ に対する収束 のさせ方の方法の辿
い)である
.なおフォン ・
ノイマ ン と は
201仕
紀前半から
"'
頃に活躍したハンガ
リーのイ
i名な数学者の名前 であ り . フォン
・ノイマン瑛を蒋人してその基礎を築いた 人 で あ る こ の 解 説 で は . 位 相 の 定 義 は 述 べ な い が 位111 の定義
によりフォン ・ ノイマン屈は C—斑であることを
fi1ilji.に知 ること
ができる
.この
W(説ではc‑絞について述べる
.フォン ・
ノイマン政 !はc‑‑屎である が 研 究 す る と き に は . フ ォ ン ・ ノイマン屎と
C這ー翡
t'はテクニックが大きく異なる
作)I I 索段
t'は.数学専攻 で あ っ て も 大 学 学 部 で は 学 ぶ 機 会 が な い の で こ の
/1r芋説では作) I
I索 耽 の 碁 礎
レベルを終えた人なら誰でも
知っている
イl名 な い く つ
かの例を 通 し て 理 工 系 学 部で微秘分と線煎
代数を学んだ学生諸れに.
c‑‑環の定
J以稿受付 平成2 9年 9 月 2 5 1 1
*システム只 H 」方碕
JI数 学 科 教 授
義に馴染んでもらうことを 1 1
的とする
.§2ではこの解説を誠むのに必要となる), 日 本的な 概念の定義をも
れなく述べる.
§3以降で.定義が述 べられていない ( 位相に関する )砧
(l"J川語が
/I',てくる と こ ろ が あ る が そ こ は 無 視 し て も ら っ て も あ と の 理解に如節はないので気にしないでほしい ;J,~ 本的な
定義のあと. フォ
ン・ ノイマン屎と C ' ー印の雛型とも 言 え る も の で
泣 も 簡単 な 例 で あ る 行 列 屈 と 可 換 な
C—環である 1及l 数炭について述べる.行
列環は作川索 閑の例としては
ri明す ぎ て 数 学的には1/ii白くないけ れども .
r,:i淡な例を構成するときや枯礎理論を構築す るときに利川するので
爪災である ま
た甚本的な定理 を証
lリ
lなしに述べ るがその、意味は分かると
息う
§3 では最近の C—環の
中心
テーマである分類理論で泊蹄する具体な例の
Cuntz閑を. §4では
.c一
翡
iを非 叫 恕幾何学とみる
最近の流行において,iJi要 な 役割 を呆たす 非
11]換ト ー ラスを述べる . §5で は 数
理物刑特に絨了・ 統計力学の数学的枠組みで重要な役 割を果たす CAR 瑛 を 最 後 の §6 で は 秤 か ら 1 作の
研究にC'ー屎が使われ.群と
C'‑棗 の 関 係 が 深 い が それがわかるような
例を述べる
.2.
基 本概念の定義
通常. I 刈数解析学ではベクトル空間 といえば.複索 数全体の集合
CJ‑.で考える . この解説を通してベクト ル空間ば常に
C!
.・で考える
.また実数全
1本の集合を常 に沢で表すものとする.
まず
'lj'.f象の定義を復洲する .
X,y を 1-1~ 合とする
. Tが
Xから
Yへ の 写像であるとは
.Xの各冗
Xに対 して
.i・ の ) じ
yをただひとつ対応させる規則であることをいう
.このとき
T:X E X→ y Ey と , I ¥
:き 'y は
ー
y = T(x)と表わされる.y
が数の集合であるときは
,特に
Tのことを関数と呼ぶ任慈の功
‑:f:.X2に対して,
T
( 打 )
‑:f:. T( . 巧)がいつも成り 立 つとき
,T は単射であ るという
.また
(T( x )
I .r E X} = Yが成り立つとき.
Tは全射であるという,
定義2.1.
X は 集 合 と す る.
d :( x
. y) E Xx
X→d(ふy)
ERは1 対数で,次の条件
(1)‑(3)を泌
iたすとき
, dを XI・.の距離 ( d
istance
.metric) という
.(1) ff
心 の X
.y E X に対して
.d(x,y) ; ; ;
0であり
, d( x
,y )
= 0 <=⇒ .r = y.(2) ff
訟 の
x, y
E Xに対して. d(x,y)=
d( y , x )
. (3)に
角不等式)任.なのX.y. z E Xに対して.
d
(
x, z)~d(x,y) + d()•,z )
.距離が与えらえると
.集合上で収束の議論ができる
. 距離がりえられた染合Xは距離空間(
me
lricspace)
と呼ばれる
.このよう に 収 束 と
か連続などの議論ができる構造が与
えられた狼合が位相空間で あ る 距 離 空間は位相空間であ る.
