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吉海直人氏寄贈 江戸時代往来物の目録と解説

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(1)

吉海直人氏寄贈 江戸時代往来物の目録と解説

は じ め に

年 月から 月にかけて、同志社女子大学教授、吉海直人氏より二回にわたり奈

2009 2 3

良教育大学学術情報教育研究センタ-(図書館・教育資料館)に江戸時代の書物おもに往 来物 175 点が寄贈されました。

吉海氏は国文学研究とりわけ百人一首などのご研究に従事され、そのかたわら貴重な近 世書物を長年にわたり蒐集されてこられました。今回、吉海氏が蒐集所蔵されました多量 の往来物のなかから奈良教育大学に御寄贈いただきました 175 点について、以下の視点か ら検討し、展示して皆様への紹介とご案内とします。

[1]女子用往来について---冊数において 57 冊という最も多く蒐集されていたのが 女子用往来でした。吉海氏がご研究をされている百人一首は近世の女子用往来に取り込ま れ、挿絵入りの豪華な書物として発達し、最も読まれた内容の一つでした。近世女子用往 来の多様な内容を紹介・展示し、そこから見えてくる近世社会が女子・女性に期待した教 育・教養の世界を検討しました。

[2]時期別にみた往来物について--女子用往来をのぞく--

(1)近世初期の往来物--寛永~元禄期ころを中心に

。 ( )

近世の往来物は初期から出版されていました この度の寄贈往来物には寛永二年 1625 発刊の『初登山手習教訓書』が登場します。続いて、寛永四年の『当用往来 、正保二年 』

( 1645 )発刊の『庭訓往来 、慶安四年刊『御成敗式目』をはじめ明暦四年、萬治二年、 』 寛文九年、延宝二年発刊の往来物が蒐集されていて、元禄期に文化が花開きます。元禄期 の蒐集書物としては『手習仕用集 』、 『庭訓往来 』、 『御成敗式目』ですが、宝永期の貝原 益軒『五常訓』もあります。また往来物の著作者である堀流水軒、中村三近子が登場した のもこの時期でした。

往来物といわれる書物の出版は江戸期全部を通じて 7000 種類に達したとされています が、その隆盛を可能にしたのは近世社会に暮らす農民・商人・職人など庶民層が、文字を 読み、書くことに実用性と教養そして娯楽や楽しみをみつけ、識字力を大きく進展させて きたことにありました。書肆は初期は京都そして大坂、そして中期には江戸へと広がりま したが、近世中期以後には地方にも書肆が誕生して書物が流布しました。

(2)近世中期の往来物--宝暦・明和・天明期ごろ--

近世中期は享保期から元文期、寛延期、宝暦期から明和期、安永期、天明期、寛政期と 各時期ごとに比較的丁寧に蒐集されています。とくに宝暦期と明和期に発刊された各種の 往来物が数多く蒐集されています。なかでも用文章系統の往来物が数多く蒐集されていま す。また『庭訓往来』も引き続き発刊されていましたが蒐集されています。往来物作者の 中村三近子はこの時期も著作を重ね『女中庸』を出していました。

(3)近世後期から明治期の往来物--文化・文政期~明治初期--

(2)

近世後期は文化・文政期を画期として往来物も用文章系統のもの、書札の系統のものが 多く蒐集されています。また『商売往来 』、 『諸職往来』など庶民世界でよく読まれた往 来物も蒐集されています。この時期の『庭訓往来』も蒐集本に含まれています。また明治 期に発刊された『普通小学用文』も蒐集され、小学校で普通学が学ばれ始めたころの用文 章も登場します。

[3]年代不明の往来物・その他

発刊年代が不明の往来物は数多く存在していました。発刊年を明示することは慣例化し ておらず、著作者や発刊した書肆でさえも明記しないで発刊された往来物も多かったので す。それほどに需要があれば直ちに公刊されたものによく似たものが発刊されていたこと になります 『庭訓往来』や『商売往来』そして用文章系統の往来物や『消息往来』など 。 が蒐集されていますが、とりわけ『庭訓往来』が多いことが特徴です。

往来物の研究者である故石川謙及び石川松太郎(教育史研究者・謙堂文庫)父子が近世庶 民教育史を開拓されて往来物の研究、蒐集を長年行ってこられました。石川謙著『日本庶 民教育史』( 1929 年 4 月 1 日初版、 1972 年 9 月 25 日復刻版、玉川大学出版部)、石川松太

1988 7 25 1978

郎著『往来物の成立と展開』( 年 月 日刊 雄松堂出版)、『藩校と寺子屋』(

年 6 月 20 日刊 教育社歴史新書〈日本史〉 87 )など代表的な成果も出されています。また 近年には石川松太郎監修・小泉吉永編著『往来物解題辞典 解題編 ( 』 2001 年 3 月 10 日 刊 大空社)なども発刊されています。

石川松太郎氏によれば近世の往来物が 7000 種類にわたり出版されたことを推定されま したが、庶民の自主的な学習の進展は幕末期には「教育爆発」ともいえる学習熱の高まり に到達しました。近代の学校教育は学問の基本を儒学から洋学に転換させて教養体系を構 築していきましたが、最初に小学校教育に導入された単語、綴字、習字、読書、算術、歴 史、地理、修身などの各教科に相応した内容は、前近代の民衆世界においてあらかじめ内 的に成長させてきた実用生活に溶け込んだ教養や識字力が蓄積され、やがて民衆生活にお いて威力を発揮するまでに成熟し、近代の学校教育の教養の基礎を形成したと推定できま す。庶民生活に定着した書物としての往来物は、子どもの手習い稽古の手本として、ある いは家族がくつろぎと娯楽を手に入れて読み楽しむ書物であり、また稼業のための学習と して生活に取り入れられていくなかで発展をとげ、やがて家の自立のために我が子を家の 後継者として育てる意識が自覚され、家の後継者養成のために意識的な取り組みへと発展 していきました (太田素子『子宝と子返し-近世農村の家族生活と子育て-』 。 2007 年)

多様な内容の往来物も石川謙・松太郎父子の研究により、内容的に下記のような 10 種 類ほどに分類されます。それらの分類を前提に寄贈往来物を紹介し解説します。

①古往来類--庭訓往来、実語教・童子教など近世以前に原本が作成された往来物

②実業類---商売往来、百姓往来、諸職往来など近世の実業に関する道具などの内 容を絵入りでわかりやすく編集したもので単語の学習などに活用され ました。最も普及した往来物です。

③消息類---往来物の語源である手紙文の往復の雛形を原型として、多種多様な内

容に発展していきました。消息往来が代表的な往来物です。

(3)

④単語類---いろは文字や単語など、初学入門期の最初に学習する往来物です。

多様な工夫がこらされた内容となって進展してきました。

⑤歴史類---今川状、義経状、弁慶状、古状揃など歴史的に存在した人物の家訓的 な内容や書状を集めて書物の形にまとめたものです。

⑥地理類---江戸往来(自遣往来)、日本国盡、村名盡、芳野往来など、国名を集め たもの、神社仏閣への参詣をテーマに名所廻りの旅案内として編集し た往来物など多彩に発展しています。

⑦訓育類---謹身往来、初登山手習教訓書、世話字往来など往来物の種類としては 多いのが教訓的な内容の訓育類です。

⑧理学類---寛永年中に吉田光由が著作した『塵劫記』が最も流布していたといえ ます。また明治になると『窮理童子教 『窮理往来 『初学人身窮理』 』 』 なども発刊されています。

⑨合書類---新童子往来万世宝鑑、寺子往来等種類の異なった内容の往来物を合冊 にして読者に便利なように編集した往来物です。書肆は読者の好むも のを何冊も合冊にして分厚い書物の形態で販売しました。

⑩女子用往来---女消息往来、女今川、女大学、女庭訓往来、女用文章、女筆春日 野など女子用往来は各分野にわたり、女子向けに編集されて数多く出 版されていました。とくに百人一首の和歌を絵入りで編集した『錦葉 百人一首女宝大全』などのように百人一首は女子の教養として、和歌 の素養として広く皆から求められて読まれました。

以上の三つの視点から吉海直人氏寄贈往来物を紹介・解説します

(4)

