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消費電力低減を考慮したエレベータ用アクティブ制振 技術の実用化

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Academic year: 2021

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消費電力低減を考慮したエレベータ用アクティブ制振 技術の実用化

1. はじめに

 近年のビル高層化にともない,エレ ベータも高速化が進められた.乗り心 地指標の一つである横振動は,主にか ごを案内するレールの加工誤差や据付 誤差によってかごが強制的に加振され ることで生じる.従来は,かごの上下 左右に設置されるガイド装置のばね剛 性と減衰を適正に調整することで横振 動を低減してきたが,高速エレベータ では剛性・減衰の最適化だけで振動を 抑制することが難しく,振動原因であ るレール変位を加工時と据付時に厳し く管理することで高品質な乗り心地を 達成してきた.しかし,この方法は高 レベルの加工・据付技術を要するた め,据付熟練者の不足する海外で国内 と同等な品質を維持することが難しい という問題がある.

 このような背景から高速エレベータ 用のアクティブ制振技術を開発し実用 化した.エレベータ向けのアクティブ 制振技術はそれまでにも多くの手法が 検討されてきたが,広く実用化するた めには既存のエレベータ設備仕様を変 更せずに設置する必要があるため,消 費電力の低減が重要な開発要素となる.

2. 消費電力低減のための施策

 一つめの消費電力低減施策は,振動 を低減するための制御力を発生するア クチュエータの設置場所である.この 検討には振動原因であるレールの特性 を把握することが不可欠であるため,

実際のレール変位を多数実測し,レー ル変位がレール 1 本分の長さを周期と する周波数に大きな成分を有すること を確認した.この結果より,アクチュ エータを図 1に示すようにガイド装 置のばねと並列に設置する構成とし た.これは実測したレール変位の主成 分周波数が,ガイド装置のばね部分が 最も大きく揺れる振動モードの周波数 と近接し,最も大きく揺れる場所にア クチュエータを設置することで効率的 に振動を低減できるためである.

 二つめの消費電力低減施策は,アク チュエータの方式である.まず前提条

件として,寿命・信頼性・メンテナン ス性を考慮し非接触式とした.非接触 式アクチュエータの代表例である電磁 石 と ボ イ ス コ イ ル モ ー タ( 以 下,

VCM)について,単位電力あたりの 力定数を最大化し,比較した結果を図 2に示す.電磁石は力定数がストロー クの 2 乗に反比例するため,ストロー クが短い場合に有利である.一方,

VCM は力定数がストロークにほとん ど依存しないためストロークが長い場 合に有利となる.既存のエレベータへ の設置を考えた場合,± 10mm のス トロークが必要であり,VCM は電磁 石と比較して 6~7 倍の力定数となる ため,VCM を選択し最適設計した.

3. 性能検証

 図 1に示したシステムを実機に搭 載し,性能検証試験を実施した.なお 図 1に示すように,本技術では 4 個 あるガイド装置のうち下側 2 個のみを アクティブ制振している.これは,か ご重心が比較的低い位置にあること,

乗客が接する床が下側ガイドに近いこ とを考慮して決定している.

 かご床の実測波形を図 3に示す.

図 3より,かご振動を 0.23m/s2から 0.09m/s2と良好に低減できたことが確 認できる.またアクチュエータ全体の 消費電力は最大で 70W と非常に小さ いことも確認できた.以上より,本技 術が開発コンセプトどおり,少ない消 費電力で高速走行時のかご振動を効果 的に低減できることを実機試験におい ても確認することができた.

4. おわりに

 振動原因となるレール変位の特性を 考慮したアクティブ制振システム構成 と,非接触式高効率アクチュエータの 最適設計により,高い制振性能と消費 電力の低減を両立した.これにより,

本アクティブ制振技術は世界で初めて 分速 300m 以上の高速エレベータに標 準的に適用可能となった.本技術によ りレールの必要据付精度が緩和できる ので,据付技術者が不足する海外にお いても高品質な乗り心地を標準的に実

現できる.以上が評価され,本技術は 平成 22 年度電機工業技術功績者表彰 を受賞した.

(原稿受付 2011 年 5 月 9 日)

〔宇都宮健児 三菱電機(株)〕

図1 アクティブ制振システム概略図 かご

レール コントローラ

アクティブガイド装置 アクチュエータ

制御 電流 加速度センサ

ばね

図 2 力定数の比較 コイル

ギャップ ヨーク

可動バー  コイル

永久磁石 ヨーク アーム

(a)電磁石 (b)VCM 

2 4 6 8 10

0 5 10 15 20

ストローク(mm)

最大力定数(N

W)

電磁石 VCM 

図 3 実機試験結果

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

−0.2

−0.1 0 0.1 0.2

Time(s)

Acc.(m/s2)

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

−0.2

−0.1 0.1 0.2

Time(s)

Acc.(m/s2)

制御無し

制御有り 0.23m/ s2(p-p)

0.09m/ s2(p-p)

速度7m/ s  容量 24 人乗

0

日本機械学会誌 2011. 10 Vol. 114 No.1115 769

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参照

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