定義2.2.
集合 X 上に距離 dが定義されているとする.
X の点ダ
IJ{x , , ) は.
111, 11→ OOとすると
,d(x,,,,x, , )
→ 0となるとき
, コーシー列(Ca
uc
hysequence)
または基 本列という
.距離空1111Xの任意のコーシーダ
jlが収束 するとき ( すなわち
,aE Xが存在して d ( x , , , a )
→ 0 (11→ oo)となるとき)
.Xは完 備 ( co
mple l e ) であ るという.
ここで
1敗梢分の授業で学んだ次の定理を、
1はい出そう.定理2.3.(実数の完備性) R
を実数全体とする.その とき,
数列
!a,,lc良 が
Rにおいて収束←
⇒Ill, II→ 00とすると
,lam —叫→ 0.例2.4.
良を尖数全体とする
.d(x,y) =I x ‑
ylと定義す ると
,dは 区 」この距離になる
この距離によって R は距離空間であり
,定理2.3によって
Rは完備である
.C も絶対値で距離空間になり ,定理
2.3から完備であ る こ と が わ か る 実 際,
Cの完備性は,似索数を実 部と
1雑部の和で表し
.Rの元備性を使えば簡
i. , r に ~iE Iリl
できる
.距 離 空 間 は 一 般 に 完 備 と は 限 ら な い が 距 離 空
Hi! Xの各コーシー
列の極限になる
ような,
1位を
Xに付け
加え る こ と で 狛 合
Xを大きく
して完1,mにすること ができる
.これを X の完備化 という.例えば
1~:)
Qを有 F
il 数全体の兆合とする
.Qのコ
ーシー列は,
Qの
中では板限をもつとは限らないが,
Rの中では収束す る. しかしその極限は一般に布理数ではない
.このと き
Qの各コーシ
ー列の極限全体の集合を
Cとかくと
,これはQ
を含む集合で,
Q=Rとなっている,
このQが
Qの完備化である,
C I ・ . の距離は絶対値でサえるの晋通である
,この例 では
1・1明すぎるのであまり自明でない距離空間の例を次にあげる.
例2.5.
良 つ
[a,b] I・.の複索数値連続
1月数 f(x) 全体の 集合を C[a
,b]で表す.C[a, b]上でスカラー倍 と和を
.c E C ,
f(x),g(x)E Cl a , b ] に対して
.( c
f)(x)
= cf(x),
(f +g ) (
x)
= f(x)+
g(x)と定義すると
.c/ECJa,
bl, J+gEC
[a,
blとなり
. C[a,bJはC上の(無限次元) ベ ク ト ル 空 間 に な る こ のとき
11/
1
1 = supl f ( x )
I(=
max 1/( x ) I )
a;,、,;,b a;,、•砂と定義すると
(
この II・IIは一様収束ノルムとよばれる)
. (1)任意の fE C[a,b] に対して 11/11~O であ り . も
し1 1 / 1 1
= Oならば f=0,( 2 ) 任なの cEC,
.「ECra,b
lに対して l l c f l l
=l c l
・l l f
ll,( 3 ) 任江の f,gE
C[a,
b]に対して llf+
gll~llfll +l
lgll ヵ汀戊り立つ.
C[a,
b」」..の距離
cl(・,・)を
d( f ,g )
=I
I! ‑g l
lで定義する
ことができ る
こうして C[a,b]は距離空 1111になる
.実 際 d(f, g ) が距離になっているのは.
:lI・.
の絶対値の楊合と
1ヽJi様にして.簡単に確かめる
ことができる
.さらに cra,b
lが完備であることを示すの は難しくないこの例の
一様収束ノルムを抽象化して次の概念が禅 入される
.定義2.6.
X を C上のペクトル空間とする. X I この関 数 1 1 ・ 1 1:
X→只
が次の条件 ( 1 )‑
(3)を満たすとき
. II・IIをX のノルム (nor
m)という
.(1)(正値性)任意の .r
E X に対して. llxll~
Oであり
.さらに
llxll= o ( =⇒、 r
= 0.(2)(同次性)任邸の CE
C , 、
1,EXに 対 し てl i e . x i i
= lcl
・1 1 . r l l ‑
(3) (三角不等式)1i:
慈のふ)
1E Xに対して.
