• 検索結果がありません。

公益社団法人大阪府理学療法士会堺市ブロック 第 9 回堺市ブロック新人症例発表会を開催するにあたって 日本は少子高齢化という大きな課題を背負っており 厚生労働省はではいち早く 地域包括ケアシステム という名称で 予防 医療 介護 生活を一体的に再構築することを提案 推進される中 リハビリテーション医

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "公益社団法人大阪府理学療法士会堺市ブロック 第 9 回堺市ブロック新人症例発表会を開催するにあたって 日本は少子高齢化という大きな課題を背負っており 厚生労働省はではいち早く 地域包括ケアシステム という名称で 予防 医療 介護 生活を一体的に再構築することを提案 推進される中 リハビリテーション医"

Copied!
37
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

公益社団法人 大阪府理学療法士会

第 9 回堺市ブロック新人症例発表会

「大仙公園 日本庭園 写真提供:堺市」

日時:平成

30 年 1 月 21 日(日)午前 9:50 開演(受付 9:15~)

場所:労働者健康安全機構 大阪労災病院

管理棟3階 大ホール

主催:公益社団法人 大阪府理学療法士会 堺市ブロック

(2)

~ 1 ~

公益社団法人 大阪府理学療法士会 堺市ブロック

第 9 回 堺市ブロック新人症例発表会を開催するにあたって

日本は少子高齢化という大きな課題を背負っており、厚生労働省はではいち早く「地域

包括ケアシステム」という名称で、予防・医療・介護・生活を一体的に再構築することを

提案・推進される中、リハビリテーション医療も入院医療から在宅医療へと大きく舵を切

ってきました。また、大阪府理学療法士会も地域包括ケアシステムに合わせて活動を展開

するために、市町村を単位とした新しいシステムの導入に向けての準備が進んでいる状況

かと思われます。我々理学療法士も身体機能の改善や基本動作レベルの改善だけでなく、

いかに日常生活の中で ADL 能力を向上させて早期に社会復帰されることを意識して、他職

種との連携の中で治療プログラムを立案していく必要性が問われています。堺市ブロック

の新人症例発表会では、若手会員の皆様が日ごろ臨床の中で「どのような治療方法」を用

いることで「どのような患者の変化」を導き、

「どのように地域に戻られたのかを」しっか

り伝えていただきたいと思っています。

今年度も公益社団法人大阪府理学療法士会堺市ブロックでは、平成 30 年1月 21 日(日)

に第 9 回堺市ブロック新人症例発表会を労働者健康福祉機構 大阪労災病院大ホールにて

開催する予定となっております。症例発表の分野は「急性期」

「回復期」

「維持期・生活期」

の分野に分けて症例発表を行っていただきますので、病院やクリニック、老人介護施設、

在宅など多岐に亘り理学療法を展開されている方々に症例発表して頂きやすくなっており

ます。是非とも本新人症例発表会での経験を活かし、大阪府理学療法学術大会をはじめと

した他の学会での発表へと繋がることを期待しております。

最後に、本症例発表会を開催するにあたり、発表者に対してきめ細かなご指導を頂いた

査読者・コーディネーターの先生方及び関係スタッフに心より感謝いたします。また、本

大会が発表者及び参加者の皆様方にとって実り多きものになるように願っており、それぞ

れの症例発表について活発なご討議をお願いしたいと考えております。

9 回 堺市ブロック新人症例発表会

大会長 林 誠 二

(3)

~ 2 ~

演者へのお願い

<発表方法>

1.全て口述での発表になります。プレゼンテーションファイルの操作(ページの切り替えな

ど)は演者自身で行ってください。

2.一演題あたり発表 7 分、質疑応答 3 分の合計 10 分です。時間厳守でお願いします。質疑

応答やセッションの進行は座長の指示に従ってください。

<発表用ファイル作成上の注意事項>

1.発表用ファイルは、「Microsoft PowerPoint 2007 以降の形式で、かつ Windows の PC で

開ける形式」で作成をお願いします。その他の形式は使用できません。

2.ファイル名は「演題番号+演者氏名」としてください。

3.持ち込みのフラッシュメモリー等のウイルスチェックを事前にしておいてください。

<発表用ファイルの受付について>

1.発表用ファイルは当日に受付を行います。演者は下記の時間帯に発表用ファイルを提出し、

動作確認を行ってください。

(午前の部の演者は①に、午後の部の演者は②で行います)

2.発表は Windows コンピュータを使用しますので、発表用ファイルは Windows で開ける形

式で提出してください。コンピュータは大会主催側で準備します。

3.当方のコンピュータに取り込んだ発表用ファイルは、発表終了後責任を持って速やかに削

除いたします。

<ポイント付与について>

※発表者のみ新人教育プログラムのポイント「C-6 症例発表」が付与されます。

座長へのお願い

1.担当セッションの進行に関して一任いたします。担当セッションが活発な討議と円滑に

進行するようにご配慮お願いします。

2.一演題の発表時間は発表 7 分、質疑応答 3 分の 10 分です。時間厳守をお願いします。

質問について所属・氏名を確認してください。

① 9 : 15 ~ 9 : 50

② 12 : 40 ~ 13 : 15

(4)

~ 3 ~

参加者へのお願い

1.演者に対する質疑応答について

各演題につき

3 分以内の質疑応答時間を設定しておりますので、座長の指示に従って活

発なご討議をお願いします。なお、質問をする際には必ず所属と氏名を告げ、簡潔明瞭に行

って下さい。

2.参加申し込みについて

円滑な受付作業を行うため、参加にあたっては、なるべく事前申し込みをお願い致しま

す。申し込み方法は下記をご参照下さい。

また今回は発表演者のみの新人教育プログラムポイントの付与となります。参加者の皆

様へのポイント付与はありませんのでご了承ください。

申込方法:E メールで①会員番号 ②氏名 ③施設名 ④経験年数 ⑤所属ブロック ⑥E

メールアドレスを明記の上、件名に必ず「新人症例発表会参加申し込み」とご記入いただき、

お申し込みくださいますようお願い致します。

参加申込締め切り:平成 30 年 1 月 13 日(土)

参加申込み先:堺市ブロック事務部

E mail:堺市ブロック申し込み専用アドレス「[email protected]

(5)

~ 4 ~

会場案内

労働者健康安全機構大阪労災病院管理棟3 階大ホール

〒591-8025 堺市北区長曾根町1179-3

JR 阪和線・南海高野線三国ヶ丘駅よりバス約10 分(1 番のりば「労災病院前」行)

JR 阪和線堺市駅よりバス約20 分(系統番号35「三国ヶ丘駅前」行)

南海高野線堺東駅よりバス約20 分(10 番のりば「労災病院前」行)

地下鉄御堂筋線新金岡駅より徒歩約10 分バス約5 分(1 番のりば「労災病院前」行)

西口(夜間休日入口)より入り、リハビリテーション科手前の管理棟エレベーター・階段で、3 階へ

このエレベーター・階段で、 3 階へお越しください。

(6)

~ 5 ~

一般演題発表プログラム

(10:00~15:05)

第1セッション:急性期関連 (10:00 ~ 10:50)

座長 堺市立総合医療センター 本庄 剛

1.足部・足関節機能障害を呈した腰椎変性すべり症術後患者に対する理学療法経験

社会医療法人清恵会 清恵会病院 細野 雅人

2.両変形性膝関節症により左 TKA を施行した症例~非術側アプローチの一検討~

医療法人若葉会 堺若葉会病院 新開 涼斗

3.腱板広範囲断裂を呈した一症例-テニス競技復帰に向けて-

医療法人いずみ会 阪堺病院 奥井 美早

4.左大腿骨転子部骨折術後の一症例~立ち上がり・歩行動作の構成要素に着目して~

医療法人若葉会 堺若葉会病院 向埜 真歩

5. C3-7 椎弓形成術及び C7-Th1 後方固定術後、新たに C4-5 椎間板ヘルニアを呈し、C5 運

動麻痺を呈した症例―棘下筋賦活による上肢運動能力再獲得を目指して―

医療法人荒巻会 あらまき整形外科クリニック 駒井 健司

第2セッション:回復期関連 (11:00 ~ 11:50)

座長 ベルランド総合病院 高 重治

6.運動学習障害が原因で歩行獲得に難渋した一症例

公益財団法人 浅香山病院 十川 竜太

7.