【1】女子用往来について 女書翰初学抄 上下

題簽あり 1 冊 版本 中本 上三十四丁、下二十四丁 頭書あり 目録上下あり

奥書 元禄三庚午正月吉日 洛下 小佐治半右衛門 板 初版本

、 、 。

内容・解説/近世初期 京都の著名な女筆書家 居初つなが書いた女筆の手本である 散らし書きも含まれる。居初つなが書いた二札の文を女文章鑑と名付けて書林の手に わたり、のちに女書翰初学抄と名付けられたと序にある。書翰の往返一対を上では九 例と往のみ三例、下では往返は一例、往のみ十五例とづくし四例の雛形がある。

女書翰初学抄上

一、正月初て遣(ツカハス)文之事 二、同返事

三、元三に遣文之事 四、同かへり事

五、正月七日に遣文之事 六、同かへり事 七、寺まうでに遣文之事、 八、 同かへり事 九、梅の花送る文之事

十、三月の節句に遣文之事 十一、同返事 十二、花見に人を誘う文之事 十三、同かへり事 十四、ひさしくあわざる人に遣文の事 十五、同返事 十六、更衣(コロモガヘ)の祝儀遣文之事

女書翰初学抄下

一、雪のふりたる時遣文之事 二、同返事 三、歳暮の祝儀遣文之事

四、年忘れに人を招ずる文之事 五、田舎へ行人へ遣文之事

六、薫物(タキモノ)の方問に来る返事之事 七、よそより文をえて後に返事之事 八、湯治の所へ見舞いをえたる返事之事 九、能あるに人をよびに遣文之事 十、縁組ある所へ遣文之事

十一、短冊事に遣文体之事 十二、小袖模様頼に来時文之事 十三、いわた帯の祝儀請たる返事之事

十四、振舞にあひて礼に遣文之事 十五、とふらひ文遣事 十六、女中詞遣字づくし 十七、道具字づくし 十八、女中名字づくし 十九、尼名字づくし

二十、書札式法の事 二十一、目録書様(カキヤウ)之事

元禄三年( 1690 )年、京都の書肆から出された居初つなの女筆手本は、後の女用文章

手本の先駆ではあるが、居初つなの美しい、のびのびとした女筆が際立っている。

(5)

女今川

題簽無し 1 冊 版本 中本 二十丁

頭書あり

奥書 東叡山御用 御書物所 江戸/青雲堂英文蔵

内容・解説/女今川の定型本である 「今川になぞらへて自をいましむる制詞の条々」 。 ではじまる。頭書は「婦人躾方 たしなみの事 「仮名遣ひ大概」など女性に重宝な 」 日用知識の内容である。

花宝用文章

題簽なし 頭書有り 1 冊 版本 中本 上二十七丁+中二十四丁+下十九丁

奥書 京師書房 中村七兵衛、□□孫兵衛

内容・解説/女用文章の手紙文往返の定型文の雛形。上には八事例、中にも八事例、

下には七事例が集められている。頭書には世話字往来や手形証文づくしなど重宝な日 用知識や情報を満載している。発刊年は不明。

女中庸

題簽あり 1 冊 版本 中本 裏表紙欠落 五十六丁 口絵・説明文有り 女教訓練歌、修学寺八景図、三十六人新歌仙図、

五節句和歌図、五倫和歌図 頭書あり 挿絵入り 画図 漱石子 全部書筆 中村三近子

奥書 享保十五( 1730 年)寅戌正月

京師書房/植村藤治郎 江戸書房/植村藤三郎 大坂書房/植村藤三郎

内容・解説/比較的挿絵の多い書物である。近世中期の女性を対象とした女訓書。著 者である中村三近子は大坂の寺子屋師匠であり、寺子屋の子どもの手習い教本を他に も書いている。書肆藤村玉枝子によれば本書は幼女の心操の誡めになるものとして編 輯したとある。

女用文

題簽なし 1 冊 版本 中本 六十五丁 口絵有り 五節句の由来について挿絵入り説明あり

頭書あり 日用大和ことば、女いましめ草など女子教訓的内容 奥書 寛延二巳( 1749 )年 堀流水軒末流中谷氏

京都書林/出雲寺和泉、大和屋伊兵衛

内容・解説/堀流水軒とは元禄八年に「商売往来」を著作した人物。寺子屋師匠でも

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、 。 、 あり 往来物を著述して庶民教育に関わった 本書は堀流水軒の末流中谷氏であるが

「文は道を貫くの至り」にて人用に関わる用文のうち当世に通用する用文を本文とし たとある。用文事例二十六事例を集めて往返の用文章の雛形を集めている。

女大学

題簽無し(破損) 1 冊 版本 中本 二十四丁 奥書 発刊年不明 青牛堂 滕湛水蔵版

内容・解説/定型の女訓書「女大学」である。女大学が大儒者貝原益軒の著述を板行 して世に流布し、幼女の寶訓となっているので、幼女が朝夕手馴れよろしきように、

普段見慣れた文字を書き替えて発刊したとある。

百川田先生 名媛歌

題簽無し 1 冊 版本 中本 二十五丁 表紙扉 名媛歌 百川田先生 東都 花説堂蔵 奥書 宝暦丙子(宝暦六年 1756 )六月

東都書肆/安達屋善兵衛、須原屋平左衛門 内容・解説/書の手本。

壽女文□(女文林宝袋か)

題簽無し 1 冊 版本 中本 九十九丁 口絵、頭書あり

奥書 作者 居初氏女筆

元文三午年( 1738 年)三月 京書林/銭屋庄兵衛

内容・解説/女用文章四季の挨拶文、祝儀文、見舞い文など往返一対と往のみ三十九 事例を集めた定型の女用文章雛形。書家は居初つなであることから、美しい書体の手 本となっている。散らし書きもある。近世中期の女用文章として注目できる。

女大学 貝原先生述 全

題簽あり 1 冊 版本 中本 四十一丁 奥書 明和七庚寅年( 1770 )九月

江戸書林/小川彦九郎、西村源六、山崎金兵衛 大坂書林/柏原屋清右衛門

内容・解説/一頁四行の大きな字で仮名付きの定型文「女大学」である。明和七年発

刊という近世中期の「女大学」として注目できる。

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女年中往来

題簽なし 六冊目 1 冊 写本 中本 三十一丁 持ち主 湖東神埼郡小幡村 満津

奥書 文政十一戌子年卯月下旬

授与 坪田氏小助娘 満津

内容・解説/写本である。一頁三行の大きな字で書かれた手本。一月から六月までの 四季折々の祝儀文、通過儀礼の祝儀などの手紙文の雛形。

女今川玉苗文庫 全

題簽有り(剥がれ落ちあり) 1 冊 版本 中本 十三丁 口絵、頭書あり

奥書 慶応二丙寅歳( 1866 )四月再刻 東都書肆/錦耕堂 山口□藤兵衛

内容・解説/定型の「女今川」である。女今川は近世社会の初学入門期の女児の手習 い手本として消息往来と共によく読まれ、手習い手本とされた 「今川になぞらへて 。 みずからを禁(イマシムル)むる制詞の条々」ではじまる女性のための教訓書である。一

、 。 、 、

頁五行 一行九文字で書かれている 頭書は挿絵入りで 女大学と色紙短冊書法の事 が掲載されている 「女今川」は貞享四年発刊( 。 1687 )窪田つな書の系統と他方、元 禄十三年( 1700 )発刊の沢田きち作の系統の二系統に分かれる。江戸中期から明治期 にかけて二五〇種以上の板権と二〇種以上の異本をもつ最も普及した女子用往来のひ とつとされている(石川松太郎監修・小泉吉永編集『往来物解題辞典 解題編』 78

頁 2001.3.10 刊 大空社)本書は沢田きち作の系統と推定される。

教訓かなめくみ

題簽あり 1 冊 版本 中本 五十六丁 奥書 京都書林/梅さ屋弥兵衛、すみ屋勘兵衛、山本長兵衛、

八文字屋仙治郎

内容・解説/石田先生語録之内、女教訓として「姑心の主とする所の教 「嫁心の主 」 とする所の教 「下女心の主とする教」が述べられる。 」

続いて、講義旨趣が堵庵により述べられる。続いて潔矩、女冥加解、児女ねむりさま し、和論語抜き書きが書かれ、其の外に浮き世面づくし、手嶋先生六根の歌などもあ る。石田梅岩の教えを語録として手嶋堵庵が抄出して女教訓としてまとめたもの。

女諸礼集 六之巻

題簽有り 1 冊 版本 中本 十三丁

奥書 万治三( 1660 )庚子中夏

(8)