11.r + YII~llxll + ll
y l l
‑また点 XEX に対して.
llxllをXのノルムとい う
. 定義2.7.ノルムが定義されたベクトル空間を
ノルム 空間(
normedspace ) という
.一般にノルム空間は
無限次元のベクトル窄 1/IJである .
X が ノ ル ム 空
間であるとき
.Xにd(x,y )
= ll x ‑ y
llで距離が
i釦義できる.この距離でXは距離窄 1 /
IJになる
. Xがこの距 離で完備であるとき
.Xはパナッハ空間(
Banac
hspace ) であるという.
例2.5の
Cla,b]はバ ナ ッ ハ空間である
.定義2.8.X
をC.
1・
.のベクトル空間とする( ・ ,
・)がXの内 栢
(innerproduct)で あ る と は .
iJ::紅;の
x.yに 対 し て 複 索 数 値
Cr.y)が定まり . 次 の 条 件
(1)‑(3)が成り立つことである
.(1)
( 正値 性) 任 滋 の
.rEX に対して (x,x)~ 0 であ り . さら に
(x,x) = 0¢:::⇒
X = 0.(2)
( 共 役 対 称 性)任慈の
x.yE Xに 対 し て
(x,y)=石百.
(3)
( 準 双 線 型 性) 任 邸の
x,yE Xに 対 し て
(x.y)は.
X
に つ い て 線 型
(yに つ い て は 共 役 線
WI)である.
ベ ク ト ル 空 間 に 内 梢 が 定 義 さ れ ると . ノルムが定 義できる .
定 義
2.9.ベクトル空間
Xに内桔(・ , ・ )が定義されてい るとき .
!!xii= (x,ふ
(xEX)でノルム
II・IIが 定 義 で きる .このノルムで
X上に定義された距離に 関し て
Xが 完 備 に なるとき
.Xは ヒルベ ル ト 空 間
(1‑lilbcrl space)であると い う. ヒルベル ト 空 間は バ ナ ッ ハ 空
!Ill
である .
定 義
2.10.X. Yを ベ ク ト ル 窄
1/JJとする
.Xから
Yへ の線型写像
Tを線型作用索
(linearoperator)という.
すなわち .
Tは
T(cx) = cT(x), T(x + y)=T(x) + T(>,) (c EC, .r,y EX)
を満たす
'Iチ像である.
I対 数 解 析 学 の 通常の・ 『
t/ や にした がって.
.rの像
T(x)を混乱の生じない限り.今後は.
Tx
と魯くことにする .
A
を 集 合 と す る .
A I .・の 演算とは. 染 介 の
11'(,fj'tA X Aから
Aへ の 吋 像のことである .
f: A X A 3 (x,y)→ ZEA
が写像であるとき .z =J( x .
y)を辿 'ii\•.\"OY ま たは
X*Yとか
xyで 表 す こ こ で は
xyを
JIJいること にする .
xyを
Xと
yの和 という .こ の表記を 川いると.
もし 浙符 が 結 合 法
l!IJ/(I(ふ
y),z) =/ ( ふ
f(),z1))をみ たすとき . これは
(xy)z= x(yz)と 科 け て 視 槌 的に も わかりやすい.複数の柑 尊かを
IITJ時 に 扱 う 場合. 混 乱 が 生じないかぎり.
iiif狩
Jが異なっていても.
I (.r. y)を 表すのに 同 じ 、
ryを 使 う こ と に 注 意 す る . また一般に
、
i:y* 四 で あ る が
ff:.近の 、
r,yEAに対 して、 ¥ : )'=
yxが 成り立つとき
.Aは可 換であると い う.
定 義
2.11.ベクトル空
11¥JA I・.で秘が定義さ れていて .
cE C,x,y,zEAに対し て .
(cx)y=x(cy) = c(
砂 ) ,
(x + y)z = xy + yz, x(y + z)=xy + xzが成 り立つとき
.Aは
CLの多元環
(algebra)である という .
frill素 閑 で は.結 合 法 則
(xy)z=x(y;:)を満た す ことを仮定する . r l は梢に関して可換であ る と き
Aは可換 環
(abelianalgebra)という .上の
3つの式 が 成 り 立 つ こ と が s
Iの中で
Cr.y)→
xyが双線型と
い った 、
,1訊味である
. Aの あ る 元
1が.
ff:、
,1はの
x E Aに 対 し て
Lr= .rl = .し.を満たすとき .