歩行時の左下肢の支持性低下を認めた THA 後の一症例

-左膝回旋不安定性に着目して-

医療法人いずみ会 阪堺病院 小田 姫子乃

8.脳卒中後片麻痺に対する

Mirror Therapy:麻痺側足関節背屈筋に着目して

社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 山下 美沙子

9.両側同時脳出血の患者に対し,免荷式トレッドミル歩行を実施した一例

社会医療法人 頌徳会 日野病院 檜垣 奨

10. アルツハイマー型認知症を伴う大腿骨転子部骨折術後症例の理学療法

公益財団法人 浅香山病院 坂口 英隆

(7)

~ 6 ~

第3セッション:回復期関連 (11:50 ~ 12:40)

座長

馬場記念病院 瑞慶覧 誠

11.片麻痺患者:踏み台昇降訓練と歩容変化

社会医療法人ペガサス ペガサスリハビリテーション病院 土生 久美子

12.既往に脊髄小脳変性症を持ち、脳幹梗塞を発症した症例

社会医療法人 頌徳会 日野病院 山田 祐司

13.脳出血後片麻痺例の廃用性筋力低下と起立着席訓練:筋電図学的考察

社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 千住 友久

14.免荷式歩行器を用いた頸椎症性関髄症症例へのアプローチ

社会医療法人同仁会 耳原総合病院 西野 遼太

15.視床出血を発症後、自宅退院に向けた介助量の軽減に難渋した一症例

~重度の運動麻痺、高次脳機能障害を呈した患者を経験して~

社会医療法人 生長会 ベルピアノ病院 松下 竜也

第4セッション:回復期関連

(13:25 ~ 14:05)

座長 大阪労災病院 岡本 健佑

16.立ち上がり・歩行中心の訓練~歩行が改善した症例~

社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 中村 輝

17.肩甲骨体部骨折に対する理学療法の一経験例

医療法人いずみ会 阪堺病院 鈴木 克弥

18.踵骨骨折後の歩行開始時に膝に疼痛が出現し難渋した1症例

医療法人紀和会 正風病院 明渡 崇之

19.小脳・橋梗塞により右片麻痺を呈した一症例-麻痺側立脚期に着目して-

社会医療法人 頌徳会 日野病院 北村 正規

(8)

~ 7 ~

第5セッション:維持期関連 (14:05 ~ 15:05)

座長

浅香山病院 加藤 航太

20.腓骨遠位端骨折後、関節可動域制限により競技復帰困難を呈した症例

~運動器エコーを含めた評価・治療~

医療法人いずみ会 阪堺病院 長井 優貴

21.精神科病院での若年者大腿骨頸部骨折術後の経験

医療法人杏和会 阪南病院 平河 剛史

22.認知低下により昼夜逆転し自宅復帰困難となった一症例

社会医療法人同仁会 耳原総合病院 山口 礼奈

23.片麻痺患者への肩甲帯へのアプローチにて歩行能力が向上した一症例

社会医療法人清恵会 清恵会三宝病院 酒井 悠理子

24.腰椎圧迫骨折後遅発性麻痺を呈した症例に対する全人的在宅復帰支援

医療法人いずみ会 阪堺病院 渡邊 晃紘

25.2型糖尿病患者に対し、教育入院にて運動療法・運動指導を行いその後血糖コントロ

ールが改善した一症例

公益財団法人 浅香山病院 山口 陽平

(9)

~ 8 ~

■一般演題発表

抄 録 集

(10)

~ 9 ~

1.

足部・足関節機能障害を呈した腰椎

変性すべり症術後患者に対する理学療

法経験

細野雅人 白川雅仁 社会医療法人清恵会 清恵会病院 Key words:脊椎変性疾患、足部、立位バラ ンス 【はじめに】 足部・足関節機能障害を呈した腰椎変性す べり症術後患者を担当した。足部の安定性に 着目した理学療法により、立位バランス能力 ならびに歩行能力が向上した。その経過と考 察について報告する。 【症例紹介】 75歳女性。8年前より両下肢の痺れと疼痛が 出現。5ヶ月前から症状の増悪と歩行障害を認 め、X年Y月Z日第4腰椎変性すべり症に対し後 方固定術(L4/5)を施行。術後3日目から理学 療法を開始した。 【初期評価】(~術後1週) 両側の足部全面に痺れがあり、触圧覚・痛 覚は両足背部で中等度鈍麻、両足底部で重度 鈍麻であった。運動覚は両母趾で中等度鈍麻、 振動覚は両踵部で重度鈍麻であった。徒手筋 力検査(以下MMT)は、股関節外転(右2/左2)、 足関節底屈(右2/左2-)、足部外がえし(右 4/左2-)、足趾屈曲(右4/左4)、足趾伸展(右 4/左2-)であった。左足部は内反ストレステ スト陽性であり、足部外側の機械的不安定性 を認めた。姿勢・動作について、閉脚立位で は、左後足部が回外し、重心の左足部外側へ の偏位が生じ、左側への動揺を認めた。動揺 は閉眼にて増強し、ロンベルグ徴候陽性であ った。Berg Balance Scale(以下BBS)は26/56 点であった。T字杖歩行では、後足部の過回外 を伴う左踵接地と左立脚中期にかけての股関 節過内転により、左側への不安定性がみられ た。左立脚後期での股関節伸展がみられず、 左遊脚期には左足部外側のクリアランス低下 を認めた。視線は常に足部に向けられていた。 これらにより、転倒予防に軽介助が必要であ った。 【理学療法】 立位姿勢における足部内側での支持を可能 とするため、長・短腓骨筋と長趾伸筋に対す る神経筋再教育を実施した。動作訓練では、 下肢のアライメントを確認したなかでの起立 訓練・立位バランス訓練と歩行訓練を実施し た。運動覚障害の代償として、視覚下でフィ ードバックしながら実施した。また、足部外 側の機械的不安定性に対する補償として、後 足部の回外を制御する短下肢装具を使用した。 【最終評価】(術後1ヶ月) 感覚障害は変化なし。MMTは、股関節外転 (右4/左3+)、足部外がえし(右4/左2)、足 趾伸展(右4/左4)と一部改善した。閉脚立位 では、ロンベルグ徴候陽性であるが、左足部 内側への重心移動が可能となり、左側への動 揺は軽減した。BBSは37/56点に改善した。T 字杖歩行時は、左立脚期での左側への不安定 性と左遊脚期での左足部外側のクリアランス が改善した。屋外100m自立レベルで歩行可能 となった。 【考察】 足部内側での荷重には、長・短腓骨筋、長 趾伸筋の筋活動が必要とされている。また、 足部外側の機械的・機能的不安定性がある場 合、片脚立位時に股関節外転筋に対して要求 される筋力も増大するとされている。本症例 においては、長・短腓骨筋、長趾伸筋の筋活 動の向上により、足部内側での荷重が可能と なり、足部外側の機能的不安定性が軽減した。 加えて、短下肢装具の使用で後足部が安定し、 足部外側の機械的不安定性が軽減した。 足部 での姿勢調整能の向上と、弱化した股関節外 転筋への過負荷の軽減により、立位バランス 能力ならびに歩行能力の改善につながったと 考えられる。

(11)

~ 10 ~

2. 両変形性膝関節症により左 TKA を施

行した症例

~非術側アプローチの一検討~

新開 涼斗 横山 想 牟礼 直人 医療法人若葉会 堺若葉会病院 Key words:変形性膝関節症・機能的脚長差・ 膝伸展不全 【はじめに】 本症例は両変形性膝関節症(以下,膝 OA) に対し左TKA 施行予定であったが転倒し左 大腿骨頸基部骨折受傷後,左γ-nail 術施行.約 5 ヵ月後,左 TKA を施行された症例を担当.初 期より術後膝伸展不全に着目し治療を行い, 一定の改善を認めた.しかし右膝 OA による 膝関節痛,機能的脚長差が生じた.これらの改 善の為,足部からの運動連鎖を考慮し,インソ ールを用いた結果,歩行機能の若干の改善が みられた. 【症例紹介】 80 歳代女性.現病歴は両膝 OA(左 TKA). 既往歴は左大腿骨頸基部骨折(γ‐nail).術前 の主訴は左膝が痛く長距離歩行ができないこ とであった. 【初期評価 術後7 日】 ROM-T (右/左 単位°)股伸展 5/0,膝屈曲 100/90,伸展-20/-10,立位膝伸展-20/-15,足背 屈0/0.MMT (右/左)股屈曲 4/3,伸展 3/2,外転 3/2,膝伸展 4/3,足底屈 3/2+.NRS 荷重時に左 術創部と鵞足部8/10.下肢長(右/左単位 cm) 大腿長39/39,下腿長34/34,SMD70/70.杖なし 歩行(左 MSt)体幹右側屈,骨盤右下制・左回旋, 左股屈曲位,左膝屈曲位. 【治療プログラム】 ①疼痛(寒冷療法・リラクゼーション)② ROMex(両股伸展・両膝屈伸)③筋力増強 運動(左大腿四頭筋・左大殿筋・左中殿筋) 【最終評価 術後35 日】 ROM-T 股伸展 5/5,膝屈曲 110/95,伸展 -20/-5,立位膝伸展-20/-5,足背屈 5/5.MMT 股 屈曲4/4,伸展 3/4,外転 3/3,膝伸展 4/4,足底屈 3/3.NRS 荷重時,左術創部に 0/10 鵞足部に 7/10 に軽減.SMD70/72. 10m 歩行(速歩 単 位秒/歩数)インソールなし 20.7/32,あり 17.9/29.片脚立位(単位秒)インソールなし 10.2,あり 19.7 であった. 【考察】 初期評価の問題点は手術による左大腿四頭 筋筋力低下・左膝伸展ROM 制限に加え,両膝 OA から生じた長期不良姿勢による下肢筋力 低下・ROM 制限,左γ-nail 術施行による左中 殿筋筋力低下が跛行の原因と考えアプローチ した.結果,膝関節機能の改善を認めた.しかし, 立位時の膝伸展不全の改善により SMD に 2cm 差を認め,非術側の右膝内側に疼痛 (NRS8/10)が出現した.原因として墜落性跛 行と右 IC 時の外側動揺により右膝に内反応 力が加わり,疼痛が出現したのではないかと 考えた.その為,右足部からの運動連鎖の改善 を目的に外側ウェッジヒールにて距骨下関節 回内誘導と2cm の補高を挿入.結果,墜落性跛 行と疼痛の軽減(NRS7/10)を認めた.ま た,10m 歩行と片脚立位でもインソールによ る効果が見られた.要因として補高での墜落 性跛行の軽減,距骨下関節回内誘導を行った ことにより下腿内旋,骨盤の前方回旋が促通. 相対的に膝への内反モーメントが軽減された ことで疼痛軽減,立脚側の安定性が向上した と考えた. 【おわりに】 機能的脚長差が出現し,補高のみではなく, 適切なインソールを選択できたことで若干の 疼痛軽減,歩行の安定性・速性の向上を認め, インソールの重要性を経験する事ができた. 本症例は屋外T 字杖・屋内杖なし歩行にて術 後48 日にて自宅退院となった.しかし,屋内で は裸足である為,インソールの効果は得られ ない為,右膝に対し Quad Setting などの自主 練習を指導した.今後,右膝も手術予定である.