錦小路通 升屋平兵衛板 昭和十三年七月二十八日 編輯・発行/山田清作 発行所/米山堂

内容・解説/諸礼の所作の説明文といえる。正月かがみ(餅)のかざりやうの事、御 簾のしまいようなど、所作の具体的な説明文に挿絵のつくものもある。女性が知っ ておくべき家政の知識とされた。

女文章四季詞鑑か

(表題不明)

題簽無し 合綴 版本 大本

口絵、挿絵有り、 頭書有り 女文章四季詞鑑と女今川の合綴本

奥書 出版年不明。女文章四季詞鑑の初版本は天明九年( 1789 )で前川六 左衛門板とされる(前掲『往来物解題辞典』 117 頁)

本書の出版書肆は江戸の前川六左衛門

内容・解説/口絵には源氏空蝉、夕顔、清少納言、和泉式部、女教訓平生かがみ、

在原業平、女風俗躾時など女性教養の一つとされる和歌、百人一首の故事など挿絵入 りである。

本文は二つの書物、女文章四季詞鑑と女今川の合綴本である。女文章四季詞鑑では四 季の変化に合わせて祝儀文、見舞い文など女文章が下記の内容で集められている。

初春祝儀の文/初春祝儀之返事/七種之祝儀文/初午祭之文章/宿さがり見舞之文

/桃之節句之文/花見催之玉章/卯月音信之消息/卯月八日誘之文/五月節句之文 章/雷見舞文章/六月朔日之玉章/祭礼見物之文/土用見舞之文/七夕祝儀之文/

中元祝儀之文/八朔祝儀之文/月見祝儀之文/菊重祝儀之文/後之月見之文/菊之 花を送る文/猪乃子の祝儀文/髪たき祝之文/縁組結納之文章/寒気見舞之文/年 わすれ催之文/婚礼祝儀之文/歳暮祝儀之章/歳暮壽之返事

「 」 「 」 。

女今川は 今川になそらへ女いましめの条々 にはじまる 女今川 の本文からなる 本書の「女今川」は貞享四年( 1687 )初版、窪田つな書の系統の女今川であろう。

頭書の工夫も挿絵入りで説明は詳細である 「日用重宝教訓躾方」とあるように 「教 。 、 訓手習い短歌 「躾方教短歌 「我儘育教短歌 「国盡を習べき事 「大日本国盡 「苗 」 」 」 」 」 字乃文字を習給ふべき事 「苗字文字盡 「花咲草木の字を嗜おぼへ給ふべき事 「四 」 」 」 季花の名づくし 「十二月之異名引うた 「松之異名和歌之詞 「男女日用日頃草」な 」 」 」 どが満載されている。女性の重宝な座右の書とされたであろう。

(表題不明)

題簽なし 1 冊 版本 大本 下十八丁

内容・解説/散らし書きの手本。下の部分か。

(9)

(表題不明)

題簽無し 1 冊 版本 中本 横帳 四十三丁 奥書 青蓮院宮門人 玄海堂書

明和五戌子年初秋 書肆/上田卯兵衛 彫工/川崎平助

内容・解説/御家流門弟書の散らし書き女筆手本である。

女書札百花秀

題簽あり 1 冊 版本 中本 八十九丁 頭書有り、 挿絵入り

内容・解説/女筆散らし書き手本。絵入りの頭書には文字の初り、万包物折形図、年 中故実并五節句由来など実用と教養のための情報を示している。本文は和歌を女筆と 散らし書きを手本として提供し、実用にも教養にも役立たせる。

女庭訓御所文庫

題簽有り 1 冊 版本 中本 九十五丁

表紙扉 御家当流女躾方 女庭訓御所文庫 万葉教訓女宝鑑 口絵あり 浪華画生 月岡丹下昌信図

頭書有り 頭書総目録には四十九項目掲載。

奥書 寛政二年戌九月吉日 画図/下河辺拾水子

彫刻/石原半兵衛、 書林/京 菊屋七郎兵衛 板 内容・解説/年の初めから各月ごとの手紙文雛形。

女用躾今川

題簽あり(判読不能) 1 冊 版本 中本 十八丁 口絵、挿絵入り 頭書あり 挿絵入り

奥書 享保十三申年十二月吉日 書林/大坂 寺田与右衛門作

内容・解説/「今川の掟によせて女躾の条々」として、女今川になぞらえて一つ書き して、女の行為を躾として女訓書としてまとめている。

女用文章栄花鑑

題簽あり(一部破損) 1 冊 版本 中本 百十一丁 口絵あり 頭書挿絵入り 目録有り

奥書 天保十二辛丑春新刻

発行書林 大坂/河内屋喜兵衛、河内屋茂兵衛、秋田屋太右衛門

(10)

江戸/須原屋茂兵衛、須原屋伊八、林新兵衛、岡村庄助 内容・解説/女用文章栄花鑑として「四季の散らし文 「年始の文、同返事」等三十 」

七事例の文と返事文の雛形を集めたもの。女筆や散らし書きの手本である。

女用続文章

題簽なし 1 冊 版本 中本 七十八丁 頭書有り 口絵、挿絵あり

、 、 、 、 、 、 、

頭書内容は梅盡 名香盡 源氏の文字鎖 諸職名盡 家名盡 染色 名頭字 四季の京、洛中洛外辻子小路、月之異名である。

奥書 天明七年八月吉日 京都/野田藤八、鹿野安兵衛

。 ( )、

内容・解説/内容は近江の琵琶湖の美しい景色を詠った近江八景 都町盡 ミヤコマチヅクシ 京の都の町めぐり記ともいえるもの。都の西の嵯峨、愛宕の名所・旧跡を辿った西山 名所。花と花色を愛でる花盡、諸家の先祖より故実有ってつけるとされる紋を集めた 紋盡、京の都廻りともいえる都道芝、国名を集めた国盡がある。

天明期という江戸中期の職人社会を彷彿とさせる諸職名盡では二百六十種類の職人が あげられている 、近江八景をはじめ京の都路を名所めぐりのように紹介する内容は 。 優雅さをもっており都のみならず各地の読者に大いに受け入れられたであろう。

◇附録「諸職名盡」にみる職人名(いろはわけ)

--天明七年刊( 1787) 『女用続文章』頭書より

石切、鋳物師、印判、糸や、風巾(イロ 、硫黄、轆轤、鼻緒、花屋、箔や、板木彫、 ) 幡や(ハタヤ 、棒や、箒や、刷毛、機や、張物、針や、秤や、針口、馬借、馬具、 ) 張子、箸や、俳諧師、歯医者、人形、煮売、細金、彫物師、本や、払子、紅粉、

屏風、鳥や、磨や(トギヤ 、豆腐、銅鑼、銅金、銅座、問屋、砥石、地黄煎、茶や、 ) 茶染、茶碗、軸や、粽や、両替、漁師、塗師、縫や、縫箔、白粉、織や、桶や、

荢や、唐木細工、金物、綛や(カセヤ 、鍛冶、唐物、瓦師、傘や(カラカサヤ 、糀や、 ) ) 冠師、合羽、楽器師、貸物、刀や、釜や、紙や、錺や(カザリヤ 、蚊帳、 )

笄や(カンザシヤ 、籠や、額や、干物、香具、家質会所(カジチカイショ 、懸や、刀鍛冶、 ) ) 鏡磨(カガミトギ 、形や、香煎(コウセン 、紙漉、金貝、籠かき、狩人、紙葛買、葦簀、 ) )

、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、

たいまい 竹や 竹細工師 唐物 畳や 大工 唐本 道具 足袋 煙草 煙草入 玉や、蕎麦、染物、鍔や、鼓や、図や、土や、土人形、練物、納や、蝋燭、蝋や、

喇竽(ラウ 、紫や、うちわや、臼や、上絵(ウワエ 、受酒、植木、漆や、魚や、謡や、 ) )

、 、 、 、 、 、 、 、 、 ( )

占算 鋸や 糊置 能装束師 沓師 菓子 薬や 組や 櫛や、車や 菓や クダモノヤ 楊枝、八百や、揚弓、焼物、宿屋、矢師、薬種、鑓や、屋根、ゆすりや、蒔絵師、

、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 鞠や 枡や 下駄 筆や 風呂 風呂敷 文庫 古手 仏師 仏具 武具 仏絵師

鈖や(フンヤ 、麩や、五倍子(フシ 、古木、太物、蒟蒻、米や、昆布、紺や、琴や、 ) )

衣や、紅花問屋、輿や、木挽、呉服、小間物、骨柳(コリ 、鉄や、提灯、手鞠、 )