1を
Wtに関 する )単 位 元
(idenlily)という
.ここ では 単.位元の イ[在 を仮定しないことにする.この解説では .考えて いる多冗環の単位冗を (もし存在するなら )
1で 常に 表わすことにする .
ここで C—環の定義をりi- える .
定義
2.12.Aを
C」..の多冗屎とする . r l の共役線型写 像* : . し :
E A→ バ
E Aは,次の条件
(1)‑(2)を渦たす とき . 対 合
(invol u .tion.*‑opera tion)という. ここで
J
: し
1父和iと利とは .
(ax+ by)拿
=訟 + 恥(a,bE C,x,y EA)のことである .
(l)ff:.,j:
の、
rEAに対して.
(x')*=ぶ
(2)1fl江の
x,yEAに対 して .
(xy)* = >i‑パ A が対合をも つとき. A は・‑ 環という.
定義
2.13.AをC」—.の·-環
とする. A がバナッハ空間で.
l[xyll~11.rll·IIYII, llx' II= llx ll(x,y EA)
を満たすとき
.A をパナッハ
·—環 (Banach'-algebra) という.
バナッハ ・ー 環
Aが単位元]をもっときは
.11111= Iを仮定する .
さらにバナッハ* ー 斑
Aの 対 合 が
llx'xll= llxlド
(xEA)をみたすとき .A を C'—
環(C'-algebra) という.
llx
ハ
・1= 1 llxlドは C " 一 条件と 呼 ばれる . また C—条 件を 満たすノルムを
Cー ノルムという .
今 後 は 常 に C "
‑J.J;Jの本ベクトルは
0で 梢 に 関 す る単位)じは
1で表す こ とを 北 えていてほしい.
C
ー翡
1Aのベク トル部分
<i1;1111B が
Aの 秘 と 対 合 で
C'ー屈になるとき
.Bを
Aの
C'一 部分屎という .
sを A の 部 分
Uと合とする .
sを含む A の
C'‑存
II分我
tの中 で蔽小の ものを .
sで生成されたC—斑という これ は S を含む A のすべての C—環部分閑の共辿集合といっても 同 じである
定義
2.14.Aを
C屯 ー 炭 と す る
.Aの ・ c 一部分斑
Iに対 して
XEA,y E/ ならば
xyE l,yx E/が成 り立つとき .
[を
Aのイ デ ア ル
(ideal)という .
A
を
C'‑)3;1とする とき
.Aは少なくとも
2つの自明 なイデアル (
0}と A をも つ.
C'‑現 A が自明なイデア ル以外 のイデアルをもたな い と き
Aは単純
(simple)であると いう.
J札 純な
C'‑J3;!は 重 要 で あ る 実 際.
Jぶ
) IJ 1‑.現 れる多くの
C'ー 屎 は 単 純 珠 で あ る こ と が多い.
イメ ージ 的には.
C'—炭の積に関して非可換性が強け
れ ば 強 い ほ ど
C'ー屎のイ デア ル の 数 は 少 な く な る 逆 説 的 に い え ば
C'‑X虹が可換閑に近ければイデアル が多 くなると い うイメ ージである.
例
2.15.(行列 環)
II個 の 成 分 が 複 索 数 であ る よ う な
ベ ク ト ル全休 の な すベ ク トル空間を
IC"で 表わす書こ
れは
C・.Iの
II次元のベク ト ル空間であ る.成分が複索
数の
III欠i'E方 行 列 は.
IC"上 の 線 型 変 換 を り え る .そ
のような
11次正方 行列令体を
M,,(C)で表す. 線 型 代
数の授菜で学んだよう に 通 常 の 行 列の和 とスカラ ー 倍 ( 複 索 数 倍 ) で
M,,(C)は ベ ク ト ル 窄
IIIJである
.さらに行列の秘が定義され て い て そ の秘も
II次
.JI.: )i行列である.このとき
M,,(C)3 x,y,z,C 3 aに対して.
(ax)y = x(ay) = a(xy). (x + y)z = 入1'+yz,
心
.+ z)=
.¥)'+ .rこが成り立つ. こ うして
M,,(C)は. 行列の手
II.スカラー倍 秘で多 Jじ~! になっている. C"上の複索数値 内 枯(• , ・ ) を.
ff:訟のq=(ふ ,令,•..,品), 17 =
(171'T/2, ...'17,,) E C"に対して .
