本調査は,過疎化・高齢化が進む瀬戸内沿岸・島嶼部地域の魅力増進と活性化のため, 室町から江戸時代に瀬戸内の港町を巡った「朝鮮通信使」を重要な歴史文化資源と位置 づけ,その活用方策を検討するものである。 平成 24 年度広島大学マネジメント研究センタープロジェクト研究(全 15 件)の 1 つ として採択されたもので,調査は,広島大学,広島県,中国運輸局,中国経済連合会, 中国地方総合研究センター,NPO 法人・NGO ひろしま,エネルギア総合研究所で構成 する「朝鮮通信使研究会」が実施している。 同研究会は,朝鮮通信使ゆかりの地(下関,上関,下蒲刈,鞆の浦,牛窓)における 史跡・施設等の資源活用の現状と課題,ネットワークのあり方などを調査・検討してい る。本稿では,その一環として実施したアンケート調査結果を中心に紹介する。
1.アンケート調査の目的および方法
(1)調査目的
瀬戸内にある朝鮮通信使ゆかりの史跡・施設等の 認知度やゆかりの地を観光する際の観光行動等を把 握し,観光資源の問題点や活用方法を探る。(2)調査要領
①調査方法
(株)日本能率協会総合研究所マーケティング・ データ・バンク(MDB)を活用したインターネット によるアンケート調査。②調査対象
MDB ネットの登録モニターのうち,中四国地域 9 県および朝鮮通信使の当時の宿泊地が所在する都府 県や沿線の県など 22 都府県の登録モニター。 なお,アンケートの回答時点で,調査対象である 登録地と異なる居住地(群馬県,千葉県,沖縄県) のモニターからの回答も含む。③調査実施期間
2012 年 10 月 18 日(木)~10 月 19 日(金)。④回答者数・回答者の属性
回答者は426 人。回答者の属性は図表1 のとおり。 注:居住地域の区分は次のとおりである。 関 東:栃木県 群馬県 千葉県 東京都 神奈川県 中 部:岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 近 畿:滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 中 国:鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 四 国:徳島県 香川県 愛媛県 高知県 九州・沖縄:福岡県 長崎県 沖縄県朝鮮通信使に関するアンケート調査
について
図表 1 性別・年齢・居住地域別の回答者数と構成比 (性 別) 回 答 者 数 構 成 比 (人) (%) 男 性 211 49.5 女 性 215 50.5 合 計 426 100.0 (年 齢) 回 答 者 数 構 成 比 (人) (%) 20 代 108 25.4 30 代 109 25.6 40 代 97 22.8 50 代以上 112 26.3 合 計 426 100.0 (居住地域) 回 答 者 数 構 成 比 (人) (%) 関 東 190 44.6 中 部 71 16.7 近 畿 100 23.5 中 国 22 5.2 四 国 14 3.3 九州 ・沖縄 29 6.8 合 計 426 100.02.調査結果
(1)韓国について
①韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等へ
の興味(図表 2)
韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興 味があるかについては,全体では「そう思う」ある いは「どちらかと言えばそう思う」の回答割合が 20%弱となっている。 居住地域別にみると,関東,中部,近畿で「そう 思う」あるいは「どちらかと言えばそう思う」の回 答割合が約 20%となっているのに対し,中国,四国 が 10%以下,九州・沖縄が約 10%と低くなっている。 また,中国,四国では,「そう思わない」の回答割 合が約 70%と, 韓国の歴史,文化,ファッション, 芸能等への興味が薄いことがうかがわれる。 図表 2 韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等 への興味(居住地域別) 4.7 5.8 5.0 14.3 15.8 15.5 15.0 9.1 7.1 6.9 16.2 19.5 8.5 13.0 18.2 14.3 24.1 13.1 11.6 21.1 13.0 4.5 7.1 13.8 49.1 45.3 50.7 48.0 68.2 71.4 48.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 関東(N=190) 中部(N=71) 近畿(N=100) 中国(N=22) 四国(N=14) 九州・沖縄(N=29) (%) そう思う どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらかと言えばそう思わない そう思わない わからない②訪問回数(図表 3)