扇子(アフギ 、油や、銅や(カガネヤ 、網や、洗物、飴や、荒物、按摩、酒や、指物、 ) )

(11)

材木、素麺、鮫や、雑穀、左官、肴や、木具、木地、木寄、経師(キョウジ 、綺羅、 ) 木や、切付(キッツケ 、烟管(キセル 、金繰(キンシ 、銀糸、金座、銀座、灸点師、湯や、 ) ) ) 弓師、湯熨斗、結鹿子、目貫、眼鏡、面屋、御簾、味噌、調や、仕立物、下絵、

将棋、醤油、塩や、質や、数珠、朱座、悉皆、上納会所、装束師、絵馬、烏帽子、

絵や、絵具、画師(エシ 、桧物(ヒモノ 、表具、表紙、檜皮(ヒハダ 、飛脚、 ) ) )

日傭(ヒヨウ 、筆耕書(ヒッコウカキ 、日銭会所、元結、餅や、毛氈、木魚、木綿、紋や、 ) ) 瀬戸物、雪駄、撰糸(センジ 、銭屋、銭座、錫や、墨や、炭や、酢や、硯や、 ) 牙儈(スアイ)

教訓女朝鑑

題簽なし 1 冊 版本 中本 十二丁 虫食い甚だし。

奥書 宝暦三年酉正月吉日

書林 江戸/鱗形屋孫兵衛、大坂/山本九右衛門、京都/正本屋吉兵衛 内容・解説/著者の河州交野隠士、津熊武範の後記によれば、和漢経史子集の要文、

貞女、孝婦の善行を抄出して講学、勤経、孝愛、節義、柔弱の五篇となし、それらを 俗語で語らうことで、徳目を明らかにして、いにしへの貞女、賢女にも恥じることな きものを書き出したとある。本書は「柔弱第五」の部分であるが、漢籍書の引用のみ ならず「柔弱」をテーマにして、日本の古今の小野小町、紀貫之からも女の教訓を説 いている。挿絵には舅姑が嫁を前にして「忍がたくせつなきを よくかんにんせよと のをしへをうくるところ」と床の間の「忍」の一字を指さして教訓を説く図もある。

女朝鑑・教訓女朝鑑

題簽なし 1 冊 版本 中本

十八丁+十一丁+十一丁+九丁+十二丁=六十一丁 序 宝暦三年癸酉正月吉日 北越散人柳山堂

内容・解説/教訓女朝鑑の構成は「講学第一 」、 「勒 (キンキン)第二 「孝愛第三 「節 」 」 義第四 「柔弱第五」からなる。宝暦三年の序から見ても近世中期における、女性を 」 対象とした教訓書といえる。近世初期の女性教訓書は漢籍書の翻訳的な内容であった が、近世中期になると日本の古典書からも教訓を説く内容に広がりを見せてくること から、本書は近世中期の特徴を備えた女性教訓書といえる。さらに挿絵入り、和歌を いれて孝愛、節義、柔弱などをわかりやすく説き明かしている。漢籍と日本の古典を 女性の日常生活に使うことばを織り交ぜてわかりやすく工夫された女性向きの教訓書 にしていることから女性の読者層のひろがりを示唆している。

かな文章

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題簽あり 1 冊 横帳 版本 中本 四十三丁 青蓮院宮門人 玄海堂書

奥書 明和五戌子年 初秋 書肆 上田卯兵衛

内容・解説/かな文章の散らし書き手本である。書家玄海堂によれば、かな文章一 帖を書肆の求めにて拙いながら筆を染めたとある。

女書札文庫

題簽有り 1 冊 版本 中本 五十四丁 文政庚辰(文政三 1820 年)十二月 茂廣しるす

奥書 天保十二( 1840 年)年辛丑春 京都書林/めとぎ屋宗八

内容・解説/女用の手紙文往返の雛形。定型文が集められている。年始の文・同返事 からなる一対の手紙文を初めとして三十五の定型文からなる。内容は年始、祝儀、見 舞い、通過儀礼祝儀、奉公世話人への例、下女肝煎の文、歳暮祝儀などである。女性 の日用生活に必需の手紙文の往返雛形は多くの書肆から出版されて重宝がられた。

女用文獨稽古

題簽あり(破損している) 1 冊 版本 小本 四十七丁 目録 四季十二ヶ月の文づくし

奥書 文化九壬申年春

江戸書林/須原屋平助、須原屋藤左衛門 京都/銭屋庄兵衛

内容・解説/目録にもあるとおり、四季十二ヶ月の文之往返一対の雛形が二十一組、

四十二例集められている。内容は初春、節句、祝儀、七夕、歳暮などの四季折々の文 と返事の文の雛形である。月見、十夜、雪降り、寒見舞いなど四季折々の変化を細や かに捉えた文の手本がそろえられている。

絵入女文通宝袋

題簽無し 1 冊 版本 中本 七十五丁 表紙扉 絵入り 女文通宝袋 龍章堂書 平安書林 求好堂 挿絵入り 速水春堯斎画 頭書あり

内容・解説/女性を対象とした定型の日用手紙文の雛形を集めたもの。往返一対の雛

形が三十六事例ある。内容は定型の四季に合わせた季節の挨拶、祝儀文、遊楽への誘

い文、結納・婚礼祝儀文、七夕や重陽の祝儀文、通過儀礼にあたる髪置祝儀文、寒気

見舞い文など、日用に欠かせない儀礼の定型的な手紙文雛形である。頭書は本文に合

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わせた語彙の説明などが掲載されている。

女大学宝文庫

題簽有り 1 冊 版本 中本 三十二丁 奥書 天保十三寅春 東都/山泉堂 山城屋甚兵衛

内容・解説/女大学の定型本である。書肆の山泉堂 山城屋甚兵衛はこの書の出版 について「貝原先生乃著述し給ふ所にて児女乃身を脩むへき玉寶成り、今亦梓を改め て手習ふ為に世に伝ふるそ此なり」と述べている 「女大学」は近世中期の儒学者、 。 貝原益軒が著した『大和童子訓』のなかに「女子を教ふる法」について著述した内容 を、主に書肆が「女大学」として独立させて出版したもので、人気が高まり、多くの 書肆が同種のものを出版・再版している。

儒者、貝原益軒は儒学の内容を読者である民衆にわかりやすく説くことを心がけた儒 者であり、儒者の格調高さと他家に嫁ぐ娘の親に女子の社会規範を簡潔明瞭に説いて いるのが特徴である。とくに娘の親に他家に嫁ぐ前に娘によく教えておくことは衣服

、 。

道具を多く与えるより この教えを知らしめることの方がずっと重要と指摘している

岡本賢蔵編次 修身女訓 一

題簽有り 巻之一 1 冊 版本 中本 二十一丁 明治壬午(明治十五年)九月 甕谷岡松辰書

序 小中村清矩 諸言 明治壬午八月 岡本行敏 内題 修身女訓巻之一 岡本行敏編次 岡松甕谷 閲

内容・解説/女訓に関する内容を近世の漢籍書や日本の書物から、女教訓として短文 を引用して集めたもの。明治十五年出版ということからも、明治初期の道徳教育政策 である修身科の成立、修身の教科書との関連にも注目する必要があろう。巻之一の内 容は嘉言第一、嘉言第二である。嘉言で取りあげている文献は下記の通りである。

嘉言第一---「女誡 「礼記 「左傳 「史記 「女今川 「和論語 「女大学 「顔体 」 」 」 」 」 」 」 集 「小児語 「童子訓 「大和俗訓 「居家雑儀 「鄭氏家範 「心相編 「初学訓」 」 」 」 」 」 」 」

「女小学 「近世叢語 「人生必読書」 」 」

嘉言第二---「女孝経 「日新館童子訓 「童子訓 「願体集 「女中庸 「女大学」 」 」 」 」 」

「内訓 「和論語 「姫鑑 「烈女傳 「人生必読書 「温公家範 「礼記 「思弁録」 」 」 」 」 」 」 」

「女誡 「大和俗訓 「初学訓 「和論語 「家道訓 「傳家宝 「鄭氏家範 「童蒙須 」 」 」 」 」 」 」 知 「温氏母訓 「習是編 「四戒彙鈔 「言行彙纂」 」 」 」 」

