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揺れを表現することばの捉え方に関する考察

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Academic year: 2021

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(1)

A Study of Characteristics of Onomatopoeia which Express the Shakes.

-An approach from experiments- Hiroshi SAKURAI, Takashi TORIIZUKA

揺れを表現することばの捉え方に関する考察

―実験によるアプローチ―

日大生産工(院) ○櫻 井 宏 日大生産工 鳥居塚 崇

1. はじめに

世界でも稀な地震多発地域に位置する日本は、

大地震を含め頻繁に地震を経験してきたことによ り、建築物の免震・制震装置などの緩衝装置が発 達している。しかし、地震の際の建築物の揺れに 対して、恐怖心を抱くのが現状である。そこで、

より安心出来る環境を作るためには揺れに対して 物理的に十分な環境を求めるだけでなく、人間の 心理的な要因も加えた環境設計が必要と考えた。

このため、これまでのような設計の際に物理的な 評価だけでなく、人間の主観も加えた評価方法の 検討が必要になることがいえる。このような評価 方法の構築を目標に、まず揺れの大きさや怖さを 評価するための、揺れとことばの関係を明らかに することを目的に地震の揺れを表現することばの 整理・解析を行う。瀬野

1)

らは揺れを表現するこ とばに着目した研究を行った。これにより人間が 表現することばの特質(揺れの大きさ、怖さ)が 明らかになった。しかし、瀬野

1)

の研究では、定 性的な特質は明らかになったが具体的なことばの 特徴は明らかになっていない。そこでより詳細に 特徴を明らかにするために定量的な特徴を明らか にする分析が必要と考えた。

2. 研究の流れ

第一に揺れを表現することばの揺れを明らか にすることを目的とし、揺れを表現することばの 表現を行う。 そして表現した揺れをFFT解析により 最大周波数・最大振幅を明らかにする。次に得ら れた結果から疑似的な揺れを設定する。そして、

疑似的な揺れの表現を行うための揺れ発生システ ムの構築を行う。このシステムを用い、周波数・

振幅を設定し擬似的な揺れを発生させる。発生さ せた揺れを被験者に評価してもらうことにより疑 似的な揺れの場合の感じ方を明らかにし、揺れの 特徴とことばの繋がりの体系を考察する。そして 揺れを表現することばと揺れの関係の指標を作る。

3. 産出法による揺れの表現

3-1. 実験概要

実験画面を図 1 に示す。PC のディスプレイ上に 揺れを表現することばをマウスの操作によって表 現し、マウスポインタの移動した軌跡の座標を保 存できるプログラムを作成し実験を行った。こと ばの表現は図 1 の①の場所に表現してもらった。

計測時間は被験者がマウスを操作し始めてから 2 秒後から 7 秒後までの 5 秒間とし、1 人の被験者 につきそれぞれのことばで 5 試行ずつ実験を行っ た。そして座標データを PC に保存した。被験者に は揺れを表現することばを左右(横)の揺れのみで 表現してもらった。実験に用いたことばは瀬野が 用いた 14 種類のことばであり、 被験者は男女学生 20 名である。

図1 実験画面

4. 揺れの軌跡の FFT 解析

4-1. 概要・目的

揺れの軌跡からどのような振幅、周波数で作ら れているのか明らかにすることを目的とし、FFT による解析を行った。 図2は実験3の図1の実験画面 上で、揺れの表現で得た、揺れの軌跡の一例であ る。図3は揺れの軌跡のFFTの結果を示したもので ある。

がたがた

問題

スタート 終了

13.5cm 10cm

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

― 29 ― 6-8

(2)

図 2.揺れの曲線 図 3.FFT 解析後

4-2. 方法

最初にことばごとに得たデータをFFTを施し、

最大振幅と最大周波数を抽出した。最後にデータ の正規化を行い各ことばごとに平均値の算出を行 った。結果を図4に示した。

4-3. 結果および考察

図 4 から最大周波数が中~大のところに、がち ゃがちゃ・ゴーゴー・ぐらぐら・がたがた・かた かた・ゴー・ぎしぎしが位置しているが、これら のことばは揺れによる音を表現していることばと いえる。さらに最大振幅が中~小の場所に特に集 中している。 また最大周波数が中~小のところに、

ゆさゆさ・くらくら・ゆらゆら・ふわふわ・ふら ふらが位置しているが、これらのことばは揺れを 体で感じた時に表現されることばであることがい える。また最大振幅が中~小、さらに最大周波数 が小さいブロックには揺れを感じた際に表現され ることば、ゆさゆさ・ゆらゆら・ふらふら・ふわ ふわ・くらくらが位置している。図 4 の第 1 象限 は振幅も周波数も大きいことから他の象限に比べ て速度の変化量が最も大きい場所といえる。言い 換えれば加速度が大きい場所である。反対に第 3 象限は周波数も振幅も小さく、最も速度の変化量 が小さいことから加速度が小さい場所であるとい える。