(12)

~ 11 ~

3. 腱板広範囲断裂を呈した一症例

‐テニスの競技復帰に向けて‐

奥井美早・川﨑昌代 医療法人いずみ会 阪堺病院 Key words:腱板断裂・関節可動域・体幹 【はじめに】 今回、右肩腱板・上腕二頭筋断裂患者の腱 板縫合術後の治療を経験した。本症例は、テ ニスの競技復帰を希望されており、動作中の 肩機能向上に加えて、体幹機能の制御が必要 と考えた。そのため、当院プロトコールに沿 い、肩・体幹機能に対して視覚的フィードバ ックを用いた経過を報告する。 【症例紹介】 70歳代女性。平成X年、前方関節唇裂離・ 棘上筋断裂診断。保存療法にて当院外来、併 設のスポーツジムでのリハビリを経て、テニ ス復帰。平成X+2年、上腕二頭筋断裂診断。保 存療法にてテニス復帰するも疼痛による競技 能力低下あり、外来リハビリ開始。その後、 競技能力向上目的に手術の運びとなる。 【プロトコール】 ・術後2日目~:装具装着にて肩関節可動域(以 下 ROM)訓練他動屈曲・外転運動開始(肩関 節外転60°以下禁止) ・術後6週後~:装具除去にて自動介助屈曲・ 外転運動開始 ・術後8週後~:自動運動開始(制限なし) ・術後12週後~:抵抗運動開始予定 【理学療法評価】 初期:ROM(術後2日目→5週+6日目)屈曲 105°→140°、外転105°→150°。座位姿勢 では左<右荷重、右肩甲帯挙上位、脊柱右凸、 腰椎伸展位、骨盤左挙上位。weight shiftで も左<右、左shift不安定による体幹左回旋代 償。pelvic tiltでは胸腰椎屈曲、骨盤後傾方 向への可動性低下、腰椎伸展優位の動作がみ られた。疼痛部位は前胸部、創部、肩峰下ス ペース、肩関節後外側部に出現。中間:ROM(7 週+6日目)屈曲155°、外転155°。装具除去 直後、座位姿勢では右<左荷重、右肩甲帯下 制位、脊柱左凸、骨盤右挙上位。weight shift でも右<左、右shift時、右肩関節前面に疼痛 出現。pelvic tiltでは胸腰椎屈曲、骨盤後傾 方向への可動性低下の代償として体幹後傾、 腰椎伸展優位の動作残存。疼痛部位は創部、 肩峰下スペース、肩関節後外側部、上腕後面 に出現。最終:ROM(8週+6日目)屈曲165°、 外転160°、伸展40°、1st外旋50°。MMT3。 座位姿勢では、左<右荷重、骨盤左挙上位軽 度残存weight shiftでは左右差ほぼ認めず、 pelvic tiltでは腰椎屈曲、骨盤後傾の可動性 向上も胸椎屈曲可動性低下残存。疼痛部位は 肩峰下スペース、上腕全面、前腕外側に出現。 【問題点及びアプローチ】 ROM制限、体幹機能低下、疼痛に焦点を当て、 以下を問題点として取り上げた。初期:装具 固定、脱力不良・身体的イメージの歪み、自 動でのROMex禁止、創部、入院による運動量低 下。中間・最終:装具除去による腱板への負 荷増強、筋力低下残存による肩甲骨挙上・肘 関節屈曲・頸部右側屈などの代償動作増加。 このことから、上肢帯の筋・軟部組織リラク セーション、安静臥位・座位のポジショニン グ、weight shift・pelvic tilt動作学習、自 動運動でのROMex、創部mobilizationを行った。 【考察】 本症例は、長期に渡る肩機能低下~術後の 装具固定~除去という状態の変化によって身 体的イメージの歪みが生じていると考えた。 そのため、身体的イメージの修正を行い、正 しい肩関節運動を行う事を目的に姿勢に対し て動画や鏡を用い視覚的フィードバックを入 れた。これにより、姿勢・荷重バランスなど の体幹機能の制御が改善しただけでなく、脱 力不良や代償動作といった不要な筋肉の参加 を押さえ、二次的な疼痛軽減、ROM拡大につな がり肩機能向上の一助となったと考える。

(13)

~ 12 ~

4. 左大腿骨転子部骨折術後の一症例

~立ち上がり・歩行動作の構成要素に

着目して~

向埜真歩 水谷美和 牟礼直人 冨林栄作 医療法人若葉会 堺若葉会病院 key words:大腿骨転子部骨折、立ち上がり、 歩行 【はじめに】 今回、左大腿骨転子部骨折を呈しγネイル 術を施行された、転倒歴の多い症例を経験し た。 立ち上がり・歩行で共通する股・膝・足 関節の構成要素に着目した治療と、術前から のバランス能力低下に対しアプローチし動作 能力が改善した為、若干の考察を加え報告す る。 【症例紹介】 80 歳代後半の女性。身長 145cm 体重 55kg BMI26.2。躓き転倒し、左大腿骨転子部骨折 後左γネイル術施行。既往歴は左大腿骨顆上 骨折術後、両側TKA、左小趾亀裂骨折がある。 術前の歩行能力は、屋内伝い歩き、屋外ロフ ストランド杖歩行自立もフットクリアランス 低下が生じていた。 【経過】 術後1 週、立ち上がりは体幹を過度に前傾 し右側荷重優位、足関節背屈不十分のまま殿 部離床、その際、両側knee in が出現し見守 りレベル。ロフストランド杖歩行は、MSt で 跛行認め内転筋群にNRS7/10 の疼痛出現し 近位見守りレベル。 ROM-T(右/左)は、股 屈曲110/90 伸展 10/5、膝屈曲 100/80、足背 屈5/0。MMT(右/左、痛み:p)は、股伸展 3/2 膝伸展 4/4 股外転 3/2p。10m 歩行は 34.4 秒 38 歩。片脚立位時間は右 1.5 秒、左 実施不可。 術後3 週、立ち上がりは、過度な体幹前傾 の軽減も右側荷重優位は残存。殿部離床時の 両側knee in は軽減。MSt 時の疼痛は NRS5/10 と改善がみられた。ROM-T は股屈 曲110/100 伸展 10/5 膝屈曲 110/85 足背屈 5/5。MMT は著変なし。10m 歩行は 29.4 秒 32 歩。片脚立位時間は右 1.6 秒、左 1 秒未満 と改善が乏しかった。 術後7 週、立ち上がりは体幹前傾と右側荷 重優位の改善も殿部離床時の両側knee in は 若干残存。ロフストランド杖歩行自立し、MSt 時の疼痛はNRS 0~1/10 と改善。ROM-T は、 股屈曲115/105 伸展 10/5 膝屈曲 110/95 足背 屈5/5。MMT は股外転 3/3、股伸展 3/3 と筋 力改善。その他著変なし。10m 歩行は、21.3 秒27 歩。片脚立位時間は右 18.1 秒、左 6.4 秒と改善。 術後8 週で独居での自宅退院となり、その 後週2 回、杖歩行での外来通院となった 【考察】 術後1~3 週までは現病歴により生じた左 股関節の問題点と、既往歴による膝関節屈曲 制限、足関節背屈制限に重点を置き関節可動 域運動、筋力増強運動を実施した。しかし片 脚立位の改善が乏しく、歩行のMSt で内転筋 の疼痛も残存した。立ち上がりの殿部離床期 と歩行のMSt で股伸展・外転筋筋力低下を腸 腰筋・内転筋が代償していた。そのため、Knee in となり、内転筋群の過活動による疼痛が出 現していた。そこで術後3~7 週では立ち上 がりと歩行の構成要素と、現病歴から存在す る左下肢の支持性低下に対し治療した。治療 では姿勢から生じた二次的な体幹機能の低下 や、アライメントを修正した状態での動作練 習を実施。立ち上がり動作の改善が得られた ことで、MSt の支持性、片脚立位も向上した。 【おわりに】 本症例は転倒歴が多く、退院時も左下肢の支 持性低下が残存したことから、再転倒予防と して左股伸展・外転筋筋力増強練習の指導を 行った。また現病歴に加え、術前の姿勢や問 題点に着目する重要性を再認識した。