和漢の書から、かなり広く蒐集して女訓としてまとめていることがわかる。

岡本賢蔵編次 修身女訓 二

題簽有り 巻之二 1 冊 版本 中本 三十三丁

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表紙扉 修身女訓 岡本賢蔵 岡松甕谷 閲 明治十五年六月一日版権免許

奥書 明治十五年六月一日版権免許 同年九月出版 編次人/長野県平民 岡本賢蔵、

出版人/和歌山県平民 北畠茂兵衛、 東京府士族 辻謙之介 東京府平民 阪上半七

内容・解説/「修身女訓一」に続く巻之二である。嘉言三、嘉言四、嘉言五がある。

嘉言三・四・五も嘉言一・二と同様の趣旨と形式で編集されている。以下の書物から 編輯している。

嘉言三---「温公家儀 「姫鑑 「世範 「内訓 「大東正語 「和論語 「女大学」 」 」 」 」 」 」

「女孝経 「女誡 「童子訓 「人生必読書 「紹述文集 「女訓孝経 「大和 」 」 」 」 」 」 俗訓 「日新館童子訓 「女庭訓 「女論語 「子孫宝草 「女訓孝経」 」 」 」 」 」 嘉言四---「五倫書 「人生必読書 「女小学 「家道訓 「大和俗訓 「女大学 「温 」 」 」 」 」 」

公家儀 「内訓 「女今川 「童蒙須知 「女論語 「礼記 「魏叔子日録」 」 」 」 」 」 」

「童子訓 「世範 「女誡 「言行彙纂」 」 」 」

嘉言五---「姫鑑 「留心集 「傳家宝 「大和俗訓 「冥加訓 「初学訓 「言行彙 」 」 」 」 」 」 纂 「人生必読書 「子孫宝草 「女小学 「願体集 「純正蒙求 「温公家 」 」 」 」 」 」 範 「童子訓 「閨範 「道卿語録 「家道訓 「女誡」 」 」 」 」 」

岡本賢蔵編次 修身女訓 三

題簽あり 巻之三 1 冊 版本 中本 三十丁 綴じ破損あり 表紙扉 修身女訓 岡本賢蔵編次 岡松甕谷 閲

明治十五年六月一日 版権免許

奥書 明治十五年六月一日 版権免許、 同年九月 出版 編次人 長野県平民 岡本賢蔵、

出版人 和歌山県平民 北畠茂兵衛、 東京府士族 辻謙之介 東京府平民 阪上半七

内容・解説/修身女訓一、二に続く三冊目である。内容は「善行」で、趣旨、形式は

、 。 、

修身女訓一 二と同様である 善行についての和漢書からの引用は次第に小論となり まとまりをもつ 「善行」で蒐集された和漢の書物は下記の通りである。 。

善行第一・---「閨範 「純正蒙求 「続近世叢語 「続蒙求 「蘇子家語 「近世人 」 」 」 」 」 鏡録 「劉氏人譜 「文徳実録 「日記故事 「烈女傳 「近世叢語 「古今烈 」 」 」 」 」 」 女傳 「言行彙纂 「晉書列伝 「通鑑綱目 「群談採余 「和論語 「五倫 」 」 」 」 」 」 書」

善行第二---「日記故事 「劉氏人譜 「唐書烈女傳 「文徳実録 「温公家範 「近 」 」 」 」 」

」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 世叢語 畜徳録 鄙都言草 後漢書独行傳 日本後記 呂氏童蒙訓

「閨範 「言行彙纂 「東鑑 「烈女傳 「宕陰存稿」 」 」 」 」

「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」

善行第三--- 紹述文集 孝義録 閨範 唐書崔氏傳 近世叢語 履軒文集

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「新続烈女傳 「後漢書 「拙斎小集 「唐書烈女傳 「閑諭紀事 「和論語」 」 」 」 」 」

「畜徳録 「節斎遺稿 「烈女傳」 」 」

岡本賢蔵編次 修身女訓 四

題簽あり 巻之四 1 冊 版本 中本 三十丁 表紙扉 修身女訓 岡本賢蔵編次 岡松甕谷 閲

明治十五年六月一日版権免許

奥書 明治十五年六月一日 版権免許 同年九月 出版 編次人 長野県平民 岡本賢蔵

出版人 和歌山県平民 北畠茂兵衛、 東京府士族 辻謙之介 東京府平民 阪上半七

内容・解説/巻之三の続きで「善行」について、同じ趣旨と形式が踏襲されている。

「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 「 」 善行第四--- 日本紀 烈女傳 本朝閨媛略伝 東鑑 群談採余 五朝紀事

「今世文髄 「畜徳録 「閨範 「姫鑑」 」 」 」

善行第五---「閨範 「唐書列伝 「唐錦 「新続烈女傳 「姫鑑 「孝義録 「本朝 」 」 」 」 」 」 烈女傳 「十訓抄 「羅山文集」 」 」

善行第六---「本朝閨媛略伝 「烈女傳 「新続烈女傳 「続近世叢語 「畜徳録」 」 」 」 」

「今昔物語 「古今烈女傳 「生野銀山孝義録 「唐書列伝 「本朝烈女傳」 」 」 」 」

「閨範 「畜徳録」 」

女書札文庫

題簽なし 1 冊 版本 中本 五十四丁

文政庚辰(文政三年 1820 )十二月 茂廣 目録有り

内容・解説/女性用の一年の四季、通過儀礼の祝儀などの手紙文の雛形。年始の文か ら始まる往返一対のものと、返事なしの手紙文が四十事例集められている。定型文で ある。

男子女子 前訓 全

題簽有り 挿絵入り 1 冊 版本 中本 二十八丁 前訓 口教男子部 上

京都弘所書林/山本弘□堂、淡海循古堂、脇阪群玉堂 奥書 安永二年癸巳仲秋 中嶋勘兵衛 板

安永七年戊戌六月再版 寛政四年壬子九月改刻

京都弘所/山本長兵衛、 炭屋勘兵衛、 八文字屋仙治郎 近江屋荘兵衛

内容・解説/前訓とは男子七才より十五才まで、女子七才より十二才までに年相応の

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教えを手島先生の講釈にて、子どもの行作よろしくなるために、小児を遠慮無く遣わ してほしいと、発起人中が述べているように、手島堵庵の講釈定日を三日・十三日・

二十三日の八つ時とした。その講釈は「口教クキョウ」一、二、三、四 「女子口教ジョシ 、 クキョウ」、附録として語彙の説明がある。附録に取り上げられた語彙は柔順、清潔、不 妬、倹約、恭謹、勤労の詞であった。

女調海文庫

題簽無し 1 冊 版本 中本 二十三丁+十三丁+十三丁 口絵、挿絵有り、頭書あり

口絵には女児の手習い、読書の挿絵有り。また挿絵入りで女子の教養とされた芸 事とて「聖人の教えを良師についてよく学ぶ 「琴と三味線をつま弾く 「香道 」 」 の嗜み 「和歌を詠む 「茶の道 「双六遊び」が取り上げられている。合綴本で 」 」 」 ある。

内容・解説/女実語教、女今川、女商売往来からなる。女実語教は女性を対象とした 教訓ものであり、一つ書きの綱目は、わかりやすく、庶民女性によく読まれた。

女今川は「今川になぞらへ女を誡の条々」とあり、一つがきにて簡潔明瞭にまとめら れた教訓と戒めの内容はよく読まれた書の一つと言える。

女商売往来は商売往来をほぼなぞっている。商売往来が近世社会で最も発刊された往 来物であり、女商売往来もその実用的な需要に対応して発刊されたといえよう。

頭書の内容も多彩であり、読者層の広さを推定させる。

女用文袖珠 全

題簽あり 1 冊 版本 中本 百十二丁 目録 用文章目録 頭書(カシラガキ)目録あり

内容・解説/女用文章の定型雛形本である。年始の文と返事から始まる四季折々の見 舞い文と祝儀文からなる。後半には日用の生活に必要な「仕立物頼む文」や「奉公人 頼む文 「奉公中親里に送る文 「馳走に逢ひし礼文」なども集められている。頭書で 」 」 は、さらに細やかな知識と常識をうめる内容が満載されている 「産後食物の事 「文 。 」 の封じ様 「琴の由来並図」などや「女消息往来」などもある。 」