訪問回数については,全体では「訪問したことが ない」の回答割合が 70%となっている。 居住地域別にみると,九州・沖縄で半数近くが訪 問しており,約 10%が「5 回以上」と回答している。③訪問した都市(図表 4)
訪問した都市については,ほとんどの人が「ソウ ル」と回答している。 居住地域別にみると,九州・沖縄で「釜山」の回 答割合が 70%以上となっている。 図表 3 訪問回数(居住地域別) 70.0 68.9 70.4 74.0 72.7 78.6 55.2 18.1 17.4 19.7 16.0 18.2 21.4 24.1 5.3 5.6 10.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 関東(N=190) 中部(N=71) 近畿(N=100) 中国(N=22) 四国(N=14) 九州・沖縄(N=29) (%) 訪問したことがない 1回 2回 3回 4回 5回以上 図表 4 訪問した都市(居住地域別) 90.5 92.3 28.6 88.1 85.2 83.3 66.7 53.8 27.1 32.0 19.2 50.0 33.3 76.9 33.3 11.5 18.6 13.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=128) 関東(N=59) 中部(N=21) 近畿(N=26) 中国(N=6) 四国(N=3) 九州・沖縄(N=13) (%) ソウル 釜山 済州 慶州 仁川 水原 全州 大邱 その他 注:複数回答④訪問した理由・韓国のイメージ(図表 5)
訪問した理由・韓国のイメージについては,「日本 から短時間で移動できる」,「低予算で旅行できる」 の順に回答割合が高くなっているが,女性について は,「ショッピングができる」の回答割合も 30%を 超えている。 訪問した理由のその他については,「仕事」,「社員 旅行」,「修学旅行」などの回答があった。図表 5 訪問した理由・韓国のイメージ(男女別) 52.1 58.9 65.6 47.4 41.2 53.5 17.1 17.1 17.2 23.9 14.2 33.5 0 10 20 30 40 50 60 70 合計(N=426) 男性(N=211) 女性(N=215) (%) 日本から短時間で移動できる 低予算で旅行できる 観光施設が豊富である 自然や景観が美しい 歴史・文化がある 魅力的な温泉地や宿泊施設がある 魅力的な料理がある 土産物・特産品が充実している ショッピングができる テーマパークがある 祭り・イベント・コンサートなどに 興味がある その他 特に理由はないが,なんとなく訪問 した 注:複数回答
(2)朝鮮通信使について
①認知度(図表 6,7)
認知度については,全体では「よく知っている」 あるいは「名前だけ知っている」の回答割合が 30% 以上となっているが,男女別では,男性の回答割合 が 40%以上であるのに対し,女性の回答割合が 30% 以下と認知度に差が出ている。 韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興 味別では,興味が高い人ほど認知度も高くなってい る。②朝鮮通信使を何で知ったか(図表 8)
朝鮮通信使を何で知ったかについては,どの年代 も「学校での歴史の授業や社会人向け講座」の回答 割合が最も高くなっている。 ただ,40 代や 50 代以上では,20 代や 30 代と比較 し,「学校での歴史の授業や社会人向け講座」の回答 割合がやや低くなっており,一方で「本・雑誌・新 聞」や「テレビの歴史番組」の回答割合が高くなっ ている。 その他の回答については,インターネットで知っ たという回答などがあった。 図表 6 認知度(男女別) 9.9 14.2 5.6 26.5 30.3 22.8 63.6 55.5 71.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 男性(N=211) 女性(N=215) (%) よく知っている 名前だけ知っている 知らない 図表 7 認知度(韓国の歴史,文化,ファッション, 芸能等への興味別) 9.9 40.0 21.3 10.1 26.5 35.0 31.1 31.9 35.7 21.5 63.6 25.0 47.5 58.0 58.9 73.2 100.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) そう思う(N=20) どちらかと言えばそう思う(N=61) どちらとも言えない(N=69) どちらかと言えばそう思わない(N=56) そう思わない(N=209) わからない(N=11) (%) (韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興味) よく知っている 名前だけ知っている 知らない 図表 8 朝鮮通信使を何で知ったか(年齢別) 53.1 53.8 68.4 76.2 63.2 26.5 34.6 18.4 19.0 23.9 28.6 34.6 14.3 21.3 13.2 19.