(14)

~ 13 ~

5.C3-7 椎弓形成術及び C7-Th1 後方固

定術後、新たに C4-5 椎間板ヘルニアを

呈し、C5 運動麻痺を呈した症例

―棘下筋賦活による上肢運動能力再獲

得を目指して―

駒井 健司 東條 優貴 医療法人荒巻会 あらまき整形外科クリニック Key word :C5 運動麻痺・棘下筋萎縮・ 筋持久性 【はじめに】 棘下筋は上肢挙上動作で主として働き、終 始筋活動の増加が認められるとの報告がある。 今回、左C5 麻痺と左棘下筋萎縮が伺える 頸椎椎間板ヘルニアと診断された症例に対し、 棘下筋に着目した治療を行った結果、左上肢 挙上角度が最大域まで改善し、左右差も消失 した症例を経験したため、ここに報告する。 【症例紹介】 75 歳男性、H28 年 5 月から左上肢挙上動 作のみが困難となる。他院で左C4-5 椎間板 ヘルニアと診断後、当院での外来通院となり、 当年9 月から理学療法開始した(週 2/ 2 単位)。 また、既往歴としてH22 年に C3-7 椎弓形 成術、C7-Th1 後方固定術を施行している。 【初期評価(H28.9.7)】 両肩甲骨アライメントの比較では、左肩甲 骨挙上位、左棘下筋委縮も強く、左上肢挙上 動作で左肩甲骨挙上代償が観察された。左肩 関節可動域(以下 ROM)は自動屈曲 45°、 他動屈曲180°であった。 徒手筋力テスト(以下MMT)は、三角筋 2 、前鋸筋 3、棘上筋 2、棘下筋 2、上腕二頭 筋3 で抗重力運動が困難な状態であり、顕著 な筋力低下が生じていたが、巧緻動作に問題 はなかった。 また、上腕二頭筋腱反射も呈すことから中 枢部障害と判断し、リハ期間は運動麻痺の回 復メカニズムから半年と設定した。 【問題点と理学療法】 左上肢挙上動作では、左肩関節周囲の筋力 低下により抗重力動作に対して最低限必要な 筋収縮力が不足していたため、左僧帽筋上部 の過剰収縮を呈し、左肩甲骨挙上代償が顕著 であった。そのため、左肩甲上腕関節で骨頭 軸偏位を呈し、滑らかな左肩関節運動を阻害 していた。これらが筋力低下をさらに助長し ている悪循環であると考察した。そこで治療 としては、左僧帽筋の柔軟性改善、上肢挙上 動作に終始必要とされている棘下筋に対して の萎縮改善、左肩関節周囲の粗大筋に対して の筋力増強訓練を徐々に強度を上げて行い、 左上肢挙上動作改善を図った。 【最終評価(H29.3.28)】 MMT 変化は、三角筋 2→4、前鋸筋 3→4、 棘上筋2→4、棘下筋 2→4、上腕二頭筋 3→5 となった。そのため、左肩ROM も自動屈曲 180°を獲得したが、棘下筋萎縮は左右差が 軽度残存していた。 日常生活動作(以下ADL)は、初期は洗髪 や洗顔など左上肢挙上が必要である全ての動 作が困難だったが、最終では全ての動作が可 能となった。しかし、左上肢の挙上保持位で の反復的動作は持久性が欠如しており、左肩 甲骨挙上や左手関節背屈による代償が伺えた。 【考察】 左上肢挙上動作困難の原因として、左肩甲 骨挙上代償、麻痺による左肩関節周囲の筋力 低下と考察した。また、棘下筋萎縮の改善に 伴い左上肢挙上角度が向上した。粗大筋力の みでなく、上肢挙上時に終始筋活動の増加が 認められる棘下筋の筋力改善が、骨頭の求心 性向上に繋がり、左肩関節周囲筋の協調的動 作に影響したと考える。しかし、左肩関節周 囲の筋力は全体的に4 であり、棘下筋萎縮も 左右差が残存していた。本症例のようなケー スでは、通常の筋力向上に要する期間よりも 長期的な筋力増強訓練が必要と考えられる。

(15)

~ 14 ~

6. 運動学習障害が原因で歩行獲得に

難渋した一症例

十川竜太・西野立樹・武内康浩 公益財団法人 浅香山病院 Key words: 歩行障害・運動学習・膝折れ 【はじめに】 今回、多発性脳梗塞で入院され、横紋筋融解 症を合併し歩行障害が出現した症例を担当し た。幼少期より知的障害を伴っていることも あり、運動学習困難であることから歩行獲得 に難渋したため報告する。 【症例紹介・経過】 女性、40 歳代前半、身長 155 ㎝、体重 69 ㎏、 20xx 年 x 月 x 日に睡眠薬を多量摂取し自宅に て 2 日間意識消失され救急搬送された。多発 性脳梗塞と診断。合併症として DM・HT、横紋 筋融解症を併発。第 2 病日より理学療法開始。 急性期ではティルトテーブルを用いて、下肢 筋力増強や様々な動作訓練を試みたが、運動 学習が困難な状態であり効果は得られなかっ た。その後第 36 病日より回復期病棟へ転棟。 入院前 ADL は全て自立。普段より独歩で買い 物や、自転車の運転もされていた。 【理学療法評価】(初回評価 第 90 病日~) 意 識 清 明 、 Brunnstorome recovery stage test(以下 BRS-t)下肢Ⅵ、左頭頂葉に低吸収 域があり、関節可動域は著明な制限はなし、 筋力は徒手筋力検査(以下 MMT)(右/左)に て大腿四頭筋 2⁺/3、大殿筋 4/4、ハムストリ ングス 4/4、前脛骨筋 5/5、下腿三頭筋 5/未 実施、感覚障害は表在・深部共に正常、膝蓋 腱 反 射 は 正 常 、 足 ク ロ ー ヌ ス 陰 性 、 左 Extension Lag20°、平行棒内歩行臀部引き 上げ軽介助レベル、HDS-R26/30、FIM は 102 点(※うち運動項目は 70 点)、10m 歩行(歩 行器)12 秒 65 であった。基本的動作能力と して起居動作は自立、立ち上がりは軽介助レ ベル、立位保持は見守りレベル、歩行器歩行 は両側支柱付きknee brace装着下にて軽介助 レベル。 【歩行観察】(初回評価 第 90 病日~) 環境:歩行器、介助レベル:左 knee brace 装着、臀部引き上げ+左腋窩介助、歩容:左 IC~LR/足関節内反・踵接地となり急速的に下 腿前傾し膝折れを認めた。 【理学療法プログラム】 自己意識を伴った運動は運動学習障害による 影響で困難な為、第 90 病日より視覚代償を利 用したアプローチに変更。歩行時の左 IC~LR に膝折れが出現することから、左大腿前面へ の促通を促しながらボールを挟んだ立ち上が り・意識的に大腿四頭筋を収縮させることが 可能な腹臥位でのパテラセッティングを実施。 その後 IC~LR を意識させ、実際の歩行に反映 させるため下方視線を制御しながらのランジ 動作をプログラムとして実施した。 【最終評価】(第 181 病日~) 大腿四頭筋 MMT4/4、前脛骨筋 5/5、下腿三頭 筋 5/5、その他左右 4 レベル、左 Extension Lag10°、10m 歩行(独歩)8 秒 30、FIM は 111 点(※うち運動項目 79 点)、基本動作能力全 て自立、独歩 Free。 【考察】 本症例は説明理解の困難やボディイメージの 形成困難なことによる運動学習が難しい中で、 独歩が可能となった要因を以下に述べる。LR 時に膝折れが著明に出現。原因として初期評 価にて左膝関節伸展時に Extension Lag20° を認めていることから、膝関節最終伸展域で の筋力・出力低下が原因と考えた。そこで膝 関節伸展筋の収縮をより確実にするため、視 覚的フィードバックを取り入れながら実施するこ とで大腿四頭筋の筋力向上に繋がったと考え る。また、同時にハムストリングス・下腿三 頭筋の筋出力に伴った機能的膝伸展機構が代 償することで Extension Lag が残存する中で の歩行効率の上昇に繋がったと考える。

(16)