図4 最大周波数と最大振幅の関係

5. 揺れシステムの構築

5-1. 概要・目的

本研究で評価対象とする揺れの表現データの 取得を目的として、揺れを発生させるシステムの 構築を行なう。今日、地震発生装置など大規模な 揺れの発生装置は存在するが、より簡易で手軽な ものを考えた場合、揺れを発生させる小規模な装 置を構築することが必要と考えた。今回、揺れを 表現するに至り着目した点として、 周期、 周波数、

加速度に着目した。これは先行研究

1)

により揺れ を構成する主な要素であり、揺れの感じさせ方に 影響を及ぼすものであるためである。

5-2. 揺れ発生システムの構造

揺れ発生システムの構造は既存のモータ制御 ソフトによるモータ制御により、設置されたサー ボモーターを制御し、反復回転運動を行う。そし てモータと接続してあるシャフトを左右に往復さ せる。これによりシャフトとアクリル板が接続し てあるため、アクリル板が左右に往復する構造に なっている。 この揺れ発生システムは揺れの周期、

振幅、の変化が可能な設計になっている。システ ムの構造の模式図を図 6 に示した。また、実際の システムの構造を(a)に、運動の仕組みを(b)

に示した。

6 システムの構造

5-3. モデル(家)の構造

本実験では揺れの状況を再現する際に揺れシ ステムの上にミニチュアの居住空間を設置するこ とにした。これは揺れを把握際に視覚的により揺 れの状態を感じやすくすることを目的としている。

このモデルは実際の六畳の大きさを想定した大き さになっている。そしてモデル内に設置してある

時間 移

動 距 離

振 幅

周波数

かたかた

がたがた がちゃが

ちゃ

ぎしぎし くらくら

ぐらぐら

ゴー ゴーゴー

ドーン ふらふら ふわふわ みしみし

ゆさゆさ ゆらゆら

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 大

大 最

大 振 幅

最大周波数

アクリル板 モータ

シャフトと 接続部分

(a)

(b) モータ

― 30 ―

(3)

人・家具など全て10分の1の大きさになっている。

また重さについても10分の1に調節してある。図8 にモデル(家)の構造の模式図を示した。なお、

図内の数値の単位は全て(mm)である。

図7 モデル模式図

6. 揺れの表現・評価対象の取得

6-1. 概要・目的

揺れの評価を行うデータの取得を目的とし、揺 れの状況の撮影を行った。 評価を行う対象は9種類 の揺れの状況に設定した。この9種類は研究4で明 らかになったことばの最大周波数と最大振幅の関 係から振幅、周波数を3段階に分割した。そして3 つの組み合わせの9項目とした。設定した9種類の 揺れの詳細は図8に示した。 図中の数値の単位は周 波数(Hz)、振幅(mm)になっている。そして撮 影状況の模式図を図9に示した。 撮影は小型カメラ を揺れ発生装置の上に設置した。これは揺れを体 験している場面を想定しているため、揺れ発生装 置の上に設置し共に揺れる撮影方法にした。撮影 時間は撮影開始から揺れ発生まで5秒間、 揺れの時 間5秒間に設定した。今回、視覚の情報による揺れ の感じ方の変化を明らかにすることを目的とし、

モデル内の家具ありと家具なしの状況を撮影した。

図8 揺れの設定数値

図9 撮影状況模式図

7. 揺れの評価・実験

7-1. 概要・目的

本実験では疑似的な揺れにより、揺れの感じ方 に影響を与える要因を明らかにすることを目的と して、実験を行う。実験概要は研究

5で取得した

映像を大画面スクリーンに映し、被験者による評 価を行った。

7-2. 方法・手順

最初に被験者に5秒間の揺れの映像を観察して もらい、評価時間20秒間の間に評価用紙に記入を してもった。 評価項目は揺れとことばの対応付け、

揺れの大きさ・怖さの感じる大きさの評価、揺れ から受けた感想についての項目を設けた。そして

20秒経過後に次の揺れの観察に移る流れで行う。

評価数は一人の被験者につきそれぞれ9種類の画 像組み合わせ

6通りとした。この6

通りは観察する 順番により揺れの判断に偏りが出ないために、揺 れの大きさが小→大、大→小、ランダム順それぞ れ2 通りの計6通りで行った。

7-3. 結果および考察

本実験で得られた揺れの表現と振幅・周波数の 関係を示したものを図10の左に示した。図10から 周波数と振幅が共に大きい位置にがちゃがちゃ、

ぐらんぐらん、どかどか、周波数と振幅が平均的 な所にがたがた、ぐらぐら、ゆらゆらがある。ま た周波数、振幅が共に小さい所にかたかた、ふら ふら、ゆらゆらが位置している。周波数が大きく 振幅が小さい所にがたがた、がちゃがちゃ、ぐら ぐらが位置する。また、周波数が小さく、振幅が 大きい所にぶらぶら、ゆさゆさ、ゆらゆらが位置