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 合計(N=155) 20代(N=42) 30代(N=38) 40代(N=26) 50代以上(N=49) (%) 学校での歴史の授業や社会人向け講座 本・雑誌・新聞 テレビの歴史番組 テレビの旅番組 韓国映画・ドラマ 博物館・美術館 観光パンフレット 行事・祭り・イベント・シンポジウム 友人・知人から 家族から 旅先 その他 注:複数回答③寄港した瀬戸内の港町の認知度(図表 9)
寄港した瀬戸内の港町の認知度については,どの 地域も「知らない」と回答した人がほとんどである。 特に四国は「兵庫」と回答した人が1名いただけ で,他の人は全員「知らない」と回答している。 10.5 10.3 10.3 79.3 80.3 81.0 79.3 7.0 18.2 8.4 7.7 13.6 17.2 7.1 11.0 9.9 9.4 13.8 14.0 8.4 9.4 92.9 77.3 77.4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 関東(N=190) 中部(N=71) 近畿(N=100) 中国(N=22) 四国(N=14) 九州・沖縄(N=29) (%) 赤間関(山口県下関市) 上関(山口県上関町) 下蒲刈(広島県呉市) 鞆の浦(広島県福山市) 牛窓(岡山県瀬戸内市) 室津(兵庫県たつの市) 兵庫(兵庫県神戸市) 大坂(大阪府大阪市) 知らない 注:複数回答④各種行事や祭りの認知度(図表 10)
朝鮮通信使ゆかりの地など日本各地で開催される 再現行列など各種行事や祭りの認知度については, 全体では「知らない」と回答した人が約 90%とほと んどであるが,韓国の歴史,文化,ファッション, 芸能等への興味が高い人については,若干認知度が 高くなっている。(3)瀬戸内にある朝鮮通信使ゆかりの地に
ついて
①史跡・施設・芸能・食の認知度(図表 11)
史跡・施設・芸能・食の認知度については,九州・ 沖縄で認知度がやや高かったものの,「知らない」と 回答した人が約 90%とほとんどで,最も認知度が高 かった「赤間神宮(下関市)」でも回答割合は 10% を下回っている。②訪問や体験をしたことがある史跡・施設・
芸能・食(図表 11,12)
訪問や体験をしたことがある史跡・施設・芸能・ 食については,「赤間神宮(下関市)」,「長府博物館 (下関市)」の順に回答割合が高くなっているが,「長 府博物館(下関市)」については,20 代,30 代と比較 し,40 代,50 代以上の回答割合が低くなっている。 図表 10 各種行事や祭りの認知度(韓国の歴史, 文化,ファッション,芸能等への興味別) 15.0 10.1 20.0 27.9 14.5 88.5 65.0 70.5 85.5 94.6 94.7 100.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) そう思う(N=20) どちらかと言えばそう思う(N=61) どちらとも言えない(N=69) どちらかと言えばそう思わない(N=56) そう思わない(N=209) わからない(N=11) (%) (韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興味) 知っており,参加したことがある 知っているが,参加したことがない 知らない 図表 11 史跡・施設・芸能・食の認知度と訪問・体験 図表 9 寄港した瀬戸内の港町の認知度(居住地域別) 注:複数回答 *1:上位の官人(正使・副使ほか)の接待や宿所とされた迎賓館 *2:上位官人に饗応された儀式膳で,本膳七品,二膳五品,三膳三品が載る *3:朝鮮風の衣装をまとった二人の男児の舞いで,疫神社の秋祭礼に催される 回答者数 (人) 構成比 (%) 回答者数 (人) 構成比 (%) 426 100.0 48 100.0 赤間神宮 25 5.9 18 37.5 引接寺 9 2.1 4 8.3 長府博物館 10 2.3 9 18.8 朝鮮通信使 行列再現 12 2.8 1 2.1 御茶屋跡*1 4 0.9 2 4.2 超専寺 3 0.7 4 8.3 旧上関番所 4 0.9 5 10.4 松濤園 (朝鮮通信使資料館) 7 1.6 2 4.2 饗応料理 (七五三の膳)*2 4 0.9 2 4.2 朝鮮通信使 再現行列 3 0.7 2 4.2 福禅寺(対潮楼) 6 1.4 3 6.3 鞆の浦歴史 民族博物館 