‑m
ク
5︱︱ I I
▽
m
︐
§
︑ ¥
i=I
で定義する . このとき
IC"のノルムが内梢(・ , ・ )によっ て
1§11={(乞百で定義される.
llxll = sup(II、r§III§EC",11§11~ I I とおくと.
llxllは
M11(C)上でノルムの条件を満 た す こ れ を
Xの作用素ノルム
(operatornorm)と い う こ の ノ ル ム で
Mn(IC)は完備であることがぷせる . すなわち M11(C) はバナッハ空間である . 線 I\~ 代数で芹 んだ行列
Xの随伴行列
.I・ *は.
(x§, I]) =(ふぷ
I])を満たす ことを思い出そう.このとき . 写像
*:XEA→.ぐ
EAは 次 の 性 質を もつ こ と が 容 易 に わ か る .
ff、なの
ふ)1EA,a,bE C
に対して.
(ax+ by)●
=訟+恥(共役線型
It), (x')'= x, (xy)'=l‑ぐ .
ここで爪災なのは
llx'.rl= ll lxll2が成りヽ・,:つことである .
( 証明は難しくないので卯味のある)
jはトライしてほ しい. ) こうして
M11(C)は
c‑mになる .
例
2.16.Hを ヒ ル ベ ル ト 空 間 と す る .
.rを
IIから
Hへの辿統な線製作用 素とする . ここで
Xが連続である
とは .
11§11―ど
II→
0ならば.
llx§" ‑x§II→
0がいつ も成り立つことである.このとき
,Xの作用素 ノルム を
llxll= sup{II埒
III§e <C", 11§11~ I Iで 定 義 す る . ここ で
llxll< ooとなることと .
Xが辿紐 であることが
1け ] 値であることを注慈してお<.
llxllはノルムの条件を 泌たす .B ( H)で H 上の述続な線)¥ 1作川索令体を表す と.作川索ノルムで B ( H)はパナッハ窄 1 / : J になる. ( 証 明は難しくない. )写像の合成で f i t が定義できて
.B (fl)は多元巧になる..r EB ( H )の対介
X・は.
(.r§, I]) = (5
ぷ
17) (x EB(H) ,
5, 17 EH )
で定義されるこのとき Cー 条 件 II入:•xii=
llxll2を沿
iた す こ と は 行 列 環 の 場 合 と 同様である . こうして
B(J‑1)は
C'‑段
tになる
.これ は非可換である
.もし
Hが
11次元ならば.
B(I‑1)は
M11(1C)である
.ここであとで 出て くる 作 川索の定義をりえておく .
II E
8( /-/) は 11• 11
=l を み た す と き 等 距 離 作 用 蒸
(isometry)という . これは
llu§II= 11§11 (q E H)と
1,iJ値である .さらに
uが
11'u= 1111• = 1をみたすならば.
ユニタリ作用 禁
(unitary)とい う. これは等距離作
JI!索が令射 であるということである .
参考のためにフォン
・ノイマン屎の定義を述べる . 定義は代数的に定義する)
j法 位 相
(Iり に定義する)
j法 バナ ッハ窄 I l l ! 的に定義する方法がある. ここでは代数 的な定義を述べる.B ( H ) でヒルベル ト 空 I I I J H
I・.の述 統な線型作
JI]索全体を表す.B ( H ) の部分染合
Mに対
して.
M'= { X E
B ( H)
I fモ意の
yEM対し て
xy= yx lとお<.
Mが・ー閑で
(M)'=Mをみ たすとき
.illをフォ ン
・ノイマン環
(vonNeumann algebra)という
.フォ ン
・ノイマン以
;tMが B( H)におい てノ ル ム位相 で完 備で あることはすぐわかるので .M は C—殷にな っ ている .B ( H ) がフォン ・ ノイマ ン環であることが定 義よりすぐわかる. ( B ( H ) ' =
C・1に注烈せよ . ) B ( H)
は C'— 閑としてはりt純でないがフォン ・ ノイマン閑
としてはり
t純である . これは.
lの定義からはわから ないが. ( 必
t‑11の辿いが実は原因になっている
.定 義
2.17.A. Bは・ー肉とする
. Aか ら
Bへ の
'1If俊 冗 が
CE IC. X. y E.‑¥に対して .