食器棚

椅子 人形150

テーブル 120

60 100

60

40 80

100

300 140

50

150

300

周:0.75 振:18.0

周:2.19 振:18.0

周:3.65 振:18.0

周:0.75 振:11.0

周:2.19 振:11.0

周:3.65 振:11.0

周:0.75 振:4.0

周:0.75 振:4.0

周:0.75 振:4.0

振幅

周波数

8 6

9

4 3

7

2 1

5

大 小

大 小

小型カメラ 揺れ発生装置

モデル

550

400 300

650 300

― 31 ―

(4)

している。周波数の大きいことばは音を表現する ことば

1)

が位置する傾向にある。一方で周波数が 小さいことばは体で感じた時に表現することば

1)

が位置している傾向がある。さらに大きさと怖さ の関係にことばの分布を含めた図を図11に示した。

図11から揺れの大きさと怖さの関係は比例関係の 傾向があることが言える。

図11から最も大きくかつ怖さを感じる揺れはが ちゃがちゃ・ぐらんぐらん・どかどかなどになる。

また小さく、怖さを感じない表現はかたかた・ふ らふら・ゆらゆらになる。特に大きさ、怖さが大 きいことばは周波数が大きく、音を表現すること ばになっている傾向がある。このことから揺れの 感じ方に影響を与えるものとして周波数や音の存 在が関係していることが考えられる。

図10 ことばと周波数と振幅の関係

(左、家具あり 右、家具なし)

図11 大きさと怖さの関係

次に家具なしの場合のことばと周波数と振幅 の関係を図 10 右に示した。図 10 右から家具あり と同様、周波数が大きい所に音を表現することば が位置し、周波数の小さいところに身体で感じた 揺れを表現することばが位置した結果になった。

家具なしは家具ありの状況に比べて身体で感じた 揺れを表現することばが多くなった。これは視覚 的に動くものがなかったため身体で感じる揺れを

表現することばをイメージする傾向が強くなった と推測出来る。 図 12 に家具ありとなしの状況の怖 さの関係を示した。 図 12 から家具なしの方が揺れ に対する恐怖感が低下していることが分かる。こ れは家具があった場合、家具が揺れてるため揺れ を感じやすいが、家具なしは揺れるものがなかっ たために家具ありに比べて揺れを把握しにくかっ たためであると考えられる。

12 家具ありとなしの怖さの比較

7 . まとめ

揺れの大小や、恐怖感との関係を左右する要因 として揺れの周波数の大きさが関係していること がいえる。また、聴覚や視覚による影響も揺れの 感じさせ方に変化を与える要因であると考えられ る。このことから揺れを表現することばの揺れの 特徴の一部が明らかになったことがいえる。これ により人間の主観を取り入れた評価基準の構築の ための基礎データの蓄積が出来たといいえる。こ れより人間の主観を含めた、揺れを評価すること ばと揺れの関係の指標を作る。

8 . 今後の課題

本実験では視覚のみによる揺れの評 価であっ たが瀬野、櫻井らの研究によると聴覚は揺れの感 じさせ方に大きな影響を与えることが明らかにな っている。このために本研究でも視覚のみでなく 聴覚の影響も研究していく必要があることがいえ る。

参考文献

1)瀬野友也“地震の揺れを表現することばに関す る研究”日本人間工学会第 47 回大会講演集 PP118-119 2006

ぶらぶら ゆさゆさ ゆらゆら

がたがた ぎしぎし ぐらぐら

がちゃがちゃ ぐらんぐらん どかどか

がたがた ぐらぐら ゆらゆら

がたがた ぐらぐら ゆらゆら

がたがた がちゃがちゃ ぐらぐら

かたかた ふらふら ゆらゆら

がたがた ぐらぐら ゆらゆら

がたがた がちゃがちゃ ぐらぐら

振幅

周波数

8 6

9

4 3

7

2 1

5

がたがた ぐらぐら ゆらゆら

がたがた ぐらんぐらん ぐらぐら

かたかた ふらふら ゆらゆら

かたかた がたがた くらくら

がたがた ぐらんぐらん ぐらぐら 周波数

8 6

9 がたがた ぐらぐら ゆらゆら

がたがた ぐらんぐらん ぐらぐら

ががが ぐらんぐらん どかどか

くらくら ふらふら ゆらゆら

振幅

4 3

7

2 1

5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

怖さ

大きさ

1(周:大,振:大)

3(周:大,振:中)

2(周:中,振:大)

6(周:大,振:小)

4(周:中,振:中)

7(周:小,振:中)

8(周:中,振:小)

5(周:小,振:大)

9 (周:小,振:小)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1 2 3 4 5 6 7 8 9

あり なし

― 32 ―

参照

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