7 1.6 2 4.2 保命酒 4 0.9 2 4.2 本蓮寺 4 0.9 1 2.1 御茶屋跡 4 0.9 0 0.0 唐子踊*3 5 1.2 1 2.1 0 0.0 0 0.0 378 88.7 16 33.3 合 計 その他 知らない(訪問・体験なし) 認知度 訪問・体験 史跡・施設等 上関町 呉市 下蒲刈 福山市 鞆の浦 瀬戸内市 牛窓 下関市図表 12 訪問や体験をしたことがある 史跡・施設・芸能・食(年齢別) 50.0 41.7 37.5 36.4 27.3 35.7 18.8 27.3 27.3 8.3 14.3 27.3 27.3 33.3 18.2 42.9 0 10 20 30 40 50 60 合計(N=48) 20代(N=11) 30代(N=11) 40代(N=12) 50代以上(N=14) (%) 赤間神宮 引接寺 長府博物館 朝鮮通信使行列再現 御茶屋跡 超専寺 旧上関番所 松濤園(朝鮮通信使資料館) 饗応料理(七五三の膳) 朝鮮通信使再現行列 福禅寺(対潮楼) 鞆の浦歴史民族博物館 保命酒 本蓮寺 御茶屋跡 唐子踊 その他 訪問・体験なし 注:複数回答
③史跡・施設・芸能・食を訪問あるいは体験し
たときの印象・感想(図表 13)
史跡・施設・芸能・食を訪問あるいは体験したと きの印象・感想については,「これまで訪問した瀬戸 内以外の史跡・施設の方がよかった」あるいは「特 に印象に残ったことはない」と回答した人の割合が 40%以上となっている。 ただ,年齢別では,20 代の半数以上が「朝鮮通信 使に興味がわき,勉強したり,他のゆかりの地に訪 問したりしたいと思った」と回答している。 図表 13 史跡・施設・芸能・食を訪問あるいは 体験をしたときの印象・感想(年齢別) 28.1 55.6 25.0 28.6 28.1 22.2 37.5 14.3 37.5 12.5 12.5 37.5 22.2 25.0 57.1 50.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=32) 20代(N=9) 30代(N=8) 40代(N=7) 50代以上(N=8) (%) 朝鮮通信使に興味がわき,勉強したり,他のゆかりの地に訪問したりしたいと思った これまで訪問した瀬戸内以外の史跡・施設よりもよかった これまで訪問した瀬戸内以外の史跡・施設の方がよかった その他 特に印象に残ったことはない④ゆかりの地を訪問したいと思うか
(図表 14,15,16,17)
ゆかりの地を訪問したいと思うかについては,「そ う思う」あるいは「どちらかと言えばそう思う」と 回答した人の割合が 15%以下となっている。 年齢別では,50 代以上で「そう思う」あるいは「ど ちらかと言えばそう思う」と回答した人の割合が 20%以上と比較的高くなっているのに対して,朝鮮 通信使の認知度が低かった 40 代では,「そう思う」 あるいは「どちらかと言えばそう思う」と回答した 人の割合が 10%以下とかなり低くなっている。 居住地域別では,九州・沖縄で「そう思う」ある いは「どちらかと言えばそう思う」と回答した人の 割合が 20%以上と比較的高くなっている。 また,韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等 への興味が高い人や朝鮮通信使の認知度が高い人に ついては,瀬戸内にある朝鮮通信使ゆかりの地への 訪問希望者の割合がかなり高くなっている。 図表 14 ゆかりの地を訪問したいと思うか (年齢別) 5.4 10.6 11.1 9.2 6.2 15.2 22.3 16.7 23.9 24.7 24.1 12.4 9.3 16.5 7.2 16.1 41.1 48.1 40.4 44.3 32.1 10.6 12.0 8.3 15.5 7.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 20代(N=108) 30代(N=109) 40代(N=97) 50代以上(N=112) (%) そう思う どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらかと言えばそう思わない そう思わない わからない 図表 15 ゆかりの地を訪問したいと思うか (居住地域別) 10.6 10.0 14.1 10.0 17.2 22.3 24.2 22.5 17.0 40.9 20.7 12.4 11.1 16.9 15.0 4.5 14.3 6.9 41.1 37.9 35.2 45.0 40.9 64.3 51.7 10.6 12.1 9.9 11.0 9.1 14.3 7.