~ 15 ~

7.歩行時の左下肢の支持性低下を認め

た THA 後の一症例

-左膝回旋不安定性に着目して-

小田姫子乃・土山秀樹・森洋子・日高彰良 医療法人いずみ会 阪堺病院 Key words:THA・膝外反・杖歩行 【はじめに】 今回、左変形性股関節症により左全人工骨 頭置換術(以下THA)を施行し、術後 2 度 脱臼を繰り返し、その後術後感染するなど合 計6 回の手術を経た症例に対し、HOPE であ る痛みなく楽に歩きたいという要望について アプローチを行った経過を報告する。 【症例紹介】 70 歳代女性。他院で平成 26 年 12 月に左 THA を施行した。しかし、2 度の脱臼を繰り 返し、再度左THA を施行したが、感染を認 め平成28 年 2 月に抜去術を施行し、半年の 間免荷その後再再置換術を施行し、平成 29 年7 月に留置されていたセメントビーズの固 定を抜去。当院では同年6 月より、週 2 回に よる通所リハビリを開始。 【理学療法評価 6 月 12 日~】 ADL は全て自立。疼痛は歩行時の Mst に左 大腿外側~後面にかけてあり。(NRS5)関節 可動域検査(以下ROM)、左股関節屈曲 90° 伸展5°外転 10°、外旋 35°膝関節伸展- 10°、左足関節背屈 0°、回外 10°である。 徒手筋力検査(以下 MMT)左股関節屈曲 2 +伸展2 外転 2、左膝関節屈曲 2 伸展 2+、 左足関節背屈3 底屈 3、である。スクワッテ ィングテスト、エリーテスト、膝外反ストレ ステスト陽性。左下肢非荷重位でのQ-angle は 20°。片脚立位困難。Navicular drop test12 ㎜。SMD は 5 ㎝ TMD4.5 ㎝脚長差が あり、補高靴(6 ㎝)を使用し杖歩行自立。 TUG は、15.34 秒で歩行速度は 0.39ⅿ/s。2 ステップテストは0.52。歩容は、LR から始 まり左股関節内転・内旋位とともに骨盤は右 下制する。Mst では左下腿外旋増強するにつ れ、左膝関節の内側へのスラストが著明であ る。 【問題点】 Mst での左大腿筋膜張筋・外側広筋・外側 ハムストリングスにかけての疼痛の要因とし ては、外反ストレステストが陽性であること から、MCL の大腿骨に対する脛骨内側顆の 前方移動を制御する機能不全により、左下肢 に対し外反ストレスが生じ、疼痛が発生した と考える。また左股関節外転筋力低下のため, 骨盤水平保持による左下肢の支持性低下があ ると考える。 【理学療法】 Mst での疼痛の要因である、左膝関節外反 の減少と、左膝関節伸展可動域改善を目的に、 左股関節外転筋力増強訓練、外側ハムストリ ングスダイレクトストレッチ、内側ハムスト リ ン グ ス 筋 力 増 強 訓 練 、 左 膝 関 節 伸 展 ROMex、左後脛骨筋・長母指屈筋ストレッ チ、左足関節背屈 ROMex、左下肢への重心 移動の反復訓練を行った。 【結果6 月 12 日~9 月 11 日】 今回の介入により、ROM 左股関節外転 20°左膝関節伸展-5°と改善し、MMT は左 股関節外転2+~3、左下腿内旋位での左膝関 節屈曲3+と向上した。その結果、Mst 時の左 下腿外旋は軽減され、疼痛はNRS1 に改善し、 平行棒片手支持により片脚立位保持3 秒可能 となった。また、TUG は 13.25 秒と上昇、2 ステップテストは0.58 と歩幅は向上した。

(17)

~ 16 ~

8. 脳卒中後片麻痺に対する Mirror

Therapy:麻痺側足関節背屈筋に着目し

山下美沙子・中村輝 社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 Key words:ミラーセラピー、脳卒中後片麻 痺、足関節背屈筋 【症例】 61 歳、男性、右利き。右椎骨動脈閉塞に伴う 右小脳・延髄梗塞。第 2 病日,リハビリ開始。第 23 病日,回復期リハ病棟転棟。意識清明、左不 全片麻痺(MMT:上肢 1、手指 2、股関節屈曲1、 膝関節伸展 2、足関節背屈 1・底屈1)、10m 歩 行テスト:15 秒、FIM:87 点。PT が起立訓練、歩 行訓練(平行棒・T-cane/AFO 装着/軽介助~ 監視)、OT が上肢機能訓練を実施した。 【第 48 病日】 左不全片麻痺は、第 23 病日と比べると、 MMT で股関節屈曲は 1→3、膝関節伸展は 2→ 4、足関節背屈は1で変化がなかった。そこで、 起立練習、歩行練習(T-cane・独歩/装具なし/ 自立~監視)、階段昇降練習に加えて、足関節 背屈筋力に対して Mirror Therapy(MT)を実施 した。 【MT 方法】 ベッド上端座位で、肢位は両膝関節屈曲 90°で鏡を両下腿間に設置し、鏡に映った非 麻痺側足関節の動きを患者自身がよく観察でき るように両側下腿部を露出させた。患者は鏡に 映った非麻痺側足関節の反復的な背屈運動を 注視した。運動頻度は、非麻痺側の反復背屈 運動 50 回/セットを 4 セット/日、7 日間実施し た。 【評価とその結果(第 55 病日)】 下肢の MMT は股関節屈曲 3、膝関節伸展 4、 足関節背屈 2 であった。MT 実施直後では、患 者は「(麻痺した)足関節が動いているように感 じる」と述べた。 【考察】 過去の研究では MT により脳卒中後の下肢の 運動機能や運動回復を高めるとの報告があり、 今回、通常の訓練に MT を加えた治療を試みた。 麻痺側足関節背屈 MMT は 1 から 2 に改善した。 この改善に MT がどの程度影響しているかは不 明であるが、脳卒中後の足関節背屈重度麻痺 に対して、MT は治療手段として座位姿勢で行 え、転倒リスクも低く簡便であり、自主練習として 使用可能と考える。ただ、ADL への汎化が可能 であるかどうかは症例数を増やして検討していく 必要がある。

(18)

~ 17 ~

9. 両側同時脳出血の患者に対し,免荷

式トレッドミル歩行を実施した一例

檜垣 奨・堀 奈月・岩本 章紀 社会医療法人 頌徳会 日野病院 Key words:免荷式トレッドミル歩行,歩行, 脊髄中枢パターン発生器 【はじめに】 脳卒中患者に対する免荷式トレッドミル歩 行(以下 BWSTT)は,理学療法診療ガイドライ ンにおいてグレード B に位置づけられており, 歩行速度・下肢運動機能・バランス機能が改 善すると報告されている.今回右被殻,左視 床~放線冠の両側同時脳出血を発症した患者 に BWSTT を実施し,歩行機能の改善を認めた ため報告する. 【症例紹介】 右被殻出血, 左視床出血~放線冠の同時出 血を呈した 60 歳代男性である.合併症に高血 圧症がある.35 病日目に当院へ転院した. BWSTT 実施前(71 病日目)の身体機能は, Brunnstrom stage(以下 BRS): 右上下肢Ⅳ, 左上下肢Ⅴ,Manual Muscle Test(MMT): 両上 肢 3,両下肢 4,体幹 3+,表在感覚・深部感 覚 と も に 右 軽 度 鈍 麻 ・ 左 中 等 度 鈍 麻 , Functional Independence Measure( 以 下 FIM):61/126 点,Functional Balance Scale(以 下 FBS):17/56 点,歩行は歩行車歩行軽介助で あった. 【理学療法プログラム・経過】 当院転院から 71 病日目は感覚障害に着目 し立位荷重下での左上下肢へ感覚入力,支持 性の向上を図った.実動作に左上下肢の参加 を認め,座位保持見守り,移乗動作軽介助と なった.しかし,歩行は常時下方注視・体幹 前傾位・立脚後期での股関節伸展消失を認め, 右内反尖足による右踵接地の消失と右遊脚期 での足尖引っ掛かり,失調による右下肢接地 位置の不定が生じ,前方へのふらつきを認め た.また重心偏移の非対称性による両立脚・ 遊脚時間のばらつきにより両側へふらつきを 認め,歩行車歩行軽介助を要した.そのため 71 病日目より歩行機能の改善を目的に, BWSTT での歩行練習を約 1 ヵ月間実施した. 【方法】 トレッドミルと体重免荷装置を使用し, ハ ーネスで身体を上方に牽引して体重を部分免 荷しながらトレッドミル上を歩行した.頻度・ 時間は体調に合わせ 1 日 1 回,6 分~10 分間, 免荷量は先行研究に基づき,40%から開始し, 能力の向上に伴い免荷量を 20%まで低下し た.また右足部内反を認めていたため,Ankle Foot Orthosis(以下 AFO)を装着して実施した. また感覚障害,失調に対するプログラム,平 地歩行練習を並行して実施した. 【結果】 体幹正中位で保持が可能となり,股関節伸 展が出現した.また自動的な振り出しが可能 となり,右足尖の引っ掛かり消失,重心偏移 が対称的に近づき両側へのふらつきが減少し たことにより,歩行車歩行・一本杖歩行見守 りとなった.身体機能は,BRS 左右上下肢Ⅴ と右下肢の機能向上を認めた.評価項目とし ては,FIM81 点,10m 歩行テストは 11″35, 21 歩,Timed Up & Go Test は 24″69,FBS は 32/56 点となった. 【考察】 今回の症例を通して歩行機能,麻痺の改善 を認めた要因をリハアプローチ面に限局して 考えると,まず動作内への左上下肢の参加を 図ったこと,免荷式トレッドミル歩行により 積極的な課題指向介入が可能となり,正常な 歩行動作の反復練習ができたこと,末梢から の感覚入力が脊髄中枢パターン発生器(CPG) の賦活,中枢神経の再組織化を促進したこと が,優位に影響を与えたのではないかと推察 する.BWSTT は実施条件や対象者も未だ明確 に定まっていないのが現状である.より効果 的な介入方法として確立するために,症例数 を増やし実施条件や対象者を検討したい.