新撰女用文初音錦

題簽無し 1 冊 版本 中本 四十八丁+三十七丁 目録 頭書あり 文和二年正月 梁田島水書

表紙扉 御家流貳梁田先生筆 新撰女用文初音錦 年中至宝、平成案文 江戸書林 前川崇文堂、北島弘文閣蔵

奥書 文化五戌辰(文化五年 1808 )六月

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東都書林/前川六左衛門、北島長四郎

内容と解説/祝儀文雛形二十四文章、一月から十二月のでの十二の文章と返事十二文 章、あわせて二十四文章の雛形を集めたもの。最も日常的に必要とする文章雛形が集 められている。文体は梁田島水書とあり、女筆である。

萬家通用 女文章大全

題簽あり 1 冊 版本 横帳 百二十四丁

内容 祝儀文の部--「初春の文、同返事」以下二十二雛形文 見舞いの部--「部屋見舞文、同返事」以下十二雛形文 遊楽誘ひ文の部--「花見を催す文、同返事」以下九雛形文 人を招く文の部--「節会案内の文、同返事」以下六雛形文 雑の部--「無沙汰の方遣す文、同返事」以下十五雛形文 奥書 川本重房書 永昭堂

解説/一頁六行の女筆、仮名入りである。字は達筆。どの家でも通常に必要とする文 章、たとえば祝儀文では婚礼祝儀の文と返事、見舞い文では火事見舞い文と返事、遊 楽誘い文では大和廻り文と返事、雑の文では奉公人部頼み遣わす文と返事など、通常 の生活に必要な文を相手に出し、その返事の文を集めた書物であり、重宝な内容であ る。

女庭訓往来 全

題簽有り(一部破損) 1冊 版本 半紙本 七十一丁 口絵あり 頭書有り

内容・解説/定型の女庭訓往来。一年の各月ごとの書状と返事。

女用文袖珠

題簽有り 判読難し 1 冊 版本 中本 百十一丁 頭書あり 紀友則の和歌と挿絵入り、

文章目録 頭書目録 一頁五行 頭書挿絵入り 女筆 仮名入り 奥書 安政四丁巳年 東武井上氏蔵板

大坂/ 河内屋茂兵衛、山城屋小兵衛

内容・解説/季節ごとの見舞い文、祝儀文、依頼文、見舞い文などの雛形と返事文雛 形からなる 「奉公人頼む文」や「疱瘡見舞いの文」など重宝な内容になっている。 。

女子習字 消息文 歌の部

題簽あり 表紙花模様 1 冊 版本 中本 四十四丁

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表紙扉 羽山尚徳編 三宅盤鴻書

女子習字 消息文 大坂 松泉堂蔵版

奥書 明治三十一年五月七日発行/ 著者 羽山尚徳 筆者 三宅敬造 発行兼印刷者 大阪/森本専助

内容・解説/「入学を賀する文 右返辞」以下十四事例にわたる祝儀文、見舞い文、

招待の文などが返事文とが対になって集められた消息文雛形。漢字まじりの仮名書き 消息文であり、美しい書体である。

書物の後半には御製、在原業平朝臣など十二人の和歌が色紙の手本として収められて いる。次いで短冊の手本として十二事例、懐紙、堅詠草、詠草などの手本として説明 文と共に雛形が集められている。女子用の消息文手本のため、色彩豊かな華やかな書 物作りと仮名文字の美しさが際立っている。

女用文章手習鑑

題簽無し 挿絵入り 頭書あり 目録有り 冊 版本 中本 百十丁

1

裏表紙 明治二十一年三月上旬 奈良県管轄大和国添下郡郡山矢田町

*

澤井玄雄蔵書 の書き込み有り

内容・解説/○四季の部として「初春祝儀文 同礼文」以下十九事例の文

○雑の部として「病気見舞文 同かへし」など十五事例の文

○頭書の内容目録

○増補女用文章手習鑑 「剃髪祝の文」など十八事例文

○増補の頭書目録

以上のように、女性を対象とした日用文章でよく使われる文の定型的な手習いのた めの手本の文である。書体にも注目する必要がある。

貝原益軒述 女大学 全

題簽有り 1冊 版本 半紙本 二十四丁 表紙見返し 益軒貝原先生述 女大学 雙文閣

奥書 明治十六年三月二十七日御届 同年四月発兌

( )

翻刻人 京都府平民 嶋林専治郎 近江国滋賀郡大津菱屋町寄留 内容・解説/貝原益軒述「女大学」の定型本。一面六行・一行十一文字。

嘉永再版 女孝経講釈 全

題簽有り 挿絵入り 1 冊 版本 中本 三十五丁 奥書 東都書物問屋 吉田屋文三郎板

内容 挿絵二点

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女訓孝経 開宗明義章第一、 后妃章第二、 夫人章第三、 邦君章第四、

庶人章第五、 事舅姑章第六、 三才章第七、 孝治章第八、

賢明章第九、 紀徳行章第十、 五刑章第十一、廣要道章第十二、

、 、 、 、

廣守信章第十三 廣揚名章第十四 諫争章第十五 胎教章第十六 母儀章第十七、 挙悪章第十八、

内容・解説/此の和文女訓孝経は鄭氏の女孝経に基づき、つくりしものとある。

中国の女訓書「女孝経」を日本の実情にふさわしく解説したもの。女性として婚家先 の舅姑、夫に仕えること、賢く家政を務めること、母としての教えなど、女性の生涯 を十八の女訓講釈で解説する。

小学女用文章 後

題簽有り 1冊 版本 中本

合冊本 小学女用文章 百四十七丁~百九十六丁

「隠居したる人を訪ふ文 「奉公へ出る女子へ贈る文章」 」

「婚礼披露の文」など」

裁縫教授法 凡例、目次、女子読本裁縫おしへ 三十四丁 南越 池田観編纂 浪華 中村れん訂正

巻末 浪華下村店 大山藤九郎、逸見吉十郎 女用文附録 七丁

奥書 明治二十五年二月一日訂正第二版

著者/中村重信、 発兌者/伊藤岩次郎、 発行者/松村九兵衛 内容解説/明治期の女子女用文章の雛形を集めた冊子と裁縫教授法は裁縫に関する用 語、裁縫用具、布の種類など揚げられ、裁ち方についてやさしく解説している。附録 として女子のお花、お茶などの稽古の手引きがなされている。女子に必要な教養や芸 事を簡便に解説し生活に役立てるもの。特に裁縫教授法「女子読本 裁縫おしへ」は 大和国式下郡為川村の永井佐平の女児「志可」(しか)が、幼児のころに疱瘡をわずら い、両眼とも明かり衰え、成長に従い、縫い針を学んで数ヶ月で綱領を習解し、終に 業に熟達して平常の活計となした。それは裁縫の巧みさにおいて眼のみえる女性に劣 ることはなかったとあり、裁縫技をわかりやすく説いたとある。

女文章大和錦 全

題簽有り 1冊 版本 中本 百六十九丁 口絵ありー大和画工 菱川清春 目録

一頁五行、仮名交じりの女筆手本である。漢字には仮名あり 附録として「封じやう 脇付きの事 「月々のかはり名」 」

内容 「年始の文 同返事」に始まって、季節の挨拶文、通過儀礼、祝儀、見

舞い文など六十一事例の往返の文の雛形文

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奥書 発行書肆 江戸/須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛、小林新兵衛、

岡田屋

内容解説/定型の女筆で書かれた往返の手紙文を集めている。女用文あるいは女文章の

。 、 、

標題のものはほぼ同じ内容である 文の雛形は以下の通りで 日用生活の細やかな表現 相手への心配り、敬意を示す表現に女文章の特徴である「--しおわんぬ 「存じ奉り 」 候」などで締めくくられ、女筆の書による闊達さもある。また、季節の変化を楽しむ見 物、祝儀、参詣、見舞い、芝居見物、元服祝儀、贈答、依頼文など、生活の節目と変化 を楽しむ庶民生活がある。また依頼文や詫びの文もある。