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) 関東(N=190) 中部(N=71) 近畿(N=100) 中国(N=22) 四国(N=14) 九州・沖縄(N=29) (%) そう思う どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらかと言えばそう思わない そう思わない わからない図表 16 ゆかりの地を訪問したいと思うか (韓国の歴史,文化,ファッション, 芸能等への興味別) 30.0 6.6 10.6 30.0 36.1 14.5 8.9 9.1 22.3 15.0 26.2 47.8 30.4 12.0 9.1 12.4 13.1 15.9 30.4 8.1 41.1 15.0 11.5 7.2 25.0 68.9 18.2 10.6 10.0 6.6 14.5 9.6 63.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) そう思う(N=20) どちらかと言えばそう思う(N=61) どちらとも言えない(N=69) どちらか言えばそう思わない(N=56) そう思わない(N=209) わからない(N=11) (%) (韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興味) そう思う どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらか言えばそう思わない そう思わない わからない 図表 17 ゆかりの地を訪問したいと思うか (朝鮮通信使の認知度別) 19.0 10.6 33.3 16.8 22.3 14.3 31.9 19.6 12.4 9.5 13.3 12.5 41.1 23.8 32.7 47.2 10.6 15.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=426) よく知っている(N=42) 名前だけ知っている(N=113) 知らない(N=271) (%) (朝鮮通信使の認知度) そう思う どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらか言えばそう思わない そう思わない わからない
⑤ゆかりの地を観光する場合の旅行期間
(図表 18)
ゆかりの地を観光する場合の旅行期間については, 「1 泊 2 日」,「2 泊 3 日」がいずれも 40%以上とな っている。 男女別では,女性で「日帰り」の回答割合が男性 より高くなっているが,一方で「2 泊 3 日」の回答 割合も約 50%と高くなっている。⑥ゆかりの地を観光する場合の 1 人あたりの
予算(図表 19)
ゆかりの地を観光する場合の 1 人あたりの予算に ついては,「1 万円以上 2 万円未満」あるいは「2 万 円以上 3 万円未満」と回答した人が過半数を占めて いる。 男女別では,男性で「2 万円以上 3 万円未満」の 回答割合が約 30%と最も高くなっているのに対し, 女性は「1 万円以上 2 万円未満」の回答割合が約 30% と最も高くなっている。 図表 18 ゆかりの地を観光する場合の旅行期間 (男女別) 10.3 6.1 16.0 44.8 51.5 36.0 41.4 36.4 48.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=58) 男性(N=33) 女性(N=25) (%) 日帰り 1泊2日 2泊3日 3泊4日 4泊5日 5泊以上 図表 19 ゆかりの地を観光する場合の 1 人あたり の予算(男女別) 3.4 8.0 17.2 21.2 12.0 25.9 21.2 32.0 27.6 33.3 20.0 8.0 10.3 6.1 16.0 5.2 9.1 6.9 9.1 4.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=58) 男性(N=33) 女性(N=25) (%) 5千円未満 5千円以上1万円未満 1万円以上2万円未満 2万円以上3万円未満 3万円以上4万円未満 4万円以上5万円未満 5万円以上 わからない⑦ゆかりの地を観光する場合の旅行相手
(図表 20)
ゆかりの地を観光する場合の旅行相手については, 半数が「夫婦・家族」と回答,次いで「自分一人」, 「友人・知人」の順に回答割合が高くなっている。 男女別では,男性で「自分一人」の回答割合が約 30%,「夫婦・家族」の回答割合が約 40%となって いるのに対し,女性は「自分一人」の回答割合が 10% を下回り,「夫婦・家族」の回答割合が 60%以上と なっている。図表 20 ゆかりの地を観光する場合の旅行相手 (男女別) 20.7 30.3 8.0 50.0 39.4 64.0 17.2 18.2 16.0 8.6 9.1 8.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=58) 男性(N=33) 女性(N=25) (%) 自分一人 夫婦・家族 友人・知人 恋人 職場・学校・地域などの団体・グループ その他 わからない