万(ex)= rn(x), ,r(x + y) = ,r(x) + 1r(y),
汀(xy)=万(x),r(y), ,r(x')
=万(. 、
r)'を満たすとき. r r は 準 同 型 写 像
(homomorphism)であるという .
A.B が C'- 閑ならば II万(、r)II~ llxll が成り立つことが知られている .こ れより C—環の
準同型写像冗は辿続である .
また準
jii]I印 j'.像が全射かつり
i̲射 で あ る と き 同型写 像
(isomorphism)であるという
. Aから
Bへ の同型 写 像 が イ ヂ 在 す る と き
. Aと
Bは 同 型
(isomorphic)であるという .j
,i]J¥'!である Cー棗は C—閑として実質 的に
j,‑;Jじものである .
準
j,iJt¥(!'lj'.(知は lln(x)II~llxll だから .
C'ー猿の
!IllO) 1,;J型写像はノルムを保存することが容易にわかる ( すな わち
lln(x)II= Jlxllが成り立つ) . こ れ は 代 数 的 な 条 件 だけから距離空間として 同 じである こ とを慈味する.
これは誘くぺきことである .ー)} . フォン ・ ノイマン
閑では . 代数的に Jii] 型ならば C—閑として同型である
が フ ォ ン ・ ノイマン閑として同型であるとは限らな いこ とを注慈しておく.フォン ・ ノイマン環は.定義 よりヒルベルト 窄
1/IJ上の作
JI]索 の 多 元 閑 で あ る が.
C—閑もそうな っ ていることが次の有名な 定 狸より わかる.
定理
2.18.( ゲルファント・ナイ
マルクの定理 )
Aを
C'‑ぷ 1 とする .そのとき
.あ る ヒ ル ベ ル ト 窄
lll ! H と A から B(IJ ) へのり
t射な準 I T T ]
J¥虹写像冗が存在する.す
なわ ち
Aと冗
(A)は
C'‑閑として同型である .
行列現は有限次九で凩純であるが 一般に布限次
jじ C—稔t は次の定理よりその構造がわかる
.定 理
2.19.c‑氏
IAが布限次元な ら ば
Aは
M,,1 (IC) EB M,,, (IC) EB
・ ・ .
EB M,,l(IC)と
J,iJ邸 で あ る . す な わち
Aの 元 は 行 列 炭
M,『,(C)( i
= I, 2, ・ ・ ・, k)と
1叩 な A のイデアルの元の和で一意的に表される .
次に可換な
c‑f.J;!の例を述べる .
例
2.20.良
・Iの複索数値述続
l¼J 数 f は. ff̲,:江の
f,> 0に対し て
{xE R I lf(x)I~司が R の
,•,':j々イi 限個の有 界
1が
JI区間の 和 集 合 に な る と き
fは無限遠点で消える
(vanishing a
t infinit y ) という. この条 件は ,
iい換え れ ば
・x岬 ! ̲ , f
(x)
= 0という ことであ る. 無 l 麟 、 し りで梢 える
Rの上の 連 続 関 数 全 体 を
Co(J.)で表す.
Co(R)上にスカラー倍和. 梢を.
,l E C,/ ,
g ECo(
:i) に 対 し て
(;lj)(x) = Af(x),
(J + g)(x) = f(x) + g(x), (Jg)(
、
,)= f(x)g(x)で定義すると .
Co(良 )は
Cl・.の 多 元
JJ;'lになる .対 合は
「(x) = .f . (x)
で定義できる . さらにノルムを
11/lloo=s
up{ 1/(x) I x E R Iで定義すると .バ ナ ッ ハ 空 間 に な る.
c‑条 件 は 明 ら か に 満 た す か ら .
Co(R) は ( I p . 位 元をもたない)
11f換な ・ c ー閑になる .
この例では
R・.Iの中垢索数値連続関数を考えたが. 洞 察力を働かすと ,
1及
l数 が定義されてい る窄間は
Rで なくてもよいことが容易に想像できる
.'k際 位相空 間
Q上 の複索数値でイ
i界辿続関数を考えて.
I.・の例と 同 様の設定を考えると可換な C—氏1
corn)が得られ る 特 に位
tll空間 Q としては.局}折コンパク ト ・ ハウ ス ド ル フ 空 間 と よ ば れ る も の を 考 え る と 都 合 が よ い 関数が定義されている空
lllJQがコンパクトとよばれる ものであれば. " [ 換 な
C・ー屎
C。
(Q)は
lji.位.)じをもつ .