(19)

~ 18 ~

10. アルツハイマー型認知症を伴う大

腿骨転子部骨折術後症例の理学療法

坂口英隆・西川祐加里・山本晴彦・武内康浩 公益財団法人 浅香山病院 Key words:大腿骨転子部骨折、認知症、長期 記憶 【はじめに】 アルツハイマー型認知症を伴う右大腿骨転 子部骨折術後の症例を担当した。持続的な訓 練が困難であり難渋した患者に対し、長期記 憶を利用した治療プログラムを立案、実施し たことで機能改善、移乗動作の介助量軽減に 繋がった症例を報告する。 【症例紹介】 80 歳代後半女性。自宅で転倒し右大腿骨転 子部骨折受傷。4 日後γネイル固定術施行、 理学療法開始したが、術後より右大腿内側部 に血腫出現。疼痛が強く、右下肢の自動運動・ 他動運動は困難、臥床傾向であった。術後 34 日目理学療法中止、転院し翌日血腫除去術施 行。17 日間の臥床期間の後、γネイル固定術 術後 51 日目に当院に転院。骨折前の ADL は車 椅子移乗、伝い歩き 5m 見守り。 【理学療法評価】 理学療法再開時、関節可動域検査(以下 ROM-t、単位°)は右股関節屈曲 90、右膝関節 屈曲 90P、右足関節背屈 0。徒手筋力テスト(以 下 MMT、右/左)では股関節屈曲 2/3、膝関節伸 展 2/3、足関節背屈 1/3。改定長谷川式簡易知 能評価スケール 10/30。機能的自立度評価(以 下 FIM)38 点(運動 18 認知 20)、起居動作は中 等度介助、坐位保持は支持物把持し見守り、 移乗動作は重度介助、ステップ出現無し。病 識に欠け、重度の短期記憶障害がある。術後 66 日目まで平行棒両手把持、重度介助で起立、 中等度介助で立位保持 1 回あたり約 18 秒、足 踏みや介助歩行は不可能。運動意欲は乏しく、 度々動作を止めることがあった。 【目標と治療場面】 目標は移乗動作の介助量軽減とし、治療プ ログラムは起立動作に必要な右股関節屈曲、 右膝関節屈曲・右足関節背屈の関節可動域訓 練、下肢に対する筋力増強訓練、坐位訓練、 移乗動作訓練。長期記憶は保たれ、繰り返し 昔話をされることから、術後 67 日目より、性 格・生活歴・家族歴・趣味などの情報を見直 し、訓練で利用し、運動意欲を向上させ機能 改善、移乗動作の介助量軽減を目指した。例 として、歌に合わせて互い手を合わせる「手 遊び」を利用、リーチ動作で坐位での重心移 動を促し動的坐位バランス能力向上、起立時 の体幹前傾を促した。また「趣味だった社交 ダンス」のステップを利用し、坐位や平行棒 内立位で下肢自動運動を実施し移乗動作時の ステップ出現を狙った。声掛けは運動意欲向 上を狙い「リハビリしましょう」などから「教 えてください」「勝負しましょう」など役割、 ゲームや遊びの要素を意識し声掛けし、介入 した。 【結果】 術後 130 日目、最終評価では ROM-t 右股関 節屈曲 100、右膝関節屈曲 110、右足関節背屈 10。MMT 股関節屈曲 2/3、膝関節伸展 3/3、足 関節背屈 2/3。FIM55 点(運動 33 認知 22)。起 居動作は口頭指示、坐位保持は自立、移乗動 作はステップ出現し軽度介助。笑顔も増え、 運動意欲は向上、動作に要する時間も短縮し た。立位保持時間は軽度介助でコンスタント に 20 秒以上、平行棒内歩行による下肢筋力増 強訓練も可能となった。 【考察】 山田はアルツハイマー型認知症は「過去の 記憶力は保たれる」としている。今回、保た れている長期記憶を活用し、過去に行ってい た趣味や遊びの要素を取り入れ、自発性や残 存機能を引き出すことができたと考える。結 果、持続した訓練が可能となり、機能改善、 移乗動作の介助量軽減に繋がったと考える。

(20)

~ 19 ~

11. 片麻痺患者:

踏み台昇降訓練と歩容変化

社会医療法人ペガサス ペガサスリハビリテーション病院 土生久美子・角城慎一 Key Words:被殻出血・踏み台昇降・歩行 【はじめに】 歩行時に反張膝がおきることにより、右足尖 のひっかかりが生じ、歩行時の転倒リスクに 繋がっていた一症例に対して、反張膝の原因 として右膝関節伸展筋力低下に着目し、大腿 四頭筋の筋力増強運動法に適した CKC 種目と して踏み台昇降訓練が有効である。小山1)。 と考え、踏み台昇降訓練を実施し、歩容変化 がみられた為、ここに報告する。 【症例】 60 歳代女性。病前日常生活動作は自立してい た。左被殻出血で、同日、急性期病院入院し、 保存的治療。34 病日に当院回復期病棟に転院。 当院でのリハビリテーションを開始した。 【評価:第103 病日】 ①神経学的所見:右不全片麻痺(MMT232, 膝関節伸展筋2,左下肢筋力 4)。感覚障害(右 上下肢表 在・深部共に重度鈍麻 )。Trail Making Test(※以下:TMT)-A:173 秒 /TMT-B:310 秒。 ②理学的所見: FIM:運動 72 点/認知 19 点。 10m歩行(一本杖 軽介助):45 秒/33 歩。 歩行の問題点:右立脚中期から後期にかけて 反張膝がおき、その影響により右立脚後期に 骨盤後方回旋、その結果右足尖ひっかかりが 生じていることにより、歩行での転倒リスク に繋がり、介助が必要となる問題点になって いると考えました。 【第103~129 病日】 第34 病日~第 102 病日までは起立・歩行訓 練を中心に行っていたが、運動麻痺による右 膝関節伸展筋筋力増強を目的に、踏み台昇降 訓練(15cm 台。前方・後方昇降動作を 30 回 /日)を追加した。 【評価:第129 病日】 ①神経学的所見:右不全片麻痺(MMT233, 膝関節伸展筋3,左下肢筋力 5)。感覚障害に 変化なし。TMT-A・B 共に大きな変化なし。 ②理学的所見: FIM 運動 75 点/認知 19 点(改 善項目:移動、階段、入浴)。10m歩行(一 本杖 見守り):45 秒/30 歩。右立脚中期~ 右立脚後期に生じていた反張膝、骨盤後方回 旋が軽減したことにより、右立脚後期に過荷 重になっていた重心が左下肢へと移行しやす くなった。右遊脚初期の右足尖ひっかかりが 減少した。 【考察】 本症例は、右不全片麻痺、感覚障害(位置覚・ 運動覚)、歩行時の反張膝により転倒リスクが あり、介助が必要であった。今回、反張膝の 原因として、右膝関節伸展筋筋力低下に対し、 踏み台昇降訓練を実施した。右膝関節伸展筋 と左下肢筋力が改善し、反張膝、右足尖ひっ かかりが軽減し、歩行は軽介助から見守りレ ベルへと変化した。

(21)