⑧ゆかりの地を観光する場合の観光プラン
(図表 21)
ゆかりの地を観光する場合の観光プランについて は,「博多,小倉,門司などと合わせて下関市を観光」 の回答割合が約 30%と最も高くなっている。 男女別では,男性で「ゆかりの地(下関市,上関 町,呉市下蒲刈,福山市鞆の浦,瀬戸内市牛窓)の うち,1~2 箇所を選びじっくりと観光」の回答割合 が 20%弱と比較的高くなっている。 図表 21 ゆかりの地を観光する場合の観光プラン (男女別) 29.3 36.4 20.0 13.8 15.2 12.0 13.8 12.1 16.0 12.1 12.1 12.0 0.0 8.0 13.8 18.2 8.0 4.0 12.1 6.1 20.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=58) 男性(N=33) 女性(N=25) (%) 博多,小倉,門司などと合わせて下関市を観光 岩国市(錦帯橋や岩国城など)と合わせて上関町を観光 広島市周辺(平和記念公園や宮島など)と合わせて呉市下蒲刈を観光 尾道市や倉敷市と合わせて福山市鞆の浦を観光 岡山市と合わせて瀬戸内市牛窓を観光 ゆかりの地(下関市,上関町,呉市下蒲刈,福山市鞆の浦,瀬戸内市牛窓)のうち,1~2箇所を選びじっくりと観光 ゆかりの地(下関市,上関町,呉市下蒲刈,福山市鞆の浦,瀬戸内市牛窓)すべてをゆっくりと観光 その他 わからない⑨ゆかりの地を観光する場合の旅行の
手配方法(図表 22)
ゆかりの地を観光する場合の旅行の手配方法につ いては,「行程も切符・宿泊先の予約も自分が直接行 う」の回答割合が約 40%と最も高くなっている。 特に 30 代では「行程も切符・宿泊先の予約も自分 が直接行う」の回答割合は約 60%とかなり高くなっ ている。 図表 22 ゆかりの地を観光する場合の旅行の 手配方法(年齢別) 20.7 20.0 8.3 25.0 26.1 24.1 40.0 8.3 25.0 21.7 41.4 33.3 58.3 50.0 34.8 10.3 6.7 16.7 13.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 合計(N=58) 20代(N=15) 30代(N=12) 40代(N=8) 50代以上(N=23) (%) 旅行代理店等を通じて行程すべてを予約する(ツアー,パック等) 旅行代理店等を通じて切符・宿泊先のみを予約する 行程も切符・宿泊先の予約も自分が直接行う 行程も切符・宿泊先の予約も家族,友人・知人,団体・グループの代表者などに任せる その他 わからない(4)朝鮮通信使に関する意見・要望・感想
「興味がない」という回答が多かったが,一方で, 「特に興味はなかったが,このアンケートに答えて ちょっと興味がわいてきた」,「一度,訪れたいと思 う」,「知らないことが多いので,もっと情報を発信 して欲しい」など朝鮮通信使に関心を示した回答者 もいた。(5)瀬戸内の観光・観光資源について
①瀬戸内を観光する際に,取り組んでほしいこ
とや充実してほしいこと(図表 23)
瀬戸内を観光する際に,取り組んでほしいことや 充実してほしいことについては,「新聞,テレビ,タ ウン誌,旅行情報誌などによる情報発信」の回答割 合が 40%以上と最も高く,次いで「自治体や観光関 係団体からのパンフレットやインターネットホーム ページ等による情報発信」と「郷土料理・伝統料理 などの提供」の回答割合が高くなっている。 男女別では男性で「新聞,テレビ,タウン誌,旅 行情報誌などによる情報発信」や「自治体や観光関 係団体からのパンフレットやインターネットホーム ページ等による情報発信」のほかに「各種イベント の開催」の回答割合が約 40%と高くなっている。 一方,女性では,過半数が「郷土料理・伝統料理 などの提供」と回答している。②瀬戸内の観光資源に関する意見・要望・感想
自然や海産物に対して高い評価をしている人が多 かった。一方で,「全国的な知名度があまりない」, 「観光資源を詳しく知らない」,「強烈な魅力がない」, 「遠いので関係ない」といった意見もあった。3.まとめ
韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等への興 味は薄く,韓国へ訪問したことがない人の割合も 70%となっている。訪問先は「ソウル」がほとんど で,次いで「釜山」の回答割合も高くなっているも のの,その他の都市に訪問した人の割合は低かった。 朝鮮通信使については,「名前だけを知っている」 も含めると 30%以上が知っており,認知度は必ずし も低いとはいえない。 注:複数回答 一方,朝鮮通信使の寄港した瀬戸内の港町の認知 度はかなり低く,瀬戸内にある朝鮮通信使ゆかりの 史跡・施設・芸能・食の認知度については,ほとん どの人が「知らない」と回答している。 また,韓国の歴史,文化,ファッション,芸能等 への興味が高い人や朝鮮通信使をよく知っている人 以外では,朝鮮通信使ゆかりの地を訪問したいと回 答した人は少なく,朝鮮通信使に関する意見・要望・ 感想についても,「興味がない」,「関心がない」とい う回答が多かった。 このように,アンケート調査の結果からは,朝鮮 通信使ゆかりの史跡・施設等の認知度の低さもさる ことながら,韓国の歴史,文化,ファッション,芸 能等への興味自体が薄いこともあり,現時点では朝 鮮通信使を重要な歴史文化資源と位置づけ,観光客 誘致や交流人口増加に活用することには結びついて 図表 23 瀬戸内を観光する際に,取り組んでほしいことや充実してほしいこと(男女別) 43.1 51.5 42.4 52.0 42.4 32.0 32.0 32.0 37.9 36.0 37.9 0 10 20 30 40 50 60 合計(N=58) 男性(N=33) 女性(N=25) (%) 新聞,テレビ,タウン誌,旅行情報誌などによ る情報発信 自治体や観光関係団体からのパンフレットやイ ンターネットホームページ等による情報発信 旅行代理店や受入地域による魅力的かつ多様な 観光プラン・メニューの提供 郷土料理・伝統料理などの提供 伝統工芸やアウトドアが体験できる施設の充実 各種イベントの開催 旅館,ホテル,土産物店,地元観光関係者など 受け入れ側のホスピタリティの向上 ボランティアガイドによるわかりやすい説明 主要交通拠点から観光地および観光地間のアク セス 路線バスなど公共交通機関の整備 クルーズ客船の活用 観光タクシーの充実 自家用車用駐車場の整備 その他 特にない わからないいない。 しかし,認知度は,国内外への情報発信・PR な どにより向上させることができる。朝鮮通信使ゆか りの地で現在行われている再現行列などのイベント や史跡・施設・芸能・食などを組み合わせることに より,観光客数を増加させる余地もあると考えられ る。 また,瀬戸内にある朝鮮通信使ゆかりの地が連携 することにより,今後,歴史ファンのみならず地元 住民の関心が向上していくことが重要になってくる と思われる。
(参考1)朝鮮通信使の概要
1.朝鮮通信使とは
「通信」とは,信(よしみ)を通(かよ)わす, という意味であり,「朝鮮通信使」は外交使節として 相互に国書を交換し,友好関係を保つために朝鮮王 朝から日本に派遣された。 朝鮮通信使といえば華やかな行列に代表される江 戸時代の往来が有名だが,それ以前にも名称は異な るが使節の来訪は行われていた。2.朝鮮通信使の歴史
室町時代には,当初は朝鮮半島沿岸を襲う倭寇の 取締り要請が主目的であったが,後に足利将軍家の 慶弔などの友好目的に変化していく。 朝鮮出兵を行った豊臣秀吉の時代にも,出兵の前 後に日本国情探索の目的で 2 度の通信使が派遣され ている。 徳川幕府成立後,家康は秀吉の出兵により断絶し ていた朝鮮王朝との国交回復に取り組む。この時, 徳川幕府の代理として,以前から朝鮮との関係が深 く,現在の釜山に居留地を有し,貿易を許可されて いた対馬藩が朝鮮王朝との仲介を行った。 こうして,慶長 12(1607)年,二代・秀忠の時に 江戸時代初めての使節が来日し,国交回復が行われ, 以後,文化 8(1811)年までの約 200 年の間に 12 回 の来日があった。なお,最後の回は対馬止まりであ った。3.朝鮮通信使使節団
朝鮮通信使は,国書交換の総責任者である正使, その補佐役の副使,記録などを行う従事官の三使の ほか,一流の文章家・漢詩家・書家・画家・医師・ 音楽家・馬術家などで構成される文化使節団でもあ った。江戸時代後半には,民間人も含めた文化交流 が各地で繰り広げられることになる。 通信使一行は 400~500 名が 6 隻の船団(うち 3 隻は貨物用)で来日し,日本国内に入ると,対馬藩 や関係各藩の護衛などに先導され,赤間関(下関), 上関,蒲刈,鞆の浦,牛窓,室津,兵庫に停泊の後, 大坂に入った。通信使船を大坂に滞留させ,操船関 係者(約 100 名)を除いて,一行は陸路を江戸に向 かった。三使が乗る輿を担いだり,荷物の運搬や警 固などを行う日本人を加えると,行列の総勢は大き く膨れ上がった。この行列を見物することが,当時 の庶民の大きな楽しみであったという。4.現代に再現される通信使行列
現在,朝鮮通信使ゆかりの全国各地では,時期や 規模は異なるものの,さまざまなイベントに合わせ て通信使の再現行列が行われている。これらの行列 には韓国からの参加者もある。 また,韓国・釜山においても 2002 年のサッカーワ ールドカップの共同開催を機に毎年 5 月に再現パレ ードを実施しており,日本からの参加者も多い。経営調査担当 小早川 隆 小出 修司