こ の 楊 合 は
.c。 (Q) は Q 上 の 辿 続 関 数令休である こ とを注慈しておく .い くつかの定義は述べなかったが まとめると
例
2.21.もし Q をコンパクト ・ ハウスドルフ空間なら ば
C。 (Q) は Q の
Lの 連 続
1月数全休になる. このと き C 。 (Q) の代わりに C(Q) で表す. C '
‑J
ぶ1C(Q) は任
:0:
の 定 数 関 数 を 含 む こ と に 注 訟する .
qyに 定 数
1見
l数
f
(w)
= 1は梢に関するり
1位 元 に な る . 例 え ば.例
2.5のバナッハ空 間
C[a,
b]において .
IYJ数の積と対合を 例
2.20に お い て 定 義 し た も の と
1,,J様 に 定 義 す る と .
C[a,h
]は
c‑珠 に な る . こ こ で 実 は . イ
i界
1月
1凶
lllJ [a, b]はコンパクト ・ ハウスドルフ空間にな っている.
実は この逆も成り立つ.すなわち次の定則が成 り立 つ.
定 理
2.22.( ゲルフ ァン ト の 定 理 )
Aを
11f換 な
c‑J.J;tとする .そのとき
Aは適当な空
lllJQをうまく選ぶと .
c-mA はら (Q) と jfijJf,~ である ,
ここでいう適り な空 間 Q とは ,
ii :・確には局所コン パク ト・ハ ウス ドルフ 空 間 とよばれる
1立相空間 であ る‑
C/Q) の
Jじ である
1m数は,空 間の は る か遠 方 で 0 に 限 り な く 近 づ く よ う な 連 続 な 似 索 数 1 1 1 . i
I関数であ る も し A がり
.l位元をもつなら . Q はコンパク ト ・ ハ ウスドルフといわれる空間である .
3. Cuntz
環(ク ンツ 環 )
定義
3.1..f!!rJH次元ヒルベル ト 窄間において,
II
こ
S;s;=
I (*)i=I
を満たす
II個 の 等 距 離 作 川 索 ( s 1 ,s 2 ,
・ ・ ・,
s,,)によって 生成される C—環を Cu ntz 環
(Cunl.za l g e b
ra
)といい.
0 ,,
で 表 す こ こで
JIは
00でもよい.( * ) に おける和は.
ll(I:~1 S; 刃ー I),;II= 0 (q E H)
で走義している .
11 = 00
の 場 合 交換 関 係 (*)は イ 翌が式
v =
*
. .
'
s ・1s
I0 0
こ
を
11Jいる こ と が 多 い が 本 質 的 な 述 い は な い . この 定 義では,
01は1 I/1 , ~, の等距離作)
IJ索に依イ
y.して いる が
実は次の定 郎 より依存しないことがわかる .
定 理
3.2.( , ; , )の 関 係 式 を 満 た す )
,11枢1の 等 距 離作 用 索
lsr,.ゞ
2,'",S11 } によって生成される C—閑を A とし同 様の関係式を満たす
II個の等距離作川索( 「
I,12, ・'・, I,,}によ って
1.1・ :成される
c:‑I.liiを
Bとする .そのとき
Aか ら
Bの
・.Iへの同應り将ばで.7
r(ふ )
= I;( i
= l,2,・・・,n)を満たすものがイ
f在する .
この定理から容易に次の系を得る .証明は易しい.
系
3.3.C
unlz翡to,,は単純である .
C— 税の自山罰闘l房: 像全体を具休的に知る ことは 一般 に は 難 し い が
o"については次のようにわかる . 実際.0
11の
i'I己
¥iし同型写像汀と
011のユニタリ
uが次 のように対応している .
定 理
3.4.Cuntz環
o"の日己準
j,;JJ利 り作ばと
o"のユ ニタリ
IIは.次の式で
1対
1に対応する :
万(s;)= usj, j = I, 2, ・ ・ ・, n;
II
u =
こ 凧) り・
j=I
C —環のあるクラス (IE確には.純粋 J!!f,1恨で単位)じ をもち. " [分 . l札純 ・ 核型 であるような C—肉のク ラス)の分類が
1990年代に
KK狸論を使って完成し た が そ の と き 爪 要 な 役 割 を 呆 た し た の が
Cuntz珠 で あ っ た
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