~ 20 ~

12. 既往に脊髄小脳変性症を持ち、脳

幹梗塞を発症した症例

山田 祐司 阿部 直也 社会医療法人 頌徳会 日野病院 Keywords:脳幹梗塞、脊髄小脳変性症 【はじめに】 今回、既往歴に脊髄小脳変性症(以下 SCD) があり、脳幹梗塞(左橋腹側)の症例を担当 した。股関節と体幹機能に着目しアプローチ した結果、歩行動作に改善が見られたため報 告する。 【症例紹介】 60 歳代男性。X 年 Y 月に構音障害・右片麻 痺で発症し、A 病院へ搬送。A 病院にてリハを 行い、発症 19 日後に当院へ転院となる。発症 前は入浴以外のセルフケアは自立し、屋内伝 い歩き自立、屋外 T 字杖歩行見守りであった。 【初期評価:入院 1~7 日目】 FIM100 点(運動項目 66 点、認知項目 34 点)、 BRS 右上肢・下肢Ⅴ、右手指Ⅳ。MMT では両側 ともに股関節屈曲、伸展、外転 2、体幹屈曲、 立脚期の右大殿筋、右中殿筋、右腹斜筋の筋 緊張の低下を認めた。片脚立位不可、臨床的 体幹機能検査(以下 FACT)6 点、 10m 歩行は 1 分 29 秒(36 歩)であった。歩行観察で、➀ 右足底接地~立脚中期での右股関節の過度な 内転により、左遊脚にて左下肢が右下肢に衝 突する、➁右遊脚期に右股関節が内転するこ とがあり、右立脚期を内転位で迎えるため転 倒傾向を示した。また、両立脚期で体幹前傾 位を呈していた。 【問題点の抽出】 ➀の減少に関して、立脚初期~中期では大 殿筋、中殿筋、内腹斜筋の活動が増大し股関 節・骨盤の安定化を図っているとあり、本症 例では、初期評価より大殿筋、中殿筋、内腹 斜筋の筋力低下、歩行時の筋緊張低下を認め た。上記より、右立脚中期での股関節内転を 制動できず、左遊脚期に左下肢が右下肢に衝 突し転倒傾向を示すと考えた。②の現象に関 しては、下肢を振り出す際は腹筋群の活動の 増加により、骨盤を安定させ、股関節屈筋群 を働きやすくすると言われている。腹筋群と 殿筋群の筋力低下、筋緊張低下による骨盤の 安定性低下により、右遊脚期に股関節が内転 し、股関節内転位で右立脚期を迎えるため転 倒傾向を示すと考えた。 【理学療法プログラム】 ➀の問題点に対して、臥位で両大殿筋・中 殿筋の筋力増強運動と臥位・座位で骨盤と下 肢の協調的な収縮、立位で重心移動練習、ス テップ運動を行った。②の問題点に対して、 臥位・座位で腹筋群の筋力増強運動と腹筋群 を収縮させながら股関節屈曲運動を行った。 【最終評価:入院 60~66 日目】 FIM113 点(運動項目 79 点、認知項目 34 点)、 BRS 右上肢・手指・下肢Ⅴ、MMT では両側とも に股関節屈曲 4、伸展、外転 3、体幹屈曲、回 旋 4 と向上した。歩行時の触診において、右 立脚期の大殿筋、中殿筋の筋緊張低下に改善 を認めた。片脚立位は左右ともに約 4~5 秒程 可能となり、FACT14 点、10m 歩行は 26 秒(26 歩)と向上した。歩行においては、➀右足底 接地~立脚中期での右股関節の過度な内転が 減少し、左下肢が右下肢に衝突することがな くなった。②右遊脚期に右股関節が内転する ことが減少した。両立脚期での体幹前傾が軽 減した。これらに伴い、歩行の安全性、安定 性、速性が改善した。 【まとめ】 発症以前は歩行を自立され、発症後より歩行 が困難となったため、右片麻痺による影響が 歩行動作に大きく影響を与えていると考えた。 歩行時の腹筋群、殿筋群に着目し理学療法を 実施した結果、歩行の実用性向上に繋がり、 両 T 字杖を使用し歩行が短距離(約 50m)で は自立、長距離(約 150m)では見守りで行え るようになった。

(22)

~ 21 ~

13. 脳出血後片麻痺例の廃用性筋力低

下と起立着席訓練:筋電図学的考察

千住 友久 瑞慶覧 誠 社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 key words: 廃用性筋力低下・起立着席訓練・表面筋電図 【症例】 58 歳、男性。右利き、配管工。身長 175cm、 体重78kg、BMI 25.5kg/m2 既往歴:高血圧症、 糖尿病 現病歴:自宅で倒れ救急搬送。脳出血 (右頭頂後頭葉)で緊急開頭血腫除去・外減圧 術。第3病日リハビリテーション(リハ)開始。 第 14 病日起立着席訓練開始、急性期病棟で の 33 日間の起立着席回数(平均±標準偏 差)19.3±17.5 回/日。第 36 病日回復期リハ病 棟へ。 【回復期リハ病棟での変化(発症 36 日目→98 日目)】 JCS2→意識清明、左 USN は線分末梢試験 の見落とし数23→0 個(総線分数 40 個、用紙 A4)。左不全片麻痺は MMT1→1、健側右膝 伸展力はMMT で 3→4、徒手筋力計で 18.6kg →26.6kg。左半身の感覚は重度鈍麻→中等度 鈍麻。大腿周径は(右:39.8→38.6cm;左:38.0 →36.0cm)。 基本動作は起居、座位保持、立位保持(短下 肢装具)は介助→見守り、移乗、歩行(長下肢 装具)は介助量が軽減。FIM 51→69。体重 no data→57.1kg、BMI no data →18.6kg/m2 【回復期リハ病棟での訓練】 PT(4 単位):関節可動域訓練(四肢)、起立着 席回数(平均±標準偏差)75.6±22.2 回/日、歩 行訓練(長下肢装具)。OT(3 単位):ADL 訓練 (食事、整容、排泄、更衣)。ST(2 単位):視覚 性抹消課題訓練、構音訓練。 【表面筋電図測定:方法と結果】 ・方法:様々な訓練動作を10 回反復に左右 大腿直筋の活動電位(mV)を記録した。記録波 形から(a)左大腿直筋の最大活動電位、(b)右大 腿直筋の最大活動電位、(c)a+b を求めた。 ・結果:(a/b/c) ①起立着席(0.97/0.85/1.92) ②臥位殿部挙上(1.18/0.39/1.57) ③歩行訓練(1.23/0.24/1.47) ④階段降段(0.68/0.21/0.89) ⑤階段昇段(0.57/0.17/0.74) ⑥臥位膝伸展挙上(0.50/0.17/0.67) ⑦座位膝伸展(0.20/0.06/0.26) ⑧立位(0.19/0.04/0.23) ⑨臥位(0.03/0.03/0.06) ⑩座位(0.03/0.02/0.05) 【考察】 本症例では急性期よりリハを実施したが廃 用性筋力低下を生じていた。 回復期リハで起立着席訓練を中心とした三 好らの片麻痺訓練プログラムに準じた訓練を 行ったが、PT 個別訓練内では起立着席 400 回/日までにも達しなかった。 大腿直筋の表面筋電図からみると起立着席 訓練は他の訓練動作に比べて大腿直筋の最大 活動電位の和が高く、大腿直筋の廃用性筋力 低下に対し他の訓練より起立着席訓練は有用 である可能性がある。臥位殿部挙上でも大腿 直筋の最大活動電位の和が高く、ベッド上で 安全に実施可能であり、自主訓練に活用でき る。 なお、本症例の体重減少は、後に診断された 併存した悪性疾患によるものである事が判明 した

(23)

~ 22 ~

14. 免荷式歩行器を用いた頸椎症性脊

髄症症例へのアプローチ

西野遼太・林直樹 社会医療法人同仁会 耳原総合病院 key words: 頸椎症性脊髄症、免荷式歩行器、随意運動 【はじめに】 今回、頸椎症性脊髄症により下肢に重度の 麻痺をきたし歩行困難となった症例を担当し た。実用的な歩行獲得を目指し、免荷式歩行 器を用いたアプローチを行った症例について 二ヶ月間(X+93 日)介入した経過を報告する。 【症例紹介】 70 代前半女性。体重 80kg、BMI32.7 と肥満 体形。既往歴は肝硬変、肝性脳症などがある。 半月ほど前から徐々に頸部~左上肢痺れ、下 腿の怠さが増悪し、X 日に歩行困難となり当 院救急搬送された。X+1 日より急性期 PT が介 入し介助にて起立、移乗が可能となるも再度 麻痺が増悪。X+22 日に椎弓切除術(C4-6)を施 行され、徐々に筋出力向上。ADL 向上のため X+36 日、回復期病棟へ転入となった。 【理学療法評価】 初回評価では意識レベル JCSⅠ-1 で傾眠傾 向。FIM 運動項目では 13 点とほぼ全介助であ った。上肢機能は比較的良好であり、手指の 屈曲伸展は不完全だが肩・肘関節は MMT で 4 レベル。下肢は急性期で認められていた自動 運動が全く認められず、転入後 4 日目にして GMT1~2 レベルの自動運動が認められた。上 下肢とも筋緊張は亢進しており両側とも足ク ローヌス陽性であった。下肢感覚は表在が大 腿・下腿で中等度鈍麻、足部は重度鈍麻。運 動覚は股関節・膝関節・足関節で重度鈍麻で あり、可動域全体を動かせば判断可能だが細 かい動きは感じられない状態であった。 【理学療法プログラム・経過】 意識障害の改善につれ、下肢自動運動出現。 X+44 日には GMT で伸展方向 4 レベル、屈曲方 向は弱く 2 レベルであり、起立は重度介助で あった。また肝硬変から腹水が貯留、徐々に 腹部膨満感の訴えが強くなるとともに下肢の 筋緊張も亢進傾向にあった。感覚は改善して きており、表在・深部共に軽度鈍麻であった。 理学療法プログラムとして、OKC での神経筋 再教育、CKC の動作として起立訓練、筋緊張 亢進に対して徒手療法と運動イメージを用い て軽減を図った。また脊髄損傷後の歩行に関 して伊佐らは、“随意的な運動を行うような訓 練を行うことによって、皮質脊髄路や網様体 脊髄路から脊髄固有ニューロンに至る経路に 可塑性を誘導する必要がある。”としている。 そのため早期より免荷式歩行器を用いて随意 的な歩行訓練を行っていく必要があると考え、 起立訓練と並行し X+78 日より開始した。初回 は 3m 歩行し右立脚期に膝折れが認められた。 その後、腹部膨満感の訴えから積極的に行え なかったが訴えに合わせ計 4 回実施した。 その結果、中間評価では FIM 運動項目 20 点。 起居:見守り~軽介助、起立:軽介助、移乗: 重度介助(右下肢振り出し可も左下肢は困難)、 歩行:免荷式歩行器を用いて 5m となった。 【考察】 回復期病棟転入後、自動運動が認められな い状態から徐々に筋出力向上、約 1.5 ヶ月で 軽介助にて起立可能となるまで向上した。そ の経過から、実用的な歩行獲得を目標とし、 早期より随意的な動作として免荷式歩行器を 用いて歩行訓練を実施した。徐々に歩行距離 は延長していたが内科疾患の影響もあり積極 的な実施はできず、また歩行に強い努力性を 要するため上下肢共に筋緊張も亢進傾向にあ った。随意的な動作として歩行訓練を行って きたが、内科疾患のコントロール状況も考慮 しながら背臥位や端座位などレベルを下げた 動作が望ましかった可能性も考えられる。 【参考文献】 伊佐 正“脊髄損傷に対する治療戦略:皮質脊 髄路の可塑性と随意制御の回復” 脳 21 Vol.16 No.1 2013