*年始、節むかへ、弥生、花を送る。参宮誘ひ、留守見舞い、日永に物送、端午、

神事招く、暑中見舞い、石山蛍狩誘ひ、納涼誘ひ、七夕祝儀、送り火誘ひ、

残暑見舞い、八朔祝儀、萩見誘ひ、月見、重陽祝儀、紅葉見、菊見、玄猪祝儀、

寒中見舞い、顔見世誘ひ、歳暮祝儀、結納祝い、婚礼整ひ、出産祝い、髪置祝儀、

借用物、仕立物頼み、養子祝儀、火事見舞、病気見舞、本服歓び、初めて参りし方 へ礼、手習入門頼み、中絶の方へ遣わす、年忘れ祝儀、奉公人頼み、普請移まし、

、 、 、 、 、 、 、

奉公人宿下げ 客招き 風見見舞い 法体の文 餞別の文 六十一賀の文 忌明け 疱瘡見舞い、升懸の文

女庭訓宝種

題簽無し 1冊 版本 中本 六十二丁 表紙一部破損有り 口絵有り

奥書 天保十三年冬再刻

書林 江戸/須原屋茂兵衛 大坂/柏原屋清右衛門、勝村治右衛門 京都/帯屋権右衛門、菊屋□卯兵衛

内容・解説/一年を通して各月ごとの消息文、書状の往返一対を集めている。内容 は公家社会のさまざまな側面を女性教訓として書き表したものとえる。

新版 女今川教草 全

題簽有り 1冊 版本 中本 八丁

表紙扉口絵有り

奥書 京都/墨屋吉兵衛板

内容・解説/著名な女今川の書物である 「女今川 。 今川になぞらへて女をいましむ る製詞の条々」とあり、今川状になぞらえて、一つ書きと後半に総論的な教訓を述べ ている。女性の教訓書としては女大学、女庭訓とともによく読まれ、学習された。

女小学用文 全 藤懸貴重編輯

題簽あり 1 冊 版本 中本 八十五丁

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序、 凡例 目録 頭書あり 一頁六行、漢字に仮名付き 奥書 明治十二年三月六日 板権免許

編輯人 東京府士族 藤懸貴重 蔵版人 同 平民 山中市兵衛

内容・解説/定型の女用文章雛形を集めたもの 「新年の文 。 同返事」以下、三十一 の事例をあげている。近世以後の消息型の往来物として女用文章は多種類にわたり出版 されたが、それだけ需要が多かったと言える。その定型は消息文雛形として往返一対の 季節の挨拶、祝儀文、病気や留守見舞い文などが挙げられるが、本書は明治期出版とい うことから、学校への「入校を賀する文む「教師拝命を祝する文 「博物館遊覧を誘ふ 」 文 「作文の添削を乞ふ文」など、学校教育生活に関わる手紙文雛形が登場している。 」 編者の序によれば、①従来の体裁に雅言を折衷して卑しくなく高きに登り初歩に備えた

②簡単で端正に用いられる「一筆申上候」などの文字を採用した③ 頭書は本文の大意 を述べて、作文の検閲に便利なようにした④電信文例も載せた⑤五十連音言霊活用の大 略を記した-とある。

女大学教箱 全

題簽有り 1 冊 版本 中本 二十七丁 表紙扉 貝原益軒先生述 女大学教箱 書林 交麗堂 奥書 天保十四年癸卯七月

、 、 、 、

書肆 江戸/須原屋茂兵衛 山城屋佐兵衛 須原屋伊八 岡田屋嘉七 出雲寺萬次郎、山崎屋清七、播磨屋理助 版

内容・解説/女大学は江戸中期の儒者、貝原益軒の著作である『和俗童子訓』所収の

「女子を教ふる法」をもとに益軒の教えを書肆が往来物に編輯したものとされる。同 趣旨の書物に『女大学宝箱』もある。女子は成長して他家に嫁するが、夫を敬いたて るとともに、自分の親以上に舅、姑へ仕えることをあらゆる方面から述べる。家の存 続、子孫の繁栄は家を治める女子のつとめであり、天分とする封建道徳を説得力をも って説いている内容である。近世の庶民生活にかなり影響力を与え、社会規範として 浸透したであろう。

女児私用文揃 全

題簽あり 1 冊 版本 中本 七十一丁

表紙見返し 水原操編輯「女児私用文例」 明治十一年十一月刊行 文求堂蔵版 内題 女児私用文例 翠香女史著

女児私用文例文之部目録には四十八件の往復文雛形が集められている。

奥書 明治十一年九月二十四日 版権免許 同十一月刻成発兌

編集人/水原操、 出版人/田中治兵衛、 発兌人/澤宗次郎

内容・解説/女児の私用文四十八例とは前半には年頭文、八幡参詣誘引の文、田舎へ

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遣す文、 花見誘引の文など年頭から季節ごとの遊楽の誘いの文雛形と返事の文を散 らし書きを年頭文に、それ以外は仮名交じり文で女筆で示している。

後半には縁談聞き合わせの文、婿取りをし女へ遣わす文、出産祝いの文など婚姻や縁 組の祝儀文、その他開店を賀す文、昇進の祝文などの祝儀、あるいは病気見舞い文、

悔文、忌明文など人生儀礼の文など女児の生涯に必需の往復文を集めたもの。

明治期にもこの種の消息文、手紙文が私用文例として雛形手本が発刊されていたこ とは注目すべきである。

女教草 全

題簽有り 1 冊 版本 中本 六十八丁 表紙見返し 権訓導 内藤末須著、菱潭深澤先生書「女教草」

官許 明治六年九月 甲府温故堂蔵 内題 女をしへ草 甲斐 内藤ます謹述 奥書 諸国弘通書林

東京/山城屋佐兵兵、和泉屋市兵衛、村上勘兵衛、鈴木喜右衛門、

和泉屋金右衛門、椀屋喜兵衛、森屋治兵衛、袋屋亀次郎、

、 、 、 、

鴈金屋清吉 紀伊国屋源兵衛 藤岡屋慶治郎 菱湖堂新兵衛 大坂/河内屋喜兵衛、書籍会社、書林会社

西京/村上勘兵衛、菱屋孫兵衛 尾州/永楽屋東四郎、萬屋東平 駿州/本屋浦吉、本屋市蔵

信州/藤屋機右衛門、高美屋甚右衛門、

甲府/藤屋傳右衛門 板

官許 明治六年九月 同十有一年発兌 甲府 温故堂 藤屋傳右衛門

内容・解説/女子への教訓的内容。旧来の女大学に著された内容と重なる封建道徳を 伊弉諾神話や日本の古典から説いたものである。キーワードは夫婦、貞女、君臣、父 子、夫婦、兄弟、朋友、天照大神などあげられている。

女用婦見硯 全

題簽有り(破損甚だし) 1 冊 版本 中本 四十八丁 表紙見返し 長玄海堂墨筆 女用婦見硯 全

摂都書林 松村

頭書あり 女訓、女用の実用知識に答えて作られている。挿絵入りでわかり やすい。頭書内容は文字のはじめ、女子文章訓、女誡和議、化粧の仕様、

紅のつけよう、よろず染み落としの傳、染め物秘伝、男女相性、婦人諸薬

の心得、あらい粉の傳、七夕歌づくし、十二月異名

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頭書の挿絵あり。

、 、

奥書 諸国発行書肆/讃岐高松-本屋茂兵衛 阿波徳島-天満屋武兵衛 淡路須本-桑嶋屋文蔵、 備前岡山-中嶋屋益吉、

備中倉敷-太田屋六蔵、 安芸広島-井筒屋忠八郎、

長門萩--熊城七良左衛門、山城屋彦八 肥後熊本-数珠屋傳兵衛、 豊前屋太右衛門、

加賀金澤-八尾屋喜兵衛、 越中富山-上市屋卯助 大阪心斎橋-敦賀屋九兵衛 板

内容・解説/内容は女用の祝儀の際の手紙文雛形。往返一対のものもあり、本文のみ のものと入り交じる。内容は初春祝儀文、更衣の文、上巳祝儀文、卯月の文、菖蒲祝 儀文、暑気見舞文、 七夕の文、盆の祝儀文、八朔祝儀文、重陽祝儀文、玄猪の祝儀 文、歳暮の文、はぐろ付けの文、婚礼の文、里入りの文、帯祝いの文、袴着祝の文、

髪置の文、参宮の文、留守見舞いの文、旅に行く人に遣わす文、花見の文など、人生 儀礼に関わる祝儀の手紙文雛形が往返一対で集められている。仮名交じりの女筆で書 かれ 「存じ入り奉り候 「かしく」などもはいる。発行時期は不明であるが,明治 、 」 期と推定される。

女用訓蒙図彙 上

題簽有り 1 冊 版本 中本 二十四丁

内題 女用訓蒙図彙一 序 二丁 奥田松柏軒 挿絵入り 内容・解説/内容は女用の語彙辞典にあたる。語彙を挿絵で紹介している。説明文は ない。女性には必需の生活知識を挿絵で示している。当時の女性にとっては常識とさ れた知識といえる。項目は女器財、衣服、茶湯具、化粧、花車、所作具、湯殿具、産 所、宮参・髪置の十項目にわたる。下記の詳細な内容は挿絵付きで、女性にはとても 便利な書物であり、生活教養とされる知識を集めたものと言える。しかし現在では消 滅した語彙、実体も少なくない。

