小薄片の熱的性質測定
一眼の角膜,コンタクトレンズ材
(昭和46年10月20日 原稿受理)
機械工学教室宮 部 喜代二
〃 勝 原 哲 治
大阪大学医学部眼科学教室浜 野 光 ハマノ眼科光 永 サチ子
Measurements of Thermo−Physical Properties for a thin and little Specimen
−cornea and materials for contact lens_
By Kiyoji MIYABE Tetsuji KATSUHARA Hikaru HAMANO and Sachiko MITSUNAGA
Some measuring methods of thermo−physical properties are represented for a thin and little specimen. Thermal diffusivity, speci丘c heat, speci丘c gravity and thermal conductivity are measured by the methods as stated the previous reports. For thermal diffusivity, however, as a temperature of a specimen rapidly change with time in transient heat conduction・then a oscillagraph is used for record of the changing temperature. For specimen, cornea and two materials of contact lens are adopted.
t緒 言 が大きく測定精度に影響するもの・あるいは定常
状態をうるために長時間を要するものなど種々の 物質の熱的性質の資料を確立することは,熱工 問題点があり,これらを解決するために高度の実 ネルギー輸送の問題を解析し,あるいは,その実 験装置,測定器具を必要とするものが多い。
験結果を整理する上で,基礎的に極めて重要な事 以上のような問題点の中の一,二を解決できる 柄である。したがって,今日まで多くの物質を対 ものとして,最近非定常熱伝導理論を応用した温 象に種々の測定方法が提案され,またそれらの測 度伝導率,比熱,熱伝導率などの測定方法が提案 定結果も数多く発表されている。 されているD2)3 。
ところで,これらの測定方法には一長一短があ 筆者らも既に,非定常熱伝導理論を用いた温度 り,それぞれの特色を生かして,固体,液体ある 伝導率測定法4)5)6),および改良混合法と名付けた いは気体を対象に実験測定を行なっている。い 比熱測定法7)を提案した。筆者らの目的とすると ま,定常熱伝導の理論を応用した熱伝導率測定を ころは,上述文献で述べたように,定形あるいは 例にとり,対象を固体に限定して考えると,現在 不定形小試片を少量用いて常温近傍の熱的性質を
までに提案されている方法は,一定の寸法以上の 測定することにあり,そのためには,かんたんな
大きさを必要とするもの,熱量および温度測定に 実験測定方法で可能であることを示した。したが
きわめて高い精度を要求するもの,熱損失の算定 って,筆者らの測定方法は上述文献(1),(2),
条件により,より有用な場合があると考える。
以下,本報告では,文献(6)で述べた定形小 mV
試片の測定方法と同一理論を基礎とし,試片が極 言己録計
めて薄い場合の測定例として,眼の角膜(牛)お よびコンタクトレンズ材の熱的性質の実験測定結 果について述べるが,厚さ1mm前後の薄片試 料でも,測定可能であることを示したものであ る。試片として眼の角膜およびコンタクトレンズ 材を用いたのは,前者と同性質かあるいはそれに 近い傾向をもつコンタクトレンズ材を見出すこと に一つの理由があり,また,共著者の一人である
浜野は,既発表の論文において8),コンタクトレ 2 ンズを装着した場合としない場合とで,角膜表面
温度に1℃前後の相異が認められることを見出し ており,その原因を解析するためにも角膜および
4 コンタクトレンズ材の熱的性質を知ることが必要
であると考える。 図1測定装置略図
1.恒温槽 2.撹伴器
2.熱的性質の測定 3・試片取付台 4・試 片 5.温度差測定用熱電対
ここでいう熱的性質とは,温度伝導率,比熱お 6・スタートマーク用熱電対 よび熱伝導率のことであるが,本実験では,温度 一
鱒転ぱ、および堰γの測定を行ない, 爵では追齢舗相の実験には電畝・シ 熱rλはこのヨの値を用いて次式セこより求1ζ;鶏蒜麓謬欝:ぽシ
める。 _
測定用の試片としては,別述したように,牛の λ一α・ρ・γ (1) 眼の角膜およびコンタクトレンズ材2種を用い 測定方法に応用される基礎理論は,前述したよ た。試片は一回の実験に2コ必要で・まずその厚
うに,定形小試片に関する文献(6)と全く同様 さをマイクロメータで数点測定する・ついで用意 であり,実験装置もほとんど同一であるので,文 された0・05φC⊂C・熱電対素線の測定点を一方 献(6)で述べた内容と異なる点については多少 の試片の中心点に設定しアロソアルファ (市販 詳細に述べるが,その他は省略する。 名)などの接着剤を用いて2枚の試片を接着す 2.1. 温度伝導率の測定 る。完全に接着するまで暫く大気中で放置してお 測定装置の概略を図1に示すが,定形小試片の き・ついで図1の恒温槽中に投入する。実験測定 測定の場合とほとんど同一である。ただし,同図 でえられた電磁オッシログラフの記録紙(図2参 の6の熱電対がスタ_トマ_ク用として加えられ 照)より乃一(τ・一の/(τ・一のを算出し・時間τ ている。その理由は,試料が薄片であるため,温 に対してプロットする。乃〜τの例が図3であ 度差(周囲流体温度と試片中心部温度との差)の る。ここにτ・:恒温槽水温ぴ恒温槽投入前の 時間変化がきわめて早く,試料投入開始時間を正 試片温度・τ・:試片中心点(測定点)温度である。
確に記録させるために,試料取付台にスク_トマ 図中点線は破とプリェ数罵(一ατ/12)の関係を 一ク用としての熱電対を取付けたわけである。ま 示す。
た,時間的変化が早いために,ふつうのペン書記 瓦一α。τ/1・ (1)
図2測定記録紙例
G
迂
G
1.2739
1.0 0.9 0.8 0.7
0.6
1 0・5 ミく o.4
L o.3
⇔
ll
む
ト¶ 0.2
0,1
F