(24)

~ 23 ~

15. 視床出血を発症後、自宅退院に向

けた介助量の軽減に難渋した一症例

~重度の運動麻痺、高次脳機能障害を

呈した患者を経験して~

○松下 竜也 小川 真司 社会医療法人 生長会 ベルピアノ病院 Key words:視床出血・自宅退院・ 高次脳機能障害 【はじめに】 今回、右視床出血を発症し、高次脳機能障 害、左片麻痺を呈した症例を担当した。介入 当初は重度の高次脳機能障害、運動麻痺があ ったが、リハビリ加療により基本動作の介助 量が軽減し、自宅退院となった。その経過に ついて報告する。 【症例紹介】 70 歳代女性、X 年 Y 月 Z 日に右視床出血(脳 室穿破)を発症し、A 病院へ入院となり、保存 加療を行った。42 病日にリハビリテーション 目的で当院に転院し、理学療法を開始した。 16 年前に脳幹梗塞を発症していたが後遺症 はなく、ADL は自立していた。自宅退院に対 し、家族はトイレ動作の自立を希望していた。 【理学療法評価およびアプローチ】 初期評価(42~54 病日)では FIM は 20 点で あった。また、意識障害があり JCSⅠ-3 であ った。頸部は常に右回旋しており、左側から の刺激に対する反応が乏しく、左半側空間無 視が疑われた。紙面上の検査は指示理解が乏 しく、実施困難であった。運動麻痺はブルン ストロームステージテスト(以下、BRS-T)上下 肢・手指Ⅰであった。開眼はしているものの、 口頭指示に対する反応が乏しく、基本動作は 全介助レベルであった。プログラム内容とし ては、意識障害の改善を目的として、離床時 間の確保や、長下肢装具を使用しての歩行訓 練など下肢への荷重訓練を中心に実施した。 中間評価(98~112 病日)では FIM は 33 点であ った。意識状態は JCSⅠ-1 となり、口頭指示 に対する反応がみられるようになった。基本 動作は寝返り~起き上がり動作が中等度介助 レベル、端座位保持は軽介助レベル、移乗動 作は重度介助レベルとなり、意識障害の改善 がみられたことにより、全体的に介助量が軽 減した。しかし、運動麻痺、半側空間無視は 残存しており、左上下肢に対しての認識が乏 しく、介助が必要であった。中間評価後の治 療プログラムとしては、左上下肢への感覚入 力を目的として、歩行訓練の他に左側への起 居動作や端座位での左側へのリーチ動作など、 左側への認識を促す訓練などを実施した。ま た、意識障害の改善によって口頭指示に対す る反応の向上がみられたため、基本動作練習 の際は運動学習を目的として、手順や口頭指 示を統一した。 【結果】 最終評価(138~147 病日)では FIM は 39 点 であった。JCS0、BRS-T 下肢Ⅱと改善がみら れた。また、線分抹消試験は 36/36 点と半側 空間無視の改善が見られ、頸部もほぼ正中を 向いている状態であった。基本動作は寝返り ~起き上がり動作が軽介助レベル、端座位保 持は見守りレベル、移乗動作は中等度介助レ ベルとなった。在宅復帰にあたり、全体的に 動作の介助が必要な状態であったが、家族に 対しての介助指導を行い、自宅退院となった。 【考察】 本症例において、介助量が軽減した要因と して、初期から早期離床、端座位・歩行訓練 を行い意識状態の改善が見られたこと、中期 から左側からの刺激の入力を増やしたことで 左半側空間無視の改善が見られたと考えられ る。また、網本らは、半側空間無視の改善に は覚醒状態の改善が必要であり、それに対し、 早期からの歩行訓練が重要だと述べている。 さらには、残存している言語野に対し、口頭 指示での入力を増やしたことで左下肢への認 識や運動学習に繋がり、全体的に介助量軽減 につながったと考えられる。

(25)

~ 24 ~

16. 立ち上がり・歩行中心の訓練

~歩行が改善した症例~

中村 輝 山下 美沙子 社会医療法人ペガサス 馬場記念病院 Key word:脳卒中・片麻痺・歩行 右片麻痺、感覚障害、非麻痺側下肢の筋力低 下があり歩行に介助を要していた症例に、立 ち上がり・歩行訓練を実施した。 【症例】 45 歳女。病前 ADL 自立。左中大脳動脈領域の 脳梗塞。3 病日に脳浮腫のため減圧開頭術。5 病日リハ開始。 【5 病日】 JCS3。右片麻痺 MMT:上肢 1 手指 1 下肢 1。左 MMT:上肢 3 手指 3 下肢 3。感覚障害:右上下 肢表在・深部ともに重度鈍麻。平行棒歩行中 等度~最大介助。立ち上がり訓練 10 回/日。 AFO+膝伸展装具装着し、歩行訓練平行棒 30m/ 日。FIM:18 点。42 病日に頭蓋形成術。52 病 日、回復期病棟へ転院。 【52 病日】 JCS1。右片麻痺 MMT:111。左 MMT:444。感覚 障害:右上下肢表在・深部ともに重度鈍麻。 平行棒歩行中等度~最大介助。起居・移乗・ 座位・立ち上がり・歩行訓練行い、立ち上が り 15 回/日。AFO+膝伸展装具装着し、歩行訓 練平行棒 60m。FIM:36 点。なお、左上下肢に ついては廃用による筋力低下と判断した。 【68 病日】 右片麻痺 MMT:111。左 MMT:444。感覚障害: 右上下肢表在・深部ともに重度鈍麻。HHD:左 大腿四頭筋力値 18.2kgf、体重比 31%。平行棒 歩行中等度介助。右膝折れ及び右前足部引っ かかりがある。FIM:45 点。非麻痺側下肢の 筋力低下に着目し、立ち上がり・歩行訓練中 心の内容に変更。 【68 病日~98 病日】 疲労度確認しながら立ち上がり訓練を 20 回 ×5/日。AFO+膝伸展装具装着し、歩行訓練平 行棒 100m×5/日。 【98 病日】 右片麻痺 MMT:112、左 MMT:555。感覚障害変 化なし。HHD:左大腿四頭筋力値 36.2kgf、体 重比 61%。四点杖歩行監視。FIM:72 点。 【考察】 本症例は右片麻痺、感覚障害、非麻痺側下肢 の筋力低下により歩行に介助が必要な状態で あった。非麻痺側下肢の筋力低下に注目して、 立ち上がり・歩行を実施した。感覚障害に変 化はなかったが右片麻痺の改善、非麻痺側下 肢の筋力が増加し歩行能力が改善した。

参照

関連したドキュメント

少子化と独立行政法人化という二つのうね りが,今,大学に大きな変革を迫ってきてい

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

地方創生を成し遂げるため,人口,経済,地域社会 の課題に一体的に取り組むこと,また,そのために

医師の臨床研修については、医療法等の一部を改正する法律(平成 12 年法律第 141 号。以下 「改正法」という。 )による医師法(昭和 23

 医薬品医療機器等法(以下「法」という。)第 14 条第1項に規定する医薬品

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

22 日本財団主催セミナー 「memento mori 広島− 死 をみつめ, 今 を生きる−」 を広島エリザベト音楽大

「新老人運動」 の趣旨を韓国に紹介し, 日本の 「新老人 の会」 会員と, 韓国の高齢者が協力して活動を進めるこ とは, 日韓両国民の友好親善に寄与するところがきわめ