女器財--長持、小袖櫃、鋏箱、葛籠、行器、貝桶、荷桶、衣桁屏風、屏風、衣桁、

几帳、翠簾(ミス)、黒棚、御厨子、料紙箱、見臺、墨筆、硯箱、短冊箱、筆臺、

、 、 、 、 、 、 、 、 、

文凾 文箱 双紙 歌賀留多 水引 和琴 三味線 双六盤 象戯(ショウギ) の盤 碁盤、角赤(スミアカ) 、乱笥(ミダレバコ)、鏡台、手箱、櫛笥(クシバコ) 、櫛臺、耳盤(ミミ ダラヒ)、 手拭掛、角盥(ツノダラヒ)、鏡架 、粉黛箱(フンダイバコ)、寄懸(ヨリカケ) 、 、 手葛籠(テツヅラ)、重箱、銚子、觴盃(サカヅキ) 、提下(ヒサゲ) 、すず、瓶子(ヘイジ)、

椀家具、懸盤(カケバン)、臺膳、縁高(フチダカ)、長足(ジョウアシ) 、三方(サンボウ)、

菓子盆、弁当、食篭、提重(サゲジュウ) 、御伽、 雛道具、雛(ヒイナ)、犬張子、

、 、 、 、 、 、 、 、 、 、

簇(エイシ) 綾巻 絹張 帯箱 臥座(ゴザ) 毛氈 枕 昼筵(エムシロ) 幕 守刀 長刀、乗物、轅(カナヘ)、立笠(タテカサ)、車、轅(カナヘ)

衣服--緋袴、十二単、裙袴(モハカマ) 、下帯(サゲオビ)、 帯(カカヘオビ)、脇開(ワキアケ)

脇塞(ワキフサ)、丸綿、足袋、手覆(テオオヒ)、三尺手拭、よのわの衣、蚊帳、蒲団、

(24)

鈍帳(ドンチョウ)、褥、帯、乗物蒲団、被(カヅキ)、

茶湯具--袋棚、臺子(ダイス)、茶入、花生(ハナイケ)、花桶、花瓶、花臺

化粧--眉拂(マユハキ)、黛、楴枝(コウガイ)、毛抜き鋏み、爪伐り、剃刀、櫛、鏡、

紅粉(ベニコ)、髢(カモジ) 、軽粉(オシロイ) 、漿子(ジョウズ)、附子箱(フシバコ)、

渡金(ワタシガネ)、油桶、花露、鐵漿壺(ハグロツボ) 、潼筆(カネフデ)、潼続(カネツヅキ) 花車(キャシャ)--香炉、伽羅、臥篭(フセゴ) 、香盆、香包(コウツツミ)、伽羅割、帛紗、匂袋

團(ウチワ)、扇、笠、頭巾、紙入、尻切・木履、数珠

所作具--針箱、綿挽、針休、針指、糸入、掛針、糸巻、物指、裁刀(モノタチ) 、 梳塙板(スキイタ)、火熨斗、機(ハタ)、績纏(ヘソ) 、荿(オサ) 、績桶(オゴケ) 、篗(ワク)、

紡車(イトクルマ)、糸繰、舞羽(マイハ) 、木綿車、くわいと、わたくり、綿弓(メンキュウ) 湯殿具--明衣(ユカタ) 、湯巾(ユテ)、湯続(ユツギ) 、洗粉(アラヒコ)、盥(タラヒ) 、

糟袋(ヌリフクロ) 、金盥(カナタラヒ)

産所--海馬(カイバ) 、荢(オ)、押桶、御府(コフウ) 、屏風、椅子、胞衣包(エナツツミ) 宮参・髪置--御伽婢(オトギボウコ) 、筒守(ツツマモリ) 、かなから、雛(ヒイナ)、末廣、

松橘、熨斗

女用訓蒙図彙 中

題簽あり 1 冊 版本 中本 三十五丁

内題 女用訓蒙図彙二(当流女用鑑巻二) 女用訓蒙図彙三

内容・解説/女用訓蒙図彙は当流女用鑑巻二がまぎれて入り込んで編集されている。

内容は「衣裳四季のかはり 「祝言の儀式座の次第」など二十二項目にわたる儀礼と作 」 法の所作などが述べられている 「香をきく事」では香木の名前など知識として必需の 。 ものであろう。

「女用訓蒙図彙三」では、着物の模様を女性の姿で描き較べやすくしている。また、帯 の模様、髪の結い方、紋づくしにして品を較べやすくしている。

女今川和歌緑

題簽無し 1 冊 版本 中本 十四丁

頭書あり。 頭書挿絵入り。 頭書は実用知識が掲載されている。

奥書 弘化四丁未年正月

東都書肆 錦森堂 森屋治郎兵衛 板

内容・解説/女今川の定型の書物 「今川になぞらへてよろづを禁む制詞条々」で始 。 まる。元禄十三年初版、沢田きち書系統の女今川と推定される。

改正女大学宝文庫

題簽有り 1 冊 版本 中本 三十三丁

(25)

頭書あり、 本文仮名いり、頭書仮名入り

表紙見返し 貝原益軒原著、 巻菱潭書、 杉山虎蔵頭書 改正女大学宝文庫

書肆 二書房

奥書 明治十四年六月十七日出版届 同年同月出版 改正頭書人 山口県士族 杉山虎蔵 出版人 埼玉県平民 長島為一郎 同 東京府平民 吉川半七

内容・解説/女大学の定型の書物。明治になっても増版されているところに注目でき る。原著は貝原益軒『大和童子訓』のなかの「女子を教ふる法」とされている。

江戸時代の代表的な女子教訓的な書物であり、何度も増版を繰り返した。

[女子用往来についての総括的解説]

以上、寄贈往来物のうち、最も多かったのが女子用往来 57 点であり、それらを一点ず つ逐次検討してきた。そこから伺える特徴は以下の通りである。

第一に女今川、女大学、女孝経、女中庸などに代表される女訓書、あるいは女性を対象 とした教訓書が多かった。とりわけ女今川、女大学は近世社会を通じて女性の教訓書とし てよく読まれた書物であった。女今川は初学入門期の手本として、多くの庶民の子どもの 手習い稽古教材とされていた一般書ともいえるものであった。また女大学は子どものみな らず各階層の女性の教養書、座右の書ともされた。書肆は女今川、女大学を様々な趣向を こらして女今川、女今川玉苗文庫あるいは女大学、女大学教箱などのように工夫を重ねて 出版、再版したのである。女今川は今川状になぞらえてとあるように今川了俊が子息に伝 える内容の書式を踏襲している。また女大学は書肆が著作したが、貝原益軒著『大和童子 訓』のなかの「女子を教ふる法」を底本にしている。儒者が庶民に説く教訓書はその格調 の高さ故に多くの読者を引きつけたと思われる。

また、多くの女性のための教訓書は儒者や男性による執筆が多かったが、なかには女性 が執筆している場合もみられた。女性が自分の子どもや結婚前の娘に母親として書いた教 訓書は、儒者や男性による執筆のばあいと異なって、社会規範に沿うように教訓的に述べ てある内容も、我が子を思う母親としての情にあふれ、婚家先での嫁の役割を説くという 内容になっていた (柴桂子「女性の書いた江戸前期の女子教訓書 『江戸期おんな考』 。 」

1991 1992

第二号 年 、 同 女性たちの書いた江戸後期の教訓書 「 」 『 江戸期おんな考 第三号 』 年 桂書房)

しかし女性に最も望まれた書物が女今川、女大学、女孝経、女中庸など、何故に女訓書 あるいは教訓書に収斂されたのかについては考察されなければならない。

近世社会が女性に求めた社会規範、行動規範は家の秩序の形成と継承、夫婦より親子の 関係、すなわち孝の観念の形成、家長である夫への妻の従属、嫁の舅姑への従属と献身、

妻の生殖・家政能力が強く説かれた内容である。

では「女大学」の言説がなぜ求められるのか。女性史研究が通説としてきたのは江戸時

代が近世封建制と身分支配のもとに家父長制が確立して女性の地位が最低に落ち込んだ時

期に登場した女性思想とみる。しかし、そのような見方に対して横田冬彦は新たな解釈を

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